(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-20
(45)【発行日】2022-04-28
(54)【発明の名称】体温維持案内装置、体温維持案内方法および体温維持案内プログラム
(51)【国際特許分類】
A61H 33/00 20060101AFI20220421BHJP
【FI】
A61H33/00 C
(21)【出願番号】P 2017160040
(22)【出願日】2017-08-23
【審査請求日】2020-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】酒井 良平
【審査官】小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-240661(JP,A)
【文献】特開2006-000174(JP,A)
【文献】特開2016-127888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間を計測する計時部と、
人体の体温を取得する体温取得部と、
前記体温取得部により取得した体温が第1温度以上であるか否かを判定する温度判定部と、
前記温度判定部により体温が第1温度以上であると判定し、その後、体温が第1温度未満に下がった場合に、前記計時部により計測した時間が所定時間を経過するまで、第1温度より低い第2温度以上に体温を維持するよう案内する情報を報知する報知処理部と、
体温の時間変化率を算出し、算出した体温の時間変化率に基づいて前記所定時間内で第2温度以上に体温が維持されるか否かを判定する温度維持判定部と、を備え、
前記報知処理部は、前記温度維持判定部が否と判定した場合に、体温を維持できないことを警告する情報を報知することを特徴とする体温維持案内装置。
【請求項2】
前記所定時間を変更する設定変更部を備えることを特徴とする請求項1に記載の体温維持案内装置。
【請求項3】
前記報知処理部は、体温が第1温度未満となり、再び前記温度判定部が第1温度以上であると判定した場合に、体温が上がっていることを警告する情報を報知することを特徴とする請求項1から2のいずれか1項に記載の体温維持案内装置。
【請求項4】
前記温度判定部は、体温が第2温度以上であるか否かを判定し、
前記報知処理部は、前記温度判定部により第2温度以上ではないと判定した場合に、体温が下がっていることを警告する情報を報知することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の体温維持案内装置。
【請求項5】
前記温度判定部により体温が第1温度以上であると判定した場合に、外部装置へ動作停止を指示する停止指示部を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の体温維持案内装置。
【請求項6】
体温維持案内装置が、時間を計測する計時ステップと、
体温維持案内装置が、人体の体温を取得する体温取得ステップと、
体温維持案内装置が、前記体温取得ステップにより取得した体温が第1温度以上であるか否かを判定する温度判定ステップと、
体温維持案内装置が、前記温度判定ステップにより体温が第1温度以上であると判定し、その後、体温が第1温度未満に下がった場合に、前記計時ステップにより計測した時間が所定時間を経過するまで、第1温度より低い第2温度以上に体温を維持するよう案内する情報を報知する報知処理ステップと、
体温維持案内装置が、体温の時間変化率を算出し、算出した体温の時間変化率に基づいて前記所定時間内で第2温度以上に体温が維持されるか否かを判定する温度維持判定ステップと、を備え、
体温維持案内装置が、前記報知処理ステップ
において、更に温度維持判定ステップで否と判定した場合に、体温を維持できないことを警告する情報を報知することを特徴とする
体温維持案内装置の体温維持案内方法。
【請求項7】
時間を計測する計時ステップと、
人体の体温を取得する体温取得ステップと、
前記体温取得ステップにより取得した体温が第1温度以上であるか否かを判定する温度判定ステップと、
前記温度判定ステップにより体温が第1温度以上であると判定し、その後、体温が第1温度未満に下がった場合に、前記計時ステップにより計測した時間が所定時間を経過するまで、第1温度より低い第2温度以上に体温を維持するよう案内する情報を報知する報知処理ステップと、
体温の時間変化率を算出し、算出した体温の時間変化率に基づいて前記所定時間内で第2温度以上に体温が維持されるか否かを判定する温度維持判定ステップと、を備え、
前記報知処理ステップは、更に温度維持判定ステップで否と判定した場合に、体温を維持できないことを警告する情報を報知すること
をコンピュータに実行させることを特徴とする体温維持案内プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体温維持案内装置、体温維持案内方法および体温維持案内プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば浴室システムでは、より快適な入浴ができるように浴室環境を制御することや、ジェット噴流装置および肩掛け吐水装置などを備えることで入浴者の健康維持に貢献するための工夫がなされている。
【0003】
例えば特許文献1には、浴槽内に給湯するための給湯装置と、浴槽内に入っている入浴者の心拍波形を検出する検出装置と、検出された心拍波形の変化に基づいて、入浴者の体温が上昇したか否かを判定する制御部を備える浴室システムが開示されている。この浴室システムは、制御部により入浴者の体温上昇を判定し、入浴者の身体が温まった場合に出浴を促す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、入浴によって健康の維持を図るHSP(ヒートショックプロテイン)入浴法が知られている。この入浴法によれば、通常の体温より高めの体温となるように入浴し、入浴後も身体を保温することで、HSP増加を促進して健康を維持することが期待される。特許文献1に記載の浴室システムは、体温上昇を判定して入浴者へ出浴を促すことで、入浴による身体への負担は軽減されるが、入浴後における身体の保温を促すものではなく、HSP入浴法に基づく健康維持用途に適するものではなかった。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、HSP増加を促進するべく、体温を維持するように案内することができる体温維持案内装置、体温維持案内方法および体温維持案内プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る体温維持案内装置は、人体の体温を取得する体温取得部と、前記体温取得部により取得した体温が第1温度以上であるか否かを判定する温度判定部と、前記温度判定部により体温が第1温度以上であると判定した場合に、第1温度より低い第2温度以上に体温を維持するよう案内する情報を報知する報知処理部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また本発明の別の態様は体温維持案内方法である。この体温維持案内方法は、人体の体温を取得する体温取得ステップと、前記体温取得ステップにより取得した体温が第1温度以上であるか否かを判定する温度判定ステップと、前記温度判定ステップにより体温が第1温度以上であると判定した場合に、第1温度より低い第2温度以上に体温を維持するよう案内する情報を報知する報知処理ステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、HSP増加を促進するべく、体温を維持するように案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る体温維持案内装置の使用形態を表す模式図である。
【
図2】体温維持案内装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】HSP増加を促進するための第1および第2温度等の設定の例を示す図表である。
【
図4】体温維持案内処理の手順を示すフローチャートである。
【
図5】体温維持案内処理の手順を示すフローチャートである。
【
図6】変形例に係る体温維持案内装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに
図1から
図6を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
(実施形態)
図1は実施形態に係る体温維持案内装置1の使用形態を表す模式図である。体温維持案内装置1は、例えば浴室8で入浴するユーザによって使用され、ユーザの体温を測定する体温測定器3からの体温を取得して、体温が加温によって第1温度以上へ上昇されるか否かを判定して報知する。体温維持案内装置1は、入浴後、例えば居間9においてユーザが身体を保温し、体温を第1温度よりも低い第2温度以上となるよう維持する際にも使用し、HSP増加を促進するべく体温を維持するように案内する。尚、体温維持案内装置1は、可搬型の装置であっても、浴室8および居間9に備え付けられる装置であってもよい。また体温維持案内装置1は、入浴の際に使用される以外にも、例えば、サウナ装置や、赤外線照射装置、室内暖房等によって体温を加温し、保温するような方法を用いる際にも使用される。
【0013】
HSP増加を促進する入浴法は、例えば公開講演「体を温めると増えるヒートショックプロテイン(HSP)があなたの健康を守る!」、伊藤要子、山田芳彰、本田靖明、日本温泉科学会会誌「温泉科学」第60巻、P.380-P.388(2010年)等に記載されている。同公開講演によれば、HSPを増加する入浴法として、湯の温度40℃で20分間、41℃で15分間、または42℃で10分間、浴槽に浸かり、体温を目安として38℃以上に加温する。入浴後は10分~15分保温して、体を芯から温める。この方法によって、HSP70(分子量70,000のHSP)が増加し、ストレス防御作用、免疫増強作用等の生理作用を利用して健康維持に役立てることができるとされている。
【0014】
図2は体温維持案内装置1の構成を示すブロック図である。体温維持案内装置1は、インタフェース部(以下、I/F部と表記する。)11、表示部12、音声出力部13、入力部14、計時部15、記憶部16および制御部20を備える。
【0015】
I/F部11は、接続される体温測定器3からアナログまたはデジタルの信号入力を受け取り、制御部20へ入力する。体温測定器3は有線により接続されるほか、例えば赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、WiFi(登録商標)等の通信規格に準拠して無線によって通信接続されていてもよい。体温測定器3は、ユーザの身体に装着される、口腔式および耳式などの体温を計測する種々の体温計を用いることができる。また体温測定器3は、赤外線検出器を備えるサーモグラフィーであってもよい。
【0016】
表示部12は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ等で構成されている。表示部12は、制御部20からの指示によって、体温を維持するよう案内または警告するメッセージ情報、並びに経過時間、残り時間およびユーザの体温等の情報を表示する。
【0017】
音声出力部13は、制御部20から入力されるデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換および増幅してスピーカ(図示略)から音声出力する。音声出力部13は、制御部20からの指示によって、体温を維持するよう案内または警告するメッセージ情報、並びに経過時間、残り時間およびユーザの体温等の情報を音声出力する。
【0018】
入力部14は、操作キー、十字キー、タッチパネル等のスイッチで構成されており、ユーザによる操作入力を受け付ける。入力部14は、例えば表示部12が液晶等のディスプレイである場合に、該ディスプレイに組み込まれたタッチパネルであってもよい。
【0019】
計時部15は、制御部20からの指示に基づいて時間を計測する。記憶部16は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク記憶装置等のデータ記憶装置によって構成されており、制御部20で実行するコンピュータプログラム、およびコンピュータプログラムの実行中に使用する各種のデータ等を記憶する。
【0020】
制御部20は、体温取得部21、温度判定部22、報知処理部23、設定変更部24、温度維持判定部25、停止指示部26を有する。制御部20は、例えばCPUなどによって構成され、コンピュータプログラムに従って動作することによって、上述の各部による処理を実行する。制御部20において体温取得部21は、体温測定器3が計測したユーザの体温を、I/F部11を介して取得する。
【0021】
温度判定部22は、体温取得部21において取得したユーザの体温が第1温度以上であるか否かを判定する。また、温度判定部22は、体温取得部21において取得したユーザの体温が第2温度以上であるか否かを判定する。
図3は、HSP増加を促進するための第1および第2温度等の設定の例を示す図表である。第1温度は、ユーザの通常の体温よりも高く、例えば38℃とし、ユーザは体温が38℃以上となるように入浴する。具体的方法としては、湯の温度40℃で20分間、41℃で15分間、または42℃で10分間に浴槽に浸かり、体温が第1温度である38℃以上に加温する。
【0022】
第2温度は、第1温度よりも低く、かつユーザの通常体温よりも高く、例えば37℃とし、ユーザは体温が37℃以上で所定時間、保温されるようにする。所定時間は10分~15分程度(例えば10分)に設定するが、数十分としても良い。ユーザが身体を保温する具体的方法としては、出浴後に衣服を着用して保温する方法や、浴室8において半身浴または足湯をして保温する方法などがある。
【0023】
報知処理部23は、温度判定部22および後述する温度維持判定部25による判定結果に応じて、体温を維持するよう案内および警告する情報を選択し、表示部12および音声出力部13を通じてユーザへ報知する。報知処理部23は、例えば、体温が第1温度以上になったこと、第1温度未満となったこと、および第2温度未満になっていること等を報知する。報知処理部23は、報知によって、HSP増加を促進するべく体温を維持するよう案内する。
【0024】
設定変更部24は、ユーザが入力する設定情報に合わせて、第1温度、第2温度、および第2温度以上を維持する所定時間を変更する。ユーザによる設定情報は、入力部14において入力される。例えば、第1温度を38℃よりも低い温度または高い温度に、第2温度を37℃よりも低い温度または高い温度に設定変更することができる。また、第2温度以上を維持する所定時間を例えば10分~15分の間で設定変更することができる。
【0025】
温度維持判定部25、体温の時間変化率を算出し、算出した体温の時間変化率に基づいて、第2温度以上を維持する所定時間(例えば10分)の残り時間内において第2温度以上に体温が維持されるか否かを判定する。体温の時間変化率は、例えば体温の時々刻々の変化率、または変化率の平均などで定義すればよい。
【0026】
停止指示部26は、体温が第1温度以上となったことを受けて、給湯装置およびジェット噴流装置等の外部装置へ動作の停止を指示する。尚、体温維持案内装置1は、有線または無線により外部装置に接続されており、停止指示部26により動作停止信号を外部装置へ出力し、該動作停止信号に基づいて外部装置の動作が停止するように制御される。
【0027】
次に、体温維持案内装置1の動作を説明する。
図4および
図5は、体温維持案内処理の手順を示すフローチャートである。ユーザが浴槽に溜めた湯に浸かって入浴を始める際に、体温維持案内装置1の電源をオン状態にすると、制御部20の体温取得部21は、計測されるユーザの体温の取得を開始する(S1)。温度が40℃から42℃の湯に浸かることによってユーザの体温が上昇する。また、ユーザが給湯装置およびジェット噴流装置等の外部装置を動作させることによっても、入浴中のユーザの身体が温められる。制御部20の温度判定部22は、体温が第1温度(例えば38℃)以上であるか否かを判定し(S2)、否と判定した場合(S2:NO)、ステップS2による判定を繰り返す。
【0028】
ステップS2において体温が第1温度以上であると判定された場合(S2:YES)、報知処理部23は、体温が第1温度以上となったことを案内する情報を報知する(S3)。報知処理部23は、ステップS3において、例えば「第1温度以上になりました」とのメッセージを表示部12に表示し、該メッセージを音声出力部13から音声出力する。
【0029】
体温が第1温度以上となったことを受けて、停止指示部26は、過度に体温が上昇することを回避するために、給湯装置およびジェット噴流装置等の外部装置へ動作の停止を指示する(S4)。尚、ステップS4による外部装置へ停止を指示する処理は設けなくてもよく、ステップS3によるメッセージを受けて、ユーザが自ら外部装置の動作を停止してもよい。
【0030】
ユーザが
図3に示す具体的方法、例えば温度40℃の湯に20分間浸かった後、出浴、若しくは、半身浴および足湯をすることにより体温が下がり始める。温度判定部22は、体温が第1温度以上であるか否かを判定し(S5)、第1温度以上であると判定した場合(S5:YES)、ステップS5による判定を繰り返す。ステップS5において体温が第1温度未満であると判定された場合(S5:NO)、計時部15により計時を開始し(S6)、報知処理部23により、体温が第1温度未満となったことを案内する情報を報知する(S7)。
【0031】
報知処理部23は、ステップS7において、例えば「第1温度未満になりました」とのメッセージを表示部12に表示し、該メッセージを音声出力部13から音声出力する。さらに報知処理部23は、ステップS7において、例えば「第2温度以上となるよう身体を保温してください」とのメッセージを表示部12に表示し、該メッセージを音声出力部13から音声出力することで、第2温度以上に体温を維持するよう案内する。
【0032】
温度判定部22は、体温が第2温度(例えば37℃)以上であるか否かを判定する(S8)。ステップS8において否と判定された場合(S8:NO)、報知処理部23は、体温が第2温度未満に下がっていることを警告する情報を報知する(S9)。報知処理部23は、ステップS9において、例えば「体温が第2温度未満になり、保温が十分ではありません」とのメッセージを表示部12に表示し、該メッセージを音声出力部13から音声出力する。
【0033】
ステップS8において第2温度以上であると判定された場合(S8:YES)、温度維持判定部25は、体温の時間変化率を算出し(S10)、体温の時間変化率に基づいて所定時間(例えば10分)の残り時間内において第2温度以上に体温が維持されるか否かを判定する(S11)。ステップS11において体温が維持されないと判定した場合(S11:NO)、報知処理部23により、体温低下が速いため温度を維持できないことを警告する情報を報知する(S12)。報知処理部23は、ステップS12において、例えば「このままでは体温が維持できません」とのメッセージを表示部12に表示し、該メッセージを音声出力部13から音声出力する。
【0034】
ステップS11において体温が維持されると判定された場合(S11:YES)、温度判定部22により、体温が第1温度以上であるか否かを判定し(S13)、ユーザが身体を保温しすぎて体温が上昇していないかを確認する。ステップS13において第1温度以上であると判定された場合(S13:YES)、報知処理部23は、体温が第1温度以上に上がっていることを警告する情報を報知する(S14)。報知処理部23は、ステップS14において、例えば「第1温度以上になり、保温しすぎています」とのメッセージを表示部12に表示し、該メッセージを音声出力部13から音声出力する。
【0035】
ステップS13において第1温度未満であると判定された場合(S13:NO)、報知処理部23は、身体が適切に保温されていることを案内する情報を報知する(S15)。報知処理部23は、ステップS15において、例えば「身体が適切に保温されています」とのメッセージを表示部12に表示し、該メッセージを音声出力部13から音声出力する。
【0036】
ステップS9,S12,S14およびS15の後、ステップS16に移行し、制御部20は所定時間(例えば10分)を経過したか否かを判定し(S16)、所定時間が経過していないと判定された場合(S16:NO)、ステップS8に移行して処理を繰り返す。ステップS16において所定時間が経過したと判定された場合(S16:YES)、報知処理部23により体温維持の終了を案内する情報を報知し(S17)、処理を終了する。報知処理部23は、ステップS17において、例えば「体温維持を終了します」とのメッセージを表示部12に表示し、該メッセージを音声出力部13から音声出力する。
【0037】
つぎに設定変更部24による設定変更処理について説明する。設定変更部24は、ユーザが入力する設定情報を入力部14から取得する。設定変更部24は、第1温度、第2温度、および第2温度以上を維持する所定時間等を変更する。例えば、設定変更部24は、ユーザの身体的な個人差や、嗜好に応じて第1温度を38℃よりも低い温度または高い温度に、第2温度を37℃よりも低い温度または高い温度に設定変更する。また設定変更部24は、ユーザの身体的な個人差や、嗜好に応じて、第2温度以上を維持する所定時間を例えば10分~15分の間で設定変更することができ、利便性が向上する。
【0038】
上述の体温維持案内処理において、ステップS3における報知により、体温維持案内装置1は、体温が第1温度以上となり、HSP増加を促進するための入浴法に準拠した入浴が開始したことをユーザに知得させることができる。また、ステップS4における報知により、体温維持案内装置1は、体温が第1温度未満になり、身体を保温して第2温度を維持する状態に移行したことをユーザに知得させることができる。
【0039】
また、ステップS9における報知により、体温維持案内装置1は、体温が第2温度未満に下がっていることをユーザに知得させることができる。ユーザは、保温性が高まるように衣服を重ねて着用したり、室内温度を高くするなどして、体温の低下に対処することができる。
【0040】
また、ステップS12における報知により、体温維持案内装置1は、体温の時間変化率が大きく、体温の低下によって第2温度が維持できなくなることをユーザに知得させることができる。これにより、ユーザは、保温性が高まるように衣服を重ねて着用したり、室内温度を高めるなどして、体温の低下に対処することができる。
【0041】
また、ステップS14における報知により、体温維持案内装置1は、体温が第1温度以上に上がっていることをユーザに知得させることができる。これにより、ユーザは、保温性が低くなるように衣服を脱いだり、室内温度を低くするなどして、体温の上昇に対処することができる。
【0042】
また、ステップS15における報知により、体温維持案内装置1は、身体が適切に保温されていることをユーザに知得させることができる。これにより、ユーザは、現在の身体の保温状態を維持すればよいことが判る。また、ステップS17における報知により、体温維持案内装置1は、体温維持の一連の処理が終了したことをユーザに知得させることができる。
【0043】
また、体温維持案内装置1は、報知処理部23がユーザの体温、経過時間および残り時間等の情報を間欠的に報知するようにしてもよい。ユーザは、ユーザの体温、経過時間および残り時間等の情報を間欠的に知得することができ利便性が向上する。
【0044】
次に実施形態に係る体温維持案内装置、体温維持案内方法および体温維持案内プログラムの特徴について説明する。
実施形態に係る体温維持案内装置1は、体温取得部21、温度判定部22および報知処理部23を備える。体温取得部21は人体の体温を取得する。温度判定部22は、体温取得部21により取得した体温が第1温度以上であるか否かを判定する。報知処理部23は、温度判定部22により体温が第1温度以上であると判定した場合に、第1温度より低い第2温度以上に体温を維持するよう案内する情報を報知する。これにより、体温維持案内装置1は、HSP増加を促進するべく、体温を維持するように案内することができる。
【0045】
また、体温維持案内装置1は計時部15を備える。報知処理部23は、計時部15により計測した時間が所定時間を経過するまで報知する。これにより、体温維持案内装置1は、体温を第2温度以上に維持する所定時間内において、体温を維持するように案内することができる。
【0046】
また、体温維持案内装置1は、所定時間を変更する設定変更部24を備える。これにより、体温維持案内装置1は、ユーザの身体的な個人差や、嗜好に応じて、第2温度以上を維持する所定時間を設定変更することができ、利便性が向上する。
【0047】
また、体温維持案内装置1は、体温の時間変化率を算出し、算出した体温の時間変化率に基づいて所定時間内で第2温度以上に体温が維持されるか否かを判定する温度維持判定部25を備える。報知処理部23は、温度維持判定部25が否と判定した場合に、体温を維持できないことを警告する情報を報知する。これにより、体温維持案内装置1は、体温の時間変化率が大きく、体温の低下によって第2温度が維持できなくなることをユーザに知得させることができる。
【0048】
また、報知処理部23は、体温が第1温度未満となり、再び温度判定部22が第1温度以上であると判定した場合に、体温が上がっていることを警告する情報を報知する。これにより、体温維持案内装置1は、体温が第1温度以上に上がっていることをユーザに知得させることができる。
【0049】
また、温度判定部22は、体温が第2温度以上であるか否かを判定する。報知処理部23は、温度判定部22により第2温度以上ではないと判定した場合に、体温が下がっていることを警告する情報を報知する。これにより、体温維持案内装置1は、体温が第2温度未満に下がっていることをユーザに知得させることができる。
【0050】
また、体温維持案内装置1は、温度判定部22により体温が第1温度以上であると判定した場合に、外部装置へ動作停止を指示する停止指示部26を備える。これにより、体温維持案内装置1は、過度にユーザの体温が上昇することを回避させることができる。
【0051】
実施形態に係る体温維持案内方法は、人体の体温を取得する体温取得ステップと、体温取得ステップにより取得した体温が第1温度以上であるか否かを判定する温度判定ステップと、温度判定ステップにより体温が第1温度以上であると判定した場合に、第1温度より低い第2温度以上に体温を維持するよう案内する情報を報知する報知処理ステップと、を備える。この体温維持案内方法によって、HSP増加を促進するべく、体温を維持するように案内することができる。
【0052】
実施形態に係る体温維持案内プログラムは、人体の体温を取得する体温取得ステップと、体温取得ステップにより取得した体温が第1温度以上であるか否かを判定する温度判定ステップと、温度判定ステップにより体温が第1温度以上であると判定した場合に、第1温度より低い第2温度以上に体温を維持するよう案内する情報を報知する報知処理ステップと、をコンピュータに実行させる。この体温維持案内プログラムによって、HSP増加を促進するべく、体温を維持するように案内することができる。
【0053】
(変形例)
図6は、変形例に係る体温維持案内装置1の構成を示すブロック図である。浴室8は、付帯設備として給湯装置41、ジェット噴流装置42、制御装置5等を有する。制御装置5は、給湯装置41およびジェット噴流装置42等をオンまたはオフし、動作設定情報等を与えて制御する。制御装置5は、給湯装置41およびジェット噴流装置42等の動作状態を表示する表示部52、メッセージを音声で出力する音声出力部53、および動作設定情報を入力するための入力部54を有する。
【0054】
体温維持案内装置1は、制御装置5に組込まれており、内部構成は
図2に示した構成に準じるが、表示部12、音声出力部13および入力部14を、制御装置5の表示部52、音声出力部53および入力部54で代用してもよい。居間9には、遠隔装置6が配設されており、浴室8に配設された体温維持案内装置1と接続されている。体温維持案内装置1の表示部12、音声出力部13および入力部14は、遠隔装置6が備える表示部62、音声出力部63および入力部64によって代用される。
【0055】
ユーザが装着する体温測定器3は、体温維持案内装置1に有線または無線によって接続されるが、浴室8から居間9まで距離があることを考慮すると無線によって通信接続されていることが好ましい。変形例に係る体温維持案内装置1は、ユーザが体温測定器3を装着するだけで、体温維持案内装置1を持って移動する必要がないので、利便性が向上する。
【0056】
上述の実施形態において、体温維持案内装置1は、表示部12および音声出力部13によって体温を維持するよう案内する情報を報知する構成を示したが、表示部12および音声出力部13のいずれか一方を備えて報知する構成としてもよい。また、設定変更部24は、ユーザが入力する設定情報に合わせて設定変更するだけでなく、体温上昇の変化率の個人差や、体温上昇に寄与する機器を併用した場合の効果等をデータとして蓄積し、蓄積したデータから学習し、AI(人工知能)等の技術を用いて自動的に設定変更するようにしてもよい。
【0057】
以上、本発明の実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【符号の説明】
【0058】
1 体温維持案内装置、 15 計時部、 21 体温取得部、
22 温度判定部、 23 報知処理部、 24 設定変更部、
25 温度維持判定部、 26 停止指示部。