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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-20
(45)【発行日】2022-04-28
(54)【発明の名称】ピストンリングの切出し装置
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/00 20060101AFI20220421BHJP
   B23P 19/02 20060101ALI20220421BHJP
   B23P 21/00 20060101ALI20220421BHJP
   F02F 5/00 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
B23P19/00 301B
B23P19/02 G
B23P21/00 303C
F02F5/00 N
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021516843
(86)(22)【出願日】2021-02-12
(86)【国際出願番号】 JP2021005366
【審査請求日】2021-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000215785
【氏名又は名称】TPR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 誠二
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-289569(JP,A)
【文献】特開平04-105827(JP,A)
【文献】特開平06-277957(JP,A)
【文献】特開2006-088239(JP,A)
【文献】特開平08-119452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/00-21/00
F02F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール状に延在し、複数のピストンリングが軸方向に重ねられることで形成された筒状のスタック体の中空部に挿通されることで前記スタック体を保持する保持部と、
前記保持部に保持された前記スタック体から先端のピストンリングを分離し、当該先端のピストンリングを前記保持部に沿って送出する切出し部と、
前記スタック体において互いに隣接する前記ピストンリングの境目を検出する検出部と、
を備え、
前記切出し部は、押出し部と、規制部と、前記押出し部及び前記規制部を移動させる移動部と、を有し、
前記移動部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記スタック体における先端のピストンリングと当該先端のピストンリングに隣接するピストンリングの境目である分割箇所に前記押出し部及び前記規制部を挿入した後に、前記先端のピストンリングに隣接するピストンリングが該先端のピストンリングが送出される方向である送出方向へ移動することを前記規制部によって規制した状態で、前記押出し部を前記送出方向へ移動させることで、前記スタック体から前記先端のピストンリングを分離し、該先端のピストンリングを前記保持部に沿って送出する、
ピストンリングの切出し装置。
【請求項2】
前記保持部は、複数のピストンリングの合口が整列することで前記スタック体に該スタック体の軸方向に延びるスリットが形成されるように、前記スタック体を保持し、
前記押出し部及び前記規制部は、前記スリットから前記スタック体の前記中空部に向かう方向に沿って前記分割箇所に挿入され、
前記スタック体は、前記分割箇所に対する前記押出し部及び前記規制部の挿入方向視において、前記スリットを境に第1領域と第2領域とに区分され、
前記押出し部は、前記第1領域における前記分割箇所に挿入される第1押出し爪と、前記第2領域における前記分割箇所に挿入される第2押出し爪と、を含み、
前記規制部は、前記第1領域における前記分割箇所に挿入される第1規制爪と、前記第2領域における前記分割箇所に挿入される第2規制爪と、を含む、
請求項1に記載のピストンリングの切出し装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記第1領域及び前記第2領域の画像を取得し、取得した画像に基づいて前記第1領域及び前記第2領域のそれぞれにおける前記分割箇所を検出する、
請求項2に記載のピストンリングの切出し装置。
【請求項4】
前記移動部は、前記押出し部及び前記規制部の前記スタック体の前記分割箇所に対する挿入方向へ移動する挿入部材を含み、
前記押出し部及び前記規制部は、前記挿入部材に対して前記スタック体における前記ピストンリングの軸方向に変位可能な状態で前記挿入部材に連結されている、
請求項1から3の何れか一項に記載のピストンリングの切出し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のピストンに装着されるピストンリングの切出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な自動車に搭載される内燃機関は、コンプレッションリング(圧力リング)とオイルリングとを含むピストンリングの組み合わせをピストンに形成されたリング溝に装着した構成を採用している。オイルリングには、一対のセグメント(サイドレールとも呼ぶ)と当該一対のセグメントを付勢するスペーサエキスパンダとにより構成される組合せオイルリングが知られている。ピストンリングを製造、加工する工程や、ピストンのリング溝に組み付ける工程では、積層された状態の複数のピストンリングから順次、先端のピストンリングが1本ずつ切り出される。例えば、特許文献1には、段重ねの状態でマガジンに保持された複数のピストンリング(セグメント)のうち最上段(先端)のピストンリングを切り出す、ピストンリングの組付け装置が開示されている。この装置は、一対の切出し爪を備え、一対の切出し爪のうち一方の切出し爪を他方の切出し爪よりも先に段重ね状態のセグメントのうちの最上端のセグメントに係合させることで、正確に、セグメントを切り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-111599号公報
【文献】特開平2-75745号公報
【文献】特開平4-173625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、ピストンリングの幅(軸方向における厚さ)が薄い場合には、切り出す際に隣接するピストンリング同士をうまく分離できずに1本ずつピストンリングを切出せないといった不具合が生じる虞があり、より確実にピストンリングを1本ずつ切り出すことができる技術が望まれていた。
【0005】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ピストンリングの切出しにおいて、ピストンリングを1本ずつ確実に切り出すことができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の手段を採用した。即ち、本発明は、ピストンリングの切出し装置であって、レール状に延在し、複数のピストンリングが軸方向に重ねられることで形成された筒状のスタック体の中空部に挿通されることで前記スタック体を保持する保持部と、前記保持部に保持された前記スタック体から先端のピストンリングを分離し、当該先端のピストンリングを前記保持部に沿って送出する切出し部と、前記スタック体において互いに隣接する前記ピストンリングの境目を検出する検出部と、を備え、前記切出し部は、押出し部と、規制部と、前記押出し部及び前記規制部を移動させる移動部と、を有し、前記移動部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記スタック体における先端のピストンリングと当該先端のピストンリングに隣接するピストンリングの境目である分割箇所に前記押出し部及び前記規制部を挿入した後に、前記先端のピストンリングに隣接するピストンリングが該先端のピストンリングが送出される方向である送出方向へ移動することを前記規制部によって規制した状態で、前記押出し部を前記送出方向へ移動させることで、前記スタック体から前記先端のピストンリングを分離し、該先端のピストンリングを前記保持部に沿って送出する、切出し装置である。
【0007】
本発明に係る切出し装置によると、検出部により互いに隣接するピストンリングの境目を検出することで、ピストンリングの合口に段差(ピストンリングの軸方向における合口の両端部の位置ずれ)が生じていても押出し部及び規制部を分割箇所に挿入することができる。更に、押出し部及び規制部を分割箇所に挿入した後に、スタック体の先端のピストンリングに隣接するピストンリングの送出方向への移動を規制部により規制した状態で、押出し部により先端のピストンリングを送出方向へ移動させることで、該先端のピストンリングをスタック体から確実に分離することができる。これによれば、スタック体からピストンリングを確実に1本ずつ切り出すことができる。
【0008】
また、本発明において、前記保持部は、複数のピストンリングの合口が整列することで前記スタック体に該スタック体の軸方向に延びるスリットが形成されるように、前記複数のピストンリングを保持し、前記押出し部及び前記規制部は、前記スリットから前記スタック体の前記中空部に向かう方向に沿って前記分割箇所に挿入され、前記スタック体は、前記分割箇所に対する前記押出し部及び前記規制部の挿入方向視において、前記スリットを境に第1領域と第2領域とに区分され、前記押出し部は、前記第1領域における前記分割箇所に挿入される第1押出し爪と、前記第2領域における前記分割箇所に挿入される第2押出し爪と、を含み、前記規制部は、前記第1領域における前記分割箇所に挿入される第1規制爪と、前記第2領域における前記分割箇所に挿入される第2規制爪と、を含んでもよい。
【0009】
つまり、本発明に係る切出し装置は、スリットを挟む領域である第1領域と第2領域のそれぞれの分割箇所に押出し部及び規制部が挿入されるように構成されてもよい。ピストンリングの合口の両端部の位置が互いに軸方向にずれている場合、スタック体において隣接するピストンリングが合口付近で絡み易くなる傾向がある。これに対して、本発明は、合口(スリット)の両側に押出し部及び規制部を挿入し、合口の両側でピストンリングの分離動作を行うことで、先端のピストンリングをスタック体から確実に分離することができる。これにより、より確実にスタック体からピストンリングを1本ずつ切り出すことができる。
【0010】
更に、本発明において、前記検出部は、前記第1領域及び前記第2領域の画像を取得し、取得した画像に基づいて前記第1領域及び前記第2領域のそれぞれにおける前記分割箇所を検出してもよい。
【0011】
本発明によると、第1領域及び第2領域のそれぞれにおける分割箇所を検出することで、第1領域と第2領域のそれぞれの分割箇所に、押出し部及び規制部を確実に挿入することができる。
【0012】
また、本発明において、前記移動部は、前記押出し部及び前記規制部の前記スタック体の前記分割箇所に対する挿入方向へ移動する挿入部材を含み、前記押出し部及び前記規制部は、前記挿入部材に対して前記スタック体における前記ピストンリングの軸方向に変位可能な状態で前記挿入部材に連結されてもよい。
【0013】
このような本発明によると、押出し部及び規制部を分割箇所に挿入する際に送出方向において押出し部及び規制部と分割箇所の位置がずれた場合のずれや、押出し部及び規制部が挿入方向に対して傾いた場合の偏角を吸収することができ、押出し部及び規制部を分割箇所に挿入し易くできる。これにより、押出し部及び規制部を確実に分割箇所に挿入することができる。
【0014】
本発明は、ピストンリングの切出しに適用することができる。本発明における切出し対象であるピストンリングとしては、セグメントとスペーサエキスパンダからなる組合せオイルリングに用いられる該セグメントや、コンプレッションリング等が挙げられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ピストンリングの切出しにおいて、ピストンリングを1本ずつ確実に切り出すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る切出し装置の側面図である。
図2図1の点線部分の前面図である。
図3】保持部に保持されたスタック体の上面図である。
図4】切出し装置によるピストンリングの切出し方法のフローチャートである。
図5】画像取得工程を説明するための切出し装置の側面図である。
図6】カメラによって取得される画像の一例を示す図である。
図7】挿入工程を説明するための切出し装置の側面図(1)である。
図8】挿入工程における押出し部及び規制部とスタック体との位置関係を示す上面図である。
図9】挿入工程を説明するための切出し装置の側面図(2)である。
図10】挿入工程における切出し装置の分割箇所における断面拡大図である。
図11】分離工程を説明するための切出し装置の側面図(1)である。
図12】分離工程を説明するための切出し装置の側面図(2)である。
図13】分離工程における押出し部及び規制部とスタック体との位置関係を示す上面図である。
図14】受け渡し工程を説明するための切出し装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るピストンリングの切出し装置(以下、単に切出し装置とも呼ぶ)の実施形態について説明する。以下に説明する切出し装置100は、組合せオイルリングに用いられるセグメントの切り出しに本発明を適用したものである。セグメントは本発明の切出し対象であるピストンリングの一例であり、本発明はセグメント以外にもコンプレッションリングの切出し装置にも適用できる。また、以下の実施形態に記載されている構成は特に記載がない限りは発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0018】
図1は、実施形態に係る切出し装置100の側面図である。また、図2は、図1の点線部分の前面図である。切出し装置100は、ピストンリングの製造工程において、セグメント200の供給ラインを構成する。セグメント200は、組合せオイルリングの構成部材である。組合せオイルリングは、一対のセグメント200,200と当該一対のセグメント200,200を付勢するスペーサエキスパンダとにより構成され、内燃機関においてピストンの外周面に形成されたリング溝に装着されることで、シリンダとピストンリングとの潤滑を制御する。切出し装置100は、複数のセグメント200が筒状に重ねられたスタック体300からセグメント200を1本ずつ順次切り出し、次工程のラインに供給する。以下、切出し装置100の構成について説明する。
【0019】
[装置構成]
図1及び図2に示すように、切出し装置100は、保持部10、切出し部20、カメラ30、プッシャ40、ストッパ50、レール移動部60、及び制御装置70を備える。
【0020】
図1及び図2に示すように、保持部10は、水平に設置され前後方向に延びるレール状の部材であり、セグメント200に挿通されることでセグメント200を吊り下げるようにして保持する。保持部10に保持された複数のセグメント200が前後方向(保持部10の延在方向)に重ねられることで、筒状のスタック体300が形成されている。スタック体300の中心軸A1は、保持部10の延在方向と平行となっている。つまり、複数のセグメント200は、該セグメント200の軸方向に重ねられている。スタック体300において、複数のセグメント200は、ほぼ隙間なく並んだ状態となっている。図2に示すように、スタック体300の中空部H1に保持部10が挿通された状態となっている。
【0021】
また、図2に示すように、保持部10は、前後方向に延びる断面視略矩形状の延在部101と、延在部101の上面に起立して設けられ、前後方向に延びる起立部102と、を有する。延在部101がセグメント200の内周面に係合し、起立部102がセグメント200の合口G1に差し込まれることで、セグメント200は合口G1を上にして吊り下げられた状態で保持される。起立部102がセグメント200の合口G1に差し込まれることで、セグメント200及びスタック体300の軸回りの回動が規制されている。セグメント200は、合口G1が延在部101に案内されながら保持部10に沿ってスライド移動が可能となっている。
【0022】
また、図1に示すように、保持部10は、前後に分割されている。前後に分割された保持部10のうち後側の部分を第1レール10Aとし、前側の部分を第2レール10Bとする。スタック体300は、第1レール10Aに保持されている。詳細については後述するが、保持部10は、第2レール10Bがレール移動部60の前後移動に伴って前後方向に移動することで、第1レール10Aと第2レール10Bとが繋がった状態と、第1レール10Aが第2レール10Bとが分離した状態になることができる。
【0023】
図3は、保持部10に保持されたスタック体300の上面図である。図3に示すように、第2押出し爪12によってセグメント200の軸回りの回動が規制されることで、複数のセグメント200の合口G1が軸方向に整列した状態となっている。軸方向に並んだ複数の合口G1が連なることで、スタック体300には、符号S1で示す軸方向に延びるスリットが形成されている。また、図3に示すように、スタック体300は、上面視において、スリットS1を境に第1領域R1と第2領域R2とに区分されている。以下、スタック体300を構成する複数のセグメント200のうち、先端(前端)のセグメント200を第1セグメント201とし、第1セグメント201に隣接するセグメント200、つまり先端から2番目のセグメント200を第2セグメント202とする。また、スタック体300において、第1セグメント201と第2セグメント202の境目を、分割箇所P1とする。分割箇所P1は、第1セグメント201と第2セグメント202との当接箇所又は隙間であり、第1セグメント201をスタック体300から切り出すためにスタック体300が分割される箇所である。
【0024】
ここで、一般に、ピストンリングは、成形時の変形により、ばね座金のように両端部が軸方向にずれた形状で製造される場合がある。この変形は、セグメントのように軸方向の幅(厚さ)が薄くなるほど、大きくなる傾向がある。本実施形態では、セグメント200の成形時の変形により、図3に示すように、合口G1を形成する両端部200a,200bがセグメント200の軸方向において段差を形成している。つまり、セグメント200の合口G1の両端部200a,200bの位置が互いに軸方向にずれている。そのため、スリットS1を挟んだ第1領域R1と第2領域R2とで分割箇所P1の前後方向における位置が異なっている。なお、本例では、第1領域R1における分割箇所P1の方が第2領域R2における分割箇所P1よりも前側に位置しているが、本発明はこれに限定されない。第1領域R1における分割箇所P1の方が第2領域R2における分割箇所P1よりも後側に位置するように、セグメント200の合口G1の両端部200a,200bの位置が互いに軸方向にずれていても差し支えない。
【0025】
切出し部20は、スタック体300から第1セグメント201を切り出し、保持部10に沿って前方に送出する。図1に示すように、切出し部20は、押出し部1、規制部2、及び移動部3を備える。
【0026】
押出し部1は、スタック体300の分割箇所P1に挿入されてから前方(第1セグメント201の送出方向)に移動することで、第1セグメント201を前方に押し進める部材である。規制部2は、押出し部1と共にスタック体300の分割箇所P1に挿入され、第2セグメント202が前方に移動することを規制することで第1セグメント201と第2セグメント202とを分離する部材である。図2に示すように、押出し部1及び規制部2は、スタック体300の上方からスタック体300に挿入される。押出し部1及び規制部2のスタック体300に対する挿入方向は、スリットS1(合口G1)からスタック体300の中空部H1(より詳細には、スタック体の中心軸A1)に向かう方向と一致する。
【0027】
また、図2に示すように、押出し部1は一対の押出し爪11,12からなり、規制部2は一対の規制爪21,22からなる。一対の押出し爪11,12及び一対の規制爪21,22は、上下方向に延在し下端の傾斜した切出し刃であり、分割箇所P1に挿入できるように、スタック体300におけるセグメント200の軸方向と直交するように設けられている。一対の押出し爪11,12の一方である第1押出し爪11は、第1領域R1における分割箇所P1に挿入され、他方である第2押出し爪12は、第2領域R2における分割箇所P1に挿入される。また、一対の規制爪21,22の一方である第1規制爪21は、第1領域R1における分割箇所P1に挿入され、他方である第2規制爪22は、第2領域R2における分割箇所P1に挿入される。ここで、図2に示すように、一対の規制爪21,22は、一対の押出し爪11,12の外側に配置されている。そのため、一対の押出し爪11,12の方が一対の規制爪21,22よりもスリットS1(合口G1)に近い位置に挿入される。なお、本実施形態では、押出し爪11,12の方が規制爪21,22よりもスリットS1(合口G1)に近い位置としているが、規制爪21,22の方が押出し爪11,12よりもスリットS1(合口G1)に近い位置としてもよい。また、押出し爪と規制爪は2つずつ(一対)でなくてもよい。押出し爪と規制爪は、1つずつであってもよいし、3つ以上の複数での組み合わせあってもよい。また、押出し爪と規制爪は同数でなくてもよい。
【0028】
移動部3は、第1セグメント201を切出すように押出し部1及び規制部2を移動させる。図2に示すように、移動部3は、一対の押出し爪11,12及び一対の規制爪21,22の夫々に対応する移動機構4を有している。以下、第1押出し爪11を移動させるための移動機構4を移動機構4A、第2押出し爪12を移動させるための移動機構4を移動機構4B、第1規制爪21を移動させるための移動機構4を移動機構4C、第2規制爪22を移動させるための移動機構4を移動機構4Dと称し、これらを区別しないで説明するときには単に移動機構4と称する。移動機構4A、移動機構4B、移動機構4C、及び移動機構4Dは、それぞれ独立して制御装置70により制御される。図1に示すように、移動機構4は、第1リニアアクチュエータ41、第1移動体42、第2移動体43、第2リニアアクチュエータ44、連結部材45、アーム46、及びリニアガイド47を含む。
【0029】
第1リニアアクチュエータ41は、制御装置70により制御されるサーボモータ、サーボモータの駆動により回転するボールねじ、該ボールねじの回転に伴って前後に往復移動する走行体、該走行体の前後移動を案内するリニアガイド等を含んで構成されている。第1移動体42は、第1リニアアクチュエータ41に連結され、第1リニアアクチュエータ41の駆動に応じて前後方向に移動するプレート状の部材である。第2移動体43は、リニアガイド47を介して第1移動体42に連結されたプレート状の部材である。第2リニアアクチュエータ44は、制御装置70により制御されるリニアアクチュエータである。第2リニアアクチュエータ44は、上下に往復移動するロッド441を有する。連結部材45は、第2移動体43とロッド441とを連結する部材である。第2移動体43とロッド441とが連結されることで、第2リニアアクチュエータ44の駆動に応じて第2移動体43が上下方向に移動する。本実施形態では、球面接触を利用したフローティングジョイントを連結部材45として使用している。リニアガイド47は、第2移動体43の上下移動を案内する部材である。本実施形態では、ボールの転がりを利用するLMガイド(登録商標)をリニアガイド47として使用している。アーム46は、第2移動体43と押出し部1及び規制部2とを連結する部材である。アーム46は、第2移動体43から前方に延び、アーム46の先端の下面には、押出し部1及び規制部2の上端が接続されている。第1リニアアクチュエータ41の駆動に応じて第1移動体42が前後方向に移動することで、押出し部1及び規制部2が前後方向に移動する。また、第2リニアアクチュエータ44の駆動に応じて第2移動体43が上下方向に移動することで、押出し部1及び規制部2が上下方向に移動する。
【0030】
カメラ30は、照明装置(不図示)と共に保持部10の上方に設置され、制御装置70の制御に応じてスタック体300を撮像し、画像を取得する撮像装置である。図2に示すように、切出し装置100は、2台のカメラ30A,30Bを備え、カメラ30Aはスタック体300の第1領域R1の画像を取得し、カメラ30Bは第2領域R2の画像を取得する。
【0031】
プッシャ40及びストッパ50は、制御装置70の制御に応じて前後方向に移動し、セグメント200やスタック体300に当接することでセグメント200やスタック体300を位置決めする部材である。プッシャ40はスタック体300の後方に配置され、ストッパ50はスタック体300の前方に配置される。
【0032】
レール移動部60は、第2レール10Bを支持し、制御装置70の制御に応じて前後方向に移動することで第2レール10Bを前後方向に移動させる部材である。レール移動部60は、サーボモータ、ボールねじ、走行体、及びリニアガイド等を含んで構成されている。
【0033】
制御装置70は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、入出力インターフェース等を含み、所定のプログラムを実行することによって、切出し部20、カメラ30、プッシャ40、ストッパ50、及びレール移動部60を制御する。制御装置70は、処理部として、制御部701と検出部702とを有する。制御部701は、切出し部20、プッシャ40、ストッパ50、及びレール移動部60の制御を行う。検出部702は、カメラ30が取得した画像に基づいてスタック体300において互いに隣接するセグメント200の境目を検出する。検出部702が実行する処理の詳細は後述する。
【0034】
[ピストンリングの切出し方法]
以下、切出し装置100を用いてスタック体300から先端の第1セグメント201を切り出す方法(ピストンリングの切出し方法)について説明する。図4は、切出し装置100によるピストンリングの切出し方法のフローチャートである。まず、ステップS10の画像取得工程において、カメラ30によって、スタック体300の第1領域R1及び第2領域R2の画像を取得する。図5は、画像取得工程を説明するための切出し装置100の側面図である。画像取得工程では、まず、スタック体300をカメラ30の視野内の所定の撮像位置に位置決めする。スタック体300の位置決めは、プッシャ40及びストッパ50によってなされる。具体的には、制御装置70の制御部701の制御によりプッシャ40を前進させることでスタック体300を前方に押し進め、所定位置に待機させておいたストッパ50にスタック体300を当接させる。これにより、図5に示すように、スタック体300の前端(第1セグメント201)にストッパ50が当接し、スタック体300の後端にプッシャ40が当接した状態となり、スタック体300が撮像位置に位置決めされる。スタック体300が撮像位置に位置決めされた状態で、カメラ30Aによって第1領域R1を撮像し、カメラ30Bによって第2領域R2を撮像することで、第1領域R1及び第2領域R2の画像を取得する。図6は、カメラ30によって取得される画像の一例を示す図である。図6では、一例として、カメラ30Aが取得した第1領域R1の画像が図示されている。図6に示すように、カメラ30は、少なくとも第1セグメント201と第2セグメント202との境目B1が含まれる画像を取得する。
【0035】
次に、ステップS20の分割箇所検出工程において、制御装置70の検出部702が、第1領域R1及び第2領域R2の画像をカメラ30から取得し、第1領域R1と第2領域R2の夫々における分割箇所P1を検出する。ここで、図6に示すように、スタック体300には、互いに隣接するセグメント200の境目が複数存在する。複数の境目のうち、スタック体300の先端側(前端側)からn番目(nは整数)の境目を、境目Bnとする。検出部702が行う画像処理では、取得された画像に対してエッジ検出を施すことで、スタック体300におけるセグメント200の境目を検出する。そして、検出部702は、検出された複数の境目の中から、スタック体300の先端に最も近い境目を分割箇所P1として特定する。これにより、第1セグメント201と第2セグメント202との境目B1が分割箇所P1として特定される。
【0036】
次に、ステップS30の挿入工程において、分割箇所P1に押出し部1及び規制部2を挿入する。図7は、挿入工程を説明するための切出し装置100の側面図である。図8は、挿入工程における押出し部1及び規制部2とスタック体300との位置関係を示す上面図である。図9は、挿入工程を説明するための切出し装置100の側面図である。図10は、挿入工程における切出し装置100の分割箇所における断面拡大図である。
【0037】
挿入工程では、先ず、図7に示すように、押出し部1及び規制部2を前後方向に移動させることで、押出し部1及び規制部2の前後方向における位置を分割箇所P1の前後方向における位置に一致させる。より具体的には、制御装置70の制御部701が、分割箇所検出工程での検出部702の検出結果に基づいて移動機構4の第1リニアアクチュエータ41を駆動し、第1移動体42を前後方向に移動させることで、押出し部1及び規制部2を分割箇所P1の直上に配置する。上述のように、スタック体300では、セグメント200の合口G1に段差(軸方向における両端部200a,200bの位置ずれ)が生じることにより第1領域R1と第2領域R2で分割箇所P1の前後方向における位置が異なっている。そのため、制御部701は、移動機構4Aの第1リニアアクチュエータ41、移動機構4Bの第1リニアアクチュエータ41、移動機構4Cの第1リニアアクチュエータ41、及び移動機構4Bの第1リニアアクチュエータ41を独立に制御することで、第1押出し爪11、第2押出し爪12、第1規制爪21、及び第2規制爪22を、それぞれに対応するP1の直上に配置する。これにより、図8に示すように、第1押出し爪11と第1規制爪21が第1領域R1における分割箇所P1の直上に配置され、第2押出し爪12と第2規制爪22が第2領域R2における分割箇所P1の直上に配置される。スタック体300におけるセグメント200の軸方向において、第1押出し爪11と第1規制爪21は、互いに同一の位置に配置され、第2押出し爪12と第2規制爪22は、互いに同一の位置であって、第1押出し爪11及び第1規制爪21よりもスタック体300の後端側の位置に配置される。
【0038】
挿入工程では、次に、図9に示すように、押出し部1及び規制部2を下方(挿入方向)に移動させることで、押出し部1及び規制部2を分割箇所P1に挿入する。より具体的には、制御部701が、移動機構4の第2リニアアクチュエータ44を駆動し、第2移動体43を下降させることで、押出し部1及び規制部2を分割箇所P1に挿入する。これにより、図10に示すように、第1押出し爪11と第1規制爪21が第1領域R1における分割箇所P1に挿入され、第2押出し爪12と第2規制爪22が第2領域R2における分割箇所P1に挿入される。これにより、第1セグメント201と第2セグメント202との間に押出し部1及び規制部2が介在した状態となる。ここで、上述のように、第2リニアアクチュエータ44のロッド441と第2移動体43とを連結する連結部材45がフローティングジョイントである。そのため、アーム46及び連結部材45を介してロッド441に連結されている押出し部1及び規制部2が、セグメント200の軸方向(つまり、前後方向)において、ロッド441に対して微小な範囲で変位可能となっている。これにより、押出し部1及び規制部2と分割箇所P1との前後方向における位置がずれた場合のずれや押出し部1及び規制部2が上下方向に対して傾いた場合の偏角が吸収され、押出し部1及び規制部2が分割箇所P1に挿入され易くなっている。
【0039】
次に、ステップS40の分離工程において、第1セグメント201をスタック体300から分離し、保持部10に沿って前方へ送出する。図11及び図12は、分離工程を説明するための切出し装置100の側面図である。図13は、分離工程における押出し部1及び規制部2とスタック体300との位置関係を示す上面図である。図11及び図12に示すように、分離工程は、第1レール10Aと第2レール10Bとが当接して繋がった状態で行われ、第1レール10Aに保持されている第1セグメント201が第2レール10Bの所定の受け渡し位置まで送出される。分離工程では、まず、図11に示すように、第1セグメント201に当接していたストッパ50を前進させることで、第1セグメント201を受け渡し位置まで移動可能な状態とする。次に、図12に示すように、規制部2を残した状態で押出し部1のみを前進させることで第1セグメント201をスタック体300から分離する。具体的には、制御部701は、第1押出し爪11に対応する移動機構4Aの第1リニアアクチュエータ41と第2押出し爪12に対応する移動機構4Bの第1リニアアクチュエータ41を駆動し、移動機構4Aの第1移動体42と移動機構4Bの第1移動体42を前進させることで、第1押出し爪11及び第2押出し爪12を前進させる。一方で、制御部701は、第1規制爪21に対応する移動機構4Cの第1リニアアクチュエータ41と第2規制爪22に対応する移動機構4Dの第1リニアアクチュエータ41は動かさず、第1規制爪21及び第2規制爪22の位置を変化させない。これにより、図12に示すように、規制部2を残して押出し部1のみが前進する。つまり、押出し部1が規制部2に対して前方に相対移動し、押出し部1と規制部2とが前後方向に離間する。押出し部1が前進することで、第1セグメント201が前方に押し進められる。一方で、規制部2が第2セグメント202に当接することで、第2セグメント202が第1セグメント201に追従して前方に移動することが規制される。これにより、第1セグメント201と第2セグメント202とが分離する。その結果、第1セグメント201がスタック体300から分離され、前方に送出される。押出し部1は、第1セグメント201がストッパ50に当接する位置まで前進する。これにより、第1セグメント201が第2レール10Bの受け渡し位置に至る。
【0040】
次に、ステップS50の受け渡し工程において、第1セグメント201を組付けラインに受け渡す。図14は、受け渡し工程を説明するための切出し装置100の側面図である。図13に示すように、受け渡し工程では、制御部701が、レール移動部60を駆動し、第2レール10Bを前進させることで、第1レール10Aと第2レール10Bとを分離する。これにより、第1セグメント201から保持部10が抜き出され、第1セグメント201を取り出し可能となる。第1セグメント201は、取り出し装置(不図示)により切出し装置100から取り出され、次工程のラインに送られる。
【0041】
以上、ステップS10~ステップS50の工程により、スタック体300から先端の第1セグメント201が切り出される。ステップS10~ステップS50の工程を繰り返し行うことで、スタック体300からセグメント200が一本ずつ切り出される。
【0042】
[作用・効果]
以上のように、本実施形態に係る切出し装置100は、レール状に延在し、複数のセグメント200が軸方向に重ねられることで筒状に形成されたスタック体300の中空部H1に挿通されることで、スタック体300を保持する保持部10と、保持部10に保持されたスタック体300から先端の第1セグメント201を分離し、第1セグメント201を保持部10に沿って送出する切出し部20と、スタック体300において互いに隣接するセグメント200の境目を検出する検出部702と、を備えている。そして、移動部3は、検出部702の検出結果に基づいて、第1セグメント201と第1セグメント201に隣接する第2セグメント202との境目である分割箇所P1に押出し部1及び規制部2を挿入した後に、送出方向(前方)への第2セグメント202の移動を規制部2によって規制した状態で、押出し部1を送出方向へ移動させることで、スタック体300から第1セグメント201を分離し、第1セグメント201を保持部10に沿って送出する。
【0043】
このような切出し装置100によると、検出部702により互いに隣接するセグメント200の境目を検出することで、セグメント200の合口G1に段差が生じていても押出し部1及び規制部2を分割箇所P1に挿入することができる。更に、押出し部1及び規制部2を分割箇所P1に挿入した後に、規制部2により第2セグメント202の送出方向への移動を規制した状態で押出し部1により第1セグメント201を送出方向へ移動させることで、第1セグメント201と第2セグメント202とを確実に分離することができ、第1セグメント201に追従して第2セグメント202が送出方向へ移動することを抑制できる。これによれば、スタック体300からセグメント200を確実に1本ずつ切り出すことができる。その結果、切出し不良を低減することができる。特に、セグメントのように幅(軸方向における厚さ)が薄いピストンリングの切出しにおいても、ピストンリングを確実に1本ずつ切り出すことが可能となる。
【0044】
また、本実施形態に係る切出し装置100では、保持部10は、複数のセグメント200の合口G1が整列することでスタック体300に軸方向に延びるスリットS1が形成されるように、複数のセグメント200を保持している。また、押出し部1及び規制部2は、スリットS1からスタック体の中空部H1に向かう方向に沿って分割箇所P1に挿入される。また、スタック体300は、分割箇所P1に対する押出し部1及び規制部2の挿入方向視において、スリットS1を境に第1領域R1と第2領域R2とに区分される。そして、押出し部1は、第1領域R1における分割箇所P1に挿入される第1押出し爪11と、第2領域R2における分割箇所P1に挿入される第2押出し爪12と、を含み、規制部2は、第1領域R1における分割箇所P1に挿入される第1規制爪21と、第2領域R2における分割箇所P1に挿入される第2規制爪22と、を含んでいる。
【0045】
つまり、切出し装置100は、スリットS1を挟む領域である第1領域R1と第2領域R2のそれぞれの分割箇所P1に押出し部1及び規制部2が挿入されるように構成されている。ピストンリングの合口G1の両端部200a,200bの位置が互いに軸方向にずれている場合、スタック体において隣接するピストンリングが合口付近で絡み易くなる傾向がある。これに対して、切出し装置100は、合口G1(スリットS1)の両側に押出し部1及び規制部2を挿入し、合口G1の両側で第1セグメント201と第2セグメント202との分離動作を行うことで、第1セグメント201と第2セグメント202とを確実に分離することができる。これにより、より確実にスタック体300からセグメント200を1本ずつ切り出すことができる。
【0046】
スタック体では、ピストンリングの成形時の変形により、第1領域と第2領域でピストンリングの軸方向(つまり、送出方向)における分割箇所の位置が異なってくる場合がある。これに対して、本実施形態では、押出し部1及び規制部2が前記分割箇所に挿入される際には、スタック体300におけるセグメント200の軸方向において、第1押出し爪11と第1規制爪21は、互いに同一の位置に配置され、第2押出し爪12と第2規制爪22は、互いに同一の位置であって、第1押出し爪11及び第1規制爪21とずれた位置に配置される。これにより、第1領域R1と第2領域R2のそれぞれの分割箇所P1に押出し部1及び規制部2を挿入できる。
【0047】
更に、本実施形態では、検出部702は、第1領域R1及び第2領域R2の画像を取得し、取得した画像に基づいて第1領域R1及び第2領域R2のそれぞれにおける分割箇所P1を検出する。上述のように、第1領域と第2領域でピストンリングの軸方向における分割箇所の位置が異なってくる場合があるが、本実施形態に係る切出し装置100は、第1領域R1及び第2領域R2のそれぞれにおける分割箇所P1を検出することで、第1領域R1と第2領域R2のそれぞれの分割箇所P1に押出し部1及び規制部2を確実に挿入することができる。
【0048】
更に、移動部3は、押出し部1及び規制部2の分割箇所P1に対する挿入方向へ移動する第2リニアアクチュエータ44のロッド441を含んでおり、押出し部1及び規制部2は、ロッド441に対してスタック体300におけるセグメント200の軸方向に変位可能な状態となるように、フローティングジョイントである連結部材45を介してロッド441に連結されている。これによると、押出し部1及び規制部2を分割箇所P1に挿入する際にセグメント200の軸方向において押出し部1及び規制部2と分割箇所P1の位置がずれた場合のずれや、押出し部1及び規制部2が挿入方向に対して傾いた場合の偏角を吸収することができ、押出し部1及び規制部2を分割箇所P1に挿入し易くできる。これにより、押出し部1及び規制部2を確実に分割箇所P1に挿入することができる。なお、ロッド441は、本発明に係る「挿入部」の一例である。
【0049】
<その他>
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、実施形態に係る切出し装置は種々の変更、改良、組み合わせ等が可能である。例えば、上述の実施形態では保持部が水平に設けられているが、本発明はこれに限定されない。
【符号の説明】
【0050】
100 :切出し装置
10 :保持部
20 :切出し部
30 :カメラ
1 :押出し部
11 :第1押出し爪
12 :第2押出し爪
2 :規制部
21 :第1規制爪
22 :第2規制爪
3 :移動部
4 :移動機構
【要約】
ピストンリングが軸方向に重ねられたスタック体を保持する保持部と、スタック体から先端のピストンリングを送出する切出し部と、スタック体において互いに隣接するピストンリングの境目を検出する検出部と、を備え、切出し部は、押出し部及び規制部を移動させる移動部を有し、移動部は、スタック体における先端のピストンリングと当該先端のピストンリングに隣接するピストンリングの境目である分割箇所に押出し部及び規制部を挿入した後に、先端のピストンリングに隣接するピストンリングが該先端のピストンリングが送出される方向である送出方向へ移動することを規制部によって規制した状態で、押出し部を送出方向へ移動させることで、スタック体から先端のピストンリングを分離し、該先端のピストンリングを保持部に沿って送出する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
図11
図12
図13
図14