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特許7061683帯鋼巻取り温度制御方法、装置及び帯鋼加工システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-20
(45)【発行日】2022-04-28
(54)【発明の名称】帯鋼巻取り温度制御方法、装置及び帯鋼加工システム
(51)【国際特許分類】
   B21B 37/76 20060101AFI20220421BHJP
   B21B 45/02 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
B21B37/76 A
B21B45/02 320T
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020549632
(86)(22)【出願日】2019-11-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 CN2019116503
(87)【国際公開番号】W WO2021017262
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】201910701867.2
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520350878
【氏名又は名称】首鋼京唐鋼鉄聯合有限責任公司
【氏名又は名称原語表記】SHOUGANG JINGTANG IRON & STEEL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Caofeidian Industrial District Tangshan, Hebei 063200 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】徐 芳
(72)【発明者】
【氏名】秦 紅波
(72)【発明者】
【氏名】史 金芳
(72)【発明者】
【氏名】黄 爽
(72)【発明者】
【氏名】李 東寧
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲かい▼
(72)【発明者】
【氏名】胡 亮
(72)【発明者】
【氏名】陳 ▲とん▼
(72)【発明者】
【氏名】鄭 偉
(72)【発明者】
【氏名】王 俊銀
(72)【発明者】
【氏名】陳 凌峰
(72)【発明者】
【氏名】徐 海衛
(72)【発明者】
【氏名】崔 勝国
(72)【発明者】
【氏名】王 金華
(72)【発明者】
【氏名】曹 長青
(72)【発明者】
【氏名】魏 志軍
【審査官】松村 駿一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108446454(CN,A)
【文献】特開昭63-168211(JP,A)
【文献】特開2003-025008(JP,A)
【文献】特開2007-237285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 37/76
B21B 45/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
層流冷却装置に適用される帯鋼巻取り温度制御方法であって、前記層流冷却装置には、第1対応表及び第2対応表が配置され、前記第1対応表は、帯鋼の目標厚さ及び目標温度パラメーターに対応する速度補償係数を含み、前記第2対応表は、帯鋼速度に対応する速度ゲイン係数を含み、前記方法は、
帯鋼の目標厚さ及び目標温度パラメーターに基づいて、前記第1対応表から対応する速度補償係数を検索するステップであって、前記目標温度パラメーターは目標最終圧延温度及び巻取り温度を含むステップと、
帯鋼速度に基づいて、前記第2対応表から対応する速度ゲイン係数を検索するステップと、
前記速度補償係数及び前記速度ゲイン係数に基づいて、前記帯鋼速度を修正して、修正された帯鋼速度を取得するステップと、
修正された帯鋼速度に基づいて、前記層流冷却装置の冷却効率を調整するステップと、を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記方法は、
前記速度補償係数及び前記速度ゲイン係数に基づいて、帯鋼速度を修正する前記ステップの前に
帯鋼の目標厚さと予め設定された厚さ閾値とを比較するステップ
をさらに含み
帯鋼の目標厚さが前記予め設定された厚さ閾値以下である場合、帯鋼速度を修正する必要があると判断し、前記速度補償係数及び前記速度ゲイン係数に基づいて帯鋼速度を修正するステップを実行して、修正された帯鋼速度を取得
帯鋼の目標厚さが前記予め設定された厚さ閾値よりも大きい場合、帯鋼速度を修正する必要がないと判断し、修正された帯鋼速度として前記帯鋼速度を使用するステップを実行する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
帯鋼の目標厚さ及び目標温度パラメーターに基づいて、第1対応表から対応する速度補償係数を検索する前記ステップは、
予め設定された目標厚さと厚さ等級との対応関係に基づいて、前記鋼の目標厚さが属する厚さ等級を確定するステップと、
目標最終圧延温度と巻取り温度との温度差値を計算するステップと、
予め設定された温度差値と温度差等級との対応関係に基づいて、前記目標温度パラメーターに対応する温度差等級を確定するステップと、
前記厚さ等級及び前記温度差等級に基づいて、前記速度補償係数を確定するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
帯鋼速度に基づいて、前記第2対応表から対応する速度ゲイン係数を検索する前記ステップは、
帯鋼のテール部がF1スタンドに到着したときの圧延速度を取得するステップであって、前記F1スタンドは、帯鋼が仕上圧延装置を通過する1番目のスタンドであるステップと、
帯鋼のテール部がF1スタンドに到着した時の圧延速度に基づいて、第2対応表で検索を行い、前記速度ゲイン係数を取得するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記速度補償係数及び前記速度ゲイン係数に基づいて、帯鋼速度を修正する前記ステップは、
速度修正係数として前記速度補償係数と前記速度ゲイン係数の積を使用するステップと、
前記速度修正係数及び前記帯鋼速度に基づいて計算して、修正された帯鋼速度を取得するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記層流冷却装置には、第3対応表がさらに配置され、前記第3対応表は、帯鋼の目標厚さ、目標温度パラメーター及び帯鋼速度に対応する冷却効率パラメーターを含み、修正された帯鋼速度に基づいて前記層流冷却装置の冷却効率を調整する前記ステップは、
修正された帯鋼速度、帯鋼の目標厚さ及び目標温度パラメーターに基づいて、前記第3対応表から対応する冷却効率パラメーターを検索するステップと、
前記冷却効率パラメーターに基づいて、前記層流冷却装置の冷却水排出量を調整するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
層流冷却装置に適用される帯鋼巻取り温度制御装置であって、前記層流冷却装置には、第1対応表及び第2対応表が配置され、前記第1対応表は、帯鋼の目標厚さ及び目標温度パラメーターに対応する速度補償係数を含み、前記第2対応表は、帯鋼速度に対応する速度ゲイン係数を含み、前記装置は、第1検索モジュールと、第2検索モジュールと、修正モジュールと、調整モジュールとを備え、
前記第1検索モジュールは、帯鋼の目標厚さ及び目標温度パラメーターに基づいて、前記第1対応表から対応する速度補償係数を検索するために使用され、前記目標温度パラメーターは目標最終圧延温度及び巻取り温度を含み、
前記第2検索モジュール、帯鋼速度に基づいて、前記第2対応表から対応する速度ゲイン係数を検索するために使用され、
前記修正モジュールは、前記速度補償係数及び前記速度ゲイン係数に基づいて、前記帯鋼速度を修正して、修正された帯鋼速度を取得するために使用され、
前記調整モジュールは、修正された帯鋼速度に基づいて、前記層流冷却装置の冷却効率を調整するために使用される、ことを特徴とする装置。
【請求項8】
判断モジュールを更に備え、前記判断モジュールは、
帯鋼の目標厚さと予め設定された厚さ閾値とを比較しており、
帯鋼の目標厚さが前記予め設定された厚さ閾値以下である場合、前記速度補償係数及び前記速度ゲイン係数に基づいて帯鋼速度を修正するステップを実行して、修正された帯鋼速度を取得しており、
帯鋼の目標厚さが前記予め設定された厚さ閾値よりも大きい場合、修正された帯鋼速度として前記帯鋼速度を使用するために使用される、ことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記層流冷却装置には第3対応表がさらに配置され、前記第3対応表は、帯鋼の目標厚さ、目標温度パラメーター及び帯鋼速度に対応する冷却効率パラメーターを含み、前記調整モジュールは、
修正された帯鋼の予め設定された速度、帯鋼の目標厚さ及び目標温度パラメーターに基づいて、前記第3対応表から対応する冷却効率パラメーターを検索しており、
前記冷却効率パラメーターに基づいて、前記層流冷却装置の冷却水排出量を調整するために使用される、ことを特徴とする請求項7又は8に記載の装置。
【請求項10】
帯鋼加工システムであって、帯鋼仕上圧延装置と、層流冷却装置と、帯鋼巻取り装置とを備え、前記層流冷却装置は、前記帯鋼仕上圧延装置と前記帯鋼巻取り装置との間に配置され、前記帯鋼仕上圧延装置により加工し得られた帯鋼を冷却処理するために使用され、
前記層流冷却装置は、メモリ及びプロセッサを備え、前記メモリは、コンピュータブログラムを格納するために使用され、前記プロセッサは、前記層流冷却装置が請求項1~6のいずれか一項に記載の方法を実行するように、前記コンピュータブログラムをロードして実行するために使用される、ことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2019年07月31日に中国専利局に提出された第201910701867.2号の特許出願の優先権を主張し、この特許出願の開示内容は、参照により本出願に組み込まれている。
本出願は、帯鋼生産技術の分野に関し、具体的には、帯鋼巻取り温度制御方法、装置及び帯鋼加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
熱間連続圧延の生産ラインでは、帯鋼の巻取り温度が長さ全体で均一になるように巻取り温度を制御することは困難な問題である。特に薄ゲージの帯鋼の場合、帯鋼のテーリングアウト(tailing-out)プロセスにおいて、速度が迅速に変化するため、冷却ゾーンを通過する帯鋼のテール部の速度は、帯鋼の前部と比較して一定の偏差があることにより、帯鋼のテール部の巻き取り温度と前部の巻き取り温度の違いの問題が引き起こされる。
【0003】
従来技術では、通常、鋼の厚さと最終圧延温度に応じて冷却装置の冷却効率を調整することで、帯鋼巻取り温度を制御する目的を達成する。しかしながら、現在、すべての種類の温度モデルは、帯鋼テーリングアウトプロセス中の速度変化と層流冷却水冷効率の正確な関係を正確に表すことができず、速度変化への適応能力が低く、テーリングアウトによる速度変化が帯鋼巻取り温度に与える影響を効果液に補償することができない。
【発明の概要】
【0004】
本出願の実施例は、帯鋼巻取り温度制御方法、装置及び帯鋼加工システムを提供することで、テーリングアウトによる帯鋼のテール部の巻取り温度と前部の巻取り温度との差が大きすぎるという従来技術の問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を実現するために、本出願の好ましい実施例は、次のような技術的手段を採用する。
第1態様では、本出願の実施例は、層流冷却装置に適用される帯鋼巻取り温度制御方法を提供する。前記層流冷却装置には、第1対応表及び第2対応表が配置され、前記第1対応表は、帯鋼の目標厚さ及び目標温度パラメーターに対応する速度補償係数を含み、前記第2対応表は、帯鋼速度に対応する速度ゲイン係数を含む。前記方法は、
帯鋼の目標厚さ及び目標温度パラメーターに基づいて、前記第1対応表から対応する速度補償係数を検索するステップであって、前記目標温度パラメーターは目標最終圧延温度及び巻取り温度を含むステップと、
帯鋼速度に基づいて、前記第2対応表から対応する速度ゲイン係数を検索するステップと、
前記速度補償係数及び前記速度ゲイン係数に基づいて、前記帯鋼速度を修正して、修正された帯鋼速度を取得するステップと、
修正された帯鋼速度に基づいて、前記層流冷却装置の冷却効率を調整するステップと、を含む。
【0006】
オプションで、本出願の幾つかの実施例では、前記方法は、前記速度補償係数及び前記速度ゲイン係数に基づいて、帯鋼速度を修正する前記ステップの前に、
帯鋼の目標厚さと予め設定された厚さ閾値とを比較するステップと、
帯鋼の目標厚さが前記厚さ閾値以下である場合、前記速度補償係数及び前記速度ゲイン係数に基づいて帯鋼速度を修正するステップを実行して、修正された帯鋼速度を取得するステップと、
帯鋼の目標厚さが前記厚さ閾値よりも大きい場合、修正された帯鋼速度として前記帯鋼速度を使用するステップとをさらに含む。
【0007】
本出願の幾つかの実施例では、帯鋼の目標厚さ及び目標温度パラメーターに基づいて、第1対応表から対応する速度補償係数を検索する前記ステップは、
予め設定された目標厚さと厚さレベルとの対応関係に基づいて、前記鋼の目標厚さが属する厚さレベルを確定するステップと、
目標最終圧延温度と巻取り温度との温度差値を計算するステップと、
予め設定された温度差値と温度差レベルとの対応関係に基づいて、前記目標温度パラメーターに対応する温度差等級を確定するステップと、
前記厚さ等級及び前記温度差等級に基づいて、前記速度補償係数を確定するステップと、を含む。
【0008】
本出願の幾つかの実施例では、帯鋼速度に基づいて、前記第2対応表から対応する速度ゲイン係数を検索する前記ステップは、
帯鋼のテール部がF1スタンドに到着したときの圧延速度を取得するステップであって、前記F1スタンドは、帯鋼が仕上圧延装置を通過する1番目のスタンドであるステップと、
帯鋼のテール部がF1スタンドに到着した時の圧延速度に基づいて、第2対応表で検索を行い、前記速度ゲイン係数を取得するステップと、を含む。
【0009】
本出願の幾つかの実施例では、前記速度補償係数及び前記速度ゲイン係数に基づいて、帯鋼速度を修正する前記ステップは、
速度修正係数として、前記速度補償係数と前記速度ゲイン係数の積を使用するステップと、
前記速度修正係数及び前記帯鋼速度に基づいて計算して、修正された帯鋼速度を取得するステップと、を含む。
【0010】
本出願の幾つかの実施例では、前記層流冷却装置には、第3対応表がさらに配置され、前記第3対応表は、帯鋼の目標厚さ、目標温度パラメーター及び帯鋼速度に対応する冷却効率パラメーターを含み、修正された帯鋼速度に基づいて前記層流冷却装置の冷却効率を調整する前記ステップは、
修正された帯鋼速度、帯鋼の目標厚さ及び目標温度パラメーターに基づいて、前記第3対応表から対応する冷却効率パラメーターを検索するステップと、
前記冷却効率パラメーターに基づいて、前記層流冷却装置の冷却水排出量を調整するステップと、を含む。
【0011】
第2態様では、本出願の実施例は、層流冷却装置に適用される帯鋼巻取り温度制御装置を提供する。前記層流冷却装置には、第1対応表及び第2対応表が配置され、前記第1対応表は、帯鋼の目標厚さ及び目標温度パラメーターに対応する速度補償係数を含み、前記第2対応表は、帯鋼速度に対応する速度ゲイン係数を含む。前記装置は、第1検索モジュールと、第2検索モジュールと、修正モジュールと、調整モジュールとを備える。
前記第1検索モジュールは、帯鋼の目標厚さ及び目標温度パラメーターに基づいて、前記第1対応表から対応する速度補償係数を検索するために使用され、前記目標温度パラメーターは目標最終圧延温度及び巻取り温度を含み、
前記第2検索モジュール、帯鋼速度に基づいて、前記第2対応表から対応する速度ゲイン係数を検索するために使用され、
前記修正モジュールは、前記速度補償係数及び前記速度ゲイン係数に基づいて、前記帯鋼速度を修正して、修正された帯鋼速度を取得するために使用され、
前記調整モジュールは、修正された帯鋼速度に基づいて、前記層流冷却装置の冷却効率を調整するために使用される。
【0012】
オプションで、本出願の幾つかの実施例において、前記装置は判断モジュールを更に備える。前記判断モジュールは、
帯鋼の目標厚さと予め設定された厚さ閾値とを比較しており、
帯鋼の目標厚さが前記厚さ閾値以下である場合、前記速度補償係数及び前記速度ゲイン係数に基づいて帯鋼速度を修正するステップを実行して、修正された帯鋼速度を取得しており、
帯鋼の目標厚さが前記厚さ閾値よりも大きい場合、修正された帯鋼速度として前記帯鋼速度を使用するために使用される。
【0013】
本出願の幾つかの実施例では、前記層流冷却装置には第3対応表がさらに配置され、前記第3対応表は、帯鋼の目標厚さ、目標温度パラメーター及び帯鋼速度に対応する冷却効率パラメーターを含み、前記調整モジュールは、
修正された帯鋼速度、帯鋼の目標厚さ及び目標温度パラメーターに基づいて、前記第3対応表から対応する冷却効率パラメーターを検索しており、
前記冷却効率パラメーターに基づいて、前記層流冷却装置の冷却水排出量を調整するために使用される。
【0014】
第3態様では、本出願の実施例は、帯鋼加工システムを更に提供する。このシステムは、帯鋼仕上圧延装置と、層流冷却装置と、帯鋼巻取り装置とを備える。前記層流冷却装置は、前記帯鋼仕上圧延装置と前記帯鋼巻取り装置との間に配置され、前記帯鋼仕上圧延装置により加工し得られた帯鋼を冷却処理するために使用される。
前記層流冷却装置は、メモリ及びプロセッサを備え、前記メモリは、コンピュータブログラムを格納するために使用され、前記プロセッサは、前記層流冷却装置が上記の帯鋼巻取り温度制御方法を実行するように、前記コンピュータブログラムをロードして実行するために使用される。
【0015】
従来技術と比較して、本出願の実施例で提供される帯鋼巻取り温度制御方法は、少なくとも次の技術効果又は利点を有する。
本出願の実施例で提供される帯鋼巻取り温度制御方法は、帯鋼の目標厚さ、目標最終圧延温度及び巻取り温度に基づいて速度補償係数を確定し、同時に、帯鋼速度に基づいて速度ゲイン係数を確定し、その後、速度補償係数及び速度ゲイン係数に基づいて、帯鋼速度を修正して、修正された帯鋼速度を取得し、最終的に、修正された帯鋼速度に基づいて、層流冷却装置の冷却効率を調整する。この方法により、帯鋼の目標厚さ、目標最終圧延温度、巻取り温度及び帯鋼速度などの複数の要素を組み合わせることで、帯鋼速度を修正し、次に、修正された帯鋼速度に基づいて層流冷却装置の冷却効率を動的に調整することができるので、テーリングアウトによる帯鋼のテール部の巻取り温度と前部の巻取り温度との差が大きすぎるという問題を回避し、帯鋼のカットロスを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下、本出願の実施例の技術的手段を更に詳細に説明するために、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。当然のことながら、下記の説明における図面は本出願の幾つかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的労働をしない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
図1】本出願の幾つかの実施例による仕上圧延-冷却-巻取りプロセスの模式図である。
図2】本出願の幾つかの実施例による帯鋼巻取り温度制御方法のステップのフローチャートである。
図3】本出願の別の実施例による帯鋼巻取り温度制御方法のステップのフローチャートである。
図4】本出願の幾つかの実施例による層流冷却装置の構成模式図である。
図5】本出願の幾つかの実施例による帯鋼巻取り温度制御装置のモジュール模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本出願の実施例は、帯鋼巻取り温度制御方法、装置及び帯鋼加工システムを提供することで、テーリングアウトによる帯鋼のテール部の巻取り温度と前部の巻取り温度との差が大きすぎるという従来技術の問題を解決する。
【0018】
本出願の実施例の技術的解決策は、上記の技術的問題を解決するために、以下の一般的なアイデアを持っている。
層流冷却装置に適用される帯鋼巻取り温度制御方法であって、前記層流冷却装置には、第1対応表及び第2対応表が配置され、前記第1対応表は、帯鋼の目標厚さ及び目標温度パラメーターに対応する速度補償係数を含み、前記第2対応表は、帯鋼速度に対応する速度ゲイン係数を含み、前記方法は、帯鋼の目標厚さ及び目標温度パラメーターに基づいて、前記第1対応表から対応する速度補償係数を検索するステップであって、前記目標温度パラメーターは目標最終圧延温度及び巻取り温度を含むステップと、帯鋼速度に基づいて、前記第2対応表から対応する速度ゲイン係数を検索するステップと、前記速度補償係数及び前記速度ゲイン係数に基づいて、前記帯鋼速度を修正して、修正された帯鋼速度を取得するステップと、修正された帯鋼速度に基づいて、前記層流冷却装置の冷却効率を調整するステップとを含む。
【0019】
上記の技術的解決策をよりよく理解するために、上記の技術的解決策を、本明細書の添付図面及び具体的な実施形態を参照しながら以下で詳細に説明する。矛盾がない場合、以下の実施例と実施例における特徴は互いに組み合わせることができる。
【0020】
なお、本出願の説明において、「第1」、「第2」などの用語は、説明を区別するためにのみ使用され、相対的な重要性を示す又は示唆するものとして理解され得ない。
【0021】
図1を参照されたい。図1は、帯鋼生産ラインの仕上圧延-冷却-巻取りプロセスの模式図である。通常、仕上圧延装置10で加工された鋼帯の温度は、900~950℃(900~920℃、910~930℃、920~940℃、930~950℃などの様々な状況を含む)であり、巻取り前に層流冷却装置20で数秒以内に帯鋼を600~650℃(600~620℃、610~630℃、620~640℃、630~650℃などの様々な状況を含む)まで冷却する必要がある。また、このプロセスでは、帯鋼の製品品質及び性能を保証するために、帯鋼の巻取り温度が一定の範囲内に維持されることを保証する必要がある。
【0022】
しかしながら、帯鋼のテーリングアウトプロセス中の速度が迅速に変化するため、帯鋼のテール部の巻取り温度は、前端と比較して大きな差がある。それにより、帯鋼は、関連する品質要件を満たすことができなくなり、帯鋼のカットロス量が増加する。
【0023】
この問題に対して、出願人は研究の過程で以下のことを発見した。帯鋼のテーリングアウトプロセス中の帯鋼巻取り温度に影響を与える要因は主に、仕上圧延装置10で加工された帯鋼の目標厚さ、帯鋼がF7スタンドを離れたときの最終圧延温度、帯鋼がF1スタンドを通過するときの圧延速度及び層流冷却装置20の冷却効率を含む。冷却装置の冷却効率は主に、帯鋼速度、帯鋼の目標厚さ、目標最終圧延温度及び巻取り温度に基づいて制御される。
【0024】
従って、テーリングアウトプロセス中の帯鋼の速度を修正し、層流冷却装置20の冷却効率を動的に調節することにより、帯鋼のテール部の巻取り温度を制御して、テーリングアウトによる帯鋼のテール部の巻取り温度と前部巻取り温度の差が大きすぎるという問題を解決することができる。
【0025】
上記の原理に基づいて、本出願の実施例は、帯鋼巻取り温度制御方法を提供する。この方法は、図1の層流冷却装置20に適用して、層流冷却装置20の冷却効率(具体的には、層流冷却装置20の単位時間内の冷却水排出量を制御)を制御し、そして帯鋼の巻取り温度を制御することができる。
【0026】
以下、図2を参照しながら本出願の幾つかの実施例による帯鋼巻取り温度制御方法を詳細に説明する。
【0027】
図2を参照されたい。前記方法は、
帯鋼の目標厚さ及び目標温度パラメーターに基づいて、第1対応表から対応する速度補償係数を検索するステップS10と、
帯鋼速度に基づいて、第2対応表から対応する速度ゲイン係数を検索するステップS20と、を含む。
【0028】
前記目標温度パラメーターは、目標最終圧延温度及び巻取り温度を含む。本出願の幾つかの実施例では、目標最終圧延温度及び巻取り温度は、帯鋼加工システムに設定された加工パラメーターに基づいて取得することもでき、リアルタイムで取得することもできる。
【0029】
具体的には、本出願の幾つかの実施例では、前記層流冷却装置20は、メモリ21及びプロセッサ23を含み得る(図4を参照されたい)。前記メモリ21は、コンピュータブログラムを格納するために使用される。前記プロセッサ23は、前記層流冷却装置20が前記方法中の各ステップを実行して帯鋼巻取り温度の制御を実現するように、前記コンピュータブログラムをロードして実行するために使用される。
【0030】
さらに、上記のステップS10及びステップS20を実行する前に、異なる帯鋼の目標厚さ、目標最終圧延温度、巻取り温度と速度補償係数との対応関係、即ち第1対応表、及び異なる帯鋼速度と速度ゲイン係数との対応関係、即ち第2対応表を予め確立する必要がる。その後、該対応関係に応じて層流冷却装置20に対してデータ配置を行う。
【0031】
なお、本出願の幾つかの実施例では、上記の帯鋼の目標厚さ、目標最終圧延温度、巻取り温度と速度補償係数との対応関係、及び異なる帯鋼速度と速度ゲイン係数との対応関係は、幾つかの実験データから得られる。
【0032】
さらに、上記の対応関係の構成を完了した後、帯鋼の目標厚さ、目標最終圧延温度及び巻取り温度に基づいて検索すると、それに対応する速度補償係数を取得することができる。同様に、帯鋼速度に基づいて検索すると、それに対応する速度ゲイン係数を取得することができる。
【0033】
オプションで、本出願の実施例では、帯鋼がF1スタンドを通過する(即ち、帯鋼が仕上圧延装置10の最初のスタンドを通過する)ときの速度を、前記帯鋼速度として選択することができる。
【0034】
さらに、図2を続けて参照されたい。上記のステップS20の後、前記方法は、
前記速度補償係数及び前記速度ゲイン係数に基づいて、前記帯鋼速度を修正して、修正された帯鋼速度を取得するステップS30を更に含む。
【0035】
当業者であれば、上記の速度補償係数が表す意味は、テーリングアウトプロセス中の帯鋼速度の相対変化率であり、上記の速度ゲイン係数が表す意味は、異なる帯鋼速度でのテーリングアウトプロセスによる帯鋼速度への影響率であることを理解すべきである。
【0036】
本出願の実施例では、帯鋼の目標厚さ、目標最終圧延温度及び巻取り温度に基づいて、現在の状況に適する速度補償係数を確定し、同時に、帯鋼速度に基づいて、現在の状況に適する速度ゲイン係数を確定し、その後、速度補償係数と速度ゲイン係数を組み合わせて、速度修正係数を取得し、最後に、この速度修正係数に基づいて計算すると、修正された帯鋼速度を取得して、層流冷却装置20の冷却効率の調整に使用する。
【0037】
具体的には、本出願の幾つかの実施例では、上記のプロセスは次のように表現され得る。
Spd_preAdj = Spd_pre*(1-SpdAdj)、SpdAdj=SpdComp*SpdGain
ここで、Spd_preは帯鋼速度であり、SpdCompは速度補償係数であり、SpdGainは速度ゲイン係数であり、Spd_preAdjは修正された帯鋼速度である。
【0038】
さらに、図2を続けて参照されたい。上記のステップS30の後、前記方法は、
修正された帯鋼速度に基づいて、層流冷却装置20の冷却効率を調整するステップS40を更に含む。
【0039】
本出願の実施例では、前記層流冷却装置20は、帯鋼の目標厚さ、目標最終圧延温度、巻取り温度及び帯鋼速度と冷却効率パラメーターとの間の対応関係を構成する必要がある。上記のステップS30で修正された帯鋼速度を取得した後、帯鋼の目標厚さ、目標最終圧延温度及び巻取り温度を組み合わせると、層流冷却装置20の冷却効率を調整(層流冷却装置20の単位時間内の冷却水排出量を調整)して、テーリングアウトプロセス中の帯鋼速度に適合させることができる。
【0040】
上記の方法により、帯鋼速度に基づいて層流冷却装置20の冷却効率を動的に調整することができるので、帯鋼テーリングアウトプロセス中の速度変化による帯鋼のテール部の巻取り温度と前部の巻取り温度との差が大きすぎるという問題を回避して、帯鋼のカットロス量を低減し、帯鋼の生産品質を向上させることができる。
【0041】
さらに、実際の応用において、出願人は、帯鋼の目標厚さが一定の条件を超えると、テーリングアウトプロセスによる帯鋼のテール部の巻取り温度への影響が徐々に減少することを発見した。
【0042】
そのため、別の実施例では、制御プロセスにおける層流冷却装置20の計算量を削減し、帯鋼の高速圧延プロセス中の層流冷却装置20の応答速度を向上させるため、上記のステップS30の前に判断プロセス(図3)を追加して、帯鋼速度を修正する必要があるか否かを確定する。
【0043】
以下、図3を参照しながら、本出願別の実施例による帯鋼巻取り温度制御方法を詳細に説明する。
【0044】
図3を参照されたい。ステップS30の前に、前記方法は、
帯鋼の目標厚さと予め設定された厚さ閾値とを比較するステップS21を更に含む。
【0045】
具体的には、本出願の幾つかの実施例では、前記厚さ閾値は5mmに設定することができる。帯鋼の目標厚さが5mm以下である場合、ステップS30を実行し、ステップS10及びステップS20で得られた速度補償係数及び速度ゲイン係数に基づいて修正計算を行い、次に、修正された帯鋼速度に基づいて、層流冷却装置20の冷却効率を調整する。
【0046】
帯鋼の目標厚さが5mmよりも大きい場合、テーリングアウトによる帯鋼のテール部の巻取り温度への影響が小さいため、帯鋼速度(即ち、帯鋼がF1スタンドを通過するときの速度)を前記修正された速度として直接使用して、層流冷却装置20の冷却効率を制御することができる。
【0047】
さらに、出願人はまた、実際の応用において、層流冷却装置20の冷却効率に対する目標最終圧延温度及び巻取り温度の影響が、両者間の温度差値にのみ依存し、かつ帯鋼の目標厚さ及び帯鋼速度が一定の範囲内で帯鋼巻取り温度の影響を受けることができることを発見した。
【0048】
従って、本出願の別の実施例では、帯鋼の目標厚さの等級(即ち、厚さ範囲)及び目標最終圧延温度と巻取り温度との温度差等級(即ち、温度差値範囲)に基づいて、対応する速度補償係数を取得し、帯鋼速度の等級(即ち、速度範囲)に基づいて、対応する速度ゲイン係数を取得することができ、それにより、制御プロセスにおける層流冷却装置20の計算量をさらに削減し、帯鋼の高速圧延プロセス中の層流冷却装置20の応答速度を向上させる。
【0049】
例えば、可能な実施形態では、目標最終圧延温度と巻取り温度との差値deltaT≦100℃の場合、温度差等級を0に設定することができる。100<deltaT≦250℃の場合、温度差等級を1に設定する。250<deltaT≦350℃の場合、温度差等級を2に設定する。350<deltaT≦450℃の場合、温度差等級を3に設定する。450<deltaT≦550℃の場合、温度差等級を4に設定する。550<deltaT≦650℃の場合、温度差等級を5に設定する。deltaT>650℃の場合、温度差等級を6に設定する。
【0050】
さらに、帯鋼の目標厚さh≦1.9mmの場合、温度差等級0から6に対応する速度補償係数SpdCompは順に0.02、0.03、0.05、0.08、0.09、0.12、0.15である。1.9<h≦2.5mmの場合、温度差等級0~6に対応する速度補償係数SpdCompは順に 0.01、0.02、0.04、0.075、0.085、0.115、0.135である。2.5<h≦3.0mmの場合、温度差等級0~6に対応する速度補償係数SpdCompは順に0.0、0.015、0.03、0.055、 0.08、0.105、0.115である。3.0<h≦4.0mmの場合、温度差等級0~6に対応する速度補償係数SpdCompは順に0.0、0.01、 0.02、0.045、0.075、0.10、0.105である。4.0<h≦5.0mmの場合、温度差等級0~6に対応する速度補償係数SpdCompは順に -0.005、0.005、0.01、0.035、0.055、0.075、0.085である。h>5.0mmの場合、温度差等級0~6に対応する速度補償係数SpdCompは順に0.0、0.0、0.0、0.0、0.0、0.0、0.0である。
【0051】
同様に、帯鋼速度Spd_pre≦5m/sの場合、それに対応する速度ゲイン係数SpdGainを0.98に設定することができる。5.0<Spd_pre≦7.5m/sの場合、それに対応する速度ゲイン係数SpdGainを1.0に設定する。7.5<Spd_pre≦10m/sの場合、それに対応する速度ゲイン係数SpdGainを1.01に設定する。10.5<Spd_pre≦12m/sの場合、それに対応する速度ゲイン係数SpdGainを1.02に設定する。12.5<Spd_pre≦14m/sの場合、それに対応する速度ゲイン係数SpdGainを1.03に設定する。14<Spd_pre≦16m/sの場合、それに対応する速度ゲイン係数SpdGainを1.035に設定する。Spd_pre>16m/sの場合、それに対応する速度ゲイン係数SpdGainを1.045に設定する。
【0052】
さらに、本出願の幾つかの実施例では、上記の速度修正係数の上限と下限を設定することもできる。例えば、可能な実施形態であれは、速度修正係数の上限を0.15に設定し、下限を-0.1に設定することができる。前記速度補償係数と前記速度ゲイン係数の積が0.15よりも大きい場合、その速度修正係数を0.15に設定する。前記速度補償係数と前記速度ゲイン係数の積が-0.1よりも小さい場合、その速度修正係数を-0.1に設定する。
【0053】
上記は、本出願の好ましい実施例によって提供されるデータにすぎず、本出願の他の実施例では、前述のパラメーターの対応関係は、実際の応用状況に応じて任意に調整できることを理解すべきである。
【0054】
要するに、本出願の実施例で提供される帯鋼巻取り温度制御方法は、従来技術と比較して以下の技術的効果又は利点を有する。
【0055】
1.本出願の実施例で提供される帯鋼巻取り温度制御方法は、帯鋼の目標厚さ、目標最終圧延温度及び巻取り温度に基づいて速度補償係数を確定し、同時に、帯鋼速度に基づいて速度ゲイン係数を確定し、その後、速度補償係数及び速度ゲイン係数に基づいて、帯鋼速度を修正して、修正された帯鋼速度を取得し、最終的に、修正された帯鋼速度に基づいて、層流冷却装置20の冷却効率を調整する。この方法により、帯鋼速度に基づいて層流冷却装置20の冷却効率を動的に調整することができるので、テーリングアウトによる帯鋼のテール部の巻取り温度と前部の巻取り温度との差が大きすぎるという問題を回避し、帯鋼のカットロスを低減することができる。
【0056】
2.本出願の実施例で提供される帯鋼巻取り温度制御方法は、速度修正が必要か否かを判断するステップを設置することにより、帯鋼の目標厚さ、目標最終圧延温度、巻取り温度と速度補償係数との間の対応関係、及び帯鋼速度と速度ゲイン係数との間の対応関係を、面と点の間の対応関係として構成し(即ち、帯鋼の目標厚さ、目標最終圧延温度と巻取り温度との温度差値、帯鋼速度に等級を付ける)、制御プロセスにおける層流冷却装置20の計算量を削減して、帯鋼高速圧延プロセス中の層流冷却装置20の応答速度を向上させる。
【0057】
同じ発明概念に基づいて、本出願の実施例は、本出願の実施例に記載の帯鋼巻取り温度制御方法を実施する層流冷却装置20をさらに提供する。
【0058】
図4を参照されたい。前記層流冷却装置20は、メモリ21、メモリコントローラー22及びプロセッサ23を備える。メモリ21は、帯鋼巻取り温度制御装置70を備える。
【0059】
前記メモリ21、メモリコントローラー22及びプロセッサ23の各エレメントは、直接又は間接的に互いに電気的に接続されて、データの転送や相互作用を実現する。例えば、これらのエレメントは、1つ以上の通信バス又は信号線を介して互いに電気的に接続することができる。前記帯鋼巻取り温度制御装置70は、ソフトウェア又はファームウェア(firmware)の形態でメモリ21に格納することができるか、あるいは前記層流冷却装置20のオペレーティングシステム(operating system、OS)で固化することができる少なくとも1つソフトウェア機能モジュールを含むことができる。前記プロセッサ23は、前記メモリ21に格納された実行可能なモジュール、例えば、前記帯鋼巻取り温度制御装置70に含まれるソフトウェア機能モジュール及びコンピュータブログラムなどを実行するために使用される。前記メモリコントローラー22は、帯鋼巻取り温度控制装置70における第1対応表及び第2対応表のデータ表構造及びデータ値を格納するために使用される。
【0060】
具体的には、本出願の実施例では、前記層流冷却装置20には、第1対応表及び第2対応表が配置され、前記第1対応表は、帯鋼の目標厚さ及び目標温度パラメーターに対応する速度補償係数を含み、前記第2対応表は、帯鋼速度に対応する速度ゲイン係数を含む。
【0061】
図5を参照されたい。前記帯鋼巻取り温度制御装置70は、第1検索モジュール701、第2検索モジュール702、修正モジュール703、及び調整モジュール704を備える。
第1検索モジュール701は、帯鋼の目標厚さ及び目標温度パラメーターに基づいて、前記第1対応表から対応する速度補償係数を検索するために使用される。前記目標温度パラメーターは目標最終圧延温度及び巻取り温度を含む。
【0062】
第2検索モジュール702は、帯鋼速度に基づいて、前記第2対応表から対応する速度ゲイン係数を検索するために使用される。
【0063】
修正モジュール703は、前記速度補償係数及び前記速度ゲイン係数に基づいて、前記帯鋼速度を修正して、修正された帯鋼速度を取得するために使用される。
【0064】
調整モジュール704は、修正された帯鋼速度に基づいて、層流冷却装置20の冷却効率を調整するために使用される。
【0065】
オプションで、本出願の別の実施例では、前記帯鋼巻取り温度制御装置70は判断モジュール705を更に含む。前記判断モジュール705は、
帯鋼の目標厚さと予め設定された厚さ閾値とを比較しており、
帯鋼の目標厚さが前記厚さ閾値以下である場合、前記速度補償係数及び前記速度ゲイン係数に基づいて帯鋼速度を修正するステップを実行して、修正された帯鋼速度を取得しており、
帯鋼の目標厚さが前記厚さ閾値よりも大きい場合、修正された帯鋼速度として前記帯鋼速度を使用するために使用される。
【0066】
オプションで、本出願の実施例では、前記層流冷却装置20には第3対応表がさらに配置される。前記第3対応表は、帯鋼の目標厚さ、目標温度パラメーター及び帯鋼速度に対応する冷却効率パラメーターを含む。前記調整モジュール704は、具体的には、
修正された帯鋼速度、帯鋼の目標厚さ及び目標温度パラメーターに基づいて、前記第3対応表から対応する冷却効率パラメーターを検索しており、
前記冷却効率パラメーターに基づいて、前記層流冷却装置20の冷却水排出量を調整するために使用される。
【0067】
本実施例で紹介する層流冷却装置20は、本出願の実施例における帯鋼巻取り温度制御方法を実施するのに採用される層流冷却装置20であるため、本出願の実施例で紹介される帯鋼巻取り温度制御方法に基づいて、当業者は、本実施例の層流冷却装置20の具体的な実施形態及びその様々な変化形態を理解することができる。そのため、この層流冷却装置20が本出願の実施例における方法をどのように実施するかについては、ここでは詳細に説明しない。当業者が、本出願の実施例における帯鋼巻取り温度制御方法で採用される層流冷却装置20を実施する限り、それは本出願の保護範囲内に含まれる。
【0068】
さらに、本出願の実施例は、帯鋼加工システムを更に提供する。このシステムは、帯鋼仕上圧延装置10と、層流冷却装置20と、帯鋼巻取り装置0とを備える。前記層流冷却装置20は、前記帯鋼仕上圧延装置10と前記帯鋼巻取り装置30との間に配置され、前記帯鋼仕上圧延装置10により加工し得られた帯鋼を冷却処理するために使用される。
【0069】
前記層流冷却装置20は、メモリ21及びプロセッサ23を備え、前記メモリ21は、コンピュータブログラムを格納するために使用され、前記プロセッサ23は、前記層流冷却装置20が上記の帯鋼巻取り温度制御方法を実行するように、前記コンピュータブログラムをロードして実行するために使用される。
【0070】
同じ理由で、層流冷却装置20が本出願の実施例の方法をどのように実施するかは、ここでは繰り返さない。
【0071】
本発明の実施例は、方法、システム、またはコンピュータプログラム製品として提供され得ることを当業者は理解すべきである。従って、本発明は、完全なハードウェア実施例、完全なソフトウェア実施例、又はソフトウェアとハードウェアを組み合わせる実施例の形態を採用することができる。また、本発明は、コンピュータ使用な可能なプログラムコードを含む1つ以上のコンピュータ使用可能な記憶媒体(ディスクメモリ、CD-ROM、光学メモリなどを含むがこれらに限定されない)で実行され得るコンピュータブログラム製品の形態を採用することができる。
【0072】
本発明は、本発明の実施例による方法、装置(システム)、及びコンピュータブログラム製品のフローチャート及び/又はブロック図を参照して説明される。フローチャート及び/又はブロック図の各プロセス及び/又はブロック、ならびにフローチャート及び/又はブロック図のプロセス及び/又はブロックの組み合わせは、コンピュータブログラム命令によって実現できることを理解されたい。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、組み込みプロセッサ、又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供して、マシンを生成することができる。それにより、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサによって実行される命令は、フローチャートの1つ以上のプロセス及び/又はブロック図の1つ以上のブロックで指定された機能を実現するデバイスを生成する。
【0073】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置が特定の方法で作業するように指示できるコンピュータ読み取り可能なメモリに保存することもできる。それにより、コンピュータ可読メモリに格納された命令は、命令デバイスを含む製品を生成する。この命令デバイスは、フローチャートの1つの以上のプロセス、及び/又はブロック図の1つ以上のブロックで指定された機能を実現する。
【0074】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置にロードすることもできる。それにより、コンピュータ又は他のプログラム可能な装置で実行される一連の操作ステップを実行して、コンピュータで実現される処理を生成する。その結果、コンピュータ又は他のプログラム可能な装置で実行される命令は、フローチャートの1つ以上のプロセス及び/又はブロック図の1つ以上のブロックで指定された機能を実現するためのステップを提供する。
【0075】
上記の実施例は、本出願の具体的な実施形態に過ぎず、本出願の技術的解決策を説明するために使用され、それを限定するものではなく、本出願の保護範囲はそれに限定されない。この出願は、前述の実施例を参照して詳細に説明されてきたが、当業者は、本出願に開示された技術的範囲内で誰でも、上記の実施例に記載された技術的解決策を修正するか、又は変更を容易に想到することができ、あるいは技術的特徴の一部を同等に置き換えることができることを理解すべきである。これらの修正、変化又は置き換えは、対応する技術的手段の本質を本出願の実施例の技術的手段の精神及び範囲から逸脱させず、いずれも本出願の保護範囲内に含まれる。従って、本出願の保護範囲は、特許請求の範囲で指定された範囲を基準とする。
【符号の説明】
【0076】
10-仕上圧延装置
20-層流冷却装置
21-メモリ
22-メモリコントローラー
23-プロセッサ
30-巻取り装置
70-帯鋼巻取り温度制御装置
701-第1検索モジュール
702-第2検索モジュール
703-修正モジュール
704-調整モジュール
705-判断モジュール
図1
図2
図3
図4
図5