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特許7061575カプセル、及びそのようなカプセルから飲用可能な飲料を調製するためのシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-20
(45)【発行日】2022-04-28
(54)【発明の名称】カプセル、及びそのようなカプセルから飲用可能な飲料を調製するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/804 20060101AFI20220421BHJP
   A47J 31/06 20060101ALI20220421BHJP
   A47J 31/36 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
B65D85/804 200
A47J31/06 323
A47J31/36 122
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018558269
(86)(22)【出願日】2017-05-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-18
(86)【国際出願番号】 NL2017050301
(87)【国際公開番号】W WO2017196178
(87)【国際公開日】2017-11-16
【審査請求日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】2016779
(32)【優先日】2016-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512164779
【氏名又は名称】コーニンクラケ ダウ エグバート ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】バーテル,レベッカ
(72)【発明者】
【氏名】クリステンセン,デビット ステワート マッキー
(72)【発明者】
【氏名】ヒューゲス,ジェフリー アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン オス,イヴォ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン オプスタル,エドウィン ペトルス エリザベス
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-517639(JP,A)
【文献】特開2016-027892(JP,A)
【文献】米国特許第05798599(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0224319(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/804
A47J 31/06
A47J 31/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル内に加圧下で流体を供給することにより物質を抽出及び/又は溶解することによって飲用可能な飲料を調製するように前記物質を収容しているカプセルであって、前記カプセルは、カプセル本体中心軸線及び全高(TH)を有するアルミニウムカプセル本体を含み、前記アルミニウムカプセル本体は、底部、側壁、及び外向きに延びるフランジを備え、前記カプセルは、前記外向きに延びるフランジに取り付けられたアルミニウム蓋を更に備え、前記蓋は、蓋壁厚を有し、前記カプセルを密封して閉じており、前記カプセルは、前記カプセルの前記外向きに延びるフランジ及び前記カプセルの封止部材の少なくとも一部分とが、飲料調製装置の囲み部材と閉じ部材との間を封止するように、前記カプセルが前記飲料調製装置の前記囲み部材内に位置決めされ、かつ前記囲み部材が前記飲料調製装置の前記閉じ部材によって閉じられているときに、前記飲料調製装置の前記囲み部材との流体封止接触をもたらす前記封止部材を更に含み、前記飲料調製装置の前記囲み部材は、環状要素中心軸線及び自由接触端を有する環状要素を含む、カプセルにおいて、前記封止部材は、前記カプセル本体上の側面に設けられたアルミニウム製の別個の圧潰可能要素を含み、前記別個の圧潰可能要素は前記アルミニウムカプセル本体との一体成形物ではなく、前記側面は、前記外向きに延びるフランジから見ると、前記蓋とは反対側にあり、前記別個の圧潰可能要素が、ワッシャになるまで圧縮された2つの、各0.3μmの厚さを有するAlホイルから成り、前記ワッシャは、前記蓋とは反対側の、前記外向きに延びるフランジの表面上に配置されており、
前記別個の圧潰可能要素が、10%のAlの有効密度を有するアルミニウム製であり、
前記別個の圧潰可能要素が、前記蓋とは反対側の、前記外向きに延びるフランジの前記表面上に設けられたリングであり、前記リングは、34mmの外径、30mmの内径、1mmの厚さ、及び0.07グラムの質量を有し、前記リングは、前記側壁を囲んでいる、前記カプセル。
【請求項2】
前記ワッシャが、内径を有し、前記カプセルの前記底部に向かって延びるスリーブを備え、前記スリーブは、前記内径に設けられている、請求項に記載のカプセル。
【請求項3】
前記アルミニウムが、等級1000系Alである、請求項1または2に記載のカプセル。
【請求項4】
前記封止部材が、前記側壁及び前記外向きに延びるフランジから取り外し可能に構成されている、請求項1~のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項5】
前記外向きに延びるフランジが、平坦であり、前記カプセル本体中心軸線に対して横方向に延びている、請求項1~のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項6】
前記カプセル内に加圧下で供給された流体を使用して前記カプセルから飲用可能な飲料を調製するためのシステムであって、
請求項1~のいずれか一項に記載のカプセルと、
カプセルを受けるための囲み部材を備えた飲料調製装置であって、前記囲み部材は、カプセル内に加圧下で流体を供給する流体供給手段を含み、前記飲料調製装置は、前記飲料調製装置の前記囲み部材を閉じるための閉じ部材を更に含み、前記飲料調製装置の前記囲み部材は、環状要素中心軸線及び自由接触端を有する環状要素を更に含む、飲料調製装置と、
カプセルの封止部材であって、前記カプセルの外向きに延びるフランジ及びカプセルの封止部材の少なくとも一部分とが、飲料調製装置の前記囲み部材と前記閉じ部材との間の封止をもたらすように、前記カプセルが前記飲料調製装置の前記囲み部材内に位置決めされ、かつ前記囲み部材が前記飲料調製装置の前記閉じ部材によって閉じられているときに、前記飲料調製装置の前記囲み部材との流体封止接触をもたらすように配置されている、前記カプセルの封止部材と、を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル内に加圧下で流体を供給することにより物質を抽出及び/又は溶解することによって飲用可能な飲料を調製するように物質を収容しているカプセルに関し、カプセルは、カプセル本体中心軸線及び全高を有するアルミニウムカプセル本体を含み、このアルミニウムカプセル本体は、底部、側壁、及び外向きに延びるフランジを備え、カプセルは、外向きに延びるフランジに取り付けられたアルミニウム蓋を更に備え、蓋は、蓋壁厚を有し、カプセルを密封して閉じており、カプセルは、閉じたカプセルの外向きに延びるフランジ及び閉じたカプセルの封止部材の少なくとも一部分とが、飲料調製装置の囲み部材と閉じ部材との間を封止するように、閉じられたカプセルが飲料調製装置の囲み部材内に位置決めされ、かつ囲み部材が飲料調製装置の閉じ部材、例えば飲料調製装置の抽出プレートによって閉じられているときに、飲料調製装置の囲み部材との流体封止接触をもたらす封止部材を更に含み、飲料調製装置の囲み部材は、環状要素中心軸線及び自由接触端を有する環状要素を含み、この環状要素の自由接触端は、半径方向に延びる複数の開放溝を任意選択的に備える。
【0002】
そのようなカプセルは、欧州特許第EP-B-1 700 548号で公知である。公知のシステムにおいて、カプセルは、段差形状、すなわちカプセルの側壁の直径の急な増加を有する封止部材を備え、そしてこの公知のシステムの囲み部材は、封止部材にたわみを与えるように封止部材に作用する封止表面を有し、この封止表面は、この封止部材のたわみが内側及び下側への段状に変形するように傾けられている。公知のシステムにおいて更に、囲み部材は、カプセルホルダと、囲み部材及びカプセルホルダの相対移動のための手動操作機構又は自動機構と、を備える。手動操作機構又は自動機構は、囲み部材がカプセルホルダ上で閉じるときに、カプセルの封止部材に力を加える。この力は、囲み部材とカプセルとの間の流体密封を保証するべきである。手動操作機構又は自動機構は、ベースに相対的に移動するように配置されているため、システムの封止能力は、流体供給手段によって供給される流体の圧力に依存し得る。流体の圧力が増加すると、カプセルの封止部材と囲み部材の自由端との間の力も増大し、それによりカプセルの封止部材と囲み部材の自由端との間の力もまた増大する。このようなシステムは後で説明される。カプセルの封止部材は、囲み部材内において最大流体圧に到達するときに、封止部材は囲み部材とカプセルとの間に流体封止接触をやはりもたらすべきであるように、配置されていなければならない。しかしながら、封止部材はまた、淹出する前又は淹出開始時に、カプセルの外側での囲み部材内の流体の圧力が比較的低いときに、封止部材がまた、囲み部材とカプセルとの間に流体封止接触をもたらすように、配置されていなければならない。淹出開始時に、カプセルと囲み部材との間に流体封止接触が存在しない場合、漏れが生じるだろう。しかしながら、もし漏れが生じると、手動操作機構又は自動機構が囲み部材をカプセルホルダの方へ移動させるときに、囲み部材の自由端による封止部材への力を増加させるための、囲み部材内及びカプセルの外側の圧力が、十分に上昇しないことが現実に生じ得る。十分な初期封止があるときにのみ、囲み部材内の圧力は増加し、それによりカプセルの封止部材上で作用する囲み部材の自由端の力は増加した流体圧でもまた十分な流体封止接触をもたらすように増加する。更に、カプセルの外側でのこの増加した流体圧はまた、カプセル内部に流体圧の増加をもたらし、この圧力は、カプセルが飲料調製装置のカプセルホルダ(抽出プレートとも呼ばれる)のリリーフ部材上で、カプセル内の流体圧の影響下で裂開するように配置されている蓋を備えている場合には、必須である。
【0003】
上記のことから、封止部材が設計上極めて重要な部材であるということになる。囲み部材の自由端によって比較的小さな力しか封止部材に加えられないときには、比較的低い流体圧で囲み部材とカプセルとの間に流体封止接触をもたらすことができるべきである。しかし、囲み部材の自由端によってカプセルの封止部材により強い力が加えられるとき、カプセルの外側での囲み部材内に遥かに高い流体圧で流体封止接触がもたらされるべきである。特に、囲み部材の自由接触端が半径方向に延びる開放溝(それは空気流入路として働く)を備える場合、使用者がより簡単にカプセルを取り出せるように、いったん囲み部材とカプセルホルダとの間の力が解放され、封止部材はまた、効果的な封止をもたらすために半径方向に延びる開放溝を「閉じる」ことができなければならない。
【0004】
本発明の目的は、比較的製造が簡単で、使用後にカプセルを処分する場合に環境にやさしく、及び/又は自由接触端が半径方向に延びる開放溝を備える囲み部材の場合であっても、囲み部材の自由端によって比較的小さな力しか封止部材に加えられない場合には、比較的低い流体圧(多くの場合、初期封止とも呼ばれる)、及び囲み部材の自由端によってカプセルの封止部材により強い力が加えられる場合(例えば、淹出中)には遥かに高い流体圧、の両方で十分な封止をもたらす、代替の封止部材を有する代替のカプセルを提供することである。
【0005】
本発明では、第1の態様では、カプセル内に加圧下で流体を供給することにより物質を抽出及び/又は溶解することによって飲用可能な飲料を調製するように物質を収容しているカプセルであって、カプセルは、カプセル本体中心軸線及び全高を有するアルミニウムカプセル本体を含み、アルミニウムカプセル本体は、底部、側壁、及び外向きに延びるフランジを備え、カプセルは、外向きに延びるフランジに取り付けられたアルミニウム蓋を更に備え、蓋は、蓋壁厚を有し、カプセルを密封して閉じており、カプセルは、カプセルの外向きに延びるフランジ及びカプセルの封止部材の少なくとも一部分とが、飲料調製装置の囲み部材と閉じ部材との間を封止するように、カプセルが飲料調製装置の囲み部材内に位置決めされ、かつ囲み部材が飲料調製装置の閉じ部材、例えば飲料調製装置の抽出プレートによって閉じられているときに、飲料調製装置の囲み部材との流体封止接触をもたらす封止部材を更に含み、飲料調製装置の囲み部材は、環状要素中心軸線及び自由接触端を有する環状要素を含み、環状要素の自由接触端は、半径方向に延びる複数の開放溝を任意選択的に備える、カプセルにおいて、封止部材は、カプセル本体上の側面に設けられたアルミニウム製の別個の圧潰可能要素を含み、この側面は、外向きに延びるフランジから見ると、蓋とは反対側にあることを特徴とする、カプセルが提供される。封止部材は、カプセル本体上の側面に設けられたアルミニウム製の別個の圧潰可能要素を含み、この側面は、外向きに延びるフランジから見ると、蓋とは反対側にあるため、このカプセル、及び別個の圧潰可能要素は、比較的製造が簡単である。更に、別個の圧潰可能要素によって、囲み部材及び閉じ部材、特に半径方向に延びる開放溝を備えた自由接触端を有する囲み部材に十分な封止をもたらすことができる。加えて、別個の圧潰可能要素は、飲料調製装置の内部でのカプセルの位置決めを容易にすることができる。
【0006】
本出願では、流体封止接触の存在とは、飲料を調製するために囲み部材に供給される流体の総量の0~6%、好ましくは0~4%、より好ましくは0~2.5%が、自由接触端とカプセルとの間の漏れにより漏れ出る場合があることを意味する。
【0007】
カプセルの一実施形態において、カプセルが、飲用可能な飲料の調製のための物質として抽出可能製品を収容し、この抽出可能製品が、好ましくは5~20グラム、好ましくは5~10グラム、より好ましくは5~7グラムの焙煎され挽かれたコーヒーである場合に、本発明は特に有利である。
【0008】
本発明に従う、特に製造が簡単なカプセルの一実施形態では、カプセルの外向きに延びるフランジの外径は、カプセルの底部の直径よりも大きい。好ましくは、外向きに延びるフランジの外径は約37.1mmであり、カプセルの底部の直径は約23.3mmである。
【0009】
カプセルの一実施形態において、アルミニウムカプセル本体の厚さが、カプセルが飲料調製装置の囲み部材内に位置決めされ、かつ囲み部材が飲料調製装置の閉じ部材によって閉じられているときには、簡単に変形されるように、好ましくはアルミニウムカプセル本体の厚さが20~200マイクロメートル、好ましくは100マイクロメートルである場合に、本発明は特に有利である。
【0010】
カプセルの一実施形態では、アルミニウム蓋の蓋壁厚は、15~65マイクロメートル、好ましくは30~45マイクロメートル、最も好ましくは39マイクロメートルである場合に、本発明は特に有利である。
【0011】
本発明に従うカプセルの一実施形態では、アルミニウム蓋の壁厚は、アルミニウムカプセル本体の壁厚よりも薄い。
【0012】
本発明に従うカプセルの更なる実施形態では、アルミニウム蓋は、カプセル内の流体圧の影響下で、飲料調製装置の閉じ部材、例えば飲料調製装置の抽出プレート上で裂開されるように配置されている。
【0013】
本発明に従う、特に製造が簡単なカプセルの一実施形態では、アルミニウムカプセル本体の側壁は、底部とは反対側に自由端を有し、外向きに延びるフランジは、側壁のこの自由端から、少なくとも実質的にカプセル本体中心軸線に対して横方向に延びる。好ましくは、外向きに延びるフランジは湾曲外縁部を含み、これは半径方向に延びる開放溝を備える自由接触端で十分な封止を得るのに有益である。
【0014】
外向きに延びるフランジの湾曲外縁部の内縁部の、カプセル本体中心軸線の周りの半径は、好ましくは、少なくとも32mmであるので、囲み部材の環状端面からのクリアランスが確保される。すると、封止部材が、アルミニウムカプセル本体の側壁の自由端と外向きに延びるフランジの湾曲外縁部の内縁部との間に位置決めされることが、より更に十分な封止を得るために好ましい。
【0015】
湾曲外縁部が、多種多様な、市販の及び将来の飲料調整装置の動作を妨げないことを保証するために、外向きに延びるフランジの湾曲外縁部は、約1.2ミリメートルの最大直径を有する。
【0016】
本発明は、アルミニウムカプセル本体の側壁の自由端の内径が、約29.5mmであるカプセルに特に有益である。アルミニウムカプセル本体の側壁の自由端と外向きに延びるフランジの最外縁部との間の距離は、約3.8ミリメートルであり得る。アルミニウムカプセル本体の好ましい高さは約28.4mmである。
【0017】
使用後に使用者が飲料調製装置からより簡単に取り出せる本発明に従うカプセルの一実施形態では、アルミニウムカプセル本体は切頭形であり、好ましくはアルミニウムカプセル本体の側壁は、カプセル本体中心軸線に直角の線に対して約97.5°の角度を有する。
【0018】
本発明に従うカプセルの有利な実施形態では、アルミニウムカプセル本体の底部は、約23.3mmの最大内径を有する。アルミニウムカプセル本体の底部は切頭形であり、好ましくは約4.0mmの底部高さを有し、底部は蓋に対向して約8.3mmの直径を有する概ね平坦な中心部分を更に有することが好ましい。
【0019】
本発明に従うカプセルの好ましい実施形態では、カプセルは、内側表面を含み、カプセルの少なくとも側壁の内側表面上に、内側コーティングが施されている。特に、カプセルが深絞りによって製造される場合、内側コーティングにより、深絞り成形法が容易になる。カプセルのアルミニウム蓋が、封止ラッカーによって外向きに延びるフランジに取り付けられている場合に、この内側コーティングが封止ラッカーと同一の材料で構成されていると、特に有利である。
【0020】
本発明に従うカプセルの更なる実施形態では、カプセルは、外側表面を含み、カプセルの外側表面上に、色付きラッカーが施される。深絞りを容易にするために、外側表面上に色が施されるのが好ましい。
【0021】
製造が簡単な本発明に従うカプセルの実施形態では、外向きに延びるフランジは、平坦であり、カプセル本体中心軸線に対して横方向に延びている。
【0022】
本発明に従うカプセルの更なる実施形態では、別個の圧潰可能要素は、約10%のAlの有効密度を有するアルミニウム製である。そのような密度を有するアルミニウムは(本明細書ではまたソフトアルミニウムとも称する)、特に囲み部材が半径方向に延びる開放溝を備える場合に、適切な封止をもたらすことができる。
【0023】
本発明に従うカプセルのまた更なる実施形態では、別個の圧潰可能要素は、蓋とは反対側の、外向きに延びるフランジの表面上に設けられたリングであり、このリングは、34mmの外径、30mmの内径、1mmの厚さ、及び約0.07グラムの質量を有し、このリングは、側壁を囲んでいる。そして、外向きに延びるフランジとは反対側のリングの表面上で、リングがAlホイルで被覆されている場合、及び/又はリングと外向きに延びるフランジとの間にAlホイルが配置されている場合、及び/又はリングと側壁との間のリングの表面上にAlホイルが配置されている場合、及び/又は側壁とは反対側のリングの表面上でリングがAlホイルで被覆されている場合に、有利であり得る。
【0024】
本発明に従うカプセルの別の有利な実施形態では、リングは、カプセルの底部に向かって延びるスリーブを備え、このリングは、その内径に設けられている。スリーブによって、特に囲み部材が半径方向に延びる開放溝を備える場合の、カプセルと囲み部材との間の封止が向上し得る。
【0025】
本発明に従うカプセルの代替的実施形態では、別個の圧潰可能要素は、蓋とは反対側の、外向きに延びるフランジの表面上に層状にランダムに付与された複数のAlホイルを含む。本発明に従うカプセルの別の実施形態では、Alホイルは、外向きに延びるフランジの表面上に付与される前に圧縮されている。追加的又は代替的に、別個の圧潰可能要素は、カプセルの側壁上に層状にランダムに付与された複数のAlホイルを含む。後者の場合、複数のAlホイルが、カプセル本体の全高の少なくとも40%を覆い、好ましくは複数のAlホイルが、カプセル本体の全高の50%を覆っていることが好ましい。
【0026】
本発明に従うカプセルの更なる代替的実施形態では、別個の圧潰可能要素は、ワッシャになるまで圧縮された2つのAlホイルを含み、このワッシャは、蓋とは反対側の、外向きに延びるフランジの表面上に配置されている。本発明に従うカプセルの更なる実施形態では、ワッシャは、内径を有し、カプセルの底部に向かって延びるスリーブを備え、このスリーブは、その内径に設けられている。スリーブによって、特に囲み部材が半径方向に延びる開放溝を備える場合の、カプセルと囲み部材との間の封止が、向上し得る。上述の実施形態は、特にAlホイルが0.3μmの厚さを有する場合に良好な封止をもたらす。
【0027】
本発明に従うカプセルの更なる代替的実施形態では、別個の圧潰可能要素は、側壁の周りにきつく巻きつけられた10μmの厚さを有する折りたたまれたAlホイルを含み、この折りたたまれたAlホイルは、外向きに延びるフランジから、カプセル本体の全高の少なくとも40%にわたり、好ましくはカプセル本体の全高の約50%にわたり延びている。
【0028】
本発明に従うカプセルの更に別の代替的実施形態では、別個の圧潰可能要素は、側壁の周りにゆるく巻きつけられた10μmの厚さを有する9回折りたたまれたAlホイルを含み、この折りたたまれたAlホイルは、外向きに延びるフランジから、カプセル本体の全高の少なくとも40%にわたり、好ましくはカプセル本体の全高の約50%にわたり延びている。
【0029】
本発明に従うカプセルのまた更なる代替的実施形態では、別個の圧潰可能要素は、側壁の周りに巻きつけられた10μmの厚さを有する12回折りたたまれたAlホイルを含み、この折りたたまれたAlホイルは、外向きに延びるフランジから、カプセル本体の全高の約20~40%にわたり、好ましくはカプセル本体の全高の約25%にわたり延びている。
【0030】
本発明に従うカプセルの更に別の代替的実施形態では、別個の圧潰可能要素は、側壁の周りに配置された10μmの厚さを有する垂直方向に波形の2重のAlホイルを含み、この折りたたまれたAlホイルは、外向きに延びるフランジからカプセル本体の全高の約20~40%にわたり、好ましくはカプセル本体の全高の約25%にわたり延びている。垂直方向に波形の2重のAlホイルは、外向きに延びるフランジとは反対側の、垂直方向に波形のAlホイルの側面、側壁とは反対側の、垂直方向に波形のAlホイルの側面、外向きに延びるフランジと垂直方向に波形のAlホイルとの間の、垂直方向に波形のAlホイルの側面、及び側壁と垂直方向に波形のAlホイルとの間の、垂直方向に波形のAlホイルの側面、のうちの少なくとも1つの上に、10μmの厚さを有するAlカラーを備える場合に、有利であり得、この垂直方向に波形のAlホイルは、外向きに延びるフランジからカプセル本体の全高の約20~40%にわたり、好ましくはカプセル本体の全高の約25%にわたり延びている。
【0031】
本発明に従うカプセルの更に別の代替的実施形態では、別個の圧潰可能要素は、蓋とは反対側の、外向きに延びるフランジの表面上に設けられたリングであり、このリングは、34mmの外径、30mmの内径を有し、このリングは、単一のワッシャとなるように一緒にプレスされた32層の10μmのAlホイルから型抜きされている。
【0032】
本発明に従うカプセルの更に別の代替的実施形態では、別個の圧潰可能要素は、蓋とは反対側の、外向きに延びるフランジの表面上に設けられたリングであり、このリングは、34mmの外径、30mmの内径を有し、このリングは、各層が蓋と同じ厚さを有する8層のAl層から形成されており、各Al層は、個別に型抜きされ、外向きに延びるフランジ上に互いに積み重ねられている。あるいは、別個の圧潰可能要素は、蓋とは反対側の、外向きに延びるフランジの表面上に設けられたリングであり、このリングは、34mmの外径、30mmの内径を有し、このリングは、各層が蓋と同じ厚さを有する7層のAl層から形成されており、この7層のAl層は、積み重ねられ、その後型抜きされ、外向きに延びるフランジ上に配置されている。
【0033】
アルミニウムが等級1000系Alである、本発明に従うカプセルの実施形態では、封止部材は、比較的製造が簡単で、使用後にカプセルを処分する場合に環境にやさしい。代替的実施形態では、アルミニウム合金も使用可能であることに留意されたい。
【0034】
上述の代替的実施形態は、カプセルの使用中に十分な封止をもたらすように見える。
【0035】
本発明に従うカプセルの実施形態によれば、半径方向に延びる開放溝を備える囲み部材であっても、封止部材が側壁及び外向きに延びるフランジから外れている場合に、比較的低い流体圧及び遥かに高い流体圧の両方で十分な封止を得ることができる。したがって、カプセルに封止部材を取り付けたり、又は封止したり、又は他の方法で取り付けたりする必要がない。
【0036】
特に、外向きに延びるフランジが、平坦で、カプセル本体中心軸線に対して横方向に延びている場合、別個の圧潰可能要素は、カプセルの使用中に十分な封止をもたらす。
【0037】
本発明に従うカプセルの更に別の実施形態では、別個の圧潰可能要素は、環状要素の自由接触端が、別個の圧潰可能要素と接触するように位置決めされる。
【0038】
本発明の圧潰可能要素を考慮すると、カプセルが飲料調製装置の囲み部材内に位置決めされ、かつ囲み部材が飲料調製装置の閉じ部材によって閉じられている場合に、変形可能な要素を意味する。更に、本発明の別個の圧潰可能要素を考慮すると、アルミニウムカプセル本体と一緒に一体で形成されておらず、別個の構成要素として形成された圧潰可能要素を意味する。
【0039】
本発明では、第2の態様では、カプセル内に加圧下で供給された流体を使用してカプセルから飲用可能な飲料を調製するためのシステムであって、
本発明に従うカプセルと、
カプセルを受けるための囲み部材を備えた飲料調整装置であって、囲み部材は、カプセル内に加圧下で流体を供給する流体供給手段を含み、飲料調製装置は、飲料調製装置の囲み部材を閉じるための閉じ部材、例えば抽出プレートを更に含み、飲料調製装置の囲み部材は、環状要素中心軸線及び自由接触端を有する環状要素を更に含み、環状要素の自由接触端は、半径方向に延びる複数の開放溝を任意選択的に備える、飲料調整装置と、
カプセルの封止部材であって、カプセルの外向きに延びるフランジ及びカプセルの封止部材の少なくとも一部分とが、飲料調製装置の囲み部材と閉じ部材との間の封止をもたらすように、カプセルが飲料調製装置の囲み部材内に位置決めされ、かつ囲み部材が飲料調製装置の閉じ部材によって閉じられているときに、飲料調製装置の囲み部材との流体封止接触をもたらすように配置されている、カプセルの封止部材と、を備える、システムが提供される。封止部材は、カプセル本体上の側面に設けられたアルミニウム製の別個の圧潰可能要素を含み、この側面は、外向きに延びるフランジから見ると、蓋とは反対側にあるため、このカプセル及び別個の圧潰可能要素は、製造が比較的簡単である。更に、別個の圧潰可能要素によって、半径方向に延びる開放溝を備えた囲み部材に十分な封止をもたらすことができる。
【0040】
カプセルに関する従属請求項の特徴と同じ特徴に関する、従属請求項に記載されたようなシステムの好ましい実施形態に関しては、上記が参照される。
【0041】
本発明は、使用中に飲料調製装置の囲み部材内の最大流体圧が6~20バール、好ましくは12~18バールの範囲内にある、本発明に従うシステムに特に好適である。このような高圧であっても、カプセルと飲料調製装置との間に十分な封止が得られる。
【0042】
好ましくはシステムは、使用時、淹出中に、飲料調製装置の囲み部材の自由端が、カプセルの外向きに延びるフランジと飲料調製装置の囲み部材との間に流体封止接触をもたらすように、カプセルの外向きに延びるフランジ上に配置されたカプセルの外向きに延びるフランジ(及び、存在する場合、その上に配置された封止部材)上に力F2を及ぼすように構成されており、ここで、カプセルの外側での飲料調製装置の囲み部材内での流体圧P2が、6~20バール、好ましくは12~18バールの範囲内にある場合、F2は、500~1500Nの範囲内にあり、好ましくは750~1250Nの範囲内にある。特にシステムは、使用時、淹出する前又は淹出開始時に、飲料調製装置の囲み部材の自由端が、カプセルの外向きに延びるフランジと飲料調製装置の囲み部材との間に流体封止接触をもたらすように、カプセルの外向きに延びるフランジ上に配置されたカプセルの封止部材上に力F1を及ぼすように構成されており、ここで、カプセルの外側での飲料調製装置の囲み部材内での流体圧P1が、0.1~4バール、好ましくは0.1~1バールの範囲内にある場合、F1は、30~150N、好ましくは40~150N、より好ましくは50~100Nの範囲内にある。
【0043】
本発明に従うシステムの一実施形態において、カプセルと飲料調製装置との間の十分な封止を依然としてもたらしながら、使用者がより簡単にカプセルを取り出せるように、半径方向に延びる複数の開放溝は、飲料調製装置の環状要素の自由接触端の接線方向に、互いに対して均一に離間配置される。
【0044】
本発明に従うシステムの有利な実施形態において、各溝の最大の接線方向の幅(頂部と頂部、すなわち溝と溝とのピッチに等しい)は0.9~1.1mm、好ましくは0.95~1.05mm、より好ましくは0.98~1.02mmであり、飲料調製装置の囲み部材の軸方向における各溝の最大高さは0.01~0.09mm、好ましくは0.03~0.07mm、より好ましくは0.045~0.055mm、最も好ましくは0.05mmであり、溝の数は90~110、好ましくは96である。溝の位置での環状端面の半径方向の幅は、例えば0.05~0.9mm、好ましくは0.2~0.7mm、より好ましくは0.3~0.55mmであってもよい。
【0045】
使用中、飲料調製装置の閉じ部材が飲料調製装置の囲み部材を閉じるときに、カプセルのフランジと飲料調製装置の囲み部材の自由端との間に最大の力を加えるために、飲料調製装置の囲み部材の少なくとも自由接触端が、飲料調製装置の囲み部材内の流体の圧力の影響下で、飲料調製装置の閉じ部材の方へ飲料調製装置の閉じ部材に対して動くことができる、本発明に従うシステムの一実施形態に適用される場合に、本発明は特に好適である。囲み部材は、第1の部分と第2の部分とを含んでもよく、第2の部分は、囲み部材の自由接触端を含んでもよく、第2の部分は、第1の位置と第2の位置との間で第1の部分に対して動くことができる。第2の部分は、囲み部材内の流体圧の影響下で閉じ部材の方向に第1の位置から第2の位置の方へ動くことができる。上述の力F1は、第2の部分が流体圧P1で第1の位置にある場合に達成し得る。上述の力F2は、第2の部分が囲み部材内の流体圧P2の影響下で第2の位置の方へ動かされる場合に達成し得る。
【0046】
本発明に従うシステムの一実施形態では、流体供給手段は、0.5~2mL/秒の範囲で流体の流れを供給するよう構成され、ここで、封止部材によりもたらされた流体封止接触は、この流れの4%未満、好ましくは2.5%未満の漏洩率である。封止部材は、漏洩率がこの範囲内である場合に、十分な封止をもたらす。
【0047】
本発明は、図面を参照して非限定的な実施例によって、更に明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本発明に従うシステムの一実施形態の概略図である。
図2】本発明に従うシステムの飲料調製装置の一実施形態の斜視図であり、半径方向に延びる複数の開放溝を備えた飲料調製装置の囲み部材の自由接触端を示す。
図3A】使用前の本発明に従うカプセルの一実施形態の断面図である。
図3B図3Aのカプセルの拡大詳細図であり、外向きに延びるフランジ及び封止部材を示す。
図3C】使用後の図3A及び図3Bにおけるカプセルの外向きに延びるフランジの拡大詳細図である。
図4A】カプセルの外向きに延びるフランジ上に積み重ねられた、封止部材としてのアルミニウム製の別個の環状圧潰可能要素を備えた、本発明に従うカプセルの第1の実施形態を示す斜視図である。
図4B図4Aのアルミニウム製の別個の環状圧潰可能要素を示す斜視図である。
図4C図4Aのアルミニウム製の別個の環状圧潰可能要素を示す断面図である。
図4D】外向きに延びるフランジとは反対側の、環状圧潰可能要素の表面上に配置されたAlホイルを有する一実施形態における、図4Aのアルミニウム製の別個の環状圧潰可能要素を示す断面図である。
図4E】環状圧潰可能要素と外向きに延びるフランジとの間に配置されたAlホイルを有する一実施形態における、図4Aのアルミニウム製の別個の環状圧潰可能要素を示す断面図である。
図4F】側壁とは反対側の、環状圧潰可能要素の表面上に、環状圧潰可能要素と側壁との間に、及び環状圧潰可能要素と外向きに延びるフランジとの間に配置されたAlホイルを有する一実施形態における、図4Aのアルミニウム製の別個の環状圧潰可能要素を示す断面図である。
図4G】環状圧潰可能要素上に配置され、圧潰可能要素の全ての側面の周りに巻きつけられた単一のAlホイルを有する一実施形態における、図4Aのアルミニウム製の別個の環状圧潰可能要素を示す断面図である。
図4H】外向きに延びるフランジとは反対側の、環状圧潰可能要素の表面上に配置されたAlホイルを有し、側壁とは反対側の、環状圧潰可能要素の表面上に、環状圧潰可能要素と側壁との間に、及び環状圧潰可能要素と外向きに延びるフランジとの間に配置された別のAlホイルを有する一実施形態における、図4Aのアルミニウム製の別個の環状圧潰可能要素を示す断面図である。
図4I】外向きに延びるフランジとは反対側の、環状圧潰可能要素の表面上に、及び側壁とは反対側の、環状圧潰可能要素の表面上に配置されたAlホイルを有する一実施形態における、図4Aのアルミニウム製の別個の環状圧潰可能要素を示す断面図である。
図5A】封止部材が、蓋とは反対側の、外向きに延びるフランジの表面上に、及びカプセルの側壁上に層状にランダムに付与された複数のAlホイルを含む、本発明に従うカプセルの別の実施形態を示す斜視図である。
図5B】封止部材が、蓋とは反対側の、外向きに延びるフランジの表面上のみに層状にランダムに付与された複数のAlホイルを含む、本発明に従うカプセルの別の実施形態を示す斜視図である。
図5C】封止部材が、カプセルの側壁上に層状にランダムに付与された複数のAlホイルを含む、本発明に従うカプセルの更に別の実施形態を示す斜視図である。
図5D】別個の圧潰可能要素が、側壁の周りに配置された、10μmの厚さを有する垂直方向に波形の2重のAlホイルを含み、側壁と垂直方向に波形のAlホイルとの間にAlカラーが設けられている、本発明に従うカプセルの別の実施形態を示す斜視図である。
図5E】別個の圧潰可能要素が、外向きに延びるフランジとは反対側の、垂直方向に波形のAlホイルの側面上にAlカラーを備え、かつ外向きに延びるフランジと垂直方向に波形のAlホイルとの間の垂直方向に波形のAlホイルの側面上にAlカラーを備えた垂直方向に波形の2重のAlホイルを含む、本発明に従うカプセルの更に別の実施形態を示す斜視図である。
図5F】別個の圧潰可能要素が、側壁とは反対側の、垂直方向に波形のAlホイルの側面上にAlカラーを備え、かつ側壁と垂直方向に波形のAlホイルとの間の垂直方向に波形のAlホイルの側面上にAlカラーを備えた垂直方向に波形の2重のAlホイルを含む、本発明に従うカプセルの第4の実施形態を示す斜視図である。
【0049】
図及び以下の説明では、同一参照番号は、同一要素を指す。
【0050】
図1は、カプセル内に加圧下で供給された流体を使用してカプセルから飲用可能な飲料を調製するためのシステム1の一実施形態の概略の断面図である。システム1は、カプセル2及び飲料調製装置4を含む。装置4は、カプセル2を保持するための囲み部材6を含む。装置4は、カプセル2を支持するための閉じ部材、例えば抽出プレート8を更に含む。
【0051】
図1では、明瞭にするために、カプセル2と囲み部材6と抽出プレート8との間に間隙が描かれている。使用中、カプセル2は、囲み部材6及び抽出プレート部材8と接触するように位置決めされていてもよいと理解されよう。一般に、囲み部材6は、カプセル2の形状に補完的な形状を有する。装置4は、6~20バール、好ましくは12~18バールの範囲内の圧力下である量の流体(例えば水)を交換可能なカプセル2へ供給するための流体供給手段10を更に含む。
【0052】
図1に示された実施例において、交換可能なカプセル2は、カプセル本体中心軸線12Aを有するアルミニウムカプセル本体12、及び蓋壁厚を有するアルミニウム蓋14を含む。本文脈では、「アルミニウム」の意味は、アルミニウム合金も含むと理解されるが、好ましくは等級1000系Alが使用される。本実施例では、アルミニウムカプセル本体12は、側壁16、第1の端部で側壁16を閉じる底部18、及び底部18とは反対側の第2の端部で周囲壁16の外側に延びる外向きに延びるフランジ20を含む。側壁16、底部18、及び蓋14は、内部空間22を取り囲み、内部空間22は物質を抽出及び/又は溶解することによって飲用可能な飲料を調製するための物質を含んでいる。好ましくは、物質は、抽出可能な物質で、好ましくは5~20グラム、好ましくは5~10グラム、より好ましくは5~7グラムの、一杯の飲料の調製のための焙煎され挽かれたコーヒーである。カプセルは、最初は封止されている、すなわち使用前は密封して閉じられている。
【0053】
図1のシステム1は、入口開口部25を介して流体を抽出可能製品に供給するために、底部18に少なくとも1つの入口開口部25を作るようにカプセル2の底部18を刺し通すための底部刺通手段24を含む。
【0054】
図1のシステム1は、カプセル2の蓋14を刺し通すために、蓋刺通手段26(ここでは閉じ部材8の突出部として形成されている)を更に含む。蓋刺通手段26は、いったん内部空間22内部の(流体)圧力が閾値圧を超え、蓋14を蓋刺通手段26に対して十分な力で押圧すると、蓋14が裂開するように配置され得る。こうして、アルミニウム蓋14は、カプセル内の流体圧の影響下で、飲料調製装置の閉じ部材8上で裂開するように配置される。
【0055】
カプセル2は、封止部材28を更に含み(図1図3A図3Bでは一般的なボックスとして示されているが、図4及び図5を参照してより詳細に記載される)、カプセル2の外向きに延びるフランジ20と、封止部材28の少なくとも一部分とが、囲み部材6と抽出プレート8との間に封止的にかみあうように、カプセル2が囲み部材6内に位置決めされ、かつ囲み部材6が抽出プレート8によって閉じられているときに、囲み部材6との流体封止接触をもたらすように、封止部材28は、カプセル本体上の側面に設けられたアルミニウム製の別個の圧潰可能要素を含み、この側面は、外向きに延びるフランジ20から見ると、蓋14とは反対側にある。
【0056】
図2に示すように、飲料調製装置の囲み部材6は、環状要素中心軸線41Aと自由接触端30とを有する環状要素41を含む。環状要素41の自由接触端30は、半径方向に延びる複数の開放溝40を備える。半径方向に延びる複数の開放溝40は、環状要素41の自由接触端30の接線方向に、互いに対して均一に離間配置されている。各溝40の最大の接線方向の幅は、0.9~1.1mm、好ましくは0.95~1.05mm、より好ましくは0.98~1.02mmであり、囲み部材6の軸方向における各溝40の最大高さは0.01~0.09mm、好ましくは0.03~0.07mm、より好ましくは0.045~0.055mm、最も好ましくは0.05mmである。溝40の数は、90~110の範囲内にあり、好ましくは96である。通常、溝の位置での自由端の半径方向の幅は、0.05~0.9mm、より具体的には0.2~0.7mm、より具体的には0.3~0.55mmである。
【0057】
本発明に従うカプセルの一実施形態が、図3A及び図3Bにより詳細に示されている。示された実施形態では、外向きに延びるフランジ20の外径ODFは、カプセル2の底部18の直径DBよりも大きい。示された実施形態では、外向きに延びるフランジ20の外径ODFは、約37.1mmであり、底部18の直径DBは約23.3mmである。アルミニウムカプセル本体12の厚さは、カプセルが飲料調製装置の囲み部材内に位置決めされ、かつ囲み部材が飲料調製装置の閉じ部材によって閉じられているときに、簡単に変形されるように、好ましくはアルミニウムカプセル本体の厚さが100マイクロメートルであるが、他の実施形態では、厚さは20~200マイクロメートルであり得る。
【0058】
示された実施形態では、アルミニウム蓋14の壁厚は、39マイクロメートルである。好ましくは、アルミニウム蓋14の壁厚は、アルミニウムカプセル本体12の厚さよりも小さい。
【0059】
アルミニウムカプセル本体12の側壁16は、底部18とは反対側の自由端42を有する。アルミニウムカプセル本体12の側壁16の自由端42の内径IDFは、約29.5mmである。外向きに延びるフランジ20は、その自由端42から、少なくとも実質的にカプセル本体中心軸線12Aに対して横方向に延びる。外向きに延びるフランジ20は、カプセルと囲み部材との間の封止を得るのに有益な湾曲外縁部43を含む。示された実施形態では、外向きに延びるフランジ20の湾曲外縁部43は、約1.2ミリメートルの最大寸法を有する。アルミニウムカプセル本体12の側壁16の自由端42と湾曲外縁部43の内縁部43Aとの間の距離DIFは、約2.7mmであるが、一方、アルミニウムカプセル本体12の側壁16の自由端42と外向きに延びるフランジ20の最外縁部43Bとの間の距離DOFは、約3.8ミリメートルである。湾曲外縁部43の内縁部43Aの、カプセル本体中心軸線の周りの半径は、好ましくは少なくとも32mmである。
【0060】
図3A及び図3Bに示すように、封止部材28は、カプセル本体上の側面に位置決めされ、この側面は、外向きに延びるフランジから見ると、蓋14とは反対側にあり、外向きに延びるフランジの湾曲外縁部42の内縁部43Aの間にあり、側壁16に沿って延びている。封止部材28は、一般的なボックスとして示されているが、以下でより詳細に記載され、例えば、外向きに延びるフランジの上のみに配置すること、側壁の周囲のみに配置すること、又は両者の組み合わせが可能である。
【0061】
図3Aから分かるように、アルミニウムカプセル本体12は切頭形である。示された実施形態では、アルミニウムカプセル本体12の側壁16は、カプセル本体中心軸線12Aに直角の線に対して約97.5°の角度Aを有する。アルミニウムカプセル本体12の底部18は、約23.3mmの最大内径DBを有する。アルミニウムカプセル本体12の底部18も切頭形であり、示された実施形態では、約4.0mmの底部の高さBHを有する。底部18は、蓋14に対向する、ほぼ平坦な中心部分18Aを更に有し、その中心部分18Aは、約8.3mmの直径DEEを有し、その中心部分18Aに入口開口部25(単数又は複数)が作製され得る。入口開口部はまた、中心部分18Aと側壁16との間の切頭部分に作製されてもよい。カプセルのアルミニウムカプセル本体12の全高THは、約28.4mmである。
【0062】
図1に示されたシステム1は、一杯の飲用可能な飲料(本実施例においてはコーヒーであり、物質は焙煎され挽かれたコーヒーである)を調製するために、以下のように操作される。
【0063】
カプセル2を、囲み部材6内に置く。抽出プレート8を、カプセル2と接触させる。底部刺通手段24は、入口開口部25を作るようにカプセル2の底部18を刺し通す。流体(ここでは加圧下の熱湯)が、入口開口部25を介して内部空間22内の抽出可能製品に供給される。挽かれたコーヒーを湯で湿らせ、所望の物質を抽出してコーヒー飲料を形成する。
【0064】
内部空間22に加圧下で水を供給する間に、カプセル2内部の圧力は上昇する。圧力の上昇により、蓋14が変形し、抽出プレートの蓋刺通手段26に押し付けられる。いったん、圧力があるレベルに達すると、蓋14の引裂き強度を上回り、蓋14は、蓋刺通手段26とぶつかって破裂し、出口開口部を作る。調製されたコーヒーは、抽出プレート8の出口開口部及び出口32(図1を参照)を通してカプセル2から排出され、カップなどの容器(図示せず)に供給され得る。
【0065】
システム1は、淹出する前又は淹出開始時に、囲み部材6の自由接触端30が、カプセル2の外向きに延びるフランジ20と飲料調製装置の囲み部材6との間に流体封止接触をもたらすように、カプセル2の外向きに延びるフランジ20(及び、存在する場合、その上に配置された封止部材28)上に力F1を及ぼすように構成されており、カプセルの外側での飲料調製装置の囲み部材内の流体圧P1が、0.1~4バール、好ましくは0.1~1バールの範囲内にある場合、F1は、30~150N、好ましくは40~150N、より好ましくは50~100Nの範囲内にある。淹出中に、カプセル2の外向きに延びるフランジ20と囲み部材6との間に流体封止接触をもたらすように、囲み部材6の自由接触端30が、カプセル2の外向きに延びるフランジ20上に力F2を及ぼし、ここで、カプセル2の外側での飲料調製装置の囲み部材6内の流体圧P2が、6~20バール、好ましくは12~18バールの範囲内にある場合、F2は、500~1500Nの範囲内にあり、好ましくは750~1250Nの範囲内にある。示された実施形態では、外向きに延びるフランジ20と囲み部材6の自由端30との間に最大の力F2を加えるために、囲み部材6の自由接触端30は、囲み部材6装置内の流体の圧力の影響下で、抽出プレート8の方へ抽出プレート8に対して動くことができる。この移動は、使用中、すなわち特に淹出開始時及び淹出中に起こり得る。囲み部材6は、第1の部分6Aと第2の部分6Bとを有し、第2の部分は、自由接触端30を含む。第2の部分6Bは、第1の位置と第2の位置との間を第1の部分6Aに対して動くことができる。第2の部分6Bは、囲み部材6内の流体圧の影響下で閉じ部材8の方向に第1の位置から第2の位置の方へ動くことができる。上述の力F1は、第2の部分6Bが流体圧P1で第1の位置にある場合に達成し得る。上述の力F2は、第2の部分6Bが囲み部材6内の流体圧P2の影響下で第2の位置の方へ動かされる場合に達成し得る。
【0066】
加えられた力の結果として、本発明に従うカプセルの封止部材28は、塑性変形を受け、自由接触端30の溝40に密接に適合し、これにより淹出開始時には比較的低い流体圧で囲み部材6とカプセル3との間に流体封止接触をもたらすだけでなく、淹出中はカプセルの外側での囲み部材内に遥かに高い流体圧で流体封止接触もまたもたらす。囲み部材の溝40に対する密接な適合が、使用後の本発明のカプセル2を示す図3Cに示されており、本図は外向きに延びるフランジ20が、囲み部材の溝40に適合する変形部40’を含むことを明瞭に示している。
【0067】
ここで、カプセル本体上の側面に設けられたアルミニウム製の別個の圧潰可能要素28を有する封止部材を備える、本発明に従うカプセルの例示的な実施形態を、図4及び図5により詳細に記載する(この側面は、外向きに延びるフランジから見ると、蓋とは反対側にある)。示された実施形態では、別個の圧潰可能要素28は、1000系アルミニウム製である。加えて、示された実施形態では、外向きに延びるフランジは、平坦で、カプセル本体中心軸線に対して横方向に延びている。異なる実施形態では、外向きに延びるフランジは、カプセル本体中心軸線に対して垂直な角度を有し得ることは明白であろう。更に、示された実施形態では、別個の圧潰可能要素は、カプセル本体上にゆるく配置されるが、必要に応じて、他の実施形態では、カプセル本体に、例えば溶接によって取り付けることができる。最後に、全ての示された実施形態では、カプセルが、飲料調製装置の囲み部材内に位置決めされるとき、第2の部分6Bの自由接触端30及び/又は第2の部分6Bの内側表面が、別個の圧潰可能要素28と接触するように、別個の圧潰可能要素が位置決めされる。
【0068】
図4Aは、カプセル2の外向きに延びるフランジ20上に積み重ねられた封止部材として、アルミニウム製の別個の環状圧潰可能要素28を備えた、本発明に従うカプセル2の第1の実施形態を示す斜視図である。図4Bは、図4Aの別個の環状圧潰可能要素28の斜視図であり、図4Cは、その断面図である。別個の圧潰可能要素28は、約10%のAlの有効密度を有するアルミニウム製であり、これにより蓋とは反対側の、外向きに延びるフランジ20の表面上に設けられたアニュラス又はリングとして形成されている。リング28は、34mmの外径、30mmの内径、1mmの厚さ、及び約0.07グラムの質量を有し、カプセル2上に置くと、リング28は、側壁16を囲んでいる。別個の圧潰可能要素28は、アニュラス又はリングになるまで圧縮された0.3μmの厚さを有する2つのAlホイルから形成することができ、ワッシャと比較できる。あるいは、リング28は、本発明によれば、単一のワッシャとなるように一緒にプレスされた32層の10μmのAlホイルから型抜きされることにより形成できる。あるいは、リング28は、本発明によれば、各層が蓋と同じ厚さ(例えば39マイクロメートル)を有し、各Al層が個別に型抜きされ、外向きに延びるフランジ20上に互いに積み重ねられて、8層のAl層から形成されて、環状封止部材28を形成することにより、又は各層が蓋と同じ厚さを有する7層のAlが積み重ねられ、その後型抜きされ、外向きに延びるフランジ20上に配置されて、7層のAlから形成されることにより、形成できる。
【0069】
図4Dにおいて、図4Aのアルミニウム製の別個の環状圧潰可能要素28の実施形態を示す断面図が示されており、外向きに延びるフランジ20とは反対側の、環状圧潰可能要素28の表面上に配置された、0.3μmの厚さを有するAlホイル50を更に有する。
【0070】
図4Eにおいて、図4Aのアルミニウム製の別個の環状圧潰可能要素28の実施形態を示す断面図が示されており、環状圧潰可能要素28と外向きに延びるフランジ20との間に配置された、0.3μmの厚さを有するAlホイル51を更に有する。
【0071】
図4Fにおいて、図4Aのアルミニウム製の別個の環状圧潰可能要素28の別の実施形態を示す断面図が示されており、側壁16とは反対側の、環状圧潰可能要素28の表面上に、環状圧潰可能要素28と側壁16との間に、及び環状圧潰可能要素28と外向きに延びるフランジ20との間に配置された、0.3μmの厚さを有するAlホイル52を更に有する。
【0072】
図4Gにおいて、図4Aのアルミニウム製の別個の環状圧潰可能要素28の更に別の実施形態を示す断面図が示されており、環状圧潰可能要素28上に配置され、環状圧潰可能要素28の全ての側面の周りに巻きつけられた、0.3μmの厚さを有する単一のAlホイル53を更に有する。
【0073】
図4Hにおいて、図4Aのアルミニウム製の別個の環状圧潰可能要素28の別の実施形態を示す断面図が示されており、外向きに延びるフランジ20とは反対側の、環状圧潰可能要素28の表面上に配置された、0.3μmの厚さを有するAlホイル55を更に有し、側壁16とは反対側の、環状圧潰可能要素28の表面上に、環状圧潰可能要素28と側壁16との間に、及び環状圧潰可能要素28と外向きに延びるフランジ20との間に配置された、0.3μmの厚さを有する別のAlホイル54を有する。
【0074】
図4Iにおいて、図4Aのアルミニウム製の別個の環状圧潰可能要素28の更に別の実施形態を示す断面図が示されており、外向きに延びるフランジ20とは反対側の、環状圧潰可能要素28の表面上に、及び側壁16とは反対側の、環状圧潰可能要素28の表面上に配置された、0.3μmの厚さを有するAlホイル56を更に有する。
【0075】
図5Aは、封止部材28が、蓋とは反対側の、外向きに延びるフランジ20の表面上に、及びカプセルの側壁16上に層状にランダムに付与された複数のAlホイルを含む、本発明に従うカプセル2の別の実施形態を示す斜視図である。複数のAlホイルが、カプセル本体の全高THの少なくとも40%を覆い、好ましくは複数のAlホイルが、カプセル本体の全高THの少なくとも50%を覆っている。Alホイルの各々は、0.3μmの厚さを有する。
【0076】
図5Bにおいて、図5Aに示す実施形態に関する、本発明に従うカプセル2の別の実施形態を示す斜視図が示されており、ランダムに付与された複数のAlホイルが、蓋とは反対側の、外向きに延びるフランジ20の表面上にのみ層状に設けられている。
【0077】
図5Cにおいて、図5Aに示す実施形態に関する、本発明に従うカプセル2の更に別の実施形態を示す斜視図が示されており、ランダムに付与された複数のAlホイルが、カプセル2の側壁16上にのみ層状に設けられている。
【0078】
図5Dにおいて、本発明に従うカプセル2の別の実施形態を示す斜視図が示されており、別個の圧潰可能要素28が、側壁16の周りに配置された、10μmの厚さを有する垂直方向に(すなわち、本体中心軸線と平行の)波形の2重のAlホイルを含み、側壁16と垂直方向に波形のAlホイルとの間にAlカラー60が設けられている。折りたたまれたAlホイルは、カプセル本体の全高THの約20~40%にわたり、好ましくは、カプセル本体の全高THの約25%にわたり、外向きに延びるフランジ20から延びている。
【0079】
図5Eにおいて、本発明に従うカプセル2の更に別の実施形態を示す斜視図が示されており、別個の圧潰可能要素28が、外向きに延びるフランジ20とは反対側の、垂直方向に波形のAlホイルの側面上にAlカラー61を備え、かつ外向きに延びるフランジ20と垂直方向に波形のAlホイルとの間の垂直方向に波形のAlホイルの側面上にAlカラー62を備えた、垂直方向に波形の2重のAlホイルを含む。
【0080】
図5Fにおいて、本発明に従うカプセル2の更に別の実施形態を示す斜視図が示されており、別個の圧潰可能要素28が、側壁16とは反対側の、垂直方向に波形のAlホイルの側面上にAlカラー63を備え、かつ側壁16と垂直方向に波形のAlホイルとの間の垂直方向に波形のAlホイルの側面上にAlカラー60を備えた、垂直方向に波形の2重のAlホイルを含む。
【0081】
ここまでの明細書では、本発明の実施形態の具体例を参照して記載されてきた。しかし、添付の特許請求の範囲に記述されている本発明の広い趣旨及び範囲から逸脱することなしに、様々な修飾及び変更することができることは明白である。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F