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特許7061477プリント基板の製造方法、データ生成方法およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-20
(45)【発行日】2022-04-28
(54)【発明の名称】プリント基板の製造方法、データ生成方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/00 20060101AFI20220421BHJP
【FI】
H05K3/00 D
H05K3/00 V
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018032172
(22)【出願日】2018-02-26
(65)【公開番号】P2019149411
(43)【公開日】2019-09-05
【審査請求日】2020-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】390015587
【氏名又は名称】株式会社図研
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(72)【発明者】
【氏名】森井 敦夫
(72)【発明者】
【氏名】三尾 里志
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-056068(JP,A)
【文献】特開平04-280104(JP,A)
【文献】特開2010-087071(JP,A)
【文献】国際公開第2014/192083(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板の製造方法であって、
配線データを含む基板設計データから3Dプリントデータを生成するデータ生成工程と、
前記3Dプリントデータに基づいて、3Dプリンタによって、前記配線データに対応する第1配線パターンを含む第1プリント基板を製造する第1製造工程と、
前記基板設計データから生成されたプリント基板データに基づいて、フォトリソグラフィ工程を含む製造工程によって、前記配線データに対応する第2配線パターンを含む第2プリント基板を製造する第2製造工程と、を含み、
前記第1配線パターンは、第1導電材料で構成され、前記第2配線パターンは、前記第1導電材料とは異なる第2導電材料で構成され、
前記データ生成工程では、前記第1導電材料で構成される前記第1配線パターンの電気特性と前記第2導電材料で構成される前記第2配線パターンの電気特性との差が低減されるように、前記第1導電材料を示す第1情報および前記第2導電材料を示す第2情報に基づいて、前記基板設計データから前記3Dプリントデータが生成される、
ことを特徴とするプリント基板の製造方法。
【請求項2】
前記第1導電材料の導電率は、前記第2導電材料の導電率より高く、
前記データ生成工程では、前記配線データによって表現される配線パターンよりも断面積が小さい配線パターンが前記第1配線パターンとして形成されるように前記3Dプリントデータが生成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項3】
前記データ生成工程では、前記配線データによって表現される配線パターンにスリットが設けられた配線パターンが前記第1配線パターンとして形成されるように前記3Dプリントデータが生成される、
ことを特徴とする請求項2に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項4】
前記データ生成工程では、前記配線データによって表現される配線パターンよりも厚さが薄い配線パターンが前記第1配線パターンとして形成されるように前記3Dプリントデータが生成される、
ことを特徴とする請求項2に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項5】
前記データ生成工程では、前記第1配線パターンの電気抵抗と前記第2配線パターンの電気抵抗との差分が基準値内に収まるように前記3Dプリントデータが生成される、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項6】
配線データを含む基板設計データから3Dプリンタによってプリント基板を製造するための3Dプリントデータを生成するデータ生成工程と、前記3Dプリントデータに基づいて前記プリント基板を製造する製造工程と、を含むプリント基板の製造方法であって、
前記データ生成工程は、
前記3Dプリンタによって、前記3Dプリントデータに基づいて前記配線データに対応する第1配線パターンを含む前記プリント基板を製造するための情報として前記第1配線パターンを構成する第1導電材料を示す第1情報を取得する第1取得工程と、
フォトリソグラフィ工程を含む製造工程によって、前記基板設計データから生成されたプリント基板データに基づいて前記配線データに対応する第2配線パターンを含む第2プリント基板を製造するための情報として前記第2配線パターンを構成する第2導電材料を示す第2情報を取得する第2取得工程と、
前記第1導電材料で構成される前記第1配線パターンの電気特性と前記第2導電材料で構成される前記第2配線パターンの電気特性との差が低減されるように、前記第1情報および前記第2情報に基づいて、前記基板設計データを前記3Dプリントデータに変換する変換工程と、
を含むことを特徴とするプリント基板の製造方法。
【請求項7】
前記第1導電材料の導電率が前記第2導電材料の導電率より高い場合に、前記変換工程では、前記配線データによって表現される配線パターンよりも断面積が小さい配線パターンが前記第1配線パターンとして形成されるように前記基板設計データが前記3Dプリントデータに変換される、
ことを特徴とする請求項6に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項8】
前記変換工程では、前記配線データによって表現される配線パターンにスリットが設けられた配線パターンが前記第1配線パターンとして形成されるように前記基板設計データが前記3Dプリントデータに変換される、
ことを特徴とする請求項7に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項9】
前記変換工程では、前記配線データによって表現される配線パターンよりも厚さが薄い配線パターンが前記第1配線パターンとして形成されるように前記基板設計データが前記3Dプリントデータに変換される、
ことを特徴とする請求項7に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項10】
前記変換工程では、前記第1配線パターンの電気抵抗と前記第2配線パターンの電気抵抗との差分が基準値内に収まるように前記基板設計データが前記3Dプリントデータに変換される、
ことを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項11】
配線データを含む基板設計データから3Dプリンタによってプリント基板を製造するための3Dプリントデータをコンピュータによって生成するデータ生成方法であって、
前記データ生成方法は、
前記3Dプリンタによって、前記3Dプリントデータに基づいて前記配線データに対応する第1配線パターンを含む前記プリント基板を製造するための情報として前記第1配線パターンを構成する第1導電材料を示す第1情報を取得する第1取得工程と、
フォトリソグラフィ工程を含む製造工程によって、前記基板設計データから生成されたプリント基板データに基づいて前記配線データに対応する第2配線パターンを含む第2プリント基板を製造するための情報として前記第2配線パターンを構成する第2導電材料を示す第2情報を取得する第2取得工程と、
前記第1導電材料で構成される前記第1配線パターンの電気特性と前記第2導電材料で構成される前記第2配線パターンの電気特性との差が低減されるように、前記第1情報および前記第2情報に基づいて、前記基板設計データを前記3Dプリントデータに変換する変換工程と、
を含むことを特徴とするデータ生成方法。
【請求項12】
前記第1導電材料の導電率が前記第2導電材料の導電率より高い場合に、前記変換工程では、前記配線データによって表現される配線パターンよりも断面積が小さい配線パターンが前記第1配線パターンとして形成されるように前記基板設計データが前記3Dプリントデータに変換される、
ことを特徴とする請求項11に記載のデータ生成方法。
【請求項13】
前記変換工程では、前記配線データによって表現される配線パターンにスリットが設けられた配線パターンが前記第1配線パターンとして形成されるように前記基板設計データが前記3Dプリントデータに変換される、
ことを特徴とする請求項12に記載のデータ生成方法。
【請求項14】
前記変換工程では、前記配線データによって表現される配線パターンよりも厚さが薄い配線パターンが前記第1配線パターンとして形成されるように前記基板設計データが前記3Dプリントデータに変換される、
ことを特徴とする請求項12に記載のデータ生成方法。
【請求項15】
前記変換工程では、前記第1配線パターンの電気抵抗と前記第2配線パターンの電気抵抗との差分が基準値内に収まるように前記基板設計データが前記3Dプリントデータに変換される、
ことを特徴とする請求項11乃至14のいずれか1項に記載のデータ生成方法。
【請求項16】
請求項11乃至15のいずれか1項に記載のデータ生成方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板の製造方法、データ生成方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板は、絶縁層の表面に導電層を形成し、その導電層をフォトリソグラフィ工程によってパターニングすることによって製造されうる。多層のプリント基板は、配線パターンが形成された複数の基板を積層して積層構造を形成し、その積層構造にドリルで穴を開け、穴の中に導電体を充填しまたは導電膜を形成することによって形成されうる。このように、従来の一般的なプリント基板の製造プロセスは、多数の工程からなるので、プリント基板の製造に長時間を要するとともに多額の費用を要する。また、設計変更の必要性が生じると、製品の出荷が大幅に遅延しうる。特許文献1には、3Dプリンタで多層基板を製造することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-135933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
3Dプリンタは、少量製品の製造および製品の試作において有利である一方で、量産には不向きである。そこで、製品の試作段階では3Dプリンタを使ってプリント基板を製造し、その後の量産段階ではフォトリソグラフィ工程(以下、従来工程)を含む製造工程でプリント基板を製造することが考えられる。しかしながら、3Dプリンタを使って製造されたプリント基板と従来工程で製造されたプリント基板とは、電気特性が異なりうる。例えば、銅インクを使って3Dプリンタで形成される配線パターンの電気抵抗と、従来工程で形成される銅の配線パターンの電気抵抗とは異なりうる。その一因は、3Dプリンタで形成される配線パターンの密度が従来工程で形成される銅の配線パターンの密度より小さいことにあるかもしれない。そこで、試作段階では、銅よりも導電率が優れている銀インクを使って3Dプリンタで配線パターンを形成し、その後の量産段階では従来工程で銅の配線パターンを形成することが考えられる。
【0005】
しかしながら、一般に、銀インクを使って3Dプリンタで形成される配線パターンの電気抵抗は、従来工程で形成される銅の配線パターンの電気抵抗よりも小さい。これにより、試作段階では良好な性能を発揮する製品が量産段階では性能が低下したり、動作しなかったりしうる。これでは試作を行うことの利益が削がれてしまう。
【0006】
本発明は、上記の課題認識に基づいてなされたものであり、3Dプリンタを使った試作からフォトリソグラフィ工程を含む製造工程による量産への移行を円滑に行うために有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面は、プリント基板の製造方法に係り、前記製造方法は、配線データを含む基板設計データから3Dプリントデータを生成するデータ生成工程と、前記3Dプリントデータに基づいて、3Dプリンタによって、前記配線データに対応する第1配線パターンを含む第1プリント基板を製造する第1製造工程と、前記基板設計データから生成されたプリント基板データに基づいて、フォトリソグラフィ工程を含む製造工程によって、前記配線データに対応する第2配線パターンを含む第2プリント基板を製造する第2製造工程と、を含み、前記第1配線パターンは、第1導電材料で構成され、前記第2配線パターンは、前記第1導電材料とは異なる第2導電材料で構成され、前記データ生成工程では、前記第1導電材料で構成される前記第1配線パターンの電気特性と前記第2導電材料で構成される前記第2配線パターンの電気特性との差が低減されるように、前記第1導電材料を示す第1情報および前記第2導電材料を示す第2情報に基づいて、前記基板設計データから前記3Dプリントデータが生成される。
【0008】
本発明の第2の側面は、プリント基板の製造方法に係り、前記製造方法は、配線データを含む基板設計データから3Dプリンタによってプリント基板を製造するための3Dプリントデータを生成するデータ生成工程と、前記3Dプリントデータに基づいて前記プリント基板を製造する製造工程と、を含み、前記データ生成工程は、前記3Dプリンタによって、前記3Dプリントデータに基づいて前記配線データに対応する第1配線パターンを含む前記プリント基板を製造するための情報として前記第1配線パターンを構成する第1導電材料を示す第1情報を取得する第1取得工程と、フォトリソグラフィ工程を含む製造工程によって、前記基板設計データから生成されたプリント基板データに基づいて前記配線データに対応する第2配線パターンを含む第2プリント基板を製造するための情報として前記第2配線パターンを構成する第2導電材料を示す第2情報を取得する第2取得工程と、前記第1導電材料で構成される前記第1配線パターンの電気特性と前記第2導電材料で構成される前記第2配線パターンの電気特性との差が低減されるように、前記第1情報および前記第2情報に基づいて、前記基板設計データを前記3Dプリントデータに変換する変換工程と、を含む。
【0009】
本発明の第3の側面は、配線データを含む基板設計データから3Dプリンタによってプリント基板を製造するための3Dプリントデータをコンピュータによって生成するデータ生成方法に係り、前記データ生成方法は、前記3Dプリンタによって、前記3Dプリントデータに基づいて前記配線データに対応する第1配線パターンを含む前記プリント基板を製造するための情報として前記第1配線パターンを構成する第1導電材料を示す第1情報を取得する第1取得工程と、フォトリソグラフィ工程を含む製造工程によって、前記基板設計データから生成されたプリント基板データに基づいて前記配線データに対応する第2配線パターンを含む第2プリント基板を製造するための情報として前記第2配線パターンを構成する第2導電材料を示す第2情報を取得する第2取得工程と、前記第1導電材料で構成される前記第1配線パターンの電気特性と前記第2導電材料で構成される前記第2配線パターンの電気特性との差が低減されるように、前記第1情報および前記第2情報に基づいて、前記基板設計データを前記3Dプリントデータに変換する変換工程と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、3Dプリンタを使った試作からフォトリソグラフィ工程を含む製造工程による量産への移行を円滑に行うために有利な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態のプリント基板の製造方法を示す図。
図2】本発明の一実施形態のプリント基板の製造方法を実施するために好適な製造システムの構成例を示す図。
図3】データ生成工程の詳細を例示する図。
図4】基板設計データ(a)、3Dプリントデータ(第1プリント基板)(b)、プリント基板データ(第2プリント基板)(c)を模式的に示す図。
図5】基板設計データにおける配線データによって表現される配線パターンを模式的に示す図。
図6】基板設計データの配線データからデータ生成工程の変換工程で生成される第1配線パターンデータによって表現される第1配線パターンの一例を模式的に示す図。
図7】基板設計データの配線データからデータ生成工程の変換工程で生成される第1配線パターンデータによって表現される第1配線パターンの他の例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明のその例示的な実施形態を通して説明する。
【0013】
図1には、本発明の一実施形態のプリント基板の製造方法10が示されている。
製造方法10は、配線データを含む基板設計データを生成する設計工程S100を含みうるが、設計工程S100は、任意的な工程であり、設計工程S100の代わりに、既に準備された基板設計データを取得してもよい。設計工程S100では、例えば、設計支援プログラム(コンピュータプログラム)が組み込まれたコンピュータによって構成されるCADツールによってプリント基板が設計され、これにより基板設計データが生成されうる。
【0014】
製造方法10は、配線データを含む基板設計データから3Dプリントデータを生成するデータ生成工程S110を含みうる。データ生成工程S110の詳細については、後述する。3Dプリントデータは、プリント基板が製造されるように3Dプリンタを制御するデータである。
【0015】
製造方法10は、データ生成工程S110で生成された3Dプリントデータに基づいて、3Dプリンタによって、配線データに対応する第1配線パターンを含む第1プリント基板を製造する第1製造工程S120を含みうる。
【0016】
製造方法10は、第1製造工程S120で製造された第1プリント基板を評価する評価工程S130を含みうる。評価工程S130では、例えば、第1プリント基板が目標仕様に適合しているか否かが評価されうる。第1プリント基板が目標仕様に適合していない場合には、設計工程S100に戻って、設計変更がなされうる。一方、第1プリント基板が目標仕様に適合している場合には、第2製造工程S140が実行されうる。
【0017】
第2製造工程S140では、基板設計データから生成されたプリント基板データに基づいて、フォトリソグラフィ工程を含む製造工程によって、配線データに対応する第2配線パターンを含む第2プリント基板が製造される。第1製造工程S120は、製品の試作に好適であり、第2製造工程S140は、製品の量産に好適である。
【0018】
3Dプリンタを使って第1製造工程S120で製造される第1プリント基板の第1配線パターンは、第1導電材料(例えば、銀)で構成されうる。フォトリソグラフィ工程を含む第2製造工程S140で製造される第2プリント基板の第2配線パターンは、第1導電材料とは異なる第2導電材料(例えば、銅)で構成されうる。データ生成工程S110では、第1導電材料で構成される第1配線パターンの電気特性と第2導電材料で構成される第2配線パターンの電気特性との差が低減されるように、基板設計データから3Dプリントデータが生成されうる。
【0019】
図2には、図1に示されたプリント基板の製造方法を実施するために好適な製造システム200の構成例が示されている。製造システム200は、コンピュータ210と、3Dプリンタ220と、リソグラフィ系製造設備230とを備えうる。3Dプリンタ220は、3Dプリント技術によって第1プリント基板271を製造する。リソグラフィ系製造設備230は、フォトリソグラフィ工程を含む製造工程によって第2プリント基板272を製造する。
【0020】
コンピュータ210には、例えば、設計工程S100を実行する設計支援プログラム(コンピュータプログラム)212、および、データ生成工程S110を実行するデータ生成プログラム(コンピュータプログラム)214が組み込まれている。設計支援プログラム212は、設計工程S100を実行する装置としてコンピュータ210を動作させる。データ生成プログラム214は、データ生成工程S110を実行する装置としてコンピュータ210を動作させる。
【0021】
設計工程S100を実行する設計支援プログラム212によって、配線データを含む基板設計データ251が生成されうる。データ生成工程S110を実行するデータ生成プログラム214によって、配線データを含む基板設計データ251から3Dプリントデータ261が生成されうる。また、データ生成工程S110を実行するデータ生成プログラム214によって、配線データを含む基板設計データ251から、第2プリント基板272が製造されるようにリソグラフィ系製造設備230を制御するためのプリント基板データ262が生成されうる。データ生成工程S110を実行するデータ生成プログラム214は、第1プリント基板271における第1導電材料で構成される第1配線パターンの電気特性と第2プリント基板272における第2導電材料で構成される第2配線パターンの電気特性との差が低減されるように基板設計データ251から3Dプリントデータ261を生成しうる。
【0022】
図4(a)には、配線データICDを含む複数の配線データを有する基板設計データ251が視覚化された図が示されている。図4(b)には、配線データICDに対応する第1配線パターンIC1を含む3Dプリントデータ261が視覚化された図、または、配線データICDに対応する第1配線パターンIC1を含む第1プリント基板271が模式化された図が示されている。図4(c)には、配線データICDに対応する第2配線パターンIC2を含むプリント基板データ262が視覚化された図、または、配線データICDに対応する第2配線パターンIC2を含む第2プリント基板272が模式化された図が示されている。
【0023】
前述のように、第1プリント基板271における第1導電材料で構成される第1配線パターンIC1の電気特性と第2プリント基板272における第2導電材料で構成される第2配線パターンIC2の電気特性との差が低減されるように、基板設計データ251から3Dプリントデータ261が製造される。よって、3Dプリントデータ261(第1プリント基板271)の第1配線パターンIC1の形状あるいは構造とプリント基板データ262(第2プリント基板272)の第2配線パターンIC2の形状あるいは構造とは互いに相違している。
【0024】
図3には、データ生成工程S110の詳細が例示されている。工程S310では、データ生成プログラム214に従って動作するコンピュータ210は、基板設計データ251を取得する。工程S320(第1取得工程)では、データ生成プログラム214に従って動作するコンピュータ210は、3Dプリンタ220によって、3Dプリントデータ261に基づいて第1配線パターンIC1を含む第1プリント基板271を製造するための情報として第1配線パターンIC1を構成する第1導電材料を示す第1情報を取得する。工程S330(第2取得工程)では、データ生成プログラム214に従って動作するコンピュータ210は、フォトリソグラフィ工程を含む製造工程によって、プリント基板データ262に基づいて第2配線パターンIC2を含む第2プリント基板272を製造するための情報として第2配線パターンIC2を構成する第2導電材料を示す第2情報を取得する。
【0025】
工程S340(変換工程)では、データ生成プログラム214に従って動作するコンピュータ210は、第1導電材料で構成される第1配線パターンIC1の電気特性と2導電材料で構成される第2配線パターンIC2の電気特性との差が低減されるように、第1情報および第2情報に基づいて、基板設計データ251を3Dプリントデータ261に変換する。基板設計データ251を3Dプリントデータ261に変換することは、基板設計データ251に基づいて3Dプリントデータ261に生成することでもある。
【0026】
図5図6図7を参照しながら、工程S340(変換工程)において基板設計データ251を3Dプリントデータ261に変換する処理における配線データICDから第1配線パターンIC1への変換例を説明する。この例では、3Dプリンタ220で製造される第1プリント基板271の第1配線パターンIC1の材料(第1情報によって特定される材料)である第1導電材料は銀(Ag)であるものとする。また、リソグラフィ系製造設備230で製造される第2プリント基板272の第2配線パターンIC2の材料(第2情報によって特定される材料)である第2導電材料は銅(Cu)であるものとする。ここで、第1導電材料の導電率は、第2導電材料の導電率より高い。
【0027】
図5(a)、(b)には、基板設計データ251における配線データICDによって表現される配線パターンの例が示されている。図6(a)、(b)には、基板設計データ251の配線データICDからデータ生成工程S110の変換工程S340で生成される第1配線パターンデータによって表現される第1配線パターンIC1の一例が示されている。図7(a)、(b)には、基板設計データ251の配線データICDから生成される第1配線パターンデータによって表現される第1配線パターンIC1の他の例が示されている。図5(a)、図6(a)、図7(a)はレイアウト図であり、図5(b)、図6(b)、図7(b)は断面図である。
【0028】
図6(a)、(b)に示された例では、データ生成工程S110の変換工程S340で生成される第1配線パターンIC1にスリットSLが設けられている。つまり、データ生成工程S110の変換工程S340では、基板設計データ251の配線データICDによって表現される配線パターンにスリットSLが設けられた配線パターンが第1配線パターンIC1として形成されるように、3Dプリントデータ261が生成される。これは、基板設計データ251の配線データICDによって表現される配線パターンよりも断面積が小さい配線パターンが第1配線パターンIC1として形成されるように3Dプリントデータ261が生成される一例である。
【0029】
図7(a)、(b)に示された他の例では、データ生成工程S110の変換工程S340で生成される第1配線パターンIC1の厚さが配線データICDの厚さよりも薄くなっている。つまり、データ生成工程S110の変換工程S340では、基板設計データ251の配線データICDによって表現される配線パターンよりも厚さが薄い配線パターンが第1配線パターンIC1として形成されるように、3Dプリントデータ261が生成される。これは、基板設計データ251の配線データICDによって表現される配線パターンよりも断面積が小さい配線パターンが第1配線パターンIC1として形成されるように3Dプリントデータ261が生成される他の例である。
【0030】
以上の例を別の観点で表現すると、データ生成工程S110の変換工程S340では、第1配線パターンIC1の電気抵抗と第2配線パターンIC2の電気抵抗との差分が基準値内に収まるように3Dプリントデータ261が生成される。
【0031】
以上のように、本実施形態によれば、3Dプリンタを使って製造される第1プリント基板271の第1配線パターンIC1の電気特性とリソグラフィ系製造設備を使って製造される第2プリント基板272の第2配線パターンIC2の電気特性の差が小さくされる。したがって、本実施形態は、3Dプリンタを使った試作からフォトリソグラフィ工程を含む製造工程による量産への移行を円滑に行うために有利である。
【符号の説明】
【0032】
ICD:配線データ、IC1:第1配線パターン、IC2:第2配線パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7