(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-20
(45)【発行日】2022-04-28
(54)【発明の名称】フォトニック結晶ファイバおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 6/02 20060101AFI20220421BHJP
C03B 37/018 20060101ALI20220421BHJP
C03B 37/027 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
G02B6/02 451
C03B37/018 Z
C03B37/027 Z
G02B6/02 376A
(21)【出願番号】P 2019566661
(86)(22)【出願日】2019-08-29
(86)【国際出願番号】 CN2019103381
(87)【国際公開番号】W WO2020186696
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2019-11-29
(31)【優先権主張番号】201910208586.3
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518119238
【氏名又は名称】中国電力科学研究院有限公司
【氏名又は名称原語表記】China Electric Power Research Institute Company Limited
【住所又は居所原語表記】No.15 Xiaoying East Road, Qinghe, Haidian Distict, Beijing 100192, China
(73)【特許権者】
【識別番号】519325072
【氏名又は名称】国家▲電▼网有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】黄 俊昌
(72)【発明者】
【氏名】雷 民
(72)【発明者】
【氏名】胡 浩亮
(72)【発明者】
【氏名】周 峰
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲鶴▼
(72)【発明者】
【氏名】熊 前柱
(72)【発明者】
【氏名】徐 子立
(72)【発明者】
【氏名】▲聶▼ ▲ちぃ▼
(72)【発明者】
【氏名】潘 瑞
(72)【発明者】
【氏名】万 ▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 春燕
【審査官】野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-126725(JP,A)
【文献】特表2019-504506(JP,A)
【文献】特開2004-085970(JP,A)
【文献】特開2005-250022(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101052907(CN,A)
【文献】国際公開第2008/053922(WO,A1)
【文献】特開2010-170136(JP,A)
【文献】特開2004-102281(JP,A)
【文献】Xi et al.,Optical Activity in Twisted Solid-Core Photonic Crystal Fibers,Physical Review Letters,米国,American Physical Society,2013年04月04日,Vol. 110, No.14,pp.143903-1~143903-4,DOI:10.1103/PhysRevLett.110.143903
【文献】Li et al.,Surface Plasmon Resonance Effect in Helical Photonic Crystal Fiber using Transformation Optics Formalism,2017 25th Optical FiberSensors Conference (OFS),IEEE,2017年04月24日,pp.1032348-1~pp.1032348-4,DOI: 10.1117/12.2265536
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/02
C03B 37/018
C03B 37/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトニック結晶ファイバであって、
光ファイバ本体を備え、前記光ファイバ本体(10)の中心にコア(11)が設けられ、前記光ファイバ本体(10)に複数の空気孔(42)が設けられ、
前記複数の空気孔(42)は、前記フォトニック結晶ファイバに長手方向全長に亘って一様な捻れが付与されることにより形成されるものであり、前記空気孔(42)のそれぞれが渦巻状となり、且つ、前記複数の空気孔(42)の回転方向が同じであり、前記光ファイバ本体(10)の、前記光ファイバ本体(10)の径方向に沿ったいずれかの横断面における前記複数の空気孔(42)が、前記コア(11)を囲むように配置され、
ここで、前記空気孔の直径と前記空気孔の孔ピッチとの比率の値の取り得る範囲は0.25~0.9であり、且
つ当該フォトニック結晶ファイバの円複屈折パラメータと前記空気孔の回転率との比率が比較的一定になるように、前記空気孔の孔ピッチと作動波長との比率は1.1~2の範囲内の連続数値である、
フォトニック結晶ファイバ。
【請求項2】
前記複数の空気孔(42)のサイズが同じである、
請求項1に記載のフォトニック結晶ファイバ。
【請求項3】
前記光ファイバ本体に、二酸化ケイ素およびテルビウムが含まれている、
請求項1に記載のフォトニック結晶ファイバ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のフォトニック結晶ファイバを作製することに用いられるフォトニック結晶ファイバの製造方法であって、
光ファイバプリフォームを作製することと、
前記光ファイバプリフォームに対して線引きを行うことと、を含み
前記光ファイバプリフォームに対して線引きを行うことは、
前記光ファイバプリフォームを加熱することと、
前記光ファイバプリフォームを回転して線引きを行い、この時に、光ファイバ本体における空気孔に不活性ガスを注入し、前記不活性ガスの圧力および線引き速度を調整することにより前記空気孔のサイズを維持することと、を含み、
ここで、前記光ファイバプリフォームを回転して線引きを行うことは、加熱した光ファイバプリフォームに対して線引きを行うとともに、光ファイバ本体の軸方向に沿って前記光ファイバプリフォームの棒体を定速回転させることであり、
当該製造方法は、前記フォトニック結晶ファイバの円複屈折パラメータと前記空気孔の回転率との比率が比較的一定になるように、前記空気孔の直径と前記空気孔の孔ピッチとの比率によって、前記空気孔の孔ピッチと作動波長との比率の値の取り得る範囲を特定し、
ここで、前記空気孔の直径と前記空気孔の孔ピッチとの比率の値の取り得る範囲は0.25~0.9であり、且つ前記空気孔の孔ピッチと作動波長との比率の値の取り得る範囲は1.1~2であることを更に含む、
フォトニック結晶ファイバの製造方法。
【請求項5】
前記光ファイバプリフォームを加熱することは、前記光ファイバプリフォームの一端を加熱し、前記光ファイバプリフォームの一端を融化させることである、請求項4に記載のフォトニック結晶ファイバの製造方法。
【請求項6】
前記光ファイバプリフォームを作製することは、
キャピラリーを製造することと、
前記キャピラリーを設計寸法の形状に集積することと、
プラズマ化学気相蒸着プロセスでクラッドを作製することと、を含む、
請求項4に記載のフォトニック結晶ファイバの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、出願日が2019年03月19日であり、出願番号が201910208586.3である中国特許出願の優先権を主張し、該中国特許出願の全ての内容を、参考として本発明に援用する。
【0002】
本文は、センシングファイバの技術分野に関し、例えば、全てのファイバ電流センサに適用される回転フォトニック結晶ファイバおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
フォトニック結晶ファイバ(PHOTONIC crystal fiber、PCFと略称される)は、微細構造ファイバ又は多孔性ファイバとも呼ばれ、横断面における屈折率分布が複雑であり、一般的には、異なる配列方式の気孔を含み、これらの気孔の寸法は光波の波長とほぼ同程度であり、且つ、素子の全長を貫通しており、フォトニック結晶ファイバの機能もこれらの気孔の寸法と配列方式に関連する。前記フォトニック結晶ファイバは、クラッドにおける空気孔の特殊な配列構造によって、従来の光ファイバに比べて多くの特異な特性、例えば、中断なしのシングルモード伝送、高複屈折、高非線形、分散可変および大モード面積等の独特な性質を呈し、現在の検討対象のホットスポットになり、光センシング、光通信および非線形光学等の分野に広く応用されている。
【0004】
従来の電流センシングに使用されているセンシングファイバは、ほとんど回転複屈折光ファイバであり、回転により光ファイバにおける線形複屈折を減少させ、内部応力と円複屈折を増大させる。例えば、中国発明特許(CN105541105A)に高複屈折回転光ファイバの製造方法および装置が開示されており、ファイバ製造方法は、回転および線取りを一体化した総合制御を採用し、回転ファイバを生産するために、プリフォームが棒送り装置により線引き炉に送入されて溶融状態まで加熱され、光ファイバの牽引がフライヤおよび線取りドラムの回転速度差により形成され、且つ、フライヤの回転は、光ファイバのねじりを引き起し、ねじりが下から上に溶融領域に伝達し、さらに、光ファイバ内部に回転を形成することができる。上記は、高複屈折回転ファイバ等の一方回転が要求され、且つ、回転速度に対する要求が高い光ファイバに適用されるが、実際の応用過程では、上記光ファイバに残留する線形複屈折を採用することおよびこのような構造の不安定性は電流測定の結果に大きな影響を与えることが見出された。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本文は、関連技術におけるセンシング効果が低下し、気孔が崩壊し変形しやすいという問題を解消し、フォトニック結晶ファイバは、高い円複屈折を有するとともに、センシング効果が良く、気孔の崩壊および変形を回避することができ、フォトニック結晶ファイバの高円形維持を実現することができる、フォトニック結晶ファイバおよびその製造方法を提供する。
【0006】
本文は、光ファイバ本体を備え、前記光ファイバ本体の中心にコアが設けられ、前記光ファイバ本体内に複数の空気孔が設けられ、前記空気孔のそれぞれが渦巻状となり、且つ、前記複数の空気孔の回転方向が同じであり、前記光ファイバ本体の、前記光ファイバ本体の径方向に沿ったいずれかの横断面における前記複数の空気孔が、前記コアを囲むように配置されている、フォトニック結晶ファイバを提供する。
【0007】
本発明は、上記いずれかに記載のフォトニック結晶ファイバを作製することに用いられるフォトニック結晶ファイバの製造方法であって、
光ファイバプリフォームを作製することと、
前記光ファイバプリフォームに対して線引きを行うことと、を含み、
前記光ファイバプリフォームに対して線引きを行うことは、
前記光ファイバプリフォームを加熱することと、
前記光ファイバプリフォームを回転して線引きを行い、この時に、光ファイバ本体における空気孔に不活性ガスを注入し、前記不活性ガスの圧力および線引き速度を調整することにより前記空気孔のサイズを維持することと、を含む、
フォトニック結晶ファイバの製造方法をさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の内容をより明確に理解しやすくするために、以下、本文の具体的な実施例により、図面を参照しながら、本文をより詳細に説明する。
【
図1】本文のフォトニック結晶ファイバの模式図である。
【
図2】本文のフォトニック結晶ファイバの断面図である。
【
図3】本文の異なるパラメータの光ファイバ円複屈折に対する影響の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施例1
図1および
図2に示すように、本実施例は、光ファイバ本体10を備え、前記光ファイバ本体10の中心にコア11が設けられ、前記光ファイバ本体10内に連続的に回転する複数の空気孔12が設けられ、前記空気孔12が渦巻状となり、かつ、複数の空気孔12の回転方向が同じであり、前記光ファイバ本体10の径方向に沿ったいずれかの横断面における前記複数の空気孔12が前記コア11を囲むように六角形に配置されている、フォトニック結晶ファイバを提供する。
【0010】
例示的に、前記複数の空気孔12のぞれぞれは、左ネジ状であってもよく、右ネジ状であってもよい。このようにして、前記複数の空気孔12の回転方向が同じである。
【0011】
ある実施例において、前記複数の空気孔12は、前記コア11を囲むように、六角形に対称的な行列になるように配置されている。ある実施例において、前記複数の空気孔12の配置により形成された六角形(本段落の下文において、「前記六角形」と略称される)は、前記コア11の中心部を中心とする中心対称図形となるように設けられている。ある実施例において、前記六角形は、前記コア11の中心部を中心とする正六角形となるように設けられている。ある実施例において、前記六角形は一層であり、前記六角形の一層は、前記コア11を囲んで配置された6つの前記空気孔12で構成されている。ある実施例において、前記六角形は多層であり、前記六角形の各層は、前記コア11を囲んで配置された6つの前記空気孔12で構成され、前記六角形の多層は、六角形外層および六角形内層を含み、前記六角形外層が前記六角形内層の周辺を囲んでいる。
【0012】
上記のように、本実施例の前記フォトニック結晶ファイバは、光ファイバ本体10を備え、前記光ファイバ本体10の中心にコア11が設けられ、前記光ファイバ本体10内に連続的に回転する複数の空気孔12が設けられ、前記空気孔12が渦巻状となり、且つ、複数の空気孔12の回転方向が同じであり、前記空気孔12の回転空間構造を利用して左円偏光および右円偏光のために異なる伝送条件を与えることで、より優れた円複屈折効果を有し、より優れたセンシング効果を提供することができる。具体的に、円複屈折が発生することの本質は、前記コア11の伝送モードが部分的に前記空気孔12の間に拡散し、これらの放射状モードが回転ファイバにおいて回転され、左回転と右回転円偏波モードのために異なる伝送条件を形成し、これによって、円複屈折効果が発生し、且つ、前記光ファイバ本体10の径方向に沿ったいずれかの横断面における前記複数の空気孔12は、前記コア11を囲むように六角形に対称的な行列になるように配置され、線形複屈折を回避することに有利である。
【0013】
全てのファイバ電流センシングシステムの温度安定性を向上するために、前記光ファイバ本体10は、予め設定された重量百分率に応じて一種又は複数種の化学材料で構成され、且つ、前記化学材料に二酸化ケイ素およびテルビウムが含まれていることで、異なる材料の異なる温度特性による影響を回避することに有利である。ある実施例において、前記化学材料は、二酸化ゲルマニウムと、3価のアルミイオンと、3価のテルビウムイオンとを含んでもよく(即ち、前記光ファイバ本体10は、二酸化ゲルマニウムと、3価のアルミイオンと、3価のテルビウムイオンとを含んでもよい)、且つ、前記二酸化ケイ素の重量百分率が前記光ファイバ本体10の90%以上であり、このようにして、従来のセンシングファイバに比べて、前記フォトニック結晶ファイバはより優れた温度特性を有し、全てのファイバ電流センサの広範囲の適用を促すことに有利である。本実施例において、前記コア11に前記空気孔12が設けられていない。前記コア11の伝送モードが部分的に前記空気孔12の間の二酸化ケイ素構造に拡散し、これらの放射状のモードは回転ファイバにおいて回転され、左回転および右回転円偏波モードに異なる伝送条件を形成することで、円複屈折が発生する。
【0014】
前記複数の空気孔12のサイズが同じであり、且つ、前記複数の空気孔12が前記コア11を囲むように六角形に対称的な行列になるように配置され、前記光ファイバ本体10の径方向に沿ったいずれかの横断面における六角形は多層を含んでもよく、即ち、一体に嵌設された中心が同じで辺長さが異なる複数の六角形の層を含み、前記六角形が対称的に配置され、計算して得られた回転率により該断面を有する光ファイバプリフォームに対して回転および線引きを行うことにより、得られるフォトニック結晶ファイバは、光ファイバ内に円複屈折が呈すことを最大程度に確保することができる。
【0015】
実施例2
本実施例は、実施例1に記載のフォトニック結晶ファイバを作製することに用いられ、光ファイバプリフォームを作製するステップと、光ファイバプリフォームに対して線引きを行うステップとを含み、光ファイバプリフォームに対して線引きを行うステップは、加熱ステップと、回転および線引きを行うステップとを含み、且つ、回転および線引きを行う時に、前記光ファイバ本体10における空気孔12に不活性ガスを注入し、前記不活性ガスの圧力および線引き速度を調整することにより前記空気孔12のサイズ比例を維持する、フォトニック結晶ファイバの製造方法を提供する。
【0016】
前記光ファイバプリフォームは、回転および線引きのプロセスを経た後に、光ファイバ本体10になることが理解されるべきである。
【0017】
本実施例は、実施例1に記載のフォトニック結晶ファイバを作製することに用いられ、光ファイバプリフォームを作製するステップと、光ファイバプリフォームに対して線引きを行うステップとを含むことで、光ファイバの順調な作製を確保する。ここで、前記光ファイバプリフォームに対して線引きを行うステップは、加熱ステップと、回転および線引きを行うステップとを含み、且つ、回転および線引きを行う時に、前記光ファイバ本体10における空気孔12に不活性ガスを注入し、前記不活性ガスの圧力および線引き速度を調整することにより前記空気孔12のサイズ比例を維持することで、前記空気孔12の崩壊および変形を回避することができ、形成された光ファイバは、歪みが発生しにくく、高い円複屈折を有し、且つ、線形複屈折を回避することに有利である、フォトニック結晶ファイバの製造方法を提供する。
【0018】
前記加熱ステップとして、前記光ファイバプリフォームの一端を加熱し融化させる。具体的には、電気加熱方式を採用して前記光ファイバプリフォームのヘッド部を加熱し、且つ、溶融状態まで加熱して光ファイバを形成することで、線引きを実現することに有利である。
【0019】
前記回転および線引きを行うステップとして、加熱した光ファイバプリフォームに対して線引きを行うとともに、光ファイバ本体の軸方向に沿って前記光ファイバプリフォームの棒体を定速回転させることで、線引きをよく実現することに有利である。前記光ファイバプリフォームを作製するステップとして、キャピラリーを製造し、前記キャピラリーを設計寸法の形状に集積し、プラズマ化学気相蒸着(Plasma Chemical Vapor Deposition、PCVD)プロセスでクラッドを作製する。ここで、前記クラッドの作製では、PCVD蒸着方法の一種を採用して前記光ファイバプリフォームを製造する。
【0020】
なお、前記キャピラリーの内部空洞は、回転および線引きプロセスを経た後に製造したフォトニック結晶ファイバの空気孔を形成することができる。
【0021】
本実施例において、前記光ファイバプリフォームを予め設定された引っ張り力および温度条件下で、回転率に応じて線引き、所望の作動波長に対応するフォトニック結晶ファイバが得られる。異なるパラメータのファイバ円複屈折に対する影響が異なるので、最適な円複屈折を得るために、適したパラメータを見出す必要がある。具体的に、前記空気孔12の直径はdであり、孔ピッチ(間隔)は∧であり、作動波長はλであり、回転率はαである。前記フォトニック結晶ファイバのより優れた円複屈折を得るために、d/∧および∧/λの2つのパラメータを設定してもよい。ここで、前記空気孔12の直径と前記空気孔12の孔ピッチの比率は0.25~0.9である場合、良好な円複屈折を得ることができる。円複屈折のパラメータはBCであれば、d/∧=0.37であり、∧/λ=1.5である場合、BC/αは最大値を取ることができる。前記空気孔12の直径と前記空気孔12のピッチとの比率が0.6である場合、回転フォトニック結晶ファイバは広い波長範囲内に比較的一定のBC/α値を提供し、円複屈折が好適である。このような条件で、前記空気孔12の孔ピッチと作動波長との比率が1.1~2である場合、比較的一定のBC/α値を有し、この時に、波長に応じて適切な構造を選択すれば性能の良いが低い円複屈折を得ることができる。前記空気孔12の孔ピッチと作動波長との比率が1.5である場合、円複屈折が好適である。
【0022】
一般的には、同一のフォトニック結晶ファイバにおいて、隣り合う2つの前記空気孔12の間のピッチはほぼ同じであり、且つ、前記空気孔12の直径はそれぞれほぼ同じである。
【0023】
図3に示すように、前記空気孔ピッチ∧と作動波長λとの比率を横座標とし、円複屈折パラメータB
Cと回転率αとの比率を縦座標とし、複数のフィッティング曲線が示されている。各フィッティング曲線は、空気孔直径dと空気孔ピッチ∧との比率にそれぞれ対応している。前記複数のフィッティング曲線における平均勾配が最も小さい曲線を選択すれば、該曲線に対応する空気孔直径dと空気孔ピッチ∧との比率が得られ、該曲線の平坦域に対応するフィッティング関数によれば各パラメータが得られる。ここで、複数のフィッティング曲線における平均勾配が最も小さい曲線を選択することは、最も平坦な曲線を1つ選択し、該曲線は長い平坦域を有し、前記平坦域は横座標の変化に従って縦座標がほとんど変化しない曲線区間であることからである。具体的に、d/∧=0.6の曲線について、横座標∧/λが1.3~1.8の間に長い平坦域を有し、該区間においてB
C/αの値はほとんど変化せず、前記回転フォトニック結晶ファイバは広い波長範囲内に比較的一定のB
C/αを得ることができ、光ファイバ材料の属性および予想の円複屈折パラメータにより、回転率αが得られ、d/∧=0.6および∧/λにより光ファイバ断面のパラメータが得られる。ここで、前記ファイバ断面のパラメータは、ファイバ断面における空気孔の直径と空気孔ピッチとを含み、前記多数のフィッティング曲線における平均勾配が最も小さい曲線を回転してパラメータの確認を行うことで、広い波長範囲に適用したファイバパラメータが得られ、対応する光ファイバは、前記固定作動波長のみならず、前後の範囲での作動波長にも適している。上記曲線の選択に比べて、より優れた円複屈折パラメータを得るために、前記複数のフィッティング曲線におけるピークが最も大きな曲線を選択すれば、該曲線に対応する空気孔直径dと空気孔ピッチ∧との比率を得ることができるが、該曲線の最大ピーク点に応じて、前記断面のパラメータおよび回転率を得ることができる。具体的に、d/∧=0.37の曲線は、最高のピークを有し、該ピークに対応する点を取ってB
C/αの値および∧/λの値を得、既知の作動波長λ値に応じて、さらに各パラメータを得る。
【0024】
ある実施例において、前記フォトニック結晶ファイバの製造方法は、上記フォトニック結晶ファイバを作製することに用いられ、
光ファイバプリフォームを作製することと、
前記光ファイバプリフォームに対して線引きを行うことと、を含み
前記光ファイバプリフォームに対して線引きを行うことは
前記光ファイバプリフォームを加熱することと、
前記光ファイバプリフォームを回転して線引きを行い、この時に、光ファイバ本体における空気孔に不活性ガスを注入し、前記不活性ガスの圧力および線引き速度を調整することにより前記空気孔のサイズを維持することと、を含む。
【0025】
ある実施例において、前記光ファイバプリフォームを加熱することは、前記光ファイバプリフォームの一端を加熱し、前記光ファイバプリフォームの一端を融化させることである。
【0026】
ある実施例において、前記光ファイバプリフォームを回転して線引くことは、加熱した光ファイバプリフォームに対して線引きを行うとともに、光ファイバ本体の軸方向に沿って前記光ファイバプリフォームの棒体を定速回転させることである。
【0027】
ある実施例において、光ファイバプリフォームを作製することは、
キャピラリーを製造することと、
前記キャピラリーを設計寸法の形状に集積することと、
プラズマ化学気相蒸着プロセスでクラッドを作製することと、を含む。
【0028】
ある実施例において、前記方法は、前記空気孔の直径と前記空気孔ピッチとの比率を0.25~0.9に設定することをさらに含む。
【0029】
ある実施例において、前記方法は、前記空気孔の孔ピッチと作動波長との比率を1.1~2に設定することをさらに含む。
【0030】
本文に記載のフォトニック結晶ファイバおよびその製造方法は、光ファイバ本体を備え、前記光ファイバ本体の中心にコアが設けられ、前記光ファイバ本体に連続的に回転する複数の空気孔が設けられ、前記空気孔が渦巻状となり、且つ、複数の空気孔の回転方向が同じであり、前記空気孔の回転空間構造を利用して左円偏光および右円偏光のために異なる伝送条件を与えることで、より優れた円複屈折効果を有し、より優れたセンシング効果を提供することができ、且つ、前記複数の空気孔は、前記コアを囲むように六角形に対称的な行列になるように配置され、線形複屈折を回避することに有利である。