(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-20
(45)【発行日】2022-04-28
(54)【発明の名称】図画教材、及び板状教材連結具
(51)【国際特許分類】
G09B 19/10 20060101AFI20220421BHJP
G09B 11/10 20060101ALI20220421BHJP
A63F 7/40 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
G09B19/10 Z
G09B11/10 Z
A63F7/40
(21)【出願番号】P 2019216203
(22)【出願日】2019-11-29
【審査請求日】2020-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】593157736
【氏名又は名称】株式会社アーテック
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100171941
【氏名又は名称】辻 忠行
(72)【発明者】
【氏名】宇野 泰正
【審査官】鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-035637(JP,U)
【文献】実公昭41-013952(JP,Y1)
【文献】登録実用新案第3019689(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 19/10
G09B 11/00-10
A63F 7/04-40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生徒が描画や工作等の作業を行って製作する図画教材であって、
複数の板状教材と、
前記複数の板状教材を同一平面上に並べて連結する板状教材連結具と
を備え、
前記複数の板状教材は、それぞれ生徒一人で作業を行って1つの作品とすることが可能であり、
1つの作品となった前記複数の板状教材を前記板状教材連結具で連結することで共同作品とすることが可能
であり、
前記板状教材が、表面に打ち付ける複数の釘を含み、当該釘を打ち付けることでビー玉転がし遊具とすることが可能に構成され、
釘を打ち付けた当該板状教材の複数枚を前記板状教材連結具で連結することで、長尺のビー玉転がし遊具とすることが可能な図画教材。
【請求項2】
それぞれ生徒一人で作業を行って1つの作品とすることが可能な複数の板状教材を同一平面上に並べて連結して共同作品とすることが可能な板状教材連結具であって、
長板状の底板と、
前記底板の幅方向の両端から立設される一対の側板と
からなる本体部を備え、
前記本体部の長手方向の中間から、前記本体部に対し垂直に延出する仕切り部を備え、 前記仕切り部は、厚み方向を前記本体部の長手方向と同じくして前記底板から前記一対の側板の間を通るようにして突設される仕切り板を備えており、
前記仕切り部は、前記側板の長手方向の中間部を高くして前記仕切り板を幅方向の両端から挟むように設けた一対の仕切り部側板を備え、
前記仕切り部側板は、外面側に前記本体部の長手方向に延び、輪ゴムを係止可能な係止リブを備える板状教材連結具。
【請求項3】
それぞれ生徒一人で作業を行って1つの作品とすることが可能な複数の板状教材を同一平面上に並べて連結して共同作品とすることが可能な板状教材連結具であって、
長板状の底板と、
前記底板の幅方向の両端から立設される一対の側板と
からなる本体部を備え、
前記本体部は、前記底板を貫通する軸孔と、前記軸孔と長手方向の異なる位置に設けられる弾性部材係止部とを備える板状教材連結具。
【請求項4】
前記軸孔は、前記底板の長手方向における異なる位置に複数個設けられている請求項3
に記載の板状教材連結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、図画工作用の教材に関し、特に絵を描いたり釘を打ったりして、ビー玉転がしやピンボール等を作成する板状の教材を複数連結するための連結具に関する。
【背景技術】
【0002】
2020年度から使用される小学生向図画工作の教科書(非特許文献1)には、幅が10cmほどで長さが数mにおよぶ長板に、複数の生徒で、絵を描き多数の釘を打ち込んで、ビー玉転がしが楽しめるようにした作品が掲載されている
【0003】
また、別の学年の教科書(非特許文献2)には、一人で製作可能な半紙大の板に釘を多数打ち込んでビー玉転がしが楽しめるようにした作品が掲載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】開隆堂出版株式会社 図画工作 平成31年度版 3・4年上 P34~35
【文献】日本文教出版株式会社 図画工作 平成31年度版 5・6年上 P42~43
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、非特許文献1の作品は、複数の生徒が共同で作業をするため、生徒間の作業量に差が生じるという問題や、長くて嵩張るため保管や持ち帰りに困るという問題がある。
一方で、非特許文献2の作品では、個々の生徒で作品を楽しむことはできるものの、グループで楽しめないという問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、ビー玉転がし等に用いる板状教材について、各生徒が同じように作業をすることができ、かつ出来上がった作品をグループで楽しめるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた発明は、生徒が描画や工作等の作業を行って製作する図画教材であって、複数の板状教材と、前記複数の板状教材を同一平面上に並べて連結する板状教材連結具とを備え、前記複数の板状教材は、それぞれ生徒一人で作業を行って1つの作品とすることが可能であり、1つの作品となった前記複数の板状教材を前記板状教材連結具で連結することで共同作品とすることが可能である。
【0007】
こうすることで、生徒一人ひとりが1数の板状教材に描画や工作等の作業を行ことができ、またこの作業の完成した複数の板状教材を連結して、グループで作品を楽しむことができる。
【0008】
加えて、本発明の図画教材は、前記板状教材が、表面に打ち付ける複数の釘を含み、当該釘を打ち付けることでビー玉転がし遊具とすることが可能に構成され、釘を打ち付けた当該板状教材の複数枚を前記板状教材連結具で連結することで、長尺のビー玉転がし遊具とすることが可能である。
こうすることで、板状教材の順番を変えて多様なビー玉転がしゲームを楽しむことがで
きる。
【0009】
上記板状教材連結具は、長板状の底板と、前記底板の幅方向の両端から立設される一対の側板とからなる本体部を備えることが好ましい。
このように、本発明の板状教材連結具は、長板状の底板と、前記底板の幅方向の両端から立設される一対の側板とからなる本体部を備えることから、一対の側板の間に板状教材の端縁を差し込むことができる。例えば、2枚の長方形の板状教材を互いの短辺同士を当接させるようにして同一平面上に並べ、本発明の板状教材連結具を2枚の板状教材を跨ぐように側方から差し込めば、2枚の長方形の板状教材を1枚に連結できる。連続して複数の板状教材を連結することもできる。
【0010】
本発明の板状教材連結具は、前記本体部の長手方向の中間から、前記本体部に対し垂直に延出する仕切り部を備え、前記仕切り部は、厚み方向を前記本体部の長手方向と同じくして前記底板から前記一対の側板の間を通るようにして突設される仕切り板を備えることが好ましい。こうすることで、2枚の板状教材を、間に仕切り板を挟むようにして連結できるので、当該板状教材連結具が板状教材に対しスライドしてしまうことを防止できる。また、仕切り板に輪ゴムの一端をかけ、輪ゴムの他端を板状教材に固定することで、当該板状教材連結具をビー玉の発射装置として利用できる。
ここで、「長手方向の中間」とは、長手方向の中央に限らず、両端を除く間の部分のすべてを含むものとする。
【0011】
前記仕切り部は、前記側板の長手方向の中間部を高くして前記仕切り板を幅方向の両端から挟むように設けた一対の仕切り部側板を備えることが好ましい。こうすることで、一対の仕切り部側板でも板状教材を挟持でき、より安定して板状教材を連結することができる。
【0012】
前記仕切り部側板は、外面側に前記本体部の長手方向に延び、輪ゴムを係止可能な係止リブを備えることが好ましい。こうすることで、当該板状教材連結具をビー玉の発射装置として利用する際に、仕切り部に掛ける輪ゴムが外れることを抑制できる。
【0013】
前記本体部は、前記底板を貫通する軸孔と、前記軸孔と長手方向の異なる位置に設けられる弾性部材係止部とを備えることが好ましい。
こうすることで、当該貫通孔を通すようにして板状教材に釘を打ち込み、前記弾性部材係止部に例えば輪ゴムの一端を掛止し、輪ゴムの他端を板状教材に固定すれば、当該板状教材連結具をピンボールや野球盤のバットとして利用することができる。
【0014】
前記軸孔は、前記底板の長手方向における異なる位置に複数個設けられていることが好ましい。こうすることで、当該板状教材連結具をバットととして用いる際に、当該板状教材連結具の回動の中心を適宜に変更できる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明の図画教材によれば、複数の板状教材を連結できるので、各生徒に1枚の板状教材を与えて、これに描画や工作をさせたのち、各生徒の板状教材を連結することで、各生徒が同じように作業をすることができ、かつ出来上がった作品をグループで楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一の実施形態に係る板状教材連結具を示した斜視図である。
【
図2】
図1に示した板状教材連結具の平面図である。
【
図3】
図1に示した板状教材連結具の底面図である。
【
図4】
図1に示した板状教材連結具の正面図である。
【
図5】
図1に示した板状教材連結具の側面図である。
【
図6】本発明の一の実施形態に係る図画教材を用いて製作した共同作品である。
【
図7】
図1の板状教材連結具を用いて作成した作品例である。
【
図8】
図1の板状教材連結具を用いて作成した別の作品例の斜視図である。
【
図9】
図8におけるバットの変形例を示した部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、適宜図面を用いながら本発明の実施形態について詳述する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0018】
図1は、本発明の一の実施形態に係る板状教材連結具100を示している。板状教材連結具100は、生徒一人ひとりが描画、又は工作を施した板状の教材を持ち寄って、互いに連結するために用いられる。板状教材連結具100は、
図1に示すように、本体部10と、仕切り部20とを備え、樹脂により一体成型される。
【0019】
本体部10は、長板状の底板11と、底板11の幅方向の両端に垂設される一対の側板12,12とを有している。底板11は、
図2、
図3に示すように、両端に略T字の切れ込みからなる弾性部材係止部11a,11aを有し、長手方向の中間部に、複数個(図示の例では、仕切り部20を挟んで3つずつ、計6つ)の貫通孔からなる軸孔11b,11b,…を有している。
【0020】
仕切り部20は、
図2乃至
図5に示すように、本体部10の長手方向の中間から、本体部10に対し垂直に延出する。
仕切り部20は、底板11の長手方向の中間において、底板11から突設される仕切り板21と、仕切り板21を幅方向の両端から挟むようにして設けられる一対の仕切り部側板22,22とを備えている。
【0021】
仕切り板21は、底板11に垂直に、かつ厚み方向を当該長手方向と同じくして、一対の側板12,12の間を通るように設けられている。一対の仕切り部側板22,22は、側板12の長手方向の中間部において側板12の先端縁から突設されている。これにより、仕切り板21と一対の仕切り部側板22,22とで、断面がH字となるよう構成されている。
【0022】
仕切り部側板22,22は、長手方向の両端ほど薄くなるよう設けられ、その外面には、本体部10の長手方向に延び、かつ仕切り部側板22に垂直な一対の係止リブ23,23が設けられている。係止リブ23は、板状教材連結具100をビー玉の発射装置として用いる際に輪ゴムを係止する等のために用いられる。
【0023】
次に、本実施形態に係る図画教材1000の使用方法、及び各部の作用・効果について説明する。
図6は、板状教材連結具100を用いて、生徒ごとに個別に製作された複数(図示の例では、2枚)の板状教材9,9,…を連結して形成した図画教材1000を示している。
【0024】
板状教材9は、板状教材連結具100で連結する前に、一人の生徒によって絵が描かれ、多数の釘3や王冠4を打ち付ける等の工作が施されている。2枚の板状教材9,9を同一平面上に連結する際には、
図6に示すように、板状教材9の角部A1を、左右一対の板状教材連結具100,100の本側板12,12、及び仕切り部側板22,22の間に差し入れるようにして連結する。2枚の板状教材9,9は、仕切り板21,21により仕切られる。板状教材連結具100の板状教材9に対する嵌合が緩い場合は、板状教材9にテープ(不図示)を貼着する等して調節することができる。
【0025】
板状教材9の材質としては、特に限定されず、木材、又はMDF(中密度繊維板)等の木材の破砕片や繊維等を固めた木質材を用いることができる。
【0026】
このように、図画教材1000によれば、板状教材9を生徒一人ひとりが作成したのち、各生徒の板状教材を連結して共同作品とすることができるので、生徒一人ひとりの作業量を確保しながら、共同作品の制作やビー玉転がし等の遊戯を楽しむことができる。
また、共同作品は、簡単に板状教材9に分解できるので、共同作品を容易に持ち帰ることができる。
尚、仕切り部側板22,22は、長手方向の両端ほど薄くなるよう設けられているので、ビー玉が乗り越えやすい。
【0027】
図7は、板状教材連結具100をビー玉発射装置として用いたビー玉パチンコの作品Bを示している。作品Bは、板状教材9に描画が施され、ビー玉6を転がす際の案内や障害物となる釘3や王冠4、輪ゴム5と、ビー玉6を発射するための発射装置7とで構成される。
【0028】
発射装置7は、板状教材連結具100と、左右3本ずつを2列に並べるようにして板状教材9に垂直に打ち込まれた計6本の釘31~33と、1本の輪ゴム(弾性部材)61とからなる。板状教材連結具100は、2列の釘31~33の間に挿入され、中央の釘33,33と、仕切り部20の係止リブ23,23にかけ渡された輪ゴム51により、釘31~33の並ぶ方向に沿って、摺動可能に構成されている。
【0029】
板状教材連結具100を、
図7の仮想線で示すように、輪ゴム51の弾性力に抗して手前側へ引いた状態で、板状教材連結具100の先端(
図7の上端)にビー玉6をセットする。この状態で、板状教材連結具100から手を離すと、輪ゴム51の弾性力により板状教材連結具100が先端側へ摺動してビー玉6が板状教材9上へ発射される。この際、釘32,32は係止リブ23に当接して、板状教材連結具100が先端側へ飛び出すのを防止する。
【0030】
図8は、板状教材連結具100をバット(フリッパー)として用いたピンボールゲームの作品例Cを示している。作品例Cは、板状教材9に描画が施され、釘3や王冠4、輪ゴム5からなるビー玉6の案内や障害物と、落下してきたビー玉6を打ち返すための左右一対のバット8,8とで構成される。
【0031】
バット8は、板状教材連結具100と、板状教材9に垂直に打ち込まれた3本の釘34,35,36と2本の輪ゴム52,53により構成される。板状教材連結具100は、釘34を軸孔11bの1つに挿入して板状教材9に連結され、釘34を軸として回動する。板状教材連結具100の一方の弾性部材係止部11aは、輪ゴム52により、板状教材連結具100の上側(
図8の上側)に設けられた釘35に連結され、板状教材連結具100の係止リブ23は、輪ゴム53により、板状教材連結具100の下側の釘36に連結されている。
【0032】
図8に仮想線で示すように、板状教材連結具100は、一端側(輪ゴム52で係止された側)を輪ゴム52、53の弾性力に抗して下方(
図8の下側)に回動させると、その他端側の端部が上方へ回動して、上方から転がってきたビー玉6を打ち返すことができる。その後、板状教材連結具100の一端側から手を離すと板状教材連結具100の一端側は、輪ゴム52、53の弾性力により元の位置に復帰する。この際、板状教材連結具100の他端側は、釘36に当接することにより停止する。
【0033】
ただし、輪ゴムを係止する釘3の位置や、輪ゴム5のかけ渡し方は、特に限定されず自由に設計することができ、例えば、輪ゴム52,53の一方を、省略してもよいし、板状教材連結具100の他方(
図8の左右方向の内側)の弾性部材係止部11aと釘36の間に輪ゴム掛け渡してもよい。
【0034】
また、
図9に示すように、板状教材連結具100の下側に釘35を配し、釘35と一方の弾性部材係止部11aとを輪ゴム52でかけ渡すようにしてもい。この場合、板状教材連結具100の一端側を上側に回動させたのち、手を離すとその他端側が上方へ回動して、ビー玉6を弾くことになる。
図9の例では、釘36を板状教材連結具100の上側に配し、釘36と仕切り部20を輪ゴム53で連結するようにしている。
【0035】
本発明に係る板状教材連結具は、上記の実施形態に限らず、例えば、本体部は、2枚の板状教材を連結できれば、特に形状は限定されず、本体部は、側壁を備えなくともよいし、片方だけ側壁を備えてもよく、仕切り部や、弾性部材係止部、軸孔は、備えなくともよい。弾性部材係止部は、切れ込みに限らず、突起により構成してもよい。仕切り部は、仕切り部側板や係止リブを備えなくともよく、また、板状教材連結具は、仕切り部のみからなってもよい。軸孔は、6つに限らず5つ以下でも7つ以上でもよい。板状教材連結具は、樹脂に限らず金属、木材その他の公知の材料で形成でき、各部が一体に設けられていなくともよい。
【符号の説明】
【0036】
用図画教材1000
板状教材連結具100
本体部10
底板11
側板12
仕切り部20
仕切り板21
係止リブ22
弾性部材係止部11a
軸孔11b
釘3
板状教材9