(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-20
(45)【発行日】2022-04-28
(54)【発明の名称】ボルト用化粧カバー
(51)【国際特許分類】
F16B 37/14 20060101AFI20220421BHJP
【FI】
F16B37/14 E
(21)【出願番号】P 2021009407
(22)【出願日】2021-01-25
(62)【分割の表示】P 2016188684の分割
【原出願日】2016-09-27
【審査請求日】2021-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000119830
【氏名又は名称】因幡電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】清水 明
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-093486(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第00517281(EP,A1)
【文献】西独国特許出願公開第03228475(DE,A)
【文献】特開2010-144876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 37/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面から突出するボルトに取り付けられるボルト用化粧カバーにおいて、
取り付け時に前記ボルトが貫通するボルト貫通孔と、
平面視または底面視で前記ボルト貫通孔の中心を通る仮想線を基準とした、前記ボルト貫通孔の一方側周壁と他方側周壁とからそれぞれ突出する少なくとも1個の爪部と、を備え、
前記一方側周壁にある1個の爪部と前記他方側周壁にある1個の爪部とで1組が構成され、
前記1組に属する前記一方側周壁にある爪部と前記他方側周壁にある爪部とが、前記ボルト貫通孔の貫通する方向において異なる位置に形成されており、
前記1組に属する前記一方側周壁の爪部と前記他方側周壁の爪部との前記位置の差
は、前記ボルトにおけるねじ山の
所定角度で離れた2点のピッチ
差を基準として、一致したピッチ差が前記所定角度とはずれた角度で離れた2点で現れるように設定されたことを特徴とするボルト用化粧カバー。
【請求項2】
同一形状である2個の半割体が組み合わされて構成されることを特徴とする、請求項1に記載のボルト用化粧カバー。
【請求項3】
底面側内面に形成された直線状の溝であって、この溝に沿うように切断手段により一部を切断できる切断補助溝を備える、請求項1または2に記載のボルト用化粧カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設置面から突出するボルトに取り付けられるボルト用化粧カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
設置面から突出するボルト、例えば、建築物の天井に埋め込まれて天井面から突出するように設置された吊ボルトを用いて、配管等の設備を設置面から離して配置することが行われている。この際、設置面においてボルトが突出している部分(具体的には、設置面のボルト埋め込み孔とその周囲)を目隠しするため、この部分を覆うようにボルト用化粧カバー(以下「化粧カバー」とも表記)が取り付けられることがある。この化粧カバーの一例として、特許文献1に記載の考案に係る「ボルト吊り埋込具用化粧キャップ」がある。
【0003】
特許文献1に記載の考案における化粧カバーは、例えば、樹脂製であり平面視または底面視における中央にボルト貫通孔を有する円盤状に形成されている。そして、ボルト貫通孔の周壁に、ボルトのねじ山に引っ掛けられることで化粧カバーをずれないよう保持するための複数の爪部が形成されている。
図7に示すように、特許文献1に記載の考案の化粧カバー100では、ボルト貫通孔101に複数の爪部102…102が周方向に一列(高さ方向で同一)に並んでいる。ナットのごとく、ボルト貫通孔101の周壁にねじ山(雌ねじ)が連続的に形成されているのではなく、複数の爪部102…102が断続的に形成されているので、化粧カバー100をボルト(図示しない)の周囲に配置した上で、ボルトの軸線に沿って設置面に向けて押し込むだけで、ボルトに化粧カバー100を容易に取り付けできる。
【0004】
ここで、ボルトのねじ山はボルトの軸線に対して斜めに周回するように形成されているから、前述のように化粧カバー100をボルトの軸線に沿って設置面に向けて押し込んだだけでは、前記複数の爪部102…102がねじ山に沿ってしまうため、化粧カバー100がボルトの軸線に対して斜めに位置する。このため、化粧カバーの一部が設置面から浮いてしまうことがあり見栄えが悪かった。このようになった場合に作業者は、化粧カバー100をねじ山に沿ってねじ込むように回転させることで、化粧カバー100のうち浮いていた部分を設置面に密着させて見栄えを修正していた。このように、従来の化粧カバーは1工程で取り付けを完結させることができないことがあった。また、設置面が天井面である場合は高所での作業を強いられる。したがって、作業性が良くないので改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、作業性の良いボルト用化粧カバーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、設置面から突出するボルトに取り付けられるボルト用化粧カバーにおいて、取り付け時に前記ボルトが貫通するボルト貫通孔と、平面視または底面視で前記ボルト貫通孔の中心を通る仮想線を基準とした、前記ボルト貫通孔の一方側周壁と他方側周壁とからそれぞれ突出する少なくとも1個の爪部と、を備え、前記一方側周壁にある1個の爪部と前記他方側周壁にある1個の爪部とで1組が構成され、前記1組に属する前記一方側周壁にある爪部と前記他方側周壁にある爪部とが、前記ボルト貫通孔の貫通する方向において異なる位置に形成されており、前記1組に属する前記一方側周壁の爪部と前記他方側周壁の爪部との前記位置の差は、前記一方側周壁の爪部と前記他方側周壁の爪部との間の周方向の角度分の、前記ボルトにおけるねじ山のピッチに相当するボルト用化粧カバーである。
【0008】
この構成によれば、ねじ山のピッチに合わせて前記1組に属する各爪部を配置できるので、化粧カバーを設置面に向けて押し込むだけで、ボルトに対して化粧カバーをずれ無く配置できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、化粧カバーを設置面に向けて押し込むだけで、ボルトに対して化粧カバーをずれ無く配置できる。よって、作業性の良いボルト用化粧カバーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るボルト用化粧カバーを示し、(A)は平面図、(B)は右側面図、(C)は底面図である。
【
図2】前記ボルト用化粧カバーを構成する半割体を示し、(A)は正面図、(B)は底面図、(C)は背面図、(D)は側面図、(E)はI-I矢視断面図である。
【
図3】前記半割体におけるボルト貫通孔の周囲を示し、(A)は
図2(B)の要部拡大底面図、(B)は
図2(B)におけるII-II矢視拡大断面図である。
【
図4】前記ボルト用化粧カバーを示し、(A)は底面図、(B)は(A)におけるIII-III矢視断面図である。
【
図5】前記ボルト用化粧カバーをボルトに取り付けた状態を示す要部拡大断面図であって、(A)は本実施形態を示し、(B)は比較例を示す。
【
図6】本発明の他の実施形態に係るボルト用化粧カバーを示す平面図である。
【
図7】従来のボルト用化粧カバーの一例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明に係るボルト用化粧カバーにつき、一実施形態を取り上げて説明を行う。以下では、建築物の天井に埋め込まれて、設置面としての天井面Sから突出するように設置された吊ボルトBに対して化粧カバー1を取り付ける例(
図5(A)参照)について説明する。
【0012】
本実施形態の化粧カバー1は、
図2(A)~(E)に示す同一形状である2個の半割体1h,1hを組み合わせ、
図1(A)~(C)に示す円盤状の形態で使用される。半割体1hは樹脂成形品とされている。本実施形態では同一形状の2個の半割体1h,1hの組み合わせで化粧カバー1を構成できるため、半割体1hの樹脂成形を行う際に用意する成形型が1種類でよいので製造コストを低減できる。また、形状違いの半割体を扱わなくてもいいので、管理及び流通コストも低減できる。更に、設置現場でも、作業者が手に取った半割体1hの組み合わせを識別する作業、例えば手に取った半割体1h「右用」であるか「左用」であるかを区別する作業が不要なので作業効率が良い。
【0013】
図2(B)に示すように、半割体1hは底面視(及び平面視)で略半円形状であって、半円の直線部分に相当する端縁である接合端縁1eから、先端部111が鉤爪状とされた係合部11が突出している。また、半割体1hの内部には係合部11に対して係合可能な被係合部12が形成されている。係合部11の鉤爪状である先端部111と被係合部12とは、回転対称の位置関係で設けられている。
【0014】
吊ボルトBを挟むように2個の半割体1h,1hを位置させ、各半割体1hの接合端縁1eを合わせて係合部11と被係合部12とを係合させることにより、吊ボルトBに対して化粧カバー1を取り付けることができる。
【0015】
半割体1hは更に、支持枠13、合わせ板14、補強リブ15、切断補助溝16を備える。
【0016】
支持枠13は、化粧カバー1を構成する一方の半割体1hにおいて、
図1(C)に示すように、他方の半割体1hが備える係合部11の基部112を収容することで支持する枠状部分である。このように形成された支持枠13は、係合部11の基部112を支持した状態で、接合端縁1eに沿って2個の半割体1h,1hがずれてしまうことを防止する。
【0017】
合わせ板14は、支持枠13の周囲において接合端縁1eから突出した板状部分である。この合わせ板14は、2個の半割体1h,1hを組み合わせた際に、
図1(C)に示すように接合端縁1eの内方に重なるように位置し、2個の半割体1h,1hの間に隙間が生じることを防止する。また合わせ板14は、組み合わせの相手方である半割体1hにおける接合端縁1eの内方に亘って位置することにより、接合端縁1eの曲げ応力に対する補強としても機能する。このため、合わせ板14により、2個の半割体1h,1hが組み合わされて構成された化粧カバー1の形状を安定的に保持できる。
【0018】
補強リブ15は、
図2(B)(E)に示すように、接合端縁1eに平行に設けられており、半割体1hの底面側内面から突出した板状のリブである。そして切断補助溝16は、
図2(B)(E)に示すように、補強リブ15に沿って底面側内面に形成された溝である。この切断補助溝16は、例えば化粧カバー1を天井面Sのうち壁面に接近した部分に配置する場合や、化粧カバー1の設置予定位置に障害物が存在する場合に、化粧カバー1の一部を切断しなければならない時、この切断補助溝16に沿ってノコ刃等の切断手段により切断できる。
【0019】
このように、2個の半割体1h,1hが組み合わせられて形成された化粧カバー1は、
図1(B)に示すように、周縁部が背面側に反るように湾曲した円盤状に形成されている。この化粧カバー1は、
図5(A)に示すような吊ボルトBへの取り付け時に、吊ボルトBが貫通するボルト貫通孔2を平面視または底面視における中央に備える。ボルト貫通孔2には、
図3(A)(B)に示すように、周壁から径内方向に突出する複数(本実施形態では1個の半割体1hで6個、化粧カバー1全体で12個)の爪部3…3が断続的に形成されている。これら複数の爪部3…3は周方向に高低交互に並んでいる。複数の爪部3…3のそれぞれは、吊ボルトBへの取り付け時において周壁から斜め下方に延びている。また、化粧カバー1の周縁には、
図1(C)に示すように、吊ボルトBへの取り付け時に天井面Sに当接する当接部4を備える。
【0020】
このように複数の爪部3…3は、
図1(A)に示す、平面視または底面視において現れる、ボルト貫通孔2の中心を通る仮想線CL(ボルト貫通孔2を二等分する線)を基準とした、ボルト貫通孔2において対向する関係にある一方側周壁21と他方側周壁22とからそれぞれ、少なくとも1個(本実施形態では6個)が突出するように形成されている。前記一方側周壁21は、組み合わせられる2個の半割体1h,1hのうち一方に属しており、前記他方側周壁22は同他方に属している。ただし仮想線CLは、本実施形態では半割体1hにおける接合端縁1eと一致する線としているが、これに限られるものではない。
【0021】
前記一方側周壁21にある1個の爪部3と前記他方側周壁22にある1個の爪部3とで1組が構成されている。本実施形態では、ボルト貫通孔2の中心を基準として略対向した関係、より詳しくは、
図4(A)に示す、ボルト貫通孔2の中心を基準とした角度θが150°分離れた関係にある2個の爪部3,3が前記1組(
図4(A)(B)に符号3Pで示す組)を構成し、化粧カバー1にはこれら2個の爪部3,3の組が6組形成されている。
【0022】
前記1組に属する一方側周壁21にある1個の爪部3と他方側周壁22にある1個の爪部3とが、ボルト貫通孔2の貫通する方向において異なる位置、つまり、一方が高い位置で、他方が低い位置に形成されている。以下、高い位置に形成された爪部3を高爪部3Hと称し、低い位置に形成された爪部3を低爪部3Lと称する。なお、本実施形態では6組全てがこの要件を満たしているが、機能上、少なくとも1組がこの要件を満たせばよい。
【0023】
前記1組に属する高爪部3Hと低爪部3Lとの前記位置の差(高低差)は、高爪部3Hと低爪部3Lとの間の周方向の角度θ(本実施形態において150°)分の、吊ボルトBにおけるねじ山のピッチに相当する。ただし、本実施形態の化粧カバー1は下記の理由から、前記1組における高低差が、ねじ山の1/2ピッチ(周方向の角度が180°分)に近似した高低差に設計されている。
【0024】
ここで厳密には、ボルト貫通孔2の中心を基準とした角度で180°離れた関係にある2個の爪部3,3が、ねじ山の1/2ピッチに一致するように前記1組を構成するのが理想的なのであるが、そうすると、本実施形態のように6組分である複数の爪部3…3を形成する場合に、同一形状の2個の半割体1h,1hを組み合わせることで化粧カバー1を形成できない(半割体1hにいわゆる「勝手違い」を設けないと対応できない)。このため本実施形態では、150°離れた関係にある2個の爪部3,3が前記1組を構成することにしている。したがって、前記「相当」との語句(特許請求の範囲で特定した「相当」との語句も同じ)とは、ずれ(本実施形態では30°分のずれ)を許容する概念となっている。また、本実施形態の化粧カバー1は樹脂製であるから、爪部3が弾性変形することで前記ずれが吸収されることにより、特に支障は生じない。なお、前記1組に属する高爪部3Hと低爪部3Lとの高低差を、高爪部3Hと低爪部3Lとの間の周方向の角度分の、吊ボルトBにおけるねじ山のピッチと同一に設計することももちろん可能である。
【0025】
このように、本実施形態の化粧カバー1では、ねじ山のピッチに大体合うようにして1組に属する各爪部3を配置できる。具体的には、1組に属する各爪部3の先端部31をねじ山のうち天井面向き面BSに当接させることができる。この際、各爪部3が撓むことにより、弾性力が各爪部3から前記天井面向き面BSに及ぶこともある。少なくとも吊ボルトBの中心を基準として略対向する2箇所で各爪部3の先端部31とねじ山が当接することになるから、化粧カバー1を天井面Sに向けて押し込むだけで、
図5(A)に示すように、化粧カバー1に従来のような浮きが生じない程度にずれ無く配置できる。
【0026】
ここで比較例として、従来のように複数の爪部X3…X3が周方向に一列に並んでいる化粧カバーX1を吊ボルトBに取り付けた場合を
図5(B)に示す。この比較例では、図示内容から明らかなように、図示左側の爪部X3はねじ山のうち天井面向き面BSに当接しているものの、図示右側の爪部X3は前記天井面向き面BSから浮いている。この浮いた分だけ化粧カバーX1が落下してしまうことがあるため、前述のように化粧カバーX1の一部が天井面Sから浮いてしまうことがあり見栄えが悪くなっていた。これに対して本実施形態の化粧カバー1では
図5(A)に示す状態とできるから、比較例のように見栄えが悪くなることを抑制できている。
【0027】
また本実施形態では、高爪部3Hと低爪部3Lとの組を複数組(具体的には6組)備える。このため、いずれかの組に属する複数の爪部3…3を吊ボルトBのねじ山に一致させることができるため、ねじ山へ一致させやすく、化粧カバー1の取り付けが容易となる。
【0028】
また本実施形態では、高爪部3Hと低爪部3Lとが周方向で交互に並んでいる。このため、爪部3の位置を2パターン(高爪部3Hと低爪部3L)だけで設定できるので、化粧カバー1が成形品の場合に金型等の成形型を形成すること(具体的には成形型における爪部3を形成する部分の設計及び製作)が簡単である。
【0029】
なお、同一形状である2個の半割体1h,1hが組み合わせられた状態の化粧カバー1において、全ての高爪部3Hと低爪部3Lとが周方向で交互に並ぶようにするためには、1個の半割体1hにおいて偶数個の爪部3…3を形成しておく必要がある。このように構成することで、ボルト貫通孔2となる部分の周壁21,22における周方向一端側の爪部3が高爪部3Hの場合、周方向他端側の爪部3が低爪部3Lとなるので、一方の半割体1hにおける周方向端部の爪部3と、当該爪部3に隣り合う、他方の半割体1hにおける周方向端部の爪部3は必ず「高-低」の関係になる。このため、全ての高爪部3Hと低爪部3Lとが周方向で交互に並ぶ関係が実現される。
【0030】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0031】
例えば、前記実施形態では、化粧カバー1が天井面Sに設置した吊ボルトBであったが、例えば垂直壁面に設置したボルトであってもよく、設置面の具体的形態やボルトの種類は限定されない。また、ボルトの取り付け対象も建築物に限定されず、例えば機械装置の表面等、種々の物体とできる。また、ボルトにおけるねじ山の形成範囲は、全範囲(全ねじボルト)であってもよいし、軸方向のうち例えば設置面から突出する部分だけであってもよい。
【0032】
また、前記実施形態では、化粧カバー1が樹脂成形品であったが、これに限定されず、例えば金属板の打ち抜き及び曲げ加工により形成されることもできる。
【0033】
また、前記実施形態では、2個の半割体1h,1hを組み合わせて化粧カバー1を構成していたが、分割の無い1個の化粧カバー1としてもよい。この場合、化粧カバー1をゴム等の高弾性の樹脂で形成しておき、周縁からボルト貫通孔2に達するスリットを形成しておくことで、このスリットを介して吊ボルトB等のボルトの側方から化粧カバー1を差し込んでボルト取り付け可能に構成することもできる。
【0034】
また、化粧カバー1が備える爪部3の個数に関し、前記実施形態では12個(1個の半割体では6個)であったが、これに限定されるものではなく、例えば
図6に示すように10個(1個の半割体では5個)とすることもできるし、他の個数ともできる。
【0035】
また、前記実施形態では、1組を構成する2個の爪部3,3の、ボルト貫通孔2の中心を基準とした角度θが150°分離れた関係にあるものであったが、前記角度θはこれに限定されず、他の角度で設定することもできる。
【0036】
また前記実施形態では、爪部3が高爪部3Hと低爪部3Lの2種であった。つまり、ボルト貫通孔2における複数の爪部3…3の形成位置が2種であった。しかし、複数の爪部3…3の形成位置を3種以上とすることもできる。更には、爪部3を、吊ボルトB等のボルトのねじ山に一致する螺旋状の軌跡に沿って、順次位置を変えて形成することもできる。
【0037】
また、前記一方側周壁にある1個の爪部と前記他方側周壁にある1個の爪部とで構成される組を複数組備えることもできる。
【0038】
この構成によれば、爪部の組を複数組備えることで、いずれかの組に属する爪部をボルトのねじ山に一致させることができるため、化粧カバーの取り付けが容易となる。
【0039】
また、周方向に隣り合う前記爪部が、前記ボルト貫通孔の貫通する方向における一つの位置と他の位置とで交互に並ぶものともできる。
【0040】
この構成によれば、爪部の位置を2パターンで設定できるので、化粧カバーを成形品とする場合に成形型を形成することが簡単である。
【0041】
また、同一形状である2個の半割体が組み合わされて化粧カバーが構成されることもできる。
【0042】
この構成によれば、化粧カバーを成形品とする場合、半割体の成形を行う際に用意する成形型が1種類でよいので製造コストを低減できる。また、管理及び流通コストも低減できる。更に、設置現場でも、作業者が半割体の組み合わせを識別する作業が不要なので作業効率が良い。
【符号の説明】
【0043】
1 ボルト用化粧カバー
1h 半割体
1e 半割体の接合端縁
11 係合部
12 被係合部
13 支持枠
14 合わせ板
15 補強リブ
16 切断補助溝
2 ボルト貫通孔
21 ボルト貫通孔の一方側周壁
22 ボルト貫通孔の他方側周壁
3 爪部
3H 高爪部
3L 低爪部
3P 爪部の組
31 爪部の先端部
4 当接部
B ボルト、吊ボルト
BS 吊ボルトの天井面向き面
CL 仮想線
θ 1組の爪部がなす角度
S 設置面、天井面