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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-20
(45)【発行日】2022-04-28
(54)【発明の名称】DC・DCコンバータ
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20220421BHJP
【FI】
H02M3/155 H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021172741
(22)【出願日】2021-10-21
【審査請求日】2021-11-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年10月26日、本願発明に係るDC・DCコンバータをシチズン・システムズ株式会社に譲渡
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506334171
【氏名又は名称】トレックス・セミコンダクター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128532
【弁理士】
【氏名又は名称】村中 克年
(72)【発明者】
【氏名】早川 耕亮
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/123738(WO,A1)
【文献】特開2012-34519(JP,A)
【文献】特許第6914398(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0043004(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00-3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続した2つのスイッチング手段の接続点に接続したコイルを備え、前記2つのスイッチング手段のうち前記コイルにエネルギーを蓄積する際にオンするスイッチング手段を主スイッチング手段とし、前記コイルに蓄積したエネルギーを出力側へ送出する際にオンするスイッチング手段を従スイッチング手段として、前記主スイッチング手段と前記従スイッチング手段とを交互にオン・オフさせるスイッチング動作により直流入力電圧を所定の直流出力電圧に変換するDC・DCコンバータにおいて、
前記主スイッチング手段のオフ時に前記コイルを流れる電流がゼロに到らない連続電流モードまたは前記コイルを流れる電流がゼロに到る不連続電流モードのいずれであるかを検出する電流モード検出手段と、
前記従スイッチング手段がオフしてから、前記接続点の電圧の最小値と最大値との間の範囲に在る所定の閾値に前記電圧が達するまでの時間に基づき、次周期以降の前記従スイッチング手段のオン時間を制御する従スイッチ制御手段とを有し、
さらに前記従スイッチ制御手段は、前記電流モード検出手段の検出結果に基づき前記不連続電流モードであることが検出された場合には、前記次周期以降の前記従スイッチング手段の制御したオン時間を補正することを特徴とするDC・DCコンバータ。
【請求項2】
請求項1に記載するDC・DCコンバータにおいて、
前記従スイッチ制御手段は、前記コイルを流れる電流の極性が反転しないように前記次周期以降における前記従スイッチング手段のオン時間を制御するように構成したことを特徴とするDC・DCコンバータ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載するDC・DCコンバータにおいて、
前記従スイッチ制御手段は、前記従スイッチング手段がオフしてから、前記接続点の電圧値が前記閾値に達するまでの時間に依存して上昇または下降するように一方向に変化する電圧の値に基づき制御することを特徴とするDC・DCコンバータ。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載するDC・DCコンバータにおいて、
前記従スイッチ制御手段は、前記従スイッチング手段がオフしてから、前記接続点の電圧値が前記閾値に達するまでの時間に依存して上昇または下降するように一方向に変化するとともに、周期毎に前記上昇または下降するように変化する方向とは反対方向へ一定量下降または上昇する電圧の値に基づき制御することを特徴とするDC・DCコンバータ。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載するDC・DCコンバータにおいて、
前記従スイッチ制御手段は、前記従スイッチング手段がオフしてから、前記接続点の電圧値が前記閾値に達するまでの時間に依存して上昇または下降して一方向に変化するとともに、周期毎に前記上昇または下降するように変化する方向とは反対方向へ一定量下降または上昇する電圧の値と、前記従スイッチング手段のオン時間に依存して値が上昇または下降して前記一方向に変化する電圧の値とを比較して制御することを特徴とするDC・DCコンバータ。
【請求項6】
請求項3~請求項5のいずれか一つに記載するDC・DCコンバータにおいて、
前記従スイッチ制御手段は、前記従スイッチング手段がオフしてから、前記接続点の電圧が閾値に達するまでの時間に依存して上昇する電圧の上昇率を小さくすることで前記補正を与えることを特徴とするDC・DCコンバータ。
【請求項7】
請求項4または請求項5に記載するDC・DCコンバータにおいて、
前記従スイッチ制御手段は、前記周期毎に下降する電圧値を大きくすることで補正を与えることを特徴とするDC・DCコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はDC・DCコンバータに関し、特に重負荷に対応するPWMモードおよび軽負荷に対応するPFMモードとの2種類の駆動モードで駆動する場合に適用して有用なものである。
【背景技術】
【0002】
DC・DCコンバータとして、直列に接続した2つのスイッチング手段の接続点にコイルを接続するとともに、前記2つのスイッチング手段のうち前記コイルにエネルギーを蓄積する際にオンするスイッチング手段である主スイッチング手段と、前記コイルに蓄積したエネルギーを出力側へ送出する際にオンする従スイッチング手段とを交互にオン・オフさせるスイッチング動作により直流入力電圧を所定の直流出力電圧に変換するものが汎用されている。
【0003】
かかるDC・DCコンバータの一種として、コイルに流れる電流の極性が反転することによる有害な現象を確実に防止することを目的として従スイッチング手段がオフしてから前記接続点の立上り波形の電圧(降圧式の場合)の最小値と最大値との間の範囲に在る所定の閾値に達するまでの時間に基づき、次周期以降の前記従スイッチング手段のオン時間を制御する従スイッチ制御手段を備えるものが提案され、公知となっている(特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1が開示するDC・DCコンバータにおいては、スイッチング手段のスイッチング動作時に前記コイルを流れるコイル電流がゼロ点を通らない連続電流モード(CCM)と、コイルを流れるコイル電流がゼロ点を通る不連続電流モード(DCM)の二つの電流モードが存在する場合、連続電流モードおける制御と不連続電流モードにおける制御とでは制御に誤差を生起するという問題が発生する。
【0005】
さらに詳言すると、特許文献1に開示するDC・DCコンバータでは、不連続電流モードの際、前記従スイッチ手段がオフしてから前記接続点の電圧が所定の閾値に達するまでの期間が連続電流モードの期間に対して長くなる場合がある。連続電流モードの場合、従スイッチ手段がオフした後には、前記接続点の電圧は瞬時に垂直に上昇するのに対し、不連続電流モードの場合には、従スイッチ手段がオフした後に、コイルと前記接続点に存在している寄生容量との共振により前記接続点の電圧にリンギングが生起され、前記電圧が緩やかに上昇するからである。すなわち、前者の場合の閾値に達するまでの時間に対し、後者の場合に同じ閾値に達するまでの時間が遅延する。
【0006】
このように、特許文献1に開示するDC・DCコンバータでは、連続電流モードと不連続電流モードにおいて従スイッチング手段のオフ時点から前記接続点の電圧が所定の閾値に達するまでの時間にずれを生起してしまい連続電流モードと不連続電流モードでの所定の制御の際、誤差を生起してしまう。
【0007】
この結果、コイル電流が出力側から接地側へ逆流する現象が発生する可能性がある。かかる現象は、出力された電荷を接地GNDに捨ててしまうことになり、当該DC・DCコンバータの効率の低下を招来する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第4674661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来技術に鑑み、連続電流モードと不連続電流モードで駆動する場合であって、従スイッチング手段がオフしてからコイルの一端に接続される接続点の電圧が所定の閾値に達するまでの時間に基づき、次周期の従スイッチング手段のオン時間を制御する場合において、誤差を生起することなく正確な所定の制御を行うことができるDC・DCコンバータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する本発明の第1の態様は、
直列に接続した2つのスイッチング手段の接続点に接続したコイルを備え、前記2つのスイッチング手段のうち前記コイルにエネルギーを蓄積する際にオンするスイッチング手段を主スイッチング手段とし、前記コイルに蓄積したエネルギーを出力側へ送出する際にオンするスイッチング手段を従スイッチング手段として、前記主スイッチング手段と前記従スイッチング手段とを交互にオン・オフさせるスイッチング動作により直流入力電圧を所定の直流出力電圧に変換するDC・DCコンバータにおいて、
前記主スイッチング手段のオフ時に前記コイルを流れる電流がゼロに到らない連続電流モードまたは前記コイルを流れる電流がゼロに到る不連続電流モードのいずれであるかを検出する電流モード検出手段と、
前記従スイッチング手段がオフしてから、前記接続点の電圧の最小値と最大値との間の範囲に在る所定の閾値に前記電圧が達するまでの時間に基づき、次周期以降の前記従スイッチング手段のオン時間を制御する従スイッチ制御手段とを有し、
さらに前記従スイッチ制御手段は、前記電流モード検出手段の検出結果に基づき前記不連続電流モードであることが検出された場合には、前記次周期以降の前記従スイッチング手段の制御したオン時間を補正することを特徴とする。
【0011】
本発明の第2の態様は、
第1の態様に記載するDC・DCコンバータにおいて、
前記従スイッチ制御手段は、前記コイルを流れる電流の極性が反転しないように前記次周期以降における前記従スイッチング手段のオン時間を制御するように構成したことを特徴とする。
【0012】
本発明の第3の態様は、
第1または第2の態様に記載するDC・DCコンバータにおいて、
前記従スイッチ制御手段は、前記従スイッチング手段がオフしてから、前記接続点の電圧値が前記閾値に達するまでの時間に依存して上昇または下降するように一方向に変化する電圧の値に基づき制御することを特徴とする。
【0013】
本発明の第4の態様は、
第1または第2の態様に記載するDC・DCコンバータにおいて、
前記従スイッチ制御手段は、前記従スイッチング手段がオフしてから、前記接続点の電圧値が前記閾値に達するまでの時間に依存して上昇または下降するように一方向に変化するとともに、周期毎に前記上昇または下降するように変化する方向とは反対方向へ一定量下降または上昇する電圧の値に基づき制御することを特徴とする。
【0014】
本発明の第5の態様は、
第1または第2の態様に記載するDC・DCコンバータにおいて、
前記従スイッチ制御手段は、前記従スイッチング手段がオフしてから、前記接続点の電圧値が前記閾値に達するまでの時間に依存して上昇または下降して一方向に変化するとともに、周期毎に前記上昇または下降するように変化する方向とは反対方向へ一定量下降または上昇する電圧の値と、前記従スイッチング手段のオン時間に依存して値が上昇または下降して前記一方向に変化する電圧の値とを比較して制御することを特徴とする。
【0015】
本発明の第6の態様は、
第3~第5の態様のいずれか一つに記載するDC・DCコンバータにおいて、
前記従スイッチ制御手段は、前記従スイッチング手段がオフしてから、前記接続点の電圧が閾値に達するまでの時間に依存して上昇する電圧の上昇率を小さくすることで前記補正を与えることを特徴とする。
【0016】
本発明の第7の態様は、
第4または第5の態様に記載するDC・DCコンバータにおいて、
前記従スイッチ制御手段は、前記周期毎に下降する電圧値を大きくすることで補正を与えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、不連続電流モードのとき、従スイッチング素子をオフした後にコイル電流が所定の閾値に達するまでの時間に基づき、次周期の従スイッチング手段のオン時間の制御を行う場合において、前記オン時間の補正を行うようにしたので、接続点の電圧のリンギングに起因するコイル電流の逆流を防止して、当該DC・DCコンバータの高効率の運転が担保される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態に係る降圧型のDC・DCコンバータの全体を示すブロック図である。
図2図1の主スイッチ制御部を抽出して詳細に示すブロック図である。
図3図1の従スイッチ制御部を抽出して詳細に示すブロック図である。
図4図1の電流モード検出部を抽出して詳細に示すブロック図である。
図5図1に示す実施の形態において、連続電流モード(補正なし)における各部の信号波形を示す波形図である。
図6図1に示す実施の形態において、不連続電流モード(補正あり)における各部の信号波形を示す波形図である。
図7】従来技術と図1に示す実施の形態との連続電流モードにおける各部の信号波形を示す波形図である。
図8A】従来技術における不連続電流モード時の各部の信号を、図1に示す実施の形態との比較において示す波形図である。
図8B図1に示す実施の形態における不連続電流モード時の信号を、従来技術との比較において示す波形図である。
図9】上記実施の実施の形態において従スイッチ制御部の構成が異なる他の構成例を示すブロック図である。
図10図9に示す場合の不連続電流モードにおける各部の波形を示す波形図である。
図11】本発明の他の実施の形態に係る昇圧型のDC・DCコンバータの全体を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係るDC・DCコンバータの全体を示すブロック図である。本形態に係るDC・DCコンバータは、降圧型のDC・DCコンバータの例であるが、昇圧型のDC・DCコンバータに適用した場合も本発明の技術思想に含まれる。
【0021】
図1に示すように、本形態に係るDC・DCコンバータは、直流電源から入力端子1に印加される直流電圧Vinを入力として、直流電源から供給されるエネルギーをコイルLに蓄えるとともに、コイルLに蓄えたエネルギーを直流電圧Voutとして出力端子2を介し負荷に供給する。ここで、本形態は降圧型であるので、入力の直流電圧Vinより低い直流電圧Voutを出力端子2から出力する。
【0022】
コイルLにエネルギーを蓄積する際にオンする主スイッチSW1は入力端子1とコイルLとの間に接続されている。コイルLに蓄積したエネルギーを出力端子2へ送出する際にオンする従スイッチSW2は接地GNDとコイルLとの間に接続されている。かくして形成される主スイッチSW1と従スイッチSW2との接続点LXにコイルLの一端が接続され、コイルLの別の一端は出力端子2と電圧平滑用のコンデンサCLとに接続されている。
【0023】
本実施の形態における主スイッチSW1はPMOS型のトランジスタであるので、ソース端子が直流電圧Vin、ドレイン端子が接続点LXの電圧となり、ゲート端子には主スイッチ駆動部3の駆動信号VG_Hが供給されている。また、従スイッチSW2はNMOS型のトランジスタであるので、ソース端子が接地GND、ドレイン端子が接続点LXの電圧となり、ゲート端子には従スイッチ駆動部4の駆動信号VG_Lが供給されている。
【0024】
ここで、主スイッチ駆動部3は、主スイッチ制御部Iから供給される出力信号Dutyに従い駆動信号VG_Hにより主スイッチSW1のオン・オフを制御している。従スイッチ駆動部4は、従スイッチ制御部IIから供給される出力信号SYNC-DRVに従い、駆動信号VG_Lにより従スイッチSW2のオン・オフを制御している。
【0025】
主スイッチ制御部Iは、出力端子2からフィードバックされる直流電圧Voutに基づき、主スイッチSW1のオン・オフを制御する出力信号Dutyを生成する。従スイッチ制御部IIは、出力信号Dutyと、接続点LXの電圧と、電流モード検出部IIIの出力信号Off-Offとに基づき、従スイッチSW2のオン・オフを制御する出力信号SYNC-DRVを生成する。従スイッチ制御部IIの詳細は、図3に基づき後に詳述する。
【0026】
電流モード検出部IIIは、コイルに蓄えたエネルギーを出力端子2側へ送出する際にコイルLに流れる電流がゼロに到る不連続電流モードか、コイルLに蓄えたエネルギーを出力へ送出する際にコイルLに流れる電流がゼロに到らない連続電流モードかを判定しており、主スイッチ駆動部3の駆動信号VG_Hと従スイッチ駆動部4の駆動信号VG_Lとにもとづき、所定の判定結果を表す判定信号Off-Offを出力する。電流モード検出部IIIの詳細は、図4に基づき後に詳述する。
【0027】
図2図1の主スイッチ制御部を抽出して詳細に示すブロック図である。同図に示すように、主スイッチ制御部Iはフィードバックされた直流電圧Voutに基づき、主スイッチSW1のオン・オフを制御する出力信号Dutyを生成しており、連続電流モード時に主スイッチSW1を制御するPWM制御部5と、不連続電流モード時に従スイッチを制御するPFM制御部6と、PWM信号またはPFM信号の何れかを出力信号Dutyとして送出するオア回路7を有している。そして出力信号Dutyと同論理の駆動信号VG_Hが主スイッチ駆動部を介して主スイッチSW1に供給されており、出力信号DutyがLoレベルのときに主スイッチSW1はオンし、出力信号DutyがHiレベルのときに主スイッチSW2はオフする。
【0028】
図3は、図1の従スイッチ制御部を抽出して詳細に示すブロック図である。同図に示すように、従スイッチ制御部IIは、出力信号Dutyと、主スイッチSW1と従スイッチSW2との接続点LXと、電流モード検出部IIIの出力信号Off-Offとに基づき、従スイッチSW2のオン・オフを制御する出力信号SYNC-DRVを送出しており、従スイッチSW2のオン時間を決定する演算部8と、従スイッチSW2がオフしてから接続点LXが所定の閾値に達するまでの時間を検出するオフ時間検出部9と、不連続電流モード時に演算部8が決定するオン時間を補正する補正部10とを有している。
【0029】
演算部8では、従スイッチSW2がオフしてから接続点LXが所定の閾値に達するまでの時間に依存して電圧値が上昇し、周期ごとに一定量値が下降するチャージ信号SYNC-CHGと、従スイッチSW2のオン時間に依存して値が上昇するランプ信号SYNC-RAMPとを比較して従スイッチSW2のオン時間を決定している。ここで、演算部8内のパルス生成部11には主スイッチ制御部Iより出力信号Dutyが与えられており、パルス生成部11では出力信号DutyのレベルがLoからHiになるタイミングで既定時間持続するHiパルスであるパルス信号SYNC-1shotを生成している。
【0030】
パルス信号SYNC-1shotはSRラッチ回路12のセット端子に与えられていて、パルス信号SYNC-1shotがHiとなるとSRラッチ12の出力信号SYNC-DRVはHiとなる。かくして、出力信号SYNC-DRVと同論理の駆動信号VG_Lが従スイッチ駆動部4を介して従スイッチSW2に供給されているので、出力信号DutyのレベルがHiになるタイミングで演算部8の出力信号SYNC-DRVがHiを出力し、従スイッチSW2がオンとなる。
【0031】
また、出力信号DutyはインバータINV1で反転してPMOS型のトランジスタTr1とNMOS型のトランジスタTr2とに与えられている。したがって、出力信号DutyがLoのときインバータINV1の出力はHiレベルなので、トランジスタTr1はオフ、トランジスタTr2はオン状態とされている。よってこのとき、ランプ信号SYNC-RAMPは接地GNDレベルとなっている。
【0032】
出力信号DutyがLoからHiとなると、トランジスタTr1はオフからオンにされ、トランジスタTr2はオンからオフにされる。ここで、トランジスタTr1と演算部8の電源との間には電流源I1が配置されているので、トランジスタTr1がオフからオンにされると、電流源I1が供給する電流がトランジスタTr1を介してランプ信号SYNC-RAMPに与えられる。
【0033】
ここで、ランプ信号SYNC-RAMPと接地GNDとの間には容量C1が配置されているので、トランジスタTr1がオフからオンとされてから経過した時間と電流源I1が供給する電流値とに比例、容量C1の容量値に反比例してランプ信号SYNC-RAMPの電圧値がGNDレベルから上昇していく。すなわち、ランプ信号SYNC-RAMPは、出力信号DutyがLoレベルで従スイッチSW2がオフに制御・駆動されている間は接地GNDレベルとなっており、出力信号DutyがLoレベルからHiレベルに変化して従スイッチSW2がオフからオンに制御・駆動されてから経過した時間に比例して電圧値のレベルが上昇していく。
【0034】
ランプ信号SYNC-RAMPはコンパレータCMPの非反転入力端子に供給され、反転入力端子に供給されるチャージ信号SYNC-CHGと比較される。チャージ信号SYNC-CHGはオフ時間検出部9からの出力信号SYNC-Offと、パルス信号SYNC-1shotにより電圧値が制御されている。出力信号SYNC-Offはオフ時間検出部9の出力信号で、従スイッチSW2がオフしてから接続点LXが所定の閾値に達するまでの期間Hiレベルを出力しており、インバータINV2を介してPMOS型のトランジスタTr3に供給されている。
【0035】
この結果、出力信号SYNC-OffがHiレベルの期間にトランジスタTr3はオンとされ、トランジスタTr3と電源との間に配置された電流源I2が供給する電流がチャージ信号SYNC-CHGに与えられる。ここで、チャージ信号SYNC-CHGと接地GNDの間には容量C2が配置されているので、トランジスタTr3がオフからオンとされてから経過した時間と電流源I2が供給する電流値とに比例し、容量C2の容量値に反比例してチャージ信号SYNC-CHGの電圧値が上昇する。
【0036】
また、ワンショットのHiパルスであるパルス信号SYNC-1shotはNMOS型のトランジスタTr4に与えられている。パルス信号SYNC-1shotがHiレベルの期間にトランジスタTr4はオンとされ、トランジスタTr4とGNDとの間に配置された電流源I3が流出する電流がチャージ電圧SYNC-CHGから放電される。すなわちチャージ電圧SYNC-CHGは、従スイッチSW2がオフしてから接続点LXの電圧値が所定の閾値に達するまでの期間にレベルが上がり、従スイッチSW2がオフからオンした直後に生じる既定時間の間レベルが下がる制御が行われている。
【0037】
ランプ電圧SYNC-RAMPとチャージ電圧SYNC-CHGは比較器CMPで比較されており、比較結果を表す停止信号SYNC-StopはSRラッチ回路12のリセット端子に与えられている。ランプ電圧SYNC-RAMPのレベルの方が高い場合には、停止信号SYNC-StopがHiレベルを出力して、SRラッチ回路12の出力信号SYNC-DRVをLoとする。
【0038】
ここで、出力信号SYNC-DRVと同論理の駆動信号VG_Lが従スイッチ駆動部4を介して従スイッチSW2に与えられているので、ランプ電圧SYNC-RAMP>チャージ電圧SYNC-CHGになるタイミングで演算部8の出力信号SYNC-DRVがLoを出力し、従スイッチSW2がオフとなる。
【0039】
よって演算部8は、主スイッチSW1がオンからオフとなるタイミングで従スイッチSW2がオンとなるように出力信号SYNC-DRVにHiレベルを出力して、従スイッチSW2がオンしてから経過した時間に比例するランプ信号SYNC-RMAPと、従スイッチSW2がオフしてから接続点LXが所定の閾値に達するまでの時間に比例してレベルが上がり、従スイッチSW2がオンしてから既定期間レベルが下がるチャージ電圧SYNC-CHGとを比較して、ランプ電圧SYNC-RAMPのレベルが高くなるタイミングで従スイッチがオフとなるように出力信号SYNC-DRVにLoレベルを出力するように構成されている。
【0040】
オフ時間検出部9は、従スイッチSW2がオフしてから接続点LXが所定の閾値に達するまでの時間を検出するもので、出力信号SYNC-DRVと停止信号SYNC-Stopと接続点LXの電圧値とを入力として、出力信号SYNC-Offを送出している。
【0041】
さらに、出力信号SYNC-DRVと停止信号SYNC-Stopはアンド回路13でAND処理されて、SRラッチ回路14のセット端子に供給されており、出力信号SYNC-DRVがHiレベルかつ停止信号SYNC-StopがHiレベルでラッチ回路14のセット端子へHiレベルが入力され、SRラッチ回路14の出力信号SYNC-OffはHiレベルを出力する。接続点LXの電圧情報はSRラッチ回路14のリセット端子に供給されており、接続点LXがHiレベルとなると出力信号SYNC-OffはLoレベルを出力する。
【0042】
演算部8が従スイッチSW2をオフからオンに制御するとき、出力信号SYNC-DRVはLoレベルからHiレベルに反転される。従スイッチSW2がオンにされているときに、ランプ電圧SYNC-RAMPのレベルがチャージ電圧SYNC-CHGのレベルより高くなると、演算部8は停止信号SYNC-StopにHiを出力し、かつ出力信号SYNC-DRVにLoを出力して従スイッチSW2をオンからオフへ制御するとともに、オフ時間検出部9のSRラッチ回路14のセット端子に対してはANDロジックを介してHiレベルの信号が与えられるので、出力信号SYNC-OffはHiを演算部8へ出力する。
【0043】
従スイッチSW2がオフにされているときは出力信号SYNC-DRVにはLoが出力されているので、SRラッチ回路14のセット端子へはLoレベルが与えられている。従スイッチSW2がオフした後に接続点LXがHiレベルに達すると出力信号SYNC-OffはHiレベルからLoレベルに反転する。
【0044】
ここで、本形態では接続点LXの電圧情報を直接SRラッチ回路14のリセット端子に入力しているので、リセット入力の論理閾値が所定の閾値となる。別の閾値を設定する場合は、接続点LXと所定の閾値に相当する基準電圧をコンパレータで比較して、比較結果をリセットに入力する方法が好適である。
【0045】
補正部10は、本形態では不連続電流モード時に、演算部8が決定する従スイッチSW2のオン時間に補正を加えるもので、電流モード検出部IIIより与えられる判定信号Off-Offを入力して、チャージ電圧SYNC-CHGに補正を与えている。さらに詳言すると、判定信号Off-Offは不連続電流モードの動作で、主スイッチSW1と従スイッチSW2とがオフしたことを検出するとHiとなる信号であり、パルス生成部15では判定信号Off-OffのレベルがLoからHiになるタイミングで既定時間持続するHiパルスであるパルス信号OffOff-1shotを生成している。パルス信号OffOff-1shotはNMOS型のトランジスタTr5に与えられており、Hiパルスが生成されている期間オンすることができる。ここで、トランジスタTr5と接地GNDの間には電流源I4が配置されており、トランジスタTr5がオンしている間に電流源I4から流出する電流がチャージ電圧SYNC-CHGから放電される。すなわち、主スイッチSW1と従スイッチSW2がオフすると、チャージ電圧SYNC-CHGを既定期間レベルを下げることで所望の補正を加えている。
【0046】
図4は、図1の電流モード検出部を抽出して詳細に示すブロック図である。同図に示すように、電流モード検出部IIIは、不連続電流モード時に主スイッチSW1と従スイッチSW2とがオフしたことを検出するもので、主スイッチ駆動部3の出力信号VG_Hと従スイッチ駆動部4の出力信号VG_Lとを入力として、判定信号Off-Offを生成している。
【0047】
さらに詳言すると、出力信号VG_H、VG_Lは、インバータINV3とナンド回路NANDとでロジック処理され、ナンド回路NANDの出力信号としてPMOS型のトランジスタTr6とNMOS型のトランジスタTr7とに与えられている。トランジスタTr6、Tr7と容量C3との接続点は直列接続された2つのインバータINV4,INV5を介して判定信号Off-Offとして補正部10へ送出される。
【0048】
ここで、主スイッチSW1がオンに、従スイッチSW2がオフに制御・駆動されている場合、出力信号VG_HはLoレベル、出力信号VG_LはLoレベルが与えられており、ナンド回路NANDはHiを出力するので、トランジスタTr6,Tr7と容量C3との接続点は接地GNDと同じレベルにされており、判定信号Off-OffはLoレベルを出力する。
【0049】
一方、主スイッチSW1がオフに、従スイッチSW2がオンに制御・駆動されている場合、駆動信号VG_HはHiレベル、駆動信号VG_LはHiレベルが与えられており、ナンド回路NANDはHiを出力するので、トランジスタTr6とトランジスタTr7と容量C3との接続点は接地GNDと同じレベルにされており、判定信号Off-OffはLoレベルを出力する。
【0050】
主スイッチSW1がオフに、従スイッチSW2もオフに制御・駆動されている場合、駆動信号VG_HはHiレベル、駆動信号VG_LはLoレベルが与えられ、このときナンド回路NANDはLoを出力する。
【0051】
不連続電流モード時は、主スイッチSW1がオフかつ従スイッチSW2がオンにされている状態から、主スイッチSW1がオフかつ従スイッチSW2がオフにされている状態へと変わるので、トランジスタTr6がオフかつトランジスタTr7がオンの状態から、トランジスタTr6がオンかつトランジスタTr7がオフの状態へと変わる。
【0052】
トランジスタTr6がオンし、トランジスタTr7がオフすると電流源I5の供給する電流がトランジスタTr6とトランジスタTr7と容量C3との接続点に与えられる。従スイッチSW2がオンのときこの接続点は接地GNDと同レベルにされており、従スイッチSW2がオフにされてから電流源I5からの電流が与えられ始めるので、従スイッチSW2がオンからオフに変わった時間に比例して、この接続点の電圧はGNDレベルから上昇する。接続点の電圧が、接続点を入力としているインバータINV4の論理閾値以上になると、インバータINV5で反転される判定信号Off-OffはLoレベルからHiレベルを出力して、主スイッチSW1と従スイッチSW2とがオフとされていることを検出した情報を従スイッチ制御部IIへ与える。
【0053】
次に、各モード毎の各部の信号波形に基づき本実施形態の動作を説明する。
1)連続電流モードで補正が与えられていない場合
図5は、図1に示す実施の形態において、連続電流モード(補正なし)における各部の信号波形を示す波形図である。同図(a)はコイルLに流れる電流、(b)は接続点LXの電圧、(c)は駆動信号VG_H、(d)は駆動信号VG_L、(e)は出力信号Duty、(f)は出力信号SYNC-Off、(g)はパルス信号SYNC-1shot、(h)はチャージ電圧SYNC-CHGとランプ電圧SYNC-RAMP、(i)は停止信号SYNK-Stop、(j)は出力信号SYNC-DRVをそれぞれ示す。なお、本形態のブロック構成に関する符号は、図1図4に準拠している(以下、同じ)。
【0054】
図5に示すように、本形態における連続電流モード時には、主スイッチSW1(図1参照、以下同じ)がオンしてコイル電流を増加させてコイルLにエネルギーを蓄えるフェーズと、主スイッチSW1がオフしてコイル電流を減少させてコイルに蓄えたエネルギーを出力に送出するフェーズとから成る。
【0055】
先ず、主スイッチ制御部Iは直流電圧Voutを監視しており、直流電圧Voutの電圧値と直流電圧Voutの設定値との差に応じて主スイッチSW1をオンさせる期間を決定する。主スイッチSW1をオンさせる期間、主スイッチ制御部Iは出力信号DutyをLoレベルとする。この結果、主スイッチ駆動部3が、Loレベルの出力信号Dutyを入力され、同論理のLoレベル信号である駆動信号VG_Hを出力して主スイッチSW1に与える。
【0056】
主スイッチSW1はPMOS型のトランジスタであり、ソースに直流電圧Vin、ゲートに駆動信号VG_HでLoレベルが与えられているので、オンとなる。主スイッチSW1がオンになると、接続点LXの電圧は直流電圧Vinにほとんど等しくなる。このとき、コイルLの一端に接続された接続点LXは直流電圧Vinで、別の一端は直流電圧Voutとなるが、本形態は降圧コンバータであり、Vin>Voutであるので、コイルLに流れる電流の極性は接続点LXから出力端子2へ向かう方向を正として、正の電流が増加する作用をもたらされる。
【0057】
Loレベルの出力信号Dutyは従スイッチ制御部IIの演算部8にも与えられている。そこで演算部8のパルス生成部11に対してLoレベルが与えられているが、パルス生成部11はLoからHiへの遷移をトリガとしてパルスを生成するので、出力信号DutyがLoの間はパルスは発生せず、SRラッチ回路12のセット端子に対してセット信号が与えられないので、出力信号SYNC-DRVはLoレベルを出力し続ける。
【0058】
一方、従スイッチ駆動部4は出力信号SYNC-DRVと同論理の駆動信号VG_Lを従スイッチSW2に与える。この結果、出力信号SYNC-DRVがLoであると駆動信号VG_LがLoレベルであるので、従スイッチSW2はオフにされている。
【0059】
主スイッチ制御部Iは、直流電圧Voutに応じて決定した所定の期間をLoレベルとした後に、出力信号DutyをLoレベルからHiレベルとする。かかるDutyの論理遷移を受けて、主スイッチ駆動部3は駆動信号VG_HをLoレベルからHiレベルに反転させて主スイッチSW1をオンからオフに駆動する。このとき、DutyのLoからHiへの遷移は従スイッチ制御部IIの演算部8にも与えられ、この遷移のタイミングでパルス生成部8は、既定のHi幅のパルス信号SYNC-1shotを生成する。パルス信号SYNC-1shotはSRラッチ回路12のセット端子にセット信号として与えられ、これにより出力信号SYNC-DRVはLoからHiに遷移する。出力信号SYNC-DRVの遷移により、駆動信号VG_LもLoからHiに遷移して、従スイッチSW2はオフからオンになる。
【0060】
従スイッチSW2がオンすると、接続点LXの電圧は接地GNDにほとんど等しくなる。このとき、コイルLの一端は接続点LXに接続されて接地GNDの電位で、別の一端は出力端子2に接続されているので、正のコイル電流を減少させる。
【0061】
この様に出力信号DutyのLoからHiの遷移により、主スイッチSW1のオンからオフと、従スイッチSW2のオフからオンとを制御・駆動するが、主スイッチSW1がオンしている期間と従スイッチSW2がオンしている期間が重なると、直流電源から主スイッチSW1と従スイッチSW2を経由して接地GNDへと到る経路が形成されて過大な電流が流れ、電流経路に破損をもたらすおそれがある。このような過大電流を防ぐために、主スイッチSW1がオンからオフとなるタイミングと、従スイッチSW2がオフからオンとなるタイミングとの間には、主スイッチSW1がオフかつ従スイッチSW2がオフとなる期間をわずかに設けることが一般的な対処となっている。このように、主スイッチSW1がオフで、かつ従スイッチSW2もオフである期間では、従スイッチSW2の寄生ダイオードがコイル電流が流れる経路となるため、主スイッチSW1がオンして接続点LXが直流電圧Vinとほぼ等しくされている状態から、従スイッチSW2がオンして接続点LXが接地GNDとほぼ等しくされる状態へ遷移するまでの僅かな期間、接続点LXの電圧が負になる。
【0062】
パルス信号SYNC-1shotは演算部8のNMOS型のトランジスタTr4にも与えられており、演算部8のパルス生成部11がパルス信号SYNC-1shotにHiパルスを出力する間トランジスタTr4はオンする。トランジスタTr4と接地GNDの間には電流源I3が配置されており、パルス信号SYNC-1shotがHiの間、チャージ電圧SYNC-CHGと接地GNDとの間に配置された容量C2の電荷を放電する。このときトランジスタTr4に与えられるHiパルスは既定の幅であるので、チャージ電圧SYNC-CHGの電圧低下量は一定値となる。よって、出力信号DutyがLoレベルからHiレベルへ遷移したタイミングで、チャージ信号SYNC-CHGの電圧は一定量低下する。
【0063】
また、出力信号Dutyは演算部8のインバータINV1にも与えられており、インバータINV1の出力はPMOS型のトランジスタTr1とNMOS型のトランジスタTr2とに与えられている。かくして、従スイッチSW2がオフしている間、出力信号DutyはLoであるので、トランジスタTr1はオフ、トランジスタTr2はオンしており、ランプ電圧SYNC-RAMPは接地GNDにされる。かかる状態で、出力信号DutyがHiとなると従スイッチSW2がオンとなり、トランジスタTr1はオン、トランジスタTr2はオフとなる。
【0064】
ここで、トランジスタTr1と演算部8の電源との間には電流源I1が配置されており、トランジスタTr1がオンとなる期間に所定の電流値で、ランプ電圧SYNC-RAMPと接地GNDとの間に配置された容量C1に充電を始める。よって、ランプ電圧SYNC-RAMPは、従スイッチSW2がオフしている間は接地GNDのレベルであり、従スイッチSW2がオフからオンとなるタイミングで電圧の上昇が始まり、従スイッチSW2がオンしている時間に比例して電圧が上昇していく。
【0065】
ランプ電圧SYNC-RAMPとチャージ電圧SYNC-CHGは演算部8のコンパレータCMPで比較されおり、ランプ電圧SYNC-RMAPの電圧が高い場合はコンパレータ出力である停止信号SYNC-StopはHiレベルを出力し、チャージ電圧SYNC-CHGの電圧が高くなった時点で停止信号SYNC-StopがLoレベルとなる。
【0066】
従スイッチSW2がオフしている場合、ランプ電圧SYNC-RMAPは接地GNDのレベルにされているので、停止信号SYNC-StopはLo出力となっている。従スイッチSW2がオフからオンとなり、ランプ電圧SYNC-RAMPの電圧値が上昇をはじめ、チャージ電圧SYNC-CHGの電圧値より高くなると、停止信号SYNC-StopはHiを出力する。
【0067】
停止信号SYNC-StopはSRラッチ回路12のリセット端子にリセット信号として与えられており、停止信号SYNC-StopがHiとなると出力信号SYNC-DRVはHiからLoに遷移する。出力信号SYNC-DRVの遷移により、駆動信号VG_LもHiからLoに遷移して、従スイッチSW2はオンからオフになる。従スイッチSW2がオフになった直後、出力信号DutyはHiレベルであるので駆動信号VG_HもHiであり、主スイッチSW1はオフしている。
【0068】
このときも、主スイッチSW1がオフかつ従スイッチSW2もオフである期間であるので、従スイッチSW2の寄生ダイオードがコイル電流が流れる経路となり、接続点LXの電圧が負になる。
【0069】
また、停止信号SYNC-Stopはオフ時間検出部9のアンド回路13にも与えられており、従スイッチSW2がオンの間は出力信号SYNC-DRVにHiが出力されているので、SYNC-StopにHiが出力されると、アンド回路13のAND出力もHiとなり、SRラッチ回路14のセット端子にセット信号が与えられる。この結果、SRラッチ回路14は出力信号SYNC-OffをLoからHiに遷移させる。出力信号SYNC-OffがLoからHiとなると、インバータINV2を介してPMOS型のトランジスタTr3にはLoが与えられ、この結果トランジスタTr3はオフからオンとなる。
【0070】
ここで、トランジスタTr3と演算部8の電源との間には電流源I2が配置されており、トランジスタTr3がオンとなると、所定の電流値で、チャージ電圧SYNC-CHGと接地GNDとの間に配置されている容量C2に充電を始める。この後、次のスイッチング周期が開始され、主スイッチ制御部Iが出力信号DutyにLoを出力すると、主スイッチ駆動部3が駆動信号VG_HとしてLoを出力し、主スイッチSW1がオフからオンと駆動される。この結果、接続点LXは直流電圧Vinにほぼ等しくなる。主スイッチSW1のオンと同時に接続点LXは負電圧から直流電圧Vinへと遷移するが、接続点LXはオフ時間検出部9のSRラッチ回路14のリセット端子にも入力されており、接続点LXの電位の遷移でSRラッチ回路14はリセットされる。この結果、出力信号SYNC-OffがHiからLoとなり、トランジスタTr3はオフとなる。この様に、チャージ電圧SYNC-CHGは、従スイッチSW2がオンした直後に一定量の電圧が減少して、従スイッチSW2がオフしてから次のスイッチング周期が開始されて主スイッチSW1がオンするまでの期間に比例して電圧が上昇する。
【0071】
従スイッチSW2がオフしてから次周期が開始するまでの期間は、コイル電流が従スイッチSW2の寄生ダイオードを通るので、この期間は、コイル電流がオン状態の従スイッチSW2を通る期間より電力の損失が大きい。よって、従スイッチSW2がオフしてから次周期が開始するまでの期間はできるだけ短いことが望ましい。
【0072】
一方、従スイッチSW2がオンしたまま次周期が開始されて主スイッチSW1がオンすると、入力端子1から接地GNDへ過電流が流れて、スイッチの損傷をもたらすおそれがあるので、次周期が開始される前に従スイッチSW2は、確実にオフさせておく必要がある。例えば、外部擾乱などの影響で、ある周期の従スイッチSW2のオン時間が期待値より短い場合は、従スイッチSW2がオフしてから次周期が開始されるまでの期間が期待値より長くなっているので、この周期でのチャージ電圧SYNC-CHGの電圧上昇量は多くなる。すると、次周期が始まったときのチャージ電圧SYNC-CHGは、この周期より高くなっているので、次周期の従スイッチSW2がオンしてからランプ電圧SYNC-RAMPがチャージ電圧SYNC-CHGより高くなるタイミングまでの期間は、この周期より長くなる。よって、次周期においてはこの周期より従スイッチSW2のオン時間が長くなる作用が働いている。
【0073】
同様に、従スイッチSW2のオン時間が期待より短い場合は、従スイッチSW2がオフしてから次周期が開始されるまでの期間が期待値より短く、この周期でのチャージ電圧SYNC-CHGの電圧上昇量は少なくなる。次周期が始まったときのチャージ電圧SYNC-CHGは、この周期より低くなっており、次周期の従スイッチSW2がオンしてからランプ電圧SYNC-RAMPがチャージ電圧SYNC-CHGより高くなるタイミングまでの期間は、この周期より短くなる。よって、次周期においてはこの周期より従スイッチSW2のオン時間が短くなる作用が働いている。
【0074】
2)不連続電流モードで補正が与えられている場合
図6は、図1に示す実施の形態において、不連続電流モード(補正あり)における各部の信号波形を示す波形図である。同図の(a)~(g)は図5の場合と同様である。本形態では補正機能を有するため、当該機能に対応する(h)の判定信号Off-Offおよび(i)のパルス信号OffOff-1shotの波形を追加している。また、同図の(j)~(l)は図5の(h)~(j)にそれぞれ対応している。
【0075】
図6に示すように、不連続電流モード時は、主スイッチがオンしてコイル電流を増加させてコイルにエネルギーを蓄えるフェーズと、主スイッチがオフしてコイル電流を減少させてコイルに蓄えたエネルギーを出力に送出するフェーズと、主スイッチと従スイッチとがオフしてコイルを介してのエネルギーの授受がないフェーズとから成る。
【0076】
不連続電流モード時でも、連続電流モード時と同様に、主スイッチ制御部Iは主スイッチSW1をオンさせる期間を決定して、その期間の間、出力信号DutyをLoレベルとする。主スイッチSW1がオンとなると接続点LXは入力端子1の電圧である直流電圧Vinにほぼ等しくなり、コイルLに流れる電流は正の電流が増加する。以降、各部の波形は、ランプ電圧SYNC-RAMPの値がチャージ電圧SYNC-CHGの値より高くなり、停止信号SYNC-StopにHiが出力されるまで、連続電流モード時と同じ挙動を示す。
【0077】
停止信号SYNC-StopがHiになると、従スイッチSW2はオンからオフに制御・駆動される。連続電流モード時の場合、演算部8で制御されている主スイッチSW1と従スイッチSW2とがオフしている期間を経て次周期が開始されるが、不連続電流モード時の場合は、演算部8で制御されている、主スイッチSW1と従スイッチSW2とがオフしている期間に続いて、演算部8が制御しない主スイッチSW1と従スイッチSW2とがオフしている期間が継続する。この演算部8が制御しないオフ期間は直流電圧Voutと接地GNDとの間に接続した負荷の軽重に依存し、負荷が軽い場合はこの期間が長くなり、負荷が重い場合はこの期間が短くなる。
【0078】
ここで、演算部8が制御しているオフ期間とは出力信号SYNC-OffがHiとなっている期間のことであり、演算部8が制御しないオフ期間とは、出力信号SYNC-OffがHiからLoに遷移してから、次周期でDutyがHiからLoに遷移するまでの期間のことである。
【0079】
不連続電流モード時は、補正部10により、チャージ電圧SYNC-CHGに対して電圧レベルの補正が加えられる。すなわち、先ず、停止信号SYNC-StopがLoからHiになると、オフ時間検出部9のSRラッチ回路14のセット端子に対してセット信号が与えられるので、出力信号SYNC-OffはLoからHiとなる。この結果、演算部8のトランジスタTr3はオフからオンとなり、電流源I2は容量C2に対して充電を開始する。
【0080】
停止信号SYNC-StopがHiになると、出力信号SYNC-DRVはLoとなり、駆動信号VG_LもLoとなるので、従スイッチSW2はオフとなる。これ以前、従スイッチSW2がオンしている期間からコイル電流は正方向の成分が漸減するが、従スイッチSW2がオフした後もコイルLの一端に接続された接続点LXの電圧は負であり、別の一端の電圧は直流電圧Voutであるので、引き続き正方向の電流が漸減する。
【0081】
かかる作用により、コイル電流が減少してゼロに到ると、主スイッチSW1と従スイッチSW2のドレイン端子に存在する寄生容量成分とコイルLにより、接続点LXに共振状の電圧波形が生じる。この共振現象により、オフ時間検出部9のSRラッチ回路14のリセット端子にはリセット入力が与えられるので、出力信号SYNC-OffはHiからLoに遷移する。この遷移に伴い、電流源I2による容量C2へ充電は終了して、チャージ電圧SYNC-CHGの電圧上昇も終了する。
【0082】
補正の実施の有無を制御しているのは、電流モード検出部IIIの出力信号である判定信号Off-Offである。電流モード検出部IIIには駆動信号VG_Hと駆動信号VG_Lとが入力されており、駆動信号VG_HがHiで主スイッチSW1がオフしており、かつ駆動信号VG_LがLoで従スイッチSW2もオフしていると、ナンド回路NANDの出力はLoとなる。この結果、トランジスタTr6がオン、トランジスタTr7がオフとなるので、電流源I5が容量C3に充電を開始する。容量C3に充電が開始されるのは、従スイッチSW2がオンからオフとなる停止信号SYNC-StopがLoからHiに遷移したタイミングである。
【0083】
充電が開始される以前は、電流モード検出部IIIのトランジスタTr7がオンしているので、トランジスタTr6,Tr7と容量C3との接続点は接地GNDの電位となっている。充電が開始されて、前記接続点の電圧が上昇し、該接続点の電圧が入力されているインバータINV4の論理閾値を超えるとINV5で反転された判定信号Off-OffがLoからHiとなる。
【0084】
判定信号Off-Offは従スイッチ制御部IIの補正部10に与えられており、判定信号Off-OffがLoからHiに遷移したタイミングで、既定のHi幅のパルス信号OffOff-1shotを生成する。パルス信号OffOff-1shotは補正部10のトランジスタTr5に与えられており、トランジスタTr5と接地GND間には電流源I4が配置されているので、パルス信号OffOff-1shotにおける既定のHi幅の間、容量C2の電荷を放電する。よって、主スイッチSW1と従スイッチSW2とがオフしてから所定の時間が経過すると、SYNC-CHGの電圧は一定量低下させられる。
【0085】
不連続電流モード時に補正を加えたいため、主スイッチと従スイッチとがオフしてからOff-OffがHiとなるまでの時間は、演算部8が制御しているオフ時間より長く設定することが好適である。
【0086】
ここで、特許文献1等に開示する先行技術と、本願の実施の形態とを比較しておく。連続電流モードにおける先行技術と本願の実施の形態との機能は同様である。そこで、この場合の各部の波形を示す波形図も同様である。
【0087】
図7に基づいて連続電流モードにおける共通する機能を説明する。図7(a)はコイル電流、同(b)は接続点LXの電圧、同(c)はコンパレータCMPの入力となるランプ電圧SYNC-RAMPとチャージ電圧SYNC-CHGの波形をそれぞれ示している。同図(a)に示すように、コイル電流は図7(a)に示すようにプラスの領域で連続する波形となっており、接続点LXの電圧は、同図(b)に示すように、主および従スイッチSW1,SW2がオフしていて接続点LXの電圧が負になっている状態から次周期の主スイッチSW1のオンへと遷移するので、接続点LXの電圧は負から入力端子1の直流電圧Vinへとほぼ垂直に遷移する。
【0088】
一方、不連続電流モードの場合、先行技術では、図8(A)に示すように、主および従スイッチSW1,SW2がオフした後に、コイルLと接続点LXに付加している寄生容量との共振によりやや緩やかに接続点LXの電圧が上昇するので、接続点LXが負になっている時点から接続点LXが所定の閾値(この閾値は本形態の場合はオフ時間検出部9のSRラッチ回路14のリセットの論理閾値で、例えば入力端子1の直流電圧Vinの1/2に設定される)に到るまでの時間が連続電流モードの場合に比べて長くなる。
【0089】
この結果、先行技術における不連続電流モード時では、あるスイッチング周期に対して次のスイッチング周期のチャージ電圧SYNC-CHGが高くなり、チャージ電圧SYNC-CHGがより高い周期では従スイッチングSW2のオン時間も長くなるので、コイル電流が負に到る場合が発生する。
【0090】
これに対し不連続電流モードの場合、本形態では、図8(B)に示すように、主および従スイッチSW1,SW2がオフした後に、コイルLと接続点LXに付加している寄生容量との共振によりやや緩やかにLXの電圧が上がるので、接続点LXが負になっている時点から接続点LXが所定の閾値に到るまでの時間は、先行技術の場合と同様に、連続電流モードに比べて長くなる。
【0091】
ところが、本形態の場合には、補正部10により閾値に到るまでの時間を適切に補正しているので、先行技術のような問題を発生することはない。すなわち、本形態では、主および従スイッチSW1,SW2がオフになってから所定の時間が経過すると、電流モード検出部IIIが不連続電流モードであることを検出して、従スイッチ制御部IIの補正部10へ判定信号Off-Offを出力する。補正部10では判定信号Off-Offを受けて、チャージ電圧SYNC-CHGを一定量低下させる補正を行う。
【0092】
かかる補正により連続電流モード時の接続点LXの垂直遷移と、不連続モード時の共振による緩やかな電圧上昇との差異を除去したので、不連続電流モード時であっても、スイッチング周期ごとのチャージ電圧SYNC-CHGのレベル差を除去することができる。すなわち、主および従スイッチSW1,SW2のオン時間も周期ごとで差異が無いので、コイル電流が負に到ることはない。
【0093】
上記実施の形態における演算部8では、従スイッチSW2がオフしてから接続点LXが所定の閾値に達するまでの時間に依存して電圧値が上昇するとともに周期ごとに一定量が下降するチャージ信号SYNC-CHGと従スイッチSW2のオン時間に依存して値が上昇するランプ信号SYNC-RAMPとを比較して従スイッチSW2のオン時間を決定している(請求項5に対応する構成)。ただ、これに限るものではない。1)従スイッチSW2がオフしてから接続点LXが所定の閾値に達するまでの時間に依存して上昇する電圧(SYNC-CHG参照)に基づき制御する場合(請求項3に対応する構成)、2)時間に依存して上昇する電圧(SYNC-CHG参照)とともにトランジスタTR4を介して一定量減らす電圧)に基づき制御する場合(請求項4に対応する構成)も本発明の技術思想に含まれる。
【0094】
上記1)の場合は、図3に示す構成要素のうち、パルス生成部11と、SRラッチ回路12,14と、コンパレータCMPと、電流源I2と、トランジスタTr3と、容量C2と、インバータ回路INV2と、アンド回路13とを有しており、従スイッチSW2がオフしてから接続点LXが所定の閾値に達するまでの時間に依存して上昇するチャージ電圧SYNC-CHGと、例えば所定の基準値である参照電圧とをコンパレータCMPで比較した結果で従スイッチSW2のオン時間を決める。
【0095】
また、上記2)の場合は、図3に示す構成要素のうち、パルス生成部11と、SRラッチ回路12,14と、コンパレータCMPと、電流源I2,I3と、トランジスタTr3,Tr4と、容量C2と、インバータ回路INV2と、アンド回路13とを有しており、従スイッチSW2がオフしてから接続点LXが所定の閾値に達するまでの時間に依存して上昇するとともにワンショットパルスSYNC-CHGでオン・オフを制御されるトランジスタTR4により生成されるチャージ電圧SYNC-CHGと、例えば所定の基準値である参照電圧とをコンパレータCMPで比較した結果で従スイッチSW2のオン時間を決める。
【0096】
さらに、上記1)の場合には、「上昇する電圧」のみならず「下降する電圧」であっても同様の所定の制御が可能である。同様に、上記2)の場合も、時間に依存して変化する電圧が「下降する電圧」であり、かつ周期毎に変化する電圧が「一定量上昇する電圧」であっても良い。
【0097】
同様に、図3に示す演算部8の場合においても、「上昇する電圧」は下降する電圧、「下降する電圧」は上昇する電圧でそれぞれ代替することができる。要するに、図3の場合には、従スイッチがオフしてから接続点LXの電圧値が閾値に達するまでの時間に依存して上昇または下降するように一方向に変化する電圧であるとともに、周期毎に一定量下降または上昇するように反対方向に変化する電圧の値と、従スイッチSW2のオン時間に依存して値が上昇または下降するように前記一方向に変化する電圧の値とを比較して制御するように構成すれば良い。
【0098】
上記実施の形態において、補正部10は、周期毎に下降する電圧値を大きくすることで補正を与えるように構成したが、これに限るものではない。従スイッチSW2がオフしてから、接続点LXの電圧が閾値に達するまでの時間に依存して上昇する電圧の上昇率を小さくすることで補正を与えるように構成しても同様の効果を得ることができる。
【0099】
図9は上述の如く、接続点LXの電圧が閾値に達するまでの時間に依存して上昇する電圧の上昇率を小さくすることで補正を与える場合の従スイッチ制御部の構成例を示すブロック図である。なお、図3と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【0100】
図9に示すように、本例の補正部30には電流モード検出部III(図1参照;以下同じ)より判定信号Off-Offが与えられているが、不連続電流モードであることが検出されると、判定信号Off-OffはLoレベルからHiレベルになる。判定信号Off-OffがLoからHiになると、補正部30のパルス生成部15が所定の期間Hiレベルとなるパルス信号OffOff-1shotを出力する。このパルス信号OffOff-1shotは、D端子が電源に接続されているDフリップフロップ回路17のクロック入力端子に与えられ、Dフリップフロップ回路17のQ端子から出力される出力信号SlowSlopeをHiレベルとする。
【0101】
出力信号SlowSlopeは、演算部28が有するPMOS型のトランジスタTr8のゲートに与えられているので、出力信号SlowSlopeがHiとなるとトランジスタTr8はオフとなる。ここで、トランジスタTr8のソースと電源との間には電流源I7が配置されているが、出力信号SlowSlopeがHiの間、電流源I7の出力電流はトランジスタTr8で遮断される。
【0102】
一方、オフ時間検出部29の出力信号SYNC-OffがHiの間、トランジスタTr3がオンとなり容量C2に電流が供給される結果、容量C2の電荷に基づく電圧はHiレベルの期間に比例して電圧が上昇する。このとき供給される電流は電流源I6,I7から与えられるが、電流源I6が供給する電流値と電流源I7が供給する電流値の和を、図3の電流源I2が供給する電流値に等しくしておく。
【0103】
この結果、補正部30からの出力信号SlowSlopeがHiのときはトランジスタTr8がオフとなるので、チャージ信号SYNC-CHGとなる電流は電流源I6からのみ供給される。ここで、電流源I6からの電流供給量は、図3に示す電流源I2からの供給量より少ないので、図3に示す実施形態よりチャージ信号SYNC-CHGの電圧上昇率は小さくなる。
【0104】
本例における補正部30はオフ時間検出部29が出力する判定信号SYNC-Offをインバータ6で反転してパルス生成部18に供給し、この結果生成されるパルス信号SYNC-Off_B_1shotをDフリップフロップ回路17のリセット端子に供給することでDフリップフロップ回路17をリセットする。
【0105】
図9に示す例での不連続電流モードにおける各部の波形を図10示す。同図を参照すれば、図10(l)に示す波形において、チャージ信号SYNC-CHGの電圧上昇率が小さくなっている。
【0106】
図11は本発明の他の実施の形態に係る昇圧型のDC・DCコンバータの全体を示すブロック図である。同図に示すように、本形態に係る昇圧型のDC・DCコンバータは、昇圧型であるので、図1に示す降圧型に対し、コイルLを流れるコイル電流の方向が逆(接続点LXに流れ込む方向)になり、同時に主スイッチSW1と従スイッチSW2との関係が逆になっている。すなわち、主スイッチSW1は、図1の従スイッチSW2と同じN型のMOSトランジスタで構成し、従スイッチSW2は、図1の主スイッチSW1と同じP型のMOSトランジスタで構成してある。そして、駆動信号VG_Lは、図1の駆動信号VG_Lと、駆動信号VG_Hは、図1の駆動信号VG_Hと同波形のスイッチングパルスとなる。また、オフ時間検出部9にはインバータINV7で反転した接続点LXの信号が供給される。その他の構成は図1と同様である。そこで、同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【符号の説明】
【0107】
I 主スイッチ制御部
II 従スイッチ制御部
III 電流モード検出部
Vin 直流電圧
Vout 直流電圧
SW1 主スイッチ
SW2 従スイッチ
1 入力端子
2 出力端子
3 主スイッチ駆動部
4 従スイッチ駆動部
8,28 演算部
9,29 オフ時間検出部
10,30 補正部

【要約】      (修正有)
【課題】誤差を生起することなく正確な所定の制御を行うDC・DCコンバータを提供する。
【解決手段】直列に接続した主スイッチSW1と従スイッチSW2との接続点に接続したコイルLを備え、主スイッチSW1と従スイッチSW2とを交互にオン・オフさせることより所定の直流出力電圧に変換するDC・DCコンバータであって、従スイッチSW2のオン時にコイルLを流れる電流がゼロ点を通らない連続電流モードまたはゼロ点を通る不連続電流モードのいずれであるかを検出する電流モード検出部IIIと、前記接続点の電圧が従スイッチSW2がオフしてから所定の閾値に達するまでの時間に基づき、次周期以降の従スイッチSW2のオン時間を制御する従スイッチ制御手段IIとを有する。従スイッチ制御部IIは、電流モード検出部IIIの検出結果に基づき次周期以降の従スイッチSW2のオン時間を補正する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11