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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-20
(45)【発行日】2022-04-28
(54)【発明の名称】コンロ
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/08 20060101AFI20220421BHJP
   F23K 5/00 20060101ALI20220421BHJP
   F23N 1/00 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
F24C3/08 Q
F24C3/08 N
F23K5/00 301B
F23N1/00 102A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018113795
(22)【出願日】2018-06-14
(65)【公開番号】P2019215144
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】坂井 康弘
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-55045(JP,A)
【文献】特開2012-42107(JP,A)
【文献】特開平8-233225(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0255998(US,A1)
【文献】米国特許第6074201(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/08
F23K 5/00
F23N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開口された筐体と、前記筐体の内部に配置される二つのコンロバーナとを備え、
前記コンロバーナは、燃料ガス及び空気が流入する流入口を上流端部に有し所定の長さで延びて燃料ガスと空気とを混合する管状のスロート部と、前記スロート部の下流端部が下部に接続されるバーナ本体とを備え、
二つの前記コンロバーナは、前記スロート部の前記上流端部を前側に、前記下流端部を後側に、それぞれ向けた状態で左右方向に二つ並べて配置され、
前記筐体の外部から二つの前記コンロバーナのそれぞれに供給される燃料ガスの流路を構成する燃料流路装置を、前記筐体の内部に備えたコンロであって、
前記燃料流路装置は、
二つの前記コンロバーナの間に配置され、後部から流入する燃料ガスを二つの前記コンロバーナのそれぞれに向けて分岐する分岐流路部と、
前記分岐流路部に接続し、前記分岐流路部から流入する燃料ガスの流量を調整する燃料調整部と、
前記燃料調整部に接続し、前記燃料調整部から流入する燃料ガスを前記コンロバーナに供給する供給部とを備え、
前記燃料調整部は、前記分岐流路部と前記コンロバーナとの間に配置され、
内部にガス流路が設けられ、前後方向に延びる筒状の本体部と、
前記本体部の後部において前記分岐流路部に接続し、前記分岐流路部から前記本体部の内部に燃料ガスを流入させるガス入口と、
前記本体部の前部において、前記本体部の軸方向に延びる軸線に対して前記ガス入口とは反対側に設けられ、前記本体部の内部から前記供給部に燃料ガスを流入させるガス出口と、
前端部が前記本体部の前端から前方に突出した状態で前記本体部に回動可能に軸支され、燃料ガスの流量を調整するために回転操作される操作軸とを備え、
前記供給部は、
前記燃料調整部から流入する燃料ガスを前方に導く第一流路と、
前記第一流路の前端から前記コンロバーナに向けて左右方向に延びる第二流路とを備えた供給流路部と、
前記供給流路部に接続し、前記供給流路部から流入する燃料ガスを前記コンロバーナの前記流入口に向けて後方に噴出するノズルを有するノズル部と
を備えたことを特徴とするコンロ。
【請求項2】
前記ノズル部は、
前記供給流路部から流入する燃料ガスを前方に誘導しつつ貯留する貯留室と、
前記貯留室の前端部に接続し、前記貯留室に貯留される燃料ガスを前記供給流路部から離間する方向に誘導する誘導路と、
前記誘導路と前記ノズルとを接続して前後方向に延びる接続路と
を備えることを特徴とする請求項1に記載のコンロ。
【請求項3】
前記供給部は、弁体を前後動可能に配置する弁室に接続する開口を、前記第一流路の後端部に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンロ。
【請求項4】
前記燃料流路装置は、前記分岐流路部と、前記燃料調整部と、前記供給部とを、予めアセンブリした状態で、前記筐体の内部に配置されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のコンロ。
【請求項5】
前記燃料調整部は、前記ガス入口と前記ガス出口とが、前記軸線に対して左側と右側とにそれぞれ分かれて配置されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バーナを備えたコンロが知られている。特許文献1に開示されたコンロは、スロートと呼ばれる混合管部が下部に接続されるバーナ本体と、バーナ本体の上部に載置されるバーナヘッドとを有するバーナを備えている。混合管部は、ガスと空気とを混合し、混合した混合気をバーナ本体に送るため、所定の長さを有することが必要である。また、バーナは、バーナ本体の上部にバーナヘッドを載置することで、バーナ本体とバーナヘッドとの間に炎口を形成するため、上下方向に所定の高さを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-44370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
設計者が、あるコンロを新たに設計する場合、コンロの製造コストを削減する等の理由で、他の機種で使用しているバーナを互換して使用するように設計することがある。単身者向け等として、グリルを有さず小型化されたコンロの需要がある。例えば、グリル付きコンロ等の比較的大型のコンロに使用されているバーナを小型のコンロに転用する場合、小型のコンロの筐体の内部においてバーナのスロートの上流端を筐体前壁に近接配置する必要がある。また、筐体が小型であるほど、筐体内部にバーナに燃料を供給する燃料供給装置及び燃料配管を配置するスペースが限定されるので、大型のコンロと同様の設計思想でバーナへの燃料供給に関する設計ができないといった問題がある。
【0005】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、小型の筐体を有するコンロに大型のコンロで使用されるコンロバーナを転用しても、支障を来すことなくコンロバーナへ燃料を供給できるコンロを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係るコンロは、上部が開口された筐体と、前記筐体の内部に配置される二つのコンロバーナとを備え、前記コンロバーナは、燃料ガス及び空気が流入する流入口を上流端部に有し所定の長さで延びて燃料ガスと空気とを混合する管状のスロート部と、前記スロート部の下流端部が下部に接続されるバーナ本体とを備え、二つの前記コンロバーナは、前記スロート部の前記上流端部を前側に、前記下流端部を後側に、それぞれ向けた状態で左右方向に二つ並べて配置され、前記筐体の外部から二つの前記コンロバーナのそれぞれに供給される燃料ガスの流路を構成する燃料流路装置を、前記筐体の内部に備えたコンロであって、前記燃料流路装置は、二つの前記コンロバーナの間に配置され、後部から流入する燃料ガスを二つの前記コンロバーナのそれぞれに向けて分岐する分岐流路部と、前記分岐流路部に接続し、前記分岐流路部から流入する燃料ガスの流量を調整する燃料調整部と、前記燃料調整部に接続し、前記燃料調整部から流入する燃料ガスを前記コンロバーナに供給する供給部とを備え、前記燃料調整部は、前記分岐流路部と前記コンロバーナとの間に配置され、内部にガス流路が設けられ、前後方向に延びる筒状の本体部と、前記本体部の後部において前記分岐流路部に接続し、前記分岐流路部から前記本体部の内部に燃料ガスを流入させるガス入口と、前記本体部の前部において、前記本体部の軸方向に延びる軸線に対して前記ガス入口とは反対側に設けられ、前記本体部の内部から前記供給部に燃料ガスを流入させるガス出口と、前端部が前記本体部の前端から前方に突出した状態で前記本体部に回動可能に軸支され、燃料ガスの流量を調整するために回転操作される操作軸とを備え、前記供給部は、前記燃料調整部から流入する燃料ガスを前方に導く第一流路と、前記第一流路の前端から前記コンロバーナに向けて左右方向に延びる第二流路とを備えた供給流路部と、前記供給流路部に接続し、前記供給流路部から流入する燃料ガスを前記コンロバーナの前記流入口に向けて後方に噴出するノズルを有するノズル部とを備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係るコンロは、請求項1に記載の構成に加えて、前記ノズル部は、前記供給流路部から流入する燃料ガスを前方に誘導しつつ貯留する貯留室と、前記貯留室の前端部に接続し、前記貯留室に貯留される燃料ガスを前記供給流路部から離間する方向に誘導する誘導路と、前記誘導路と前記ノズルとを接続して前後方向に延びる接続路とを備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係るコンロは、請求項1又は2に記載の構成に加えて、前記供給部は、弁体を前後動可能に配置する弁室に接続する開口を、前記第一流路の後端部に備えることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係るコンロは、請求項1から3のいずれかに記載の構成に加えて、前記燃料流路装置は、前記分岐流路部と、前記燃料調整部と、前記供給部とを、予めアセンブリした状態で、前記筐体の内部に配置されることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係るコンロは、請求項1から4のいずれかに記載の構成に加えて、前記燃料調整部は、前記ガス入口と前記ガス出口とが、前記軸線に対して左側と右側とにそれぞれ分かれて配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係るコンロが備える燃料流路装置は、二つのコンロバーナの間に分岐流路部を備えるので、筐体の厚みを増すことなく、燃料ガスを二つのコンロバーナに分岐できる。燃料調整部は、コンロバーナの前方に設けられるのが一般的であるが、請求項1に係るコンロは、分岐流路部とコンロバーナとの間に燃料調整部を配置するので、筐体の前後方向の長さを小さくできる。供給部の供給流路部は、燃料調整部から流入する燃料ガスを前方に導いた後にコンロバーナに向けて左右方向に流す。ノズル部は、供給流路部から流入する燃料ガスを、スロートの流入口に向けて後方に噴出する。これにより、コンロバーナのスロートの上流端部が筐体前壁に近接配置されていても、流入口に燃料ガスが供給される。燃料流路装置は、分岐流路部、燃料調整部及び供給部を、二つのコンロバーナの間において左右方向に並べることで、燃料流路装置の上下方向の高さを増すことなく、燃料ガスをコンロバーナに供給することができる。したがって、請求項1に係るコンロは、小型の筐体を有するコンロに大型のコンロで使用されるコンロバーナを転用しても、支障を来すことなくコンロバーナへ燃料を供給できる。
【0012】
請求項2に係るコンロは、請求項1に記載の発明の効果に加え、スロートの流入口に燃料ガスと空気とを流入させるためには、ノズルから流入口に向けて燃料ガスを勢いよく噴出し、流入口に流入する燃料ガスに周囲の空気を引き込ませる必要がある。コンロバーナのスロートの上流端部が筐体前壁に近接配置される場合、ノズルを流入口の前方に配置して燃料ガスの噴出を行うため、ノズルに対して前方から燃料ガスが供給される必要がある。一方で、製造上の理由等により、供給流路部の前後方向の長さには限界があり、供給流路部によってノズルよりも前方の位置まで燃料ガスを導けないこともある。請求項2に係るコンロは、ノズル部の貯留室及び誘導路によって供給流路部よりもさらに前方に燃料ガスを導き、接続路を介してノズルに対して前方から燃料ガスを供給することができる。
【0013】
供給部は、弁体を有する弁部を後部に配置することができる。これにより、請求項3に係るコンロは、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、弁部を、コンロバーナのスロート部等と干渉することなく、分岐流路部とコンロバーナとの間に配置することができる。
【0014】
請求項4に係るコンロは、請求項1から3のいずれかに記載の発明の効果に加え、燃料流路装置を筐体の内部に取り付ける際の作業性を向上できる。
【0015】
大型のコンロで使用されている燃料調整部を小形の筐体を有するコンロに転用する場合がある。燃料調整部は、ガス入口を下側に、ガス出口を上側にして、筐体の内部に配置されるのが一般的である。しかしながら、このような配置の燃料調整部は、上下方向に所定の高さを有するので、筐体の高さを低くするのに限界がある。請求項5に係るコンロは、請求項1から4のいずれかに記載の発明の効果に加え、ガス入口とガス出口とが左右方向に分かれて配置されるので、燃料調整部の高さが軽減され、薄型の筐体を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】コンロ1の斜視図である。
図2】天板3を省略したコンロ1の斜視図である。
図3】天板3及び左側のコンロバーナ4を省略したコンロ1の平面図である。
図4】燃料流路装置110の平面図である。
図5】分岐流路部60及び燃料調整部70の斜視図である。
図6図5に示すI-I線矢視方向断面図である。
図7図5に示すII-II線矢視方向断面図である。
図8】供給流路部80及びノズル部90の斜視図である。
図9】供給部100の平面図である。
図10図9に示すIII-III線右側面視断面図である。
図11図9に示すIII-III線左側面視断面図である。
図12】ノズル部90の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載されている装置の構造は、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられているものである。以下説明では、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。なお、図1に示すコンロ1は、グリルを備えず、単身者等向けに小型・薄型に構成されたテーブルコンロであるが、ビルトインコンロ等であってもよい。
【0018】
図1から図3を参照して、コンロ1について説明する。図1に示すように、コンロ1は筐体2と天板3を備える。筐体2は、右壁部21、左壁部22、前壁部23、後壁部24及び底面部25を備えた薄型の略直方体状に形成される。天板3は、筐体2の右壁部21、左壁部22、前壁部23及び後壁部24によって囲まれて成る開口部26を覆うように、筐体2の上部に配置される。天板3は、二つのコンロバーナ4,4を挿通させるための開口(図示略)を有している。筐体2の開口部26に天板3が設置されると、二つのコンロバーナ4,4の上部が開口を挿通し、天板3の前後方向略中央部において左右方向に並ぶ。
【0019】
コンロバーナ4は、バーナ本体40、バーナヘッド42(図1参照)、スロート部46を主に備える。バーナ本体40は、コンロバーナ4の本体部を構成する。バーナヘッド42は、バーナ本体40の上部に載置される。スロート部46は、前後方向に所定の長さを有する中空の管状部である。スロート部46は、前側の端部である上流端部46Aから後側の端部である下流端部46Bに向けて上り傾斜しながら、前後方向に沿って延びる。下流端部46Bは、バーナ本体40の下部に接続する。すなわち、開口部26の内側において、二つのコンロバーナ4,4が、それぞれのスロート部46を前後方向に延ばした状態で左右方向に二つ並べて配置される。上流端部46Aの略中央部には、燃料ガス及び空気が流入する流入口(図示略)が設けられている。スロート部46は、流入口から流入する燃料ガスと一次空気とを混合し、燃料ガスと空気との混合気を、混合気の上流側端部である上流端部46Aから、混合気の下流側端部である下流端部46Bに向けて通過させる。下流端部46Bからバーナ本体40に流入した混合気は、バーナ本体40とバーナヘッド42との間に形成された複数の炎口から噴出する。バーナヘッド42の後方の炎口近傍には、放電による点火を行うための軸状の点火電極44及び火炎の有無を検知するための軸状の熱電対45が設けられている。バーナヘッド42の中央には、内部にサーミスタを格納し、鍋底温度等、被加熱物の温度を検知するための鍋センサ43が、バーナヘッド42及びバーナ本体40の中央を貫通するように設けられている。
【0020】
筐体2の前面の略中央には、正面視円形状の二つの操作つまみ11,11が左右方向に並んで設けられる。操作つまみ11,11のそれぞれは、二つのコンロバーナ4,4のそれぞれの点火、消火及び火力調節を行うために操作される。操作つまみ11,11は、それぞれ、燃料調整部70,70(図3及び図4参照)の前端部に嵌合される。
【0021】
二つのコンロバーナ4,4は、開口部26の内側において、取付台30を介して筐体2の底面部25に取り付けられる。取付台30は、コンロバーナ4を筐体2の底面部25よりも一段高い位置に固定するための部材である。右側のコンロバーナ4と左側のコンロバーナ4との間に、燃料流路装置110が配置される。燃料流路装置110は、筐体2の外部から二つのコンロバーナ4,4のそれぞれに供給される燃料ガスの流路を構成する。
【0022】
図4から図6を参照して、燃料流路装置110の概要について説明する。燃料流路装置110は、燃料管50、分岐流路部60、燃料調整部70,70及び供給部100,100を、一体にアセンブリしたユニットである。燃料流路装置110は、燃料ガスを流すための燃料流路111を内側に備える。燃料管50は、燃料ガスを流すための流路51を内側に備えた、中空の細長い管状部材である。流路51は、燃料流路111の一部を構成する。燃料管50は、筐体2の後壁部24を貫通して後端部50Aを筐体2の外側に配置した状態で、開口部26の左右方向略中央部を、前後方向に略水平に延びる。燃料管50の後端部50Aは、筐体2の外部に配置される所定のガス配管と接続可能であり、ガス配管から供給される燃料ガスを、流路51を介して燃料流路111内に流入させる。
【0023】
分岐流路部60は、燃料管50の前側に配置され、燃料管50の流路51を介して流入する燃料ガスをコンロバーナ4,4のそれぞれに向けて左右方向に分岐させるための部材である。図4に示すように、分岐流路部60は、平面視逆T字状に形成された、燃料ガスを流すための流路61を内側に備える。流路61は、燃料流路111の一部を構成する。流路61は、流路611,612を備える。図6に示すように、流路611は、分岐流路部60の左右方向略中央部において、分岐流路部60の後部から前後方向略中央部に向けて、前後方向に略水平に延びる。分岐流路部60は、後部において燃料管50の前端部50Bに接続し、流路51の前端部と流路611の後端部とが連通する。流路612は、流路611の前端部に接続し、左右方向に略水平に延びる。このため、分岐流路部60は、上下方向に厚みを増すことなく、燃料管50から流入する燃料ガスをコンロバーナ4,4のそれぞれに向けて分岐することができる。
【0024】
図4に示すように、燃料調整部70,70は、分岐流路部60の左端部及び右端部のそれぞれに対して、左側及び右側から接続する。燃料調整部70は、バルブボディ72、操作軸73、支持部材79等を備える。バルブボディ72は、前後方向に略水平に延びる円筒状に形成されており、燃料調整部70の本体部を成す。バルブボディ72は、燃料ガスを流すための流路71を内側に備える。流路71は、燃料流路111の一部を構成する。操作軸73は、バルブボディ72の軸方向に延びる軸線L(図7参照)に沿って前後方向に延びて略水平に配置される。操作軸73の後端側は、バルブボディ72の前端部に設けられた開口713A(図7参照)から流路71内に挿入され、前端側が開口713Aから前方に突出する。支持部材79は、バルブボディ72に対して操作軸73を回動可能に支持する。燃料流路装置110が筐体2に配置された状態で、操作軸73の前端部が筐体2の前壁部23を貫通する。操作軸73の前端部には、前壁部23の前側から操作つまみ11が嵌合する。バルブボディ72は、操作軸73の回動に応じて、コンロバーナ4に向けて流れる燃料ガス量を調整する。
【0025】
バルブボディ72における分岐流路部60との接続部には、二つの固定孔72A,72Aが設けられている(図5参照)。分岐流路部60の左右の端部には、二つのねじ孔60A,60Aが設けられている(図6参照)。二つのねじ孔60A,60Aに対して二つの固定孔72A,72Aがねじで固定されることによって、分岐流路部60と燃料調整部70とが接続される。これにより、分岐流路部60の流路612の左端部612A(図6参照)は、左側の燃料調整部70の流路71に左側から連通する。分岐流路部60の流路612の右端部612B(図6参照)は、右側の燃料調整部70の流路71に右側から連通する。よって、燃料管50の流路51を介して分岐流路部60の流路61に流入した燃料ガスは、流路61から燃料調整部70,70のそれぞれに流入する。
【0026】
一般的なコンロでは、コンロバーナ4のスロート部46の前方に燃料調整部70が配置されることが多い。これに対して、コンロ1では、左側の燃料調整部70が、分岐流路部60と左側のコンロバーナ4との左右方向における間の位置に配置される。また、右側の燃料調整部70が、分岐流路部60と右側のコンロバーナ4との左右方向における間の位置に配置される。これにより、コンロ1は、コンロバーナ4のスロート部46の前方に燃料調整部70を配置するスペースを確保する必要がなくなるので、燃料調整部70をコンロバーナ4の前方に配置する場合に比べて、筐体2の前後方向の大きさを小型化できる。
【0027】
図4に示すように、供給部100,100は、左側の燃料調整部70の左側及び右側の燃料調整部70の右側にそれぞれ接続される。左側の供給部100と右側の供給部100とは、左右対称の構造を有する。供給部100は平面視略L字状に形成されている。供給部100は、燃料調整部70から流入する燃料ガスをコンロバーナ4に供給するための部材である。供給部100は、燃料ガスを流すための流路101を内側に備える。流路101は、燃料流路111の一部を構成する。左側の燃料調整部70の流路71の左端部は、左側の供給部100の流路101に左側から連通する。右側の燃料調整部70の流路71の右端部は、右側の供給部100の流路101に右側から連通する。よって、燃料調整部70,70から供給される燃料ガスが、供給部100,100のそれぞれに流入する。供給部100,100に流入した燃料ガスは、供給部100,100の下流端部に設けられるノズル部90,90のノズル93,93からコンロバーナ4,4に向けて噴出される。
【0028】
このように燃料流路装置110が構成されることによって、燃料流路111は燃料流路装置110の内部を略水平に延びる。燃料流路111における燃料ガスの流れは、矢印Y1(図4参照)に示すとおりである。
【0029】
図5及び図7を参照して、燃料調整部70の構成を詳細に説明する。左側の燃料調整部70のバルブボディ72と、右側の燃料調整部70のバルブボディ72とは、左右対称の構造を有する。よって、ここでは、左側の燃料調整部70について説明し、右側の燃料調整部70の説明を省略する。燃料調整部70のバルブボディ72は、ガス入口711A及びガス出口714Bを備える。ガス入口711Aは、バルブボディ72の右側後部に設けられ、流路71に連通する開口部である。ガス入口711Aは、分岐流路部60に接続して、分岐流路部60の流路612の左端部612A(図6参照)から流路71に燃料ガスを流入させる。ガス出口714Bは、バルブボディ72の左側前部に設けられ、流路71に連通する開口部である。ガス出口714Bは、供給部100に接続して、流路71から供給部100の流路101(図4参照)に燃料ガスを流入させる。ガス入口711Aとガス出口714Bとは、バルブボディ72の軸方向に延びる軸線Lに対して互いに反対側に設けられている。前述の二つの固定孔72A,72Aは、ガス入口711Aの近傍に設けられている。
【0030】
燃料調整部70の流路71は、流路711,712,713を備える。流路711は、ガス入口711Aからバルブボディ72の内側に向けて左方に延設する。流路711の左端部711Bは、流路712の右側に接続する。流路712は、バルブボディ72の後部において前後方向に延びる円筒状の空間である。流路712の前端部712Aは、流路713の後部に接続する。流路713は、バルブボディ72の前後方向における中央部から前端部に向けて、バルブボディ72の軸方向に延設する。流路714は、ガス出口714Bからバルブボディ72の内側に向けて右方に延設する。流路714の右端部714Aは、流路713の左側に接続する。
【0031】
燃料調整部70は、バルブボディ72の流路71の内部に、メイン弁75及び安全弁76を備える。メイン弁75は、スピンドル74及び内部摺動体77を備える。スピンドル74は、流路713内に挿入され、流路713に沿って前後方向に進退可能である。スピンドル74の前端部は、操作軸73の後端部と連結する。スピンドル74は、操作つまみ11(図3参照)の押し回し操作によって、操作軸73とともに後方に押し込まれる。内部摺動体77は、操作軸73の回動に応じてスピンドル74の外面及び流路713の内面を摺動しながら回動する。内部摺動体77の回動の度合いに応じてスピンドル74の外面と内部摺動体77とが重なり合う面積が変化し、流路712から流路713へ流れる燃料ガスの量が変化する。これにより、メイン弁75は、操作つまみ11の押し回し操作に応じて、流路712,713,714を連通させる。安全弁76は、熱電対45によってコンロバーナ4の燃焼に起因する高温が検知されたことに応じて作動可能な電磁弁である。安全弁76は、流路712に挿入されている。安全弁76のプランジャ761は、軸線Lに沿って前後方向に延び、プランジャ761の前端部の弁体762を軸線Lに沿って前後方向に往復移動可能に設けている。安全弁76は、通常時には流路712の前端部712Aを塞ぐ閉弁状態にあり、操作つまみ11の押し回し操作に応じて弁体762が後方に押されることで前端部712Aを開く。
【0032】
燃料調整部70の点火操作時の動作について説明する。ユーザは操作つまみ11を押しながら反時計回りに約90°回動させる点火操作を行う。これに応じて、操作軸73及びスピンドル74が後方に押し込まれ、メイン弁75が流路712,713,714を開く。また、安全弁76が開弁状態になる。内部摺動体77の回動量に応じた量の燃料ガスが、矢印Y2に示すように、ガス入口711Aからガス出口714Bに向かって略水平に流れる。ガス出口714Bから流出した燃料ガスは、供給部100の流路101を経て、コンロバーナ4に供給される。イグナイタ(図示略)の作動によって点火電極44が放電し、バーナヘッド42の炎口から噴出される混合気に点火し、バーナヘッド42の外周部に火炎が形成される。安全弁76は、コンロバーナ4の燃焼時に熱電対45において高温が検知されたとコンロ1の制御部(図示略)によって判断されたことに応じて開弁状態を保持し、コンロバーナ4が失火し熱電対45において高温が検知されなくなったと制御部によって判断されたことに応じて閉弁状態に戻る。
【0033】
コンロ1は、コンロ1よりも大型・厚型に設けられている従来品の他のコンロにおいて用いられている燃料調整部70をコンロ1に転用することで、コンロ1のコストダウンを図っている。従来品の他のコンロにおいては、燃料調整部70は、軸線Lに対して、ガス入口711Aを下側に、ガス出口714Bを上側にした状態で内部に取り付けられる。一方、コンロ1は、左側の燃料調整部70を、従来品の他のコンロに取り付けられる配置から軸線Lを中心にして反時計回りに90°回転させた状態で設けている。また、コンロ1は、右側の燃料調整部70を、従来品の他のコンロに取り付けられる配置から軸線Lを中心にして時計回りに90°回転させた状態で設けている。このため、燃料調整部70,70のいずれも、ガス入口711Aとガス出口714Bとが軸線Lに対して左側と右側とにそれぞれ分かれた状態で配置される(図7参照)。これにより、コンロ1は、燃料流路装置110における燃料流路111を略水平に構成し、燃料流路装置110の高さを抑えている。コンロ1は、他のコンロに使用されている燃料調整部70,70をコンロ1に転用しても、燃料流路装置110を収容する筐体2の高さを抑えて薄型にし、コンロ1全体を小型化、薄型化することができる。
【0034】
図8から図12を参照して、供給部100の構成を詳細に説明する。左側の供給部100と右側の供給部100とは左右対称の構造を有する。よって、ここでは、左側の供給部100について説明し、右側の供給部100の説明を省略する。図8及び図9に示すように、供給部100は、供給流路部80及びノズル部90を備える。供給流路部80は、平面視で略L字状の部分を二か所有した形状であり、燃料調整部70のガス出口714Bから流入する燃料ガスをガス出口714Bよりも前方及び左方に導き、ノズル部90に燃料ガスを供給するための部材である。ノズル部90は、平面視略矩形状の本体部92を有し、供給流路部80から流入する燃料ガスを、コンロバーナ4のスロート部46の上流端部46Aの流入口に向けて噴出するためのノズル93(図4参照)を本体部92の後部に備える部材である。なお、図8図9及び図12では、ノズル93の図示を省略している。図11では、後述する切替弁85の図示を省略している。
【0035】
供給流路部80は、燃料ガスを流すための流路81を内側に備える。流路81は、流路101の一部を構成する。流路81は、流路811,812,813,814を備える。図9に示すように、流路811は、供給流路部80の本体部82後部の右端部から左方に向けて、左右方向に略水平に延びる。燃料調整部70のガス出口714Bの近傍に設けられた固定部72B(図5参照)と、流路811の右端部811Aの近傍に設けられた固定部82Aとがねじで固定されることによって、燃料調整部70と供給流路部80とが接続される。これにより、燃料調整部70のガス出口714Bと流路811の右端部811Aとが連通する。
【0036】
流路812は、本体部82の後部の左右方向略中央部において前後方向に延びる円筒状の空間である。図9及び図11に示すように、流路811の左端部は流路812の上部に向けて延び、流路812の前後方向略中央部に右方から接続する。流路812は、切替弁85の弁体852を前後方向に往復移動可能に配置する弁室として機能する。図10に示すように、切替弁85は、プランジャ851及び弁体852を備えたキープ型の電磁弁である。プランジャ851は、流路812に沿って前後方向に略水平に延びる。弁体852は、プランジャ851の前端部に設けられている。切替弁85は、弁体852及びプランジャ851の前部を流路812に後方から挿入させた状態で、本体部82に対して固定される。流路812の前端部には、流路812の前端部を前後方向に貫通する開口812Aが設けられている。開口812Aは、流路812の上下方向略中央部に設けられる。
【0037】
流路813は、本体部82の左右方向略中央部において、流路812から前方に向けて略水平に延設する。流路813の後端部は、流路812の開口812Aに接続する。図11に示すように、流路813は、流路811よりも僅かに下方の位置において前後方向に延びる。流路813は、燃料調整部70に流入した燃料ガスを、流路811,812よりも前方に導くために設けられている。流路814は、その右端部を流路813の前端部に接続し、本体部82の前端部において流路813の前端部から左側のコンロバーナ4に向けて左方に略水平に延設する。このように、流路81は、燃料調整部70から流入する燃料ガスを、矢印Y3に示すように後方から前方に向けて折り返しながら流す。
【0038】
切替弁85は、通常時は流路812の開口812Aを塞ぐ閉弁状態にあり、鍋センサ43が高温(例えば250℃以上)を検出した場合に開口812Aを開く開弁状態になる。燃焼時に切替弁85が閉弁状態から開弁状態になると、流路81を流れる燃料ガスの量が低下し、ノズル93から噴出される燃料ガスの量も低下する。すなわち、鍋センサ43が高温を検出することに応じて、コンロバーナ4への燃料ガスの供給量が低下し、バーナヘッド42の火力が自動的に低下する。このような切替弁85をコンロバーナ4毎に設けられることが義務付けられている。供給流路部80は、流路812及び切替弁85を上記のように配置することで、プランジャ851の延びる方向をコンロバーナ4のスロート部46及び燃料調整部70の延びる方向に沿うようにし、スロート部46及び燃料調整部70に切替弁85が干渉することを回避している。
【0039】
ノズル部90は、燃料ガスを流すための流路91を内側に備える。流路91は、流路101の一部を構成する。流路91は、流路911,912,913を備える。図9及び図12に示すように、流路911は、本体部92内部の右寄りの位置において平面視矩形状に広がる空間である。流路911の左端部は、平面視でノズル93よりも右方に設けられている。供給流路部80の左下の端部に設けられたフランジ部82B(図8参照)と流路911の右端部911Aの近傍に設けられた固定穴部92A,92Aとがフランジ部82Bを挿通するねじで固定されることによって、供給流路部80とノズル部90とが接続される。これにより、供給流路部80の流路814と流路911の右端部911Aとが連通する。
【0040】
図8及び図12に示すように、流路911の右端部911Aは、その後方部分911Bよりも前方部分911Cが広く設けられており、後方から前方に向けて広がりながら延びる長穴状の開口部である。図9に示すように、供給流路部80の流路814は、流路911の右端部911Aのうち後方部分911Bに接続する。流路814から後方部分911Bに向けて流入する燃料ガスは、矢印Y3に示すように、流路814の左端部よりも左方及び前方に広がりながら流路911に貯留される。このように、流路911は、供給流路部80から流入する燃料ガスを所定量貯留可能な貯留室として機能する。
【0041】
流路912は、本体部92前部の内部において左右方向に延設する。流路912は、供給流路部80の流路814よりも下方に配置される。流路912の右端部は流路911の左下端部に接続する。流路912は、流路911に貯留される燃料ガスを、ノズル93が配置される左方に向けて誘導する。
【0042】
流路913は、流路912の左端部とノズル93とを接続して前後方向に延設する。図12に示すように、流路913の前端部913Aは流路912の左端部の上部に接続する。流路913の後端部913Bは、本体部92の後部において前端部913Aよりも高い位置に配置される。後端部913Bにはノズル93(図4参照)が接続される。このため、流路913は、前方から後方に向けて上り傾斜して延び、流路912によって誘導された燃料ガスをノズル93(図4参照)に供給する。ノズル93は、流路913の延びる方向に沿って、斜め上方に燃料ガスを噴出する。このように、流路91は、供給流路部80から流入する燃料ガスを、矢印Y3に示すように後方から前方に折り返した後、さらに前方に折り返してノズル93に供給する。
【0043】
コンロ1は、コンロ1よりも大型・厚型に設けられている従来品の他のコンロにおいて用いられているコンロバーナ4をコンロ1に転用することで、コンロ1のコストダウンを図っている。このため、コンロ1は、コンロバーナ4のスロート部46の上流端部46Aを筐体2の前壁部23に近接配置することで、コンロ1の小型化を図っている。なお、本実施形態では、上流端部46Aの流入口が燃料調整部70のガス出口714Bよりも前方の位置に配置されるように、上流端部46Aが前壁部23に近接配置されている。スロート部46の上流端部46Aに設けられる流入口に燃料ガスと空気とを流入させるためには、ノズル93から燃料ガスを勢いよく噴出し、流入口に流入する燃料ガスに周囲の空気を引き込ませる必要がある。このため、ノズル93は、上流端部46Aの流入口の前方に配置され、ノズル93に対して前方から燃料ガスが供給される必要がある。一方で、供給流路部80の流路813を含む燃料流路111は、燃料管50、分岐流路部60、燃料調整部70,70及び供給部100,100の内部を、それぞれの外部から掘削することによって設けられる。燃料流路装置110の量産性を考慮すると、燃料流路111の各部分を直線状に掘削できる長さである掘削長さには、所定の限度がある。流路813の前後方向の長さは、掘削長さの限度に達している。
【0044】
燃料流路装置110は、ノズル部90の内部に上記の構成の流路911を設けることで、供給流路部80によって誘導された燃料ガスを、流路814の左端部よりもさらに前方に誘導している。流路912は、左端部を左右方向においてノズル93と同じ位置に配置して、流路911によって前方に向けて誘導された燃料ガスを、供給流路部80から離間する左方にさらに誘導する。流路913は、流路912によって誘導された燃料ガスをノズル93に供給する。このように、燃料流路装置110は、供給流路部80によって誘導された燃料ガスを、ノズル部90によってコンロバーナ4のスロート部46の上流端部46Aに向けて前方から回り込ませ、掘削長さの限度を補うことができる。
【0045】
以上説明したように、燃料流路装置110は、二つのコンロバーナ4,4の左右方向の間の位置に分岐流路部60を備えるので、筐体2の厚みを増すことなく、燃料ガスをコンロバーナ4,4のそれぞれに分岐できる。燃料調整部70は、コンロバーナ4の前方に設けられるのが一般的であるが、コンロ1は、分岐流路部60とコンロバーナ4との間の位置に燃料調整部70を配置するので、筐体2の前後方向の大きさを小型化できる。供給部100の供給流路部80は、燃料調整部70から流入する燃料ガスを流路813を介して前方に導いた後に、流路814を介してノズル部90に向けて燃料調整部70から離間する方向に流す。ノズル部90は、供給流路部80から流入する燃料ガスを、コンロバーナ4のスロート部46の上流端部46Aに設けられている流入口に向けて後方に噴出する。これにより、コンロ1は、上流端部46Aを筐体2の前壁部23に近接配置しても、流入口に燃料ガスを供給できる。燃料流路装置110は、分岐流路部60、燃料調整部70,70、供給部100,100を、コンロバーナ4,4の間において左右方向に並べるので、燃料流路装置110の上下方向の高さを増すことなく、燃料ガスをコンロバーナ4,4のそれぞれに供給できる。したがって、コンロ1は、大型・厚型に設けられている従来品の他のコンロで用いられている燃料調整部70を小型・薄型の筐体2を有するコンロ1に転用しても、支障を来すことなくコンロバーナ4,4に燃料ガスを供給できる。
【0046】
スロート部46において混合気を生じさせるためには、ノズル93をスロート部46の上流端部46Aの流入口の前方に配置し、ノズル93から上流端部46Aの流入口に向けて燃料ガスを勢いよく噴出する必要がある。一方で、流路813に設けることのできる前後方向の長さには限度がある。燃料流路装置110は、ノズル部90の内部に流路911を設けることで、供給流路部80によって誘導された燃料ガスを、流路814の左端部よりもさらに前方に誘導できる。流路912は、流路911によって前方に向けて誘導された燃料ガスを、供給流路部80から離間する左方にさらに誘導する。流路913は、流路912によって誘導された燃料ガスをノズル93に供給する。このように、ノズル部90は、供給流路部80によって誘導された燃料ガスをノズル93に向けて前方から回り込ませ、スロート部46の上流端部46Aに対して前方から燃料ガスを供給できる。
【0047】
流路812は、本体部82の後部において、前後方向に延びる円筒状であり、その前端部には、流路812の前端部を前後方向に貫通する開口812Aを有している。流路812は、切替弁85の弁体852及びプランジャ851を後方から挿入させる。弁体852は流路812の内部を前後方向に往復移動可能であり、開口812Aを開く開弁状態と、開口812Aを塞ぐ閉弁状態とを切替えることで、ノズル93から噴出される燃料ガスの量を切替え可能である。このような切替弁85の配置により、燃料流路装置110は、スロート部46及び燃料調整部70に切替弁85が干渉しないようにできる。
【0048】
コンロ1は、燃料管50、分岐流路部60、燃料調整部70,70及び供給部100,100を一体にアセンブリした燃料流路装置110を筐体2の内部に取り付けることで、コンロ1を製造する際の作業性の向上を図ることができる。
【0049】
コンロ1は、左右の燃料調整部70のそれぞれを、従来品の他のコンロにおける配置から軸線Lを中心にして時計回り又は反時計回りに90°回転させて、ガス入口711Aとガス出口714Bとが軸線Lに対して左側と右側とにそれぞれ分かれた状態にしている。これにより、コンロ1は、燃料流路装置110における燃料流路111を略水平に構成でき、燃料流路装置110の高さを抑えて薄型の筐体2を採用することができる。
【0050】
本実施形態において、コンロ1が、本発明の「コンロ」に相当する。筐体2が、本発明の「筐体」に相当する。コンロバーナ4が、本発明の「コンロバーナ」に相当する。スロート部46が、本発明の「スロート部」に相当する。バーナ本体40が、本発明の「バーナ本体」に相当する。上流端部46Aが、本発明の「上流端部」に相当する。下流端部46Bが、本発明の「下流端部」に相当する。燃料流路装置110が、本発明の「燃料流路装置」に相当する。燃料流路111が、本発明の「流路」に相当する。分岐流路部60が、本発明の「分岐流路部」に相当する。燃料調整部70が、本発明の「燃料調整部」に相当する。バルブボディ72が、本発明の「本体部」に相当する。ガス入口711Aが、本発明の「ガス入口」に相当する。ガス出口714Bが、本発明の「ガス出口」に相当する。操作軸73が、本発明の「操作軸」に相当する。供給部100が、本発明の「供給部」に相当する。供給流路部80が、本発明の「供給流路部」に相当する。流路813が、本発明の「第一流路」に相当する。流路814が、本発明の「第二流路」に相当する。弁体852が、本発明の「弁体」に相当する。切替弁85が、本発明の「弁部」に相当する。流路812が、本発明の「弁室」に相当する。開口812A「が、本発明の開口」に相当する。ノズル部90が、本発明の「ノズル部」に相当する。ノズル93が、本発明の「ノズル」に相当する。流路911が、本発明の「貯留室」に相当する。流路912が、本発明の「誘導路」に相当する。流路913が、本発明の「接続路」に相当する。
【0051】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。燃料流路装置110を構成する部品のうち、例えば燃料管50と分岐流路部60のように隣接する部品同士が、一体の部品として構成されていてもよい。また、燃料流路装置110は、燃料管50を構成に加えず、分岐流路部60、燃料調整部70,70及び供給部100,100を、一体にアセンブリしたユニットであってもよい。また、燃料流路装置110は、分岐流路部60、燃料調整部70,70及び供給部100,100が一体にアセンブリされた構成に限られない。例えば、分岐流路部60、燃料調整部70,70及び供給部100,100のうち一部の部品のみが一体にアセンブリされており、その他の部品がコンロ1を製造する際に別々に組み立てられて、燃料流路装置110が構成されてもよい。
【0052】
供給流路部80の流路813の前後方向の長さが十分に長く、流路813の前端部及び流路814がノズル部90の流路913の前端部の位置に配置される場合には、流路91に流路911が設けらなくてもよい。この場合、流路814と流路912又は流路913流路とが直接接続されてもよい。
【0053】
上記実施形態では、コンロバーナ4,4及び操作つまみ11,11は、それぞれ同一の部材であるが、例えば、コンロバーナ4,4及び操作つまみ11,11の大きさ等が、左右で異なってもよい。
【0054】
上記実施形態では、燃料調整部70,70及び供給部100,100は、それぞれ左右対称の構造を有しているが、例えば、燃料調整部70,70及び供給部100,100の大きさ等が、左右で異なってもよい。また、コンロ1は、他のコンロにおいて用いられているコンロバーナ4,4及び燃料調整部70,70を転用しているが、コンロバーナ4,4及び燃料調整部70,70はコンロ1の専用品であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 コンロ
2 筐体
4 コンロバーナ
60 分岐流路部
70 燃料調整部
72 バルブボディ
73 操作軸
80 供給流路部
85 切替弁
90 ノズル部
93 ノズル
100 供給部
110 燃料流路装置
111 燃料流路
711A ガス入口
714A ガス出口
812,813,814,911,912,913 流路
812A 開口
L 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12