(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-20
(45)【発行日】2022-04-28
(54)【発明の名称】宅配ボックス装置を使用した配送システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20120101AFI20220421BHJP
【FI】
G06Q10/08
(21)【出願番号】P 2018003112
(22)【出願日】2018-01-12
【審査請求日】2020-12-08
(31)【優先権主張番号】P 2017003036
(32)【優先日】2017-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】517011489
【氏名又は名称】ウィルポート株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081271
【氏名又は名称】吉田 芳春
(74)【代理人】
【識別番号】100162189
【氏名又は名称】堀越 真弓
(72)【発明者】
【氏名】城山 憲明
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-154661(JP,A)
【文献】特開2017-004135(JP,A)
【文献】特開2007-084273(JP,A)
【文献】特開2005-265302(JP,A)
【文献】特開2003-058790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
宅配ボックス装置に設けられ、配送物をそれぞれ収容可能な複数の収容ボックスと、前記配送物の受取者が使用する受取者端末と、該配送物の配送業者が使用する配送業者端末と、前記受取者端末及び前記配送業者端末と通信可能なシステムのサーバとを備えており、
前記複数の収容ボックスの各々は、設定された解錠番号によって機械的に施錠及び解錠が可能であり、かつ、前記解錠番号を機械的に変更可能な無電源式の開閉キーを備えており、
前記サーバは、前記複数の収容ボックスをそれぞれ識別するためのボックス番号と該複数の収容ボックスの開閉キーの現在の解錠番号とを互いに紐付けて記憶すると共に、前記配送物を配送すべき収容ボックスのボックス番号と該配送物の伝票情報とを互いに紐付けて記憶するデータベースを備えており、前記データベースに互いに紐付けて記憶されている前記伝票情報、前記配送すべき収容ボックスのボックス番号及び該収容ボックスの開閉キーの現在の解錠番号とランダムの新たな解錠番号とを前記配送業者端末へ送信するように構成されており、さらに、前記配送物を当該収容ボックスに収納して配送完了した旨を前記配送業者端末から受信した際に、該収容ボックスのボックス番号及び前記新たな解錠番号を前記受取者端末へ送信するように構成されており、
前記配送業者端末は、前記サーバより、前記配送物の前記伝票情報に対応する前記収容ボックスのボックス番号、前記現在の解錠番号、及び前記新たな解錠番号を受信して表示するように構成されており、前記配送業者が前記収容ボックスに前記配送物を収納して前記開閉キーを前記新たな解錠番号で施錠して前記配送物の配送が完了した旨を前記サーバに送信するように構成されており、
前記受取者端末は、前記配送物を収容した収容ボックスの開閉キーの前記新たな解錠番号を前記サーバから受信するように構成されていることを特徴とする宅配ボックス装置を使用した配送システム。
【請求項2】
前記サーバは、使用可能な収容ボックスが存在する複数の宅配ボックス装置の住所を前記受取者端末に送信するように構成されており、前記受取者端末は受信した複数の宅配ボックス装置から所望の宅配ボックス装置を選択して前記サーバへ送信するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の配送システム。
【請求項3】
前記受取者端末は、選択した所望の宅配ボックス装置と、選択した所望の受取時間帯とを前記サーバへ送信するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の配送システム。
【請求項4】
前記サーバは、
指定した前記収容ボックスの開閉キーの前記新たな解錠番号をその都度ランダムに生成して前記配送業者端末へ送付するように構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の配送システム。
【請求項5】
前記サーバの前記データベースには、前記宅配ボックス装置における前記複数の収容ボックスの各々が使用中であるか否かの情報が記憶されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の配送システム。
【請求項6】
前記複数の収容ボックスの扉が開成されたことをそれぞれ検知し、前記サーバに扉開成を送信する扉開閉センサをさらに備えており、前記サーバは、該扉開閉センサから扉開成の通知を受信した場合に、該開成が配送完了の後であれば、前記受取者が前記配送物を受け取ったと認識するように構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の配送システム。
【請求項7】
前記サーバは、前記受取者による前記配送物の受取が前記配送完了から所定時間を超えた場合に、該受取者に対して超過料金を課金するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の配送システム。
【請求項8】
前記開閉キーは、複数ボタンのブッシュボタンキーであり、解錠が終了すると、押し込んだプッシュボタンが自動復帰するように構成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の配送システム。
【請求項9】
前記開閉キーは、複数桁のダイヤルキーであることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の配送システム。
【請求項10】
前記複数の収容ボックスが少なくとも1つの保冷可能な収容ボックスを備えており、
前記受取者端末は、前記配送物を収容した保冷可能な収容ボックスの開閉キーの前記新たな解錠番号と、該保冷可能な収容ボックスの保冷期限とを前記サーバから受信するように構成されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の配送システム。
【請求項11】
前記サーバは、前記保冷期限を、前記配送物が前記保冷可能な収容ボックスに収容された時刻と、該保冷可能な収容ボックスの保冷可能時間とから計算するように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の配送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅配ボックス装置を使用して配送物の受け渡しを行う配送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、宅配ボックス装置からの宅配物の取り出しに係わる動作を統合的に制御し、利用者の利便性を高めることを目的として、配達された宅配物を収容する電気錠をボックス毎に備えた宅配ボックス装置と、宅配ボックス装置の各ボックスに宅配荷物が収容されているか否かを検出する荷物センサと、荷物センサを監視し宅配荷物が収容されたボックスを特定して電気錠の開閉制御を行う制御回路とを備えた物品収受装置が開示されている。制御回路は、通信回線を介して管理センターサーバと通信可能になっており、管理センターサーバを介して宅配ボックス装置の各ボックスの現在の状態がモニタすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この特許文献1に記載の物品収受装置によると、宅配ボックス装置の各ボックスに電気錠を設け、また、各宅配ボックス装置にCPUを有する制御回路を設け、電気錠の開閉制御が通信回線を介して管理センタに接続されたこの制御回路によって行われるように構成しているため、宅配ボックス装置に電気錠及び制御回路を駆動するための電源を設けることが必須であり、商用電源等の引き込み工事無しに宅配ボックス装置の物品収受管理を行うことは不可能である。
【0005】
その結果、この種の物品収受装置は、宅配ボックス装置への電源の引き込み工事が必要であることのみならず、宅配ボックス装置に電気錠及び制御回路を設ける必要があることから、電源の引き込み工事が必要であると共に、宅配ボックス装置自体の構造が複雑となるので、設置コストが著しく高価となってしまう。
【0006】
本発明は従来技術のこのような課題を解決するものであり、その目的は、簡単な構成でかつ電源の引き込み工事が不要な宅配ボックス装置を使用してシステムを構成可能な、宅配ボックス装置を使用した配送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、宅配ボックス装置に設けられ、配送物をそれぞれ収容可能な複数の収容ボックスと、配送物の受取者が使用する受取者端末と、配送物の配送業者が使用する配送業者端末と、受取者端末及び配送業者端末と通信可能なシステムのサーバとを備えた、宅配ボックス装置を使用した配送システムが提供される。複数の収容ボックスの各々は、設定された解錠番号によって機械的に施錠及び解錠が可能であり、かつ、解錠番号を機械的に変更可能な無電源式の開閉キーを備えている。サーバは、複数の収容ボックスをそれぞれ識別するためのボックス番号と複数の収容ボックスの開閉キーの現在の解錠番号とを互いに紐付けて記憶すると共に、配送物を配送すべき収容ボックスのボックス番号と配送物の伝票情報とを互いに紐付けて記憶するデータベースを備えており、データベースに互いに紐付けて記憶されている伝票情報、配送すべき収容ボックスのボックス番号及びこの収容ボックスの開閉キーの現在の解錠番号とランダムの新たな解錠番号とを配送業者端末へ送信するように構成されており、さらに、配送物を収容ボックスに収納して配送完了した旨を配送業者端末から受信した際に、その収容ボックスのボックス番号及び新たな解錠番号を受取者端末へ送信するように構成されている。配送業者端末は、サーバより、配送物の伝票情報に対応する収容ボックスのボックス番号、現在の解錠番号、及び新たな解錠番号を受信して表示するように構成されており、配送業者が収容ボックスに配送物を収納して開閉キーを新たな解錠番号で施錠して配送物の配送が完了した旨をサーバに送信するように構成されている。受取者端末は、配送物を収容した収容ボックスの開閉キーの新たな解錠番号をサーバから受信するように構成されている。
【0008】
宅配ボックス装置の各収容ボックスの開閉キーに関してサーバが現在の解錠番号を記憶しており、この現在の解錠番号とランダムの新たな解錠番号を配送業者端末に送ってこの配送業者が開閉キーを解錠すると共に施錠し、ランダムの新たな解錠番号を受取者端末に送ってこの受取者が開閉キーを解錠するようにしているため、開閉キーが機械的に施錠及び解錠可能でありこの解錠番号を機械的に変更可能である無電源式の開閉キーであっても、全く問題なく安全かつ確実に配送物の配送及び受取を行うことができる。即ち、商用電源等の電源の引き込み工事を行うことなく宅配ボックスを構成することができる。その結果、宅配ボックス装置を使用したシステムを簡単な構成でかつ安価に構成することが可能となる。
【0009】
サーバは、使用可能な収容ボックスが存在する複数の宅配ボックス装置の住所を受取者端末に送信するように構成されており、受取者端末は受信した複数の宅配ボックス装置から所望の宅配ボックス装置を選択してサーバへ送信するように構成されていることが好ましい。
【0010】
この場合、受取者端末は、選択した所望の宅配ボックス装置と、選択した所望の受取時間帯とをサーバへ送信するように構成されていることがより好ましい。
【0011】
サーバは、指定した収容ボックスの開閉キーの新たな解錠番号をその都度ランダムに生成して配送業者端末へ送付するように構成されていることも好ましい。
【0012】
サーバのデータベースには、宅配ボックス装置における複数の収容ボックスの各々が使用中であるか否かの情報が記憶されていることも好ましい。
【0013】
複数の収容ボックスの扉が開成されたことをそれぞれ検知し、サーバに扉開成を送信する扉開閉センサをさらに備えており、サーバは、扉開閉センサから扉開成の通知を受信した場合に、開成が配送完了の後であれば、受取者が配送物を受け取ったと認識するように構成されていることも好ましい。
【0014】
この場合、サーバは、受取者による配送物の受取が配送完了から所定時間を超えた場合に、受取者に対して超過料金を課金するように構成されていることがより好ましい。
【0015】
開閉キーは、複数ボタンのブッシュボタンキーであり、解錠が終了すると、押し込んだプッシュボタンが自動復帰するように構成されていることも好ましい。
【0016】
開閉キーは、複数桁のダイヤルキーであることも好ましい。
【0017】
複数の収容ボックスが少なくとも1つの保冷可能な収容ボックスを備えており、受取者端末は、配送物を収容した保冷可能な収容ボックスの開閉キーの新たな解錠番号と、保冷可能な収容ボックスの保冷期限とをサーバから受信するように構成されていることも好ましい。配送業者が保冷可能な収容ボックスに配送物を収納し、サーバから収容ボックスの開閉キーの新たな解錠番号と共に保冷期限も受取者端末に送られるように構成されているため、要冷蔵又は用冷凍の配送物についても、問題なく配送及び受取を行うことができる。
【0018】
この場合、サーバは、保冷期限を、配送物が保冷可能な収容ボックスに収容された時刻と、保冷可能な収容ボックスの保冷可能時間とから計算するように構成されていることがより好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、開閉キーが解錠番号によって機械的に施錠及び解錠し、この解錠番号を機械的に変更する無電源式の開閉キーであっても、全く問題なく安全かつ確実に配送物の配送及び受取を行うことができる。即ち、商用電源等の電源の引き込み工事を行うことなく宅配ボックスを構成することができる。その結果、宅配ボックス装置を使用したシステムを簡単な構成でかつ安価に構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の宅配ボックス装置を使用した配送システムの一実施形態における全体構成を概略的に示すブロック図である。
【
図2】
図1の実施形態における開閉キーの一例を概略的に示す正面図である。
【
図3】
図1の実施形態における商品注文処理から配送処理の流れを概略的に説明する説明図である。
【
図4】
図1の実施形態における配送処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【
図5】
図1の実施形態において配送処理中のユーザ端末の表示内容を示す図である。
【
図6】
図1の実施形態において配送処理中のユーザ端末の表示内容を示す図である。
【
図7】
図1の実施形態において配送処理中の宅配業者端末の表示内容を示す図である。
【
図8】
図1の実施形態において配送処理中のユーザ端末の表示内容を示す図である。
【
図9】本発明の宅配ボックス装置を使用した配送システムの他の実施形態において、収容ボックスに内蔵された保冷箱の一例を示す斜視図である。
【
図10】
図9の実施形態における配送処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は本発明の宅配ボックス装置を使用した配送システムの一実施形態における全体構成を概略的に示しており、
図2は本実施形態における開閉キーの一例を概略的に示している。本実施形態は、宅配ボックス配送システムに会員登録したユーザ(本発明の受取者に対応する)が、宅配業者(本発明の配送業者に対応する)が配送する宅配物(本発明の配送物に対応する)の配送先を所望の宅配ボックス装置とし、この宅配ボックス装置で宅配物を受け取ることができるように構成された配送システムに関するものである。
【0022】
図1において、10は本配送システムのクラウド上のサーバ、10aはこのサーバ10に設けられたデータベース、11は宅配業者が使用する携帯型の宅配業者端末(本発明の配送業者端末に対応する)、12はユーザが使用するユーザ端末(本発明の受取者端末に対応する)、13はユーザが商品を購入する商店の端末、14は複数の収容ボックス14a、14b、14c、14d・・・を備えた宅配ボックス装置、15a、15b、15c、15d・・・は各収容ボックス14a、14b、14c、14d・・・に設けられ、その扉をロックする無電源式の開閉キー、16は収容ボックス14a、14b、14c、14d・・・の扉が開成されたことを検知してサーバ10に通知する扉開閉センサをそれぞれ示している。
【0023】
サーバ10は、コンピュータシステムを含む公知のハードウェアで構成可能である。このため、本明細書においては、その具体的な構成の説明を省略する。このサーバ10は、インターネット回線、無線電話回線及び/又は特定の固定回線等の回線を介して宅配業者端末11、ユーザ端末12、商店端末13及び扉開閉センサ16と通信しデータの送受を行う通信装置、コンピュータ装置、並びにデータベース10aを備えている。
【0024】
サーバ10のデータベース10aは、収容ボックス14a、14b、14c、14d・・・が使用中であるか非使用中であるかの情報、さらに、これら収容ボックス14a、14b、14c、14d・・・をそれぞれ識別するためのボックス番号、及び収容ボックス14a、14b、14c、14d・・・の開閉キー15a、15b、15c、15d・・・の現在の解錠番号を互いに紐付けて記憶している。さらに、データベース10aは、各宅配物の伝票情報と、その宅配物を届ける先の収容ボックスのボックス番号とを互いに紐付けて記憶している。
【0025】
サーバ10のコンピュータ装置は、ユーザ端末12から、受け取るべき宅配ボックス装置14をユーザが指定した際に、データベース10aを参照し、その宅配ボックス装置において、非使用中の空いている収容ボックスを探し出す。その際に、宅配物が収容できる寸法の収容ボックスを選択するように構成されている。さらに、コンピュータ装置は、データベース10aに互いに紐付けて記憶されている伝票情報、宅配物を届ける先の収容ボックスのボックス番号、並びに収容ボックスの開閉キーの現在の解錠番号及び新たな解錠番号を宅配業者端末11へ送信するように構成されている。さらにまた、サーバ10のコンピュータ装置は、宅配物を収容ボックスに収納して施錠し、配送が完了したことを宅配業者端末11から受信した際に、その収容ボックスのボックス番号及び新たな解錠番号をユーザ端末12へ送信するように構成されている。さらに、コンピュータ装置は、扉開閉センサ16から収容ボックスの扉が開成したとの通知を受けた場合、データベース10aを検索し、その扉開成がその収容ボックスへの配送完了の後であれば、ユーザが宅配物を受け取ったと認識し、その開成時刻をデータベース10aに記録する。
【0026】
宅配業者端末11は、スマートフォンに代表される携帯端末であり、サーバ10とデータの送受を行う通信装置、コンピュータ装置及びディスプレイを備えている。このようなスマートフォンのハードウェア構成は公知であるため、その具体的な構成の説明は本明細書では省略する。スマートフォンに代えて、携帯タブレット、モービルフォン、個人情報端末、PDA、携帯パソコン、その他小型の携帯可能なコンピュータ、又は携帯電話機等を用いても良い。
【0027】
宅配業者端末11のコンピュータ装置は、サーバ10より、宅配物の伝票情報に対応する収容ボックスのボックス番号、現在の解錠番号、及び新たな解錠番号を受信し、これらをディスプレイに表示するように構成されている。さらに、宅配業者11がディスプレイに表示された現在の解錠番号でその開閉キーを開き、収容ボックスに宅配物を収納し、開閉キーを新たな解錠番号で施錠した後、例えば、伝票の二次元コードをスキャンすると、宅配物の配送が完了したことをサーバ10に送信するように構成されている。
【0028】
ユーザ端末12は、固定コンピュータ端末又はスマートフォンに代表される携帯端末であり、サーバ10とデータの送受を行う通信装置、コンピュータ装置及びディスプレイを備えている。このような固定コンピュータ端末やスマートフォンのハードウェア構成は公知であるため、その具体的な構成の説明は本明細書では省略する。スマートフォンに代えて、携帯タブレット、モービルフォン、個人情報端末、PDA、携帯パソコン、その他小型の携帯可能なコンピュータ、又は携帯電話機等を用いても良い。
【0029】
ユーザ端末12のコンピュータ装置は、宅配物がデポに到着したことをサーバ10から通知されると、宅配物を受け取る宅配ボックス装置14を指定してサーバ10に通知するように構成されている。さらに、コンピュータ装置は、その宅配ボックス装置14において宅配物を収容した収容ボックスの開閉キーの新たな解錠番号をサーバから受信し、受信したその解錠番号をディスプレイに表示するように構成されている。これにより、ユーザは、この解錠番号で解錠して宅配物を受け取ることができる。
【0030】
商店端末13は、固定コンピュータ端末又はスマートフォンに代表される携帯端末である。このような固定コンピュータ端末又はスマートフォンのハードウェア構成は公知であるため、その具体的な構成の説明は本明細書では省略する。
【0031】
宅配ボックス装置14は、片開き式の扉をそれぞれ有する複数の収容ボックス14a、14b、14c、14d・・・を備えた一般的な構成の宅配ボックスである。これら収容ボックスとして、収容する宅配物の大きさに対応して異なる収容サイズのものを用意することが望ましい。収容ボックス14a、14b、14c、14d・・・の扉には、施錠及び解錠を機械的に行う無電源式の開閉キー15a、15b、15c、15d・・・がそれぞれ取り付けられている。さらに、宅配ボックス装置14には、収容ボックス14a、14b、14c、14d・・・の扉が開成されたことを検知し、サーバ10に通知する扉開閉センサ16が設けられている。
【0032】
図2には開閉キー、例えば開閉キー15a、の一例が示されている。同図から分かるように、本実施形態における開閉キー15aは、0~9のボタン及びクリアボタンを含むプッシュボタン15a
1と、つまみ15a
2とを表面に備えたプッシュボタンキーから構成されている。このプッシュボタンキーは、電気を用いることなく、機械的な操作のみによって解錠番号の変更、施錠及び解錠を行えるように構成されている。解錠番号は、例えば3~6桁のランダムの番号に設定可能である。このプッシュボタンキーは、クリアボタンを押した後、設定された解錠番号を打ち込み、つまみ15a
2を解錠位置に回すことで解錠するように構成されている。解錠した後、扉を閉めると、つまみ15a
2が施錠位置に自動的に回ってオートロックされるように構成されている。このプッシュボタンキーの解錠番号の変更は、扉内側のモードセレクタ(図示なし)を変更位置に回し、新たな解錠番号を打ち込んだ後、このモードセレクタを設定位置に戻すことで完了する。必ずしも必須の要件ではないが、開閉キー15aは、扉を開ける際につまみ15a
2を解錠位置に回すと、押し込んだプッシュボタン15a
1が自動復帰して外部から解錠番号が分からなくなるように構成しても良い。いずれにせよ、開閉キー15aは、解錠番号変更、施錠及び解錠を、全て、電気を用いることなく機械的に行うことができる。これら開閉キー15a、15b、15c、15d・・・として、プッシュボタンキーに代えて、解錠番号変更、施錠及び解錠を機械的に行うことができる無電源式の複数桁のダイヤルキーを用いても良い。
【0033】
扉開閉センサ16は、収容ボックス14a、14b、14c、14d・・・の各扉が開成されたことを検知し、収容ボックスの扉の開成及びその収容ボックスのボックス番号をサーバ10に通知するように構成されており、より具体的には、収容ボックス14a、14b、14c、14d・・・の扉にそれぞれ取り付けられた磁気リードセンサと、これら磁気リードセンサからの信号をその扉番号に紐付けて扉開成データを作成する制御用マイコンと、作成した扉開成データをサーバ10に低電力送信するIoT通信モジュールとを備えている。この種のIoT通信モジュールは、インターネットのプライベート回線を介して小容量のデータ通信を行う公知のIoT/M2Mモバイル通信サービスを利用しており、低電力及び低価格でデータ通信が可能となっている。制御用マイコン及びIoT通信モジュールが低電力消費型であるため、扉開閉センサ16としては、商用電源を引き込み設置することなく、低容量のバッテリを用いることのみで長期間の運転が可能となっている。なお、磁気リードセンサに代えて非接触式のセンサを用いても良い。
【0034】
図3は本実施形態の宅配ボックス配送システムにおける商品注文処理から配送処理までの流れを概略的に説明しており、
図4は本実施形態における配送処理の流れを概略的に示しており、
図5、
図6及び
図8は本実施形態において配送処理中のユーザ端末の表示内容を示しており、
図7は本実施形態において配送処理中の宅配業者端末の表示内容を示している。以下、これらの図を用いて、本実施形態における配送処理動作を詳細に説明する。
【0035】
ユーザは、本実施形態の宅配ボックス配送システムを初めて利用する場合、初回のみ会員登録を行う。会員登録は、まず、ユーザ端末12に宅配ボックス配送システム用のアプリをダウンロードしてインストールし、住所、氏名、電話番号、メールアドレス及びクレジットカード情報等のユーザ情報を入力する。宅配ボックス配送システムのサーバ10から例えばLINE等のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を介して通知や情報を受け取る場合は、宅配ボックス配送システムのアカウントとSNSで連携する。
【0036】
図3に示すように、ユーザ30はこの場合は固定コンピュータ端末であるユーザ端末31を用いて商店32へ商品を注文する。その際、商品の届け先を宅配ボックス配送システムにおけるデポ(転送サービス受付センタ)33に指定する。
【0037】
これにより、
図4に示すように、商店32は、商品をデポ33へ発送し(ステップS1)、その商店端末13は、商品を発送したことを宅配ボックス配送システムのサーバ10に通知する。その際に、その商品に関する種々の情報、例えば商品の品名、種類、寸法、送り主、受取人等の情報も、伝票情報としてサーバ10に送信される。サーバ10は、これにより、その商品の伝票情報をユーザ30の会員登録情報に紐付けてデータベース10aに記憶する(ステップS2)。
【0038】
商品がデポ33に到着すると、デポ33からその旨がサーバ10に通知され、サーバ10は、商品がデポ33に到着した旨をユーザ端末12へ送信し、受け取りする所望の宅配ボックス装置(受取場所)及び受取日時(日付及び時間帯)の指定をユーザ30に依頼する。その際、サーバ10からユーザ端末12へは、例えば、
図5に示すような「転送サービス受付センタで荷物をお預かりしました」なる通知50がSNS又はメールで届いてディスプレイに表示され、さらに
図6に示すような「受取場所を指定してください」及び「時間帯を指定してください」なる通知60がSNS又はメールで届いてディスプレイに表示される。
【0039】
ユーザ30は、ユーザ端末12のディスプレイ上に表示された、受け取りしたい宅配ボックス装置(受取場所)を選択し、さらに、その日付及び時間帯を選択する(ステップS3)。これにより、選択した宅配ボックス装置及び日時が、ユーザ端末12からサーバ10に通知される。
【0040】
サーバ10は、ユーザ端末12から通知された受け取りしたい宅配ボックス装置について、非使用中の空いている収容ボックスがあるかどうか確認する。空いている収容ボックスがある場合は、その収容ボックスのボックス番号及びその開閉キーの現在の解錠番号をデータベース10aから読み出し、さらに、その開閉キーの新たな解錠番号をランダムに生成する(ステップS4)。この場合、宅配物の寸法に適合した収用ボックスが選ばれる。
【0041】
次いで、サーバ10は、宅配物の伝票情報、ユーザ30が選択した宅配ボックス装置の住所、選択した受取時間帯、宅配物を収容すべき収容ボックスのボックス番号、並びにその収用ボックスの開閉キーの現在の解錠番号及び新たな解錠番号を宅配業者34が携帯する宅配業者端末11へ通知する。
【0042】
これにより、宅配業者34が携帯する宅配業者端末11のディスプレイには、
図7に示すように、伝票情報、選択した宅配ボックス装置の住所、受取時間帯(時間指定)、宅配物を収容すべき収容ボックスのボックス番号、開閉キーの現在の解錠番号(解錠キー)、及び新たな解錠番号(ロックキー)の通知70が表示される(ステップS5)。
【0043】
次いで、宅配業者34は、該当する宅配物35をデポ33から受け取り、指定の宅配ボックス装置14へ運送し、収容すべき収容ボックスの開閉キーを宅配業者端末11のディスプレイに表示されている現在の解錠番号で解錠して宅配物35をその収容ボックス内に収容し、新たな解錠番号で施錠した後、
図7に示されている伝票の二次元コード(例えば、QRコード(登録商標))をその宅配業者端末11でスキャンする(ステップS6)。これにより、宅配物35の宅配完了の通知がサーバ10に送信される。
【0044】
サーバ10は、宅配完了通知を宅配業者端末11から受け取ると、データベース10aに宅配の完了日時を伝票情報に紐付けて記録する(ステップS7)。
【0045】
次いで、サーバ10は、宅配が完了した旨を収容ボックスのボックス番号(ボックスNo.)及び新たな解錠番号(解錠キー)と共にユーザ端末12へ通知する。
図8はこの場合にユーザ端末12のディスプレイに表示される通知80を示している。
【0046】
ユーザ30は、ユーザ端末12への通知によって宅配完了を知り、そのディスプレイに表示されている収容ボックス番号及び新たな解錠番号で開閉キーを解錠して扉を開成し、宅配物35を受け取る(ステップS8)。
【0047】
一方、サーバ10は、扉開閉センサ16から該当する収容ボックスの扉開成の通知を受信すると、その開成が宅配完了の後であれば、ユーザ30が宅配物35を受け取ったと判断し、解錠したこと及び解錠日時をデータベース10aに伝票情報に紐付けて記録する(ステップS9)。
【0048】
また、サーバ10は、宅配完了日時から所定時間を超えても、該当する収容ボックスの扉が開成されず、ユーザ30が宅配物35の受け取りを行っていないと判断した場合は、その旨をユーザ端末12に通知すると共に、ユーザ30に対して超過料金を課金する。超過料金は、単なる一例であるが、例えば、宅配完了時刻から24時間超過する毎に100円とし、ユーザ30の登録されているクレジットカードから引き落としする。
【0049】
以上詳細に説明したように、本実施形態によれば、宅配ボックス装置14の収容ボックス14a、14b、14c、14d・・・の開閉キー15a、15b、15c、15d・・・について、サーバ10が現在の解錠番号を記憶しており、必要な収容ボックスの開閉キーに関する現在の解錠番号とランダムの新たな解錠番号とを宅配業者端末11に送っている。これにより、宅配業者34が開閉キーを解錠して宅配物35を収納し新たな解錠番号で施錠し、この新たな解錠番号をユーザ端末12に送ってユーザ30が開閉キーによる解錠を行うようにしているため、開閉キーが解錠番号によって機械的に施錠及び解錠され、この解錠番号を機械的に変更する無電源式の開閉キーであっても、全く問題なく宅配物35の配送及び受取を行うことができる。即ち、商用電源等の電源の引き込み工事を行うことなく宅配ボックスを構成することができる。その結果、宅配ボックス装置を使用したシステムを簡単な構成でかつ安価に構成することが可能となる。
【0050】
次に、本発明の宅配ボックス装置を使用した配送システムの他の実施形態を説明する。
図9はこの他の実施形態において、収容ボックスに内蔵された保冷箱の一例を示しており、
図10は本実施形態における配送処理の流れを概略的に示している。本実施形態は、要冷蔵又は要冷凍の宅配物(本発明の配送物に対応する)を、保冷箱が内蔵された収容ボックスから受け取ることができるように構成した配送システムに関するものである。
【0051】
本実施形態における配送システムの全体構成、開閉キーの構成、及び配送処理の流れは、前述の実施形態において、
図1~
図3を用いて説明したものと同様であり、従って以下、前述の実施形態の場合と異なる構成及び動作についてのみ説明する。
【0052】
本実施形態においては、
図1に示す収容ボックス14bに、
図9に示すごとく断熱材で構成された保冷箱90が内蔵されており、この保冷箱90には保冷剤91が装着可能となっている。
【0053】
本実施形態において、サーバ10のデータベース10aは、この保冷箱90が内蔵された収容ボックス14bに要冷蔵又は要冷凍の宅配物が収容された時刻及びその保冷箱90の保冷可能時間をこの収容ボックス14bに紐付けて記憶している。
【0054】
サーバ10のコンピュータ装置は、要冷蔵又は要冷凍の宅配物をこの収容ボックス14bに収納して施錠し、配送が完了したことを宅配業者端末11から受信した際に、その収容ボックスのボックス番号及び新たな解錠番号と、収容ボックス14bに宅配物を冷蔵又は冷凍状態で収容可能な期限である保冷期限とをユーザ端末12へ送信するように構成されている。この保冷期限は、データベース10aに記憶されている宅配物が収容ボックス14bに収容された時刻と、保冷箱90の保冷可能時間とから計算される。さらに、コンピュータ装置は、扉開閉センサ16から収容ボックスの扉が開成したとの通知を受けた場合、データベース10aを検索し、その扉開成がその収容ボックスへの配送完了の後であれば、ユーザが宅配物を受け取ったと認識し、その開成時刻をデータベース10aに記録する。
【0055】
宅配業者端末11のコンピュータ装置は、宅配物の配送が完了したことをサーバ10に送信する際に、保冷箱90の保冷可能時間又は保冷箱90に装着した保冷剤91の種類(保冷能力)をサーバ10に送信するように構成されている。
【0056】
ユーザ端末12のコンピュータ装置は、宅配ボックス装置14において宅配物を収容した収容ボックスの開閉キーの新たな解錠番号と、収容ボックス14bに宅配物を収容しておける保冷期限とをサーバから受信し、受信した解錠番号と保冷期限とをディスプレイに表示するように構成されている。
【0057】
以下、
図3、
図5~
図10を用いて、本実施形態における配送処理動作を詳細に説明する。
【0058】
ユーザは、本実施形態の宅配ボックス配送システムを初めて利用する場合、初回のみ会員登録を行う。会員登録は、まず、ユーザ端末12に宅配ボックス配送システム用のアプリをダウンロードしてインストールし、住所、氏名、電話番号、メールアドレス及びクレジットカード情報等のユーザ情報を入力する。宅配ボックス配送システムのサーバ10から例えばLINE等のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を介して通知や情報を受け取る場合は、宅配ボックス配送システムのアカウントとSNSで連携する。
【0059】
図3に示すように、ユーザ30はこの場合は固定コンピュータ端末であるユーザ端末31を用いて商店32へ要冷蔵又は要冷凍の商品を注文する。その際、商品の届け先を宅配ボックス配送システムにおけるデポ(転送サービス受付センタ)33に指定する。
【0060】
これにより、
図9に示すように、商店32は、商品をデポ33へ発送し(ステップS1′)、その商店端末13は、商品を発送したことを宅配ボックス配送システムのサーバ10に通知する。その際に、その商品に関する種々の情報、例えば商品の品名、種類、寸法、要冷蔵又は要冷凍の情報、送り主、受取人等の情報も、伝票情報としてサーバ10に送信される。サーバ10は、これにより、その商品の伝票情報をユーザ30の会員登録情報に紐付けてデータベース10aに記憶する(ステップS2′)。
【0061】
商品がデポ33に到着すると、デポ33からその旨がサーバ10に通知され、サーバ10は、商品がデポ33に到着した旨をユーザ端末12へ送信し、受け取りする所望の宅配ボックス装置(受取場所)及び受取日時(日付及び時間帯)の指定をユーザ30に依頼する。その際、サーバ10からユーザ端末12へは、例えば、
図5に示すような「転送サービス受付センタで荷物をお預かりしました」なる通知50がSNS又はメールで届いてディスプレイに表示され、さらに
図6に示すような「受取場所を指定してください」及び「時間帯を指定してください」なる通知60がSNS又はメールで届いてディスプレイに表示される。
【0062】
ユーザ30は、ユーザ端末12のディスプレイ上に表示された、受け取りしたい宅配ボックス装置(受取場所)を選択し、さらに、その日付及び時間帯を選択する(ステップS3′)。これにより、選択した宅配ボックス装置及び日時が、ユーザ端末12からサーバ10に通知される。
【0063】
サーバ10は、ユーザ端末12から通知された受け取りしたい宅配ボックス装置について、非使用中の空いている保冷可能な収容ボックスがあるかどうか確認する。空いている保冷可能な収容ボックスがある場合は、その収容ボックスのボックス番号及びその開閉キーの現在の解錠番号をデータベース10aから読み出し、さらに、その開閉キーの新たな解錠番号をランダムに生成する(ステップS4′)。この場合、宅配物の寸法に適合した収用ボックスが選ばれる。
【0064】
次いで、サーバ10は、宅配物の伝票情報(要冷蔵又は要冷凍の情報も含む)、ユーザ30が選択した宅配ボックス装置の住所、選択した受取時間帯、宅配物を収容すべき収容ボックスのボックス番号、並びにその収用ボックスの開閉キーの現在の解錠番号及び新たな解錠番号を宅配業者34が携帯する宅配業者端末11へ通知する。
【0065】
これにより、宅配業者34が携帯する宅配業者端末11のディスプレイには、
図7に示すように、伝票情報、選択した宅配ボックス装置の住所、受取時間帯(時間指定)、宅配物を収容すべき保冷可能な収容ボックスのボックス番号、開閉キーの現在の解錠番号(解錠キー)、及び新たな解錠番号(ロックキー)の通知70が表示される(ステップS5′)。
【0066】
次いで、宅配業者34は、該当する宅配物35をデポ33から受け取り、指定の宅配ボックス装置14へ運送し、収容すべき保冷可能な収容ボックスの開閉キーを宅配業者端末11のディスプレイに表示されている現在の解錠番号で解錠して宅配物35をその収容ボックスの保冷箱内に収容すると共にその保冷箱に保冷剤を装着する。この場合に使用する保冷材は、その宅配物35が要冷蔵であるか要冷凍であるかに応じて、さらに、その保冷箱の大きさ等に応じてあらかじめ設定されたものを使用する。次いで、宅配業者34は、その収容ボックスの開閉キーを新たな解錠番号で施錠した後、
図7に示されている伝票の二次元コード(例えば、QRコード(登録商標))をその宅配業者端末11でスキャンする(ステップS6′)。これにより、宅配物35の宅配完了の通知がサーバ10に送信される。
【0067】
サーバ10は、宅配完了通知を宅配業者端末11から受け取ると、データベース10aに宅配の完了日時を伝票情報に紐付けて記録し、さらに、保冷期限を宅配物が収容ボックス14bに収容された時刻と保冷箱90の保冷可能時間とから計算して伝票情報に紐付けて記録する(ステップS7′)。
【0068】
次いで、サーバ10は、宅配が完了した旨を、収容ボックスのボックス番号(ボックスNo.)、新たな解錠番号(解錠キー)及び保冷期限と共にユーザ端末12へ通知する。この場合にユーザ端末12のディスプレイに表示される通知は、
図8に示す通知80に保冷期限を追加したものとなる。
【0069】
ユーザ30は、ユーザ端末12への通知によって宅配完了及び保冷期限を知り、そのディスプレイに表示されている収容ボックス番号及び新たな解錠番号で開閉キーを解錠して扉を開成し、宅配物35を受け取る(ステップS8′)。
【0070】
一方、サーバ10は、扉開閉センサ16から該当する収容ボックスの扉開成の通知を受信すると、その開成が宅配完了の後であれば、ユーザ30が宅配物35を受け取ったと判断し、解錠したこと及び解錠日時をデータベース10aに伝票情報に紐付けて記録する(ステップS9′)。
【0071】
また、サーバ10は、保冷期限を超えても、該当する収容ボックスの扉が開成されず、ユーザ30が宅配物35の受け取りを行っていないと判断した場合は、その旨をユーザ端末12に通知する。保冷期限を超え、さらに、宅配完了日時から所定時間を超えても、収容ボックスの扉が開成されず、ユーザ30が宅配物35の受け取りを行っていないと判断した場合は、その旨をユーザ端末12に通知し、ユーザ30に対して超過料金を課金する。超過料金は、単なる一例であるが、例えば、宅配完了時刻から24時間超過する毎に100円とし、ユーザ30の登録されているクレジットカードから引き落としする。
【0072】
以上詳細に説明したように、本実施形態によれば、宅配ボックス装置14の収容ボックス14a、14b、14c、14d・・・の開閉キー15a、15b、15c、15d・・・について、サーバ10が現在の解錠番号を記憶しており、必要な収容ボックスの開閉キーに関する現在の解錠番号とランダムの新たな解錠番号とを宅配業者端末11に送っている。これにより、宅配業者34が開閉キーを解錠して宅配物35を収納し新たな解錠番号で施錠し、この新たな解錠番号をユーザ端末12に送ってユーザ30が開閉キーによる解錠を行うようにしているため、開閉キーが解錠番号によって機械的に施錠及び解錠され、この解錠番号を機械的に変更する無電源式の開閉キーであっても、全く問題なく宅配物35の配送及び受取を行うことができる。即ち、商用電源等の電源の引き込み工事を行うことなく宅配ボックスを構成することができる。その結果、宅配ボックス装置を使用したシステムを簡単な構成でかつ安価に構成することが可能となる。また、宅配業者34が保冷可能な収容ボックスに宅配物35を収納すると共に保冷剤を装着し、サーバから収容ボックスの開閉キーの新たな解錠番号と共に保冷期限もユーザ端末12に送られるように構成されているため、要冷蔵又は用冷凍の宅配物についても、問題なく配送及び受取を行うことができる。
【0073】
なお、以上述べた実施形態は、宅配業者が宅配物を宅配ボックス装置に配送しこれをユーザが受け取る配送システムに関するものであるが、ユーザが宅配物を宅配ボックス装置に収容しこれを宅配業者が集荷する配送システムにおいても、本実施形態の無電源式の宅配ボックス装置を利用してシステムを構成可能である。その場合、ユーザ端末、宅配業者端末及びサーバの処理手順が上述した実施形態の場合と異なる。即ち、サーバが必要な収容ボックスの開閉キーに関する現在の解錠番号とランダムの新たな解錠番号とをユーザ端末に送ってユーザが開閉キーを解錠及び施錠できるようにし、新たな解錠番号を宅配業者端末に送って宅配業者が開閉キーを解錠できるように構成する。これにより、解錠番号によって機械的に施錠及び解錠され、この解錠番号を機械的に変更する無電源式の開閉キーを用いた場合にも全く問題なく宅配物の集荷を行うことができる。
【0074】
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【符号の説明】
【0075】
10 サーバ
10a データベース
11 宅配業者端末
12、31 ユーザ端末
13 商店端末
14 宅配ボックス装置
14a、14b、14c、14d 収容ボックス
15a、15b、15c、15d 開閉キー
15a1 プッシュボタン
15a2 つまみ
16 扉開閉
30 ユーザ
32 商店
33 デポ
34 宅配業者
35 宅配物
50、60、70、80 通知
90 保冷箱
91 保冷剤