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  • 特許-慢性脂肪性疾患の予防および治療用医薬 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-20
(45)【発行日】2022-04-28
(54)【発明の名称】慢性脂肪性疾患の予防および治療用医薬
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/496 20060101AFI20220421BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20220421BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20220421BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
A61K31/496
A61P1/16
A61P3/06
A61P29/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018073305
(22)【出願日】2018-04-05
(65)【公開番号】P2019182764
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-01-29
(73)【特許権者】
【識別番号】304028726
【氏名又は名称】国立大学法人 大分大学
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100118371
【弁理士】
【氏名又は名称】▲駒▼谷 剛志
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】上村 尚人
(72)【発明者】
【氏名】大谷 直由
(72)【発明者】
【氏名】和久田 浩一
【審査官】伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107019697(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106692150(CN,A)
【文献】特許第4021664(JP,B2)
【文献】特表2008-525370(JP,A)
【文献】SCIENTIFIC REPORTS,2017年,7,44545(pp.1-15),DOI:10.1038/srep44545
【文献】Seminars in Liver Disease,2016年,36(1),pp.87-98
【文献】ClinicalTrials.gov, NCT02191865, Feb. 1, 2016, https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02191865
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
慢性脂肪肝疾患を予防、改善または治療するための組成物であって、該組成物は、3-Z-〔1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチルアミノ)-アニリノ)-1-フェニルメチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノンまたはその塩を含む、組成物。
【請求項2】
前記慢性脂肪肝疾患は、炎症性疾患である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記慢性脂肪肝疾患は、非ウイルス性である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記慢性脂肪肝疾患は非アルコール性の疾患である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記慢性脂肪肝疾患は非アルコール性脂肪肝(NAFL)および非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を含む請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記慢性脂肪肝疾患は非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を含む請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記慢性脂肪肝疾患は非アルコール性脂肪肝炎(NASH)のMatteoni分類のType4を含む請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記予防、改善または治療は、肝臓の線維化の予防、改善または治療を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記予防、改善または治療は、前記慢性脂肪肝疾患の予防または早期の段階での改善若しくは治療である、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物は経口投与されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、慢性脂肪性疾患の予防および治療用医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、慢性脂肪性疾患の代表的な疾患として知られている。現在ではNASHは、肝臓の線維化の原因として認識されており、この疾患は、肝硬変および肝細胞がんへと進行する可能性があるといわれている。
【0003】
ニンテダニブ(NTN)は、経口利用可能な、抗血管新生および抗腫瘍活性を有するインドリノン由来の受容体チロシンキナーゼ(RTK)の阻害剤である。NTNは、臨床では、特発性肺線維症の処置に使用されている。
【0004】
慢性脂肪性疾患の代表例として知られる非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)は、患者数が多いため、公衆衛生における重要な課題である。その中で、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、特定のパターンの脂肪変性、炎症の変化、肝細胞の損傷を特徴とする、より進行した状態のNAFLDであると定義され、自覚症状を伴わずに肝臓の損傷を進行させ、肝臓の線維化および肝硬変を誘導し、さらに肝細胞がんの原因ともなると指摘されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、6位で置換された一般式
【化1】

のインドリノン、これらの互変異性体、ジアステレオマー、鏡像体、これらの混合物及びこれらの塩を含む組成物が、肝細胞のアポトーシスを阻害することによってNASHの進行を抑制することを見出した(各置換基は本明細書の他の箇所において定義される任意のものであり得る。)。
【0006】
別の局面において、本発明は、マウスモデルなどのNASHモデルにおける生化学的および組織学的変化を評価することを提供する。したがって、本発明は、さらに臨床上有用なNASHなどの慢性脂肪肝疾患の診断方法および薬剤のスクリーニング方法を提供する。
【0007】
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
慢性脂肪肝疾患を予防、改善または治療するための組成物であって、該組成物は、6位で置換された一般式
【化1】

〔式中、
Xは酸素原子又は硫黄原子を表し、
R1は水素原子又はプロドラッグ化に用いる基を表し、
R2はカルボキシ基、直鎖又は分枝C1-6-アルコキシカルボニル基、C4-7-シクロアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基、
直鎖又は分枝C1-6-アルコキシカルボニル基(これはそのアルキル部分中でフェニル基、ヘテロアリール基、カルボキシ基、C1-3-アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキルアミノ-カルボニル基又はジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル基により末端で置換されている)、
直鎖又は分枝C2-6-アルコキシカルボニル基(これはそのアルキル部分中で塩素原子又はヒドロキシ基、C1-3-アルコキシ基、アミノ基、C1-3-アルキルアミノ基もしくはジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基により末端で置換されている)、
アミノカルボニル基もしくはメチルアミノカルボニル基、必要によりエチル基の2位でヒドロキシ基もしくはC1-3-アルコキシ基により置換されていてもよいエチルアミノカルボニル基を表し、又は
R4がアミノスルホニル-フェニル基又はN-(C1-5-アルキル)-C1-3-アルキルアミノカルボニル-フェニル基を表さない場合、それはまたジ-(C1-2-アルキル)-アミノカルボニル基を表してもよく、
R3は水素原子、C1-6-アルキル基、C3-7-シクロアルキル基、トリフルオロメチル基又はヘテロアリール基、
フェニル基もしくはナフチル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子もしくはヨウ素原子、トリフルオロメチル基、C1-3-アルキル基又はC1-3-アルコキシ基により一置換又は二置換されたフェニル基又はナフチル基(二置換の場合、置換基は同じであってもよく、また異なっていてもよく、また上記未置換フェニル基及びナフチル基並びに一置換及び二置換フェニル基及びナフチル基は更に
ヒドロキシ基、ヒドロキシ-C1-3-アルキル基又はC1-3-アルコキシ-C1-3-アルキル基、
シアノ基、カルボキシ基、カルボキシ-C1-3-アルキル基、C1-3-アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキルアミノ-カルボニル基又はジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル基、
ニトロ基、
アミノ基、C1-3-アルキルアミノ基、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基又はアミノ-C1-3-アルキル基、
C1-3-アルキルカルボニルアミノ基、N-(C1-3-アルキル)-C1-3-アルキルカルボニルアミノ基、C1-3-アルキルカルボニルアミノ-C1-3-アルキル基、N-(C1-3-アルキル)-C1-3-アルキルカルボニルアミノ-C1-3-アルキル基、C1-3-アルキルスルホニルアミノ基、C1-3-アルキルスルホニルアミノ-C1-3-アルキル基、N-(C1-3-アルキル)-C1-3-アルキルスルホニルアミノ-C1-3-アルキル基又はアリール-C1-3-アルキルスルホニルアミノ基、
シクロアルキルアミノ基、シクロアルキレンイミノ基、シクロアルキレンイミノカルボニル基、シクロアルキレンイミノ-C1-3-アルキル基、シクロアルキレンイミノカルボニル-C1-3-アルキル基又はシクロアルキレンイミノスルホニル-C1-3-アルキル基(それぞれの場合に4~7環員を有する)(それぞれの場合、6員又は7員シクロアルキレンイミノ基の4位のメチレン基は酸素原子もしくは硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、-NH基又は-N(C1-3-アルキル)基により置換されていてもよい)、又は
ヘテロアリール基又はヘテロアリール-C1-3-アルキル基により置換されていてもよい)
を表し、
R4はC3-7-シクロアルキル基(6員又は7員シクロアルキル基の4位のメチレン基はアミノ基、C1-3-アルキルアミノ基もしくはジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基により置換されていてもよく、又は-NH基もしくは-N(C1-3-アルキル)基により置換されていてもよい)、又は
基R6により置換されたフェニル基〔これは更にフッ素原子、塩素原子、臭素原子もしくはヨウ素原子、C1-5-アルキル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシ基、C1-3-アルコキシ基、カルボキシ基、C1-3-アルコキシカルボニル基、アミノ基、アセチルアミノ基、C1-3-アルキル-スルホニルアミノ基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキル-アミノカルボニル基、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル基、アミノスルホニル基、C1-3-アルキル-アミノスルホニル基、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノスルホニル基、ニトロ基又はシアノ基により一置換又は二置換されていてもよく、これらの置換基は同じであってもよく、また異なっていてもよく、また
R6は水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子、
シアノ基、ニトロ基、アミノ基、C1-5-アルキル基、C3-7-シクロアルキル基、トリフルオロメチル基、フェニル基、テトラゾリル基又はヘテロアリール基、

【化2】

(式中、窒素原子に結合された水素原子はそれぞれの場合に互いに独立にC1-3-アルキル基により置換されていてもよい)
の基、
C1-3-アルコキシ基、C1-3-アルコキシ-C1-3-アルコキシ基、フェニル-C1-3-アルコキシ基、アミノ-C2-3-アルコキシ基、C1-3-アルキルアミノ-C2-3-アルコキシ基、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノ-C2-3-アルコキシ基、フェニル-C1-3-アルキルアミノ-C2-3-アルコキシ基、N-(C1-3-アルキル)-フェニル-C1-3-アルキルアミノ-C2-3-アルコキシ基、C5-7-シクロアルキレンイミノ-C2-3-アルコキシ基又はC1-3-アルキルメルカプト基、
カルボキシ基、C1-4-アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキルアミノ-カルボニル基、N-(C1-5-アルキル)-C1-3-アルキルアミノカルボニル基、フェニル-C1-3-アルキルアミノ-カルボニル基、N-(C1-3-アルキル)-フェニル-C1-3-アルキルアミノ-カルボニル基、ピペラジノカルボニル基又はN-(C1-3-アルキル)-ピペラジノカルボニル基、
C1-3-アルキルアミノカルボニル基又はN-(C1-5-アルキル)-C1-3-アルキルアミノカルボニル基(アルキル部分はカルボキシ基もしくはC1-3-アルコキシカルボニル基により置換され、又はその2位もしくは3位でジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基、ピペラジノ基、N-(C1-3-アルキル)-ピペラジノ基もしくは4~7員シクロアルキレンイミノ基により置換されている)、
C3-7-シクロアルキルカルボニル基(6員又は7員シクロアルキル部分の4位のメチレン基はアミノ基、C1-3-アルキルアミノ基もしくはジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基により置換されていてもよく、又は-NH基もしくは-N(C1-3-アルキル)基により置換されていてもよい)、
4~7員シクロアルキレンイミノ基(そのイミノ基に結合されたメチレン基はカルボニル基もしくはスルホニル基により置換されていてもよく、又は
そのシクロアルキレン部分はフェニル環に縮合されていてもよく、又は
1個又は2個の水素原子がそれぞれC1-3-アルキル基により置換されていてもよく、かつ/又は
それぞれの場合に、6員又は7員シクロアルキレンイミノ基の4位のメチレン基はカルボキシ基、C1-3-アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキルアミノカルボニル基、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル基、フェニル-C1-3-アルキルアミノ基又はN-(C1-3-アルキル)-フェニル-C1-3-アルキルアミノ基により置換されていてもよく、又は
酸素原子もしくは硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、-NH基、-N(C1-3-アルキル)基、-N(フェニル)基、-N(C1-3-アルキルカルボニル)基又は-N(ベンゾイル)基により置換されていてもよい)、
基R7により置換されたC1-4-アルキル基(R7はC3-7-シクロアルキル基(6員又は7員シクロアルキル基の4位のメチレン基はアミノ基、C1-3-アルキルアミノ基もしくはジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基により置換されていてもよく、又は-NH基もしくは-N(C1-3-アルキル)基により置換されていてもよく、又は
5~7員シクロアルキル基中で、-(CH2)2基は-CO-NH基により置換されていてもよく、-(CH2)3基は-NH-CO-NH基もしくは-CO-NH-CO基により置換されていてもよく、又は-(CH2)4基は-NH-CO-NH-CO基により置換されていてもよく、それぞれの場合に、窒素原子に結合された水素原子はC1-3-アルキル基により置換されていてもよい)、
アリール基又はヘテロアリール基、
ヒドロキシ基又はC1-3-アルコキシ基、
アミノ基、C1-7-アルキルアミノ基、ジ-(C1-7-アルキル)-アミノ基、フェニルアミノ基、N-フェニル-C1-3-アルキル-アミノ基、フェニル-C1-3-アルキル-アミノ基、N-(C1-3-アルキル)-フェニル-C1-3-アルキルアミノ基又はジ-(フェニル-C1-3-アルキル)-アミノ基、
ω-ヒドロキシ-C2-3-アルキル-アミノ基、N-(C1-3-アルキル)-ω-ヒドロキシ-C2-3-アルキル-アミノ基、ジ-(ω-ヒドロキシ-C2-3-アルキル)-アミノ基、ジ-(ω-(C1-3-アルコキシ)-C2-3-アルキル)-アミノ基又はN-(ジオキソラン-2-イル)-C1-3-アルキル-アミノ基、
C1-3-アルキルカルボニルアミノ-C2-3-アルキル-アミノ基又はC1-3-アルキルカルボニルアミノ-C2-3-アルキル-N-(C1-3-アルキル)-アミノ基、
C1-3-アルキルスルホニルアミノ基、N-(C1-3-アルキル)-C1-3-アルキル-スルホニルアミノ基、C1-3-アルキルスルホニルアミノ-C2-3-アルキル-アミノ基又はC1-3-アルキルスルホニルアミノ-C2-3-アルキル-N-(C1-3-アルキル)-アミノ基、
ヒドロキシカルボニルC1-3-アルキルアミノ基又はN-(C1-3-アルキル)-ヒドロキシカルボニルC1-3-アルキル-アミノ基、
グアニジノ基(1個又は2個の水素原子がそれぞれC1-3-アルキル基により置換されていてもよい)、
式-N(R8)-CO-(CH2)n-R9 (II)
の基
(式中、
R8は水素原子又はC1-3-アルキル基を表し、
nは数0、1、2又は3の一つを表し、かつ
R9はアミノ基、C1-4-アルキルアミノ基、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ基、フェニルアミノ基、N-(C1-4-アルキル)-フェニルアミノ基、ベンジルアミノ基、N-(C1-4-アルキル)-ベンジルアミノ基又はC1-4-アルコキシ基、4~7員シクロアルキレンイミノ基(それぞれの場合に6員又は7員シクロアルキレンイミノ基の4位のメチレン基は酸素原子もしくは硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、-NH基、-N(C1-3-アルキル)基、-N(フェニル)基、-N(C1-3-アルキルカルボニル)基又は-N(ベンゾイル)基により置換されていてもよい)を表し、又は、nが数1、2又は3の一つを表す場合、それはまた水素原子を表してもよい)、
式-N(R10)-(CH2)m-(CO)o-R11 (III)
の基
(式中、
R10は水素原子、C1-3-アルキル基、C1-3-アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、フェニル-C1-3-アルキルカルボニル基、C1-3-アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基又はフェニル-C1-3-アルキルスルホニル基を表し、
mは数1、2、3又は4の一つを表し、
oは数1を表し、又は、mが数2、3又は4の一つを表す場合には、oはまた数0を表してもよく、かつ
R11はアミノ基、C1-4-アルキルアミノ基、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ基、フェニルアミノ基、N-(C1-4-アルキル)-フェニルアミノ基、ベンジルアミノ基、N-(C1-4-アルキル)-ベンジルアミノ基、C1-4-アルコキシ基もしくはC1-3-アルコキシ-C1-3-アルコキシ基、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ-C1-3-アルキルアミノ基(必要により1位でC1-3-アルキル基により置換されていてもよい)又は4~7員シクロアルキレンイミノ基(そのシクロアルキレン部分はフェニル環に縮合されていてもよく、又はそれぞれの場合に、6員もしくは7員シクロアルキレンイミノ基の4位のメチレン基は酸素原子もしくは硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、-NH基、-N(C1-3-アルキル)基、-N(フェニル)基、-N(C1-3-アルキルカルボニル)基又は-N(ベンゾイル)基により置換されていてもよい)を表す)
C4-7-シクロアルキルアミノ基、C4-7-シクロアルキル-C1-3-アルキルアミノ基又はC4-7-シクロアルケニルアミノ基(その環の1位は二重結合中に含まれておらず、また上記の基はそれぞれ更にアミノ窒素原子の位置でC5-7-シクロアルキル基、C2-4-アルケニル基又はC1-4-アルキル基により置換されていてもよい)、
4~7員シクロアルキレンイミノ基(そのシクロアルキレン部分はフェニル基又はオキサゾロ基、イミダゾロ基、チアゾロ基、ピリジノ基、ピラジノ基もしくはピリミジノ基(必要によりフッ素原子、塩素原子、臭素原子もしくはヨウ素原子、ニトロ基、C1-3-アルキル基、C1-3-アルコキシ基又はアミノ基により置換されていてもよい)に縮合されていてもよく、かつ/又は
1個又は2個の水素原子がそれぞれC1-3-アルキル基、C5-7-シクロアルキル基又はフェニル基により置換されていてもよく、かつ/又は
5員シクロアルキレンイミノ基の3位のメチレン基がヒドロキシ基、ヒドロキシ-C1-3-アルキル基、C1-3-アルコキシ基又はC1-3-アルコキシ-C1-3-アルキル基により置換されていてもよく、
6員又は7員シクロアルキレンイミノ基の3位又は4位のメチレン基がそれぞれの場合にヒドロキシ基、ヒドロキシ-C1-3-アルキル基、C1-3-アルコキシ基、C1-3-アルコキシ-C1-3-アルキル基、カルボキシ基、C1-4-アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキルアミノカルボニル基、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル基、フェニル-C1-3-アルキルアミノ基又はN-(C1-3-アルキル)-フェニル-C1-3-アルキル-アミノ基により置換されていてもよく、又は
酸素原子もしくは硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、-NH基、-N(C1-3-アルキル-)基、-N(フェニル)基、-N(フェニル-C1-3-アルキル-)基、-N(C1-3-アルキルカルボニル)基、-N(C1-4-ヒドロキシカルボニル)基、-N(C1-4-アルコキシカルボニル)基、-N(ベンゾイル-)基又は-N(フェニル-C1-3-アルキルカルボニル)基により置換されていてもよく、
シクロアルキレンイミノ基のイミノ窒素原子に結合されたメチレン基はカルボニル基もしくはスルホニル基により置換されていてもよく、又は5~7員単環式シクロアルキレンイミノ基もしくはフェニル基に縮合されたシクロアルキレンイミノ基中で、イミノ窒素原子に結合された二つのメチレン基はそれぞれカルボニル基により置換されていてもよい)
を表す)を表し、又は
R6はC1-4-アルキル基(これはカルボキシ基、C1-3-アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキルアミノカルボニル基もしくはジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル基又は4~7員シクロアルキレンイミノカルボニル基により置換されている)、
N-(C1-3-アルキル)-C2-4-アシルアミノ基(これはそのアルキル部分中でカルボキシ基又はC1-3-アルコキシカルボニル基により更に置換されている)、
式-N(R12)-CO-(CH2)p-R13 (IV)
の基
(式中、
R12は水素原子、C1-6-アルキル基もしくはC3-7-シクロアルキル基又はC1-3-アルキル基(末端でフェニル基、ヘテロアリール基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシ基、C1-3-アルコキシ基、アミノカルボニル基、C1-4-アルキルアミノ-カルボニル基、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ-カルボニル基、C1-3-アルキルカルボニル基、C1-3-アルキル-スルホニルアミノ基、N-(C1-3-アルキル)-C1-3-アルキル-スルホニルアミノ基、C1-3-アルキル-アミノスルホニル基又はジ-(C1-3-アルキル)-アミノスルホニル基により置換されている)を表し、かつ
pは数0、1、2又は3の一つを表し、かつ
R13は上記の基R7を意味し、又は、pが数1、2又は3の一つを表す場合には、それはまた水素原子を表してもよい)、
式-N(R14)-(CH2)q-(CO)r-R15 (V)
の基
(式中、
R14は水素原子、C1-4-アルキル基、C1-3-アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、フェニル-C1-3-アルキルカルボニル基、ヘテロアリールカルボニル基、ヘテロアリール-C1-3-アルキルカルボニル基、C1-4-アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、フェニル-C1-3-アルキルスルホニル基、ヘテロアリールスルホニル基又はヘテロアリール-C1-3-アルキル-スルホニル基を表し、
qは数1、2、3又は4の一つを表し、
rは数1を表し、又は、qが数2、3又は4の一つである場合には、それはまた数0を表してもよく、かつ
R15は上記の基R7を意味する)、
式-N(R16)-SO2-R17 (VI)
の基
(式中、
R16は水素原子又はC1-4-アルキル基(必要により末端でシアノ基、トリフルオロメチル-カルボニルアミノ基又はN-(C1-3-アルキル)-トリフルオロメチル-カルボニルアミノ基により置換されていてもよい)を表し、かつ
R17はC1-3-アルキル基を表す)、
ジ-(C1-3-アルキル)-アミノ-C1-3-アルキルカルボニル基又はジ-(C1-3-アルキル)-アミノ-C1-3-アルキル-スルホニル基及びジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル-C1-3-アルキル基により置換されたアミノ基、又は
N-(C1-3-アルキル)-C1-5-アルキルスルホニルアミノ基又はN-(C1-3-アルキル)-フェニルスルホニルアミノ基(そのアルキル部分は更にシアノ基又はカルボキシ基により置換されている)
を表し、
R6に記載された基中に含まれた全ての単結合され、又は縮合されたフェニル基はフッ素原子、塩素原子、臭素原子もしくはヨウ素原子、C1-5-アルキル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシ基、C1-3-アルコキシ基、カルボキシ基、C1-3-アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、C1-4-アルキルアミノ-カルボニル基、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ-カルボニル基、アミノスルホニル基、C1-3-アルキル-アミノスルホニル基、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノスルホニル基、C1-3-アルキル-スルホニルアミノ基、ニトロ基又はシアノ基により一置換又は二置換されていてもよく、これらの置換基は同じであってもよく、また異なっていてもよく、又はフェニル基の2個の隣接水素原子はメチレンジオキシ基により置換されていてもよい〕を表し、かつ
R5は水素原子又はC1-3-アルキル基を表し、
アリール基は必要によりフッ素原子、塩素原子、臭素原子もしくはヨウ素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキル基又はC1-3-アルコキシ基により一置換又は二置換されていてもよいフェニル基又はナフチル基を意味し、
ヘテロアリール基は必要により炭素骨格中でC1-3-アルキル基により置換されていてもよい単環式5員又は6員ヘテロアリール基を意味し、
その6員ヘテロアリール基は1個、2個又は3個の窒素原子を含み、また
その5員ヘテロアリール基は必要によりC1-3-アルキル基又はフェニル-C1-3-アルキル基により置換されていてもよいイミノ基、酸素原子又は硫黄原子又は
必要によりC1-3-アルキル基又はフェニル-C1-3-アルキル基により置換されていてもよいイミノ基又は酸素原子もしくは硫黄原子及び更に窒素原子又は
必要によりC1-3-アルキル基又はフェニル-C1-3-アルキル基により置換されていてもよいイミノ基及び2個の窒素原子を含み、
更に、フェニル環は2個の隣接炭素原子を介して上記単環式複素環基に縮合されてもよく、またその結合は窒素原子を介して、又は複素環部分の炭素原子もしくは縮合フェニル環を介して起こり、
上記のアルキル基及びアルコキシ基中又は式Iの先に定義された基中に含まれたアルキル部分中の水素原子の一部又は全部はフッ素原子により置換されていてもよく、また
存在するカルボキシ基の水素原子又は窒素原子に結合された水素原子はそれぞれin vivoで開裂し得る基により置換されていてもよい〕
のインドリノン、これらの互変異性体、ジアステレオマーもしくは鏡像体、これらの混合物またはこれらの薬学的に許容可能な塩を含む、組成物。
(項目2)
前記インドリノン、これらの互変異性体、ジアステレオマーもしくは鏡像体、これらの混合物またはこれらの薬学的に許容可能な塩において、
R1及びR3が先に定義されたとおりであり、かつ
Xが酸素原子を表し、
R2がカルボキシ基、直鎖又は分枝C1-6-アルコキシカルボニル基、C5-7-シクロアルコキシカルボニル基又はフェノキシカルボニル基、
直鎖又は分枝C1-3-アルコキシカルボニル基(これはそのアルキル部分中でフェニル基、ヘテロアリール基、カルボキシ基、C1-3-アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキルアミノカルボニル基又はジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル基により末端で置換されている)、
直鎖又は分枝C2-3-アルコキシカルボニル基(これはそのアルキル部分中で塩素原子、ヒドロキシ基、C1-3-アルコキシ基、アミノ基、C1-3-アルキルアミノ基又はジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基により末端で置換されている)、
アミノカルボニル基もしくはメチルアミノカルボニル基、必要によりエチル基の2位でヒドロキシ基もしくはC1-3-アルコキシ基により置換されていてもよいエチルアミノカルボニル基を表し、又は
R4がアミノスルホニル-フェニル基又はN-(C1-5-アルキル)-C1-3-アルキルアミノカルボニル-フェニル基を表さない場合、それはまたジ-(C1-2-アルキル)-アミノカルボニル基を表してもよく、
R4がC3-7-シクロアルキル基(6員又は7員シクロアルキル基の4位のメチレン基はアミノ基、C1-3-アルキルアミノ基もしくはジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基により置換されていてもよく、又は-NH基もしくは-N(C1-3-アルキル)基により置換されていてもよい)、又は
基R6により置換されたフェニル基〔これは更にフッ素原子、塩素原子もしくは臭素原子、C1-3-アルキル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシ基、C1-3-アルコキシ基、カルボキシ基、C1-3-アルコキシカルボニル基、アミノ基、アセチルアミノ基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキル-アミノカルボニル基、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル基、ニトロ基又はシアノ基により一置換又は二置換されていてもよく、これらの置換基は同じであってもよく、また異なっていてもよく、また
R6は水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子、
シアノ基、ニトロ基、アミノ基、C1-5-アルキル基、C3-7-シクロアルキル基、トリフルオロメチル基、フェニル基、テトラゾリル基又はヘテロアリール基、

【化3】
(式中、窒素原子に結合された水素原子はC1-3-アルキル基により置換されていてもよい)
の基、
C1-3-アルコキシ基、アミノ-C2-3-アルコキシ基、C1-3-アルキルアミノ-C2-3-アルコキシ基、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノ-C2-3-アルコキシ基、フェニル-C1-3-アルキルアミノ-C2-3-アルコキシ基、N-(C1-3-アルキル)-フェニル-C1-3-アルキルアミノ-C2-3-アルコキシ基、ピロリジノ-C2-3-アルコキシ基、ピペリジノ-C2-3-アルコキシ基又はC1-3-アルキルメルカプト基、
カルボキシ基、C1-4-アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキルアミノ-カルボニル基、フェニル-C1-3-アルキルアミノ-カルボニル基又はN-(C1-3-アルキル)-フェニル-C1-3-アルキルアミノ-カルボニル基、
C3-7-シクロアルキルカルボニル基(6員又は7員シクロアルキル部分の4位のメチレン基は-NH基又は-N(C1-3-アルキル)基により置換されていてもよい)、
4~7員シクロアルキレンイミノ基(そのイミノ基に結合されたメチレン基はカルボニル基もしくはスルホニル基により置換されていてもよく、又は
1個又は2個の水素原子がそれぞれC1-3-アルキル基により置換されていてもよく、かつ/又は
それぞれの場合に、6員又は7員シクロアルキレンイミノ基の4位のメチレン基はカルボキシ基、C1-3-アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキルアミノカルボニル基、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル基、フェニル-C1-3-アルキルアミノ基又はN-(C1-3-アルキル)-フェニル-C1-3-アルキルアミノ基により置換されていてもよく、又は
酸素原子もしくは硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、-NH基又は-N(C1-3-アルキル)基により置換されていてもよい)、
基R7により末端で置換されたC1-4-アルキル基(R7はC5-7-シクロアルキル基(6員又は7員シクロアルキル基の4位のメチレン基は-NH基又は-N(C1-3-アルキル)基により置換されていてもよく、又は
5~7員シクロアルキル基中で、-(CH2)2基は-CO-NH基により置換されていてもよく、-(CH2)3基は-NH-CO-NH-基により置換されていてもよく、又は-(CH2)4基は-NH-CO-NH-CO基により置換されていてもよく、それぞれの場合に、窒素原子に結合された水素原子はC1-3-アルキル基により置換されていてもよい)、
フェニル基又はヘテロアリール基、
ヒドロキシ基又はC1-3-アルコキシ基、
アミノ基、C1-6-アルキルアミノ基、ジ-(C1-6-アルキル)-アミノ基、フェニルアミノ基、N-フェニル-C1-3-アルキル-アミノ基、フェニル-C1-3-アルキルアミノ基、N-(C1-3-アルキル)-フェニル-C1-3-アルキルアミノ基又はジ-(フェニル-C1-3-アルキル)-アミノ基、
ω-ヒドロキシ-C2-3-アルキル-アミノ基、N-(C1-3-アルキル)-ω-ヒドロキシ-C2-3-アルキル-アミノ基、ジ-(ω-ヒドロキシ-C2-3-アルキル)-アミノ基、ジ-(ω-(C1-3-アルコキシ)-C2-3-アルキル)-アミノ基又はN-(ジオキソラン-2-イル)-C1-3-アルキル-アミノ基、
C1-3-アルキルカルボニルアミノ-C2-3-アルキル-アミノ基又はC1-3-アルキルカルボニルアミノ-C2-3-アルキル-N-(C1-3-アルキル)-アミノ基、
C1-3-アルキルスルホニルアミノ基、N-(C1-3-アルキル)-C1-3-アルキルスルホニルアミノ基、C1-3-アルキルスルホニルアミノ-C2-3-アルキル-アミノ基又はC1-3-アルキルスルホニルアミノ-C2-3-アルキル-N-(C1-3-アルキル)-アミノ基、
ヒドロキシカルボニルC1-3-アルキルアミノ基又はN-(C1-3-アルキル)-ヒドロキシカルボニルC1-3-アルキル-アミノ基、
グアニジノ基(水素原子がC1-3-アルキル基により置換されていてもよい)、
式-N(R8)-CO-(CH2)n-R9 (II)
の基
(式中、
R8は水素原子又はC1-3-アルキル基を表し、
nは数0、1、2又は3の一つを表し、かつ
R9はアミノ基、C1-3-アルキルアミノ基、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基、フェニルアミノ基、ベンジルアミノ基又はC1-4-アルコキシ基、5~7員シクロアルキレンイミノ基(そのピペリジノ基の4位のメチレン基は酸素原子もしくは硫黄原子、-NH基、-N(C1-3-アルキル)基、-N(フェニル)基、-N(C1-3-アルキルカルボニル)基又は-N(ベンゾイル)基により置換されていてもよい)を表し、又は、nが数1、2又は3の一つを表す場合、それはまた水素原子を表してもよい)、
式-N(R10)-(CH2)m-(CO)o-R11 (III)
の基
(式中、
R10は水素原子、C1-3-アルキル基、C1-3-アルキルカルボニル基又はC1-3-アルキルスルホニル基を表し、
mは数1、2又は3の一つを表し、
oは数1を表し、又は、mが数2又は3の一つを表す場合には、oはまた数0を表してもよく、かつ
R11はアミノ基、C1-3-アルキルアミノ基、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基、C1-4-アルコキシ基もしくはC1-3-アルコキシ-C1-3-アルコキシ基又は5~7員シクロアルキレンイミノ基(そのピペリジノ基の4位のメチレン基は酸素原子もしくは硫黄原子、-NH基、-N(C1-3-アルキル)基、-N(フェニル)基、-N(C1-3-アルキルカルボニル)基又は-N(ベンゾイル)基により置換されていてもよい)を表す)
C4-7-シクロアルキルアミノ基又はC4-7-シクロアルケニルアミノ基(その環の1位は二重結合中に含まれていない)、
4~7員シクロアルキレンイミノ基(そのシクロアルキレン部分はフェニル基に縮合されていてもよく、又は
1個又は2個の水素原子がそれぞれC1-3-アルキル基により置換されていてもよく、かつ/又は
ピロリジノ基の3位のメチレン基がヒドロキシ基又はC1-3-アルコキシ基により置換されていてもよく、
それぞれの場合に6員又は7員シクロアルキレンイミノ基の4位のメチレン基がヒドロキシ基、ヒドロキシ-C1-3-アルキル基、C1-3-アルコキシ基、カルボキシ基、C1-3-アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキルアミノカルボニル基、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル基、フェニル-C1-3-アルキルアミノ基又はN-(C1-3-アルキル)-フェニル-C1-3-アルキル-アミノ基により置換されていてもよく、又は
酸素原子もしくは硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、-NH基、-N(C1-3-アルキル)基、-N(フェニル)基、-N(フェニル-C1-3-アルキル)基、-N(C1-3-アルキルカルボニル)基、-N(C1-4-アルコキシカルボニル)基、-N(ベンゾイル)基又は-N(フェニル-C1-3-アルキルカルボニル)基により置換されていてもよく、
シクロアルキレンイミノ基のイミノ窒素原子に結合されたメチレン基はカルボニル基もしくはスルホニル基により置換されていてもよく、又は5~6員単環式シクロアルキレンイミノ基もしくはフェニル基に縮合されたシクロアルキレンイミノ基中で、イミノ窒素原子に結合された二つのメチレン基はそれぞれカルボニル基により置換されていてもよい)
を表す)を表し、又は
R6はC1-4-アルキル基(これはカルボキシ基、C1-3-アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキルアミノカルボニル基もしくはジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル基又は4~7員シクロアルキレンイミノカルボニル基により末端で置換されている)、
式-N(R12)-CO-(CH2)p-R13 (IV)
の基
(式中、
R12は水素原子、C1-3-アルキル基、C5-7-シクロアルキル基、フェニル-C1-3-アルキル基又はヘテロアリール-C1-3-アルキル基を表し、かつ
pは数0、1、2又は3の一つを表し、かつ
R13は上記の基R7を意味し、又は、pが数1、2又は3の一つを表す場合には、それはまた水素原子を表してもよい)、
式-N(R14)-(CH2)q-(CO)r-R15 (V)
の基
(式中、
R14は水素原子、C1-4-アルキル基、C1-3-アルキルカルボニル基、フェニルカルボニル基、フェニル-C1-3-アルキルカルボニル基、ヘテロアリールカルボニル基、ヘテロアリール-C1-3-アルキルカルボニル基、C1-4-アルキルスルホニル基、フェニルスルホニル基、フェニル-C1-3-アルキルスルホニル基、ヘテロアリールスルホニル基又はヘテロアリール-C1-3-アルキル-スルホニル基を表し、
qは数1、2、3又は4の一つを表し、
rは数1を表し、又は、qが数2、3又は4の一つである場合には、それはまた数0を表してもよく、かつ
R15は上記の基R7を意味する)、
式-N(R16)-SO2-R17 (VI)
の基
(式中、
R16は水素原子又はC1-4-アルキル基(必要により末端でシアノ基、トリフルオロメチル-カルボニルアミノ基又はN-(C1-3-アルキル)-トリフルオロメチル-カルボニルアミノ基により置換されていてもよい)を表し、かつ
R17はC1-3-アルキル基を表す)、
ジ-(C1-3-アルキル)-アミノ-C1-3-アルキルカルボニル基又はジ-(C1-3-アルキル)-アミノ-C1-3-アルキル-スルホニル基及びジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル-C1-3-アルキル基により置換されたアミノ基を表し、
R6に記載された基中に含まれた全ての単結合され、又は縮合されたフェニル基はフッ素原子、塩素原子もしくは臭素原子、C1-3-アルキル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシ基、C1-3-アルコキシ基、カルボキシ基、C1-3-アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキル-アミノカルボニル基、アミノスルホニル基、C1-3-アルキル-アミノスルホニル基、ニトロ基又はシアノ基により一置換又は二置換されていてもよく、これらの置換基は同じであってもよく、また異なっていてもよく、又はフェニル基の2個の隣接水素原子はメチレンジオキシ基により置換されていてもよい〕を表し、かつ
R5が水素原子又はC1-3-アルキル基を表し、
上記ヘテロアリール基は必要により炭素骨格中でC1-3-アルキル基により置換されていてもよいピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピロリル基、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基又はトリアゾリル基を意味し、窒素原子に結合された水素原子はC1-3-アルキル基又はフェニル-C1-3-アルキル基により置換されていてもよく、また少なくとも一つのイミノ基を含む5員ヘテロアリール基は炭素原子又は窒素原子を介して結合され、
上記の基中の窒素原子に結合された水素原子はin vivoで開裂し得る基により置換されていてもよく、
上記の基中に含まれたカルボキシ基はそれぞれin vivoで開裂し得る基により置換されていてもよく、
上記のアルキル基及びアルコキシ基中又は式Iの先に定義された基中に含まれたアルキル部分中の水素原子の一部又は全部はフッ素原子により置換されていてもよい、項目1に記載の組成物。
(項目3)
前記インドリノン、これらの互変異性体、ジアステレオマーもしくは鏡像体、これらの混合物またはこれらの薬学的に許容可能な塩において、
Xが酸素原子を表し、
R1が水素原子を表し、
R2がカルボキシ基、直鎖又は分枝C1-4-アルコキシカルボニル基又はフェノキシカルボニル基、
直鎖又は分枝C1-3-アルコキシカルボニル基(これはそのアルキル部分中でフェニル基、カルボキシ基、C1-3-アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキルアミノカルボニル基又はジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル基により末端で置換されている)、
直鎖又は分枝C2-3-アルコキシカルボニル基(これはそのアルキル部分中でヒドロキシ基、C1-3-アルコキシ基、アミノ基、C1-3-アルキルアミノ基又はジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基により末端で置換されている)、
アミノカルボニル基もしくはメチルアミノカルボニル基、必要によりエチル基の2位でヒドロキシ基もしくはC1-3-アルコキシ基により置換されていてもよいエチルアミノカルボニル基を表し、又は
R4がアミノスルホニル-フェニル基又はN-(C1-5-アルキル)-C1-3-アルキルアミノカルボニル-フェニル基を表さない場合、それはまたジ-(C1-2-アルキル)-アミノカルボニル基を表してもよく、
R3がC1-4-アルキル又はフェニル基(これはフッ素原子、塩素原子もしくは臭素原子、トリフルオロメチル基、C1-3-アルキル基、ヒドロキシ基又はC1-3-アルコキシ基により置換されていてもよい)を表し、
R4がC5-6-シクロアルキル基(シクロヘキシル基の4位のメチレン基はアミノ基、C1-3-アルキルアミノ基もしくはジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基により置換されていてもよく、又は-NH基もしくは-N(C1-3-アルキル)基により置換されていてもよい)、
フェニル基;C1-3-アルキル基、C1-3-アルコキシ基又はニトロ基により二置換されたフェニル基(これらの置換基は同じであってもよく、また異なっていてもよい)、又は
基R6により置換されたフェニル基〔これは更にフッ素原子、塩素原子もしくは臭素原子又はアミノ基もしくはニトロ基により置換されていてもよく、
R6はフッ素原子、塩素原子又は臭素原子、
C1-3-アルキル基、C1-3-アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基又はC5-6-シクロアルキル基、
炭素原子を介して結合されたピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基又はテトラゾリル基(その炭素骨格中の上記ヘテロ芳香族基はC1-3-アルキル基により置換されていてもよく、又は窒素原子に結合された水素原子はC1-3-アルキル基又はフェニル-C1-3-アルキル基により置換されていてもよい)、

【化4】
の基、
カルボキシ基、C1-4-アルコキシカルボニル基、フェニル-C1-3-アルキルアミノ-カルボニル基又はC5-7-シクロアルキルカルボニル基、
5員又は6員シクロアルキレンイミノ基(そのピペリジノ基の4位のメチレン基は酸素原子もしくは硫黄原子、-NH基又は-N(C1-3-アルキル)基により置換されていてもよい)、
基R7により末端で置換された非分枝C1-3-アルキル基(R7はC5-7-シクロアルキル基(5員又は6員シクロアルキル基中で、-(CH2)2基は-CO-NH基により置換されていてもよく、-(CH2)3基は-NH-CO-NH-基により置換されていてもよく、又は-(CH2)4基は-NH-CO-NH-CO基により置換されていてもよく、それぞれの場合に、窒素原子に結合された水素原子はC1-3-アルキル基により置換されていてもよい)、
フェニル基もしくはピリジニル基又は炭素原子もしくは窒素原子を介して結合されたピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基もしくはトリアゾリル基(その炭素骨格中の上記ヘテロ芳香族基はC1-3-アルキル基により置換されていてもよく、又は窒素原子に結合された水素原子はC1-3-アルキル基により置換されていてもよい)、
ヒドロキシ基又はC1-3-アルコキシ基、
アミノ基、C1-6-アルキルアミノ基、ジ-(C1-6-アルキル)-アミノ基、フェニルアミノ基、N-フェニル-C1-3-アルキルアミノ基、フェニル-C1-3-アルキルアミノ基又はN-(C1-3-アルキル)-フェニル-C1-3-アルキルアミノ基、
ω-ヒドロキシ-C2-3-アルキル-アミノ基、N-(C1-3-アルキル)-ω-ヒドロキシ-C2-3-アルキル-アミノ基、ジ-(ω-ヒドロキシ-C2-3-アルキル)-アミノ基又はジ-(ω-(C1-3-アルコキシ)-C2-3-アルキル)-アミノ基、
C1-3-アルキルカルボニルアミノ-C2-3-アルキル-アミノ基又はC1-3-アルキルカルボニルアミノ-C2-3-アルキル-N-(C1-3-アルキル)-アミノ基、
C1-3-アルキルスルホニルアミノ基、N-(C1-3-アルキル)-C1-3-アルキルスルホニルアミノ基、C1-3-アルキルスルホニルアミノ-C2-3-アルキルアミノ基又はC1-3-アルキルスルホニルアミノ-C2-3-アルキル-N-(C1-3-アルキル)-アミノ基、
ヒドロキシカルボニルC1-3-アルキルアミノ基又はN-(C1-3-アルキル)-ヒドロキシカルボニルC1-3-アルキル-アミノ基、
グアニジノ基(水素原子がC1-3-アルキル基により置換されていてもよい)、
式-N(R8)-CO-(CH2)n-R9 (II)
の基
(式中、
R8は水素原子又はC1-3-アルキル基を表し、
nは数0、1、2又は3の一つを表し、かつ
R9はアミノ基、C1-3-アルキルアミノ基、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基又はC1-4-アルコキシ基、5員又は6員シクロアルキレンイミノ基(そのピペリジノ基の4位のメチレン基は-NH基、-N(C1-3-アルキル)基又は-N(C1-3-アルキルカルボニル)基により置換されていてもよい)を表し、又は、nが数1、2又は3の一つを表す場合、R9はまた水素原子を表してもよい)、
式-N(R10)-(CH2)m-(CO)o-R11 (III)
の基
(式中、
R10は水素原子又はC1-3-アルキル基を表し、
mは数1、2又は3の一つを表し、
oは数1を表し、又は、mが数2又は3の一つを表す場合には、oはまた数0を表してもよく、かつ
R11はアミノ基、C1-3-アルキルアミノ基、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基、C1-4-アルコキシ基もしくはメトキシ-C1-3-アルコキシ基又は5員又は6員シクロアルキレンイミノ基(そのピペリジノ基の4位のメチレン基は-NH基、-N(C1-3-アルキル)基又は-N(C1-3-アルキルカルボニル)基により置換されていてもよい)を表す)
アゼチジノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、2,6-ジメチル-ピペリジノ基、3,5-ジメチル-ピペリジノ基又はアゼピノ基、(ピロリジノ基の3位のメチレン基がヒドロキシ基により置換されていてもよく、
ピペリジノ基の4位のメチレン基がヒドロキシ基、ヒドロキシ-C1-3-アルキル基又はC1-3-アルコキシ基により置換されていてもよく、又は
酸素原子もしくは硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、-NH基、-N(C1-3-アルキル)基、-N(C1-3-アルキルカルボニル)基、-N(ベンゾイル)基又は-N(フェニル-C1-3-アルキルカルボニル)基により置換されていてもよく、
ピロリジノ基、ピペリジノ基又はピペラジノ基のイミノ窒素原子に結合されたメチレン基はカルボニル基により置換されていてもよい)
を表す)を表し、又は
R6は直鎖C1-3-アルキル基(これはカルボキシ基又はC1-3-アルコキシカルボニル基により末端で置換されている)、
式-N(R12)-CO-(CH2)p-R13 (IV)
の基
(式中、
R12は水素原子、C1-3-アルキル基又はフェニル-C1-3-アルキル基を表し、
pは数0、1又は2の一つを表し、かつ
R13はアミノ基、C1-4-アルキルアミノ基、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ基、ベンジルアミノ基、N-(C1-3-アルキル)-ベンジルアミノ基、C1-3-アルコキシ-C1-3-アルキルアミノ基、N-(C1-3-アルキル)-C1-3-アルコキシ-C1-3-アルキルアミノ基、ジ-(2-メトキシ-エチル)-アミノ基、ジ-(ω-ヒドロキシ-C2-3-アルキル)-アミノ基又はアミノカルボニル-メチル-N-(メチル)-アミノ基、
窒素原子を介して結合されたピロリル基、ピラゾリル基又はイミダゾリル基(必要によりC1-3-アルキル基により置換されていてもよい)、
ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、チオモルホリノ基又はピペラジノ基(必要により4位でC1-3-アルキル基、フェニル-C1-3-アルキル基、C1-3-アルキルカルボニル基又はC1-4-アルコキシカルボニル基により置換されていてもよい)を表し、又は、nが数1又は2を表す場合には、それはまた水素原子を表してもよい)、
式-N(R14)-(CH2)q-(CO)r-R15 (V)
の基
(式中、
R14は水素原子、C1-4-アルキル基、C1-3-アルキルカルボニル基、フェニルカルボニル基、フェニル-C1-3-アルキルカルボニル基、フリル-カルボニル基、ピリジニル-カルボニル基、フリル-C1-3-アルキルカルボニル基、ピリジニル-C1-3-アルキルカルボニル基、C1-4-アルキルスルホニル基、フェニルスルホニル基又はフェニル-C1-3-アルキルスルホニル基を表し、
qは数1、2又は3の一つを表し、
rは数1を表し、又は、qが数2又は3の一つである場合には、それはまた数0を表してもよく、かつ
R15はアミノ基、C1-4-アルキルアミノ基、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ基、フェニルアミノ基、N-(C1-4-アルキル)-フェニルアミノ基、ベンジルアミノ基又はN-(C1-4-アルキル)-ベンジルアミノ基を表す)、又は
式-N(R16)-SO2-R17 (VI)
の基
(式中、
R16は水素原子又はC1-3-アルキル基(必要により末端でシアノ基、トリフルオロメチル-カルボニルアミノ基又はN-(C1-3-アルキル)-トリフルオロメチル-カルボニルアミノ基により置換されていてもよい)を表し、かつ
R17はC1-3-アルキル基を表す)、を表し、
R6に記載された基中に含まれた全ての単結合され、又は縮合されたフェニル基はフッ素原子、塩素原子もしくは臭素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、ニトロ基又はシアノ基により置換されていてもよい〕を表し、かつ
R5が水素原子を表し、
上記の基中の窒素原子に結合された水素原子はアセチル基又はtert.ブトキシカルボニル基により置換されていてもよく、
上記の基中に含まれたカルボキシ基はまたtert.ブトキシカルボニル前駆体基の形態で存在してもよい、項目1または2に記載の組成物。。
(項目4)
前記インドリノン、これらの互変異性体、ジアステレオマーもしくは鏡像体、これらの混合物またはこれらの薬学的に許容可能な塩において、
Xが酸素原子を表し、
R1及びR5がそれぞれ水素原子を表し、
R2がメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基又はアミノカルボニル基を表し、
R3がフェニル基を表し、かつ
R4が基R6により一置換されたフェニル基を表し、
R6がN-メチル-イミダゾール-2-イル基、
非分枝C1-3-アルキル基(これは末端でC1-4-アルキルアミノ基、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ基、ピペリジノ基又は2,6-ジメチル-ピペリジノ基により置換されている)、
式-N(R12)-CO-(CH2)p-R13 (IV)
の基
(式中、
R12はC1-3-アルキル基を表し、
pは数1又は2の一つを表し、かつ
R13はジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基を表す)、又は
式-N(R14)-(CH2)q-(CO)r-R15 (V)
の基
(式中、
R14はC1-3-アルキルカルボニル基又はC1-3-アルキルスルホニル基を表し、
qは数1、2又は3の一つを表し、
rは数1を表し、又は、qが数2又は3の一つである場合には、rはまた数0を表してもよく、かつ
R15はジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基を表す)
を表す、項目1~3のいずれか一項に記載の組成物。
(項目5)
前記インドリノン、これらの互変異性体、ジアステレオマーもしくは鏡像体、これらの混合物またはこれらの薬学的に許容可能な塩は、
(a) 3-Z-〔1-(4-(ピペリジン-1-イル-メチル)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-エトキシカルボニル-2-インドリノン、
(b) 3-Z-〔(1-(4-(ピペリジン-1-イル-メチル)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-カルバモイル-2-インドリノン、
(c) 3-Z-〔1-(4-(ピペリジン-1-イル-メチル)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(d) 3-Z-〔1-(4-(ジメチルアミノメチル)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-エトキシカルボニル-2-インドリノン、
(e) 3-Z-〔1-(4-((2,6-ジメチル-ピペリジン-1-イル)-メチル)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-エトキシカルボニル-2-インドリノン、
(f) 3-Z-〔1-(4-(N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-N-アセチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-エトキシカルボニル-2-インドリノン、
(g) 3-Z-〔1-(4-(N-(3-ジメチルアミノ-プロピル)-N-アセチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-エトキシカルボニル-2-インドリノン、
(h) 3-Z-〔1-(4-(N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-N-メチルスルホニルアミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-エトキシカルボニル-2-インドリノン、
(i) 3-Z-〔1-(4-(ジメチルアミノメチル)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(j) 3-Z-〔1-(4-(N-アセチル-N-ジメチルアミノカルボニルメチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(k) 3-Z-〔1-(4-エチルアミノメチル-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(l) 3-Z-〔1-(4-(1-メチル-イミダゾール-2-イル)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(m) 3-Z-〔1-(4-(N-ジメチルアミノメチルカルボニル-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(n) 3-Z-〔1-(4-(N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-N-メチルスルホニルアミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(o) 3-Z-〔1-(4-(N-(3-ジメチルアミノ-プロピル)-N-メチルスルホニルアミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(p) 3-Z-〔1-(4-(N-ジメチルアミノカルボニルメチル-N-メチルスルホニル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(q) 3-Z-〔1-(4-(N-((2-ジメチルアミノ-エチル)-カルボニル)-N-メチルアミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(r) 3-Z-〔1-(4-(N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-N-アセチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン及び
(s) 3-Z-〔1-(4-メチルアミノメチル-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
これらの互変異性体、ジアステレオマーもしくは鏡像体、これらの混合物またはこれらの薬学的に許容可能な塩を含む、項目1~4のいずれか一項に記載の組成物。
(項目6)
3-Z-〔1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチルアミノ)-アニリノ)-1-フェニルメチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、この互変異性体又は薬学的に許容可能な塩を含む、慢性脂肪肝疾患を予防、改善または治療するための組成物。
(項目7)
必要により一種以上の不活性担体及び/又は希釈剤をさらに含む、項目1~6のいずれか一項に記載の組成物。
(項目8)
前記慢性脂肪肝疾患は、炎症性疾患である、項目1~7のいずれか一項に記載の組成物。
(項目9)
前記慢性脂肪肝疾患は、生活習慣に関連した症性の疾患である、項目1~8のいずれか一項に記載の組成物。
(項目10)
前記慢性脂肪性疾患は、非ウイルス性である、項目1~9のいずれか一項に記載の組成物。
(項目11)
前記慢性脂肪肝疾患は非アルコール性の疾患である、項目1~10のいずれか一項に記載の組成物。
(項目12)
前記慢性脂肪肝疾患は非アルコール性脂肪肝(NAFL)および非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を含む、項目1~11のいずれか一項に記載の組成物。
(項目13)
前記慢性脂肪肝疾患は非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を含む、項目1~12のいずれか一項に記載の組成物。
(項目14)
前記慢性脂肪肝疾患は非アルコール性脂肪肝炎(NASH)のMatteoni分類のType4を含む、項目1~13のいずれか一項に記載の組成物。
(項目15)
前記予防、改善または治療は、肝臓の線維化の予防、改善または治療を含む、項目1~14のいずれか一項に記載の組成物。
(項目16)
前記予防、改善または治療は、前記慢性脂肪肝疾患の予防または早期の段階での改善若しくは治療である、項目1~15のいずれか一項に記載の組成物。
(項目17)
前記組成物は経口投与されることを特徴とする、項目1~16のいずれか一項に記載の組成物。
(項目18)
慢性脂肪肝疾患を予防、改善または治療するための、6位で置換された一般式
【化1】

のインドリノン、これらの互変異性体、ジアステレオマーもしくは鏡像体、これらの混合物またはこれらの薬学的に許容可能な塩
〔式中、
Xは酸素原子又は硫黄原子を表し、
R1は水素原子又はプロドラッグ化に用いる基を表し、
R2はカルボキシ基、直鎖又は分枝C1-6-アルコキシカルボニル基、C4-7-シクロアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基、
直鎖又は分枝C1-6-アルコキシカルボニル基(これはそのアルキル部分中でフェニル基、ヘテロアリール基、カルボキシ基、C1-3-アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキルアミノ-カルボニル基又はジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル基により末端で置換されている)、
直鎖又は分枝C2-6-アルコキシカルボニル基(これはそのアルキル部分中で塩素原子又はヒドロキシ基、C1-3-アルコキシ基、アミノ基、C1-3-アルキルアミノ基もしくはジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基により末端で置換されている)、
アミノカルボニル基もしくはメチルアミノカルボニル基、必要によりエチル基の2位でヒドロキシ基もしくはC1-3-アルコキシ基により置換されていてもよいエチルアミノカルボニル基を表し、又は
R4がアミノスルホニル-フェニル基又はN-(C1-5-アルキル)-C1-3-アルキルアミノカルボニル-フェニル基を表さない場合、それはまたジ-(C1-2-アルキル)-アミノカルボニル基を表してもよく、
R3は水素原子、C1-6-アルキル基、C3-7-シクロアルキル基、トリフルオロメチル基又はヘテロアリール基、
フェニル基もしくはナフチル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子もしくはヨウ素原子、トリフルオロメチル基、C1-3-アルキル基又はC1-3-アルコキシ基により一置換又は二置換されたフェニル基又はナフチル基(二置換の場合、置換基は同じであってもよく、また異なっていてもよく、また上記未置換フェニル基及びナフチル基並びに一置換及び二置換フェニル基及びナフチル基は更に
ヒドロキシ基、ヒドロキシ-C1-3-アルキル基又はC1-3-アルコキシ-C1-3-アルキル基、
シアノ基、カルボキシ基、カルボキシ-C1-3-アルキル基、C1-3-アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキルアミノ-カルボニル基又はジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル基、
ニトロ基、
アミノ基、C1-3-アルキルアミノ基、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基又はアミノ-C1-3-アルキル基、
C1-3-アルキルカルボニルアミノ基、N-(C1-3-アルキル)-C1-3-アルキルカルボニルアミノ基、C1-3-アルキルカルボニルアミノ-C1-3-アルキル基、N-(C1-3-アルキル)-C1-3-アルキルカルボニルアミノ-C1-3-アルキル基、C1-3-アルキルスルホニルアミノ基、C1-3-アルキルスルホニルアミノ-C1-3-アルキル基、N-(C1-3-アルキル)-C1-3-アルキルスルホニルアミノ-C1-3-アルキル基又はアリール-C1-3-アルキルスルホニルアミノ基、
シクロアルキルアミノ基、シクロアルキレンイミノ基、シクロアルキレンイミノカルボニル基、シクロアルキレンイミノ-C1-3-アルキル基、シクロアルキレンイミノカルボニル-C1-3-アルキル基又はシクロアルキレンイミノスルホニル-C1-3-アルキル基(それぞれの場合に4~7環員を有する)(それぞれの場合、6員又は7員シクロアルキレンイミノ基の4位のメチレン基は酸素原子もしくは硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、-NH基又は-N(C1-3-アルキル)基により置換されていてもよい)、又は
ヘテロアリール基又はヘテロアリール-C1-3-アルキル基により置換されていてもよい)
を表し、
R4はC3-7-シクロアルキル基(6員又は7員シクロアルキル基の4位のメチレン基はアミノ基、C1-3-アルキルアミノ基もしくはジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基により置換されていてもよく、又は-NH基もしくは-N(C1-3-アルキル)基により置換されていてもよい)、又は
基R6により置換されたフェニル基〔これは更にフッ素原子、塩素原子、臭素原子もしくはヨウ素原子、C1-5-アルキル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシ基、C1-3-アルコキシ基、カルボキシ基、C1-3-アルコキシカルボニル基、アミノ基、アセチルアミノ基、C1-3-アルキル-スルホニルアミノ基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキル-アミノカルボニル基、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル基、アミノスルホニル基、C1-3-アルキル-アミノスルホニル基、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノスルホニル基、ニトロ基又はシアノ基により一置換又は二置換されていてもよく、これらの置換基は同じであってもよく、また異なっていてもよく、また
R6は水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子、
シアノ基、ニトロ基、アミノ基、C1-5-アルキル基、C3-7-シクロアルキル基、トリフルオロメチル基、フェニル基、テトラゾリル基又はヘテロアリール基、

【化2】

(式中、窒素原子に結合された水素原子はそれぞれの場合に互いに独立にC1-3-アルキル基により置換されていてもよい)
の基、
C1-3-アルコキシ基、C1-3-アルコキシ-C1-3-アルコキシ基、フェニル-C1-3-アルコキシ基、アミノ-C2-3-アルコキシ基、C1-3-アルキルアミノ-C2-3-アルコキシ基、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノ-C2-3-アルコキシ基、フェニル-C1-3-アルキルアミノ-C2-3-アルコキシ基、N-(C1-3-アルキル)-フェニル-C1-3-アルキルアミノ-C2-3-アルコキシ基、C5-7-シクロアルキレンイミノ-C2-3-アルコキシ基又はC1-3-アルキルメルカプト基、
カルボキシ基、C1-4-アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキルアミノ-カルボニル基、N-(C1-5-アルキル)-C1-3-アルキルアミノカルボニル基、フェニル-C1-3-アルキルアミノ-カルボニル基、N-(C1-3-アルキル)-フェニル-C1-3-アルキルアミノ-カルボニル基、ピペラジノカルボニル基又はN-(C1-3-アルキル)-ピペラジノカルボニル基、
C1-3-アルキルアミノカルボニル基又はN-(C1-5-アルキル)-C1-3-アルキルアミノカルボニル基(アルキル部分はカルボキシ基もしくはC1-3-アルコキシカルボニル基により置換され、又はその2位もしくは3位でジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基、ピペラジノ基、N-(C1-3-アルキル)-ピペラジノ基もしくは4~7員シクロアルキレンイミノ基により置換されている)、
C3-7-シクロアルキルカルボニル基(6員又は7員シクロアルキル部分の4位のメチレン基はアミノ基、C1-3-アルキルアミノ基もしくはジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基により置換されていてもよく、又は-NH基もしくは-N(C1-3-アルキル)基により置換されていてもよい)、
4~7員シクロアルキレンイミノ基(そのイミノ基に結合されたメチレン基はカルボニル基もしくはスルホニル基により置換されていてもよく、又は
そのシクロアルキレン部分はフェニル環に縮合されていてもよく、又は
1個又は2個の水素原子がそれぞれC1-3-アルキル基により置換されていてもよく、かつ/又は
それぞれの場合に、6員又は7員シクロアルキレンイミノ基の4位のメチレン基はカルボキシ基、C1-3-アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキルアミノカルボニル基、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル基、フェニル-C1-3-アルキルアミノ基又はN-(C1-3-アルキル)-フェニル-C1-3-アルキルアミノ基により置換されていてもよく、又は
酸素原子もしくは硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、-NH基、-N(C1-3-アルキル)基、-N(フェニル)基、-N(C1-3-アルキルカルボニル)基又は-N(ベンゾイル)基により置換されていてもよい)、
基R7により置換されたC1-4-アルキル基(R7はC3-7-シクロアルキル基(6員又は7員シクロアルキル基の4位のメチレン基はアミノ基、C1-3-アルキルアミノ基もしくはジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基により置換されていてもよく、又は-NH基もしくは-N(C1-3-アルキル)基により置換されていてもよく、又は
5~7員シクロアルキル基中で、-(CH2)2基は-CO-NH基により置換されていてもよく、-(CH2)3基は-NH-CO-NH基もしくは-CO-NH-CO基により置換されていてもよく、又は-(CH2)4基は-NH-CO-NH-CO基により置換されていてもよく、それぞれの場合に、窒素原子に結合された水素原子はC1-3-アルキル基により置換されていてもよい)、
アリール基又はヘテロアリール基、
ヒドロキシ基又はC1-3-アルコキシ基、
アミノ基、C1-7-アルキルアミノ基、ジ-(C1-7-アルキル)-アミノ基、フェニルアミノ基、N-フェニル-C1-3-アルキル-アミノ基、フェニル-C1-3-アルキル-アミノ基、N-(C1-3-アルキル)-フェニル-C1-3-アルキルアミノ基又はジ-(フェニル-C1-3-アルキル)-アミノ基、
ω-ヒドロキシ-C2-3-アルキル-アミノ基、N-(C1-3-アルキル)-ω-ヒドロキシ-C2-3-アルキル-アミノ基、ジ-(ω-ヒドロキシ-C2-3-アルキル)-アミノ基、ジ-(ω-(C1-3-アルコキシ)-C2-3-アルキル)-アミノ基又はN-(ジオキソラン-2-イル)-C1-3-アルキル-アミノ基、
C1-3-アルキルカルボニルアミノ-C2-3-アルキル-アミノ基又はC1-3-アルキルカルボニルアミノ-C2-3-アルキル-N-(C1-3-アルキル)-アミノ基、
C1-3-アルキルスルホニルアミノ基、N-(C1-3-アルキル)-C1-3-アルキル-スルホニルアミノ基、C1-3-アルキルスルホニルアミノ-C2-3-アルキル-アミノ基又はC1-3-アルキルスルホニルアミノ-C2-3-アルキル-N-(C1-3-アルキル)-アミノ基、
ヒドロキシカルボニルC1-3-アルキルアミノ基又はN-(C1-3-アルキル)-ヒドロキシカルボニルC1-3-アルキル-アミノ基、
グアニジノ基(1個又は2個の水素原子がそれぞれC1-3-アルキル基により置換されていてもよい)、
式-N(R8)-CO-(CH2)n-R9 (II)
の基
(式中、
R8は水素原子又はC1-3-アルキル基を表し、
nは数0、1、2又は3の一つを表し、かつ
R9はアミノ基、C1-4-アルキルアミノ基、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ基、フェニルアミノ基、N-(C1-4-アルキル)-フェニルアミノ基、ベンジルアミノ基、N-(C1-4-アルキル)-ベンジルアミノ基又はC1-4-アルコキシ基、4~7員シクロアルキレンイミノ基(それぞれの場合に6員又は7員シクロアルキレンイミノ基の4位のメチレン基は酸素原子もしくは硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、-NH基、-N(C1-3-アルキル)基、-N(フェニル)基、-N(C1-3-アルキルカルボニル)基又は-N(ベンゾイル)基により置換されていてもよい)を表し、又は、nが数1、2又は3の一つを表す場合、それはまた水素原子を表してもよい)、
式-N(R10)-(CH2)m-(CO)o-R11 (III)
の基
(式中、
R10は水素原子、C1-3-アルキル基、C1-3-アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、フェニル-C1-3-アルキルカルボニル基、C1-3-アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基又はフェニル-C1-3-アルキルスルホニル基を表し、
mは数1、2、3又は4の一つを表し、
oは数1を表し、又は、mが数2、3又は4の一つを表す場合には、oはまた数0を表してもよく、かつ
R11はアミノ基、C1-4-アルキルアミノ基、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ基、フェニルアミノ基、N-(C1-4-アルキル)-フェニルアミノ基、ベンジルアミノ基、N-(C1-4-アルキル)-ベンジルアミノ基、C1-4-アルコキシ基もしくはC1-3-アルコキシ-C1-3-アルコキシ基、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ-C1-3-アルキルアミノ基(必要により1位でC1-3-アルキル基により置換されていてもよい)又は4~7員シクロアルキレンイミノ基(そのシクロアルキレン部分はフェニル環に縮合されていてもよく、又はそれぞれの場合に、6員もしくは7員シクロアルキレンイミノ基の4位のメチレン基は酸素原子もしくは硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、-NH基、-N(C1-3-アルキル)基、-N(フェニル)基、-N(C1-3-アルキルカルボニル)基又は-N(ベンゾイル)基により置換されていてもよい)を表す)
C4-7-シクロアルキルアミノ基、C4-7-シクロアルキル-C1-3-アルキルアミノ基又はC4-7-シクロアルケニルアミノ基(その環の1位は二重結合中に含まれておらず、また上記の基はそれぞれ更にアミノ窒素原子の位置でC5-7-シクロアルキル基、C2-4-アルケニル基又はC1-4-アルキル基により置換されていてもよい)、
4~7員シクロアルキレンイミノ基(そのシクロアルキレン部分はフェニル基又はオキサゾロ基、イミダゾロ基、チアゾロ基、ピリジノ基、ピラジノ基もしくはピリミジノ基(必要によりフッ素原子、塩素原子、臭素原子もしくはヨウ素原子、ニトロ基、C1-3-アルキル基、C1-3-アルコキシ基又はアミノ基により置換されていてもよい)に縮合されていてもよく、かつ/又は
1個又は2個の水素原子がそれぞれC1-3-アルキル基、C5-7-シクロアルキル基又はフェニル基により置換されていてもよく、かつ/又は
5員シクロアルキレンイミノ基の3位のメチレン基がヒドロキシ基、ヒドロキシ-C1-3-アルキル基、C1-3-アルコキシ基又はC1-3-アルコキシ-C1-3-アルキル基により置換されていてもよく、
6員又は7員シクロアルキレンイミノ基の3位又は4位のメチレン基がそれぞれの場合にヒドロキシ基、ヒドロキシ-C1-3-アルキル基、C1-3-アルコキシ基、C1-3-アルコキシ-C1-3-アルキル基、カルボキシ基、C1-4-アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキルアミノカルボニル基、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル基、フェニル-C1-3-アルキルアミノ基又はN-(C1-3-アルキル)-フェニル-C1-3-アルキル-アミノ基により置換されていてもよく、又は
酸素原子もしくは硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、-NH基、-N(C1-3-アルキル-)基、-N(フェニル)基、-N(フェニル-C1-3-アルキル-)基、-N(C1-3-アルキルカルボニル)基、-N(C1-4-ヒドロキシカルボニル)基、-N(C1-4-アルコキシカルボニル)基、-N(ベンゾイル-)基又は-N(フェニル-C1-3-アルキルカルボニル)基により置換されていてもよく、
シクロアルキレンイミノ基のイミノ窒素原子に結合されたメチレン基はカルボニル基もしくはスルホニル基により置換されていてもよく、又は5~7員単環式シクロアルキレンイミノ基もしくはフェニル基に縮合されたシクロアルキレンイミノ基中で、イミノ窒素原子に結合された二つのメチレン基はそれぞれカルボニル基により置換されていてもよい)
を表す)を表し、又は
R6はC1-4-アルキル基(これはカルボキシ基、C1-3-アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキルアミノカルボニル基もしくはジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル基又は4~7員シクロアルキレンイミノカルボニル基により置換されている)、
N-(C1-3-アルキル)-C2-4-アシルアミノ基(これはそのアルキル部分中でカルボキシ基又はC1-3-アルコキシカルボニル基により更に置換されている)、
式-N(R12)-CO-(CH2)p-R13 (IV)
の基
(式中、
R12は水素原子、C1-6-アルキル基もしくはC3-7-シクロアルキル基又はC1-3-アルキル基(末端でフェニル基、ヘテロアリール基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシ基、C1-3-アルコキシ基、アミノカルボニル基、C1-4-アルキルアミノ-カルボニル基、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ-カルボニル基、C1-3-アルキルカルボニル基、C1-3-アルキル-スルホニルアミノ基、N-(C1-3-アルキル)-C1-3-アルキル-スルホニルアミノ基、C1-3-アルキル-アミノスルホニル基又はジ-(C1-3-アルキル)-アミノスルホニル基により置換されている)を表し、かつ
pは数0、1、2又は3の一つを表し、かつ
R13は上記の基R7を意味し、又は、pが数1、2又は3の一つを表す場合には、それはまた水素原子を表してもよい)、
式-N(R14)-(CH2)q-(CO)r-R15 (V)
の基
(式中、
R14は水素原子、C1-4-アルキル基、C1-3-アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、フェニル-C1-3-アルキルカルボニル基、ヘテロアリールカルボニル基、ヘテロアリール-C1-3-アルキルカルボニル基、C1-4-アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、フェニル-C1-3-アルキルスルホニル基、ヘテロアリールスルホニル基又はヘテロアリール-C1-3-アルキル-スルホニル基を表し、
qは数1、2、3又は4の一つを表し、
rは数1を表し、又は、qが数2、3又は4の一つである場合には、それはまた数0を表してもよく、かつ
R15は上記の基R7を意味する)、
式-N(R16)-SO2-R17 (VI)
の基
(式中、
R16は水素原子又はC1-4-アルキル基(必要により末端でシアノ基、トリフルオロメチル-カルボニルアミノ基又はN-(C1-3-アルキル)-トリフルオロメチル-カルボニルアミノ基により置換されていてもよい)を表し、かつ
R17はC1-3-アルキル基を表す)、
ジ-(C1-3-アルキル)-アミノ-C1-3-アルキルカルボニル基又はジ-(C1-3-アルキル)-アミノ-C1-3-アルキル-スルホニル基及びジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル-C1-3-アルキル基により置換されたアミノ基、又は
N-(C1-3-アルキル)-C1-5-アルキルスルホニルアミノ基又はN-(C1-3-アルキル)-フェニルスルホニルアミノ基(そのアルキル部分は更にシアノ基又はカルボキシ基により置換されている)
を表し、
R6に記載された基中に含まれた全ての単結合され、又は縮合されたフェニル基はフッ素原子、塩素原子、臭素原子もしくはヨウ素原子、C1-5-アルキル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシ基、C1-3-アルコキシ基、カルボキシ基、C1-3-アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、C1-4-アルキルアミノ-カルボニル基、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ-カルボニル基、アミノスルホニル基、C1-3-アルキル-アミノスルホニル基、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノスルホニル基、C1-3-アルキル-スルホニルアミノ基、ニトロ基又はシアノ基により一置換又は二置換されていてもよく、これらの置換基は同じであってもよく、また異なっていてもよく、又はフェニル基の2個の隣接水素原子はメチレンジオキシ基により置換されていてもよい〕を表し、かつ
R5は水素原子又はC1-3-アルキル基を表し、
アリール基は必要によりフッ素原子、塩素原子、臭素原子もしくはヨウ素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキル基又はC1-3-アルコキシ基により一置換又は二置換されていてもよいフェニル基又はナフチル基を意味し、
ヘテロアリール基は必要により炭素骨格中でC1-3-アルキル基により置換されていてもよい単環式5員又は6員ヘテロアリール基を意味し、
その6員ヘテロアリール基は1個、2個又は3個の窒素原子を含み、また
その5員ヘテロアリール基は必要によりC1-3-アルキル基又はフェニル-C1-3-アルキル基により置換されていてもよいイミノ基、酸素原子又は硫黄原子又は
必要によりC1-3-アルキル基又はフェニル-C1-3-アルキル基により置換されていてもよいイミノ基又は酸素原子もしくは硫黄原子及び更に窒素原子又は
必要によりC1-3-アルキル基又はフェニル-C1-3-アルキル基により置換されていてもよいイミノ基及び2個の窒素原子を含み、
更に、フェニル環は2個の隣接炭素原子を介して上記単環式複素環基に縮合されてもよく、またその結合は窒素原子を介して、又は複素環部分の炭素原子もしくは縮合フェニル環を介して起こり、
上記のアルキル基及びアルコキシ基中又は式Iの先に定義された基中に含まれたアルキル部分中の水素原子の一部又は全部はフッ素原子により置換されていてもよく、また
存在するカルボキシ基の水素原子又は窒素原子に結合された水素原子はそれぞれin vivoで開裂し得る基により置換されていてもよい〕。
(項目19)
項目2~17のいずれか一つまたは複数に記載の特徴をさらに含む、項目18に記載のインドリノン、これらの互変異性体、ジアステレオマーもしくは鏡像体、これらの混合物またはこれらの薬学的に許容可能な塩。
(項目20)
6位で置換された一般式
【化1】

のインドリノン、これらの互変異性体、ジアステレオマーもしくは鏡像体、これらの混合物またはこれらの薬学的に許容可能な塩
〔式中、
Xは酸素原子又は硫黄原子を表し、
R1は水素原子又はプロドラッグ化に用いる基を表し、
R2はカルボキシ基、直鎖又は分枝C1-6-アルコキシカルボニル基、C4-7-シクロアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基、
直鎖又は分枝C1-6-アルコキシカルボニル基(これはそのアルキル部分中でフェニル基、ヘテロアリール基、カルボキシ基、C1-3-アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキルアミノ-カルボニル基又はジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル基により末端で置換されている)、
直鎖又は分枝C2-6-アルコキシカルボニル基(これはそのアルキル部分中で塩素原子又はヒドロキシ基、C1-3-アルコキシ基、アミノ基、C1-3-アルキルアミノ基もしくはジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基により末端で置換されている)、
アミノカルボニル基もしくはメチルアミノカルボニル基、必要によりエチル基の2位でヒドロキシ基もしくはC1-3-アルコキシ基により置換されていてもよいエチルアミノカルボニル基を表し、又は
R4がアミノスルホニル-フェニル基又はN-(C1-5-アルキル)-C1-3-アルキルアミノカルボニル-フェニル基を表さない場合、それはまたジ-(C1-2-アルキル)-アミノカルボニル基を表してもよく、
R3は水素原子、C1-6-アルキル基、C3-7-シクロアルキル基、トリフルオロメチル基又はヘテロアリール基、
フェニル基もしくはナフチル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子もしくはヨウ素原子、トリフルオロメチル基、C1-3-アルキル基又はC1-3-アルコキシ基により一置換又は二置換されたフェニル基又はナフチル基(二置換の場合、置換基は同じであってもよく、また異なっていてもよく、また上記未置換フェニル基及びナフチル基並びに一置換及び二置換フェニル基及びナフチル基は更に
ヒドロキシ基、ヒドロキシ-C1-3-アルキル基又はC1-3-アルコキシ-C1-3-アルキル基、
シアノ基、カルボキシ基、カルボキシ-C1-3-アルキル基、C1-3-アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキルアミノ-カルボニル基又はジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル基、
ニトロ基、
アミノ基、C1-3-アルキルアミノ基、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基又はアミノ-C1-3-アルキル基、
C1-3-アルキルカルボニルアミノ基、N-(C1-3-アルキル)-C1-3-アルキルカルボニルアミノ基、C1-3-アルキルカルボニルアミノ-C1-3-アルキル基、N-(C1-3-アルキル)-C1-3-アルキルカルボニルアミノ-C1-3-アルキル基、C1-3-アルキルスルホニルアミノ基、C1-3-アルキルスルホニルアミノ-C1-3-アルキル基、N-(C1-3-アルキル)-C1-3-アルキルスルホニルアミノ-C1-3-アルキル基又はアリール-C1-3-アルキルスルホニルアミノ基、
シクロアルキルアミノ基、シクロアルキレンイミノ基、シクロアルキレンイミノカルボニル基、シクロアルキレンイミノ-C1-3-アルキル基、シクロアルキレンイミノカルボニル-C1-3-アルキル基又はシクロアルキレンイミノスルホニル-C1-3-アルキル基(それぞれの場合に4~7環員を有する)(それぞれの場合、6員又は7員シクロアルキレンイミノ基の4位のメチレン基は酸素原子もしくは硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、-NH基又は-N(C1-3-アルキル)基により置換されていてもよい)、又は
ヘテロアリール基又はヘテロアリール-C1-3-アルキル基により置換されていてもよい)
を表し、
R4はC3-7-シクロアルキル基(6員又は7員シクロアルキル基の4位のメチレン基はアミノ基、C1-3-アルキルアミノ基もしくはジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基により置換されていてもよく、又は-NH基もしくは-N(C1-3-アルキル)基により置換されていてもよい)、又は
基R6により置換されたフェニル基〔これは更にフッ素原子、塩素原子、臭素原子もしくはヨウ素原子、C1-5-アルキル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシ基、C1-3-アルコキシ基、カルボキシ基、C1-3-アルコキシカルボニル基、アミノ基、アセチルアミノ基、C1-3-アルキル-スルホニルアミノ基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキル-アミノカルボニル基、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル基、アミノスルホニル基、C1-3-アルキル-アミノスルホニル基、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノスルホニル基、ニトロ基又はシアノ基により一置換又は二置換されていてもよく、これらの置換基は同じであってもよく、また異なっていてもよく、また
R6は水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子、
シアノ基、ニトロ基、アミノ基、C1-5-アルキル基、C3-7-シクロアルキル基、トリフルオロメチル基、フェニル基、テトラゾリル基又はヘテロアリール基、

【化2】

(式中、窒素原子に結合された水素原子はそれぞれの場合に互いに独立にC1-3-アルキル基により置換されていてもよい)
の基、
C1-3-アルコキシ基、C1-3-アルコキシ-C1-3-アルコキシ基、フェニル-C1-3-アルコキシ基、アミノ-C2-3-アルコキシ基、C1-3-アルキルアミノ-C2-3-アルコキシ基、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノ-C2-3-アルコキシ基、フェニル-C1-3-アルキルアミノ-C2-3-アルコキシ基、N-(C1-3-アルキル)-フェニル-C1-3-アルキルアミノ-C2-3-アルコキシ基、C5-7-シクロアルキレンイミノ-C2-3-アルコキシ基又はC1-3-アルキルメルカプト基、
カルボキシ基、C1-4-アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキルアミノ-カルボニル基、N-(C1-5-アルキル)-C1-3-アルキルアミノカルボニル基、フェニル-C1-3-アルキルアミノ-カルボニル基、N-(C1-3-アルキル)-フェニル-C1-3-アルキルアミノ-カルボニル基、ピペラジノカルボニル基又はN-(C1-3-アルキル)-ピペラジノカルボニル基、
C1-3-アルキルアミノカルボニル基又はN-(C1-5-アルキル)-C1-3-アルキルアミノカルボニル基(アルキル部分はカルボキシ基もしくはC1-3-アルコキシカルボニル基により置換され、又はその2位もしくは3位でジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基、ピペラジノ基、N-(C1-3-アルキル)-ピペラジノ基もしくは4~7員シクロアルキレンイミノ基により置換されている)、
C3-7-シクロアルキルカルボニル基(6員又は7員シクロアルキル部分の4位のメチレン基はアミノ基、C1-3-アルキルアミノ基もしくはジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基により置換されていてもよく、又は-NH基もしくは-N(C1-3-アルキル)基により置換されていてもよい)、
4~7員シクロアルキレンイミノ基(そのイミノ基に結合されたメチレン基はカルボニル基もしくはスルホニル基により置換されていてもよく、又は
そのシクロアルキレン部分はフェニル環に縮合されていてもよく、又は
1個又は2個の水素原子がそれぞれC1-3-アルキル基により置換されていてもよく、かつ/又は
それぞれの場合に、6員又は7員シクロアルキレンイミノ基の4位のメチレン基はカルボキシ基、C1-3-アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキルアミノカルボニル基、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル基、フェニル-C1-3-アルキルアミノ基又はN-(C1-3-アルキル)-フェニル-C1-3-アルキルアミノ基により置換されていてもよく、又は
酸素原子もしくは硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、-NH基、-N(C1-3-アルキル)基、-N(フェニル)基、-N(C1-3-アルキルカルボニル)基又は-N(ベンゾイル)基により置換されていてもよい)、
基R7により置換されたC1-4-アルキル基(R7はC3-7-シクロアルキル基(6員又は7員シクロアルキル基の4位のメチレン基はアミノ基、C1-3-アルキルアミノ基もしくはジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基により置換されていてもよく、又は-NH基もしくは-N(C1-3-アルキル)基により置換されていてもよく、又は
5~7員シクロアルキル基中で、-(CH2)2基は-CO-NH基により置換されていてもよく、-(CH2)3基は-NH-CO-NH基もしくは-CO-NH-CO基により置換されていてもよく、又は-(CH2)4基は-NH-CO-NH-CO基により置換されていてもよく、それぞれの場合に、窒素原子に結合された水素原子はC1-3-アルキル基により置換されていてもよい)、
アリール基又はヘテロアリール基、
ヒドロキシ基又はC1-3-アルコキシ基、
アミノ基、C1-7-アルキルアミノ基、ジ-(C1-7-アルキル)-アミノ基、フェニルアミノ基、N-フェニル-C1-3-アルキル-アミノ基、フェニル-C1-3-アルキル-アミノ基、N-(C1-3-アルキル)-フェニル-C1-3-アルキルアミノ基又はジ-(フェニル-C1-3-アルキル)-アミノ基、
ω-ヒドロキシ-C2-3-アルキル-アミノ基、N-(C1-3-アルキル)-ω-ヒドロキシ-C2-3-アルキル-アミノ基、ジ-(ω-ヒドロキシ-C2-3-アルキル)-アミノ基、ジ-(ω-(C1-3-アルコキシ)-C2-3-アルキル)-アミノ基又はN-(ジオキソラン-2-イル)-C1-3-アルキル-アミノ基、
C1-3-アルキルカルボニルアミノ-C2-3-アルキル-アミノ基又はC1-3-アルキルカルボニルアミノ-C2-3-アルキル-N-(C1-3-アルキル)-アミノ基、
C1-3-アルキルスルホニルアミノ基、N-(C1-3-アルキル)-C1-3-アルキル-スルホニルアミノ基、C1-3-アルキルスルホニルアミノ-C2-3-アルキル-アミノ基又はC1-3-アルキルスルホニルアミノ-C2-3-アルキル-N-(C1-3-アルキル)-アミノ基、
ヒドロキシカルボニルC1-3-アルキルアミノ基又はN-(C1-3-アルキル)-ヒドロキシカルボニルC1-3-アルキル-アミノ基、
グアニジノ基(1個又は2個の水素原子がそれぞれC1-3-アルキル基により置換されていてもよい)、
式-N(R8)-CO-(CH2)n-R9 (II)
の基
(式中、
R8は水素原子又はC1-3-アルキル基を表し、
nは数0、1、2又は3の一つを表し、かつ
R9はアミノ基、C1-4-アルキルアミノ基、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ基、フェニルアミノ基、N-(C1-4-アルキル)-フェニルアミノ基、ベンジルアミノ基、N-(C1-4-アルキル)-ベンジルアミノ基又はC1-4-アルコキシ基、4~7員シクロアルキレンイミノ基(それぞれの場合に6員又は7員シクロアルキレンイミノ基の4位のメチレン基は酸素原子もしくは硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、-NH基、-N(C1-3-アルキル)基、-N(フェニル)基、-N(C1-3-アルキルカルボニル)基又は-N(ベンゾイル)基により置換されていてもよい)を表し、又は、nが数1、2又は3の一つを表す場合、それはまた水素原子を表してもよい)、
式-N(R10)-(CH2)m-(CO)o-R11 (III)
の基
(式中、
R10は水素原子、C1-3-アルキル基、C1-3-アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、フェニル-C1-3-アルキルカルボニル基、C1-3-アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基又はフェニル-C1-3-アルキルスルホニル基を表し、
mは数1、2、3又は4の一つを表し、
oは数1を表し、又は、mが数2、3又は4の一つを表す場合には、oはまた数0を表してもよく、かつ
R11はアミノ基、C1-4-アルキルアミノ基、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ基、フェニルアミノ基、N-(C1-4-アルキル)-フェニルアミノ基、ベンジルアミノ基、N-(C1-4-アルキル)-ベンジルアミノ基、C1-4-アルコキシ基もしくはC1-3-アルコキシ-C1-3-アルコキシ基、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ-C1-3-アルキルアミノ基(必要により1位でC1-3-アルキル基により置換されていてもよい)又は4~7員シクロアルキレンイミノ基(そのシクロアルキレン部分はフェニル環に縮合されていてもよく、又はそれぞれの場合に、6員もしくは7員シクロアルキレンイミノ基の4位のメチレン基は酸素原子もしくは硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、-NH基、-N(C1-3-アルキル)基、-N(フェニル)基、-N(C1-3-アルキルカルボニル)基又は-N(ベンゾイル)基により置換されていてもよい)を表す)
C4-7-シクロアルキルアミノ基、C4-7-シクロアルキル-C1-3-アルキルアミノ基又はC4-7-シクロアルケニルアミノ基(その環の1位は二重結合中に含まれておらず、また上記の基はそれぞれ更にアミノ窒素原子の位置でC5-7-シクロアルキル基、C2-4-アルケニル基又はC1-4-アルキル基により置換されていてもよい)、
4~7員シクロアルキレンイミノ基(そのシクロアルキレン部分はフェニル基又はオキサゾロ基、イミダゾロ基、チアゾロ基、ピリジノ基、ピラジノ基もしくはピリミジノ基(必要によりフッ素原子、塩素原子、臭素原子もしくはヨウ素原子、ニトロ基、C1-3-アルキル基、C1-3-アルコキシ基又はアミノ基により置換されていてもよい)に縮合されていてもよく、かつ/又は
1個又は2個の水素原子がそれぞれC1-3-アルキル基、C5-7-シクロアルキル基又はフェニル基により置換されていてもよく、かつ/又は
5員シクロアルキレンイミノ基の3位のメチレン基がヒドロキシ基、ヒドロキシ-C1-3-アルキル基、C1-3-アルコキシ基又はC1-3-アルコキシ-C1-3-アルキル基により置換されていてもよく、
6員又は7員シクロアルキレンイミノ基の3位又は4位のメチレン基がそれぞれの場合にヒドロキシ基、ヒドロキシ-C1-3-アルキル基、C1-3-アルコキシ基、C1-3-アルコキシ-C1-3-アルキル基、カルボキシ基、C1-4-アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキルアミノカルボニル基、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル基、フェニル-C1-3-アルキルアミノ基又はN-(C1-3-アルキル)-フェニル-C1-3-アルキル-アミノ基により置換されていてもよく、又は
酸素原子もしくは硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、-NH基、-N(C1-3-アルキル-)基、-N(フェニル)基、-N(フェニル-C1-3-アルキル-)基、-N(C1-3-アルキルカルボニル)基、-N(C1-4-ヒドロキシカルボニル)基、-N(C1-4-アルコキシカルボニル)基、-N(ベンゾイル-)基又は-N(フェニル-C1-3-アルキルカルボニル)基により置換されていてもよく、
シクロアルキレンイミノ基のイミノ窒素原子に結合されたメチレン基はカルボニル基もしくはスルホニル基により置換されていてもよく、又は5~7員単環式シクロアルキレンイミノ基もしくはフェニル基に縮合されたシクロアルキレンイミノ基中で、イミノ窒素原子に結合された二つのメチレン基はそれぞれカルボニル基により置換されていてもよい)
を表す)を表し、又は
R6はC1-4-アルキル基(これはカルボキシ基、C1-3-アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキルアミノカルボニル基もしくはジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル基又は4~7員シクロアルキレンイミノカルボニル基により置換されている)、
N-(C1-3-アルキル)-C2-4-アシルアミノ基(これはそのアルキル部分中でカルボキシ基又はC1-3-アルコキシカルボニル基により更に置換されている)、
式-N(R12)-CO-(CH2)p-R13 (IV)
の基
(式中、
R12は水素原子、C1-6-アルキル基もしくはC3-7-シクロアルキル基又はC1-3-アルキル基(末端でフェニル基、ヘテロアリール基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシ基、C1-3-アルコキシ基、アミノカルボニル基、C1-4-アルキルアミノ-カルボニル基、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ-カルボニル基、C1-3-アルキルカルボニル基、C1-3-アルキル-スルホニルアミノ基、N-(C1-3-アルキル)-C1-3-アルキル-スルホニルアミノ基、C1-3-アルキル-アミノスルホニル基又はジ-(C1-3-アルキル)-アミノスルホニル基により置換されている)を表し、かつ
pは数0、1、2又は3の一つを表し、かつ
R13は上記の基R7を意味し、又は、pが数1、2又は3の一つを表す場合には、それはまた水素原子を表してもよい)、
式-N(R14)-(CH2)q-(CO)r-R15 (V)
の基
(式中、
R14は水素原子、C1-4-アルキル基、C1-3-アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、フェニル-C1-3-アルキルカルボニル基、ヘテロアリールカルボニル基、ヘテロアリール-C1-3-アルキルカルボニル基、C1-4-アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、フェニル-C1-3-アルキルスルホニル基、ヘテロアリールスルホニル基又はヘテロアリール-C1-3-アルキル-スルホニル基を表し、
qは数1、2、3又は4の一つを表し、
rは数1を表し、又は、qが数2、3又は4の一つである場合には、それはまた数0を表してもよく、かつ
R15は上記の基R7を意味する)、
式-N(R16)-SO2-R17 (VI)
の基
(式中、
R16は水素原子又はC1-4-アルキル基(必要により末端でシアノ基、トリフルオロメチル-カルボニルアミノ基又はN-(C1-3-アルキル)-トリフルオロメチル-カルボニルアミノ基により置換されていてもよい)を表し、かつ
R17はC1-3-アルキル基を表す)、
ジ-(C1-3-アルキル)-アミノ-C1-3-アルキルカルボニル基又はジ-(C1-3-アルキル)-アミノ-C1-3-アルキル-スルホニル基及びジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル-C1-3-アルキル基により置換されたアミノ基、又は
N-(C1-3-アルキル)-C1-5-アルキルスルホニルアミノ基又はN-(C1-3-アルキル)-フェニルスルホニルアミノ基(そのアルキル部分は更にシアノ基又はカルボキシ基により置換されている)
を表し、
R6に記載された基中に含まれた全ての単結合され、又は縮合されたフェニル基はフッ素原子、塩素原子、臭素原子もしくはヨウ素原子、C1-5-アルキル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシ基、C1-3-アルコキシ基、カルボキシ基、C1-3-アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、C1-4-アルキルアミノ-カルボニル基、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ-カルボニル基、アミノスルホニル基、C1-3-アルキル-アミノスルホニル基、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノスルホニル基、C1-3-アルキル-スルホニルアミノ基、ニトロ基又はシアノ基により一置換又は二置換されていてもよく、これらの置換基は同じであってもよく、また異なっていてもよく、又はフェニル基の2個の隣接水素原子はメチレンジオキシ基により置換されていてもよい〕を表し、かつ
R5は水素原子又はC1-3-アルキル基を表し、
アリール基は必要によりフッ素原子、塩素原子、臭素原子もしくはヨウ素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノカルボニル基、C1-3-アルキル基又はC1-3-アルコキシ基により一置換又は二置換されていてもよいフェニル基又はナフチル基を意味し、
ヘテロアリール基は必要により炭素骨格中でC1-3-アルキル基により置換されていてもよい単環式5員又は6員ヘテロアリール基を意味し、
その6員ヘテロアリール基は1個、2個又は3個の窒素原子を含み、また
その5員ヘテロアリール基は必要によりC1-3-アルキル基又はフェニル-C1-3-アルキル基により置換されていてもよいイミノ基、酸素原子又は硫黄原子又は
必要によりC1-3-アルキル基又はフェニル-C1-3-アルキル基により置換されていてもよいイミノ基又は酸素原子もしくは硫黄原子及び更に窒素原子又は
必要によりC1-3-アルキル基又はフェニル-C1-3-アルキル基により置換されていてもよいイミノ基及び2個の窒素原子を含み、
更に、フェニル環は2個の隣接炭素原子を介して上記単環式複素環基に縮合されてもよく、またその結合は窒素原子を介して、又は複素環部分の炭素原子もしくは縮合フェニル環を介して起こり、
上記のアルキル基及びアルコキシ基中又は式Iの先に定義された基中に含まれたアルキル部分中の水素原子の一部又は全部はフッ素原子により置換されていてもよく、また
存在するカルボキシ基の水素原子又は窒素原子に結合された水素原子はそれぞれin vivoで開裂し得る基により置換されていてもよい〕
の有効量をそれを必要とする被験者に投与する、該被験者における慢性脂肪肝疾患を予防、改善または治療するための方法。
(項目21)
項目2~17のいずれか一つまたは複数に記載の特徴をさらに含む、項目20に記載の方法。
(項目22)
項目1に記載される化合物の、慢性脂肪肝疾患を予防、改善または治療するための医薬を製造するための使用。
(項目23)
項目2~17のいずれか一つまたは複数に記載の特徴をさらに含む、項目22に記載の使用。
【0008】
本発明において、上記1または複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供されうることが意図される。本発明のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、NASHなどの慢性脂肪肝疾患の予防、改善または治療が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、野生型のマウスに、飼育繁殖用飼料を6週間にわたって与えたマウス(対照群)、CDAHFDを6週間にわたって与え、溶媒を投与したB6J NASHマウス(NASH群)および同じくCDAHFDを6週間にわたって与え、ニンテダニブを投与したB6J NASHマウス(ニンテダニブ群)のマウスから採取した肝臓の組織切片を、ヘマトキシリンおよびエオジン(HE)によって染色したときの顕微鏡写真を示す。左のパネルは、10倍の倍率で撮影した写真を示し、右のパネルは、40倍の倍率で撮影した写真を示す。
図2図2は、野生型のマウスに、飼育繁殖用飼料を6週間にわたって与えたマウス(対照群)、CDAHFDを6週間にわたって与え、溶媒を投与したB6J NASHマウス(NASH群)および同じくCDAHFDを6週間にわたって与え、ニンテダニブを投与したB6J NASHマウス(ニンテダニブ群)のマウスから採取した肝臓の組織切片を、マッソントリクローム法によって染色したときの顕微鏡写真を示す。左のパネルは、10倍の倍率で撮影した写真を示し、右のパネルは、40倍の倍率で撮影した写真を示す。
図3図3は、野生型のマウスに、飼育繁殖用飼料を6週間にわたって与えたマウス(対照群)、CDAHFDを6週間にわたって与え、溶媒を投与したB6J NASHマウス(NASH群)および同じくCDAHFDを6週間にわたって与え、ニンテダニブを投与したB6J NASHマウス(ニンテダニブ群)のマウスから採取した肝臓の組織切片を、マッソントリクローム法によって染色したときの線維化の面積を比較したグラフである。
図4図4は、野生型のマウスに、飼育繁殖用飼料を6週間にわたって与えたマウス(対照群)、CDAHFDを6週間にわたって与え、溶媒を投与したB6J NASHマウス(NASH群)および同じくCDAHFDを6週間にわたって与え、ニンテダニブを投与したB6J NASHマウス(ニンテダニブ群)のマウスから採取した血清における血清アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、アラニンアミノトランスアミナーゼ(ALT)、アルカリホスファターゼ(ALP)、トリグリセリド(TG)、非エステル化脂肪酸(NEFA)およびサイトケラチン18(CK18)断片の濃度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を最良の形態を示しながら説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0012】
定義
本明細書において使用する場合、用語「慢性脂肪肝疾患」は、慢性的に肝臓に多量の脂肪が蓄積する状態をいう。慢性的とは、症状が徐々に発症して、治療および経過が長期にわたることを意味する。慢性的な疾患が生じる要因としては、年齢、性別、生活習慣、遺伝的要因、肥満、各種ホルモン異常、一部の薬剤の摂取などが挙げられるが、これらに限定されない。したがって、慢性脂肪肝疾患は、「急性」脂肪肝疾患とは全く異なる疾患であり、病態や原因なども異なり、治療法や予防法も異なるものである。
【0013】
本明細書において使用する場合、用語「炎症性疾患」とは、炎症を伴う疾患をいい、脂肪肝疾患について炎症性疾患というときは、炎症を伴う任意の脂肪肝疾患をいう。炎症性疾患である脂肪肝疾患には、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)およびこれに対応するアルコール性の脂肪肝炎も包含されることが理解される。
【0014】
本明細書において使用する場合、用語「生活習慣に関連した炎症性の疾患」は、生活習慣を主な要因とし、炎症を伴う疾患をいう。本発明における生活習慣としては、運動量、栄養バランス、喫煙、アルコール摂取、睡眠時間等が挙げられるが、これらに限定されない。「炎症性の疾患」は、当該分野において通常使用される意味で使用され、生体の損傷に対して生じる組織の局所反応を特徴とする疾患を意味する。特定の実施形態では、本発明における炎症性の疾患は、肝臓に関連する炎症性の疾患である。
【0015】
本明細書において使用する場合、用語「非アルコール性の疾患」は、アルコールの摂取を主な要因としない疾患の総称である。非アルコール性の疾患に罹患した被験体には、アルコールを全く摂取しない被験体だけでなく、少量のアルコールを摂取する被験体(男性では、1日あたりに摂取される純エタノール重量が30g未満であり、女性では、1日あたりに摂取される純エタノール重量が20g未満である)も含まれる。非アルコール性疾患の代表的なものとしては、非アルコール性脂肪肝が挙げられる。
【0016】
本明細書において使用する場合、用語「非アルコール性脂肪肝(NAFL)」は、当該分野において通常使用される意味で使用され、非アルコール性であり、肝臓に脂肪が蓄積することを特徴とするが、肝臓への炎症細胞の浸潤を認めない疾患を意味する。NAFLは、脂肪肝疾患の中でも、比較的症状が軽く予後が良好な疾患であるが、NASHまたは肝硬変などの、より重症の疾患へと進展する可能性がある。非アルコール性脂肪肝とは対照的に、アルコールの摂取を主な要因とする、「アルコール性脂肪肝」という疾患も存在する。非アルコール性脂肪肝とアルコール性脂肪肝とは、アルコールの摂取の有無の点で異なるが、これらの脂肪肝の病態は類似しており、罹患後20年経過すると、これらの差異はなくなることも報告されている。
【0017】
本明細書において使用する場合、用語「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」は、当該分野において通常使用される意味で使用され、肝細胞における脂肪蓄積、肝細胞風船様変性(バルーニング変性)、アポトーシスの増加、肝臓の中心静脈領域への炎症性細胞の浸潤、脂肪変性した肝細胞をマクロファージが取り囲み貪食・処理する現象(hCLS)、肝臓における過剰な細胞外基質の沈着を伴う肝臓の疾患を意味する。
【0018】
本明細書において使用する場合、用語「Matteoni分類」は、当該分野において通常使用される意味で使用され、脂肪肝疾患の状態に基づいて脂肪肝疾患の重症度を判断する分類法である。Matteoni分類は、肝組織における(1)肝細胞の脂肪変性(steatosis)、(2)炎症性細胞浸潤(inflammation)、(3)肝細胞の風船様腫大(ballooninghepatocyte)、(4)肝臓の線維化(fibrosis)、および(5)Mallory-Denk体の有無に基づいて、NAFLDをType1~Type4の4種類に分類する手法である。Matteoni Type 1は肝細胞の脂肪変性のみ、Type 2は肝細胞の脂肪変性に炎症細胞の浸潤のみを認めるもの、Type 3は肝細胞の風船様腫大を認めるもの、Type 4はType 3に加えて肝線維化を認めるもの、と定義されており、Type 3および4がNASHと診断される。
【0019】
本明細書において使用する場合、用語「肝臓の線維化」とは、肝臓の修復または反応プロセスにおいて、過剰な線維性結合組織が形成することをいう。線維化自体は症状を引き起こさないが、重度に線維化が進展すると、肝硬変および合併症などを引き起こし、結果として症状が発症する。線維化が多数の種類があり、原因も多数存在する。例えば、NASHでは、タイプ4にまで進展すると線維化がみられる。この段階になると、肝硬変や肝がんへの進行のリスクにも配慮しなければならない。また、化学物質(例えば、四塩化炭素など)によっても線維化が生じる(急性の線維化と表現することができる。)が、肝臓への脂肪の蓄積が認められず、本発明の慢性脂肪肝疾患における線維化(慢性の線維化と表現することができる)とは性質を異にする。理論に束縛されることを望まないが、急性の線維化と慢性の線維化とは、病理学的態様がまったく異なるため、その予防や治療についても全く異なる病態であるといえ、得られた知見を予防薬や治療薬の開発において相互に参照することはできない。
【0020】
肝細胞と置き換わった線維化組織は、肝細胞の機能を有さない。さらに、線維化組織は、肝臓への血流と肝臓内での血流を妨げて、肝細胞への血液の供給を制限し、肝細胞の死滅をもたらし、それによってさらなる線維化の進展をもたらし得る。しかしながら、上述のように、慢性疾患における線維化は、急性のものとは異なるため別途の措置が必要であるとされるため、従来有効な治療法がほとんどなかったのが実情である。
【0021】
本発明の組成物は、NAFLおよびNASHの他、NASHがさらに進行した状態である、肝硬変および肝細胞がんなどの疾患の治療および予防にも有効である。本発明の組成物は、さらにアルコール性脂肪肝の治療および予防にも有効である。
【0022】
本明細書において使用する場合、「予防」するとは、本発明の標的とする疾患、障害または症状が発生する前に、何らかの手段により、その疾患、障害または症状を生じさせないかまたは少なくとも遅延させること、あるいは疾患、障害または症状の原因自体が生じたとしてもそれが原因の障害が生じないような状態にすることをいう。
【0023】
本明細書において使用する場合、「治療」するとは、既に発症している本発明の標的とする疾患、障害または症状の進行を止め、好ましくは治癒させることをいう。
【0024】
本明細書において使用する場合、「改善」するとは、既に発症している本発明の標的とする疾患、障害または症状の進行を、完全または部分的に拘わらず、停止させること、または軽減することをいう。
【0025】
本明細書において使用される場合「C1-6」とは、炭素原子数が1~6であることを意味する。他の数字の場合も同様であり、例えば、「C1-4」とは炭素原子数が1~4であることを意味する。
【0026】
本明細書において使用される場合「ヘテロ原子」は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等の炭素以外の原子を意味する。
【0027】
本明細書において使用される場合「ハロゲン原子」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を意味する。好ましくはフッ素原子、又は塩素原子である。さらに好ましくは、フッ素原子である。「ハロゲン原子」を「ハロゲン」と称する場合もあるが本発明はこれに限定されるものではない。
【0028】
本明細書において使用される場合「アルキル基」は直鎖状または分枝鎖状の飽和炭化水素基をいい、「C1-6アルキル基」は、直鎖状または分枝鎖状の炭素原子数1~6の飽和炭化水素基を意味する。「C1-6アルキル基」として、好ましくは「C1-4アルキル基」が挙げられ、より好ましくは「C1-3アルキル基」であり、さらに好ましくは「C1-2アルキル基」である。「C1-6アルキル基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、1,2-ジメチルプロピル等が挙げられる。
【0029】
本明細書において使用される場合「シクロアルキル基」は、環状の飽和炭化水素基をいい、「C3-7シクロアルキル基」は、環状の炭素原子数3~7の飽和炭化水素基を意味する。「C3-7シクロアルキル基」として、好ましくは「C4-7シクロアルキル基」が挙げられ、あるいは「C5-7シクロアルキル基」または「C6-7シクロアルキル基」であり得る。
【0030】
本明細書において使用される場合「アルケニル基」は、1個または2個以上の炭素-炭素二重結合を含有する、直鎖状または分枝鎖状の不飽和炭化水素基をいい、「C2-6アルケニル基」は、1個または2個以上の炭素-炭素二重結合を含有する、直鎖状または分枝鎖状の炭素原子数2から6の不飽和炭化水素基を意味する。「C2-6アルケニル基」として、好ましくは「C2-4アルケニル基」である。「C2-6アルケニル基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、2-メチル-1-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基等が挙げられる。
【0031】
本明細書において使用される場合「シクロアルケニル基」は、1個または2個以上の炭素-炭素二重結合を含有する、環状の不飽和炭化水素基をいい、「C3-7シクロアルケニル基」は、1個または2個以上の炭素-炭素二重結合を含有する、環状の炭素原子数3~7の不飽和炭化水素基を意味する。「C3-7シクロアルケニル基」として、好ましくは「C4-7シクロアルケニル基」が挙げられ、あるいは「C5-7シクロアルケニル基」または「C6-7シクロアルケニル基」であり得る。
【0032】
本明細書において使用される場合「アルキニル基」は、1または2個以上の三重結合を有する直鎖または分枝の不飽和脂肪族炭化水素基をいい、「C2-6アルキニル基」は、1または2個以上の三重結合を有する直鎖または分枝の炭素原子数2から6の不飽和脂肪族炭化水素基を意味する。「C2-6アルキニル基」として、好ましくは「C2-4アルキニル基」である。具体的には、これらに限定されないが、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、1-メチル-2-プロピニル基、3-ブチニル基、1-ペンチニル基、1-へキシニル基などが挙げられる。
【0033】
本明細書において使用される場合「シクロアルキニル基」は、1または2個以上の三重結合を有する、環状の不飽和炭化水素基をいい、「C3-7シクロアルキニル基」は、1または2個以上の三重結合を有する、環状の炭素原子数3~7の不飽和炭化水素基を意味する。「C3-7シクロアルキニル基」として、好ましくは「C4-7シクロアルキニル基」が挙げられ、あるいは「C5-7シクロアルキニル基」または「C6-7シクロアルキニル基」であり得る。
【0034】
本明細書で使用される場合包括表現である「脂環式基」とは、単環式または多環式の非芳香族の炭化水素環をいい、「C3-20脂環式基」とは、炭素原子数3から20の単環式または二環式の非芳香族の炭化水素環を意味し、一部不飽和結合を有するもの、一部架橋構造を有するもの、一部スピロ化されたものおよび1または2個のカルボニル構造を有するものも含む。「脂環式基」は、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、およびシクロアルキニル基、ならびにその誘導体化したシクロアルコキシ基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアルキニルオキシ基などを包含する。「C3-20脂環式基」として、好ましくは「C3-10脂環式基」であり、より好ましくは「C3-6脂環式基」である。「C3-20脂環式基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロヘキサジニル基、シクロヘプタジニル基、シクロオクタジニル基、アダマンチルまたはノルボルニル等が挙げられる。
【0035】
一部架橋構造を有する「C3-20脂環式基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、下記に示す構造のもの等が挙げられる。
【化5】
【0036】
また、「C3-20脂環式基」には、芳香族環と縮環した化合物も包含される。具体例としては、例えば、下記で表される基等が挙げられる。
【化6】
【0037】
本明細書において使用される場合「C3-10脂環式基」は、上記「C3-20脂環式基」のうち、「C3-10脂環式基」が1価基となっている置換基を意味する。
【0038】
本明細書において使用される場合「アリール」は、単環式、または多環式の芳香族炭化水素環をいい、「C6-10アリール」は、炭素原子数6から10の単環式、または二環式の芳香族炭化水素環を意味し、具体的には、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基などが挙げられる。C6-10のアリールとして、好ましくはCまたはC10のアリールが挙げられる。
【0039】
本明細書において使用される場合「ヘテロアリール」は、ヘテロ原子を含む、単環または多環の芳香族ヘテロ環をいい、「5員または6員のヘテロアリール」は、酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群より選択される同一または異なる1~4個のヘテロ原子を含む、5から6個の原子からなる単環の芳香族ヘテロ環を意味する。
【0040】
本明細書において使用される場合「5~10員のヘテロアリール」は、酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群より選択される同一または異なる1~4個のヘテロ原子を含む、5から10個の原子からなる単環または二環の芳香族ヘテロ環を意味する。
【0041】
本明細書において「6員のヘテロアリール」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等が挙げられる。
【0042】
本明細書において「5員のヘテロアリール」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、チオフェン、ピロール、チアゾール、イソチアゾール、ピラゾール、イミダゾール、フラン、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール等が挙げられ、好ましくはトリアゾール、テトラゾールまたはチアジアゾールであり、より好ましくはチアジアゾールである。
【0043】
本明細書において使用される場合「アルコキシ基」は、「アルキルオキシ基」をいい、「C1-6アルコキシ基」は、「C1-6アルキルオキシ基」を意味し、該C1-6アルキル部分は、上記C1-6アルキル基と同義である。「C1-6アルコキシ基」として、好ましくは「C1-4アルコキシ基」であり、より好ましくは「C1-3アルコキシ基」であり、さらに好ましくは「C1-2アルコキシ基」である。「C1-6アルコキシ基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、1,2-ジメチルプロポキシ基等が挙げられる。本明細書において使用される場合「C4-7シクロアルコキシ基」は、「C4-7シクロアルキルオキシ基」を意味し、該C4-7シクロアルキル部分は、上記C4-7シクロアルキル基と同義である。
【0044】
本明細書において「アリールオキシ基」のアリール部分は、上記アリールと同義である。例えば、アリール部分が炭素6~10個の場合「C6-10アリールオキシ基」と称され、好ましくは「CもしくはC10のアリールオキシ基」が挙げられる。「C6-10アリールオキシ基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基等が挙げられる。
【0045】
本明細書において、例えばカルボキシ基を有する化合物であればそのカルボキシ基がアルコキシカルボニル基となった化合物、アルキルチオカルボニル基となった化合物、またはアルキルアミノカルボニル基となった化合物が挙げられる。
【0046】
本明細書において、具体的には「アルキルカルボニル基」とは、「アルキル基」で置換されたカルボニル基を意味する。「アルキルカルボニル基」として、好ましくは、「C1-6アルキルカルボニル基」または「C1-4アルキルカルボニル基」である。「C1-6アルキルカルボニル基」の具体例として、これらに限定されないが、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が挙げられる。
【0047】
また、例えばアミノ基を有する化合物であれば、そのアミノ基がアシル基で置換されアシルアミノ基となった化合物、アルコキシカルボニル基により置換されアルコキシカルボニルアミノ基となった化合物、アシルオキシメチルアミノ基となった化合物、またはヒドロキシルアミンとなった化合物が挙げられる。
【0048】
また、例えば水酸基を有する化合物であれば、その水酸基が前記アシル基により置換されてアシルオキシ基となった化合物、リン酸エステルとなった化合物、またはアシルオキシメチルオキシ基となった化合物が挙げられる。
【0049】
本明細書において「置換されていてもよい」における置換基としては、好ましくは下記の置換基(群)αのような置換基が挙げられる。すなわち、置換基(群)αは、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲノアルコキシ、ヒドロキシアルコキシ、アルコキシアルコキシ、アシル、アシルオキシ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アミノ、アシルアミノ、アルキルアミノ、イミノ、ヒドロキシイミノ、アルコキシイミノ、アルキルチオ、カルバモイル、アルキルカルバモイル、ヒドロキシアルキルカルバモイル、スルファモイル、アルキルスルファモイル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニルアミノ、アルキルスルホニルアルキルアミノ、アルキルスルホニルイミノ、アルキルスルフィニルアミノ、アルキルスルフィニルアルキルアミノ、アルキルスルフィニルイミノ、シアノ、ニトロ、炭素環式基および複素環式基(それぞれの炭素環および複素環はハロゲン、アルキル、ヒドロキシおよびアルコキシからなる群から選択される1以上の基で置換されていてもよい)からなる群である。
【0050】
本明細書において、本発明において利用される化合物のプロドラッグ化に用いる基のアルキル部分としては前記アルキル基が挙げられ、そのアルキル基は例えばアルコキシ基等により置換されていてもよい。好ましい例としては、次のものが挙げられる。
【0051】
例えばカルボキシ基がアルコキシカルボニル基となった化合物についての例としては、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニルなどのアルコキシカルボニル、またはメトキシメトキシカルボニル、エトキシメトキシカルボニル、2-メトキシエトキシカルボニル、2-メトキシエトキシメトキシカルボニルまたはピバロイルオキシメトキシカルボニルなどのアルコキシ基により置換されたアルコキシカルボニルが挙げられる。
【0052】
本明細書において、「薬学的に許容可能な塩」とは、薬学的に使用することが許容されている酸付加塩および塩基付加塩を意味する。「薬学的に許容可能な塩」としては、これらに限定されないが、例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、ギ酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、エチルコハク酸塩、マロン酸塩、ラクトビオン酸塩、グルコン酸塩、グルコヘプトン酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸塩(トシル酸塩)、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、アスコルビン酸塩、マンデル酸塩、サッカリン酸塩、キシナホ酸塩、パモ酸塩、ケイヒ酸塩、アジピン酸塩、システイン塩、N-アセチルシステイン塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ヨウ化水素酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、ピクリン酸塩、チオシアン酸塩、ウンデカン酸塩、アクリル酸ポリマー塩、カルボキシビニルポリマー等の酸付加塩;リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等の無機塩基付加塩;モルホリン、ピペリジン等の有機塩基付加塩;アスパラギン酸、グルタミン酸等のアミノ酸との付加塩等が挙げられる。
【0053】
本発明の化合物は、経口投与または非経口投与により、直接または適当な剤形を用いて製剤、医薬または医薬組成物にし、投与することができる。これらの剤形の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤、懸濁剤、注射剤、貼付剤、パップ剤等が挙げられる。また、これらの製剤は、通常の医薬品添加物として使用されている添加剤を用いて、公知の方法で製造することができる。
【0054】
これらの添加剤としては、目的に応じて、賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、コーティング剤、溶解剤、溶解補助剤、増粘剤、分散剤、安定化剤、甘味剤、香料等を用いることができる。これらの添加剤の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、乳糖、マンニトール、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、部分α化デンプン、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、酸化チタン、タルク、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ハードファット、大豆レシチン等が挙げられる。
【0055】
本発明の化合物もしくは塩、組成物または医薬等の投与量は、投与対象動物、投与経路、疾患、患者の年齢、体重および症状によって適宜選択される。例えば、経口投与の場合には、成人に対して、1日当たり、下限として0.01mg(好ましくは100mg)、上限として10000mg(好ましくは6000mg)であり、この量を1日1回または数回に分けて投与することができる。
【0056】
本発明の化合物もしくは塩、組成物または医薬等の投与時期は限定されず、これらを投与対象に対し、他の薬剤(治療剤、予防剤など)と同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。また、本発明の化合物と他の薬剤の合剤としてもよい。他の薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明の化合物もしくは塩、組成物または医薬等と他の薬剤との配合比は、投与対象、投与経路、対象疾患、症状、組み合わせ等により適宜選択することができる。
【0057】
このような医薬、製剤、医薬組成物は、当該分野で公知の任意の技術を用いて、本発明の化合物および/または必要に応じて追加の薬剤を、一緒にまたは別々に、合剤としてまたは別々の薬剤として、適宜の任意の成分と混合することによって製造することができ、当該分野で公知の任意の技術を用いて、適宜の製剤、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤、懸濁剤、注射剤、貼付剤、パップ剤とすることで製剤化することができる。本発明の化合物および/または追加の薬剤が別々の薬剤として調製される場合は、2つの薬剤のキットとして提供されてもよく、一方の成分の単剤として提供され、他方の成分を同時または異時に組み合わせて投与されることを指示する指示書(添付文書など)とともに提供されてもよい。
【0058】
本発明の化合物を医薬の活性成分として使用する場合、それはヒトだけに使用することを意図するのではなく、ヒト以外のその他の動物(ネコ、イヌ、ウシ、ニワトリ、魚等)にも使用することが可能である。
【0059】
以下に、本発明の化合物の製造法について、例を挙げて説明するが、本発明はもとよりこれらに限定されるものではない。
【0060】
(製法)
本発明の化合物は、これらに限定されないが、例えば、下記に記した製造法によって製造することができる。これらの製造法は、有機合成化学を習熟している者の知識に基づき、適宜改良することができる。下記製造法において、原料として用いられる化合物は、反応に支障をきたさない限り、それらの塩を用いてもよい。
【0061】
本発明の化合物またはその塩は、日本国特許第4021664号に記載されている手法および他の文献を参照して製造することができる。
【0062】
上記製造法において、具体的に保護基の使用を明示していなくても、反応点以外のいずれかの官能基が反応条件で変化する場合、または反応後の処理を実施するのに不適当な場合には、反応点以外を必要に応じて保護し、反応終了後または一連の反応を行った後に脱保護することにより目的化合物を得ることができる。これらの過程で用いられる保護基としては、文献(T. W. Greene and P. G. M. Wuts, “Protective Group in Organic Synthesis”, 3rd Ed., John Wiley and Sons, inc., New York (1999))等に記載されている通常の保護基を用いることができる。また、保護基の導入および除去は、有機合成化学で常用される方法(例えば、上記文献に記載の方法等)またはそれらに準じた方法により行うことができる。
【0063】
上記製造法における出発原料および中間体は、市販品として購入可能であるか、または公知文献に記載された方法もしくは公知化合物から公知の方法に準じて合成することにより入手可能である。また、これらの出発原料および中間体は、反応に支障をきたさない限り、それらの塩を用いてもよい。
【0064】
上記製造法における中間体および目的化合物は、それらの官能基を適宜変換することによって、本発明に含まれる別の化合物へ変換することもできる。その際の官能基の変換は、有機合成化学で常用される方法(例えば、R. C. Larock, “Comprehensive Organic Transformations”, 2nd Ed., John Wiley and Sons, inc., New York (1999)に記載されている方法等)またはそれらに準じた方法により行うことができる。
【0065】
上記製造法における使用され得る不活性溶媒は、反応で用いられる原料、試薬、塩基、酸、触媒、配位子等(「反応で用いられる原料等」と称することもある)と反応しない溶媒を意味する。また、各工程で使用する溶媒が、反応で用いられる原料等と反応する場合であっても、目的の反応が進行して目的化合物が得られる限り、不活性溶媒として使用することができる。
【0066】
(好ましい実施形態の説明)
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本発明のよりよい理解のために提供されるものであり、本発明の範囲は以下の記載に限定されるべきではないことが理解される。従って、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。また、本発明の以下の実施形態は単独でも使用され、あるいはそれらを組み合わせて使用することができることが理解される。
【0067】
また、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び結合形態、ステップ、ステップの順序などは一例であり、請求の範囲を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0068】
(組成物)
1つの局面において、本発明は、慢性脂肪肝疾患を予防、改善または治療するための組成物、医薬、治療法を提供する。本発明の組成物、医薬、治療法は、6位で置換された一般式
【化1】

のインドリノン、これらの互変異性体、ジアステレオマー、鏡像体、混合物(本明細書においてこれらをまとめて「化合物」と称することがある)及びこれらの塩、特にこれらの薬学的に許容可能な塩を含むかまたは用いる(なお、式中のR~Rは本明細書の他の箇所に記載される任意のものである。本発明はまた、慢性脂肪肝疾患を予防、改善または治療するための、上記インドリノン、これらの互変異性体、ジアステレオマー、鏡像体、混合物及びこれらの塩、特にこれらの薬学的に許容可能な塩に関する。
【0069】
好ましい実施形態では、式中のR~Rおよび他の置換基は、上記項目1に記載される置換基であり得る。より好ましい実施形態では、式中のR~Rおよび他の置換基は、上記項目2に記載される置換基であり得る。さらに好ましい実施形態では、式中のR~Rおよび他の置換基は、上記項目3に記載される置換基であり得る。さらに好ましい実施形態では、式中のR~Rおよび他の置換基は、上記項目4に記載される置換基であり得る。さらに好ましい実施形態では、式中のR~Rおよび他の置換基は、上記項目5に記載される置換基であり得る。
【0070】
理論に束縛されることを望まないが、本発明で用いられるインドリノン、これらの互変異性体、ジアステレオマーもしくは鏡像体、これらの混合物またはこれらの薬学的に許容可能な塩は同様の機能および作用効果を有する。
【0071】
好ましい具体的な実施形態では、前記インドリノン、これらの互変異性体、ジアステレオマーもしくは鏡像体、これらの混合物またはこれらの薬学的に許容可能な塩は、
(a) 3-Z-〔1-(4-(ピペリジン-1-イル-メチル)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-エトキシカルボニル-2-インドリノン、
(b) 3-Z-〔(1-(4-(ピペリジン-1-イル-メチル)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-カルバモイル-2-インドリノン、
(c) 3-Z-〔1-(4-(ピペリジン-1-イル-メチル)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(d) 3-Z-〔1-(4-(ジメチルアミノメチル)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-エトキシカルボニル-2-インドリノン、
(e) 3-Z-〔1-(4-((2,6-ジメチル-ピペリジン-1-イル)-メチル)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-エトキシカルボニル-2-インドリノン、
(f) 3-Z-〔1-(4-(N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-N-アセチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-エトキシカルボニル-2-インドリノン、
(g) 3-Z-〔1-(4-(N-(3-ジメチルアミノ-プロピル)-N-アセチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-エトキシカルボニル-2-インドリノン、
(h) 3-Z-〔1-(4-(N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-N-メチルスルホニルアミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-エトキシカルボニル-2-インドリノン、
(i) 3-Z-〔1-(4-(ジメチルアミノメチル)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(j) 3-Z-〔1-(4-(N-アセチル-N-ジメチルアミノカルボニルメチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(k) 3-Z-〔1-(4-エチルアミノメチル-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(l) 3-Z-〔1-(4-(1-メチル-イミダゾール-2-イル)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(m) 3-Z-〔1-(4-(N-ジメチルアミノメチルカルボニル-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(n) 3-Z-〔1-(4-(N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-N-メチルスルホニルアミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(o) 3-Z-〔1-(4-(N-(3-ジメチルアミノ-プロピル)-N-メチルスルホニルアミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(p) 3-Z-〔1-(4-(N-ジメチルアミノカルボニルメチル-N-メチルスルホニル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(q) 3-Z-〔1-(4-(N-((2-ジメチルアミノ-エチル)-カルボニル)-N-メチルアミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(r) 3-Z-〔1-(4-(N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-N-アセチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン及び
(s) 3-Z-〔1-(4-メチルアミノメチル-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
これらの互変異性体、ジアステレオマーもしくは鏡像体、これらの混合物またはこれらの薬学的に許容可能な塩であり得る。
【0072】
さらに好ましくは、本発明の組成物は、3-Z-〔1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチルアミノ)-アニリノ)-1-フェニルメチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、この互変異性体又は薬学的に許容可能な塩を含む。
さらにより好ましくは、本発明は、ニンテダニブ(NTN)として知られる成分を含み、オフェブ(登録商標)として知られる医薬品またはそれと同等の製品(例えば、ジェネリックとして許容される医薬品)として提供されてもよい。
【0073】
本発明は、慢性脂肪肝疾患を予防、改善または治療するために用いることができる。慢性脂肪肝疾患は、肝臓への脂肪の蓄積を特徴とする疾患である。慢性脂肪肝疾患は、化合物毒性などで起こる急性の肝疾患とは、まったく異なる疾患である。なお、「脂肪肝」自体が、日々の生活により、肝臓への脂肪の蓄積が過度になり起こるものであり、「脂肪肝疾患」は「脂肪肝」の状態がさらに長く続いたときに起こる疾患であることから、「脂肪肝疾患」は通常、慢性の疾患であり、その意味では「脂肪肝疾患」は通常「慢性脂肪肝疾患」に該当する。
【0074】
一つの実施形態では、本発明が対象とする慢性脂肪肝疾患は炎症性疾患である。炎症性疾患としては、例えば、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が代表されるが、アルコールが原因の脂肪肝炎も非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と要因を共通する疾患があると考えられ、本発明は、炎症性の慢性脂肪肝疾患に適用可能であることが理解される。
【0075】
一つの実施形態では、本発明は、生活習慣に関連した炎症性の疾患の予防、改善または治療に有用である。慢性脂肪肝疾患は、その原因の多くは、運動量、栄養バランス、喫煙、アルコール摂取、睡眠時間などの生活習慣の乱れによるものであり、これらの原因による疾患に概ね有効であると合理的に推定することができる。
【0076】
別の実施形態では、本発明は、非アルコール性の慢性脂肪肝疾患の予防、改善または治療に有用である。なお、非アルコール性の慢性脂肪肝疾患は、その後被験者がアルコールを摂取するようになったとしても、非アルコール性の原因を有するとみなし、本定義に含まれることが理解される。
【0077】
別の実施形態では、本発明は、非アルコール性脂肪肝(NAFL)または非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の予防、改善または治療に有用である。NAFLは、脂肪肝疾患の中でも、比較的症状が軽く予後が良好な疾患とされるが、そのうちの一定程度の被験者が非アルコール性脂肪肝炎(NASH)へと進行することが知られており、NAFLの予防または早期治療は有用であると考えられる。
【0078】
理論に束縛されることを望まないが、本発明は、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の予防、改善または治療に有用であり、特にMatteoni分類においてType4の非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に対する効果が顕著であるといえる。Matteoni分類では、脂肪肝疾患の状態に基づいて脂肪肝疾患の重症度を判断されるが、Type 4 はType 3 に加えて肝線維化を認めるものであり、実施例において実証されるように、慢性脂肪肝疾患において線維化が抑制されることが見出されており、この重症度が進んだ慢性脂肪肝疾患の予防、改善または治療に有用であると当該分野において解釈されている。線維化自体は症状を引き起こさないが、重度に線維化が進展すると、肝硬変および合併症などを引き起こすことから、慢性疾患における線維化の抑制は重要なメルクマールであり、本発明において予防または治療効果が見いだされたことは望ましいものといえる。本発明は、脂肪肝疾患に付随する線維化の予防、改善または治療に有用である。
【0079】
別の実施形態では、本発明は、慢性脂肪肝疾患の予防または早期の段階での改善若しくは治療に有用である。本発明において、慢性脂肪肝疾患を発症させるにおいて、発症が十分確認されていない段階(6週間で発症が明確に確認されるところ3-4週間のレベル)での投与によっても、症状の改善、治癒がみられていることから、予防剤としての機能も十分に有し得ると評価されるからである。理論に拘束されるものではないが、本発明に係るインドリン化合物は、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)αおよびβ、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)1、2および3、ならびに血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)のATP結合ポケットに競合的に結合して細胞内シグナル伝達をブロックすることによって、線維芽細胞の増殖、遊走および形質転換を阻害し、その結果、組織の線維化が抑制されると考えられる。
【0080】
本発明の組成物を被験体に投与する経路は、利用可能なものであれば特に制限はない。最も好ましい実施形態では、本発明の組成物は、経口投与によって投与される。
【0081】
特定の実施形態では、本発明の組成物は、本明細書において一般式(I)で示される化合物に加えて、任意選択で添加剤を含む軟カプセル剤として投与される。最も好ましい実施形態では、本発明の組成物は、添加剤として、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ハードファットおよび大豆レシチンを含む。特定の実施形態では、軟カプセル剤は、ゼラチン、グリセリン、酸化チタン、三二酸化鉄および黄色三二酸化鉄から構成される。
さらに本発明の組成物は、オフェブ(登録商標)(ニンテダニブエタンスルホン酸塩、ベーリンガーインゲルハイム)と同じ剤形あるいはそのジェネリック剤を用いて投与することもできる。
【0082】
本明細書において「または」は、文章中に列挙されている事項の「少なくとも1つ以上」を採用できるときに使用される。「もしくは」も同様である。本明細書において「2つの値の範囲内」と明記した場合、その範囲には2つの値自体も含む。
【0083】
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。
【0084】
以上、本発明を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本発明を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供したのではない。従って、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【実施例
【0085】
(実施例1;NASHモデルを用いた慢性脂肪肝疾患に対するNTNの効果確認)
本実施例では、マウスモデルを用いて、本発明の有効成分が慢性脂肪肝疾患に有効であるかを確認する。
【0086】
(実験手法)
(マウスへの投与)
6匹のC57BL/6Jマウス(10週齢、オス)および12匹のB6J NASHマウス(10週齢、オス)を日本チャールス・リバー株式会社から購入した。B6J NASHマウスは、自然発症した確立したNASHモデルマウスである。C57BL/6Jマウスは、NASHを発症していない通常のマウスであり、線維化を発症していない群(対照群)として用いた。
【0087】
C57BL/6Jマウス(対照群)には飼育繁殖用飼料を、B6J NASHマウスには、60kcal%の脂肪および0.1%のメチオニンを含み、コリンを含まないL-アミノ酸飼料(CDAHFD60、Research Diet株式会社)を、4週間にわたって与えた。その後、B6J NASHマウスのうちの6匹のマウスにニンテダニブ(60mg/kg/日、ニンテダニブ群)(LC Laboratories)を、残りの6匹には溶媒(NASH群)を、2週間にわたって1日1回経口投与した。次いで、すべてのマウスを、セボフルラン(和光純薬工業株式会社)による深麻酔下で、腹部大動脈から放血させることによって安楽死させ、血液サンプルおよび肝臓を採取した。
【0088】
(血液サンプル調製および測定ならびに組織観察)
血液サンプルを室温で1時間静置し、その後1500×gで遠心分離することによって血清を回収し、解析まで-80℃で保存した。血清アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、アラニンアミノトランスアミナーゼ(ALT)、アルカリホスファターゼ(ALP)、トリグリセリド(TG)および非エステル化脂肪酸(NEFA)の濃度を、自動分析装置(HITACHI 7180)により測定した。血清中のサイトケラチン18(CK18)断片を、酵素吸着免疫結合アッセイ(ELISA)によって検出した。肝臓は、ホルマリンで24時間固定した後、パラフィンで包埋し、ミクロトームを使用して薄切した。次に各組織切片スライドを、ヘマトキシリンおよびエオジン(HE)により染色し、脂肪性肝炎のレベルを評価した。パラフィンで包埋した切片を、マッソントリクローム(MT)法によって染色し、肝臓の線維化を評価した。有意水準は、p<0.05に設定した。統計解析は、GraphPad Prism 4.03ソフトウェアにより行った。統計解析には、ボンフェローニ法を用いて、対照群とNASH群およびNASH群とニンテダニブ群の間で比較した。
【0089】
結果
NASH群における肝臓組織のHE染色の結果から、脂肪滴の蓄積が明らかとなり、さらに対照群と比較して有意に高い線維化レベルを有することが示された。これに対し、ニンテダニブ群は、NASH群よりも有意に低い線維化レベルを示した。
【0090】
NASH群のALTおよびALPレベルは、対照群におけるものよりも、それぞれ6.3倍および2.1倍高かった。ASTについては、NASH群は、対照群と比較して6.7倍の増大を認めた。これに対し、TGおよびNEFAについては、二群間で有意差はなかった。アポトーシスの活性を反映するCK18は、NASH群において対照群におけるものよりも4.3倍高かった。
これに対し、ニンテダニブ群とNASH群の生化学的解析およびCK18測定には、統計学的に有意な差は認められなかった。
【0091】
考察
ニンテダニブは、NASHマウスにおいて顕著な抗線維化作用を示した。ニンテダニブは、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)および線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)などの受容体のATP結合部位に対する作用をもたらす。細胞内シグナル伝達が、ニンテダニブによってブロックされたと考えられ、サイトカイン、およびTGF-βなどの成長因子によって制御される線維芽細胞の形質転換を阻害することによって、抗線維化作用がもたらされた可能性が考えられる。さらに、ニンテダニブの投与群において線維化レベルが低い状態に維持されたことが明らかになり、このことは、ニンテダニブが肝臓における線維化の進展を抑制し、線維性疾患の予防に有効であることも示唆する。この結果は、特発性肺線維症に対する薬物であるニンテダニブが、NASHの処置に対してもリポジショニングすることができることを実証する。
なお、ニンテダニブ群とNASH群の生化学的解析およびCK18測定には、統計学的に有意な差は認められなかった要因としては、ニンテダニブの投与期間が2週間と短いこと、研究に使用したマウスの個体数が少ないこと、ニンテダニブの副作用として肝酵素(ALT値、AST値)の上昇があること(10%以上)などが考えられ、これらの結果を考慮したとしても、ニンテダニブがNASHなどの慢性脂肪肝疾患の予防、改善および治療に有用であると評価し得るものである。
また、NASHモデルにおけるCK18の有意な変化は、NASHの疾患進行を示すバイオマーカーとして使用することができ、マウスモデルにおいて肝臓の酵素の顕著な増加および肝臓線維化の組織学的知見を特徴づけるものである。
【0092】
(実施例2:ドライアンプル)
(1) 10 ml当たり75 mgの活性物質を含有するドライアンプル
組成:
活性物質 75.0mg
マンニトール 50.0mg
注射用水 QS 10.0ml
調製
活性物質ニンテダニブとマンニトールを水に溶解する。包装した後、溶液を凍結乾燥する。用時調製液をつくるために、生成物を注射用水に溶解する。
(2) 2 ml当たり35 mgの活性物質を含有するドライアンプル
組成:
活性物質 35.0mg
マンニトール 100.0mg
注射用水 QS 2.0ml
調製:
活性物質ニンテダニブとマンニトールを水に溶解する。包装後、溶液を凍結乾燥する。用時調製液をつくるために、生成物を注射用水に溶解する。
【0093】
(実施例3:錠剤)
(1)50 mgの活性物質を含有する錠剤
組成:
(1)活性物質 50.0mg
(2)ラクトース 98.0mg
(3)トウモロコシデンプン 50.0mg
(4)ポリビニルピロリドン 15.0mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
215.0mg
調製:
(1)、(2)及び(3)を一緒に混合し、(4)の水溶液と造粒する。乾燥した顆粒状材料に(5)を添加する。この混合物から、二平面で、両面に切子面があり、片面に分割刻み目がある錠剤に押圧する。錠剤の直径: 9 mm。
(2)350 mgの活性物質を含有する錠剤
組成:
(1)活性物質 350.0mg
(2)ラクトース 136.0mg
(3)トウモロコシデンプン 80.0mg
(4)ポリビニルピロリドン 30.0mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 4.0mg
600.0mg
調製:
(1)、(2)及び(3)を一緒に混合し、(4)の水溶液と造粒する。乾燥した顆粒状材料に(5)を添加する。この混合物から、二平面で、両面に切子面があり、片面に分割刻み目がある錠剤に押圧する。錠剤の直径: 12 mm。
【0094】
(実施例4:カプセル剤)
(1)50 mgの活性物質を含有するカプセル
組成:
(1)活性物質 50.0mg
(2)乾燥トウモロコシデンプン 58.0mg
(3)粉末ラクトース 50.0mg
(4)ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
160.0mg
調製:
(1)を(3)で摩砕する。この摩砕物を(2)と(4)の混合物に激しく撹拌しながら加える。この粉末混合物をサイズ3の硬ゼラチンカプセルにカプセル充填機で充填する。
(2)350 mgの活性物質を含有するカプセル
組成:
(1)活性物質 350.0mg
(2)乾燥トウモロコシデンプン 46.0mg
(3)粉末ラクトース 30.0mg
(4)ステアリン酸マグネシウム 4.0mg
430.0mg
調製:
(1)を(3)で摩砕する。この摩砕物を(2)と(4)の混合物に激しく撹拌しながら加える。この粉末混合物をサイズ0の硬ゼラチンカプセルにカプセル充填機で充填する。
【0095】
(実施例5:坐剤)
100mgの活性物質を含む坐剤
組成:
活性物質 100mg
ポリエチレングリコール(M.W.1500) 600.0mg
ポリエチレングリコール(M.W.6000) 460.0mg
ポリエチレンソルビタンモノステアレート 840.0mg
2,000.0mg
調製:
ポリエチレングリコールをポリエチレンソルビタンモノステアレートと共に融解させる。その融解物に40℃で粉砕した活性物質を均一に分散させる。38℃に冷却し、少し冷却した坐剤型に注入する。
【0096】
(実施例6:軟カプセル剤)
100mgの活性物質を含有する軟カプセル
組成:
(1)活性物質 100.0mg
(2)中鎖脂肪酸トリグリセリド 適量
(3)ハードファット 適量
(4)大豆レシチン 1.2mg
約442.0mg
調製:
(1)~(4)を当業者に公知の手法によって混合し、この混合物を軟ゼラチンカプセルにカプセル充填機で充填する。
【0097】
(実施例7:軟カプセル剤)
150mgの活性物質を含有する軟カプセル
組成:
(1)活性物質 150.0mg
(2)中鎖脂肪酸トリグリセリド 適量
(3)ハードファット 適量
(4)大豆レシチン 1.8mg
約627.0mg
調製:
(1)~(4)を当業者に公知の手法によって混合し、この混合物を軟ゼラチンカプセルにカプセル充填機で充填する。
【0098】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、慢性脂肪肝疾患の予防、改善または治療において有用性を有する。
図1
図2
図3
図4