IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社三菱東京UFJ銀行の特許一覧

特許7061643口座管理システム、口座の管理方法及びホストコンピュータ
<>
  • 特許-口座管理システム、口座の管理方法及びホストコンピュータ 図1
  • 特許-口座管理システム、口座の管理方法及びホストコンピュータ 図2
  • 特許-口座管理システム、口座の管理方法及びホストコンピュータ 図3
  • 特許-口座管理システム、口座の管理方法及びホストコンピュータ 図4
  • 特許-口座管理システム、口座の管理方法及びホストコンピュータ 図5
  • 特許-口座管理システム、口座の管理方法及びホストコンピュータ 図6
  • 特許-口座管理システム、口座の管理方法及びホストコンピュータ 図7
  • 特許-口座管理システム、口座の管理方法及びホストコンピュータ 図8
  • 特許-口座管理システム、口座の管理方法及びホストコンピュータ 図9
  • 特許-口座管理システム、口座の管理方法及びホストコンピュータ 図10
  • 特許-口座管理システム、口座の管理方法及びホストコンピュータ 図11
  • 特許-口座管理システム、口座の管理方法及びホストコンピュータ 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-20
(45)【発行日】2022-04-28
(54)【発明の名称】口座管理システム、口座の管理方法及びホストコンピュータ
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/10 20120101AFI20220421BHJP
【FI】
G06Q20/10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020102734
(22)【出願日】2020-06-12
(62)【分割の表示】P 2017199800の分割
【原出願日】2017-10-13
(65)【公開番号】P2020140742
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2020-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】598049322
【氏名又は名称】株式会社三菱UFJ銀行
(74)【代理人】
【識別番号】100117592
【弁理士】
【氏名又は名称】土生 哲也
(72)【発明者】
【氏名】田中 誉俊
(72)【発明者】
【氏名】柳川 佑介
(72)【発明者】
【氏名】築地 信太郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊允
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-113540(JP,A)
【文献】特開2004-213577(JP,A)
【文献】特開2005-107593(JP,A)
【文献】特開2001-184445(JP,A)
【文献】特開2001-34695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客のネット口座の残高を管理するWebベースで構築されたサーバコンピュータと、銀行サービスを提供する金融機関のホストコンピュータからなる口座管理システムであって、
前記サーバコンピュータは、
前記顧客のネット口座の残高及び前記ネット口座の入出金に関する情報を管理するネット口座管理手段を備え、
前記ホストコンピュータは、
前記ネット口座の残高に対応する資金をプールするためのプール用口座の残高及び前記プール用口座の入出金に関する情報を管理するプール用口座管理手段を備えていて、
前記ホストコンピュータは、前記ネット口座への入金のための所定の入金処理が確認されると、前記プール用口座管理手段が、前記入金による入金額と前記ネット口座を特定するための口座特定情報を前記サーバコンピュータに通知するとともに、前記プール用口座の残高を前記入金額分増額する処理を実行して、
前記サーバコンピュータは、前記通知を受け付けると、前記ネット口座管理手段が、前記口座特定情報から特定されるネット口座に前記入金額を入金して残高を前記入金額分増額する処理を実行するとともに、
前記サーバコンピュータは、資金移動先の預金口座である他人の預金口座又は他の金融機関に開設された前記顧客の預金口座と、資金移動額が指定された前記ネット口座からの資金移動の依頼を受け付けると、前記ネット口座管理手段が、前記ネット口座から前記資金移動額を出金して残高を前記資金移動額分減額する処理を実行するとともに、前記資金移動先の預金口座と前記資金移動額に関する情報を前記ホストコンピュータに通知して、
前記ホストコンピュータは、前記通知を受け付けると、前記プール用口座管理手段が、前記プール用口座の残高から前記資金移動額を出金して残高を前記資金移動額分減額する処理を実行するとともに、前記プール用口座にプールされた資金から前記資金移動額を前記資金移動先の預金口座に移動させるための処理を実行すること
を特徴とする口座管理システム。
【請求項2】
顧客のネット口座の残高を管理するWebベースで構築されたサーバコンピュータと、銀行サービスを提供する金融機関のホストコンピュータによって実行される口座の管理方法であって、
前記サーバコンピュータでは、前記顧客のネット口座の残高及び前記ネット口座の入出金に関する情報が管理され、
前記ホストコンピュータでは、前記ネット口座の残高に対応する資金をプールするためのプール用口座の残高及び前記プール用口座の入出金に関する情報が管理されていて、
前記ホストコンピュータは、前記ネット口座への入金のための所定の入金処理が確認されると、前記入金による入金額と前記ネット口座を特定するための口座特定情報を前記サーバコンピュータに通知するとともに、前記プール用口座の残高を前記入金額分増額する処理を実行して、
前記サーバコンピュータは、前記通知を受け付けると、前記口座特定情報から特定されるネット口座に前記入金額を入金して残高を前記入金額分増額する処理を実行するとともに、
前記サーバコンピュータは、資金移動先の預金口座である他人の預金口座又は他の金融機関に開設された前記顧客の預金口座と、資金移動額が指定された前記ネット口座からの資金移動の依頼を受け付けると、前記ネット口座から前記資金移動額を出金して残高を前記資金移動額分減額する処理を実行するとともに、前記資金移動先の預金口座と前記資金移動額に関する情報を前記ホストコンピュータに通知して、
前記ホストコンピュータは、前記通知を受け付けると、前記プール用口座の残高から前記資金移動額を出金して残高を前記資金移動額分減額する処理を実行するとともに、前記プール用口座にプールされた資金から前記資金移動額を前記資金移動先の預金口座に移動させるための処理を実行すること
を特徴とする口座の管理方法。
【請求項3】
顧客のネット口座の残高及び前記ネット口座の入出金に関する情報を管理するネット口座管理手段を備えたWebベースで構築されたサーバコンピュータとクローズドなネットワークで接続された、銀行サービスを提供する金融機関のホストコンピュータであって、
前記ネット口座の残高に対応する資金をプールするためのプール用口座の残高及び前記プール用口座の入出金に関する情報を管理するプール用口座管理手段を備えていて、
前記ネット口座への入金のための所定の入金処理が確認されると、前記プール用口座管理手段が、前記入金による入金額と前記ネット口座を特定するための口座特定情報を、前記ホストコンピュータからの通知を受け付けると、前記ネット口座管理手段が前記口座特定情報から特定されるネット口座に前記入金額を入金して残高を前記入金額分増額する処理を実行する前記サーバコンピュータに通知するとともに、前記プール用口座の残高を前記入金額分増額する処理を実行するとともに、
資金移動先の預金口座である他人の預金口座又は他の金融機関に開設された前記顧客の預金口座と、資金移動額が指定された前記ネット口座からの資金移動の依頼を受け付けると、前記ネット口座管理手段が前記ネット口座から前記資金移動額を出金して残高を前記資金移動額分減額する処理を実行する前記サーバコンピュータから、前記資金移動先の預金口座と前記資金移動額に関する情報の通知を受け付けると、前記プール用口座管理手段が、前記プール用口座の残高から前記資金移動額を出金して残高を前記資金移動額分減額する処理を実行するとともに、前記プール用口座にプールされた資金から前記資金移動額を前記資金移動先の預金口座に移動させるための処理を実行すること
を特徴とするホストコンピュータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネットバンキングサーバとホストコンピュータのそれぞれに設けられた預金口座間での資金移動を可能にする、口座管理システム、口座の管理方法及びホストコンピュータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インターネット上では様々な金融サービスが提供されているが、多くの銀行によってサービスが提供されているインターネットバンキングもその一つである。銀行に預金口座を開設している顧客であれば、スマートフォンやパーソナルコンピュータでインターネットバンキングのサービスを提供するWebサイトにアクセスして、残高照会や振込等の銀行サービスを利用することができる。
【0003】
このようなサービスは、顧客がスマートフォン等からインターネットを介してアクセスするインターネットバンキングサーバと、顧客の預金口座を管理する銀行のホストコンピュータをクローズドな専用回線で接続して、十分な安全性を確保することによって実現されているが、専用のシステムとして構築されているホストコンピュータは、Webベースで構築されているインターネットバンキングサーバに比べて柔軟性や拡張性に欠けることから、システムの改変や新技術の導入の場面において、また、決済等のサービスの即時性の実現等において制約要因となることがある。
【0004】
こうした課題に対して、例えば、銀行に預金口座を開設している顧客が、ホストコンピュータにリアルタイムにアクセスすることなく、自らが銀行に預金している資金を支払い等に用いることができる仕組みとして、インターネットを介してアクセス可能な電子マネーサーバに仮想口座を設定し、ホストコンピュータで管理されている預金口座とのミラーリング、又は、ホストコンピュータで管理されている預金口座からあらかじめ資金を移動させておくことによって、電子マネーサーバへのアクセスのみで資金の利用を可能にする、電子マネーシステムに関する発明が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-306263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された発明は、ホストコンピュータで管理されている顧客の預金口座(以下「本口座」とする。)に対して、電子マネーサーバに仮想口座を設定し、本口座とのミラーリング、又は本口座からの資金移動によって、電子マネーサーバでの資金の利用を可能にするものであるが、あくまでも同一の顧客が有する本口座と仮想口座間での資金配分を実現するものであって、例えば、電子マネーサーバに設けられる仮想口座を、同じ銀行の他人の預金口座に資金を振り込んだり、他の銀行の預金口座に資金を振り込んだりするために用いることができるものではない。顧客本人の預金口座だけでなく、他の預金口座への資金移動も可能な仕組みが求められるところである。
【0007】
また、そうした仕組みを実現する際には、柔軟性や拡張性に制限のあるシステムであるホストコンピュータ側の改変をできるだけ抑制して、既存の機能を最大限活用できるものであることが好ましい。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、インターネットバンキングサーバとホストコンピュータのそれぞれに設けられた預金口座間での資金移動を可能にする、口座管理システム、口座の管理方法及びホストコンピュータを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決する本発明は、インターネット上で銀行サービスを提供するインターネットバンキングサーバと、前記インターネットバンキングサーバとクローズドなネットワークで接続された前記銀行サービスを提供する金融機関のホストコンピュータからなる預金口座管理システムであって、前記インターネットバンキングサーバは、顧客の第2の預金口座の残高及び前記第2の預金口座の入出金に関する情報を管理する第2の口座管理手段を備え、前記ホストコンピュータは、顧客の第1の預金口座の残高及び前記第1の預金口座の入出金に関する情報と、前記インターネットバンキングサーバで管理される第2の預金口座の残高に対応する資金をプールするためのプール用預金口座の残高及び前記プール用預金口座の入出金に関する情報を管理する第1の口座管理手段を備えていて、前記インターネットバンキングサーバにおいて、前記第2の口座管理手段によって前記第2の預金口座への入金処理が実行される際には、前記ホストコンピュータでは、前記第1の口座管理手段によって前記プール用預金口座の残高が前記入金処理による入金額分増額され、前記インターネットバンキングサーバにおいて、前記第2の口座管理手段によって前記第2の預金口座からの出金処理が実行される際には、前記ホストコンピュータでは、前記第1の口座管理手段によって前記プール用預金口座の残高が前記出金処理による出金額分減額されることを特徴とする預金口座管理システムである。
【0010】
本発明では、ホストコンピュータで管理する第1の預金口座の他に、第1の預金口座から独立したインターネットバンキングサーバで管理する第2の預金口座を設けることを可能とする一方、第2の預金口座の残高に対応する資金を、ホストコンピュータで管理するプール用預金口座にプールする構成とする。第2の預金口座からの入出金を、ホストコンピュータではプール用預金口座への入出金に対応させることによって、金融機関のホストコンピュータが有する通常の預金口座を管理する機能を用いて、ホストコンピュータで管理される一般的な預金口座への振り込みによる第2の預金口座への入金処理や、第2の預金口座からホストコンピュータで管理される一般的な預金口座への振り込み等の出金処理が可能となる。
【0011】
また、本発明は、前記ホストコンピュータの第2の口座管理手段は、前記第2の預金口座への入金のために設けられた入金用預金口座の残高及び前記入金用預金口座の入出金に関する情報を管理していて、前記第2の口座管理手段が前記入金用預金口座への顧客からの入金を検出すると、前記ホストコンピュータは、前記入金による入金額と前記入金額を入金する第2の預金口座を特定するための口座特定情報を、前記インターネットバンキングサーバに通知し、前記インターネットバンキングサーバが前記通知を受け付けると、前記第2の口座管理手段が、前記口座特定情報から特定される第2の預金口座に前記入金額を入金して残高を入金額分増額する処理を実行するとともに、前記ホストコンピュータにおいて、前記第2の口座管理手段は、前記入金額を前記入金用預金口座から前記プール用預金口座に資金移動する処理を実行することを特徴とすることもできる。
【0012】
このように構成すると、銀行のATMを利用した入金や、ホストコンピュータで管理される一般的な預金口座からの振り込み等の銀行が提供する一般的なサービスを利用して、インターネットバンキングサーバで管理される第2の預金口座への入金が可能になる。
【0013】
また、本発明は、前記インターネットバンキングサーバは、資金移動先の預金口座と資金移動額が指定された第2の預金口座からの資金移動の依頼を受け付けると、前記第2の口座管理手段は、前記第2の預金口座から前記資金移動額を出金して残高を前記資金移動額分減額する処理を実行し、前記資金移動先の預金口座と前記資金移動額に関する情報を前記ホストコンピュータに通知して、前記ホストコンピュータが前記通知を受け付けると、前記第1の口座管理手段が、前記プール用預金口座の残高から前記資金移動額を出金して残高を前記資金移動額分減額する処理を実行するとともに、前記ホストコンピュータは、前記プール用預金口座にプールされた資金から前記資金移動額を前記資金移動先の預金口座に移動させるための処理を実行することを特徴とすることもできる。
【0014】
このように構成すると、金融機関のホストコンピュータが有する通常の振込処理等の為替機能を用いて、インターネットバンキングサーバで管理される第2の預金口座から、ホストコンピュータで管理される一般的な預金口座への振り込み等の資金移動が可能になる。
【0015】
本発明は、本発明に係る預金口座管理システムによって実行される、預金口座の管理方法として特定することもできる。
【0016】
本発明に係る預金口座の管理方法は、インターネット上で銀行サービスを提供するインターネットバンキングサーバと、前記インターネットバンキングサーバとクローズドなネットワークで接続された前記銀行サービスを提供する金融機関のホストコンピュータによって実行される預金口座の管理方法であって、前記インターネットバンキングサーバでは、顧客の第2の預金口座の残高及び前記第2の預金口座の入出金に関する情報が管理され、前記ホストコンピュータでは、顧客の第1の預金口座の残高及び前記第1の預金口座の入出金に関する情報と、前記インターネットバンキングサーバで管理される第2の預金口座の残高に対応する資金をプールするためのプール用預金口座の残高及び前記プール用預金口座の入出金に関する情報が管理されていて、前記第2の預金口座への入金処理の際には、前記インターネットバンキングサーバでは、前記第2の預金口座への入金処理が、前記ホストコンピュータでは、前記プール用預金口座の残高が前記入金処理による入金額分増額される処理が実行され、前記第2の預金口座からの出金処理の際には、前記インターネットバンキングサーバでは、前記第2の預金口座からの出金処理が、前記ホストコンピュータでは、前記プール用預金口座の残高が前記出金処理による出金額分減額される処理が実行されることを特徴とする預金口座の管理方法である。
【0017】
また、本発明に係る預金口座の管理方法は、先に説明した本発明に係る預金口座管理システムの各々の構成によって実行される、預金口座の管理方法として特定することもできる。
【0018】
本発明は、本発明に係る預金口座管理システムを構成する、インターネットバンキングサーバとして特定することもできる。
【0019】
本発明に係るインターネットバンキングサーバは、インターネット上で銀行サービスを提供する、前記銀行サービスを提供する金融機関のホストコンピュータとクローズドなネットワークで接続されたインターネットバンキングサーバであって、顧客の第2の預金口座の残高及び前記第2の預金口座の入出金に関する情報を管理する第2の口座管理手段を備え、前記ホストコンピュータには、顧客の第1の預金口座の残高及び前記第1の預金口座の入出金に関する情報と、前記インターネットバンキングサーバで管理される第2の預金口座の残高に対応する資金をプールするためのプール用預金口座の残高及び前記プール用預金口座の入出金に関する情報を管理する第1の口座管理手段が備えられていて、前記インターネットバンキングサーバにおいて、前記第2の口座管理手段によって前記第2の預金口座への入金処理が実行される際には、前記ホストコンピュータでは、前記第1の口座管理手段によって前記プール用預金口座の残高が前記入金処理による入金額分増額され、前記インターネットバンキングサーバにおいて、前記第2の口座管理手段によって前記第2の預金口座からの出金処理が実行される際には、前記ホストコンピュータでは、前記第1の口座管理手段によって前記プール用預金口座の残高が前記出金処理による出金額分減額されることを特徴とするインターネットバンキングサーバである。
【0020】
また、本発明に係るインターネットバンキングサーバは、先に説明した本発明に係る預金口座管理システムの各々の構成に対応する、インターネットバンキングサーバとして特定することもできる。
【0021】
本発明は、本発明に係る預金口座管理システムを構成する、ホストコンピュータとして特定することもできる。
【0022】
本発明に係るホストコンピュータは、顧客の第2の預金口座の残高及び前記第2の預金口座の入出金に関する情報を管理する第2の口座管理手段を備えた、インターネット上で銀行サービスを提供するインターネットバンキングサーバとクローズドなネットワークで接続された、前記銀行サービスを提供する金融機関のホストコンピュータであって、顧客の第1の預金口座の残高及び前記第1の預金口座の入出金に関する情報と、前記インターネットバンキングサーバで管理される第2の預金口座の残高に対応する資金をプールするためのプール用預金口座の残高及び前記プール用預金口座の入出金に関する情報を管理する第1の口座管理手段を備えていて、前記インターネットバンキングサーバにおいて、前記第2の口座管理手段によって前記第2の預金口座への入金処理が実行される際には、前記ホストコンピュータでは、前記第1の口座管理手段によって前記プール用預金口座の残高が前記入金処理による入金額分増額され、前記インターネットバンキングサーバにおいて、前記第2の口座管理手段によって前記第2の預金口座からの出金処理が実行される際には、前記ホストコンピュータでは、前記第1の口座管理手段によって前記プール用預金口座の残高が前記出金処理による出金額分減額されることを特徴とするホストコンピュータである。
【0023】
また、本発明に係るホストコンピュータは、先に説明した本発明に係る預金口座管理システムの各々の構成に対応する、ホストコンピュータとして特定することもできる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、インターネットバンキングで利用する預金口座を、ホストコンピュータにアクセスすることなく、インターネットバンキングサーバで管理することが可能になるので、インターネット上で銀行サービスを提供するためのシステムの柔軟性や拡張性、決済等のサービスの即時性が著しく向上する。また、当該預金口座への振り込み等による入金や、当該預金口座からの振り込み等の資金移動が、ホストコンピュータの通常の為替機能によって実現されるので、銀行等の既存のシステムインフラを活用しながら、ホストコンピュータで管理される一般的な預金口座と同様のサービスを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係る預金口座管理システムの実施形態の概要を示す図である。
図2】本発明に係る預金口座管理システムの構成を示すブロック図である。
図3】本発明に係る預金口座管理システムを利用して、顧客が第2の預金口座に資金を入金する流れを示す図である。
図4】本発明に係る預金口座管理システムを利用して、顧客が第2の預金口座から他人の第2の預金口座に資金を振り込む流れを示す図である。
図5】本発明に係る預金口座管理システムを利用して、顧客が第2の預金口座から自らの第1の預金口座に資金を振り込む流れを示す図である。
図6】本発明に係る預金口座管理システムを利用して、顧客が第2の預金口座から他人の第1の預金口座に資金を振り込む流れを示す図である。
図7】本発明に係る預金口座管理システムを利用して、顧客が第2の預金口座から他行の自らの預金口座に資金を振り込む流れを示す図である。
図8】本発明に係る預金口座管理システムを利用して、顧客が第2の預金口座から他行の他人の預金口座に資金を振り込む流れを示す図である。
図9】本発明に係る預金口座管理システムによる、顧客が第2の預金口座に資金を入金する際の処理フローを示す図である。
図10】本発明に係る預金口座管理システムによる、顧客が第2の預金口座から他人の第2の預金口座に資金を振り込む際の処理フローを示す図である。
図11】本発明に係る預金口座管理システムによる、顧客が第2の預金口座から第1の預金口座に資金を振り込む際の処理フローを示す図である。
図12】本発明に係る預金口座管理システムによる、顧客が第2の預金口座から他行の預金口座に資金を振り込む際の処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を実施するための形態について、図面を用いて以下に詳細に説明する。尚、以下の説明は、本発明の実施形態の一例を示したものであって、本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0027】
図1は、本発明に係る預金口座管理システムの実施形態の一例について、その概要を示したものである。図1において、本発明に係る預金口座管理システムは、一般的なインターネットバンキングのサービスに用いられるWebサーバとネットバンキングアプリケーションサーバに、新たに預金口座管理アプリケーションサーバを加えた、インターネットバンキングサーバに備えられる機能の一部に対応する。
【0028】
インターネットバンキングを利用する顧客は、スマートフォンやパーソナルコンピュータ等の顧客端末をインターネットに接続して、本発明に係る預金口座管理システムが含まれるインターネットバンキングサーバにアクセスする。インターネットバンキングサーバは、インターネットバンキングのサービスを提供している銀行のホストコンピュータと専用回線で接続されているので、インターネットバンキングを利用する顧客は、ホストコンピュータで残高や入出金に関する情報が管理されている預金口座(以下「第1の預金口座」とする。)について、その残高を確認したり、第1預金口座の資金を他の預金口座に振り込んだりすることが可能となっている。
【0029】
こうしたインターネットバンキングの一般的な機能に加え、本発明では新たに預金口座管理アプリケーションサーバを設けて、第1の預金口座から独立した、インターネットバンキングサーバで残高や入出金に関する情報を管理する預金口座(以下「第2の預金口座」とする。)を開設することが可能な構成としている。預金口座管理アプリケーションサーバは、インターネットバンキングサーバの一部を構成するWebベースで構築されるサーバなので、専用のシステムとして構築されているホストコンピュータに比べて柔軟性や拡張性に優れており、インターネットバンキングにおいて多様なサービスを提供することを可能にするものである。
【0030】
その一方で、現在一般に利用されているホストコンピュータで管理されている第1の預金口座との間の資金移動や、銀行間のネットワークである全銀システムを介した他行の預金口座との間の資金移動に対応するためには、ホストコンピュータが有する機能を有効に活用することも必要となる。そこで本発明では、第2の預金口座の残高に対応する資金をプールするための別段預金口座等(口座の種別はいわゆる別段預金口座に限られるものではない。)をホストコンピュータに設けて、第2の預金口座から第1の預金口座や他行の預金口座への資金移動の際には、別段預金口座にプールされている資金を増減させることによって、ホストコンピュータで管理する第1の預金口座と同様の資金移動にも対応できる構成としている。
【0031】
また、第2の預金口座への入金についても、入金用に指定した口座からの資金移動等の方法によって、別段預金口座等のプール用の預金口座に資金をプールさせることによって、Pay-easy(登録商標)等の既存のスキームを利用して、銀行のATMを利用した入金や、ホストコンピュータで管理される第1の預金口座からの振り込み等によって行うことが可能となる。
【0032】
図2は、本発明に係る預金口座管理システムの構成の一例を示している。図2において、Webサーバ20、ネットバンキングアプリケーションサーバ30及び預金口座管理アプリケーションサーバ40からなるインターネットバンキングサーバ10の機能の一部が、本発明に係る預金口座管理システムに対応する。
【0033】
インターネットバンキングサーバ10は、インターネットに接続され、Webベースで構築されたコンピュータによって構成される。このうち、Webサーバ20は顧客端末50とインターネットを介して通信し、顧客端末50にWebページを表示させる機能を、ネットバンキングアプリケーションサーバ30と預金口座管理アプリケーションサーバ40は、インターネットバンキングによって提供される様々なサービスをWebアプリケーションによって提供する機能を備えている。
【0034】
Webサーバ20、ネットバンキングアプリケーションサーバ30及び預金口座管理アプリケーションサーバ40の各サーバ、また、それらによって構成されるインターネットバンキングサーバ10の物理的な構成は特に限定されるものではなく、これらのサーバは一台のコンピュータによって構成されるものであってもよいし、複数のコンピュータによってその機能が実現されるものであってもよい。これらのサーバに用いられるコンピュータが、本発明に関連する機能以外の機能を備えるものであってもよい。
【0035】
Webサーバ20、ネットバンキングアプリケーションサーバ30及び預金口座管理アプリケーションサーバ40によって実現される機能は、各々のサーバを構成するコンピュータの補助記憶装置、メモリ、CPUによって、補助記憶装置に格納された各々の機能に対応するプログラムがメモリに読み出され、CPUで演算処理を行うことによって、各々の機能が実現される。預金口座管理アプリケーションサーバ40の資金移動処理部41は機能的に特定されるものであって、この機能に対応するプログラムがメモリに読み出され、CPUで演算処理を行うことによって、資金移動のための処理が実行される。
【0036】
預金口座管理アプリケーションサーバ40には、顧客Aの保有する預金口座に関する情報である顧客A預金口座情報421、顧客Bの保有する預金口座に関する情報である顧客B預金口座情報422を含む、預金口座の残高や出入金に関する情報が格納される預金口座情報格納部42が設けられるが、これには預金口座管理アプリケーションサーバ40を構成するコンピュータの補助記憶装置の所定の記憶領域が割り当てられる。
【0037】
ホストコンピュータ60及び70は、メインフレームとも呼ばれる大型のコンピュータで、いずれも銀行の勘定系システムとして用いられる。ホストコンピュータ60及び70の物理的な構成についても特に限定されるものではないが、各々を構成するコンピュータの補助記憶装置、メモリ、CPUによって、補助記憶装置に格納された各々の機能に対応するプログラムがメモリに読み出され、CPUで演算処理を行うことによって、銀行業務に関わる各々の機能が実現される。ホストコンピュータ60の資金移動処理部61、ホストコンピュータ70の資金移動処理部71は、いずれも機能的に特定されるものであって、これらの機能に対応するプログラムがメモリに読み出され、CPUで演算処理を行うことによって、資金移動のための処理が実行される。
【0038】
ホストコンピュータ60には、入金用の預金口座に関する情報である入金用預金口座情報621、別段預金口座に関する情報である別段預金口座情報622、顧客Aの保有する預金口座に関する情報である顧客A預金口座情報623、顧客Bの保有する預金口座に関する情報である顧客B預金口座情報624を含む、預金口座の残高や出入金に関する情報が格納される預金口座情報格納部62が設けられるが、これにはホストコンピュータ60を構成するコンピュータの補助記憶装置の所定の記憶領域が割り当てられる。
【0039】
ホストコンピュータ70には、顧客Aの保有する預金口座に関する情報である顧客A預金口座情報721、顧客Bの保有する預金口座に関する情報である顧客B預金口座情報722を含む、預金口座の残高や出入金に関する情報が格納される預金口座情報格納部72が設けられるが、これにはホストコンピュータ70を構成するコンピュータの補助記憶装置の所定の記憶領域が割り当てられる。
【0040】
尚、インターネットバンキングサーバ10は、ホストコンピュータ60で銀行サービスを提供する金融機関によって運用されており、インターネットバンキングサーバ10とホストコンピュータ60はクローズドな専用回線で接続されている。ホストコンピュータ60とホストコンピュータ70は、異なる金融機関によって運用されており、全銀システム(銀行間の内国為替取引や資金決済を行うための銀行間ネットワークシステムである全国銀行データ通信システム)を介して、資金移動等に必要な情報が送受信される。
【0041】
顧客端末50には、インターネットバンキングサーバ10によって提供されるインターネットバンキングを利用する顧客の所持するスマートフォンやパーソナルコンピュータ等のネットワーク端末が該当するが、Webブラウザやインターネットバンキング用のアプリケーションソフト等を備え、インターネットを介してインターネットバンキングサーバ10との通信が可能なものであれば、その構成は特に限定されるものではない。
【0042】
以上の構成を前提にして、図3-12を用いて、本発明に係る預金管理システムの動作と処理フローについて説明する。尚、以下の例では、ホストコンピュータ60によって銀行サービス、インターネットバンキングサーバ10によってインターネットバンキングのサービスを提供している銀行を甲銀行、ホストコンピュータ70によって銀行サービスを提供している銀行を乙銀行として説明する。
【0043】
図3図9を用いて、顧客が第2の預金口座に資金を入金する流れについて説明する。図3に示したように、顧客Aが甲銀行の提供するインターネットバンキングで保有している第2の預金口座である顧客A口座(2)にx円を入金したい場合、顧客端末50でWebブラウザを起動してインターネットバンキングサーバ10のWebサーバ20から所定のWebページを呼び出して、顧客A口座(2)へのx円の入金依頼を送信する。これを受信したインターネットバンキングサーバ10では、預金口座管理アプリケーションサーバ40によって入金額x円を設定した請求データが起こされて、顧客A口座(2)の保有者である顧客Aに対してx円が請求される。
【0044】
この請求データには、顧客A口座(2)を特定することが可能な入金用コードyが割り当てられており、顧客Aはこの入金コードyを用いて入金手続を行う。入金の具体的な方法は特に限定されるものではないが、例えばPay-easy(登録商標)を利用して、収納機関番号には甲銀行のインターネットバンキングにおける第2の預金口座への入金用に設けられた預金口座(図3の入金用口座)を特定することが可能な番号、お客様番号には顧客A口座(2)を特定することが可能な番号として入金用コードyを指定すれば、ATMやインターネットバンキングでこれらの番号を入力して入金手続を行うことによって、ホストコンピュータ60で管理される入金用の預金口座(その残高や入出金に関する情報は預金口座情報格納部62の入金用預金口座情報621に記録される)に、入金用コードyが指定された入金を受け付けることができる。
【0045】
尚、Pay-easy(登録商標)のスキームを利用する場合、顧客AがATMやコンビニで現金を入金すれば、入金額であるx円が入金用口座に直接入金され、ATMでキャッシュカードを用いて、あるいはインターネットバンキングで顧客Aが保有する第1の預金口座である顧客A口座(1)から入金すると、ホストコンピュータ60の資金移動処理部61によって、顧客A口座(1)から入金用口座に入金額であるx円が振り替えられる(預金口座情報格納部62において顧客A預金口座情報623の残高がx円減額され、入金用預金口座情報621の残高がx円増額される)。
【0046】
このようなスキームでは、入金用コードyを把握しておけば、顧客A本人以外の者がATMやコンビニで現金を入金することや、顧客A本人以外の者がキャッシュカードやインターネットバンキングを用いて自らの預金口座から入金することも可能なので、仕送りのようなケースで利用することもできる。
【0047】
顧客Aがこうした方法で入金手続を行って、ホストコンピュータ60で入金用口座への入金が検出される、すなわち、ホストコンピュータ60の預金口座情報格納部62に格納されている入金用預金口座情報621に新たな入金が記録されて残高が増加したことが検出されると(図9のS11)、ホストコンピュータ60からインターネットバンキングサーバ10に、入金額x円と入金時に指定された入金用コードyを含む入金情報が通知される(図9のS12)。この通知のタイミングは特に限定されるものではないが、例えば、ホストコンピュータ60でバッチ処理を行った後の所定のタイミングで通知を送信することとすればよい。
【0048】
インターネットバンキングサーバ10で入金情報の通知を受信すると(図9のS21)、預金口座管理アプリケーションサーバ40の資金移動処理部41が起動されて、入金用コードyから特定される顧客A口座(2)に入金額x円を入金する処理、すなわち、顧客A預金口座情報421の残高をx円増額する処理が実行される(図9のS22)。
【0049】
また、ホストコンピュータ60では、入金用口座に入金されたx円を、インターネットバンキングサーバ10で管理する預金口座に預け入れられた資金をプールするための預金口座である別段預金口座(図3の別段預金口座)にx円を収納する処理、すなわち、預金口座情報格納部62において入金用預金口座情報621の残高をx円減額し、別段預金口座情報622の残高をx円増額する処理が実行される(図9のS13)。
【0050】
図4図10を用いて、顧客が第2の預金口座から他人の第2の預金口座に資金を振り込む流れについて説明する。図4に示したように、顧客Aが甲銀行の提供するインターネットバンキングで保有している第2の預金口座である顧客A口座(2)から、顧客Bが同じ甲銀行のインターネットバンキングに保有している第2の預金口座である顧客B口座(2)にx円を振り込みたい場合、顧客端末50でWebブラウザを起動してインターネットバンキングサーバ10のWebサーバ20から所定のWebページを呼び出して、顧客A口座(2)から顧客B口座(2)へのx円の振込依頼を送信する。
【0051】
インターネットバンキングサーバ10がこの振込依頼を受け付けると(図10のS31)、預金口座管理アプリケーションサーバ40の資金移動処理部41が起動されて、顧客A口座(2)から顧客B口座(2)にx円を振り込むために、顧客A口座(2)から振込額のx円を出金する処理、すなわち、顧客A預金口座情報421にx円の出金を記録してその残高からx円を減額する処理と(図10のS32)、顧客B口座(2)に振込額のx円を入金する処理、すなわち、顧客B預金口座情報422にx円の入金を記録してその残高をx円増額する処理が実行される(図10のS33)。
【0052】
この振込処理は、ホストコンピュータ60と通信することなく、Webアプリケーションによる処理のみによって実行されるので、スマートフォンやタブレット型コンピュータを用いた二次元コードの表示・読取による振込先口座の特定等の新たな技術を導入しやすくなる他、従来の振込処理より資金移動のために必要な処理が高速化して、決済等のサービスの即時性が向上するというメリットも生じる。
【0053】
尚、こうした第2の預金口座間での資金移動では、インターネットバンキングサーバ10で管理する第2の預金口座に預け入れられている資金の総額に変動はないので、先に説明したホストコンピュータ60で管理している別段預金口座の残高(預金口座情報格納部62の別段預金口座情報622に記録されている残高)にも変動は生じない。
【0054】
図5図6図11を用いて、顧客が第2の預金口座から同じ銀行の第1の預金口座に資金を振り込む流れについて説明する。図5に示したように、顧客Aが甲銀行の提供するインターネットバンキングで保有している第2の預金口座である顧客A口座(2)から、同じ甲銀行に顧客Aが保有している第1の預金口座(甲銀行の本支店で開設してホストコンピュータ60で管理される一般的な預金口座)であるである顧客A口座(1)にx円を振り込みたい場合、顧客端末50でWebブラウザを起動してインターネットバンキングサーバ10のWebサーバ20から所定のWebページを呼び出して、顧客A口座(2)から顧客A口座(1)へのx円の振込依頼を送信する。尚、こうした顧客A口座(2)から顧客A口座(1)への資金移動は、同一の銀行における同一名義の預金口座間の資金移動に当たるため、振替として扱うこととしてもよい。
【0055】
インターネットバンキングサーバ10がこの振込依頼を受け付けると(図11のS41)、預金口座管理アプリケーションサーバ40の資金移動処理部41が起動されて、依頼を受け付けた振込額を顧客A口座(2)から出金する処理、すなわち、顧客A預金口座情報421にx円の出金を記録してその残高からx円を減額する処理を実行した上で(図11のS42)、振込先である顧客A口座(1)を特定する店番号及び口座番号と振込額x円を、ホストコンピュータ60に通知する(図11のS43)。
【0056】
ホストコンピュータ60で振込先と振込額に関する情報を受信すると(図11のS51)、資金移動処理部61が起動されて、図3でも説明したインターネットバンキングサーバ10で管理する預金口座に預け入れられた資金をプールする別段預金口座(図5の別段預金口座)から振込額のx円を減額する処理、すなわち、預金口座情報格納部62において別段預金口座情報622の残高をx円減額する処理が実行される(図11のS52)。さらに、振込先に指定された顧客A口座(1)に振込額のx円を入金する処理、すなわち、顧客A預金口座情報623の残高をx円増額する処理が実行される(図11のS53)。こうした資金移動に係る処理は、ホストコンピュータ60が有する通常の為替機能によって実行することが可能である。
【0057】
図6図5と同様に、顧客が第2の預金口座から同じ銀行の第1の預金口座に資金を振り込む例を示しているが、図5が顧客Aの自ら保有する預金口座である顧客A口座(1)に資金を振り込む例であるのに対して、図6は他人(個人のみでなく法人も含む)の保有する預金口座である顧客B口座(1)に資金を振り込む例となっている。
【0058】
このケースも、振込先に指定されるのが自らの預金口座か他人の預金口座かという点が相違するだけで、図11と同じフローに基づいて処理が実行され、S53では振込先に指定される顧客B口座(1)に振込額のx円を入金する処理、すなわち、顧客B預金口座情報624の残高をx円増額することによって、他人の保有する預金口座である顧客B口座(1)への振り込みが可能となる。
【0059】
以上のように、本発明では、第2の預金口座の残高に対応する資金がホストコンピュータ60で管理する別段預金口座にプールされているため、別段預金口座にプールされた資金に基づき振込先に指定された同じ銀行の第1の預金口座への振込処理を行うことによって、ホストコンピュータ60の既存の機能を活用しながら、第2の預金口座から同じ銀行の第1の預金口座への資金移動が可能となっている。
【0060】
図7図8図11を用いて、顧客が第2の預金口座から他行の第1の預金口座に資金を振り込む流れについて説明する。図7に示したように、顧客Aが甲銀行の提供するインターネットバンキングで保有している第2の預金口座である顧客A口座(2)から、他行である乙銀行に顧客Aが保有している第1の預金口座(乙銀行の本支店で開設してホストコンピュータで管理される一般的な預金口座)であるである顧客A口座(3)にx円を振り込みたい場合、顧客端末50でWebブラウザを起動してインターネットバンキングサーバ10のWebサーバ20から所定のWebページを呼び出して、顧客A口座(2)から顧客A口座(3)へのx円の振込依頼を送信する。
【0061】
インターネットバンキングサーバ10がこの振込依頼を受け付けると(図12のS61)、預金口座管理アプリケーションサーバ40の資金移動処理部41が起動されて、依頼を受け付けた振込額を顧客A口座(2)から出金する処理、すなわち、顧客A預金口座情報421にx円の出金を記録してその残高からx円を減額する処理を実行した上で(図12のS62)、振込先である顧客A口座(3)を特定する金融機関コード、店番号及び口座番号と振込額x円を、ホストコンピュータ60に通知する(図12のS63)。
【0062】
ホストコンピュータ60で振込先と振込額に関する情報を受信すると(図12のS71)、資金移動処理部61が起動されて、図3でも説明したインターネットバンキングサーバ10で管理する預金口座に預け入れられた資金をプールする別段預金口座(図7の別段預金口座)から振込額のx円を減額する処理、すなわち、預金口座情報格納部62において別段預金口座情報622の残高をx円減額する処理を実行するとともに、振込先である顧客A口座(3)を特定する金融機関コード、店番号及び口座番号と振込額x円を、金融機関コードから特定される乙銀行のホストコンピュータ70に、全銀システムを介して発信する(図12のS72)。こうした資金移動に係る処理は、ホストコンピュータ60が有する通常の為替機能によって実行することが可能である。
【0063】
ホストコンピュータ70で振込先と振込額に関する情報を受信すると(図12のS81)、資金移動処理部71が起動されて、振込先に指定された顧客A口座(3)に振込額のx円を入金する処理、すなわち、顧客A預金口座情報721の残高をx円増額する処理が実行される(図12のS82)。
【0064】
図8図7と同様に、顧客が第2の預金口座から他行の第1の預金口座に資金を振り込む例を示しているが、図7が顧客Aの自ら保有する預金口座である顧客A口座(3)に資金を振り込む例であるのに対して、図6は他人(個人のみでなく法人も含む)の保有する預金口座である顧客B口座(3)に資金を振り込む例となっている。
【0065】
このケースも、振込先に指定されるのが自らの預金口座か他人の預金口座かという点が相違するだけで、図12と同じフローに基づいて処理が実行され、S82では振込先に指定された顧客B口座(3)に振込額のx円を入金する処理、すなわち、顧客B預金口座情報722の残高をx円増額することによって、他人の保有する預金口座である顧客B口座(3)への振り込みが可能となる。
【0066】
以上のように、本発明では、第2の預金口座の残高に対応する資金がホストコンピュータ60で管理する別段預金口座にプールされているため、別段預金口座にプールされた資金に基づき振込先に指定された他行の第1の預金口座への振込処理を行うことによって、ホストコンピュータ60の既存の機能を活用しながら、第2の預金口座から他行の第1の預金口座への資金移動が可能となっている。
【0067】
以上に説明したスキームの応用例として、例えば、顧客A口座(2)の残高がゼロの状態であっても、他人の預金口座である自行の顧客B口座(1)や他行の顧客B口座(3)への顧客A口座(2)からの振込依頼を受け付け、あわせて預金口座管理アプリケーションサーバ40において、振込額相当分を顧客A口座(2)に入金することを請求する請求データを起こすように運用すれば、顧客はインターネットバンキングで管理する預金口座で常に残高を維持していなくても、預金口座を保有することによって、本スキームを利用した他人の預金口座への振り込みが可能になる。
【0068】
請求された金額の入金については、Pay-easy(登録商標)による入金に対応できることとしておけば、顧客はPay-easy(登録商標)対応のATMやコンビニエンスストア、インターネットバンキングを利用していつでも請求分の入金をすることが可能になり、24時間365日、他者への支払いが可能なスキームが実現される。
【符号の説明】
【0069】
10 インターネットバンキングサーバ
20 Webサーバ
30 ネットバンキングアプリケーションサーバ
40 預金口座管理アプリケーションサーバ
41 資金移動処理部
42 預金口座情報格納部
421 顧客A預金口座情報
422 顧客B預金口座情報
50 顧客端末
60 ホストコンピュータ
61 資金移動処理部
62 預金口座情報格納部
621 入金用預金口座情報
622 別段預金口座情報
623 顧客A預金口座情報
624 顧客B預金口座情報
70 ホストコンピュータ
71 資金移動処理部
72 預金口座情報格納部
721 顧客A預金口座情報
722 顧客B預金口座情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12