IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コミサリア ア レネルジー アトミック エ オ ゼネルジー アルテルナティブの特許一覧

<>
  • 特許-燃料電池 図1
  • 特許-燃料電池 図2
  • 特許-燃料電池 図3
  • 特許-燃料電池 図4
  • 特許-燃料電池 図5
  • 特許-燃料電池 図6
  • 特許-燃料電池 図7
  • 特許-燃料電池 図8
  • 特許-燃料電池 図9
  • 特許-燃料電池 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-20
(45)【発行日】2022-04-28
(54)【発明の名称】燃料電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/241 20160101AFI20220421BHJP
   H01M 8/0258 20160101ALI20220421BHJP
   H01M 8/0271 20160101ALI20220421BHJP
   H01M 8/0267 20160101ALI20220421BHJP
   H01M 8/2483 20160101ALI20220421BHJP
   H01M 8/2404 20160101ALI20220421BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20220421BHJP
   H01M 8/04694 20160101ALI20220421BHJP
   H01M 8/0432 20160101ALI20220421BHJP
   H01M 8/10 20160101ALI20220421BHJP
【FI】
H01M8/241
H01M8/0258
H01M8/0271
H01M8/0267
H01M8/2483
H01M8/2404
H01M8/04537
H01M8/04694
H01M8/0432
H01M8/10
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019543342
(86)(22)【出願日】2018-02-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-12
(86)【国際出願番号】 EP2018053005
(87)【国際公開番号】W WO2018146119
(87)【国際公開日】2018-08-16
【審査請求日】2019-10-09
(31)【優先権主張番号】1751110
(32)【優先日】2017-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510225292
【氏名又は名称】コミサリア ア レネルジー アトミック エ オ ゼネルジー アルテルナティブ
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE ET AUX ENERGIES ALTERNATIVES
【住所又は居所原語表記】Batiment Le Ponant D,25 rue Leblanc,F-75015 Paris, FRANCE
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】フォシュー,ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】ブランショ,オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】カプロン,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】セリー,ジェシカ
【審査官】松本 陶子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-103042(JP,A)
【文献】特開2012-064386(JP,A)
【文献】特開2010-135174(JP,A)
【文献】特開2008-198588(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/241
H01M 8/0258
H01M 8/0271
H01M 8/0267
H01M 8/2483
H01M 8/2404
H01M 8/04537
H01M 8/04694
H01M 8/0432
H01M 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層方向(D)に互いに積み重ねられた複数の基本モジュール(5)を含む燃料電池(250)であって、
前記複数の基本モジュールのうちの少なくとも2つ又は全て、が、
酸化剤によ燃料の酸化よって電子を発生するように構成された酸化ユニット(10)と、ここで、前記酸化ユニットは、電解膜(20)を挟んだアノード(15)及びカソード(25)を含む、
前記燃料を含むアノード供給流(C)をアノードチャンバに運ぶ為に好適な燃料輸送器支持体(35)と、前記燃料輸送器支持体に取り付けられたアノード電子コレクタ(70)とを含むアノードブロック(75)と、
前記酸化剤を含むカソード供給流(O)をカソードチャンバ(65)に運ぶ為に好適な酸化剤輸送器支持体(30)と、前記酸化剤輸送器支持体に取り付けられたカソード電子コレクタ(40)とを含むカソードブロック(45)と
を含み、
前記少なくとも2つ又は全ての基本モジュールが、前記酸化ユニットと、前記燃料輸送器支持体又は前記酸化剤輸送器支持体との間に、前記アノードチャンバ又は前記カソードチャンバを夫々画定するように構成されており、
前記少なくとも2つ又は全ての基本モジュールが、前記燃料電池の前記複数の基本モジュールのうちの前記少なくとも2つ又は全ての基本モジュールの組み立ての前に、前記アノードブロックが前記酸化ユニットに互いに取り付けられるようなものであり、前記カソードブロックが前記酸化ユニットに互いに取り付けられるようなものであり、
前記アノードブロックと前記酸化ユニットは、共に接合によって取り付けられており、且つ導電性接着剤を含む、アノード導電性ブリッジ(80)によって互いに電気的に接続されている、
前記カソードブロックと前記酸化ユニットは、共に接合によって取り付けられており、且つ導電性接着剤を含む、カソード導電性ブリッジ(50)によって互いに電気的に接続されている、
前記燃料電池。
【請求項2】
各基本モジュールは、該積層方向に斜めのまたは垂直である長手方向平面(P)に延在する、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項3】
前記アノード導電性ブリッジと前記アノード電子コレクタ、又は前記カソード導電性ブリッジと前記カソード電子コレクタが、共に接合によって取り付けられており、且つ互いに電気的に接続されている、請求項2に記載の燃料電池。
【請求項4】
前記酸化ユニット及び前記燃料輸送器支持体は、共に接合によって互いに取り付けられており、且つ燃料を洩らさない電気絶縁性接着剤を含むアノード漏れ止めブリッジ(100)によって互いに電気的に絶縁されており、
前記アノード漏れ止めブリッジは、前記アノードチャンバに運ばれたアノード供給流(C)が、前記燃料輸送器支持体から前記アノードに本質的に直接的に流れるように構成されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の燃料電池。
【請求項5】
前記複数の基本モジュールを圧縮する手段を有しない、請求項1~4のいずれか1項に記載の燃料電池。
【請求項6】
前記少なくとも2つ又は全ての基本モジュールは、並列に又は直列に互いに電気的に接続されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の燃料電池。
【請求項7】
2つの隣り合う基本モジュール(5b,5c)が、積層方向で互いに対して頭尾結合の形で配置されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の燃料電池。
【請求項8】
前記酸化剤を含むカソード供給流を少なくとも1つの基本モジュールに運ぶように構成された少なくとも1つのカソード供給流路(185)と、前記少なくとも1つの基本モジュールと対流によって熱を交換するように、熱移送流体含む冷却流(R)を運ぶように構成された少なくとも1つの冷却流路(212)と、を画定するように前記電池が構成されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の燃料電池。
【請求項9】
前記少なくとも1つの基本モジュールが、前記カソード供給流路と前記冷却流路との間に配置されている、請求項8に記載の燃料電池。
【請求項10】
前記カソード供給流路は、該冷却流路が延在する延在方向に相対的に斜め方向延在方向に延在し、及び/又は、前記カソード供給流路及び該冷却流路がその中で全体に延在する複数の平面は異なり且つ平行である、請求項8又は9に記載の燃料電池。
【請求項11】
前記カソード供給流路は、前記積層方向において前記複数の基本モジュールの少なくとも2つの隣り合う基本モジュールの夫々のカソードブロックの間に配置されており、且つ、前記2つの夫々の基本モジュールのそれぞれの前記酸化剤輸送器支持体に前記カソード供給流を運ぶように構成されており、及び/又は
前記冷却流路は、前記該積層方向において前記複数の基本モジュールのうちの少なくとも2つの隣り合う基本モジュールの間に配置されており、且つ前記2つの基本モジュールと対流によって熱を交換するように、前記冷却流を運ぶように構成されている、請求項8~10のいずれか1項に記載の燃料電池。
【請求項12】
前記カソード供給流路は、前記カソード供給流の電池入口での又は電池出口での流れの為に、少なくとも1つの入口開口(290a~c)又は少なくとも1つの出口開口(310a~c)を有し、及び、
前記冷却流路は、前記冷却流の電池入口での又は電池出口での流れの為に、少なくとも1つの入口開口(295a~d)又は少なくとも1つ出口開口(315a~d)を有し、
前記電池入口及び電池出口のカソード供給流が、前記電池入口及び電池出口の冷却流の流れの少なくとも1つの方向に対して、少なくとも1つの斜めの方向流れるように、前記カソード供給流路及び冷却流路の前記入口開口及び出口開口が構成されており、及び/又は、
前記電池入口及び電池出口のカソード供給流の流れの1以上の方向、及び前記冷却流の流れの1以上の方向が異なる且つ平行な複数の平面内に含まれるように、前記カソード供給流路及び冷却流路の前記入口開口及び出口開口が構成されている、
請求項8~11のいずれか1項に記載の燃料電池。
【請求項13】
複数のカソード供給流路(2551~2)と、ここで、各カソード供給流路は、少なくとも1つの基本モジュールに前記カソード供給流を供給するように構成されている、
前記複数のカソード供給流路のうちの1つの流路内に配置され且つ湿度、温度及び圧力から選択された少なくとも1つのカソード供給特性を測定するように構成されたカソード供給プローブ(280)と、
前記複数のカソード供給流路のうちの前記1つの流路又は他の流路内を運ばれることになる前記カソード供給流を発生させるように構成されたカソード供給流発生器(2001~2)と、
前記カソード供給流発生器を制御する為のユニット(285)と、それは、該カソード供給特性の測定値の関数として、上記流路内を運ばれることになる前記カソード供給流及び/又は前記他の流路内を運ばれることになる前記カソード供給流の少なくとも1つのパラメータを調整するように構成されており、及び/又は、
複数の冷却流路(260)と、ここで、各冷却流路は、少なくとも1つの基本モジュールと対流によって熱を交換するように、冷却流を運ぶように構成されている、
前記複数の冷却流路のうちの1つの流路内に配置され、且つ湿度、温度、及び圧力から選択された少なくとも1つの冷却特性を測定するように構成された冷却プローブ(292)と、
前記複数の冷却流路のうちの前記1つの流路内又は他の流路内を運ばれることになる前記冷却流を発生させるように構成された冷却流発生器と(2201-3)と、及び
前記冷却流発生器を制御する為のユニット(298)と、それは、前記冷却特性の測定値の関数として、前記1つの流路内を運ばれることになる前記冷却流及び/又は前記他の流路内を運ばれることになる前記冷却流の少なくとも1つのパラメータを調整するように構成されている、
を有する、請求項8~12のいずれか1項に記載の燃料電池。
【請求項14】
前記カソード供給プローブがその中に配置された前記カソード供給流路と流体的に通じる基本モジュール内に配置され及び/又は該冷却プローブがその中に配置された該冷却流路内を流れる冷却流と対流によって熱を交換する能力を有するところのセンサ(300)と、ここで、前記センサは、前記基本モジュールの内部抵抗、前記基本モジュールの分極抵抗、又は前記基本モジュールの全抵抗から選択された電気抵抗を測定するように構成されており、
前記カソード供給流発生器を制御する為の前記ユニットと、ここで、該ユニットは、前記カソード供給特性の測定値及び前記電気抵抗の測定値の関数として、前記カソード供給流路内を運ばれることになる前記カソード供給流及び/又は他の流路内を運ばれることになる前記カソード供給流の少なくとも1つのパラメータを調整するように構成されており、及び/又は
前記冷却流発生器を制御する為の前記ユニットと、ここで、該ユニットは、前記冷却特性の測定値及び前記電気抵抗の測定値の関数として、前記1つの冷却流路内を運ばれることになる前記冷却流及び/又は他の冷却流路内を運ばれることになる前記冷却流の少なくとも1つのパラメータを調整するように構成されている、
を有する、請求項13に記載の燃料電池。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の燃料電池を製造する為の方法であって、少なくとも1つの基本モジュールを製造する工程を含み、該工程は、酸化ユニットへのアノードブロックの又はカソードブロックの取り付け含む、前記方法。
【請求項16】
少なくとも2個基本モジュールが製造され、そして該基本モジュールが積層方向に互いに積み重ねられる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの接着剤組成物が、前記アノードブロック上又は前記カソードブロック上、及び/又は前記酸化ユニット上に堆積され、前記アノードブロック又は前記カソードブロックは次いで、前記アノードブロック又は前記カソードブロックに、及び前記酸化ユニットに剛に取り付けられた接着剤取り付けブリッジを形成するように、該酸化ユニットと組み立てられる、請求項15又は16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池の基本モジュール、及びまた少なくとも1つの基本モジュールを含む燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化剤による、一般には二酸素による、燃料の酸化、一般には二水素の酸化、によって電流を発生させる為の、2つの主要なタイプの燃料電池が知られている。
【0003】
電池の第1のグループは、仏国特許出願公開第3000615A1号明細書及び国際公開第2011/079377A1号で記載されている通り「平面状」電池から形成される。そのような燃料電池は細く、それらの長さ及び幅はそれらのそれぞれの厚さと比べて大きい。それらは一般に自然対流によって二酸素が供給され、それらの電力は低く、100Wの最大値に制限される。
【0004】
電池の第2のグループは、それぞれ長手方向に延び、互いに積み重ねられ、及び直列に電気的に接続された、複数の薄い基本モジュールを含む電池から構成されている。各基本モジュールは、電解膜を挟んだアノード及びカソードから形成された酸化ユニットを含み、該酸化ユニット自体はバイポーラプレート同士の間に挟まれ、該バイポーラプレートは第1に、基本モジュールの該カソードに、該酸化剤を含む流れを供給すること、及び該隣接している基本モジュールの該アノードに、該燃料を含む流れを供給すること、第2に、アノード電子コレクタ及びカソード電子コレクタとして働く該酸化ユニットの該電気的接続を、確実にする。該酸化ユニットと該バイポーラプレートとの間の接触電気抵抗を低減し、燃料漏れ防止性を確実にする為に、例えば米国特許出願公開第2005/0095485A1号明細書で記載されている通り、該バイポーラプレートは、慣例的に該基本モジュールの全てを挟んだエンドプレートに接続された圧縮連結棒を用いて、該酸化ユニットに押し付けられる。変形形態として、国際公開第2013/134789A1号は、基本モジュールのスタックを挟んだ2つのエンドプレートから構成されたアセンブリを取り囲み、圧縮する圧縮ベルトを含む燃料電池を述べている。国際公開第03/083977A1号は、ボックス、及び該ボックスを閉じる為の蓋を含むケース内に収容された基本モジュールのスタックを含む燃料電池を述べており、該ハウジングの高さは、該ケースを閉める前の該スタックの高さ未満である。該ボックス及び蓋は、該蓋を該ボックスにクリック固定することによって該スタックに圧縮が加えられるように、相補的なリリーフを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術の該燃料電池の基本モジュールの該スタックの圧縮を確実にする為には、重い要素、例えばエンドプレート又はケースを用いる必要があり、従って該電池によって発生されることができる電力と該電池の質量との比として定義される、該電池の単位質量当たり電力密度を減少させることが分かる。さらに、従来技術の該電池で用いられる該バイポーラプレートは、一般に複雑な形状を有し、多数の複雑な及び費用のかかる製造工程を必要とする。
【0006】
従って、前述の欠点を克服することができる燃料電池の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的の為に、本発明はその観点の1番目に従って、燃料電池の為に有用な基本モジュールを提案し、該基本モジュールは、
酸化剤による、好ましくは二酸素による、燃料の酸化、好ましくは二水素の酸化、によって電子を発生するように構成された酸化ユニットと、ここで、該酸化ユニットは、電解膜を挟んだアノード及びカソードを含む、
該燃料を含むアノード供給流をアノードチャンバに運ぶ為に好適な燃料輸送器支持体と、該燃料輸送器支持体に取り付けられたアノード電子コレクタとを含むアノードブロックと、
該酸化剤を含むカソード供給流をカソードチャンバに運ぶ為に好適な酸化剤輸送器支持体と、該酸化剤輸送器支持体に取り付けられたカソード電子コレクタと
を含み、該基本モジュールは、該酸化ユニットと、該燃料輸送器支持体又は該酸化剤輸送器支持体との間に、該アノードチャンバ又は該カソードチャンバを夫々画定するように構成されており、
該アノード電子コレクタ又は該カソード電子コレクタと該酸化ユニットは、共に接合によって取り付けられており、且つ導電性接着剤を含む、アノード導電性ブリッジ又はカソード導電性ブリッジによって互いに電気的に接続されている。
【0008】
有利なことには、本発明の第1の観点に従う少なくとも1つの基本モジュールを含む電池は、一方では、該アノードと該アノード電子コレクタとの間、及び他方では、該カソードと該カソード電子コレクタとの間に良好な電気的接続を確実にする為の、圧縮手段、例えば従来技術のものなどを必要としない。特には、該アノード導電性ブリッジ及びカソード導電性ブリッジは、それぞれ該アノード電子コレクタ及びカソード電子コレクタと、該酸化ユニットとの間の完全な電気的接触をもたらす。本発明に従う該基本モジュールは、従って外部圧縮を加えずに低い全電気抵抗を有する。この低い全抵抗は、該基本モジュールの内部の低い接触抵抗に部分的に結び付けられる。加えて、該アノード導電性ブリッジ及びカソード導電性ブリッジは、該アノードブロック及びカソードブロックを電解ユニットに剛に接続することによって、該基本モジュールの機械的強度を少なくとも部分的に、又はさらには全体的にもたらす。さらに、該アノード導電性ブリッジ及びカソード導電性ブリッジの合計質量は、従来技術の電池と同じ容積の、及び同じ数の基本モジュールを含む電池の圧縮を確実にする為に必要な手段の質量と比較して低い。従って、本発明の第1の観点に従う基本モジュールを含む電池は、より高い単位質量当たり電力密度を有する。
【0009】
さらに、該酸化ユニット及び該燃料輸送器支持体は、共に接合によって互いに取り付けられており、且つ燃料を洩らさない電気絶縁性接着剤を含むアノード漏れ止めブリッジによって互いに電気的に絶縁され得、該アノード漏れ止めブリッジは、該アノードチャンバに運ばれた該アノード供給流が、該燃料輸送器支持体から該アノードに本質的に直接的に流れるように構成されている。それが確実にする漏れ防止性に加えて、本明細書の以下でより明らかになるように、該アノード漏れ止めブリッジは、有利なことに、該基本モジュールの機械的強度に関与しうる。
【0010】
本発明の観点の2番目に従って、本発明はまた燃料電池の為に有用な基本モジュールに関し、該基本モジュールは、
酸化剤による、好ましくは二酸素による、燃料の酸化、好ましくは二水素の酸化、によって電子を発生するように構成された酸化ユニットと、ここで、該酸化ユニットはアノードを含む、
該燃料を含むアノード供給流をアノードチャンバに運ぶ為に好適な燃料輸送器支持体と
を含み、該モジュールは、該アノードと該燃料輸送器支持体との間に上記アノードチャンバを画定するように構成されており、
該酸化ユニット及び該燃料輸送器支持体は、共に接合によって互いに取り付けられており、燃料を洩らさない電気絶縁性接着剤を含むアノード漏れ止めブリッジを用いて互いに電気的に絶縁され、
該アノード漏れ止めブリッジは、該アノード供給流が該燃料輸送器支持体によって該アノードチャンバに運ばれるとき、上記アノード供給流は、本質的に該燃料輸送器支持体から直接該アノードに流れるように構成されている。
【0011】
有利なことには、本発明の第2の観点に従う少なくとも1つの基本モジュールを含む電池は、該燃料電池の漏れ防止性を確実にする為に、圧縮手段、例えば従来技術のものなどを必要としない。特には、該アノード漏れ止めブリッジは、該燃料輸送器支持体を用いて該アノードチャンバに入った該燃料が、それが該アノードチャンバから漏れないことを確実にしながら、該アノードに到達することを確実にする。さらに、本発明の第2の観点に従う複数の基本モジュールを含む燃料電池内において、該アノード漏れ止めブリッジの合計質量は、従来技術の電池と同じ容積の、及び同じ数の基本モジュールを含む電池の圧縮を確実にする為に必要な手段の質量と比較して低い。従来技術の電池と同一の質量に対して、本発明の第2の観点に従う少なくとも1つの基本モジュールを含む電池は、従ってより高い単位質量当たり電力密度を有する。
【0012】
加えて、該酸化ユニットは、該アノードと接触する電解膜を含み得、該アノードは該アノードチャンバと該電解膜との間に配置され、及び任意選択で該アノードチャンバに面して配置された該アノードの1つの面と接触するアノード収集層を含みうる。
【0013】
さらに、該基本モジュールは、該酸化剤を含むカソード供給流をカソードチャンバ内に導入する為に好適な酸化剤輸送器支持体を含むカソードブロックを含み得、
該酸化ユニットは、該電解膜と接触して配置されたカソードを含み、該電解膜は該アノードと該カソードとの間に挟まれ、
該モジュールは、該カソードと該酸化剤輸送器支持体との間に、上記カソードチャンバを夫々画定するように構成されており、
該酸化ユニット及び該酸化剤輸送器支持体は、共に接合によって互いに取り付けられており、電気絶縁性接着剤を含むカソード取り付けブリッジを用いて互いに電気的に絶縁される。
【0014】
該基本モジュールは、該燃料輸送器支持体に取り付けられた該アノード電子コレクタを含むアノードブロックを含み得、該カソードブロックは、該酸化剤輸送器支持体に取り付けられたカソード電子コレクタを含み得、
該アノード電子コレクタ又は該カソード電子コレクタと該酸化ユニットは、共に接合によって取り付けられており、導電性接着剤を含む、アノード導電性ブリッジ又はカソード導電性ブリッジによって互いに電気的に接続されている。
【0015】
本発明はまた、本発明の第1及び第2の観点のいずれかに従う基本モジュール、又は積層方向に互いに積み重ねられた複数の基本モジュールを含む燃料電池に関し、該複数の基本モジュールのうちの少なくとも1つ、好ましくは全て、が本発明の第1及び/又は第2の観点それぞれに従う。
【0016】
本発明は、積層方向に互いに積み重ねられた複数の基本モジュールを含む燃料電池であって、
該複数の基本モジュールのうちの少なくとも1つ、好ましくは全て、が、
酸化剤による、好ましくは二酸素による、燃料の酸化、好ましくは二水素の酸化、によって電子を発生するように構成された酸化ユニットと、ここで、該酸化ユニットは、電解膜を挟んだアノード及びカソードを含む、
該燃料を含むアノード供給流をアノードチャンバに運ぶ為に好適な燃料輸送器支持体と、該燃料輸送器支持体に取り付けられたアノード電子コレクタとを含むアノードブロックと、
該酸化剤を含むカソード供給流をカソードチャンバに運ぶ為に好適な酸化剤輸送器支持体と、該酸化剤輸送器支持体に取り付けられたカソード電子コレクタとを含むカソードブロックと
を含み、
該少なくとも1つの基本モジュールは、該酸化ユニットと、該燃料輸送器支持体又は該酸化剤輸送器支持体との間に、該アノードチャンバ又は該カソードチャンバを夫々画定するように構成されており、
該アノードブロック又は該カソードブロック、及び該酸化ユニットは互いに取り付けられており、及び/又は該少なくとも1つの基本モジュールは、該燃料電池の該複数の基本モジュールのうちの該少なくとも1つの基本モジュールの組み立ての前に、該アノードブロック又は該カソードブロック及び該酸化ユニットが互いに取り付けられるようなものである、
上記燃料電池に関する。
【0017】
本発明に従う該燃料電池は、該基本モジュール同士の間の電気的接続、及び各基本モジュールの燃料漏れ防止性を確実にする為の圧縮手段を有しない。従って、それは、従来技術の同じ質量の燃料電池より高い単位質量当たり電力密度を有する。
【0018】
さらに、該燃料電池の基本モジュールは、上記基本モジュールの上に垂直に配置された他の基本モジュールの潜在的な重さ以外の外力によって圧縮されないので、上記基本モジュールは、上記基本モジュールに不具合がある場合に取り替えるのが容易である。特に、本明細書の以下でより明らかになるように、2つの隣り合う基本モジュールは、該積層方向に互いに分離されうる。該基本モジュールは従って、それを該積層方向に対して横断方向に滑らせることによって、該燃料電池から容易に抜き出されうる。基本モジュールは取り外し可能でありうる。
【0019】
本発明の目的の為に、2つの部材、例えば一方では、該アノードブロック又は該カソードブロック、及び他方では、該酸化ユニットは、他の部材が上記2つの部材を剛に接続するとき、互いに取り付けられている。例えば、上記他の部材は接着性ブリッジ、ねじ、又はリベットである。これに対して、例えば、それらの面に対する法線方向の圧縮力の印加によって一緒に保持された2つの平行なプレートのアセンブリは、本発明の目的の為の取付物を定義せず、なぜなら該プレートは特に、該圧縮力が取り除かれたとき、互いに対して移動されうるからである。
【0020】
好ましくは、該アノードブロック又は該カソードブロックと、該酸化ユニットとは、該アノードブロック又は該カソードブロックと、該酸化ユニットとの間に、少なくとも部分的に、又はさらには全体的に配置された取り付け部材を用いて互いに取り付けられている。
【0021】
取り付け部材は、導電性又は電気絶縁性接着剤を含み得、さらにはそれらから構成されうる。
【0022】
取り付け部材は、それの面の少なくとも1つによって、該アノードブロック又は該カソードブロックに、及び該酸化ユニットに取り付けられうる。好ましくは、それは、互いに反対側のそれの面の2つによって、該アノードブロック又は該カソードブロックに、及び該酸化ユニットに取り付けられている。
【0023】
該取り付け部材は、該アノードブロック又は該カソードブロックと、該酸化ユニットとの間に配置され得、アノード導電性ブリッジ又はカソード導電性ブリッジを画定するように、導電性接着剤を含みうる。
【0024】
該取り付け部材は、該カソードブロックと該酸化ユニットとの間に配置され得、カソード取り付けブリッジを画定するように、電気絶縁性接着剤を含みうる。
【0025】
該取り付け部材は、該アノードブロックと該酸化ユニットとの間に配置され得、アノード漏れ止めブリッジを画定するように、電気絶縁性接着剤を含みうる。
【0026】
好ましくは、該アノードブロック又は該カソードブロックと、該酸化ユニットとは、接合によって取り付けられており、導電性接着剤を含む、アノード導電性ブリッジ又はカソード導電性ブリッジを用いて互いに電気的に接続されている。
【0027】
好ましくは、該アノードブロック又は該カソードブロックは、該燃料輸送器支持体に取り付けられたアノード電子コレクタ、又は該酸化剤輸送器支持体に取り付けられたカソード電子コレクタを含み、該アノード導電性ブリッジと該アノード電子コレクタ、又は該カソード導電性ブリッジと該カソード電子コレクタは、共に接合によって取り付けられており、且つ互いに電気的に接続されている。
【0028】
好ましくは、該酸化ユニット及び該燃料輸送器支持体は、共に接合によって互いに取り付けられており、且つ燃料を洩らさない電気絶縁性接着剤を含むアノード漏れ止めブリッジを用いて互いに電気的に絶縁され、該アノード漏れ止めブリッジは、該アノードチャンバに運ばれた該アノード供給流が本質的に直接、該燃料輸送器支持体から該アノードに流れるように構成されている。
【0029】
最後に、本発明は特に、飛翔体、例えばドローン、自転車、及び発電機、例えばモバイルデバイスのセットを電気的に再充電する為の充電器から選択された装置に関し、上記装置は本発明に従う燃料電池を含む。
【0030】
上述の本発明いずれかの観点に従う該基本モジュール及び該燃料電池はまた、本明細書の以下で述べられる特徴の1以上を含みうる。
【0031】
好ましくは、基本モジュールは「平面状」であり、すなわちそれは全体として長手方向平面内に延在する。平面状基本モジュールは、燃料電池スタックを形成する為に特に好適である。特には、該基本モジュールは「細く」てよく、すなわち該基本モジュールの2つの反対側の該長手方向外面の間において、該長手方向平面に横断する方向に測定された、距離の平均値であるとして定義されるそれの厚さは、該長手方向平面内において測定された該基本モジュールの長さより、少なくとも50倍小さく、好ましくは少なくとも2500倍小さい。
【0032】
特には、該基本モジュールの長さ、及び/又は幅、及び/又は厚さは、それぞれ10mm~500mm、10mm~500mm、及び0.2mm~2mmでありうる。好ましくは、該基本モジュールの該反対側の長手方向外面は平行である。
【0033】
さらに、該酸化ブロックに燃料及び酸化剤が供給されたとき、それぞれアノード電子及びカソード電子と呼ばれる、該膜に面する該それぞれの反対側の該アノード及びカソードの面上の該酸化ユニットによって発生された電子は、それぞれ該アノード電子コレクタを経て、及び該カソード電子コレクタを経て通過する。より多くのアノード電子及び/又はカソード電子を収集し、それにより該基本モジュールのエネルギー収量を改善する為に、該酸化ユニットは好ましくは、該電解膜に面する面の反対側の該アノードの面上に配置されたアノード収集層、及び/又は該電解膜に面する面の反対側の該カソードの面上に配置されたカソード収集層を含む。
【0034】
好ましくは、該アノード収集層又は該カソード収集層は、該燃料輸送器支持体から、又は該酸化剤輸送器支持体から、該アノードチャンバによって、又は該カソードチャンバによって分離される。
【0035】
該アノード収集層及び/又は該カソード収集層は、薄膜の形であり得、好ましくは100μmの厚さを有し、それは該アノード供給流が該アノードに到達することを許すように、又は該カソード供給流が該カソードに到達することを許すように多孔質である。該アノード収集層及び/又は該カソード収集層はそれぞれ、3D印刷によって、又は真空蒸着、例えば化学気相成長法、又は物理気相成長法によって、該アノードの該面上及び/又は該カソードの該面上に堆積されうる。好ましくは、該アノード収集層及び/又は該カソード収集層は金属、好ましくは金、から形成される。
【0036】
特には、該アノード収集層は、それが覆う該アノードの該面の面積の50%~100%を占有してよく、及び/又は該カソード収集層は、それ覆う該カソードの該面の面積の50%~100%を占有しうる。
【0037】
該アノード導電性ブリッジ及びカソード導電性ブリッジに関して、それらは、それぞれ、該アノードから該アノード電子コレクタまでの該アノード電子の、及び該カソードから該カソード電子コレクタまでの該カソード電子の移動を許す。
【0038】
特には、該アノード導電性ブリッジは接合によって、該アノードに、及び/又は該アノード収集層に、及び/又は該電解膜に取り付けられうる。該カソード導電性ブリッジとしては接合によって、該カソードに、及び/又は該カソード収集層に、及び/又は該電解膜に取り付けられうる。
【0039】
該アノード導電性ブリッジは、該アノードチャンバを部分的に、及び特には上記アノードチャンバの特に横断方向に延在する壁面を少なくとも部分的に、又はさらには全く画定するように、該アノードと該燃料輸送器支持体との間に配置されうる。該カソード導電性ブリッジとしては、該カソードチャンバを部分的に、及び特には上記カソードチャンバの特に横断方向に延在する壁面を少なくとも部分的に、又はさらには全く画定するように、該カソードと該酸化剤輸送器支持体との間に配置されうる。
【0040】
好ましくは、該アノード導電性ブリッジは、該酸化ブロックと該アノード電子コレクタとの間に挟まれ、及び/又は該カソード導電性ブリッジは、該酸化ブロックと該カソード電子コレクタとの間に挟まれる。
【0041】
好ましくは、該アノード導電性ブリッジ及び/又は該カソード導電性ブリッジは、該アノード電子コレクタ及び/又は該カソード電子コレクタをそれぞれ少なくとも部分的に、又はさらには全体的に覆う。このようにして、該アノードと該アノード電子コレクタとの間、及び/又は該カソードと該カソード電子コレクタとの間の電子移動は最適となる。
【0042】
該アノード導電性ブリッジ及び/又は該カソード導電性ブリッジは、様々な形でありうる。それらはそれぞれ、少なくとも1つのスタッド、又は少なくとも1つの連続の又は不連続なストリップ、又は2つの垂直な方向に延在する少なくとも1つの面の形でありうる。
【0043】
該スタッド又はストリップは、規則的な、又は周期的パターンを形成しうる。例えば、該スタッドは、正方形パターンの2つの垂直な方向における周期的反復によって形成される網状構造に、及び該網状構造の該パターンの1つの各頂点に、配置されうる。スタッドは、直角柱の、特に正方形又は矩形の底面を有する形、又は軸対称な円柱の形でありうる。該角柱の母線に垂直な方向の最も長い長さに対応する、該スタッドの直径は、0.1mm~10mmでありうる。該アノード導電性ブリッジ及び/又は該カソード導電性ブリッジが少なくとも1つのストリップの形である変形形態において、該ストリップの好ましくは少なくとも1つ、好ましくはそれぞれの幅は、0.1mm~10mmである。
【0044】
特には、該アノード導電性ブリッジの該突出部の面積と、該燃料輸送器支持体の該突出部の面積との比は、1%~50%であり得、及び/又は該カソード導電性ブリッジの該突出部の面積と、該燃料輸送器支持体の該突出部の面積との比は、1%~50%であり得、上記突出部は、該基本モジュールがその上に延在する該長手方向平面上に、及び上記長手方向平面に対して横断方向に作られる。
【0045】
該アノード導電性ブリッジ及び/又は該カソード導電性ブリッジは、1μm~100μmの厚さを有しうる。特には、該アノード導電性ブリッジは、それが配置された該アノードの面から突出してよく、及び/又は該カソード導電性ブリッジは、それが配置された該カソードの面から突出しうる。
【0046】
さらに、該アノード導電性ブリッジ又は該カソード導電性ブリッジが少なくとも1つの不連続なストリップである変形形態において、該ストリップの該2つの部分の間に画定され、該ストリップの側面に平行な平面の間に延在する空間は、少なくとも部分的に、又はさらには全く、アノード絶縁ブリッジ又はカソード絶縁ブリッジによって満たされる。該アノード導電性ブリッジ及び該アノード絶縁ブリッジは、該アノードチャンバの横断壁面を少なくとも部分的に画定してよく、例えば該アノードチャンバを全体的に取り囲み、及び/又は該カソード導電性ブリッジ及び該カソード絶縁ブリッジは、該カソードチャンバの横断壁面を少なくとも部分的に画定してよく、例えば該カソードチャンバを全体的に取り囲む。
【0047】
該アノード導電性ブリッジ及び/又は該カソード導電性ブリッジは、それぞれ該アノードブロック上及び/又は該カソードブロック上に、又は該酸化ユニット上に、例えばスクリーン印刷によって、噴霧によって、又は分注によって、導電性接着剤を含む接着材を用いた印刷によって形成されうる。
【0048】
該アノード導電性ブリッジ及び該カソード導電性ブリッジは、それぞれ導電性接着剤を含む。
【0049】
該導電性接着剤は特に、異方性の導電率を有しうる。好ましくは、該アノード導電性ブリッジ又は該カソード導電性ブリッジは、該導電性接着剤の最も大きな導電率の方向が、該アノード導電性ブリッジ又は該カソード導電性ブリッジの厚さに対する法線方向に平行となる。
【0050】
好ましくは、該導電性接着剤は、カーボン粒子、例えばグラフェンの形でのカーボン粒子及び/又は金属粒子がその中に分散されたポリマー樹脂を含む。好ましくは、該金属粒子は、銀、金、及びそれらの合金から選択された金属を含み若しくはそれらからなり、又は、カーボンコーティング、若しくは金属コーティング、好ましくは金、銀、及びそれらの合金から選択された金属から作られた金属コーティング、によって覆われた金属コア、好ましくは銅及びニッケル及びそれらの合金から選択された金属、から作られた金属コアから形成される。
【0051】
特には、該アノード導電性ブリッジの該導電性接着剤は、該カソード導電性ブリッジの該導電性接着剤と同一であってもよく又は異なっていてもよい。
【0052】
例えば、例として、該接着剤はTra-Con社によって販売されるTRA-DUCT 2902でありうる。
【0053】
その部分については、該酸化ユニットは好ましくは、該アノードブロックと該カソードブロックとの間に配置されている。
【0054】
好ましくは、該酸化ユニットは、該長手方向平面に平行な、又はそれと一致した平面内に延在する。特には、該酸化ユニットは複合プレートの形であり得、及び/又は該アノード、カソード、及び電解膜のそれぞれは、該長手方向平面に平行な平面内に延在するプレートの形でありうる。
【0055】
特には、該酸化ユニットの厚さは、0.01mm以上及び/又は0.5mm以下でありうる。
【0056】
好ましくは、該アノード及び/又は該カソードは該電解膜に、例えば該アノード又は該カソード、及び/又は該膜上に噴霧することによって堆積され、白金炭素(C/Pt)に基づく触媒を含むインクを乾燥させることによって、取り付けられている。
【0057】
該アノードはC/Pt及びNafionの混合物を含み得、さらにはそれからなってよく、及び/又は該膜は少なくとも部分的に、又はさらには全くNafionから形成され得、及び/又は該カソードはC/Pt及びNafionの混合物を含み得、さらにはそれからなりうる。
【0058】
さらに、該燃料輸送器支持体及び該酸化剤輸送器支持体に関して、好ましくはそれらの少なくとも1つ、好ましくはそれらの両方は、該長手方向平面に平行な平面内に延在する。
【0059】
好ましくは、該燃料輸送器支持体及び/又は該酸化剤輸送器支持体は、それぞれプレートの形でありうる。このような燃料輸送器支持体及び/又は酸化剤輸送器支持体は、従って製造するのに容易で、迅速であり、及び費用がかからない。
【0060】
該燃料輸送器支持体及び該酸化剤輸送器支持体はそれぞれ、該燃料を含む該アノード供給流を該アノードチャンバ内に、該酸化剤を含む該カソード供給流を該カソードチャンバ内に導入するように構成されている。好ましくは、該酸化剤輸送器支持体又は該燃料輸送器支持体は、該燃料及び該酸化剤が該燃料輸送器支持体又は該酸化剤輸送器支持体を全体的に通過することができるように、多孔質である。この目的の為に、該燃料輸送器支持体及び/又は該酸化剤輸送器支持体は、それらのそれぞれの厚さにおいて、該燃料輸送器支持体及び/又は該酸化剤輸送器支持体を貫通する穴、例えば穿孔を含みうる。変形形態として、該燃料輸送器支持体及び/又は該酸化剤輸送器支持体はそれぞれ、少なくともそれの厚さ方向において開いた及び浸透性の多孔性を有する発泡体の形でありうる。このようにして、該アノード供給流及び/又は該カソード供給流は、それぞれ該燃料輸送器支持体及び/又は該酸化剤輸送器支持体の厚さ内を流れることができる。
【0061】
好ましくは、該燃料輸送器支持体及び/又は該酸化剤輸送器支持体は、電気絶縁性材料から作られる。
【0062】
該燃料輸送器支持体及び該酸化剤輸送器支持体は、ポリマー材料、例えば特にポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、FR4、カプトン、及びそれらの混合物から選択された熱可塑性プラスチックを含み得、さらにはそれからなりうる。
【0063】
一変形形態において、該燃料輸送器支持体及び/又は該酸化剤輸送器支持体は、平坦な格子の形でありうる。好ましくは、該アノードチャンバ又は該カソードチャンバに面する該格子の面は、該アノード電子コレクタ又は該カソード電子コレクタを画定する電気絶縁性フィルム及び導電性金属フィルムから形成されるアセンブリによって少なくとも部分的に、又はさらには好ましくは全体的に覆われる。好ましくは、該電気絶縁性フィルム及び任意選択で該導電性フィルムは、それの厚さ内での該燃料又は該酸化剤の輸送を許すように、多孔質である。好ましくは、該電気絶縁性フィルムの厚さ及び/又は該導電性フィルムの厚さは、10μm~500μmである。好ましくは、該導電性フィルム及び該電気絶縁性フィルムは、該アノードチャンバ又は該カソードチャンバに面する該格子の該面の、好ましくは重ね合わされない、異なる部分を覆う。例えば、該アノード導電性ブリッジは、該アノード電子コレクタを形成する該燃料輸送器支持体の該導電性フィルムに接合によって取り付けられており、及び該カソード導電性ブリッジは、該カソード電子コレクタを形成する該酸化剤輸送器支持体の該導電性フィルムに接合によって取り付けられている。好ましくは、該アノード導電性ブリッジ及び/又は該カソード導電性ブリッジは、該燃料輸送器支持体又は該酸化剤輸送器支持体の該電気絶縁性又は導電性フィルムからある距離に配置されている。
【0064】
前述のように、アノード電子コレクタ及びカソード電子コレクタは、該燃料輸送器支持体及び該酸化剤輸送器支持体に、好ましくは接合によって取り付けられている。該アノード電子コレクタの又は該カソード電子コレクタの少なくとも1つの端部は、例えば横方向に、該基本モジュールから突出し得、該基本モジュールを電気器具、又は他の基本モジュール、例えば複数の基本モジュールを含む燃料電池の基本モジュールのスタックの連続した基本モジュールに接続するように、再接触コネクタに電気的に接続されうる。
【0065】
一つの実施態様において、該アノード電子コレクタは該燃料輸送器支持体上に印刷され得、及び/又は該カソード電子コレクタは該酸化剤輸送器支持体上に印刷され得、このようにしてアノードブロック又はカソードブロックを形成する。このようにして形成された該アノードブロック及び/又は該カソードブロックは印刷回路の形となり、これは該基本モジュールの製造、及び特に該基本モジュールの該構成要素の組み立ての間の、該酸化ユニットに対する上記燃料及び酸化剤輸送器支持体の相対的位置決め、を容易にする。
【0066】
好ましくは、該アノード電子コレクタ及び/又は該カソード電子コレクタは、少なくとも部分的に、互いに相隔てられたストリップの形であり、好ましくは規則的な、又は周期的パターン、例えばグリッド、を形成する。例えば、1以上の該ストリップは、該長手方向平面内を横方向に、及び特に該基本モジュールの2つの反対側の側面の間を延在する。
【0067】
さらに、該アノード電子コレクタの該突出部の面積Sと、該燃料輸送器支持体の該突出部の面積Sとの比Rは、好ましくは0.01~0.50であり、及び/又は該カソード電子コレクタの該突出部の面積S’と、該燃料輸送器支持体の該突出部の面積S’との比R’は、0.01~0.50であり、上記突出部は、該長手方向平面上に、且つ上記長手方向平面に対して横断方向に作られる。比R及びR’は、同一であってもよく又は異なっていてもよい。
【0068】
このようにして、一方で該アノード電子コレクタ及び/又は該カソード電子コレクタと、他方で該酸化ユニットとの間の接触抵抗は低減される。
【0069】
好ましくは、該アノード電子コレクタ又は該カソード電子コレクタは、好ましくは横断方向に、該燃料輸送器支持体の該面からそれぞれ、それが取り付けられている該酸化剤輸送器支持体の厚さに突出し、上記突出部の高さは、例えば該アノード電子コレクタ又は該カソード電子コレクタの厚さに等しい。該アノード電子コレクタ又は該カソード電子コレクタはこのようにして、該燃料輸送器支持体又は該酸化剤輸送器支持体を該酸化ユニットから分離するスペーサを少なくとも部分的に画定し、上記スペーサは、該アノードチャンバ又は該カソードチャンバを部分的に画定する。
【0070】
好ましくは、該アノード電子コレクタの厚さ及び/又は該カソード電子コレクタの厚さは、100μm未満である。
【0071】
該アノード電子コレクタ及び/又は該カソード電子コレクタは好ましくは、金属性であり、特にそれらの質量の99.0%より多くの、カーボン、及び/又は銀、タンタル、モリブデン、銅、及びそれらの合金から選択された金属を含みうる。このような金属又は合金は、該アノード及びカソード上で収集された電子を容易に伝導する。一変形形態において、該アノード電子コレクタ及び/又は該カソード電子コレクタは、該燃料輸送器支持体又は該酸化剤輸送器支持体に取り付けられた、上記金属から形成された層を含み得、該層は別の金属から、又は層の重ね合わせによって形成された保護用及び導電性フィルムによって覆われ、各層は該フィルムの他の層のものとは異なる金属から作られ、上記フィルムは場合によっては10μm未満の厚さを有する。
【0072】
さらに、前に述べられたように、該基本モジュールは、アノード絶縁ブリッジ及び/又はカソード絶縁ブリッジを含み得、該カソード絶縁ブリッジは、少なくとも1つの電気絶縁性材料から形成される。好ましくは、該アノード絶縁ブリッジは、該酸化ユニットと該アノード電子コレクタとの間に配置されている。それは、該酸化ユニット及び該アノード電子コレクタに直接接触しうる。好ましくは、該カソード絶縁ブリッジは、該酸化ユニットと該カソード電子コレクタとの間に配置されている。それは、該酸化ユニット及び該カソード電子コレクタに直接接触しうる。
【0073】
好ましくは、該アノード絶縁ブリッジ及び/又は該カソード絶縁ブリッジは、薄膜の形であり、例えば1μm~100μmの厚さを有する。好ましくは、該アノード絶縁ブリッジ及び/又は該カソード絶縁ブリッジはそれぞれ、該酸化ユニットに面する該アノード電子コレクタの面の一部分上、及び/又は該酸化ユニットに面する該カソード電子コレクタの面の一部分上に配置されており、上記部分は、該アノード導電性ブリッジ及び/又は該カソード導電性ブリッジによって覆われた部分とは異なる。該アノード絶縁ブリッジ又は該カソード絶縁ブリッジは、従って該アノード導電性ブリッジ又は該カソード導電性ブリッジによって覆われていない、該アノード電子コレクタ又は該カソード電子コレクタの面の部分を保護する。
【0074】
特に、該アノード絶縁ブリッジ及び/又は該カソード絶縁ブリッジは、1以上の断続したストリップ、スタッドの形であり得、特に規則的なパターン、例えばグリッド、を形成しうる。
【0075】
該アノードチャンバ又は該カソードチャンバとしては、好ましくは、該燃料輸送器支持体又は酸化剤輸送器支持体と、該酸化ユニットとの間に配置されている。
【0076】
好ましくは、該アノードチャンバ及び/又は該カソードチャンバは、該長手方向平面に平行な平面内に延在する。好ましくは、該アノードチャンバは、以下によって少なくとも部分的に、又はさらには全体的に画定される:
該電解膜と接触する面に反対側の該アノードの外面であり、好ましくは該長手方向平面に平行な平面内に延在する、
該アノードの該外面に面する該燃料輸送器支持体の面であり、好ましくは該長手方向平面に平行な平面内に延在する、
該アノード漏れ止めブリッジ。
【0077】
該アノードチャンバは、それに燃料が供給されたとき、該チャンバ内の燃料圧力が大気圧より大きくなるように構成されており、これは該酸化ユニット内の効率的な酸化反応を確実にすることを可能にする。好ましくは、該アノード漏れ止めブリッジは、該アノードブロックと該酸化ユニットとの間に該長手方向平面に対して横断して延び、該長手方向平面に平行な平面内で該アノードチャンバを好ましくは全体的に取り囲む、燃料漏れ防止シールを画定する。このようにして、該アノード漏れ止めブリッジは、該長手方向平面内に含まれる方向の該燃料の流れによって、該アノードチャンバからの燃料漏れを低減する。
【0078】
好ましくは、該アノード導電性ブリッジ及び/又は該アノード漏れ止めブリッジは、該燃料圧力が0.1バール~5バールであるとき、該酸化ユニットの該アノードブロックからの脱離を防止するように構成されている。当業者は、どのように該燃料を洩らさない電気絶縁性接着剤及び/又は該導電性接着剤の特性を決定し、この目的の為に該アノード導電性ブリッジ及び/又は該アノード漏れ止めブリッジの寸法を定義するかを容易に理解する。
【0079】
好ましくは、該アノード漏れ止めブリッジは接合によって、該アノード及び/又は該アノード収集層及び/又は該電解膜に取り付けられている。該アノード漏れ止めブリッジは、特に該燃料を洩らさない電気絶縁性接着剤を含む接着材を用いて、特にスクリーン印刷によって、印刷する、又は噴霧する、又は分注する、又は接着性フィルムを貼り付けることによって得られうる。
【0080】
該燃料を洩らさない電気絶縁性接着剤は、特にポリウレタンタイプ又はエポキシタイプ接着剤から選択されうる。例えば、それはIntertronics社によって販売される接着材IRS 2125でありうる。
【0081】
アノード漏れ止めブリッジは、様々な形でありうる。それは好ましくは連続のストリップの形であり、好ましくはそれ自体上で閉じられ、該アノードチャンバの該反対側の長手方向面のそれぞれと接触する。
【0082】
さらに、該基本モジュールは該燃料を含む為の内容積を有した貯蔵槽を含み得、該アノードチャンバは、該燃料輸送器支持体を用いて、該貯蔵槽の内容積と流体的に通じる。従って、該貯蔵槽は、該アノードチャンバへの該燃料の供給を確実にする為の予備燃料を画定する。
【0083】
好ましくは、該燃料輸送器支持体は該貯蔵槽の壁面を画定する。一つの実施態様において、該貯蔵槽及び該燃料輸送器支持体は一体構造のブロックを形成しうる。
【0084】
好ましくは、該貯蔵槽は、例えばパイプを用いて、燃料供給ポンプに、又は燃料発生カートリッジ、例えば水素化物の加水分解によって二水素を発生させる為のカートリッジに、接続されるように構成された充填オリフィスを含む。好ましくは、該充填オリフィスがその中に密閉して閉じられる該基本モジュールの構成において、該貯蔵槽の内容積及び該アノードチャンバの容積によって形成される該アセンブリは、密閉して閉じられ、燃料漏れ防止性である。
【0085】
一つの実施態様において、該酸化剤輸送器支持体及び該酸化ユニットは、共に接合によって互いに取り付けられており、且つ電気絶縁性接着剤を含むカソード取り付けブリッジを用いて互いに電気的に絶縁されうる。該カソード取り付けブリッジの該電気絶縁性接着剤は、該アノード漏れ止めブリッジの該電気絶縁性接着剤と同一であってもよく又は異なっていてもよい。
【0086】
このようにして、該カソード取り付けブリッジ及び/又は該カソード導電性ブリッジは、少なくとも部分的に、好ましくは全体的に、該酸化剤輸送器支持体と該電解ユニットとの間の接続の機械的強度を確実にする。
【0087】
さらに、好ましくは、該カソード取り付けブリッジは、該カソードチャンバの横断壁面を画定してよく、これは酸化剤漏れ防止シールを画定するようにそれ自体で閉じられてよく、又はこれに対して、該カソードチャンバからの又はそれへの該酸化剤の流れを容易にするように開口を有しうる。
【0088】
さらに、該基本モジュールは、同じ電解膜を共有し、且つ好ましくは平面状構成で配置された、複数の電解ユニットを含みうる。変形形態として、それは単一の電解ユニットを含みうる。
【0089】
該基本モジュールはまた、好ましくは該アノードチャンバに面する面の反対側の該酸化剤輸送器支持体の面上に配置されており、多孔質格子によって覆われた、ガス拡散層を含みうる。該ガス拡散層及び該格子は、電気を発生させる為に好適な湿度のレベルを維持することに関与する。ガス拡散層は、電気絶縁性であり得、又はこれに対して、導電性でありうる。それは親水性、又はこれに対して、疎水性でありうる。該多孔質格子は金属性で、任意選択で電気絶縁性材料で覆われてよく、又はプラスチックから作られうる。
【0090】
該基本モジュールは、1W~500Wの電力を発生させるように構成されうる。
【0091】
該基本モジュールの質量は、1g~1000gでありうる。
【0092】
該燃料電池に関して、好ましくは、該複数のモジュールの各基本モジュールは、該積層方向に斜めのまたは垂直である長手方向平面内に延在し、それは好ましくは該積層方向に垂直である長手方向平面内に延在する。
【0093】
該電池の該基本モジュールは、直列に又は並列に互いに電気的に接続されうる。
【0094】
該電池は少なくとも2個、少なくとも10個、少なくとも20個、の基本モジュールを含みうる。
【0095】
好ましくは、該燃料電池は、該複数の基本モジュールを圧縮する手段を有しない。特には、該燃料電池は、該スタックの反対側の端部に配置された、特に少なくとも1つの圧縮部材に接続されたエンドプレートをもたなくてよい。
【0096】
例えば、該スタックは、該積層方向に次々に配置された複数の小仕切りを含む棚の形のシャーシを含み得、各小仕切りは該積層方向に対して横断平面内に延在する。好ましくは、少なくとも1つ、さらには、好ましくは幾つかの小仕切りが、少なくとも1つの基本モジュールをそれぞれ収容するように構成されている。特には、該スタックの少なくとも2つの連続したモジュールは互いに分離されうる。このようにして、該スタックの該基本モジュールは互いの上に載っているのではなく、各基本モジュールの重さは該シャーシによって支持される。従って不具合のある基本モジュールの置き換えが容易になる。
【0097】
一つの実施態様において、該基本モジュールは、該積層方向に、規則的な、特に周期的な形で、互いに相隔てられうる。
【0098】
さらに、好ましくは、該スタックの少なくとも2つの連続したモジュールは、該積層方向に頭尾結合の形で配置されている。本明細書の以下で詳述されるように、この配置は、基本モジュールの該スタックに燃料及び/又は酸化剤を供給する必要がある部材の数を制限することを可能にする。
【0099】
さらに、該電池は、該少なくとも1つの基本モジュールによる電気エネルギーの発生を確実にする為に、該酸化剤供給流を発生させる為の少なくとも1つの手段、及び任意選択で該燃料供給流を発生させる為の手段を含みうる。それはまた、該燃料の該酸化反応の間に該少なくとも1つの基本モジュールによって発生される熱を、対流的交換によって回収するように、冷却流を発生させる為の少なくとも1つの手段、例えばファンを含みうる。
【0100】
好ましくは、該酸化剤を含む該カソード供給流を少なくとも1つの基本モジュールに運ぶように構成された少なくとも1つのカソード供給流路、及び/又は該少なくとも1つの基本モジュールと対流によって熱を交換するように、熱移送流体、好ましくは空気、を含む冷却流を運ぶように構成された少なくとも1つの冷却流路と、を画定するように該電池が構成されている。
【0101】
特には、該カソード供給流路及び/又は該冷却流路は、それらの間に該カソード供給流路及び/又は該冷却流路がそれぞれ配置されている、該基本モジュールがそれに沿って延在する、該長手方向平面に平行な平面内に含まれた方向に延在する、管状形状を有しうる。好ましくは、該カソード供給流路は、好ましくは該電池に反対側の、該積層方向に平行な2つの側面によって、及び上記流路がそれらの間に配置された該基本モジュールに面した側面によって画定される。該カソード供給流路及び/又は該冷却流路の該管状形状の関連付けられた圧力損失は低く、該燃料電池はそれぞれ該カソード供給流及び/又は該冷却流を発生させる為の手段はなくてよい。
【0102】
変形形態として、該カソード供給流路及び/又は該冷却流路は、湾曲した部分によって接続された複数の管部分を含む形を有しうる。該管部分は、例えば、該電池の反対側の側面の間を行き来しうる。このような湾曲した形は、特に該冷却流路内の熱交換を促進する。変形形態として、該カソード供給流路及び/又は該冷却流路はそれぞれ、それぞれ上記カソード供給流路及び/又は上記冷却流路の該入口開口と出口開口との間に延在する複数のコイルから形成されてよく、該コイルは互いに平行である。他の変形形態において、該カソード供給流路は複数の管から形成され、2つの隣接する管は共通の壁を共有する。特には、該複数の管は互いに平行であり得、2つの隣り合う基本モジュールに面する面の間に配置されうる。カソード供給流路及び/又は冷却流路のこのような形は、それぞれ酸化剤の供給及び/又は熱交換を促進する。好ましくは、該カソード供給流路内及び/又は該冷却流路内の複数の内壁及び/又は湾曲の存在に関連付けられた圧力損失を補償する為に、該燃料電池は、好ましくは圧縮器を含む、それぞれカソード供給流発生器及び/又は冷却流発生器を含みうる。
【0103】
特には、該冷却流発生器及び/又は該カソード供給流発生器は、ファン、特に軸流又はラジアルファン、タービン、及び圧縮器から選択されうる。
【0104】
該酸化剤が二酸素である好ましい変形形態において、該カソード供給流は好ましくは空気の流れである。特には、該冷却流発生器及び/又は該カソード供給流発生器は、連続の方式で、又はパルス幅変調(PWM)モードで空気を抜き出す、又は吹き付けることによって機能しうる。
【0105】
さらに、該電池は、1以上の冷却流発生器及び/又は1以上のカソード供給流発生器を含みうる。例えば、該燃料電池は、複数の冷却流発生器を、該複数の発生器のそれぞれが2つの基本モジュールから形成される単一の対を供給するように、含みうる。
【0106】
好ましくは、該少なくとも1つの基本モジュールは、該カソード供給流路と該冷却流路との間に配置されている。好ましくは、該カソード供給流路は、該冷却流路が延在する延在方向に、斜め(oblique)の延在方向に、好ましくはそれに垂直な方向に、延在する。好ましくは、該カソード供給流路と該冷却流路とがその中で全体に延在する複数の平面は異なり且つ平行であり、好ましくは該積層方向に垂直である。
【0107】
好ましくは、該カソード供給流路は、該カソード供給流の電池入口での又は電池出口での流れの為に、少なくとも1つの入口開口又は少なくとも1つの出口開口を有し、及び、該冷却流路は、該冷却流の電池入口又は電気出口の流れの為に、少なくとも1つの入口開口又は少なくとも1つ出口開口を有し、該電池入口及び出口カソード供給流が、該電池入口及び出口冷却流の流れの少なくとも1つの方向に対して、少なくとも1つの斜めの方向、好ましくは垂直な方に流れるように、上記カソード供給流路及び冷却流路の該入口開口及び出口開口が構成されている。
【0108】
好ましくは、該電池入口及び出口カソード供給流の流れの方向、及び該冷却流の流れの方向が、好ましくは該積層方向に垂直である、異なる且つ平行な複数の平面内に含まれるように、上記カソード供給流路及び冷却流路の該入口開口及び出口開口が構成されている。
【0109】
3つの直前の段落で述べられた特徴のいずれか1つによって、該電池のエネルギー収量に悪影響を及ぼしうる、該カソード供給流と該冷却流との間の相互作用のリスクがこのようにして制限される。
【0110】
上記カソード供給流路及び冷却流路の該入口開口及び出口開口は、様々な形状を有しうる。例えば、それらは円形、矩形、正方形、又は楕円形の外形を有する。
【0111】
さらに、該冷却流路及び/又は該カソード供給流路は、幾つかの入口開口及び/又は幾つかの出口開口を有しうる。
【0112】
該冷却流路の該入口開口の形状及び/又はサイズは、該冷却流路の該出口開口の形状及び/又はサイズと同一であってもよく又は異なっていてもよい。該カソード供給流路の該入口開口の形状及び/又はサイズは、該カソード供給流路の該出口開口の形状及び/又はサイズと同一であってもよく又は異なっていてもよい。
【0113】
該冷却流路の該入口及び出口開口の形状及び/又はサイズは、該カソード供給流路の該入口及び出口開口の形状及び/又はサイズと同一であってもよく又は異なっていてもよい。
【0114】
さらに、該カソード供給流路は、該積層方向において該複数の基本モジュールのうちの少なくとも2つの隣り合う基本モジュールの夫々のカソードブロックの間に配置されてよく、上記2つの夫々の基本モジュールのそれぞれの該酸化剤輸送器支持体に該カソード供給流を運ぶように構成され得、及び/又は
該冷却流路は、該積層方向において該複数の基本モジュールのうちの少なくとも2つの隣り合う基本モジュールの間に配置され得、上記2つの基本モジュールと対流によって熱を交換するように、該冷却流を運ぶように構成されている。従って、カソード供給流路は幾つかの基本モジュールに供給してよく、及び/又は冷却流路は幾つかの基本モジュールと熱を交換しうる。該燃料電池の該酸化剤供給手段及び該冷却手段の質量は、このようにして制限される。
【0115】
さらに、該燃料電池は好ましくは以下を含む:
複数のカソード供給流路、ここで、各カソード供給流路が、少なくとも1つの基本モジュールにカソード供給流を供給するように構成されている、
該複数のカソード供給流路のうちの1つの流路内に配置され且つ湿度、温度及び圧力から選択された少なくとも1つのカソード供給特性を測定するように構成されたカソード供給プローブと、
該複数のカソード供給流路のうちの上記1つの流路又は他の流路内を運ばれることになる該カソード供給流を発生させるように構成されたカソード供給流発生器と、
上記カソード供給流発生器を制御する為のユニットと、それは,該カソード供給特性の測定値の関数として、上記1つの流路内を運ばれることになる上記カソード供給流及び/又は該他の流路内を運ばれることになる上記カソード供給流の少なくとも1つのパラメータを調整するように構成されている。
【0116】
上記カソード供給流の該少なくとも1つのパラメータは、該カソード供給流発生器出口での温度、圧力、流量、該カソード供給流の速度、及びそれらの組み合わせから選択されうる。
【0117】
好ましくは、該燃料電池は以下を含む:
複数の冷却流路と、ここで、各冷却流路は、該少なくとも1つの基本モジュールと対流によって熱を交換するように、冷却流を運ぶように構成されている、
該複数の冷却流路のうちの1つの流路内に配置され、且つ湿度、温度、及び圧力から選択された少なくとも1つの冷却特性を測定するように構成された冷却プローブと、
該複数の冷却流路のうちの上記1つの流路内又は他の流路内を運ばれることになる該冷却流を発生させるように構成された冷却流発生器と、及び
上記冷却流発生器を制御する為のユニットと、それは、該冷却特性の測定値の関数として、上記1つの流路内を運ばれることになる上記冷却流及び/又は上記他の流路内を運ばれることになる上記冷却流の少なくとも1つのパラメータを調整するように構成されている。
【0118】
このようにして、各基本モジュールの該酸化ユニットの温度は、例えば限られた数のセンサを用いて、特には単一のセンサ、を用いて調整される。
【0119】
上記冷却流の該少なくとも1つのパラメータは、該冷却流発生器出口での温度、圧力、流量、該冷却流の速度、及びそれらの組み合わせから選択されうる。
【0120】
さらに、該燃料電池は、該カソード供給プローブがその中に配置された該カソード供給流路と流体的に通じる基本モジュール内に配置されており及び/又は該冷却プローブがその中に配置された該冷却流路内を流れる冷却流と対流によって熱を交換する能力を有するところのセンサを含み得、上記センサは、該電池の内部抵抗、該電池の分極抵抗、又は該電池の全抵抗から選択された電気抵抗を測定するように構成されている。好ましくは、上記カソード供給流発生器を制御する為の該ユニットは、該カソード供給特性の測定値及び該電気抵抗の測定値の関数として、上記1つの流路内を運ばれることになる上記カソード供給流及び/又は他の流路内を運ばれることになる上記カソード供給流の少なくとも1つのパラメータを調整するように構成されており、及び/又は上記冷却流発生器を制御する為の該ユニットは、該冷却特性の測定値及び該電気抵抗の測定値の関数として、上記1つの冷却流路内を運ばれることになる上記冷却流及び/又は他の冷却流路内を運ばれることになる上記冷却流の少なくとも1つのパラメータを調整するように構成されている。
【0121】
一つの実施態様において、該燃料電池は、該カソード供給流路及び/又は該冷却流路の該入口における流量を制限するように構成された、少なくとも1つの隔膜及び/又は少なくとも1つのフラップを含む。例えば、該燃料電池が飛翔体内に配置された変形形態において、該飛翔体の飛行の間の空気の動きは、該電池の挙動を変更しうる偽の流れの形成を生じうる。そのような実施態様において、カソード供給流及び/又は冷却流を発生させる為の1つの手段は、該飛翔体の動きでありうる。好ましくは、全ての該フラップ及び/又は隔膜は、該フラップ及び/又は隔膜を同じ開いた又は閉じた構成に置くように構成された、単一のフラップ及び/又は隔膜制御モジュールによって制御される。該フラップ及び/又は隔膜は全て、該電池の側面に面して配置されうる。特には、該冷却流路開口に面して配置された該フラップ及び/又は隔膜は、該カソード供給流路開口に面して配置された該フラップ及び/又は隔膜に面して配置されうる。一変形形態において、フラップ及び/又は隔膜は、他の側面上に、特に反対側の面上に配置されうる。
【0122】
それの寸法に関して、該電池は、20mm~600mmの高さ、及び/又は20mm~600mmの幅、及び/又は20mm~600mmの深さを有しうる。
【0123】
最後に、該燃料電池の質量は、0.01kg~10kgでありうる。該燃料電池は、1W~50kWの電力を発生させるように構成されている。
【0124】
好ましくは、該電池は、100W・kg-1~5000W・kg-1の単位質量当たり電力密度を有する。
【0125】
本発明はまた、本発明に従う燃料電池を製造する為の方法であって、好ましくは本発明の第1及び第2の観点のいずれかに従う少なくとも1つの基本モジュールを製造する工程を含み、該基本モジュールを製造する該工程は、酸化ユニットへのアノードブロックの又はカソードブロックの取り付け、好ましくは接合、を含む上記方法に関する。
【0126】
好ましくは、少なくとも2個、好ましくは少なくとも10個、の基本モジュールが製造され、そして該基本モジュールが積層方向に互いに積み重ねられる。
【0127】
好ましくは、少なくとも1つの接着剤組成物が、該アノードブロック上又は該カソードブロック上、及び/又は該酸化ユニット上に堆積され、次に、該アノードブロック又は該カソードブロックは該アノードブロック又は該カソードブロックに、及び該酸化ユニットに剛に取り付けられた接着剤取り付けブリッジを形成するように、該酸化ユニットと組み立てられる。
【0128】
該接着剤組成物は、液体又は固体の形態を有しうる。
【0129】
本発明の他の特徴及び利点はまた、以下の詳しい説明を読むことにより、及び添付の図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0130】
図1図1は、本発明に従う基本モジュールの異なる実装変形形態を断面図において概略的に表す図である。
図2図2は、本発明に従う基本モジュールの異なる実装変形形態を断面図において概略的に表す図である。
図3図3は、本発明に従う基本モジュールの異なる実装変形形態を断面図において概略的に表す図である。
図4図4は、本発明に従う基本モジュールの異なる実装変形形態を断面図において概略的に表す図である。
図5図5は、本発明に従う基本モジュールの異なる実装変形形態を断面図において概略的に表す図である。
図6図6は、該基本モジュールの該積層方向に沿った断面図において、本発明に従う複数の基本モジュールを含む燃料電池を概略的に表す図である。
図7図7は、本発明に従う燃料電池の透視図による変形形態を概略的に表す図である。
図8図8は、本発明に従う燃料電池の透視図による変形形態を概略的に表す図である。
図9図9は、本発明に従う燃料電池の透視図による変形形態を概略的に表す図である。
図10図10は、本発明の一つの実施態様に従う電池の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0131】
様々な図において、同一の又は同様の部材を表す為に、同一の参照番号が用いられる。
【0132】
図1の基本モジュール5は、長手方向Xを包含する長手方向平面Pに延在する。それはアノード15から、電解膜20から、及びカソード25から連続的に構成されたスタックから形成される酸化ユニット10を含み、これら3つはそれぞれ、該長手方向平面に平行な平面内に延在するプレートの形である。電解ユニットは、酸化剤輸送器支持体30と燃料輸送器支持体35との間に配置されており、それぞれは、該基本モジュールの該長手方向平面に平行な平面内に延在する多孔質プレートの形である。
【0133】
該長手方向平面に対して横断方向Tに突出したストリップの形の、カソード電子コレクタ40は、該酸化剤輸送器支持体に取り付けられており、従って酸化剤輸送器支持体と共にカソードブロック45を画定する。それは導電性接着剤から形成されたカソード導電性ブリッジ50を用いて該カソードに取り付けられている。該カソード導電性ブリッジは、2つの反対側の面55と面60の間を横断方向に延び、それらのうちの一方の55は該カソード電子コレクタと接触し、他方の60は該カソードと接触する。従って、該酸化ユニット及び該カソードブロックは、接合によって互いに取り付けられており、且つ電気的に接続されている。
【0134】
さらに、該酸化剤輸送器支持体、該カソード電子コレクタ、該カソード導電性ブリッジ、及び該カソードは、カソードチャンバ65を画定する。従って、機能している間、本明細書の以下で述べられるように、例えばファンによって発生されカソード供給流路内で運ばれる該カソード供給流は、矢印Oによって示されるように該多孔質酸化剤輸送器支持体を通過して、該カソードチャンバ内に浸透し、該燃料の該酸化反応を確実にするように該カソードと接触するようになる。該カソードにおいて形成される、該酸化反応から結果として生じる該カソード電子は収集され得、次いで矢印Ecによって示されるように、次いで該カソードコレクタブリッジを用いて該カソード電子コレクタに移動されうる。
【0135】
横断方向に突出したストリップの形のアノード電子コレクタ70は、該燃料輸送器支持体35に取り付けられており、従って該燃料輸送器支持体と共にアノードブロック75を画定する。該アノード電子コレクタは、導電性接着剤から形成されたアノード導電性ブリッジ80を用いて該アノードに取り付けられている。該アノード導電性ブリッジは、2つの反対側の面85と面90の間を横断方向に延び、それらのうちの一方の90は該アノード電子コレクタと接触し、他方の85は該アノードと接触する。このようにして、該酸化ユニット及び該アノードブロックは、接合によって互いに取り付けられる。加えて、該アノードにおいて形成される、該燃料の該酸化反応から結果として生じる該アノード電子は、収集され得、次いで矢印Eaによって示されるように、次いで該アノード導電性ブリッジを用いて該アノード電子コレクタに移動されうる。
【0136】
このようにして、該それぞれアノード導電性ブリッジ及びカソード導電性ブリッジを用いた該アノードブロック及びカソードブロックの、該酸化ユニットへの接合による取り付けは、この目的の為に永続的圧縮手段を挿入することを必要とせずに、該基本モジュールの機械的強度を確実にする。
【0137】
さらに、燃料を洩らさない電気絶縁性接着性シールから形成される、アノード漏れ止めブリッジ100は、該アノードブロックと該燃料輸送器支持体との間に挟まれ、且つ互いからある距離に保持し、該長手方向平面に平行な平面内に延在するアノードチャンバ105を画定する。アノード漏れ止めブリッジは、該長手方向平面に対して横断方向に、該アノード及び該燃料輸送器支持体に面する面同士の間に延在する漏れ止めシールを形成する。アノード漏れ止めブリッジは、該長手方向平面に平行な平面内で上記アノードチャンバを取り囲む。本明細書の以下で述べられるようなそれの漏れ止め機能に加えて、それは該アノードブロックと該酸化ユニットとの間に追加の取り付けを加えることによって、該基本モジュールの機械的強度を強化する。機能している間、該アノード漏れ止めブリッジ及び該アノード導電性ブリッジを用いた該酸化ユニットの該取り付けは、該基本モジュールが、大気圧より高い該アノードチャンバ内の燃料圧力に耐えることを許す。
【0138】
さらに、該基本モジュールは貯蔵槽108を含み、これは該貯蔵槽に燃料を供給する為の充填オリフィス115を含む、内容積110を画定する。燃料輸送器支持体はさらに、該アノードチャンバを該貯蔵槽の内容積から分離する壁118を画定する。
【0139】
機能している間、圧縮器は、充填オリフィスを通じて該貯蔵槽の内容積内に燃料流を注入することができ、従って該燃料がその中に保存される。該燃料を含む該アノード供給流は、次いで多孔質である該燃料輸送器支持体を通過し、該アノードチャンバ内に浸透し、矢印Cによって示されるように、該アノードと接触するまで、それがその中を長手方向に対して横断方向に流れる。該アノード漏れ止めブリッジは、矢印L及びLによって示されるように、該長手方向平面内に含まれる該チャンバ内の該燃料流のいずれ方向の流れも制限し、従って該アノードチャンバからの燃料の漏れを低減する。
【0140】
図2の該基本モジュールは、図1の該基本モジュールとは、アノード収集層120及びカソード収集層125が、それぞれ該アノード及びカソードの面130及び135上に配置されており、それぞれ該アノードチャンバ及びカソードチャンバに面して配置されているという点で異なる。
【0141】
該アノード収集層及びカソード収集層は、該アノード電子コレクタ及びカソード電子コレクタから遠く離れてそれぞれ発生される該アノード電子及びカソード電子の収集を改善する。
【0142】
該燃料及び該酸化剤が、該アノード及び該カソードとそれぞれ接触するようことが可能になる為には、該電子収集層は、該アノード及びカソードの上記面を部分的に覆ってよく、及び例えばそれぞれ燃料漏れ防止性及び酸化剤漏れ防止性としうる。この変形形態において、該燃料及び該酸化剤は、それぞれ該アノード収集層及びカソード収集層によって覆われていない該アノード及びカソードの上記面の領域内で、それぞれ該アノード及び該カソードと接触するようになりうる。該アノード収集層及びカソード収集層はまた、それぞれ該燃料及び該酸化剤に対して多孔質であるフィルムの形であり得、これはそれぞれ該アノード及びカソードの上記面を、例えば全体的に覆う。
【0143】
図2の例において、該アノード導電性ブリッジ80及び該アノード漏れ止めブリッジ100は、該アノード層に接合によって取り付けられている。
【0144】
さらに、該基本モジュールの機械的強度をさらに強化する為に、図2の該基本モジュールは、該長手方向平面に対して横断方向に、該カソードチャンバの2つの反対側の面の間に延在する、電気絶縁性接着剤から形成されたカソード取り付けブリッジ140を含み、該カソード取り付けブリッジの一方の面145は該酸化剤輸送器支持体に接合され、上記ブリッジの他方の面150は該カソード収集層125に接合される。
【0145】
これは示されないが、図1の該基本モジュールは、該燃料輸送器支持体及び該カソードの両方に接合されたこのようなカソード取り付けブリッジを含みうる。
【0146】
図3の該基本モジュールは、図2の該基本モジュールとは、該アノード又は該カソードは、該アノード又は該カソードをその厚さにおいて通過し、該電解膜上に位置する、アノード窓155又はカソード窓160を含むという点で異なる。該アノード導電性ブリッジ80又は該カソード導電性ブリッジ50は、該アノード窓内又は該カソード窓内に収容され、該電解膜10に接合によって取り付けられている。
【0147】
該アノード又は該カソードと、該電解膜との間の機械的接続が弱い変形形態において、該基本モジュールの機械的強度は改善され、該酸化ユニットとの、それぞれ該アノード導電性ブリッジ及びカソード導電性ブリッジを用いた、それぞれ該アノードブロック及びカソードブロックの接続は、該電解膜によって直接なされる。
【0148】
該アノード導電性ブリッジ80又は該カソード導電性ブリッジ50は、長手方向に突出した、及び該アノード収集層又は該カソード収集層と接触して配置された、リリーフ165又は170を有する。該アノード導電性ブリッジ又は該カソード導電性ブリッジの該リリーフは、該アノード又は該カソードを、該アノード電子コレクタ又は該カソード電子コレクタと電気的接触状態にする。
【0149】
図4は、同じ電解膜20を共有する、幾つかの基本モジュール5、5を含む燃料電池の実施態様を示す。それぞれが異なる電解膜上に配置された2つのモジュールから構成され、上記モジュールのそれぞれは図3に示されるものである電池と比べて、図4に示される構成は、同じ発生される電力に対して、該電池によって供給される電圧を増加させることを可能にする。図4の該燃料電池は、図3に示されるような基本モジュールを含み、これらは明らかに例えば図1及び2に示されるような、1以上の基本モジュールと組み合わせられうる及び/又は置き換えられうる。さらに、図に示されていない変形形態において、該基本モジュールは、同じ燃料輸送器支持体及び/又は同じ絶縁輸送器支持体を共有しうる。それらは、同じ貯蔵槽共有してもしなくてもよい。
【0150】
図5は、図2に示されるような基本モジュールを含む燃料電池を示し、これはまた該アノードチャンバに面する面の反対側の該酸化剤輸送器支持体の面と接触する、重ね合わされた多孔質ガス拡散層170を含む。さらに、該ガス拡散層は、それが接触する、該酸化剤輸送器支持体と多孔質格子175との間に配置されている。
【0151】
図5の該燃料電池はまた、第1の中空管180を含み、そのうちの1つの壁は、該格子175によって少なくとも部分的に形成され、これは、該酸化剤を含むカソード供給流を運ぶ為のカソード供給流路185を画定する。中空管は、矢印Oによって示されるように、該カソード供給流の為の入口開口190を含み、これは上記カソード供給流を発生させることができるファン200に面して配置されている。中空管はさらに出口開口205を含み、それを通じて該カソード供給流は、及び矢印Oによって示されるように、それが該多孔質格子175及び該ガス拡散層を通過した後、及び矢印Oによって示されるように、該基本モジュールの該カソードチャンバ65に供給された後、及び酸化反応生成物によって荷電された後に、逃げることができる。特には、該酸化剤が二酸素であり且つ該燃料が二水素である場合、該酸化反応は水蒸気を生成し、これは該カソード供給流、この場合は空気の流れ、によって、該アノードチャンバから該出口開口に排出される。
【0152】
該燃料電池はまた、該基本モジュール5が該第1の中空管185と第2の中空管210との間に挟まれるように配置された第2の中空管210を有する。該第2の中空管は、該貯蔵槽と共通の壁を有する。それは、上記冷却流を発生させ上記入口開口に分配するように構成されたファン220に面して配置された、熱移送流体、例えば空気、を含む冷却流Rの入口の為に構成された入口開口215を有する冷却流路212を画定する。
【0153】
それが矢印Rに従って示されるように該冷却流路内を流れるとき、該基本モジュールは、該モジュールと該第2の中空管とに共通の壁225上の対流によって、該発熱酸化反応によって発生される熱を交換する。このようにして加熱された該冷却流は、該入口開口の反対側に配置された出口開口230に流れ、それを通じて該燃料電池から排出される。
【0154】
図5において見られうるように、該カソード供給流Oと該冷却流Rとの間の相互作用を防ぐ為に、該カソード供給流路及び該冷却流路は、該長手方向平面に平行な、異なる平面P及びP内に延在する。
【0155】
さらに、図5の例において、該冷却流を発生させる為の該ファン、及び該酸化剤を含む該カソード供給流を発生させる為の該ファンは、該燃料電池の積層方向Dに平行に、同じ側面235に面して配置されている。変形形態として、該冷却流を発生させる為の該ファンは、該カソード供給流を発生させる為の該ファンがそれに面して配置されているものと反対側の側面上に配置されうる。
【0156】
図に示されていない変形形態において、及び特に該電池が制限された動作温度範囲内で電流を発生させる為のものであるとき、該電池は、冷却流を用いて該電池を冷却する為の、例えば図5において述べられるような手段はなくてよい。
【0157】
図6の燃料電池250は、積層方向Dに互いに積み重ねられた複数の4つの基本モジュール5a~5dを含む。
【0158】
該複数の基本モジュールのそれぞれは、該冷却流路の該開口及び出口が、該カソード供給流路の該開口及び出口がその上に形成されるものに垂直な面上に形成されることを除いて、図5に示されるものと同一である。積層方向Dは、各基本モジュールの長手方向平面Pに垂直である。
【0159】
該燃料電池は、該スタックの2つの隣り合う基本モジュールの各ペアが、上記2つの基本モジュール、例えば5a及び5bが該積層方向で互いに対して頭尾結合の形で配置されているように構成されている。
【0160】
該スタックの該モジュールは、1つの基本モジュールのアノード電子コレクタを、隣接した基本モジュールのカソード電子コレクタに接続する、図に示されていない電気回路を用いて電気的に接続されている。
【0161】
図6の該スタックにおいて、互いに面して配置されたカソードブロックを有する2つの隣り合う基本モジュールは、該積層方向に対して横断平面内に延在するカソード供給流路2551~2によって分離される。従って、単一のカソード供給流路を用いて、該2つの基本モジュールのカソードチャンバ65a~dには、入口Oにおいて単一のカソード供給流が供給される。
【0162】
さらに、2つの隣り合う基本モジュール(そのアノードブロック、例えば75b及び75c)は、互いに面して配置されており、且つ該積層方向に対して横断平面内に延在する冷却流路260によって分離される。従って、単一の冷却流路を用いて、該2つの基本モジュール5b及び5cは、該流路内を流れる冷却流Rでの対流的交換によって冷却される。
【0163】
このようにして、図6の燃料電池250は、該カソード供給流路及び該冷却流路が、互いからある距離に、及び積層方向Dに沿って交互に配置されているように構成されている。このようにして、カソード供給流Oと冷却流Rとの間の相互作用が制限される。
【0164】
該カソード供給流及び該冷却流の発生に関しては、図6の該燃料電池は、それぞれのカソード供給流路2551~2に、関連付けられたカソード供給流をそれぞれ供給するように構成された2つのカソード供給ファン2001~2と、冷却流路に、関連付けられた冷却流をそれぞれ供給するように構成された3つの冷却ファン2201~3とを含む。さらに、該カソード供給ファン及び該冷却ファンは、互いに直角である該電池の側面270、275に面して配置されている。このようにして、該カソード供給流及び該冷却流は、それぞれ斜めの流れ方向に流れる。上記流れの間の相互作用は制限され、これは該電池のエネルギー収量を最適化する。
【0165】
さらに、図6に示される該燃料電池は、上記流路内の該カソード供給流の温度を測定するように、該カソード供給流路のうちの1つの流路内に配置されたカソード供給プローブ280を含む。該カソード供給プローブは、図に示されていない接続手段を通じて、該電池の該アノード供給ファンを制御する為のユニット285に電気的に接続されており、上記制御ユニットは、該カソード供給プローブによって測定された温度に応じて、例えば該燃料電池の該カソード供給ファンのそれぞれの該出口における該カソード供給流の流量を調整するように構成されている。
【0166】
このようにして、単一のカソード供給プローブを用いて、該電池の該複数のカソード供給流路の該カソード供給流の流量が容易に調整されることができる。
【0167】
図6の該燃料電池はまた冷却プローブ292を含み、それは該カソード供給プローブがその中に配置された該カソード供給流路に連続した該冷却流路のうちの1つ内に配置されて、上記冷却流路内の該冷却流の温度を測定する。該冷却プローブは、図に示されていない接続手段を通じて、該燃料電池の冷却ファン298を制御する為のユニットに電気的に接続されており、上記制御ユニットは、該冷却プローブによって測定された温度に応じて、例えば、該燃料電池の該冷却ファンのそれぞれの該出口における該冷却流の流量を調整するように構成されている。
【0168】
このようにして、単一の冷却プローブによって、該電池の該複数の冷却流路の該冷却流の流量が容易に調整されることができる。
【0169】
該燃料電池はまた、例えば、該基本モジュールの該内部抵抗を測定するように、基本モジュール内に配置されたセンサ300を含む。該センサは、また該基本モジュールの該内部抵抗測定値の関数として該カソード供給流及び該冷却流の流量を調整するように構成された、該カソード供給ファン及び冷却ファンを制御する為の該ユニットに接続されている。
【0170】
図7は、積層方向Dに積み重ねられた6個の基本モジュール5a~fを含む燃料電池250を概略的に示し、各基本モジュールは、薄く、且つ該積層方向に対する法線方向の長手方向平面P内に延在する。
【0171】
該燃料電池の該基本モジュールは、図6の例でのように、ペアで頭尾結合の形で配置されている。
【0172】
図7の該燃料電池は一般に、該様々なカソード供給流路及び冷却流路の該入口及び出口がその上に現れる、4つの側面280a~dを有する直角スラブの形である。図7の例において、各カソード供給流路又は各冷却流路は、カソード供給ファン300又は冷却ファン305に面した側面上に現れる入口開口290a~c又は295a~dを有し、該電池の他の3つの側面のそれぞれ上に現れる出口開口310a~c又は315a~dを有する。
【0173】
図7の例において、1以上のカソード供給ファン300は、1以上の冷却ファン305がそれに向かって面して配置されている別の側面280aに垂直な側面280bに面して配置されている。従って、一方で該カソード供給流O、及び他方で該冷却流Rは、実質的に垂直な方向に、該それぞれの流路内を流れる。
【0174】
従って、各カソード供給流路及び各冷却流路は、該電池の4つの側面280a~d上に開口を有するが、カソード供給流と冷却流との間の、該燃料電池の機能の為に有害な結果を有する相互作用は制限される。
【0175】
図8の該燃料電池は、図7の該燃料電池の改良された及び好ましい実施態様であり、各カソード供給流路又は各冷却流路に対して、上記流路の該入口開口がその上に形成されるものに垂直な面上に形成された該開口は、側壁を用いて閉じられる。従って、該カソード供給流又は該冷却流の流れは、入口開口290又は295がその上に現れる側の反対側の該電池の該側面上に現れる出口開口310又は315の方向に生じる。このようにして、該カソード供給流及び冷却流は、直交する方向に、及び該積層方向において異なる高さで流れ、相互作用しない。このような構成は、拡大された動作温度範囲にわたる該燃料電池の機能を促進する。
【0176】
例えば、図8に示される該電池をうる為に、該カソード供給流の為の該入口開口がその上に形成された該側面に垂直に、図5の該電池の1つ、さらには2つの側面上に形成された各カソード供給流路の該側面開口は、例えばポリマーから作られた、特に発泡体から形成された、例えば点線同士の間で320a~cとして参照されるマスクを用いて、上記流れの該出口を防止するように閉じられうる。さらに、該冷却流の為の該入口開口がその上に形成された該側面に垂直に、図7の該電池の1つ、さらには2つの側面上に形成された各冷却流路の該側面開口は、例えばポリマーから作られた、特に発泡体から形成された、例えば点線同士の間で325a~cとして参照されるマスクを用いて、上記流れの該出口を防止するように閉じられうる。
【0177】
このようにして、該カソード供給流及び冷却流は垂直な方向に流れ、互いに干渉しない。
【0178】
図8の該例において、2つの隣り合う基本モジュールは、頭尾結合の形で配置されている。図に示されていない変形形態において、2つの隣り合う基本モジュールは、該第1の基本モジュールの該アノードブロックが、該第2の基本モジュールの該カソードブロックに面するように配置されうる。好ましくは、次いで、上記カソードに供給する為の該カソード供給流を、該冷却流から分離する為に、長手方向に延在する固体の分離プレートが、該2つの隣り合う基本モジュールの間に配置されている。
【0179】
さらに、図8の該スタックは、2つの隣り合う基本モジュールの間に2つの交差筋交いを配置することによって得られうる。該交差筋交いは、例えば固体の棒材である。それらは、カソード供給流路又は冷却流路の該側壁を形成するように、互いに相隔てられる。
【0180】
図9の該燃料電池は、各モジュールが幅Iの少なくとも2倍長い長さLを有するという点で図8の該燃料電池と異なる。該基本モジュールの最適な冷却を確実にする為に、幾つかのファンが、該冷却流路の開口295a~dがその上に現れる側面280に面して長手方向Xに配置されている。円板3301~6は、該冷却流がそれに方向付けられる該側面の部分を概略的に示す。
【0181】
最後に、図1図4で述べられる該基本モジュールのいずれも、及び図5図9に示される該燃料電池のいずれも、該複数の基本モジュールを圧縮する手段、例えば圧縮連結棒によって接続されている締付板、を含まない。
【実施例
【0182】
図10にその写真が示されている燃料電池は、12個の基本モジュールのスタックによって形成され、それぞれは長さ117mm、幅74mm、及び厚さ2mmの薄い直角スラブの形である。この燃料電池は、大気中の二酸素によって、燃料としての二水素を酸化するように構成されている。
【0183】
各基本モジュールの重さは8gであり、且つ8Wの電力を発生させることができる。2つの隣り合う基本モジュールは、該積層方向に頭尾結合の形で配置されており、発泡体の棒材によって形成されたスペーサを用いて、1.2mm相隔てられ、それの該反対側の面は、それぞれが上記2つの連続したモジュールの1つと接触し、接着剤によって覆われる。該スタックは、長さ117mm、幅74mm、及び厚さ45mmの直角スラブの形である。
【0184】
該燃料電池は、0.4リットルの容積、及び150g未満の質量を有する。それは100Wの電力を発生させることができ、0.67W・g-1の単位質量当たり電力密度を有する。それはさらに、-20℃~50℃の温度範囲にわたって電気エネルギーを発生させる為に好適である。
【0185】
該燃料電池は、端部締付板を含む、及び同じ発生される電力に対して、より低い単位質量当たり電力密度を有する従来技術の電池と同様な、175mΩ・cmの内部抵抗を有する。この内部抵抗値は、該基本モジュールの電子の収集、及び電気的接続が良好な品質であることを示す。
【0186】
さらに、圧力耐性測定値は、該燃料電池が、各基本モジュールの該アノードチャンバ内で3バールの最大二水素圧力に耐えることができることを示す。加えて、該アノードチャンバの漏れ防止性に関して、ヘリウムの浸透による漏れ防止性の測定値は、漏洩率は低く、0.1cm/分未満であることを示す。
【0187】
比較の目的の為に、本燃料電池の性能品質は、Horizon FC社によって販売される、エンドプレートによって圧縮されたモジュールのスタックから形成された燃料電池と比較されうる。この電池は、より低い0℃~40℃の温度範囲内で機能し、200Wの電力を発生させることができる。しかしながら、それは470gの質量、及び従って本発明の該燃料電池と比べて、0.42W・g-1に等しい単位質量当たり、低い電力密度を有する。
【0188】
言うまでもなく、本発明は、上述の実施態様及び実施例に限定されない。
【0189】
例えば特に、該カソード供給流路及び/又は該冷却流路が湾曲した形状、例えばコイル又は複数の平行な管を有する変形形態において、該電池は圧縮器を含み得、分配流路が該圧縮器に接続されており、該圧縮器は、カソード供給流及び/又は冷却流を、それぞれ該カソード供給流路及び/又は該冷却流路の入口において分配するように構成されている。
【0190】
さらに、好ましくは、該冷却流は空気以外の熱移送流体、例えば液体、例えば水又は油、を含みうる。
【0191】
さらに、該燃料は二水素に限定されない。それはまた、例えばメタン、プロパン、ブタン、及びそれらの混合物から選択されたアルカン、又は例えばエタノール、メタノール、及びそれらの混合物から選択された蒸気の形でのアルコールでありうる。酸化剤は二酸素に限定されない。それはまた、二酸素を含むガス、例えば空気、又は二酸素と二窒素から構成された混合物でありうる。
【0192】
最後に、「備えている(comprising a)」、「含む(containing a)」、及び「含む(including a)」という用語は、それぞれ「少なくとも1つを備えている(comprising at least one)」、「少なくとも1つを含む(containing at least one)」、及び「少なくとも1つを含む(including at least one)」と同等に意味すると理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10