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特許7061677異なる位置間でクランプ装置を搬送するためのグリップおよび位置決めアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-20
(45)【発行日】2022-04-28
(54)【発明の名称】異なる位置間でクランプ装置を搬送するためのグリップおよび位置決めアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B23Q 7/04 20060101AFI20220421BHJP
   B23Q 3/06 20060101ALI20220421BHJP
   B25J 15/04 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
B23Q7/04 B
B23Q3/06 303E
B25J15/04 Z
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020543340
(86)(22)【出願日】2019-03-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 EP2019055751
(87)【国際公開番号】W WO2019175024
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-03-19
(31)【優先権主張番号】102018106210.9
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591144501
【氏名又は名称】グレッセル アーゲー
【氏名又は名称原語表記】GRESSEL AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウルリッヒ,フラビオ
(72)【発明者】
【氏名】シュリセル,マルセル
(72)【発明者】
【氏名】ヤウホ,アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】リレア,エデュアルド
【審査官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-520440(JP,A)
【文献】特表2013-536096(JP,A)
【文献】特開昭59-097884(JP,A)
【文献】特開平09-047986(JP,A)
【文献】実開昭60-094486(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0368651(US,A1)
【文献】米国特許第4897014(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 7/04
B23Q 3/06
B25J 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持および操作アセンブリであって、加工中、ワークを確実に保持するためのクランプ装置(1)と、前記クランプ装置(1)を異なる位置間で搬送するために、前記クランプ装置(1)に着脱可能に接続されるグリップおよび位置決めアセンブリ(2)と、を備えており、
前記グリップおよび位置決めアセンブリ(2)が、当該グリップおよび位置決めアセンブリ(2)を前記クランプ装置(1)に着脱可能に接続し、且つ搬送中は前記クランプ装置(1)を確実に保持するための結合装置(28、35)と、前記クランプ装置(1)をクランプ位置と解放位置との間で移動させるための一体化された駆動部(31)と、を備えてを備えていることを特徴とし、
前記クランプ装置(1)が、ベース本体(13)と少なくとも二つの把持爪(11、12)とを有する万力として構成されており、且つ加工テーブル(59)上に位置決めとクランプをするための少なくとも一つのゼロ点クランプ要素(26)を有しており、さらに、前記グリップおよび位置決めアセンブリ(2)の前記結合装置(28、35)に接続するための少なくとも1つのアダプタ部(24、25)を有することを特徴とする把持および操作アセンブリ。
【請求項2】
前記グリップおよび位置決めアセンブリ(2)の前記結合装置(28、35)が、前記クランプ装置(1)との連結接続を提供する一または複数の整列要素(28)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の把持および操作アセンブリ。
【請求項3】
前記駆動部(31)が、前記クランプ装置(1)の調整要素(16)に結合するためにモータ(34)によって回転される結合要素(32)を有することを特徴とする請求項1または2に記載の把持および操作アセンブリ。
【請求項4】
前記結合要素(32)が、ギヤ機構(36、37、39)を介して前記モータ(34)によって回転させられることを特徴とする請求項3に記載の把持および操作アセンブリ。
【請求項5】
前記結合要素(32)が、筐体(30)に回転可能に取り付けられることを特徴とする請求項3または4に記載の把持および操作アセンブリ。
【請求項6】
前記結合要素(32)が、前記筐体(30)内で軸方向に変位可能であり、バネによって付勢されることを特徴とする請求項5に記載の把持および操作アセンブリ。
【請求項7】
前記クランプ装置(1)の調整要素(16)の位置を決定するためのセンサ(53)が前記結合要素(32)と連携していることを特徴とする請求項6に記載の把持および操作アセンブリ。
【請求項8】
前記クランプ装置(1)の開口幅を決定するための距離センサ(52)が、前記筐体(30)に配置されることを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載の把持および操作アセンブリ。
【請求項9】
前記結合装置(28、35)が、前記クランプ装置(1)のロッキングおよび保持のためのロッキングユニット(35)を備えていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の把持および操作アセンブリ。
【請求項10】
前記ロッキングユニット(35)が、ロック位置とアンロック位置との間でプランジャ(44)によって移動可能なロッキング要素(45)を備えていることを特徴とする請求項9に記載の把持および操作アセンブリ。
【請求項11】
前記ロッキング要素(45)が、クランプ装置(1)のロッキングラグ(29)を受けるための複数の開口部(48)を有することを特徴とする請求項10に記載の把持および操作アセンブリ。
【請求項12】
前記整列要素(28)が、前記クランプ装置(1)のくさび型、円錐形または円筒形の凹部(27)に、相補的に係合するためのくさび形の棒状部材、円錐、または円筒であるように構成され、および/または前記整列要素(28)が、前記クランプ装置(1)のくさび形の棒状部材、円錐形または円筒形要素を受けるための凹部であるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の把持および操作アセンブリ。
【請求項13】
産業用ロボット(3)に取り付けられる、または産業用ロボット(3)の一部であることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の把持および操作アセンブリ。
【請求項14】
前記クランプ装置(1)が、前記グリップおよび位置決めアセンブリ(2)の前記結合装置(28、35)に接続するための互いに対向して配置された2つのアダプタ部(24、25)を有することを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の把持および操作アセンブリ。
【請求項15】
前記アダプタ部が、前記ベース本体(13)の端面に取り付けられていることを特徴とする請求項14に記載の把持および操作アセンブリ。
【請求項16】
前記ゼロ点クランプ要素が、前記ベース本体(13)の底部に配置されていることを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の把持および操作アセンブリ。
【請求項17】
加工機上のクランプ装置を操作する方法であって、加工中、ワークを確実に保持するためのクランプ装置(1)が、結合装置(28、35)によって前記クランプ装置(1)に着脱可能に接続されたグリップおよび位置決めアセンブリ(2)によってワーク(54)に移動され、前記グリップおよび位置決めアセンブリが、クランプ位置と解放位置との間で前記クランプ装置(1)を動かすための一体化された駆動部(31)を有し、前記ワーク(54)が、前記グリップおよび位置決めアセンブリ(2)に一体化された前記駆動部(31)の作動によって、前記クランプ装置(1)で持ち上げられ、前記持ち上げられたワーク(54)とともに前記クランプ装置(1)が、前記グリップおよび位置決めアセンブリ(2)によって前記加工機の加工位置に搬送されることを特徴とする加工機のクランプ装置を操作する方法。
【請求項18】
前記クランプ装置(1)がゼロ点クランプ要素(26)を有しており、当該ゼロ点クランプ要素(26)によって、前記クランプ装置は、前記ゼロ点クランプ要素(26)のための適切な形状の受け部材を有する加工機の加工テーブル上に正確に位置決めされて配置され、加工テーブル上に好適なクランプ装置によってクランプされることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
第1の空の第1のクランプ装置(1)が、第1のグリップおよび位置決めアセンブリ(2)によって、固定的に設置された第2のグリップおよび位置決めアセンブリ(2)に搬送され、前記第1の空の第1のクランプ装置(1)を、前記固定的に設置された第2のグリップおよび位置決めアセンブリ(2)に移送後、一方の側で加工されたワーク(56)を保持する第2のクランプ装置(1)が、前記第1のグリップおよび位置決めアセンブリ(2)によって持ち上げられ、このクランプ装置が、前記固定的に設置された第2のグリップおよび位置決めアセンブリ(2)に、前記空の第1のクランプ装置(1)を介して移動され、前記ワーク(56)が、第1のクランプ装置(1)に移送され、前記現在空の第2のクランプ装置(1)をセットした後、前記現在装着されている第1のクランプ装置(1)が、前記固定的に設置された第2の位置決め装置(2)から取り外され、前記加工機の加工位置に搬送することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文による、異なる位置間でクランプ装置を搬送するためのグリップ(greif、握る)および位置決めするアセンブリに関する。本発明は、またクランプ装置とこのようなグリップおよび位置決めアセンブリを備える把持および操作アセンブリ(Spann- und Handhabungseinrichtung)、ならびにワークの取り扱い方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドイツ国特許出願公開第102015103653号明細書(特許文献1)は、把持爪(クランプジョー)を有するクランプバイス(把持用の万力)を、そこに確実にクランプされたワークとともに、トレイと工作機械内の加工ユニットとの間でグリップの形態のグリップおよび位置決めアセンブリによって搬送可能なクランプシステムを開示している。加工のために、クランプバイスを、その中で確実にクランプされたワークとともに単独またはグループで供給することができるようにするために、かつ完成したワークをそれらのクランプバイスと一緒に搬送キャリッジ上に戻すことができるようにするために、クランプバイスは、グリップ受けの輪郭を有する。互いに相対的に移動する2本のグリップフィンガ上で、関連するグリップは、搬送中、クランプバイスを確実に保持するために、グリップ受け輪郭に相補的な嵌合輪郭を有する。しかしながら、グリップの形態によるグリップおよび位置決めアセンブリの設計のため、クランプバイスは、異なる位置間でのみ搬送可能であるが、把持爪を開閉するために作動させることはできない。
【0003】
旧東ドイツ国経済特許第291280号明細書(特許文献2)では、補助グリップを受けるためのグリップジョーを有する第1のグリップが開示されている。第1のグリップは、補助グリップを作動させるための駆動部を有する。補助グリップのベース本体は、ワークの幾何学的形状に適合する。第1のグリップのグリップジョーもまた、ワークに適合するように設計されており、それにより、ワークと補助グリップのベース本体の両方をグリップジョーにより持ち上げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】ドイツ国特許出願公開第102015103653号明細書
【文献】旧東ドイツ国経済特許第291280号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、前述のタイプのグリップおよび位置決めアセンブリ、このようなグリップおよび位置決めアセンブリを備える把持および操作アセンブリ、ならびに加工機械におけるクランプ装置の操作を利用可能にすることであり、クランプ装置を異なる位置間で確実に搬送することに加えて、クランプ装置を保持位置と解放位置との間で移動させることも可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1の特徴を有するグリップおよび位置決めアセンブリ、請求項13の特徴を有する把持および操作アセンブリ、ならびに請求項18の特徴を有する方法によって解決される。本発明の有用な実施形態および有利な改良は、従属請求項から得られる。
【0007】
グリップおよび位置決めアセンブリを、クランプ装置に着脱可能に結合し、搬送中、クランプ装置を確実に保持するための結合装置(Kopplungseinrichtung、連結装置)に加えて、本発明によるグリップおよび位置決めアセンブリは、クランプ装置をクランプ位置と解放位置との間で移動させるための一体化された駆動部を有する。このように、このタイプのグリップおよび位置決めアセンブリは、クランプ装置を異なる位置、例えば、トレイと工作機械内の加工位置との間を往復搬送するだけではなく、クランプ装置をクランプ位置と解放位置との間で移動させるために異なる位置で作動させることもできる。このように、グリップおよび位置決めアセンブリは、従来のクランプ装置を、加工中にワークを確実に保持するために使用するだけでなく、ワークを搬送し取り扱うためにグリップアセンブリとして使用することを可能にする。これにより、装填作業が簡素化され、セットアップ時間やダウン時間が短縮される。また、リクランプや交換作業を、機械加工室の外で行うことができる。さらに、グリップおよび位置決めアセンブリの結合装置はまた、1つまたは複数の整列要素(Ausrichtelement、位置合わせ要素)を備え、クランプ装置との連結接続を提供することができる。このように、アセンブリをクランプ装置に正しく位置決めし接続すること、およびクランプ装置を確実に保持することを、それぞれ簡略化かつ改善することができる。
【0008】
本発明の特に有用な変形形態では、グリップおよび位置決めアセンブリに一体化された駆動部は、クランプ位置と解放位置との間でクランプ要素を移動させるためのクランプ装置の調整要素に接続するためのモータ駆動式の結合要素を有する。このようにして、グリップおよび位置決めアセンブリをクランプ装置に結合している間、駆動部は、クランプ位置と解放位置との間でクランプ装置を移動させるための、クランプ装置の調整要素に接続され得る。
【0009】
本発明の好ましい変形形態では、結合要素は、ギヤユニットを介して、例えばチェーンギヤ機構の形態で、モータによって駆動されることができる。しかし、ギヤユニットはまた、ベルト駆動、ギヤホイール駆動、または別の適切な伝達システムであってもよい。
【0010】
グリップおよび位置決めアセンブリをクランプ装置へ結合する際、結合要素を調整要素に簡単に接続するために、筐体に軸回転可能に取り付けられている(drehbar gelagerte、枢動可能に取り付けられている)結合要素は、軸方向に移動可能であり、バネによって付勢されてもよい。
【0011】
グリップおよび位置決めアセンブリに配置され、クランプ装置への着脱可能な接続を提供する結合装置は、好適には、クランプ装置をロック位置に保持するためのロッキングユニット(Verriegelungseinrichtung、固定ユニット)を備えることができる。このために、結合装置と相互作用する受け部材は、クランプ装置上に配置されてもよい。この受け部材は、別個のアダプタ部に配置されても、またはクランプ装置に一体的に配置されてもよい。これにより、搬送中、クランプ装置は確実に保持される。
【0012】
本発明の建設的な好ましい変形形態では、ロッキングユニットは、ロック位置(固定位置)とアンロック位置(解除位置)との間でピストンによって移動可能なロッキング要素を含むことができる。ロッキング要素は、可撓性の板金または剛性のラッチであってもよい。ロッキング要素は、クランプ装置のアダプタ部のロッキングラグを受けるための複数の開口部を有してもよい。
【0013】
本発明の別の好ましい実施形態では、結合装置の整列要素は、例えば、くさび形の切欠きまたは円筒形もしくは円錐形の開口部に係合するための、くさび形の棒状部材、円筒形のピンまたは円錐形のピンとすることができる。あるいは、また、整列要素は、くさび形の棒状部材または円錐形のもしくは円筒形の要素、特に円筒形のピンまたは円錐形のピンを受けるための凹部であってもよい。
【0014】
上述のグリップおよび位置決めアセンブリは、産業用ロボットに取り付けられてもよく、または産業用ロボットの一部であってもよい。
【0015】
本発明はさらに、クランプ装置と、クランプ装置を異なる位置間で搬送するために、クランプ装置に着脱可能に接続可能なグリップおよび位置決めアセンブリと、を備える把持および操作アセンブリに関する。グリップおよび位置決めアセンブリは、グリップおよび位置決めアセンブリをクランプ装置に着脱可能に接続し、搬送中、クランプ装置を確実に保持するための結合装置と、クランプ装置をクランプ位置と解放位置との間で移動させるための一体化された駆動部と、を備える。クランプ装置はさらに、グリップおよび位置決めアセンブリの結合装置に接続するためにクランプ装置に配置された、少なくとも1つのアダプタ部の形態のインターフェースを備える。アダプタ部は、別個の構造部品であるように、または例えば、クランプ装置のベース本体に一体化されるように構成されてもよい。好ましくは、互いに対向して配置された2つのアダプタ部がクランプ装置に配置され、クランプ装置をグリップおよび位置決めアセンブリの結合装置に接続してもよい。
【0016】
グリップおよび位置決めアセンブリは、既に記載したようにさらに構成されてもよい。
【0017】
グリップおよび位置決めアセンブリ専用のクランプ装置は、好ましくは、ベース本体および少なくとも2つの把持爪を有する万力であるように構成される。
【0018】
クランプ装置は、それを加工機の加工テーブル上または高速交換システム上に位置決めし保持するための追加のインターフェースを有してもよい。このインターフェースは、例えば、少なくとも1つのクランプピンの形態で設計することができる。
【0019】
本発明で記載された加工機上でクランプ装置を操作する方法は、加工中にワークを確実に保持するために設けられたクランプ装置を、結合装置によってクランプ装置に着脱可能に接続し、クランプ装置をクランプ位置と解放位置との間で移動させるための一体化された駆動部を備える、グリップおよび位置決めアセンブリによって、ワークに移動させることと、グリップおよび位置決めアセンブリに一体化された駆動部の作動によって、クランプ装置でワークが持ち上げられることと、持ち上げられたワークとともにクランプ装置が、グリップおよび位置決めアセンブリによって加工機の加工位置またはリクランプ位置に搬送されることと、を特徴とする。
【0020】
本発明のさらなる独特な特徴および利点は、図面を参照して以下の好ましい実施例の説明から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】クランプ装置とグリップおよび位置決めアセンブリを備える把持および操作アセンブリの斜視図である。
図2図1のクランプ装置の斜視図である。
図3図2のクランプ装置の側面図である。
図4】整列要素を備え把持爪を除いた図2のクランプ装置を示す図である。
図5】クランプ装置のアダプタ部を示す図である。
図6図5のアダプタ部専用の整列要素を示す図である。
図7】グリップおよび位置決めアセンブリの斜視図である。
図8図5に示されたグリップおよび位置決めアセンブリの駆動部を示す図である。
図9図7のグリップおよび位置決めアセンブリの断面図である。
図10】アダプタ部を含む図7のグリップおよび位置決めアセンブリの断面図である。
図11図10の領域Aの拡大部分図である。
図12図7のグリップおよび位置決めアセンブリのロッキング要素を示す図である。
図13】クランプ装置とグリップおよび位置決めアセンブリを備える把持および操作アセンブリのさらなるバージョンの断面図である。
図14図13の矢印A-A方向から見た図である。
図15】ワークを保持するクランプ装置を搬送中の、把持および操作アセンブリを示す図である。
図16】ワークを搬送中の把持および操作アセンブリを示す図である。
図17】ワークの移送中の把持および操作アセンブリを示す図である。
図18】グリップおよび位置決めアセンブリの第2のバージョンの斜視図である。
図19】クランプ装置の第2のバージョンの斜視図である。
図20図18に示すグリップおよび位置決めユニットの整列要素、および図19に示すクランプ装置のアダプタ部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に示す把持および操作アセンブリは、加工中、ワークを確実に保持するためのクランプ装置1と、クランプ装置に着脱可能に接続可能であり、異なる位置間でクランプ装置を搬送するためにクランプ装置1に接続可能であるグリップおよび位置決めアセンブリ2と、を備える。示されている実施例では、グリップおよび位置決めアセンブリ2は、クランプ装置1に接続可能であり、ここでは多関節アームロボットの形態であるロボット3に取り付けられている。しかしながら、グリップおよび位置決めアセンブリ2は、ポータルロボット(Portalroboter)またはクランプ装置1を異なる方向に移動させるための別の構成の搬送および位置決めシステムにも取り付けられてもよい。また、グリップおよび位置決めアセンブリ2は、産業用ロボットの一部または別の搬送および位置決めシステムの一部であってもよい。
【0023】
図1に示されているロボット3は、当該技術分野において公知である下部架台またはスタンド4を備え、その上に回転台(Karussell)5が垂直軸の形態の第1の軸を中心として回転可能に取り付けられている。回転台5には、揺動アーム6が水平軸の形態の第2の軸を中心として回転可能に取り付けられている。揺動アーム6の自由端には、アーム7が第2の軸と平行な第3の軸を中心として回転可能に取り付けられており、第3の軸もまた水平軸である。アーム7は、第4の軸を中心としてアーム7に回転可能に取り付けられた横方向に突出した第1のハンド構成部品8を有するハンド構成部品(Handteil)を有する。第1のハンド構成部品8のフォーク型自由端には、第2のハンド構成部品9が第4の軸に対して直角に第5軸を中心として回転可能に取り付けられている。前方の第3のハンド構成部品10は、ハンド構成部品9の第6の軸を中心として回転可能に取り付けられる。クランプ装置1に接続可能なグリップおよび位置決めアセンブリ2は、前方の第3のハンド構成部品10に取り付けられる。
【0024】
図2および図3に異なる角度で示されているクランプ装置1は、互いに相対的に移動可能な2つの把持爪11および12を有する中心クランプ装置として構成されている。しかしながら、装置は、1つの固定された把持爪と、それに対して相対的に移動可能な1つの把持爪とを有するクランプ装置、または3つ以上の把持爪を有する複数のクランプ要素を有するクランプ装置であってもよい。示されている実施例では、万力(Schraubstock、クランプバイス)の形態を有するクランプ装置1は、ベース本体13を有し、その上で、2つの把持爪11および12が、スライダ部材14および15によって移動可能にガイドされ、調整要素16(ここでは調整スピンドルの形態)を有する調整機構によって相反する方向に作動される。調整要素16の自由端の外形プロファイル17(ここでは外部六角頭の形態)は、調整スピンドルとして構成された調整要素16を回転させて、2つの把持爪11および12を互いに相対的に調整することができる。外部六角頭の形態の外形プロファイル(Auβenprofil、外形輪郭)17の代わりに、他の結合手段、例えば、スプラインシャフト(Keilwellen)、爪型アタッチメント、4面コネクタまたはピンアタッチメントを有するシャフトも同様に使用することができる。
【0025】
図2に示すように、ベース本体13は、上部ガイド面20および21を有する2つの離隔した側壁18および19を有する。示されている実施例では、2つのガイド面20および21は、硬化かつ研磨されたガイドレール22および23上に配置されている。しかしながら、ガイド面20および21は、側壁18および19上に直接配置されてもよい。2つのスライダ部材14および15は、ベース本体13の2つの側壁18および19の間に嵌合し移動可能にガイドされる。グリップおよび位置決めアセンブリ2に接続されるように設計されたアダプタ部24または25は、ベース本体13の2つのそれぞれの端面に取り付けられている。さらに、図3に記載のように、ゼロ点クランプ要素26はベース本体13の底部に配置されている。ゼロ点クランプ要素26(ここではクランプピンとして構成されている)は、クランプ装置1を正確に位置決めして保持するために、当該技術分野において公知のゼロ点クランプシステムの一部であってもよい。このゼロ点クランプ要素26を使用して、クランプ装置1は、例えば、適切な形状の受け部材を有する加工機の加工テーブル上に正確に位置決めされて配置され、好適なクランプ装置によってその上にクランプされることが可能である。
【0026】
図4に示すように、クランプ装置1のベース本体13に取り付けられるアダプタ部24および25は、グリップおよび位置決めアセンブリ2の整列要素28との連結係合を提供するための凹部27を有する。図4に示す実施例では、凹部27は、アダプタ部24または25の両端に設けられたくさび形の切欠きであるように構成され、それ専用の整列要素28は、くさび形の棒状部材であるように構成されている。しかしながら、整列要素28はまた、円錐形の形状を有するか、または斜めに配置された円筒形であるように構成されてもよく、それ専用の凹部27は、円錐形の断面または斜めに配置された円筒形の面を有する開口部であるように設計されてもよい。互いに相補的な他の形状も可能である。さらに、グリップおよび位置決めアセンブリ2のロック位置にクランプ装置1を保持するための、2つの下向きに突出したロッキングラグ29が、アダプタ部24および25に設けられている。
【0027】
図5は、さらにアダプタ部24の別の実施例を示しており、図6は、それ専用の整列要素28を示している。本実施例では、整列要素28は、斜めに配置された円筒形であるように構成され、整列要素28専用のアダプタ部24の凹部27は、斜めに配置された円筒形の面を有する半円状の凹部であるように構成されている。
【0028】
図7に個別に示されているグリップおよび位置決めアセンブリ2は、筐体30を備え、整列要素28(ここではくさび形の棒状部材であるように構成されている)がその上に配置されている。グリップおよび位置決めアセンブリ2は、さらに駆動部31を備え、これにより、クランプ装置1をクランプ位置と解放位置との間で移動させることがでる。駆動部31は、クランプ装置1の調整要素16に接続可能であり、筐体30内に回転可能に取り付けられ、軸方向に変位可能な結合要素32を備える。結合要素32(ここでは駆動ブッシングであるように構成されている)を調整要素16に着脱可能に接続し、調整要素を回転させるために、結合要素は、調整要素16の端部の外部輪郭17と相補的な内部輪郭33を有する。筐体30に配置され、第1のギヤ段とチェーンギヤ機構として設計された第2のギヤ段とを有するモータ34によって、結合要素32を回転させてクランプ装置1を作動させることができる。さらに、クランプ装置1のアダプタ部24および25のロッキング要素29と相互作用し、グリップおよび位置決めアセンブリ2のロック位置に、クランプ装置1を保持するために設けられたロッキングユニット35が筐体30に配置される。
【0029】
図8は、調整要素16に接続可能な結合要素32を回転させるために筐体30内に配置されたチェーンギヤ機構を示す。チェーン駆動機構は、モータ34によって駆動される駆動ピニオン36を有し、駆動ピニオン36は、連結チェーン37を介して出力歯車39に接続され、出力歯車39は、スプラインシャフト接続38を介して駆動ブッシング32と噛合している。さらに、連結チェーン37に張力を与えるために圧縮バネ40によって作動する2つのテンションブロック41が、筐体30内に配置されている。
【0030】
図9に示す側面図は、筐体30に軸回転可能(枢動可能)に取り付けられた出力歯車39の駆動ブッシング32が、スプラインシャフト接続38によって軸方向に移動可能にガイドされるが、出力歯車39に関するねじれに対して保護されていることを示している。駆動ブッシング32は、圧縮バネ42によって外側に付勢されており、その結果、図9に示すように、圧縮バネ42の力に対抗して、伸長位置から収縮位置へと移動可能である。ロッキングユニット35は、筐体43内を移動するプランジャ44を備え、ロッキング要素45は、プランジャによって、図10に示すロック位置と図11に示す破線によって識別されるアンロック位置との間で移動可能である。
【0031】
記載した実施例では、図12に個別に示されているロッキング要素45は、2つの外側取付部46と可撓性中間部47とを有する板バネとして構成されている。可撓性中間部47は、アダプタ部24または25に設けられた2つのロッキングラグ29を受けるために設けられた2つの開口部48を有する。さらに、可撓性中間部47はまた、プランジャ44の上端のために設けられた開口部49を有する。しかしながら、ロッキングユニットはまた、フック、カラー付きプランジャまたはグリップアームを有する関節構成要素として構成されてもよい。
【0032】
図10のロック位置では、ロッキング要素45(ここでは板バネで構成されている)は、その上部ロック位置(下方に曲げられていない)で示されており、アダプタ部24または25のロッキングラグ29は、それぞれの開口部48に係合する。これにより、クランプ装置1とグリップおよび位置決めアセンブリ2との間の接続が適切な位置に確実にロックされる。プランジャ44が圧縮空気または他の圧縮媒体によって作動された結果、ロッキング要素が代わりに下向きに曲げられた場合、ロッキング要素45は、それぞれのアダプタ部24または25のロッキングラグ29を解放し、クランプ装置1とグリップおよび位置決めアセンブリ2との間の接続を切り離すことができる。プランジャ44が、供給コネクタ50を介して圧縮媒体によって作動される場合、ロッキング要素45は下向きに曲げられ、それぞれのアダプタ部24および25のロッキングラグ29を解放する。プランジャ44が代わりに供給コネクタ51を介して圧縮媒体によって作動される場合、ロッキング要素45は上部ロック位置に移動される。
【0033】
図7で見られるように、クランプ装置1の開口幅とスライダ部材14および15の位置とを決定するために設けられた距離センサ52が、グリップおよび位置決めアセンブリ2の筐体30に配置される。ジョーの幅が記憶されたデータテーブルと距離センサ52とによって、把持爪11および12間のクリアランスを計算してもよく、それに応じてモータ34を作動させてもよい。クランプ装置1を所望の開口幅に設定することができ、ワークを持ち上げてクランプすることができる。クランプ装置1を閉じた後、クランプ装置1の開口幅を、距離センサ52によって確認することができる。把持爪11および12間のクリアランスを監視することにより、ワークの幅方向の位置や幅を監視することができる。クリアランスを監視するために、好ましくは、光学式、静電容量式、超音波式、またはレーザー式のセンサが使用される。
【0034】
図13および図14は、図9および図10に示されたレイアウトにおけるバネ負荷式の結合要素32の代替形態を示す。代替形態のレイアウトでは、クランプ装置の調整要素16(ここでは調整スピンドルとして構成されている)に結合可能な結合要素32は、バネ負荷式ではなく、グリップおよび位置決めアセンブリ2の筐体30内に軸方向に移動可能に配置されていない。センサ53によって、調整要素16の位置を決定することができ、モータは、結合のために回転駆動を補正することができる。センサ53は、例えば、調整要素16の外形プロファイル17のマークまたは測定点54を検出するために、中空の結合要素32の内に配置された光学センサであってもよい。
【0035】
図15に示すように、上記の把持および操作アセンブリを使用することにより、例えば、図1に示すように、クランプ装置1は、供給ステーション55で手動によりクランプされたワーク56とともに、供給ステーション55から加工機の加工テーブル59に搬送することができる。
【0036】
しかしながら、グリップおよび位置決めアセンブリ2を、ロボット3に取り付けた状態で、かつクランプ装置1をグリップおよび位置決めアセンブリに結合した状態で把持および操作アセンブリを使用することにより、図16に示すように、グリップおよび位置決めアセンブリ2を適切に回転させることにより、ワーク56をワーク保管場所またはトレイ57から持ち上げて工作機械の加工テーブルに搬送することも可能である。したがって、クランプ装置1は、クランプおよびグリップユニットとの組み合わせとして機能することができる。
【0037】
図17に示すように、追加のグリップおよび位置決めアセンブリ2を使用することにより、第1の加工工程で使用されたワーク56を、第2の加工工程で使用されるクランプにクランプすることが可能である。第1のグリップおよび位置決めアセンブリ2を有するロボット3は、最初に、空の第1のクランプ装置1を、例えば、機械加工室外部の取付場所58に配置可能な固定的に設置された第2のグリップおよび位置決めアセンブリ2に搬送する。空の第1のクランプ装置1が、固定的に設置された第2の位置決め装置2に移送された後、第1のグリップおよび位置決めアセンブリ2を有するロボット3は、一方の側で加工されたワーク56を保持する第2のクランプ装置1を持ち上げて、空の第1のクランプ装置1を、固定的に設置された第2のグリップおよび位置決めアセンブリ2に移動または旋回させ、ワークを第1のクランプ装置1に移送する。現在空の第2のクランプ装置1をセットした後、現在装着されている第1のクランプ装置1は、固定的に設置された第2の位置決め装置2から取り外され、加工機の加工位置に搬送されてもよい。
【0038】
図18は、グリップおよび位置決めユニット2の第2の設計を示し、図19は、これに接続可能なクランプ装置1の第2の設計を示す。明確にするために、図18および図19には、重要で関連する参照文字のみが含まれている。先に示した設計レイアウトとの最も重要な差異は、図20でより詳細にかつ個別に示されているように、グリップおよび位置決めユニット2の整列要素28と結合装置との設計、ならびにクランプ装置1のアダプタ部24、25の設計レイアウトで見られる。クランプ装置1のベース本体13に取り付けられているアダプタ部24、25は、グリップおよび位置決めユニット2の整列要素28(ここでは凹部として構成されている)に連結係合するために設けられた2つの実質的に円錐形ピンとして構成されている。図18から図20に示すアダプタ部24、25および整列要素28の設計に加えて、互いに相補的な異なる形状も同様に可能である。さらに、また図18に示すグリップおよび位置決めアセンブリ2は、クランプ装置1をロッキングおよび保持するためのロッキングユニット35(図中に示されていない)を備え、ロッキングユニット35は、例えば、円錐形ピンに対してプランジャによって移動可能なロッキング要素を有してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 クランプ装置
2 グリップおよび位置決めアセンブリ
3 ロボット
4 スタンド
5 回転台
6 揺動アーム
7 アーム
8 第1のハンド構成部品
9 第2のハンド構成部品
10 第3のハンド構成部品
11 把持爪
12 把持爪
13 ベース本体
14 スライダ部材
15 スライダ部材
16 調整要素
17 外形プロファイル
18 側壁
19 側壁
20 ガイド面
21 ガイド面
22 ガイドレール
23 ガイドレール
24 アダプタ部
25 アダプタ部
26 クランプピン
27 凹部
28 整列要素
29 ロッキングラグ
30 筐体
31 駆動部
32 結合要素
33 内側輪郭
34 モータ
35 ロッキングユニット
36 駆動ピニオン
37 連結チェーン
38 スプラインシャフト接続
39 出力歯車
40 圧縮バネ
41 テンションブロック
42 圧縮バネ
43 筐体
44 プランジャ
45 ロッキング要素
46 外側取付部
47 可撓性中間部
48 開口部
49 開口部
50 供給コネクタ
51 供給コネクタ
52 距離センサ
53 センサ
54 測定点
55 供給ステーション
56 ワーク
57 トレイ
58 取付場所
59 加工テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20