(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-20
(45)【発行日】2022-04-28
(54)【発明の名称】掘削方法及び掘削装置
(51)【国際特許分類】
E21B 7/00 20060101AFI20220421BHJP
E02D 13/04 20060101ALI20220421BHJP
E21B 19/24 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
E21B7/00 A
E02D13/04
E21B19/24
(21)【出願番号】P 2018126284
(22)【出願日】2018-07-02
【審査請求日】2020-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】515277300
【氏名又は名称】ジャパンパイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 昌章
(72)【発明者】
【氏名】米澤 一雄
(72)【発明者】
【氏名】亀山 健一
(72)【発明者】
【氏名】高田 麻父
(72)【発明者】
【氏名】永沼 信人
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-014513(JP,A)
【文献】特開昭61-221486(JP,A)
【文献】特許第6192085(JP,B1)
【文献】特開平06-221077(JP,A)
【文献】特開2001-248375(JP,A)
【文献】特開平08-284571(JP,A)
【文献】特開2000-328863(JP,A)
【文献】米国特許第06238142(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 7/00
E02D 13/04
E21B 19/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地表部の上方に設けられた構台上に設置された作業機本体を有するアースオーガ掘削機を利用して
前記地表部に縦穴を掘削する掘削方法であって、
オーガスクリューを昇降可能に支持するリーダを、前記
構台上に設置するリーダ設置工程と、
前記オーガスクリューを前記リーダに沿って下降させ、前記地表部に縦穴を掘削する掘削工程と、を備え、
前記掘削工程は、
中空筒状の筒部を有するガイド治具を前記地表部に設置する工程と、
前記ガイド治具における前記地表部に接する地表接地部を、前記地表部に対して押圧する工程と、
前記ガイド治具の前記筒部内に前記オーガスクリューを挿入する工程と、
を有する掘削方法。
【請求項2】
前記オーガスクリューによって前記地表部に所定長さの縦穴を掘削した後、前記地表接地部への押圧を解除して前記ガイド治具を撤去し、前記オーガスクリューによる縦穴の掘削を再開するガイド治具撤去工程をさらに備える請求項1に記載の掘削方法。
【請求項3】
アースオーガ掘削機を利用して地表部に縦穴を掘削する掘削装置であって、
前記地表部の上方に設けられた構台上に設置された前記アースオーガ掘削機の作業機本体と、
前記地表部に縦穴を掘削するオーガスクリューと、
前記オーガスクリューを昇降可能に支持し、
前記構台上に設置されるリーダと、
前記オーガスクリューが挿入される中空筒状の筒部と、前記筒部の外周面に結合され前記地表部に接する地表接地部と、を有するガイド治具と、
前記ガイド治具の前記地表接地部を前記地表部に対して押圧する押圧手段と、
を備える掘削装置。
【請求項4】
地表部に縦穴を掘削する掘削装置であって、
前記地表部に縦穴を掘削するオーガスクリューと、
前記オーガスクリューを昇降可能に支持し、前記地表部の上方に所定距離離間して設置されるリーダと、
前記オーガスクリューが挿入される中空筒状の筒部と、前記筒部の外周面に結合され前記地表部に接する地表接地部と、を有するガイド治具と、
前記ガイド治具の前記地表接地部を前記地表部に対して押圧する押圧手段と、
前記地表部と前記リーダとの間に設けられ、前記オーガスクリューが挿通する開口部が形成された構台と、
前記構台の前記開口部を覆うように前記構台上に設置され、前記オーガスクリューが挿通する開口部が形成された架台と、
を備える掘削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アースオーガ掘削機を利用して地表部に縦穴を掘削する掘削方法及び掘削装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築物等を構築する際には、アースオーガ掘削機を用いて地表部に縦穴を掘削した後、縦穴に杭が施工される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アースオーガ掘削機を用いて地表部に縦穴を掘削する場合において、地表部の作業スペースが限られている場合には、地表部にアースオーガ掘削機を設置し、地表部に縦穴を掘削する作業は困難なものとなる。
【0005】
例えば、古い建物を解体して新しい建物を建て直す場合において、特に都市部においては地下階のある建物を解体することがある。この場合には、古い建物の解体の際に地下階を残し、その地下階の壁を土留壁として再利用して新しい建物が施工されることが多い。このようなケースでは、新しい建物を施工するにあたり、杭の施工地盤は地下階の地表部となる。
【0006】
しかし、地下階はスペースが狭く、また、地下階の壁の土留めとして対向する壁の間にわたって切梁が掛け渡されることがあるため、地下階の作業スペースは限られている。そのため、地下階の地表部にアースオーガ掘削機を設置し、地表部に縦穴を掘削する作業は困難で所望の鉛直精度を実現できないおそれがある。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、地表部への縦穴の掘削作業性に優れ、所望の鉛直精度を実現できる掘削方法及び掘削装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、地表部の上方に設けられた構台上に設置された作業機本体を有するアースオーガ掘削機を利用して前記地表部に縦穴を掘削する掘削方法であって、オーガスクリューを昇降可能に支持するリーダを、前記構台上に設置するリーダ設置工程と、前記オーガスクリューを前記リーダに沿って下降させ、前記地表部に縦穴を掘削する掘削工程と、を備え、前記掘削工程は、中空筒状の筒部を有するガイド治具を前記地表部に設置する工程と、前記ガイド治具における前記地表部に接する地表接地部を、前記地表部に対して押圧する工程と、前記ガイド治具の前記筒部内に前記オーガスクリューを挿入する工程と、を有する。
【0009】
また、本発明は、アースオーガ掘削機を利用して地表部に縦穴を掘削する掘削装置であって、前記地表部の上方に設けられた構台上に設置された前記アースオーガ掘削機の作業機本体と、前記地表部に縦穴を掘削するオーガスクリューと、前記オーガスクリューを昇降可能に支持し、前記構台上に設置されるリーダと、前記オーガスクリューが挿入される中空筒状の筒部と、前記筒部の外周面に結合され前記地表部に接する地表接地部と、を有するガイド治具と、前記ガイド治具の前記地表接地部を前記地表部に対して押圧する押圧手段と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、リーダが地表部の上方に設置された状態で、地表部に設置されたガイド治具に挿入されるオーガスクリューによって地表部に縦穴が掘削されるため、所望の鉛直精度で縦穴を掘削できる。さらに、作業スペースの限られた地表部にはリーダが設置されないため、地表部への縦穴の掘削作業性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る掘削装置によって地表部に縦穴を掘削している状態を示す図である。
【
図2】
図1におけるガイド治具近傍の拡大断面図である。
【
図3】本発明の実施形態の変形例における架台の斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態の変形例に係る掘削装置によって地表部に縦穴を掘削している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る掘削装置100について説明する。
【0013】
建築物等を構築する際には、地表部1に縦穴2を掘削した後、縦穴2に杭が施工される。掘削装置100は、アースオーガ掘削機10を利用して地表部1に縦穴2を掘削する装置である。
【0014】
図1及び2を参照して、掘削装置100について説明する。
図1は掘削装置100によって地表部1に縦穴2を掘削している状態を示す図であり、
図2は
図1におけるガイド治具40近傍の拡大断面図である。
【0015】
アースオーガ掘削機10は、ブーム11を有する走行可能な作業機本体12と、ブラケット13を介してブーム11の先端に回動自在に連結されたリーダ14と、リーダ14に沿って昇降可能なアースオーガ20と、を備える。
【0016】
作業機本体12は、クローラ式の走行体12aと、運転席を有し走行体12aに対して旋回可能に搭載された旋回体12bと、を有する。ブーム11は、ブームシリンダ16に支持されて旋回体12bに設けられる。ブームシリンダ16が伸縮作動することによって、ブーム11は上下動する。
【0017】
アースオーガ20は、地表部1に縦穴2を掘削するオーガスクリュー21と、オーガスクリュー21を回転駆動する駆動装置22と、を有する。
【0018】
駆動装置22は、油圧モータや減速機等を有し、油圧モータの回転トルクをオーガスクリュー21に伝達する。駆動装置22は、リーダ14に設けられたウインチ17から繰り出されるワイヤ18によって吊り下げられ、支持片22aを介してリーダ14に沿って昇降する。このように、オーガスクリュー21は、駆動装置22を介してリーダ14に昇降可能に支持される。
【0019】
オーガスクリュー21は、軸部23と、軸部23の外周に形成された螺旋状の切削羽根24と、軸部23の下端部に設けられた先鋭な部分25と、を有する。
【0020】
駆動装置22を駆動してオーガスクリュー21を回転させることによって、駆動装置22及びオーガスクリュー21の自重により駆動装置22がリーダ14に沿って下降し、地表部1に縦穴2が掘削される。
【0021】
オーガスクリュー21は、リーダ14の下端側に設けられた筒状のガイド26を挿通する。ガイド26は、オーガスクリュー21の回転時にオーガスクリュー21の下降を案内してオーガスクリュー21の振れを防止する。
【0022】
本実施形態では、
図1に示すように、アースオーガ掘削機10を利用して地下階3の地表部1aに縦穴2を掘削する場合について説明する。地下階3のある古い建物を解体して新しい建物を建て直す場合には、古い建物の解体の際に地下階3を残し、地下階3の壁3aを土留壁として再利用して新しい建物が施工されることが多い。このようなケースでは、新しい建物を施工するにあたり、杭の施工地盤は地下階3の地表部1aとなる。
【0023】
しかし、地下階3はスペースが狭く、また、地下階3の壁3aの土留めとして対向する壁3aの間にわたって切梁4が掛け渡されることがあるため、地下階3の作業スペースは限られている。そのため、地下階3の地表部1aにアースオーガ掘削機10の作業機本体12やリーダ14を設置して地表部1aに縦穴2を掘削する作業は、スペース上の問題から困難である。
【0024】
そこで、本実施形態では、アースオーガ掘削機10の作業機本体12及びリーダ14は、地下階3の地表部1aではなく、地表部1aの上方の地上階に設置して、地下階3の地表部1aへの縦穴2の掘削が行われる。以下に詳しく説明する。
【0025】
古い建物の解体が終わって新しい建物を施工する場合には、
図1に示すように、作業用の構台として仮設のステージ5が地上階に掛け渡される。ステージ5は、複数の覆工板5a(
図3参照)からなり、地下階3の地表部1aに立設する複数の支柱6によって支持される。
【0026】
アースオーガ掘削機10の作業機本体12は、ステージ5上に設置される。また、リーダ14は、その下端部がステージ5上に設置されて鉛直に立設する。一方、オーガスクリュー21は、ステージ5に形成された開口部5bを挿通して地下階3の地表部1aへと延びる。つまり、アースオーガ掘削機10のうち、作業スペースが限られている地下階3には、オーガスクリュー21のみが配置される。すなわち、リーダ14は、地表部1aとは異なる高さに設置される。
【0027】
この結果として、リーダ14は、オーガスクリュー21によって縦穴2が掘削される地表部1aの上方に所定距離離間して設置されることになる。このように、リーダ14が設置される位置と、オーガスクリュー21による掘削位置とに高低差がある場合には、オーガスクリュー21におけるガイド26から地表部1aまでの長さが長くなるため、特に掘削初期の段階では、オーガスクリュー21の先端側が振れてしまい、掘削作業が安定しない。したがって、所望の鉛直精度で縦穴を掘削できないおそれがある。
【0028】
そこで、本実施形態では、掘削装置100は、地下階3の地表部1aに設置されオーガスクリュー21の先端側の振れを防止するためのガイド治具40を備える。
【0029】
図2に示すように、ガイド治具40は、オーガスクリュー21が挿入される中空円筒状の円筒部41と、円筒部41の外周面に結合され地表部1aに接する地表接地部42と、を有する。ガイド治具40は鋼製であり、地表接地部42は円筒部41の外周面に溶接等によって結合される。
【0030】
円筒部41は、内径がオーガスクリュー21の切削羽根24の外径よりも僅かに大きく形成され、オーガスクリュー21の回転時に、円筒部41の内周面によってオーガスクリュー21の下降が案内される。これにより、オーガスクリュー21の先端側の振れが防止される。
【0031】
円筒部41の内周面と切削羽根24の最外周との間には、僅かな隙間が存在する。これにより、円筒部41と切削羽根24の間への土砂の噛み込みが防止される。円筒部41の内径(隙間の長さ)や軸方向の長さは、縦穴2の所望の鉛直精度や切削羽根24の外径等に応じて適宜調整される。
【0032】
地表接地部42は板材であり、地表接地部42の裏面42aは地表部1aに面接触する。裏面42aには、地表部1aに食い込むような突起は設けられておらず、ガイド治具40は地表部1aに載置されるだけであって、地表部1aに固定されない。したがって、地表部1aへのガイド治具40の位置決めが容易であり、また、他の位置へのガイド治具40の移動も容易である。
【0033】
ガイド治具40は、設置作業と移動作業の利便性を考慮して地表部1aに固定されないため、オーガスクリュー21による掘削時には、掘削に伴う振動等により、地表部1a上で移動してしまうおそれがある。
【0034】
そこで、掘削装置100は、ガイド治具40の地表接地部42を地表部1aに対して押圧する押圧手段として、油圧ショベル50を備える。油圧ショベル50のバケット51を地表接地部42の表面42bに押し当てることによって、地表接地部42は地表部1aに対して押圧される。これにより、オーガスクリュー21による掘削時におけるガイド治具40の移動を防止することができる。
【0035】
地下階では、縦穴2の掘削作業の他に様々な作業が行われ、それらの作業に油圧ショベル50が用いられる。この油圧ショベル50が、ガイド治具40の地表接地部42を押圧する手段として利用される。油圧ショベル50は、地下階3での移動性を考慮して小型のものが用いられる。油圧ショベル50のバケット51によって地表接地部42を地表部1aに対して押圧する代わりに、油圧ショベル50自体を地表接地部42上に乗せるようにしてもよい。また、押圧手段は、地表接地部42を地表部1aに対して押圧できるものであればよく、油圧ショベル50には限定されない。例えば、ガイド治具40に着脱可能な錘でもよい。錘を用いた場合には、油圧ショベルにて錘を着脱する。
【0036】
次に、
図1及び2を参照して、アースオーガ掘削機10を利用して地表部1aに縦穴2を掘削する掘削方法について説明する。
【0037】
<リーダ設置工程>
リーダ14をステージ5上に鉛直に設置する。このように、リーダ14は、掘削される地表部1aの上方に所定距離離間して設置される。
【0038】
<掘削工程>
地表部1aにおける予め定められた位置に、ガイド治具40を設置する。つまり、ガイド治具40の位置決めが行われる。具体的には、縦穴2を掘削する位置に杭を事前に打ち、その杭の中心と円筒部41の中心とが一致するように、ガイド治具40を設置する。この際、ガイド治具40は、地表部1aに載置されるだけであり、固定されない。
【0039】
次に、油圧ショベル50のバケット51によって、ガイド治具40の地表接地部42を地表部1aに対して押圧する。これにより、ガイド治具40は地表部1aに対して固定される。
【0040】
次に、ウインチ17を駆動することによって、オーガスクリュー21を、リーダ14に沿って下降させてステージ5の開口部5bを挿通させ、ガイド治具40の円筒部41内に挿入する。
【0041】
次に、駆動装置22を駆動してオーガスクリュー21を回転させることによって、地表部1に縦穴2を掘削する。リーダ14が地表部1aの上方に所定距離離間して設置された状態で地表部1aへの掘削が行われるが、オーガスクリュー21はガイド治具40の円筒部41によって案内されて下降するため、掘削初期の段階であっても、オーガスクリュー21の振れが防止される。なお、リーダは、掘削対象の地表部に直接設置することが一般的であるが、本発明では、リーダ14は掘削対象の地表部1aから所定距離離間して設定される。
【0042】
本実施形態では、作業者によるアースオーガ掘削機10の操作はステージ5上に設置された作業機本体12の運転席で行われるのに対して、縦穴2の掘削はステージ5の下方で行われるため、アースオーガ掘削機10を操作する作業者は、掘削の状況を目視することができない。そこで、アースオーガ掘削機10を操作する作業者が掘削の状況を目視できるように、地表部1aにカメラを配置して掘削部周辺を撮影し、その撮影画像を運転席に設けられたモニタに表示するようにしてもよい。
【0043】
<ガイド治具撤去工程>
オーガスクリュー21によって地表部1aに所定長さの縦穴2を掘削した後、一旦、オーガスクリュー21の回転を停止して掘削を中断する。そして、油圧ショベル50のバケット51による地表接地部42への押圧を解除し、ウインチ17を駆動してワイヤ18を巻き上げることによって、オーガスクリュー21を上昇させ円筒部41から引き抜く。その後、ガイド治具40を撤去し、オーガスクリュー21による縦穴2の掘削を再開して、さらに縦穴2を掘り進める。
【0044】
ガイド治具40の撤去は、油圧ショベル50に設けられたフック52を円筒部41に形成された径止部41a(
図2参照)に係止して、ガイド治具40を吊り上げることによって行われる。ガイド治具40は地表部1aに固定されていないため、ガイド治具40の撤去作業を容易に行うことができる。
【0045】
このように、縦穴2の掘削を中断してガイド治具40を撤去するようにしたのは、オーガスクリュー21の振れによる掘削作業が安定しないのは、主に掘削初期の段階であり、縦穴2がある程度の長さまで達した場合には、縦穴2自体がオーガスクリュー21のガイドとして機能してオーガスクリュー21の振れは大きな問題とならないためである。また、ガイド治具40を設置したまま、オーガスクリュー21による縦穴2の掘削を継続した場合には、掘削によって発生した土砂の排出能力がやや低下するためである。
【0046】
ガイド治具40は縦穴2の掘削の途中で撤去されるため、縦穴2の掘削中に、隣接する縦穴を掘削する位置にガイド治具40を設置することができる。よって、多数の縦穴の掘削に利用するガイド治具40を縦穴と同じ数だけ準備する必要がなく、ガイド治具40の個数を削減することができる。また、ガイド治具40の稼働率を向上させることができる。
【0047】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0048】
地表部1aへの縦穴2の掘削は、アースオーガ掘削機10の作業機本体12及びリーダ14が地表部1aの上方に設置された状態で行われる。このように、作業スペースの限られた地表部1aには、アースオーガ掘削機10の作業機本体12及びリーダ14は設置されない。よって、掘削装置100による地表部1aへの縦穴2の掘削は、作業性に優れる。
【0049】
また、リーダ14が地表部1aの上方に設置された状態で地表部1aへの掘削が行われるが、オーガスクリュー21は地表部1aに設置されたガイド治具40の円筒部41によって案内されて下降するため、オーガスクリュー21の振れが防止される。よって、リーダ14が設置される位置と、オーガスクリュー21による掘削位置とに高低差があるにもかかわらず、所望の鉛直精度で縦穴2を掘削できる。
【0050】
以下に、本実施形態の変形例について説明する。
【0051】
(1)上記実施形態では、リーダ14がステージ5上に直接設置される場合について説明した。しかし、これに代わり、
図3に示す架台60をステージ5上に設置し、架台60を介してリーダ14をステージ5上に設置するようにしてもよい。以下に詳しく説明する。
【0052】
ステージ5は複数の覆工板5aからなるため、オーガスクリュー21が挿通するステージ5の開口部5b(
図1参照)は、覆工板5aを数枚取り外すことによって形成される。このように、ステージ5の開口部5bは、覆工板5aが数枚取り外されることによって形成されるものであるため、大きな開口となってしまう。したがって、ステージ5上での作業は危険なものとなるため、開口部5bの養生が必要となる。
【0053】
この対策として、ステージ5上に開口部5bを覆うようにして架台60が設置される。
【0054】
架台60は、ステージ5の開口部5bの鉛直上方に位置する開口部61を有する。開口部61は、オーガスクリュー21が挿通可能な最小限の大きさに形成される。つまり、開口部61は、ステージ5の開口部5bと比較して開口面積が小さい。したがって、ステージ5上での作業の危険性を極めて低くすることができる。
【0055】
架台60は、ステージ5上に載置される土台62と、土台62上に配置された複数の足場板63と、土台62上に配置され開口部61が形成された板材64と、を有する。土台62は、複数の山留部材62aからなり、隣り合う山留部材62aは連結具としてのシャックル65によって連結される。足場板63は、複数の山留部材62aに渡って配置される。
【0056】
リーダ14は、その下端部が足場板63及び板材64上に設置されて鉛直に立設する。このように、架台60は、ステージ5の開口部5bを養生すると共に、リーダ14を支持する機能を有する。
【0057】
地表部1aへ縦穴2を掘削する際には、縦穴2を掘削する上方の覆工板5aが数枚取り外さて開口部5bが形成され、その開口部5bを覆うようにして架台60が設置される。
【0058】
(2)上記実施形態では、地下階3の地表部1aに縦穴2を掘削する場合について説明した。しかし、縦穴2を掘削する地表部は、地下階の地表部1aに限定されない。例えば、
図4に示すように、山の斜面70に作業用の構台として仮設の桟橋71を設置した上で、アースオーガ掘削機10の作業機本体12及びリーダ14を桟橋71上に設置し、オーガスクリュー21を桟橋71の下方の地表部1bへ向けて下ろし、地表部1bに縦穴2を掘削する形態であってもよい。このように、本発明は、狭隘な谷や河川敷などでアースオーガ掘削機10を設置できない場合にも有効である。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0060】
上述した実施形態では、ガイド治具40が中空円筒状の円筒部41を有する場合について説明したが、この形状に限定されるものではない。円筒部41に代えて、中空矩形状の筒部でもよい。例えば、断面が四角形状や三角形状の筒部でもよい。この場合には、対向する筒部の壁面間の長さが切削羽根24の外径よりも僅かに大きく形成される。一方、角部は切削羽根24との隙間がやや広くなっているため、ガイド治具を設置したまま、オーガスクリュー21による縦穴2の掘削を継続しても、掘削によって発生した土砂を当該隙間から排出することができる。
【符号の説明】
【0061】
100 掘削装置
1,1a,1b 地表部
2 縦穴
3 地下階
5 ステージ(構台)
5b 開口部
10 アースオーガ掘削機
12 作業機本体
14 リーダ
20 アースオーガ
21 オーガスクリュー
22 駆動装置
26 ガイド
40 ガイド治具
41 円筒部
42 地表接地部
50 油圧ショベル
51 バケット
60 架台
61 開口部
71 桟橋(構台)