(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-20
(45)【発行日】2022-04-28
(54)【発明の名称】無線電力伝送システム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/40 20160101AFI20220421BHJP
H02J 50/90 20160101ALI20220421BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20220421BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J50/90
H02J50/10
H02J7/00 301D
(21)【出願番号】P 2017198000
(22)【出願日】2017-10-11
【審査請求日】2020-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】津田 尚
(72)【発明者】
【氏名】井上 真弥
(72)【発明者】
【氏名】末吉 太樹
(72)【発明者】
【氏名】西尾 創
(72)【発明者】
【氏名】山崎 博司
(72)【発明者】
【氏名】春田 裕宗
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-229314(JP,A)
【文献】特開2011-252550(JP,A)
【文献】国際公開第2016/043135(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/40
H02J 50/90
H02J 50/10
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の送電部と第2の送電部とを備える送電装置と、
前記送電部から無線伝送される電力を受電可能な受電部を備える受電対象物と、を備え、
前記送電装置は、第1壁部と第2壁部とを備えて前記受電対象物を位置決めする位置決め部を更に備え、
前記第1壁部は、互いに直交する第1方向および第2方向と直交する第3方向に起立し、且つ、前記第1方向に延び、
前記第2壁部は、前記第3方向に起立し、前記第1方向に延び、且つ、前記第1壁部とは前記第2方向に間隔を空けて対向し、
前記第1の送電部は前記第1壁部に配置され、前記第2の送電部は前記第2壁部に配置され、且つ、前記第1方向において前記第1および第2の送電部は互いに離れており、
前記位置決め部は、前記受電対象物を、前記受電部が前記第1の送電部と前記第2方向に向かい合う第1のポジションと、前記受電部が前記第2の送電部と前記第2方向に向かい合う第2のポジションと、から選択されるポジションに位置決めし、
前記
第1および第2の送電部のうち、
前記受電部と向かい合う送電部が前記受電部に対して送電することを特徴とする、無線電力伝送システム。
【請求項2】
前記送電装置は、前記受電対象物を載置可能な載置部をさらに備え、
前記
第1および第2壁部は、前記載置部と一体に設けられることを特徴とする、請求項
1に記載の無線電力伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線電力伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁誘導方式や磁界共鳴方式などの無線電力伝送を利用して、受電対象物に送電装置から電力を無線伝送する無線電力伝送システムが知られている。そのような送電装置は、磁界を発生させる送電コイルを備え、受電対象物は、送電コイルによって発生された磁界により電力を受電する受電コイルを備える。
【0003】
このような無線電力伝送システムは、各種産業製品に適用されており、例えば、受電対象物が補聴器であり、送電装置が充電器である受給電システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
そのような受給電システムでは、充電器が、補聴器を収容可能な収容空間を有する収容カップと、収容空間の全体に磁界を発生させるように配置される複数の送電コイルとを備える。
【0005】
そして、そのような受給電システムでは、補聴器が収容カップの収容空間に収容された状態において、補聴器の向きや位置に拘わらずに、送電コイルから受電コイルに電力が伝送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の受給電システムでは、収容空間の全体に磁界を発生させるために、電力の伝送時においてすべての送電コイルが作動しており、消費電力の低減を図るには限度がある。
【0008】
そこで、本発明は、消費電力の低減を図ることができる無線電力伝送システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明[1]は、複数の送電部を備える送電装置と、前記送電部から無線伝送される電力を受電可能な受電部を備える受電対象物と、を備え、前記複数の送電部のうち、特定の送電部が前記受電部に対して送電する、無線電力伝送システムを含んでいる。
【0010】
このような構成によれば、複数の送電部のうち、特定の送電部が受電部に対して送電するので、電力の伝送時においてすべて送電部が作動する場合と比較して、消費電力の低減を図ることができる。
【0011】
本発明[2]は、載置された前記受電対象物を位置決めする位置決め部をさらに備え、前記受電対象物は、前記位置決め部によって位置決めされた状態において受電可能である、上記[1]に記載の無線電力伝送システムを含んでいる。
【0012】
このような構成によれば、受電対象物が位置決め部によって位置決めされるので、位置決めされた受電部が、特定の送電部から電力を効率よく受電でき、電力の伝送効率の向上を図ることができる。
【0013】
本発明[3]は、前記送電装置は、鉛直方向に延び、前記複数の送電部の少なくとも1つが設けられる壁部をさらに備え、前記壁部は、前記位置決め部を兼ねる、上記[2]に記載の無線電力伝送システムを含んでいる。
【0014】
このような構成によれば、複数の送電部の少なくとも1つが壁部に設けられ、壁部が位置決め部を兼ねるので、受電対象物が壁部によって位置決めされた状態において、送電部から受電部に対して確実に送電することができる。そのため、電力の伝送効率の向上を確実に図ることができる。
【0015】
しかるに、種々の受電対象物では、受電部を配置できるスペースに限度がある。そのため、送電部を受電対象物が載置される面に設けると、受電対象物を載置したときに、送電部に対して受電部を好適な位置に配置できず、電力の伝送効率が低下する場合がある。
【0016】
一方、上記の構成によれば、送電部が壁部に設けられているので、上記のような場合であっても、受電対象物を載置したときに、送電部に対して受電部を好適な位置に配置できる場合がある。
【0017】
本発明[4]は、前記送電装置は、前記受電対象物を載置可能な載置部をさらに備え、前記壁部は、前記載置部と一体に設けられる、上記[3]に記載の無線電力伝送システムを含んでいる。
【0018】
このような構成によれば、壁部が、受電対象物を載置可能な載置部と一体に設けられるので、受電対象物の載置姿勢を一定にできる。そのため、受電対象物が壁部によって位置決めされた状態において、送電部から受電部に対してより一層確実に送電でき、電力の伝送効率の向上をより一層確実に図ることができる。
【0019】
本発明[5]は、前記位置決め部は、前記受電対象物を複数のポジションに位置決めでき、前記複数の送電部は、前記受電対象物の前記複数のポジションに対応して設けられている、上記[2]~[4]のいずれか一項に記載の無線電力伝送システムを含んでいる。
【0020】
しかるに、受電対象物が補聴器などの小型の物品よりも大型な物品である場合、無線電力伝送システムを、受電対象物を載置可能な領域の全体に対して電力を伝送可能に構成するには、多数(例えば、3以上)の送電部が必要となる。
【0021】
一方、上記の構成によれば、位置決め部が、受電対象物を複数のポジションに位置決めでき、複数の送電部が、受電対象物の複数のポジションに対応して設けられているので、受電対象物を載置可能な領域の全体に対して電力を伝送可能な場合と比較して、送電部の個数の低減を図ることができながら、受電対象物が各ポジションに位置する状態において、対応する送電部から受電部に電力を効率よく無線伝送できる。
【0022】
その結果、無線電力伝送システムの製造コストの低減を図ることができながら、受電対象物の各ポジションにおいて電力の無線伝送が可能であるので、受電対象物に対する電力の無線伝送の作業性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の無線電力伝送システムでは、消費電力の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明の無線電力伝送システムの第1実施形態としての無線電力伝送ユニットの斜視図である。
【
図2】
図2Aは、
図1に示す無線電力伝送ユニットの平面図であって、HMDが第1のポジションに位置する状態を示す。
図2Bは、
図1に示す無線電力伝送ユニットの平面図であって、HMDが第2のポジションに位置する状態を示す。
【
図3】
図3は、
図1に示す送電ユニットおよび受電ユニットのブロック図である。
【
図4】
図4Aは、本発明の無線電力伝送システムの第2実施形態としての無線電力伝送ユニットの平面図である。
【
図5】
図5Aは、本発明の無線電力伝送システムの第3実施形態としての無線電力伝送ユニットの斜視図である。
図5Bは、
図5Aに示す無線電力伝送ユニットの平面図である。
【
図6】
図6Aは、本発明の無線電力伝送システムの第4実施形態としての無線電力伝送ユニットの斜視図である。
図6Bは、
図6Aに示す無線電力伝送ユニットの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第1実施形態>
1.無線電力伝送ユニット
本発明の無線電力伝送システムの第1実施形態としての無線電力伝送ユニット1を、
図1~
図2Bを参照して説明する。
【0026】
図1に示すように、無線電力伝送ユニット1は、受電対象物3および送電装置2を備え、送電装置2から受電対象物3に電力を無線伝送可能に構成される。なお、無線電力伝送ユニット1の無線伝送方式は、磁界によって電力を伝送できれば、特に制限されず、電磁誘導方式および磁界共鳴方式のいずれであってもよい。
【0027】
なお、以下の説明において、無線電力伝送ユニット1の方向に言及するときは、無線電力伝送ユニット1を水平面(鉛直方向と直交する平面)に載置した状態を基準として、鉛直方向と直交する所定方向を前後方向(第1方向)とし、
図1における紙面左下側を前側(第1方向一方側)とし、
図1における紙面右上側(第1方向他方側)を後側とする。なお、鉛直方向とは、重力方向と同じ方向である(以下同様)。
【0028】
また、無線電力伝送ユニット1を前側から見たときを左右の基準として、鉛直方向および前後方向の両方向と直交する方向を左右方向(第2方向)として、
図1における紙面右下側を右側(第2方向一方側)とし、
図1における紙面左上側(第2方向他方側)を左側とする。具体的には、方向は、各図に記載の方向矢印従う。
【0029】
2.受電対象物
受電対象物3は、特に制限されず、例えば、人体に装着可能なウェアラブルデバイス(例えば、ヘッドマウントディスプレイ、脳波センサ、眼鏡、スマートウォッチ、指輪など)、AV機器(例えば、携帯音楽プレーヤー、ICレコーダー、ポータブルDVDプレーヤーなど)、医療機器(例えば、計測器、治療器など)、音声通信端末(例えば、携帯電話、スマートフォンなど)などが挙げられる。
【0030】
第1実施形態~第4実施形態では、上記の受電対象物のうち、受電対象物3がウェアラブルデバイスである場合について説明する。より具体的には、第1実施形態および第2実施形態では、受電対象物がヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD3とする。)であり、第3実施形態では、受電対象物が脳波センサ4であり、第4実施形態では、受電対象物がスマートグラス5である場合について説明する。
【0031】
HMD3は、非透過型のヘッドマウントディスプレイである。HMD3は、ユーザの頭部に装着されて使用され、装着したユーザの眼前に映像を表示するように構成される。HMD3は、ディスプレイ部33と、装着部34とを備える。
【0032】
ディスプレイ部33は、HMD3がユーザに装着された状態においてユーザの眼前に位置し、ユーザに対して映像を表示可能である。装着部34は、ユーザの頭部に沿って装着可能である。装着部34は、ユーザの頭部に装着された状態で、ディスプレイ部33がユーザの眼前に位置するように、ディスプレイ部33を支持する。装着部34は、ディスプレイ部33と連続している。装着部34の構成は、特に制限されないが、第1実施形態および第2実施形態では、装着部34は、左右方向に間隔を空けて配置される1対のテンプル部34Aから構成される。1対のテンプル部34Aのそれぞれは、ディスプレイ部33の左右方向の端部から連続して前後方向に延びる。
【0033】
このようなHMD3は、受電ユニット30と、二次電池32(
図3参照)とを備える。
【0034】
受電ユニット30は、HMD3における側部に埋設される。
図3に示すように、受電ユニット30は、受電部の一例としての受電コイル35と、回路基板36とを備える。
【0035】
受電コイル35は、送電コイル24(後述)から無線伝送される電力を受電可能である。具体的には、受電コイル35は、送電コイル24(後述)から発生する磁界によって発電可能である。図示しないが、受電コイル35は、渦巻き状に延びる配線から形成される。配線は、例えば、銅などの導電性金属から形成される。受電コイル35の軸線は、HMD3が水平に載置された状態において、鉛直方向(重力方向)と交差し、好ましくは、鉛直方向(重力方向)と直交する。
【0036】
回路基板36は、二次電池32の充電時において、受電コイル35からの電流を二次電池32に供給するように構成され、かつ、二次電池32の放電時において、二次電池32からの電流をディスプレイ部33に供給するように構成される。図示しないが、回路基板36は、配線パターンと、制御素子とを備える。配線パターンは、ディスプレイ部33、受電コイル35および二次電池32のそれぞれと電気的に接続される。制御素子は、配線パターンを流れる電力を制御する。制御素子は、整流器(AC/DCコンバータ)、充電制御器、変圧器などを備える。
【0037】
二次電池32は、充放電可能な電池であって、例えば、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、銀亜鉛二次電池などが挙げられる。
【0038】
また、
図1に示すように、HMD3は、接触面31をさらに備える。接触面31は、HMD3の外表面の一部であり、より具体的には、鉛直方向に延びるHMD3の周面の一部である。接触面31は、第1接触部分31Aと、第2接触部分31Bとを備える。
【0039】
図2Aに示すように、第1接触部分31Aは、HMD3の側面に位置する。第1接触部分31Aは、左右方向に投影したときに、受電ユニット30(受電コイル35)と重なるように配置される。第1接触部分31Aは、左右方向において受電ユニット30が設けられる側と同じ側に配置される。第1接触部分31Aは、受電ユニット30に対して左右方向に間隔を空けて位置する。第1接触部分31Aは、左右方向と交差するように延び、好ましくは、左右方向と直交するように前後方向に沿って延びる。
【0040】
第2接触部分31Bは、HMD3の前面に位置する。第2接触部分31Bは、先後方向に投影したときに、受電ユニット30(受電コイル35)と重なるように配置される。第2接触部分31Bは、受電ユニット30に対して前後方向に間隔を空けて位置する。第2接触部分31Bは、第1接触部分31Aと連続する。第2接触部分31Bは、平面視略円弧形状を有する。第2接触部分31Bは、第1接触部分31Aの前端部から連続して、前側に向かうにつれて左右方向内方(HMD3の左右方向中央)に向かうように湾曲する。
【0041】
3.送電装置
図1に示すように、送電装置2は、HMD3を載置可能であり、かつ、載置されるHMD3に電力を送電可能である。送電装置2は、載置部23と、複数の壁部21と、複数の送電ユニット20とを備える。
【0042】
載置部23は、HMD3を載置可能である。載置部23は、平面視矩形の平板形状を有している。載置部23は、所定の厚みを有し、先後方向および左右方向に延び、平坦な表面(上面)および平坦な裏面(下面)を有している。なお、以下において、載置部23の上面を載置面23Aとする。
【0043】
複数の壁部21は、載置部23の載置面23Aに配置されており、載置部23と一体に設けられる。複数の壁部21のそれぞれは、鉛直方向(重力方向)に延びる。
【0044】
複数の壁部21は、具体的には、2つの壁部21であって、第1壁部21Aと、第2壁部21Bとからなる。第1壁部21Aおよび第2壁部21Bは、載置面23Aの左右方向両端部に配置され、左右方向に互いに間隔を空けて対向する。第1壁部21Aおよび第2壁部21Bのそれぞれの左右方向内面は、鉛直方向に延びる。第1壁部21Aの左右方向内面と、第2壁部21Bの左右方向内面と、載置面23Aとは、HMD3を収容可能な収容空間2Aを区画する。第1壁部21Aおよび第2壁部21Bは、平面視において、点対称(180°回転対称)となるように構成されている。そこで、第1壁部21Aおよび第2壁部21Bのうち、第1壁部21Aを説明し、第2壁部21Bの説明を省略する。
【0045】
第1壁部21Aは、2つの壁部21のうち右側の壁部21である。第1壁部21Aの左右方向内面は、位置決め部の一例としての位置決め面22を含む。つまり、壁部21は、位置決め部を兼ねる。
【0046】
位置決め面22は、送電装置2に載置されたHMD3を位置決めする。より具体的には、第1壁部21Aの位置決め面22は、HMD3を第1のポジション(後述)に位置決めでき(
図2A参照)、第2壁部21Bの位置決め面22は、HMD3を第2のポジション(後述)に位置決めできる(
図2B参照)。つまり、位置決め面22(第1壁部21Aの位置決め面22または第2壁部21Bの位置決め面22)は、HMD3を一方のポジションに位置決めできる。そのため、複数の位置決め面22は、HMD3を複数のポジションに位置決めできる。
【0047】
位置決め面22は、第1位置決め部分22Aと、第2位置決め部分22Bとを備える。
【0048】
第1位置決め部分22Aは、接触面31の第1接触部分31Aに対応する。第1位置決め部分22Aは、第1接触部分31Aと同じ形状を有する。第1位置決め部分22Aは、左右方向と交差するように延び、好ましくは、左右方向と直交するように前後方向に沿って延びる。
【0049】
第2位置決め部分22Bは、第1位置決め部分22Aに対して前側に位置する。第2位置決め部分22Bは、接触面31の第2接触部分31Bに対応する。第2位置決め部分22Bは、第2接触部分31Bと同じ形状を有する。第2位置決め部分22Bは、平面視略円弧形状を有する。第2位置決め部分22Bは、第1位置決め部分22Aと連続する。第2位置決め部分22Bは、第1位置決め部分22Aの前端部から連続して、前側に向かうにつれて左右方向内方(HMD3の左右方向中央)に向かうように湾曲する。
【0050】
送電ユニット20は、各壁部21に1つずつ設けられる。複数の送電ユニット20は、具体的には、2つの送電ユニット20であって、第1壁部21Aに設けられる第1送電ユニット20Aと、第2壁部21Bに設けられる第2送電ユニット20Bとからなる。
【0051】
各送電ユニット20(第1送電ユニット20Aおよび第2送電ユニット20Bのそれぞれ)は、
図3に示すように、送電部の一例としての送電コイル24と、発振回路25と、外部電源接続部26とを備える。つまり、各壁部21には、1つの送電コイル24が設けられ、送電装置2は、複数の送電コイル24(第1送電ユニット20Aの送電コイル24および第2送電ユニット20Bの送電コイル24)を備える。複数の送電コイル24は、HMD3の複数のポジションに対応して設けられる。
【0052】
図2Aに示すように、第1送電ユニット20Aおよび第2送電ユニット20Bは、同じ構成を有し、かつ、平面視において、点対称(180°回転対称)となるように配置されている。そこで、第1送電ユニット20Aおよび第2送電ユニット20Bのうち、第1送電ユニット20Aを説明し、第2送電ユニット20Bの説明を省略する。
【0053】
第1送電ユニット20Aは、第1壁部21Aに埋設される。第1送電ユニット20A(送電コイル24)は、左右方向に投影したときに、位置決め面22の第1位置決め部分22Aの前端部と重なるように配置される。第1送電ユニット20Aは、第1位置決め部分22Aの前端部に対して左右方向の外方に間隔を空けて位置する。
【0054】
第1送電ユニット20Aの送電コイル24は、HMD3の第1のポジションに対応して設けられ(
図2A参照)、第2送電ユニット20Bの送電コイル24は、HMD3の第2のポジションに対応して設けられる(
図2B参照)。
【0055】
送電コイル24は、受電コイル35に電力を無線送電可能である。具体的には、送電コイル24は、左右方向(水平方向)に電力を無線送電可能であって、磁界を発生可能である。図示しないが、送電コイル24は、受電コイル35と同じ構成であってもよく、銅線などの線材を巻回してなる巻きコイルであってもよい。送電コイル24の軸線は、鉛直方向と交差するように延び、好ましくは、鉛直方向と直交するように左右方向に沿って延びる。
【0056】
図3に示すように、発振回路25は、例えば、1MHz以上10MHz以下、好ましくは、1MHz以上5MHz以下の周波数を有する電力を発生可能である。発振回路25は、送電コイル24および外部電源接続部26のそれぞれと電気的に接続される。発振回路25として、例えば、LC発振回路方式、CR発振回路方式、水晶発振回路方式、スイッチング回路方式などが挙げられる。
【0057】
外部電源接続部26は、無線電力伝送ユニット1外に設けられる外部電源9に接続可能である。外部電源接続部26として、例えば、ACアダプタ、USB端子などが挙げられる。
【0058】
4.受電動作(充電動作)
次に、
図2Aおよび
図2Bを参照して、HMD3の受電動作について説明する。
【0059】
まず、HMD3がセットされる前の状態の送電装置2について説明する。
【0060】
HMD3がセットされる前の送電装置2において、外部電源接続部26は、外部電源9と接続されており、複数の送電コイル24のすべては、周期的に電力を送電している。なお、周期的に送電する電力は、後述する連続的に送電する電力と同じであってもよく、低くてもよい。
【0061】
また、複数の壁部21は、HMD3が、ディスプレイ部33が前側にある第1のポジション(
図2A参照)、または、ディスプレイ部33が後側にある第2のポジション(
図2B参照)に位置するように収容空間2Aに挿入されるときに、HMD3の挿入を許容する。一方、複数の壁部21は、HMD3が、第1のポジションおよび第2のポジションを除くその他のポジションに位置するように収容空間2Aに挿入されるときに、HMD3と接触して、収容空間2Aに対するHMD3の挿入を禁止する。
【0062】
そして、
図2Aに示すように、HMD3が、第1のポジションに位置するように、収容空間2Aに収容されると、HMD3は、載置部23の載置面23Aに水平に載置される。
【0063】
このとき、接触面31は、第1壁部21Aが有する位置決め面22と接触する。より詳しくは、接触面31の第1接触部分31Aは、左右方向において、位置決め面22の第1位置決め部分22Aと接触し、接触面31の第2接触部分31Bは、前後方向において、位置決め面22の第2位置決め部分22Bと接触する。このとき、第2壁部21Bの位置決め面22は、左右方向において、HMD3と接触してもよく、僅かな間隔を空けて位置してもよい。
【0064】
これによって、第1壁部21Aの位置決め面22は、HMD3を、水平方向(前後方向および左右方向)に位置決めし、第1のポジションに位置決めする。
【0065】
HMD3が第1のポジションに位置決めされると、受電ユニット30は、第1送電ユニット20Aと左右方向に間隔を空けて向かい合う。そして、受電コイル35は、第1送電ユニット20Aの送電コイル24と左右方向に向かい合う。
【0066】
すると、第1送電ユニット20Aの送電コイル24から周期的に送電される電力を、受電コイル35が受電する。
【0067】
このとき、受電コイル35が第1送電ユニット20Aの送電コイル24から電力を受電したために、第1送電ユニット20Aの送電コイル24において、電圧、定在波比、インピーダンスなどが変動する。一方、第2送電ユニット20Bの送電コイル24からの電力は受電コイル35に受電されていないために、第2送電ユニット20Bの送電コイル24において、電圧、定在波比、インピーダンスなどは変動しない。なお、受電コイル35が電力を受電したときに、回路基板36の負荷抵抗を変動させてもよい。これによっても、受電コイル35に送電する送電コイル24において、電圧、定在波比、インピーダンスなどが変動する。
【0068】
そして、送電装置2は、電圧、定在波比、インピーダンスなどの変動量が比較的大きい送電コイル24(第1送電ユニット20Aの送電コイル24)を検知する。
【0069】
以上によって、送電装置2は、HMD3が第1のポジションで載置されたことを検知し、受電コイル35に対する伝送効率の最もよい送電コイル24(第1送電ユニット20Aの送電コイル24)を特定する。
【0070】
また、回路基板36は、負荷抵抗を離散的に変動させることによってデジタル信号として、二次電池32の状況(例えば、バッテリー残量など)を送電装置2に送信してもよい。これによって、送電装置2は、二次電池32の状況を受信することができる。
【0071】
その後、送電装置2は、第2送電ユニット20Bの送電コイル24からの周期的な送電を停止する。
【0072】
次いで、送電装置2は、第1送電ユニット20Aの送電コイル24から、連続的に電力を送電する。言い換えれば、複数の送電コイル24のうち、特定の送電コイル24(第1送電ユニット20Aの送電コイル24)は、受電コイル35に対して送電し、複数の送電コイル24のうち、特定の送電コイル24を除く他の送電コイル24(第2送電ユニット20Bの送電コイル24)は、送電を停止する。
【0073】
そして、受電コイル35は、特定の送電コイル24から送電される電力を受電する。
【0074】
また、
図2Bに示すように、HMD3が、第2のポジションに位置するように、収容空間2Aに収容されると、接触面31は、第2壁部21Bが有する位置決め面22と接触する。より詳しくは、第1接触部分31Aは、左右方向において、第1位置決め部分22Aと接触し、第2接触部分31Bは、前後方向において、第2位置決め部分22Bと接触する。
【0075】
これによって、第2壁部21Bの位置決め面22は、HMD3を、水平方向(前後方向および左右方向)に位置決めし、第2のポジションに位置決めする。
【0076】
また、HMD3が第2のポジションに位置決めされると、受電ユニット30は、第2送電ユニット20Bと左右方向に間隔を空けて向かい合う。そして、受電コイル35は、第2送電ユニット20Bの送電コイル24と左右方向に向かい合う。
【0077】
すると、送電装置2は、上記と同様にして、HMD3が第2のポジションで載置されたことを検知し、受電コイル35に対する伝送効率の最もよい送電コイル24(第2送電ユニット20Bの送電コイル24)を特定する。その後、送電装置2は、第1送電ユニット20Aの送電コイル24からの周期的な送電を停止する。
【0078】
次いで、送電装置2は、第2送電ユニット20Bの送電コイル24から、連続的に電力を送電する。そして、受電コイル35は、第2送電ユニット20Bの送電コイル24から送電される電力を受電する。
【0079】
以上によって、HMD3は、位置決め面22によって、第1のポジションまたは第2のポジションに位置決めされた状態において受電する。
【0080】
その後、
図3に示すように、電力は、受電コイル35から回路基板36を介して二次電池32に供給される。これによって、二次電池32は、充電される。その後、二次電池32の充電が完了すると、回路基板36は、上記と同様に通信信号(デジタル信号)を送電装置2に送信し、送電装置2は、回路基板36からの通信信号により、送電を停止する。
【0081】
また、二次電池32に充電された電力は、ディスプレイ部33を作動するために、二次電池32から回路基板36を介してディスプレイ部33に適宜給電される。なお、受電コイル35が受電した電力を、回路基板36を介して二次電池32に供給することなく、回路基板36を介してディスプレイ部33に直接給電することもできる。
【0082】
このような無線電力伝送ユニット1では、
図2Aおよび
図2Bに示すように、複数の送電コイル24のうち、特定の送電コイル24が受電コイル35に対して送電する。そのため、電力の伝送時においてすべて送電コイル24が作動する場合と比較して、消費電力の低減を図ることができる。
【0083】
また、HMD3は、位置決め面22によって位置決めされる。そのため、位置決めされた受電コイル35が、特定の送電コイル24から電力を効率よく受電でき、電力の伝送効率の向上を図ることができる。
【0084】
第1送電ユニット20Aの送電コイル24が第1壁部21Aに設けられ、第2送電ユニット20Bの送電コイル24が第2壁部21Bに設けられる。また、第1壁部21Aおよび第2壁部21Bのそれぞれが位置決め面22を備える。そのため、HMD3が壁部21によって位置決めされた状態において、送電コイル24から受電コイル35に対して確実に送電することができる。その結果、電力の伝送効率の向上を確実に図ることができる。
【0085】
しかるに、HMD3では、受電コイル35を配置できるスペースに限度がある。そのため、送電コイル24を載置部23に設けると、HMD3を載置したときに、送電コイル24に対して受電コイル35を好適な位置に配置できず、電力の伝送効率が低下する。一方、送電装置2では、送電コイル24が壁部21に設けられているので、HMD3を載置したときに、送電コイル24に対して受電コイル35を好適な位置に配置できる。
【0086】
壁部21は、載置部23と一体に設けられる。そのため、HMD3の載置姿勢を一定にできる。その結果、HMD3が壁部21によって位置決めされた状態において、送電コイル24から受電コイル35に対してより一層確実に送電でき、電力の伝送効率の向上をより一層確実に図ることができる。
【0087】
しかるに、受電対象物がHMD3などである場合、送電装置2を、HMD3を収容する収容空間2Aの全体に対して電力を伝送可能に構成するには、多数(例えば、3以上)の送電コイル24が必要となる。
【0088】
一方、送電装置2では、位置決め面22(第1壁部21Aの位置決め面22および第2壁部21Bの位置決め面22)が、HMD3を複数のポジションに位置決めでき、複数の送電コイル24が、HMD3の複数のポジションに対応して設けられている。
【0089】
そのため、収容空間2Aの全体に対して電力を伝送可能な場合と比較して、送電コイル24の個数の低減を図ることができながら、HMD3が各ポジションに位置する状態において、対応する送電コイル24から受電コイル35に電力を効率よく無線伝送できる。
【0090】
その結果、無線電力伝送ユニット1の製造コストの低減を図ることができながら、HMD3の各ポジションにおいて電力の無線伝送が可能であるので、HMD3に対する電力の無線伝送の作業性の向上を図ることができる。
【0091】
なお、第1実施形態では、送電装置2は、送電コイル24と受電コイル35との電力の伝送により、HMD3のポジションを検知し、受電コイル35に対する伝送効率の最もよい送電コイル24を特定するが、送電コイル24の特定方法は、特に制限されない。例えば、送電装置2は、HMD3のポジションを機械的または光学的に検知し、受電コイル35に対する伝送効率の最もよい送電コイル24を特定してもよい。
【0092】
機械的な検知方法としては、各壁部21に、接触面31と接触可能なように、各送電ユニット20に対応するメカスイッチを設ける方法が挙げられる。
【0093】
光学的な検知方法としては、各壁部21に、接触面31で反射可能なように、各送電ユニット20に対応する反射型光センサを設ける方法が挙げられる。
【0094】
<第2実施形態>
次に、
図4を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態では、上記した第1実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0095】
第1実施形態では、
図2Aおよび
図2Bに示すように、送電装置2は、HMD3が2つのポジション(第1のポジションおよび第2のポジション)のいずれかにあるときに、HMD3を収容可能であるが、本発明は、これに限定されない。
【0096】
第2実施形態では、送電装置2は、HMD3が4つのポジションのいずれかにあるときに、HMD3を収容可能である。送電装置2は、HMD3の4つのポジションに対応して、送電コイル24を含む送電ユニット20を4つ備える。より具体的には、送電装置2は、送電ユニット20が設けられる壁部21を4つ備える。
【0097】
4つの壁部21は、所定の対称軸を中心として90°回転対称となるように、対称軸の周方向に互いに間隔を空けて配置される。4つの壁部21のそれぞれは、位置決め面22を有する。4つの壁部21の位置決め面22と、載置面23Aとは、HMD3を収容可能な収容空間2Aを区画する。
【0098】
そして、4つの壁部21は、HMD3が、ディスプレイ部33が前側にある第1のポジション(図示せず)、ディスプレイ部33が後側にある第2のポジション(図示せず)、ディスプレイ部33が右側にある第3のポジション(図示せず)およびディスプレイ部33が左側にある第4のポジションのいずれかに位置するように収容空間2Aに挿入されるときに、HMD3の挿入を許容する。
【0099】
一方、4つの壁部21は、HMD3が、それら4つのポジションを除くその他のポジションに位置するように収容空間2Aに挿入されるときに、HMD3と接触して、収容空間2Aに対するHMD3の挿入を禁止する。
【0100】
そして、HMD3が、上記4つのポジションのいずれかに位置するように、収容空間2Aに収容されると、接触面31は、対応する壁部21が有する位置決め面22と接触する。これによって、HMD3は、4つのポジションのいずれかに位置決めされる。
【0101】
そして、送電装置2は、上記と同様にして、HMD3が上記4つのポジションのいずれかのポジションに載置されたことを検知し、受電コイル35に対する伝送効率の最もよい送電コイル24を特定し、他の送電コイル24の送電を停止する。
【0102】
その後、送電装置2は、特定の送電コイル24から、連続的に電力を送電し、受電コイル35は、特定の送電コイル24から送電される電力を受電する。
【0103】
以上によって、HMD3は、位置決め面22によって、上記4つのポジションのいずれかに位置決めされた状態において受電する。
【0104】
このような第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。なお、無線電力伝送ユニット1の製造コストの低減の観点からは、第1実施形態が好ましい。
【0105】
<第3実施形態>
次に、
図5Aおよび
図5Bを参照して、本発明の第3実施形態について説明する。なお、第3実施形態では、上記した第1実施形態および第2実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0106】
第1実施形態では、
図1に示すように、受電対象物はHMD3であるが、受電対象物は特に制限されない。第3実施形態では、受電対象物は、脳波センサ4である。
【0107】
脳波センサ4は、ユーザの頭部に装着されて使用され、装着したユーザの脳波を測定するように構成される。脳波センサ4は、センサ部43と、装着部44とを備える。
【0108】
センサ部43は、脳波センサ4がユーザに装着された状態においてユーザの脳波を測定可能である。センサ部43は、後側に向かって開放される平面視半円弧形状を有する。また、センサ部43は、第1面45と、第2面46と、第3面47と、第4面48と、複数(2つ)の接触面49とを有する。
【0109】
第1面45は、脳波センサ4がユーザに装着された状態において、上側に位置する面である。第2面46は、脳波センサ4がユーザに装着された状態において、下側に位置する面である。第1面45および第2面46は、鉛直方向に互いに間隔を空けて位置する。
【0110】
第3面47は、センサ部43の外周面(前側周面)であって、平面視半円弧形状を有する。第3面47は、鉛直方向において、第1面45の前端縁と第2面46の前端縁とを連結する。第4面48は、センサ部43の内周面(後側周面)であって、平面視半円弧形状を有する。第4面48は、第3面47に対して後側に、センサ部43の径方向に間隔を空けて位置する。
【0111】
複数(2つ)の接触面49は、後述する複数の位置決め部29に対応して設けられる。複数(2つ)の接触面49は、具体的には、2つの接触面49である。2つの接触面49のそれぞれは、左右方向において第3面47の左右方向端部と第4面48の左右方向端部とを連結し、鉛直方向において第1面45と第2面46とを連結する。2つの接触面49のそれぞれは、鉛直方向に延びる。2つの接触面49は、左右方向に互いに間隔を空けて位置する。
【0112】
装着部44は、ユーザの頭部に沿って装着可能である。装着部44は、ユーザの頭部に装着された状態で、センサ部43がユーザの前頭部に位置するように、センサ部43を支持する。装着部44は、前側に向かって開放される平面視半円弧形状を有する。装着部44の一端部(右端部)は、センサ部43の右側の接触面49に接続され、装着部44の他端部(左端部)は、センサ部43の左側の接触面49に接続される。
【0113】
また、このような脳波センサ4は、HMD3と同様に、受電ユニット30と、二次電池32(
図3参照)とを備える。受電ユニット30は、脳波センサ4における側部に埋設される。より具体的には、受電ユニット30は、2つの接触面49のうち、右側の接触面49に対して前側に間隔を空けて配置される。二次電池32の構成は、上記と同様である。
【0114】
送電装置2は、載置部23と、壁部27と、複数の送電ユニット20と、複数(2つ)の位置決め部29と備える。なお、載置部23の構成は、上記と同様である。
【0115】
壁部27は、載置部23と一体に設けられる。壁部27は、載置部23の載置面23A全体から鉛直方向に延びる。壁部27は、開口部28を有する。開口部28は、平面視円形状を有し、壁部27を鉛直方向に貫通する。これによって、載置部23の載置面23Aの中央部分が、開口部28を介して上側から露出している。開口部28の内周面28Aと、壁部27から露出する載置面23Aとは、脳波センサ4を収容可能な収容空間2Aを区画する。開口部28の内周面28Aの半径と、センサ部43の第3面47の曲率半径とは、略同じである。
【0116】
複数の送電ユニット20は、壁部27に設けられる。複数の送電ユニット20は、具体的には、2つの送電ユニット20であって、壁部27の右端部に埋設される第1送電ユニット20Aと、壁部27の左端部に埋設される第2送電ユニット20Bとからなる。第1送電ユニット20Aは、開口部28に対して右側に間隔を空けて位置する。第1送電ユニット20Aの送電コイル24は、脳波センサ4の第1のポジション(後述)に対応して設けられる。第2送電ユニット20Bは、開口部28に対して左側に間隔を空けて位置する。第2送電ユニット20Bの送電コイル24は、脳波センサ4の第2のポジション(後述)に対応して設けられる。
【0117】
複数の位置決め部29は、送電装置2に載置された脳波センサ4を位置決めする。より具体的には、複数の位置決め部29は、脳波センサ4が収容空間2Aに収容されたときに、対応する接触面49と前後方向に接触するように設けられる。複数の位置決め部29は、収容空間2A内に配置され、載置部23と一体に設けられる。複数の位置決め部29は、具体的には、2つの位置決め部29である。2つの位置決め部29は、左右方向に互いに間隔を空けて配置される。2つの位置決め部29のうち、右側の位置決め部29は、第1送電ユニット20Aに対して後左側に間隔を空けて位置する。2つの位置決め部29のうち、左側の位置決め部29は、第2送電ユニット20Bに対して後右側に間隔を空けて位置する。2つの位置決め部29のそれぞれは、載置面23Aから上側に向かって突出している。
【0118】
このような送電装置2では、複数の位置決め部29は、脳波センサ4が第1のポジション、または、第2のポジション(図示せず)に位置するように収容空間2Aに挿入されるときに、脳波センサ4の挿入を許容する。脳波センサ4の第1のポジションでは、センサ部43が前側に位置し、かつ、第1面45が上側に位置し、第2面46が下側に位置する。脳波センサ4の第2のポジションは、第1のポジションから上下が反転したポジションであって、脳波センサ4の第2のポジションでは、センサ部43が前側に位置し、かつ、第1面45が下側に位置し、第2面46が上側に位置する。
【0119】
一方、複数の位置決め部29は、脳波センサ4が、第1のポジションおよび第2のポジションを除くその他のポジションに位置するように収容空間2Aに挿入されるときに、脳波センサ4と接触して、収容空間2Aに対する脳波センサ4の挿入を禁止する。
【0120】
そして、脳波センサ4が、第1のポジションまたは第2のポジションに位置するように、収容空間2Aに収容されると、脳波センサ4は、載置部23の載置面23Aに水平に載置される。
【0121】
このとき、接触面49は、対応する位置決め部29に対して前側に位置し、前後方向に対応する位置決め部29と接触する。また、センサ部43の第3面47は、開口部28の内周面28Aと向かい合う。第3面47は、内周面28Aと接触してもよく、僅かな間隔を空けて位置してもよい。
【0122】
これによって、位置決め部29は、脳波センサ4を、水平方向(前後方向)に位置決めし、第1のポジションまたは第2のポジションに位置決めする。
【0123】
そして、送電装置2は、上記と同様にして、脳波センサ4が第1のポジションまたは第2のポジションに載置されたことを検知し、受電コイル35に対する伝送効率の最もよい送電コイル24を特定し、他の送電コイル24の送電を停止する。
【0124】
次いで、送電装置2は、特定の送電コイル24から、連続的に電力を送電する。そして、受電コイル35は、特定の送電コイル24から送電される電力を受電する。
【0125】
以上によって、脳波センサ4は、位置決め部29によって、第1のポジションまたは第2のポジションに位置決めされた状態において受電する。
【0126】
このような第3実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0127】
<第4実施形態>
次に、
図6Aおよび
図6Bを参照して、本発明の第4実施形態について説明する。なお、第4実施形態では、上記した第1実施形態~第3実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0128】
第4実施形態では、受電対象物は、スマートグラス5である。
【0129】
スマートグラス5は、眼鏡型であり、かつ、透過型のヘッドマウントデバイスである。スマートグラス5は、グラス部53と、装着部54とを備える。
【0130】
グラス部53は、2つのレンズ55と、枠体56とを備える。2つのレンズ55は、スマートグラス5がユーザに装着された状態においてユーザの眼前に位置する。レンズ55は、光透過性であり、かつ、ユーザに対して映像を表示可能である。枠体56は、2つのレンズ55を支持する。枠体56は、スマートグラス5がユーザに装着された状態において、上端に位置する第1端部57と、下端に位置する第2端部58とを備える。第1端部57および第2端部58は、鉛直方向に互いに間隔を空けて位置する。
【0131】
装着部54は、ユーザの頭部に装着された状態で、グラス部53がユーザの眼前に位置するように、グラス部53を支持する。装着部54は、左右方向に間隔を空けて配置される1対のテンプル部54Aから構成される。1対のテンプル部54Aのそれぞれは、枠体56の左右方向の端部に、鉛直方向に延びる回動軸を支点として、揺動可能に固定されている。これにより、1対のテンプル部54Aのそれぞれは、前後方向に延びる展開位置と、枠体56に対して折り畳まれ、左右方向に延びる折畳位置とに揺動可能である。
【0132】
また、このようなスマートグラス5は、HMD3と同様に、受電ユニット30と、二次電池32(
図3参照)とを備える。受電ユニット30は、スマートグラス5における側部に埋設される。より具体的には、受電ユニット30は、枠体56の右端部に埋設される。二次電池32の構成は、上記と同様である。
【0133】
送電装置2は、載置部23と、壁部27と、複数の送電ユニット20と備える。なお、載置部23の構成は、上記と同様である。
【0134】
壁部27は、開口部28を有する。開口部28は、平面視略楕円形状を有し、壁部27を鉛直方向に貫通する。これによって、載置部23の載置面23Aの中央部分が、開口部28を介して上側から露出している。開口部28の内周面28Bと、壁部27から露出する載置面23Aとは、スマートグラス5を収容可能な収容空間2Aを区画する。
【0135】
開口部28の内周面28Bは、位置決め部の一例としての第1内周部分28Cと、第2内周部分28Dとを備える。
【0136】
第1内周部分28Cは、内周面28Bの前側部分である。第1内周部分28Cは、平面視において、スマートグラス5の枠体56に沿う形状を有しており、後側に向かって開放されるU字形状を有する。
【0137】
第2内周部分28Dは、内周面28Bの後側部分である。第2内周部分28Dは、第1内周部分28Cと連続する。第2内周部分28Dは、平面視において、前側に向かって開放されるU字形状を有する。第2内周部分28Dは、スマートグラス5の枠体56に沿う形状を有しておらず、第1内周部分28Cと比較して、前後方向の寸法(凹み)が小さい。
【0138】
複数の送電ユニット20は、壁部27に設けられ、具体的には、第1送電ユニット20Aと第2送電ユニット20Bとからなる。第1送電ユニット20Aの送電コイル24は、スマートグラス5の第1のポジション(後述)に対応して設けられる。第2送電ユニット20Bの送電コイル24は、スマートグラス5の第2のポジション(後述)に対応して設けられる。
【0139】
このような送電装置2では、壁部27は、1対のテンプル部34Aが折畳位置に位置し、かつ、スマートグラス5が第1のポジション、または、第2のポジション(図示せず)に位置するように収容空間2Aに挿入されるときに、スマートグラス5の挿入を許容する。スマートグラス5の第1のポジションでは、グラス部53が前側に位置し、かつ、枠体56の第1端部57が上側に位置し、枠体56の第2端部58が下側に位置する。スマートグラス5の第2のポジションは、第1のポジションから上下が反転したポジションであって、スマートグラス5の第2のポジションでは、グラス部53が前側に位置し、かつ、枠体56の第1端部57が下側に位置し、枠体56の第2端部58が上側に位置する。
【0140】
一方、壁部27は、1対のテンプル部34Aが展開位置に位置する場合、および、1対のテンプル部34Aが折畳位置に位置しても、スマートグラス5が、第1のポジションおよび第2のポジションを除くその他のポジションに位置する場合、スマートグラス5と接触して、収容空間2Aに対するスマートグラス5の進入を禁止する。
【0141】
そして、1対のテンプル部34Aが折畳位置に位置した状態で、スマートグラス5が、第1のポジションまたは第2のポジションに位置するように、収容空間2Aに収容されると、スマートグラス5は、載置部23の載置面23Aに水平に載置される。
【0142】
このとき、枠体56は、開口部28の第1内周部分28Cに対して後側に位置し、前後方向に第1内周部分28Cと接触する。また、折畳位置にある1対のテンプル部54Aは、開口部28の第2内周部分28Dに対して、前側に間隔を空けて位置する。
【0143】
これによって、開口部28の第1内周部分28Cは、スマートグラス5を、水平方向(前後方向および左右方向)に位置決めし、第1のポジションまたは第2のポジションに位置決めする。
【0144】
そして、送電装置2は、上記と同様にして、スマートグラス5が第1のポジションまたは第2のポジションに載置されたことを検知し、受電コイル35に対する伝送効率の最もよい送電コイル24を特定し、他の送電コイル24の送電を停止する。
【0145】
次いで、送電装置2は、特定の送電コイル24から、連続的に電力を送電する。そして、受電コイル35は、特定の送電コイル24から送電される電力を受電する。
【0146】
以上によって、スマートグラス5は、壁部27の第1内周部分28Cによって、第1のポジションまたは第2のポジションに位置決めされた状態において受電する。
【0147】
このような第4実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0148】
1 無線電力伝送ユニット
2 送電装置
3 HMD
4 脳波センサ
5 スマートグラス
21 壁部
22 位置決め面
23 載置部
24 送電コイル
27 壁部
28C 第1内周部分
29 位置決め部
35 受電コイル