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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-20
(45)【発行日】2022-04-28
(54)【発明の名称】射精促進器及び射精促進器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/453 20060101AFI20220421BHJP
【FI】
A61F5/453
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021164269
(22)【出願日】2021-10-05
【審査請求日】2021-11-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513093575
【氏名又は名称】株式会社エンジョイトイズ
(74)【代理人】
【識別番号】100115842
【弁理士】
【氏名又は名称】秦 正則
(72)【発明者】
【氏名】成田 慶彦
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-524780(JP,A)
【文献】国際公開第2018/025413(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/453
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性変形自在であり、筒状の形状とされ、長手方向の少なくとも一端面に挿入口を配設し、当該挿入口から内部に延びる空間となる挿入部が形成され、当該挿入部の内面には、陰茎を刺激する部分が形成される内層と、
弾性変形自在であり、当該内層の挿入口と共通する位置に挿入口を配し、手で握ることが可能な形状とされ、前記内層の周囲を覆うように形成された外層と、を含み、
前記内層は、外面から前記挿入部まで貫通する空隙が形成され、
前記外層は、前記内層を外部から視認でき
前記外層の内面の、前記内層の空隙に対応する位置の少なくとも1つに、内側に向かう突起が形成されていることを特徴とする射精促進器。
【請求項2】
前記内層が着色されており、前記外層が透明であることを特徴とする請求項1に記載の射精促進器。
【請求項3】
前記外の内面の、前記内層の空隙に対応する位置に、内側に向かう突起が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の射精促進器。
【請求項4】
前記内層の構成材料が、弾性ポリマーに対して吸水性樹脂を含有してなり、
前記外層の構成材料が、弾性ポリマーを主成分として含有してなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の射精促進器。
【請求項5】
前記内層を構成する前記弾性ポリマー100質量部に対して、前記吸水性樹脂を1~100質量部含有することを特徴とする請求項4に記載の射精促進器。
【請求項6】
前記内層を構成する前記吸収性樹脂がポリアクリル酸ナトリウムであり、
前記内層及び前記外層を構成する前記弾性ポリマーが熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の射精促進器。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の射精促進器の製造方法であって、
組み合わせて内層の形状を形成するための型である芯型と内枠型を用い、前記芯型を、前記内枠型の内部に取り付ける工程と、
前記内枠型の内部に、溶融状態の前記内層を構成する材料を注入し、当該材料を冷却固化させる工程と、
周囲に前記内層の形状が形成された前記芯型を、前記内枠型から取り出す工程と、
前記周囲に前記内層の形状が形成された前記芯型を、前記外層の形状を形成するための外枠型の内部に取り付ける工程と、
前記外枠型の内部に、溶融状態の前記外層を構成する材料を注入し、当該材料を冷却固化させる工程と、
周囲に前記内層の形状及び前記外層の形状が形成された前記芯型を前記外枠型から取り出す工程と、
前記芯型から前記内層及び前記外層が形成された成形品を取り外す工程と、
を含むことを特徴とする射精促進器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射精促進器及び射精促進器の製造方法に関する。さらに詳しくは、男性の陰茎(ペニス)に刺激を与えることにより、射精を促進・誘発し、精液(精子)採取器としても使用可能な射精促進器及び射精促進器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
射精促進器ないし精液(精子)採取器(以下、単に「射精促進器等」とする場合もある。)は、長手方向の一端面に挿入口を配設し、かかる挿入口から内部に延びる空間となる挿入部が形成された筒状の部材からなり、かかる挿入口から陰茎(ペニス)を挿入部に挿入して使用される。また、陰茎を挿入する筒状部材について、陰茎との密着性や刺激等を高めるために、陰茎のサイズや形状等に応じて内部構造等にいろいろな工夫がなされており、さらには、このような射精促進器は、精子の採取器(精子採取器、精子採取装置等)として、医学的な研究や治療等の見地に加えて、個人的な性的欲求を解消させることによる性犯罪の予防等の社会的な要求という見地からも、極めて重要とされている。
【0003】
従来の射精促進器等としては、例えば、挿入口と、陰茎を挿入するための空間となる挿入部を内部に有する弾性変形自在なエラストマー等の弾性ポリマーや合成樹脂等からなる筒状部材におけるかかる挿入部の内壁に、複数の小突起や襞形状が形成された構造とされるもの等が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照。)。なお、筒状部材の挿入部の内壁に形成された、刺激部となる小突起や襞状形状としては、例えば、直線または波線状のリブや、連続する段差形状、ポリープ状の小突起や襞形状を呈することにより膣構造を模すような形状とされており、陰茎を筒状部材の挿入口から挿入部に挿入した際には、陰茎に対して膣に挿入されたのと同様な刺激が与えられるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3135770号公報
【文献】特開2012-239560号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、従来の射精促進器等は、手で握ることができ、使用者の陰茎を刺激できて射精を促進できればよいということで、外観的なデザインにはそれほど拘りがない製品が多かった。また、前記したように、従来の射精促進器等は、単に、挿入部に刺激部が形成されて事を成すものが多い一方、刺激部の形状等に工夫をすることは限界があり、使用感にバリエーションを付与することは難しかった。
【0006】
本発明の目的は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、デザイン性に優れるとともに、使用感も良好な射精促進器及び射精促進器の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前期の課題を達成するために、本発明に係る射精促進器は、
弾性変形自在であり、筒状の形状とされ、長手方向の少なくとも一端面に挿入口を配設し、当該挿入口から内部に延びる空間となる挿入部が形成され、当該挿入部の内面には、陰茎を刺激する部分が形成される内層と、
弾性変形自在であり、当該内層の挿入口と共通する位置に挿入口を配し、手で握ることが可能な形状とされ、前記内層の周囲を覆うように形成された外層と、を含み、
前記内層は、外面から前記挿入部まで貫通する空隙が形成され、
前記外層は、前記内層を外部から視認でき
前記外層の内面の、前記内層の空隙に対応する位置の少なくとも1つに、内側に向かう突起が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る射精促進器は、前記した本発明において、前記内層が着色されており、前記外層が透明であることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る射精促進器は、前記した本発明において、前記外の内面の、前記内層の空隙に対応する位置に、内側に向かう突起が形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る射精促進器は、前記した本発明において、前記内層の構成材料が、弾性ポリマーに対して吸水性樹脂を含有してなり、前記外層の構成材料が、弾性ポリマーを主成分として含有してなることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る射精促進器は、前記した本発明において、前記内層を構成する前記弾性ポリマー100質量部に対して、前記吸水性樹脂を1~100質量部含有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る射精促進器は、前記した本発明において、前記内層を構成する前記吸収性樹脂がポリアクリル酸ナトリウムであり、前記内層及び前記外層を構成する前記弾性ポリマーが熱可塑性エラストマーであることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る射精促進器の製造方法は、前記した本発明の射精促進器を製造する方法であって、
組み合わせて内層の形状を形成するための型である芯型と内枠型を用い、前記芯型を、前記内枠型の内部に取り付ける工程と、
前記内枠型の内部に、溶融状態の前記内層を構成する材料を注入し、当該材料を冷却固化させる工程と、
周囲に前記内層の形状が形成された前記芯型を、前記内枠型から取り出す工程と、
前記周囲に前記内層の形状が形成された前記芯型を、前記外層の形状を形成するための外枠型の内部に取り付ける工程と、
前記外枠型の内部に、溶融状態の前記外層を構成する材料を注入し、当該材料を冷却固化させる工程と、
周囲に前記内層の形状及び前記外層の形状が形成された前記芯型を前記外枠型から取り出す工程と、
前記芯型から前記内層及び前記外層が形成された成形品を取り外す工程と、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る射精促進器は、使用者の陰茎が挿入される挿入部が形成された内層の周囲を覆うように外層が形成される少なくとも2層構造とし、外層が、内層を外部から視認できるような構成としたので、内層のデザインが外部から容易に視認でき、内層の形状を工夫することも含め、デザイン性に優れた射精促進器となる。また、内層の外面に空隙が形成されているので、空隙は内層に模様的なデザインを形成し、内層の外観形状のデザインとあわせて、意匠性を備えた内層が外層から視認でき、かかる点でもデザイン性に優れた射精促進器となる。加えて、挿入部の内壁に空隙による空間が形成されることにより、かかる空間に他の部材を入れたりする等による刺激のニュアンスの変化により、使用感にバリエーションを与えることができ、その結果、使用感も良好となる。
【0015】
本発明に係る射精促進器の製造方法は、前記した効果を奏する射精促進器を簡便な方法で提供可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る射精促進器の一態様を示した正面図である。
図2】本発明に係る射精促進器の一態様を示した正面図である。
図3】本発明に係る射精促進器の一態様を示した斜視図である。
図4】本発明に係る射精促進器の一態様を示した斜視図である。
図5図1の射精促進器の内部構造を示した図である。
図6図3の射精促進器の内部構造を示した図である。
図7図6の部分拡大図である。
図8】内層と空隙と外層の突起との関係を示した図である。
図9】内層の一態様を示した斜視図である。
図10】内層の内部構造を示した正面図である。
図11】内層の内部構造を示した斜視図である。
図12】外層の内部構造の一態様を示した正面図である。
図13】外層の内部構造の一態様を示した斜視図である。
図14】射精促進器を製造するための型等の一例を示した説明図である。
図15】射精促進器を製造するための型等の一例を示した説明図である。
図16】射精促進器を製造するための型等の一例を示した説明図である。
図17】射精促進器を製造するための型等の一例を示した説明図である。
図18】射精促進器を製造するための型等の一例を示した説明図である。
図19】本発明に係る射精促進器の他の態様を示した斜視図である。
図20】本発明に係る射精促進器の他の態様を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態の例を図面に基づいて説明する。
【0018】
(I)射精促進器1の構成:
図1及び図2は、本発明に係る射精促進器1の一態様を示した正面図(図1及び図2は見る方向が異なる。)、図3及び図4は、本発明に係る射精促進器1の一態様を示した斜視図(図4については、後記する内容も参照。)である。また、図5は、図1の射精促進器1の内部構造を示した図、図6は、図3の射精促進器1の内部構造を示した図、をそれぞれ示す。なお、符号は、対象となる部材等の全てには付しておらず、図5及び図6では、内層2及び外層3の径に関する符号(22~24、26、32~34、36)は付していない。
【0019】
また、本発明に係る射精促進器1は、外層3が内層2を外部から視認できるように形成されているので、前記した図のうち、図4以外(及び後記する図9ないし図11等も。)にあっては、内層2に対応する部分を、無数の「・」(点:ドット)を付けて見易くなるように示している。一方、図1等では、外層3(及び射精促進器1)の輪郭等がわかりにくいので、図4では、射精促進器1を内層2が描写されない外観として示しており、また、図4のみ、小径部36と大径部33,34との境界を境界L1、小径部36と中径部32との境界を境界L2として載せている。
【0020】
図1ないし図6に示す本発明に係る射精促進器1は、精子(精液)を採取する装置(精子(精液)採取器ないしは精子(精液)採取装置)としても使用することができ、図1ないし図6等にも示すように、
弾性変形自在であり、筒状の形状とされ、長手方向(図1等の矢印(→)方向を参照。)の少なくとも一端面に挿入口Sを配設し、当該挿入口Sから内部に延びる空間となる挿入部21が形成され、当該挿入部21の内面には、陰茎を刺激する部分が形成される内層2と、
弾性変形自在であり、当該内層2の挿入口Sと共通する位置に挿入口Sを配し、手で握ることが可能な形状とされ、前記内層2の周囲を覆うように形成された外層3と、を含み、
前記内層2は、外面から前記挿入部21まで貫通する空隙25が形成され、
前記外層3は、前記内層2を外部から視認できる、
ことを含む構成を備える。
【0021】
本実施形態に係る射精促進器1は、図1ないし図3図5及び図6に示すように、挿入部Sの内壁に図示しない使用者の陰茎を刺激する部分が形成され、後記する(III)では、使用時には滑りを生じさせるために、かかる陰茎を刺激する部分等が形成された挿入部21(こちらも後記する。)に水等の液体と接触させて使用することができる態様を示している。また、図1ないし図3等に示すように、本発明に係る射精促進器1は、内層2の周囲を外層3が覆うよう、少なくとも2層構造になるように形成されている。以下、射精促進器1を構成する内層2及び外層3の構成について説明する。
【0022】
(1)内層2の構成:
図7は、図6の部分拡大図、図8は、内層2の空隙25と外層3の突起31との位置関係を示した図、図9は内層2の一態様を示した斜視図、図10は、内層2の内部構造を示した正面図、図11は、内層2の内部構造を示した斜視図、をそれぞれ示す。なお、図8では、内層2中、空隙25に対応する部分(「・」(点:ドット)を図1等と同じものとした。)とそうでない部分(「・」を他と比べて太くした。)との違いを分かるようにしている。また、図9ないし図11のみ、内層2の外面を2aとして示している。図1ないし図11(特に、図1図10等。)に示すように、射精促進器1を構成する内層2は、弾性変形自在であり、筒状の形状とされ、長手方向の一端面に挿入口Sを配設し、かかる挿入口Sから内部に延びる空間となる挿入部21が形成されており、挿入部21から図示しない使用者の陰茎を挿入可能とされている。
【0023】
内層2は、図1図4等に示すように、使用者(図示しない。以下同じ。)の手で握ることが可能な筒状の形状とされている外層3に覆われているが(外層3については後記する。)、本実施形態における内層2も、図9等に示すように、外層3に則った形状とされ、使用者の手で握ることが可能な筒状の形状とされている。
【0024】
内層2の形状は、本実施形態にあっては、図9等に示すように、長手方向の略中央に、平面視でなだらかな山状となる中径部22を真ん中として、中径部22より径が大きな径からなる山状の大径部23,24が、中径部22より径が小さく、谷となる小径部26を挟んで対称に形成されている。
【0025】
射精促進器1は、図5図10に示すように、本実施形態にあっては、挿入部21の内壁には、陰茎を刺激する部分(刺激部X)が形成されている。陰茎を刺激する部分(刺激部X)の形状の例としては、凸部(突起)や襞形状、疣(いぼ)形状、蛇腹形状、連続する段差形状等が挙げられ、これらの刺激部Xを所定の配置で形成することができる。図5図6図7ないし図11等には、刺激部Xの一例である蛇腹形状や連続する段差形状等を所定の配置で形成した態様を示している。
【0026】
なお、挿入部21の内面(内壁)に形成される、陰茎を刺激する部分(刺激部X)については、挿入口S付近と挿入部21の先端付近ではそれぞれ異なる形状としたり、また、挿入口S付近と、挿入部21の略中央付近とは異なる形状や配置としてもよく、その形状や配置は任意に決定することができる。例えば、挿入口S付近と、挿入部21の略中央付近や先端付近を異なる形状等とすれば、図示しない陰茎の一部(例えば、亀頭等。)に対して、他の部分と異なる種類の刺激を与えることができる。
【0027】
内層2は、後記する外層3を介して外部から視認可能とされているため、着色されていることが好ましい。内層2を着色するには、内層2の構成材料に着色剤を添加して、内層2の内部を含む全体を着色してもよいし、内層2の外面を着色するようにしてもよいが、詳しくは後記する。
【0028】
内層2の外面(壁面)2aには、図9ないし図11等に示すように、内層2の内部に形成される空間である挿入部21まで貫通される、空隙(穴、スリット等。)25が複数個形成されている。空隙25は、本実施形態にあっては、正面視で菱形状(ダイヤ(◇)形状)とされ、かかる菱形状の空隙25が、内層2の外面から挿入部21まで達して貫通するように複数個形成されている。
【0029】
このように、内層2の外面2aに、挿入部21に貫通する空隙25が形成されていることにより、空隙25は内層2に模様的なデザインを形成し、内層2の外観形状のデザインとあわせて、意匠性を備えることになり、かかる意匠性を備えた内層2が外層から視認できるため、デザイン性に優れた射精促進器1となる。加えて、挿入部21の内面(内壁)に空隙25による空間が形成され、かかる空間に他の部材(本実施形態では外層3の内面に形成された、先端が挿入部21まで貫通される突起31)を入れたりする等(図7図8等参照。)による刺激のニュアンスの変化により、使用感にバリエーションを与えることができ(いろいろな使用感を楽しめることになる。)、その結果、使用感が良好な射精促進器1となる。
【0030】
なお、内層2の外面2aに形成される空隙25は、内層2の外面2aに対して1つ以上形成されていればよく、デザイン性を向上させ、また、使用感にバリエーションを効率よく付与すべく、図1等や図9等に示すように複数個形成されていることが好ましい。また、内層2の外面2aから内部の挿入部21に達するように貫通して形成される空隙25の形状は、前記した菱形状に限定されず、正面視で三角形状、四角形状(矩形状、正方形状等も含む。)五角形状等の多角形状、円形状、楕円形状、幾何学的形状等、任意の形状とすることができ、また、空隙25を複数個形成する場合には、全体的に共通した形状としてもよく、複数種の形状としてもよく、さらに、内層2の外面2aから確認できる面積や数、内層2の外面2aの面積全体(空隙25の面積を含む。以下同じ。)に占める割合(強度等を考慮し、空隙25(全体)の面積の割合を、内層2の外面2aの面積全体の半分(50%)以下とすることが好ましいが、特にこれには限定されない。)、位置等も全て任意に決定することができる。なお、空隙25(及び外層3の内面3a(図12等参照。)に形成される突起31)の形状の他の態様については、図19及び図20を用いて後記する。
【0031】
また、図5ないし図8に示すように、本実施形態にあっては、内層2の空隙25に、後記する外層3の内面3aに形成された、正面視(断面視も)で三角(△、▽)形状の突起51が入り込んでいる態様を示しているが、これについては後記する。
【0032】
次に、内層2の構成材料等を説明する。弾性変形自在(物体に力を加えて生じる変形の中で、その力をとり除くと完全に元の形に戻る変形(弾性変形)が自在(思いのまま)であること。以下、外層3についても同じ。)とされる内層2を構成する材料としては、適当な弾力、伸縮性、柔軟性を備えた材料を使用することが好ましく、弾性ポリマー(軟質樹脂とも呼ばれる。)が用いることが好ましい。かかる弾性ポリマーとしては、例えば、熱可塑性エラストマー、エラストマー、ゲル状のゴム、シリコーン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、軟質ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、軟質ポリオレフィン系樹脂等を用いることができる。これらの弾性ポリマーは、その1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0033】
弾性ポリマーとしては、後記する外層3も含め、成形性、コスト、成形体として用いた場合の使用感が良好である等という点で、熱可塑性エラストマーを使用することが好ましい。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、(水素添加)スチレン-エチレン-プロピレンブロック共重合体(SEP)、(水素添加)スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、(水素添加)スチレン-エチレン-プロピレンスチレンブロック共重合体(SEPS)、(水素添加)スチレンエチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEEPS)、スチレン-ブタジエンブロック共重合体(SBR)、(水素添加)スチレン-ブタジエンブロック共重合体(SEB)スチレン-イソプレンブロック共重合体(SIR)、水素添加スチレン-イソプレンブロック共重合体(SEP)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)等のスチレン系熱可塑性エラストマーを使用することが特に好ましい。これらは、その1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0034】
また、例えば、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ネオプレン、ポリスルフィドゴム、チオコールゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ブタジエン-アクリロニトリル-スチレン-コアシェルゴム(ABS)、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン-コアシェルゴム(MBS)、メチルメタクリレート-ブチルアクリレート-スチレン-コアシェルゴム(MAS)、オクチルアクリレート-ブタジエン-スチレン-コアシェルゴム(MABS)、アルキルアクリレート-ブタジエン-アクリロニトリル-スチレンコアシェルゴム(AABS)、ブタジエン-スチレン-コアシェルゴム(SBR)、メチルメタクリレート-ブチルアクリレート-シロキサン等のシロキサン含有コアシェルゴム等のコアシェルタイプの粒子状弾性体、あるいはこれらを変性したゴム等を挙げることができる。これらは、その1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0035】
また、本発明にあっては、内層2の構成材料として、前記した弾性ポリマーに対して、吸水性樹脂(吸水性高分子、吸水性ポリマーとも呼ばれる。)を含有することが好ましい。内層2の構成材料として弾性ポリマーと吸水性樹脂を組み合わせて用いることにより、内層2として成形された際にベース材料となる弾性ポリマーに分散し、内層2に吸水性を付与することができ、内層2に水等の液体(以下、単に「水等」とする場合もある。)を接触させることによりゲル状化し、挿入部21の表面に滑りを発生させることができる。また、かかる適度の滑りは挿入部21にローションを注ぎ込んだと共通するものとなるため、ローションの使用を極力少なくすることができ、好ましくは、ローションを不要とすることができる。
【0036】
吸水性樹脂としては、特に制限はないが、例えば、ポリアクリル酸系塩(ポリアクリル酸系塩の架橋体を含む。)、ポリアクリルアミド、澱粉-アクリロニトリルグラフト共重合物の加水分解物、カルボキシメチルセルロース架橋体、アクリル酸(塩)-ビニルアルコール共重合物、ポリオキシエチレン架橋体、ポリアルキレンオキシド単位を含む熱可塑性樹脂等が挙げられる。
【0037】
一般に、アクリル酸の重合体はカルボキシル基を多数持つため非常に親水性が高く、吸水性樹脂としては、ポリアクリル酸系塩を含有することが好ましい。また、必要により網目構造に架橋させ、ナトリウム塩の形とすると高い吸水性を持つゲルとなり、優れた特性を示すことから、ポリアクリル酸ナトリウムを使用することが特に好ましい。ポリアクリル酸ナトリウムは架橋体となっているもの(ポリアクリル酸ナトリウム架橋体)を使用するようにしてもよい。ポリアクリル酸ナトリウムは高吸水性樹脂(高吸水性高分子)としても知られており、少量の添加で多量の水を吸収することができるため、本発明の目的に適している。
【0038】
吸水性樹脂は、液状、粉末状(パウダー状、顆粒状を含む。)等のものを使用することができ、粉末状のものを用いることが好ましい。粉末状とすることにより、表面積も大きくなり、吸水能がさらに向上し、また、ベース材料となる弾性ポリマーに良好に分散することになる。平均粒径は、特に制限はないが、例えば1~1000μmであることが好ましく、また、形状は球形状、板形状、造流体、不定形状等の公知の形状のものを使用することができる。
【0039】
内層2の構成材料としての、弾性ポリマーに対する吸水性樹脂の含有量は、使用される弾性ポリマーの種類、吸水性樹脂の種類、必要とされる特性(滑りの程度)等により適宜決定することができ、吸収性樹脂の含有量を多くすると、少ない水の量で滑りを生じさせると考えることができるが、概ね、弾性ポリマー100質量部に対して1質量部以上とすることが好ましく、1~100質量部含有することがさらに好ましい。吸水性樹脂の含有量が弾性ポリマー100質量部に対して1質量部より小さいと、水等を接触させても滑りが発生しない場合があり、100質量部より多いと、弾性ポリマーの含有量を超え、弾性変形に影響を与える場合もあり、また、若干のコスト高となる場合がある。
【0040】
なお、吸水性樹脂の含有量を多くすることにより、吸水性樹脂のコストが若干上がる一方で、ゲル化できる回数が増え、使用回数をより多くすることができるというメリットがある。弾性ポリマーに対する吸水性樹脂の含有量は、弾性ポリマー100質量部に対して5~100質量部とすることがより好ましく、低コスト的となり、また、良好な使用感を楽しむためには、弾性ポリマー100質量部に対して5~20質量部とすることがさらにより好ましく、8~20質量部とすることが特に好ましい。
【0041】
本発明の射精促進器1は、内層2の形状を外部から視認しやすくするため、内層2は着色されていることが好ましいことは前記したが、内層2を着色するためには、内層2の構成材料に従来公知の着色剤を添加してもよく、また、内層2の外面(図9等の外面2aを参照。)を塗装等により着色するようにしてもよい。内層2の製造の簡便化を考慮すると、内層2を着色するにあっては、内層2の構成材料に着色剤を添加することが好ましい。
【0042】
また、前記した構成材料には、さらに、発泡剤を添加するようにしてもよい。発泡剤を添加することにより、内層2の軟らかさ、弾力性が適度のものとなり、人肌に近付けることができる。発泡剤としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、無機系の熱分解型化学発泡剤、有機系の熱分解型化学発泡剤等の化学発泡剤、物理発泡剤等を使用することができる。発泡剤の適用の有効性等については後記する外層3も同様である。
【0043】
内層2における発泡剤の含有量は、特に制限はなく、求められる発泡の度合い、軟らかさ等に応じて適宜決定することができるが、例えば、弾性ポリマー100質量部に対して0.1~50質量部とすることが好ましく、0.1~10質量部とすることが特に好ましい。
【0044】
(2)外層3の構成:
図12は、外層3(外層3のみ)の内部構造を示した正面図、図13は、外層3(外層3のみ)の内部構造を示した斜視図、をそれぞれ示す(図12及び図13のみ、外層3の内面を3aとして示している。)。前記した図1等にも示すように、射精促進器1を構成する外層3は、前記した内層2を覆うように形成されている。弾性変形自在な外層3(なお、前記した内層2と外層3がともに弾性変形自在なので、それらから形成される射精促進器1も弾性変形自在となる。)の内面3aは、弾性変形自在な内層2の外面2aに密着しており、外層3の内面3aには、正面視(断面視も)で三角(△、▽)形状(四角形状となっているところもある。突起31について同じ。)の突起31が、内層2の空隙25に対応する位置に形成されている。図5ないし図8(特に図7図8を参照。)に示すように、かかる突起31が、先端を内層2の挿入部21に向けて、内層2の外面2aに形成された菱形状(ダイヤ(◇)形状)の空隙25の内部に入り込んでいることは前記したとおりである。なお、図5ないし図8(特に図7図8を参照。)に示すように、本実施形態では、突起31の先端が内層2の挿入部21に現れている(飛び出ている)態様を示している。
【0045】
本実施形態では、具体的には、内層2の外面2aに形成された菱形状(ダイヤ(◇)形状)の空隙25の1つに、外層3の内面3aに形成された、正面視(断面視も)で三角(△)及び三角(▽)(後者は逆三角とも呼ばれる。)の突起31が1つずつ組み合わさって、その内部に入り込んでいる態様を示している。
【0046】
空隙25が形成された内層2の外面(壁面)2aは、外層3の内面3aと接しており、また、内層2の外面2aに形成されている空隙25には、外層3の内面3aに形成された突起31が入り込んでいる。加えて、図5ないし図8(特に図7図8を参照。)に示すように、かかる突起31の先端が内層2の挿入部21に現れているが、内層2の挿入部21の側から見た場合、突起31の先端が現れていることにより、内層2の挿入部21に形成された刺激部Xとともに刺激する部分となる。すなわち、本実施形態の射精促進器1は、外層3から内層2の挿入部21に入り込む突起31ないしは突起31の先端が、内層2の挿入部21に形成されている刺激部Xと同様、挿入部21に挿入される図示しない陰茎を刺激することができ、使用感のバリエーションを付与することができる。なお、外層3の内面3aに形成された突起31も、前記した三角形状に限定されず、正面視(断面視)で四角形状(矩形状、正方形状、菱形状等も含む。)五角形状等の多角形状、円形状、楕円形状、幾何学的形状等、任意の形状とすることができる。また、突起31を複数個形成する場合には、全体的に共通した形状としてもよく、複数種の形状としてもよく、面積や数、外層3全体に占める割合、位置等も全て任意に決定することができる。
【0047】
外層3の内面3aに形成された突起31は、前記した図5ないし図8等に示すように、突起31の先端が内層2の挿入部21まで達していることが好ましいが、達していない場合であっても、使用時に使用者が射精促進器1を握った際に、突起31の先端が挿入部2に挿入された図示しない陰茎に触れるか触れないかの状態となる場合もあり、空隙26の存在も含め、使用感のバリエーションが増えることになるため、突起31の先端が内層2の挿入部21に達していない状態であっても問題はない。
【0048】
外層3は、本発明にあっては、覆っている内層2を外部から視認できるようにされている。外層3がそのようにされているので、外面に空隙25が形成された内層2の形状が外部から視認でき、デザイン性に優れた射精促進器1となる。外層3は、覆っている内層2を外部から視認できるのであれば、透明(クリア)、半透明、曇状等の任意の色彩とすることができるが、視認がしやすく、また、着色剤の添加や工程を削減等できるため、透明とすることが好ましい。
【0049】
外層3は、内層2と共通する挿入口Sを有し、図示しない使用者の手で握ることが可能な筒状の形状とされている。外層3の形状は、本実施形態にあっては、前記した内層2と共通し、図1図12等に示すように、長手方向の略中央に、平面視でなだらかな山状となる中径部32を真ん中として、中径部32より径が大きな径からなる山状の大径部33,34が、中径部32より径が小さく、谷となる小径部36を挟んで対称に形成されている。使用者は、谷となる小径部36等に手の指をかけて握ることができるため、使用者にとって握りやすい形状となる。
【0050】
使用者の手に握られ、弾性変形自在な外層3の構成材料は、前記した内層2を構成する材料のうち、弾性ポリマーを主成分として使用することが好ましい。外層3を構成する弾性ポリマーの具体例としては、熱可塑性エラストマーを使用することが好ましく、スチレン系熱可塑性エラストマーを使用することが特に好ましいことも含め、内層2のところで載せたものと共通するため、記載を省略する。なお、射精促進器1として、内層2に吸水性樹脂を含有させる場合であっても、内層2と外層3との少なくとも2層構造とし、陰茎が挿入される挿入部21が形成されるのは内層2であるため、外層3に対して積極的に吸水性樹脂を添加する必要はない。
【0051】
このように、仮に、射精促進器1として、内層2の構成材料として弾性ポリマーに対して吸水性樹脂を含有させる場合であっても、かかる吸水性樹脂を、射精促進器1全体でなく、陰茎が挿入される挿入部21が形成される内層2だけに対して含有させるようにすれば、内層2の挿入部21に水等の液体を接触させることにより、挿入部21の表面に滑りを発生させることができ、使用感を良好とする等、吸水性樹脂を添加することにより奏する効果を好適に享受するとともに、吸水性樹脂の添加量を内層2に添加するだけに抑えることでコストを削減できる。
【0052】
また、弾性ポリマーを好ましくは主成分として含有する外層3について、吸水性樹脂が添加された内層2が基本的に外部に現れないので、射精促進器1が直接握られる部分に適度な軟らかさを付与し、外層3を握る力等がスムースに内部に伝わるとともに、射精促進器1の外部に現れる面(外層3)に水等の液体が接触しても、かかる面が滑ることを防止することができる。ここで、「主成分」とは、構成材料全体(軟化オイルを除く。)に対して50質量%以上とすればよいが、80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることが特に好ましい。
【0053】
なお、内層2や外層3の構成材料としては、前記した材料に加えて、本発明の目的及び効果を妨げない範囲で、顔料や着色剤(外層3については、内層2を視認可能とする範囲の添加とする。)、無機安定剤等の安定剤、滑剤、耐衝撃改良剤、加工助剤、結晶核剤、補強剤、難燃剤、架橋剤、架橋性モノマー、耐候性改良剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐加水分解性向上剤、防かび剤、抗菌剤、光安定剤、耐電防止剤、軟化オイル等のオイル成分、ブロッキング防止剤、離型剤、香料、充填剤、カップリング剤、架橋剤等の各種添加剤を必要に応じて添加することができる。
【0054】
また、内層2及び外層3の構成材料としては、軟化オイルを含有することが好ましい。軟化オイルは、ベース材料となる熱可塑性エラストマー(特に、スチレン系熱可塑性エラストマー等。)を軟化させる機能等を備えるものであり、含有により内層2や外層3(すなわち、射精促進器1。以下同じ。)に適度な柔軟性を与えることができ、含有量を調整することにより、内層2や外層3の軟らかさ(柔らかさ)を調整することができる(含有量を多くするほど、内層2や外層3に軟らかさを付与することができる。)。
【0055】
軟化オイルとしては、熱可塑性エラストマー等を軟化させることが可能な従来公知の軟化オイルを使用することができるが、例えば、炭化水素油として知られる流動パラフィンやパラフィンオイル(以下、総称して「パラフィン系軟化剤」とする場合もある。)、ナフテン系オイル(ナフテン系軟化剤)、及び芳香族系オイル(芳香族系軟化剤)等を使用することができる。これらの中では、スチレン系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマーとの親和性が良好で、ブリードが起きにくいという観点から、流動パラフィンやパラフィンオイル等のパラフィン系軟化剤を使用することが好ましい。
【0056】
軟化オイルを使用する場合における弾性ポリマーに対する含有量は、特に制限はなく、必要とされる軟らかさに加えて、前記した弾性ポリマーや吸水性樹脂の種類や含有量により適宜決定すればよいが、成形体である弾性ポリマーの弾性変形の程度等や柔軟性等を考慮して、弾性ポリマー100質量部に対して軟化オイルを300~1100質量部とすることが好ましく、500~900質量部とすることが特に好ましい。
【0057】
(II)射精促進器1の製造方法:
射精促進器1の製造方法の一例を以下に説明する。内層2及び外層3からなる少なくとも2層構造の射精促進器1は、例えば、前記した構成材料を加熱し、溶融状態として、かかる溶融状態の構成材料(溶融樹脂)を冷却固化して、内層2の形状に対応して形成し、次いで、その周囲に、前記した構成材料を加熱し、溶融状態として、かかる溶融状態の構成材料(溶融樹脂)を冷却固化して、内層2を覆うように外層3の形状に対応して形成するようにすればよい。なお、各層を構成する材料(構成材料)となる樹脂材料(材料)には、軟化オイル等の油性成分も含む。
【0058】
例えば、射精促進器1の製造手段の一例として、図14ないし図18に示す、射精促進器1を製造するための型5,6,7を用いて、
組み合わせて内層2の形状を形成するための型である芯型5と内枠型6を用い、前記芯型5を、前記内枠型6の内部に取り付ける工程と、
前記内枠型6の内部に、溶融状態の前記内層2を構成する材料を注入し、当該材料を冷却固化させる工程と、
周囲に前記内層2の形状が形成された前記芯型5を、前記内枠型6から取り出す工程と、
前記周囲に前記内層2の形状が形成された前記芯型5を、前記外層3の形状を形成するための外枠型7の内部に取り付ける工程と、
前記外枠型7の内部に、溶融状態の前記外層3を構成する材料を注入し、当該材料を冷却固化させる工程と、
周囲に前記内層2の形状及び前記外層3の形状が形成された前記芯型5を前記外枠型7から取り出す工程と、
前記芯型5から前記内層2及び前記外層3が形成された成形品を取り外す工程と、
を含む製造方法を用いてもよい。かかる製造方法を用いることにより、本実施形態に係る射精促進器1を簡便な方法で提供可能とする。
【0059】
ここで、図14ないし図18は、射精促進器1を製造するための型5,6,7等の一例を示した説明図である。まず、図14は、芯型5の一態様を示した図であり、図14に示した芯型5は、内層2の内部(挿入部21等。)の形状となる部分(挿入部等形成部51)と、内層2の外面2aに形成される空隙25を形成する部分(空隙形成部52)を含んでなる型であり、また、かかる空隙形成部52には、凹部からなる、外層3の内面3aから空隙25に入り込む突起31を形成する部分(突起形成部53)、前記した挿入部等形成部51の下方に広がる、挿入口形成部54が形成されている。
【0060】
(i)組み合わせて内層2の形状を形成するための型である芯型5と内枠型6を用い、芯型5を、前記内枠型6の内部に取り付ける工程:
射精促進器1を製造するには、まず、図14に示した芯型5を、図15に示すように、割型である一方の内枠型6の内部に取り付ける。図15は、芯型5を、割型である一方の内枠型6に取り付けた状態を示した図である。
【0061】
内層2の形状を形成するための内枠型6は、内層2の外径を形成可能な型であり、内部に芯型5を取り付ける(嵌める)ことができる形状とされている。芯型5を一方の内枠型6に取り付けたら、割型である図示しない他方の内枠型で閉めて型締めする。なお、一方の内枠型6と他方の内枠型の形状は共通であり、芯型5を挟むようにして取り付けて合わされることにより一体化される。芯型5と内枠型6は、組み合わされることにより、内層2の形状を成形可能とし、内枠型6は、内層2の外形を形成できるように、内層2の形状に合わせて内部がくり抜かれている。
【0062】
(ii)内枠型6の内部に、溶融状態の内層2を構成する材料を注入し、当該材料を冷却固化させる工程:
このように割型である2つの内枠型6で型締めした状態で、材料注入口61が形成された側から、内枠型6の内部に、内層2を構成するための溶融状態の樹脂材料を注入して、かかる材料を冷却して固化したら内枠型6を開く。成形温度は、使用する樹脂材料等により適宜決定すればよく、130~190℃とすることが好ましく、160~180℃とすることが特に好ましい(成形温度については後記する(v)における外層3も同様。)。
【0063】
(iii)周囲に内層2の形状が形成された芯型5を、内枠型6から取り出す工程:
内枠型6を開けると、図16に示すように、周囲に内層2が形成された芯型5が現れる。図16は、芯型5の周囲に内層2が形成された状態を示した図である。内層2を構成するための樹脂材料は、型締めされた状態で、挿入部等形成部51を覆って、その内部に挿入部21等を形成し、挿入部21に刺激部Xを形成していく。また、挿入口形成部54により、挿入部21等に繋がる穴である挿入口Sを形成する。
【0064】
一方、芯型5の空隙形成部52の存在により、挿入部21に連通した空隙25をその外面に形成していくことになる。内枠型6は、芯型5を取り付ける内部について、内層2の外形を呈するようにくり抜かれているので、芯型5の周囲には、複数の空隙形成部52の間に樹脂材料が入り込んで、冷却固化されることにより、前記した図9等に示した内層2の形状が形成される。
【0065】
(iv)周囲に内層2の形状が形成された芯型5を、外層3の形状を形成するための外枠型7の内部に取り付ける工程:
次に、図16に示した、周囲に内層2が形成された芯型5をそのまま(芯型5から内層2を取り外さず)、図17に示すように、割型である一方の外枠型7の内部に取り付ける。外枠型7は、外層3の外径を形成可能な型であり、内部に、図16の状態の芯型5(周囲に内層2が形成された芯型5)を取り付ける(嵌める)ことができる形状とされている。かかる芯型5を一方の外枠型7に取り付けたら、割型である図示しない他方の外枠型で閉めて型締めする。
【0066】
なお、一方の外枠型7と他方の外枠型の形状は共通であり、周囲に内層2が形成された芯型5を挟むようにして取り付けて合わされることにより一体化される。周囲に内層2が形成された芯型5と外枠型7は、組み合わされることにより、外層3の形状を成形可能とし、外枠型7は、外層3の外形を形成できるように、外層3の形状に合わせて内部がくり抜かれている。
【0067】
(v)外枠型7の内部に、溶融状態の外層3を構成する材料を注入し、当該材料を冷却固化させる工程:
このように割型である2つの外枠型7で型締めした状態で、材料注入口71が形成された側から、外枠型7の内部に、外層3を構成するための溶融状態の樹脂材料を注入して、かかる材料を冷却して固化したら外枠型7を開く。
【0068】
(vi)周囲に内層2の形状及び外層3の形状が形成された芯型5を前記外枠型7から取り出す工程:
外枠型7を開けると、図18に示すように、芯型5の周囲に内層2が形成され、かつ、かかる内層2の周囲に、内層2を視認できる外層3が形成された成形体(射精促進器1)となる。図18は、芯型5の周囲に内層2が形成され、かつ、かかる内層2の周囲に、内層2を視認可能な外層3が形成された状態を示した図である。なお、図18は、芯型5の存在が分かりやすくなるように、内層2及び外層3(射精促進器1)を長さ方向に対して直交するように半分に切断した状態を示している。
【0069】
外層3を構成するための樹脂材料は、型締めされた状態で、内層2が形成された芯型5を覆い、空隙形成部52に形成された凹部からなる突起形成部53に入り、内層2の空隙25に入り込む突起31を形成する。また、外枠型7は、周囲に内層2が形成された芯型5を取り付ける内部について、外層3の外形を呈するようにくり抜かれているので、周囲に内層2が形成された芯型5の周囲には、樹脂材料が入り込んで、冷却固化されることにより、図1図12等に示した外層3の形状が形成される。
【0070】
(vii)芯型5から内層2及び前記外層3が形成された成形品を取り外す工程:
そして、内層2及び外層3が形成された成形体(射精促進器1)を芯型5から取り外すことにより、図1等に示すような射精促進器1を得ることができる。なお、前記した(i)~(vii)はあくまでも一例であり、射精促進器1の製造を別の手段を用いて実施することについても問題はない。
【0071】
(III)射精促進器1の使用方法:
以下、本実施形態に係る射精促進器1の使用方法の一例を説明する。なお、本欄では、内層2の構成材料として弾性ポリマーに対して適量の吸水性樹脂を含有させたもので内層2が形成された態様(例えば、後記する実施例1ないし実施例8(好ましくは、実施例3ないし実施例6)等に示した態様。)として説明している。まず、射精促進器1の挿入口S(内層2及び外層3について共通。)から、内層2の挿入部21に適量の水を注ぎ込む。内層2の挿入部21に水を注ぎ込むことにより、挿入部21の表面はゲル状化し、挿入部21の表面に適度な滑りを生じさせる。
【0072】
次に、図示しない陰茎を、挿入口Sから挿入部21へと挿入するようにする。陰茎は、ある程度勃起した状態で挿入した方が使用上好ましい。挿入口Sから、水等との接触により表面が滑っている、内層2に形成された挿入部21へ陰茎を挿入した後、使用者は射精促進器1を握り、好ましくは陰茎の長手方向に沿って適度に上下に動かすことにより、陰茎は、射精促進器1の挿入部21の内部に形成された刺激部Xにより刺激されることになる。
【0073】
加えて、射精促進器1を構成する内層2には、外面に空隙25が形成され、かかる空隙25に外層3の内面から突起31が入り込んでいる。かかる突起31(の先端)も刺激部Xと同様に挿入された陰茎を刺激することができる。本実施形態にあっては、内層2の空隙に入り込んだ突起31と、かかる突起31の周囲に、空隙25によるある程度の空間があるので、全体を密としない空隙25の空間による感触も含め、刺激部X以外の刺激も付与され、刺激にバリエーションがあり、使用感も高い射精促進器1となる。
【0074】
また、使用者が射精促進器1を握りしめることによって、周囲を覆うように形成された外層3を介して、内層2から陰茎が圧迫され、締め付け感が伝わることになる。このような操作により使用者が射精した後は、挿入口Sから所望の量の精子(精液)を採取するとともに、内層2の内部空間である挿入部21等に残った精子(精液)等を洗浄するようにする。なお、前記した精子(精液)の採取は、挿入口Sにスポイト等を差し込んで吸引することにより実施するようにしてもよい。
【0075】
なお、前記した使用方法は、内層2の構成材料として弾性ポリマーに対して適量の吸水性樹脂を含有させ、内層2の挿入部21に水等の液体を接触させることにより、挿入部21の表面に滑りを発生させることができる態様を示したものであるが、射精促進器1の使用方法はこれには限定されない。すなわち、内層2の構成材料として吸水性樹脂を含有しない場合も含め、内層2にローション等を塗布して、滑りを生じさせるようにしても問題はない。
【0076】
(IV)本発明の効果:
以上説明した本発明に係る射精促進器1は、使用者の陰茎が挿入される挿入部21が形成された内層2の周囲を覆うように外層3が形成される少なくとも2層構造とし、外層3が、内層2を外部から視認できるような構成としたので、内層2のデザインが外部から容易に視認でき、内層2の形状を工夫することも含め、デザイン性に優れた射精促進器1となる。また、内層2の外面に空隙25が形成されているので、空隙25は内層2に模様的なデザインを形成し、内層2の外観形状のデザインとあわせて、意匠性を備えた内層2が外層3から視認できる、かかる点でもデザイン性に優れた射精促進器1となる。加えて、挿入部21の内壁に空隙25による空間が形成されることにより、外層3の内面に形成した突起31をかかる空隙25に入り込ませる等、かかる空間に他の部材を入れたりする等による刺激のニュアンスの変化により、使用感にバリエーションを与えることができる。
【0077】
(V)実施形態の変形:
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記し
た実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を備え、目的及び効果を達成できる
範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。ま
た、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達
成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。本発明は前記した各実
施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良は、本
発明に含まれるものである。
【0078】
例えば、前記した実施形態では、内層2の外面2a(図10等参照。)に複数個の菱形状の空隙25を形成した態様を示したが、空隙25の形状は任意であり、例えば、図18図19に示すような形状の空隙25が形成された射精促進器1としてもよい。
図19及び図20は、本発明に係る射精促進器1の他の態様を示した斜視図である。なお、前記した実施形態と同様の構造及び同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
【0079】
図19に示した構成は、内層2の外面に、相対的に大きい菱形状と小さい丸形状(ないしは楕円形状)等が長手方向に沿って一連に繋がって空隙25を形成しており、かかる空隙25に、外層3の内面に形成された、先端(図示されていない。)が凸凹となったブロック状の突起31が入り込んだ態様を示している。
【0080】
また、図20は、内層2の外面に、所定の幅で形成された空隙25であるスパイラル状のスリットに沿って、かかる空隙25に、外層3の内面に形成された、複数本の棒状の突起31と板状の突起31が一連となって入り込んでいる態様を示している。
これら図19及び図20に示した態様の射精促進器1も、前記した(IV)に載せた効果を好適に奏するものである。
【0081】
前記した実施形態では、内層2の外面に空隙25を形成し、かかる空隙25に外層3の内面に形成される突起31が入り込んだ態様を挙げて説明したが、突起31の形成(及び空隙25に入り込むこと)は必須ではなく、仮に内層2の空隙25の内部に何も存在しない場合であっても、空隙25による空間と周囲の刺激部Xとの構造の違いによる使用感のバリエーションを奏することができる。なお、外層3による突起31が形成された場合でも、空隙25と突起31とのクリアランスを工夫することにより、さらなる使用感のバリエーション・独特さを与えることができ、その結果、使用感も良好となる。
【0082】
前記した実施形態では、ともに弾性変形自在である内層2及び外層3の形状について、図1等に示した形状を用いて説明した。一方、内層2及び外層3の形状はこれには限定されず、外層は、長手方向の少なくとも一端に挿入口Sを有し、使用者の手で握ることが可能な筒状の形状とされ、内層2の周囲を覆うものであれば、その形状等は任意に決定することができる。同様に、内層2も、長手方向の少なくとも一端面に挿入口Sを配設し、かかる挿入口Sから内部に延びる空間となる挿入部21が形成された筒状の部材であれば、例えば、円筒形状にする等、その形状等は任意に決定することができる。
【0083】
また、内層2の挿入部等の形状についても、前記した実施形態では、内層2の挿入部21の内壁に形成される、陰茎を刺激する部分(刺激部X)の形状の一例について、蛇腹形状等を所定の配置で形成した態様を図5図9等に示して説明したが、刺激部Xの形状については前記したもの以外でもよく、陰茎に刺激を与える可能性を有する従来公知の形状を採用することができる。
【0084】
前記した実施形態では、射精促進器1を構成する内層2及び外層3として、長手方向の一端面に挿入口Sを配設し、かかる挿入口Sから内部に延びる空間となる挿入部21が形成された内層2を覆うように外層3が形成された態様を例に挙げて説明したが、例えば、内層2において挿入部21が貫通され、外層3も含め図示しない2つの挿入口Sが形成され、かかる挿入口Sが挿入部21により繋がれるような構成としてもよい。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造及び形状等は、本発明の目的を達成できる範
囲で他の構造等としてもよい。
【実施例
【0085】
以下、本発明を実施例及び参考例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0086】
[実施例1ないし実施例8、参考例1]
前記した「(II)射精促進器1の製造方法:」に載せた(i)~(vii)に倣って、下記の製造方法を用い、図1ないし図6等に示す形状の射精促進器(実施例1~実施例8)を製造した。なお、内層の外面の面積に対する空隙(全体)の面積の占める割合は、内層の外面の面積全体に対して約44%とした。また、実施例1等と同形状であり、内層の構成材料として粉末状のポリアクリル酸ナトリウム(高吸水性樹脂)を添加しない射精促進器を参考例1としてあわせて製造した。
【0087】
(射精促進器の製造方法)
(1)内層の製造:
まず、図14に示す芯型を、図15に示すように、割型である一方の内枠型の内部に取り付け、他方の内枠型で閉めた。材料注入口が形成された側から、溶融状態とした、内層を構成するための樹脂材料を注入して、かかる材料を冷却して固化させた後、割型(内枠型)を開いて、図16に示すような、周囲に内層が形成された芯型を取り出した。
【0088】
なお、内層を構成するための樹脂材料とは、表1に示すように、弾性ポリマーである熱可塑性エラストマー(水素添加(水添)スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS))(表1では「エラストマー」と記載。以下、外層についても同じ。)100質量部に対して、粉末状のポリアクリル酸ナトリウム(吸水性樹脂)(表1では「ポリアクリル酸Na」と記載。)の含有量を表1に示すようにした構成の材料であり、参考例1には吸水性樹脂は添加しないようにした。
【0089】
(2)外層の製造:
(1)で得られた、周囲に内層が形成された芯型をそのまま、芯型から内層を取り外さず、図17に示すように、割型である一方の外枠型の内部に取り付けた。割型である他方の外枠型で閉めた状態で、材料注入口が形成された側から、溶融状態とした、外層を構成するため樹脂材料(弾性ポリマーである熱可塑性エラストマー(SEBS))を注入して、かかる材料を冷却して固化させた後、外枠型を開いて、図18に示すように、内層の周囲に透明の外層が成形された成形体を得た。
【0090】
(3)射精促進器の製造:
そして、着色された内層及びかかる内層を視認できる透明の外層が形成された成形体を芯型から取り外して、図1等に示すような、内層の周囲に外層が覆うように形成された2層構造の射精促進器を得た。
【0091】
なお、内層及び外層の構成材料には軟化オイル(流動パラフィン)を添加し(軟化オイルは、弾性ポリマー(熱可塑性エラストマー)100質量部に対して800質量部とした。)、成形温度は160~180℃の間で各構成について適宜調整して成形した。また、内層の構成材料は、弾性ポリマー(熱可塑性エラストマー)100質量部に対して0.38質量部の着色剤(白)を添加して、内層を白色に着色するようにした。射精促進器の構成材料を表1に示す。
【0092】
(射精促進器の構成材料)
【表1】
【0093】
[射精促進器の外観及び弾性の程度]
射精促進器を構成する外層の構成材料には着色剤は添加せず、透明となるようにした。その結果、実施例1ないし実施例8(及び参考例1)の射精促進器の外観は、図1等に示すように、外部から内層の形状が、菱形状の空隙も含め視認することができ、デザイン性に優れた射精促進器となることが確認できた。また、弾性変形の程度も、実施例1ないし実施例8(及び参考例1)の射精促進器は、内層及び外層も含め、弾性変形が自在であると認められた。
【0094】
[試験例1]
(滑りの評価)
得られた実施例1ないし実施例8及び参考例1の射精促進器の挿入口から、内層の内部の挿入部を含む部分に適量の水を接触させた。そして、射精促進器の滑りについて、下記の評価基準を用いて比較・評価した。
【0095】
なお、試験は、5段階で評価し、5~2を合格(5が1番よく、以下、4→2の順。)として、1を不合格とした。結果を表2に示す。
【0096】
(評価基準)
評 価 内 容
5 : 挿入部の表面等が最適にゲル状化し、滑り気がとてもよく、別途ローションは不要
4 : 挿入部の表面等が適度にゲル状化し、滑り気がよく、別途ローションは不要
3 : 挿入部の表面等がゲル状化するが、滑り気が若干多い(別途ローションは不要。)
2 : 挿入部の表面等がゲル状化するが、滑り気が若干少ない(別途ローションは不要。)
1 : 挿入部の表面等がゲル状化せず、滑り気が全くない(別途ローションが必要と考えられる。)
【0097】
(結果)
【表2】
【0098】
表2に示したように、射精促進器の内層の構成材料として、熱可塑性エラストマーに対してポリアクリル酸ナトリウムを含有させた実施例1ないし実施例8については、いずれも滑り気を生じ、特に、実施例3ないし実施例6が優れていた。
【0099】
使用感も、前記した滑りの結果に準じ、実施例1ないし実施例8のものは良好であり、実施例3ないし実施例6がもっとも良好で、以下、実施例2>実施例7、実施例8>実施例1の順で良好であった。一方、滑り気がなかった参考例1についてはそのままでは使用感が悪く、別途ローションを必要とするものであった。
【0100】
また、使用感として、内層に空隙が形成されており、かかる空間に外層の内面からの突起が入り込んでいるため、内層の挿入部に形成された刺激部と突起、及び突起の周囲にある空間のニュアンスが、単に刺激部があるだけの構造と比較して、使用者に使用感のバリエーションを与えるものであった。なお、参考例1は、着色剤の添加以外は、内層と外層が実質的に共通する構成材料であったので、実施例1ないし実施例8ほどの違いが感じられなかった。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、医療用途はもちろんのこと、男性の性的衝動等を抑制することにより、健全な社会構築等の手助けとなることができるため、産業上の利用可能性は極めて高い。
【符号の説明】
【0102】
1 …… 射精促進器
2 …… 内層
2a …… 内層の外面
21 …… 挿入部
22 …… 中径部
23,24 …… 大径部
25 …… 空隙
26 …… 小径部
3 …… 外層
3a …… 外層の内面
31 …… 突起
32 …… 中径部
33,34 …… 大径部
36 …… 小径部
5 …… 芯型
51 …… 挿入部等形成部
52 …… 空隙形成部
53 …… 突起形成部
54 …… 挿入口形成部
6 …… 内枠型
61 …… 材料注入口
7 …… 外枠型
71 …… 材料注入口
S …… 挿入口
X …… 刺激部
L1,L2 …… 境界
【要約】
【課題】デザイン性に優れるとともに、使用感も良好な射精促進器及び射精促進器の製造方法を提供することにある。
【解決手段】本発明に係る射精促進器1は、使用者の陰茎が挿入される挿入部21が形成された内層2の周囲を覆うように、外層3が、内層2を外部から視認できるように構成とされる。その結果、内層2のデザインが外部から容易に視認でき、内層2の形状を工夫することも含め、デザイン性に優れる射精促進器1となる。また、内層2の外面に空隙25が形成されているので、空隙25は内層2に模様的なデザインを形成し、デザイン性に優れた射精促進器1となる。加えて、挿入部21の内壁に空隙25による空間に外層3の内面に形成した突起31を入り込ませる等による刺激のニュアンスの変化により、使用感にバリエーションを与えることができ、その結果、使用感も良好となる。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20