(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-21
(45)【発行日】2022-05-02
(54)【発明の名称】アンテナ素子及びそれを含むディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 13/08 20060101AFI20220422BHJP
H01Q 1/38 20060101ALI20220422BHJP
【FI】
H01Q13/08
H01Q1/38
(21)【出願番号】P 2020546464
(86)(22)【出願日】2019-03-06
(86)【国際出願番号】 KR2019002566
(87)【国際公開番号】W WO2019172631
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2020-09-04
(31)【優先権主張番号】10-2018-0026382
(32)【優先日】2018-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(73)【特許権者】
【識別番号】520337569
【氏名又は名称】ポステック リサーチ アンド ビジネス デベロップメント ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】POSTECH RESEARCH AND BUSINESS DEVELOPMENT FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】(Jigok-dong) 77, Cheongam-ro, Nam-gu, Pohang-si, Gyeongsangbuk-do 37673 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジョン ミン
(72)【発明者】
【氏名】パク, ドン ピル
(72)【発明者】
【氏名】オ, ユン セオク
(72)【発明者】
【氏名】ホン, ウォン ビン
【審査官】赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-042379(JP,A)
【文献】特開2011-244110(JP,A)
【文献】特開2017-152904(JP,A)
【文献】特開2003-051709(JP,A)
【文献】特開2000-138512(JP,A)
【文献】特開2017-135465(JP,A)
【文献】特開2006-040870(JP,A)
【文献】特開2008-176240(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0190678(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107634328(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0184381(US,A1)
【文献】国際公開第2008/090714(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0080444(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 13/08
H01Q 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電層と、
前記誘電層上に配置され、放射電極
及びグランドパッドを含む上部電極層と、
前記誘電層上に配置される下部電極層と、
前記誘電層上で前記上部電極層及び前記下部電極層と一体に接続される屈曲接続部とを含
み、
前記屈曲接続部は、前記グランドパッドから分岐される複数の屈曲ラインを含むことを特徴とするアンテナ素子。
【請求項2】
前記誘電層は、屈曲誘電部を含み、前記屈曲誘電部によりベンディングされて上部誘電層及び下部誘電層が定義される、請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項3】
前記上部電極層は、前記上部誘電層の上面上に配置され、前記下部電極層は、前記下部誘電層の底面上に配置される、請求項2に記載のアンテナ素子。
【請求項4】
前記屈曲接続部は、前記屈曲誘電部の側面上に配置される、請求項2に記載のアンテナ素子。
【請求項5】
前記上部誘電層および前記下部誘電層によって段差が生じる、請求項2に記載のアンテナ素子。
【請求項6】
前記段差上に配置されるセンサー構造物または光学フィルムをさらに含む、請求項5に記載のアンテナ素子。
【請求項7】
前記屈曲接続部は、前記グランドパッド及び前記下部電極層と一体に接続される、請求項
1に記載のアンテナ素子。
【請求項8】
前記上部電極層は、前記放射電極から延長され、前記グランドパッドと隣接するように配置される伝送線路をさらに含む、請求項
1に記載のアンテナ素子。
【請求項9】
前記上部電極層は、複数の放射電極と、前記複数の放射電極のそれぞれとカップリングされる複数のグランドパッドとを含み、
前記下部電極層は、前記複数のグランドパッドと複数の屈曲接続部により一体に接続される、請求項
1に記載のアンテナ素子。
【請求項10】
前記上部電極層、前記屈曲接続部および前記下部電極層は、同じ導電物質を含む、請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項11】
前記上部電極層、前記屈曲接続部および前記下部電極層は、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、モリブデン(Mo)及びこれらの合金からなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項
10に記載のアンテナ素子。
【請求項12】
前記上部電極層および前記下部電極層は、互いに異なる導電物質を含む、請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項13】
前記放射電極は、メッシュ構造を含む、請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項14】
前記下部電極層は、メッシュ構造を含む、請求項
12に記載のアンテナ素子。
【請求項15】
前記放射電極の周辺に配列されたダミーメッシュ層をさらに含む、請求項
13に記載のアンテナ素子。
【請求項16】
請求項1~
15のいずれか一項に記載のアンテナ素子を含む、ディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ素子及びそれを含むディスプレイ装置に関する。より詳細には、電極及び誘電層を含むアンテナ素子、並びにそれを含むディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会が進展するにつれて、ワイファイ(Wi-Fi)、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)などの無線通信技術がディスプレイ装置と結合され、例えばスマートフォンの形で実現されている。この場合には、アンテナが前記ディスプレイ装置に結合され、通信機能を実行することができる。
【0003】
最近では、移動通信技術が進化するにつれて、超高周波帯域の通信を行うためのアンテナが前記ディスプレイ装置に結合される必要がある。
【0004】
また、アンテナが搭載されるディスプレイ装置がより薄型、軽量化されることによって、前記アンテナが占めるスペースも減少し得る。このため、限られたスペースの中で、高周波、広帯域信号の送受信を同時に実現するには限界がある。
【0005】
したがって、前記薄型ディスプレイ装置にフィルムまたはパッチの形でアンテナを適用する必要があり、前述した高周波通信を実現するためには、薄型構造にもかかわらず放射特性の信頼性を確保するための研究が求められる。
【0006】
例えば、アンテナに含まれる電極、パッドを接続するために、追加の相互接続構造物が必要となる。前記相互接続構造物を形成すると、アンテナの厚さが増加し、ディスプレイ装置の他の画素構造又はセンシング構造の動作との相互干渉、ノイズを発生させることがある。
【0007】
例えば、韓国公開特許第2013-0095451号は、ディスプレイパネルに一体化されたアンテナを開示しているが、前述した問題点の解決策は提示していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、向上した信号効率および信頼性を有するアンテナ素子を提供することである。
【0009】
本発明の課題は、向上した信号効率および信頼性を有するアンテナ素子を含むディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1.誘電層と、前記誘電層上に配置され、放射電極を含む上部電極層と、前記誘電層上に配置される下部電極層と、前記誘電層上で前記上部電極層および前記下部電極層と一体に接続される屈曲接続部とを含む、アンテナ素子。
【0011】
2.前記項目1において、前記誘電層は、屈曲誘電部を含み、前記屈曲誘電部によりベンディングされて上部誘電層及び下部誘電層が定義される、アンテナ素子。
【0012】
3.前記項目2において、前記上部電極層は、前記上部誘電層の上面上に配置され、前記下部電極層は、前記下部誘電層の底面上に配置される、アンテナ素子。
【0013】
4.前記項目2において、前記屈曲接続部は、前記屈曲誘電部の側面上に配置される、アンテナ素子。
【0014】
5.前記項目2において、前記上部誘電層および前記下部誘電層によって段差が生じる、アンテナ素子。
【0015】
6.前記項目5において、前記段差上に配置されるセンサー構造物または光学フィルムをさらに含む、アンテナ素子。
【0016】
7.前記項目1において、前記上部電極層は、グランドパッドをさらに含む、アンテナ素子。
【0017】
8.前記項目7において、前記屈曲接続部は、前記グランドパッド及び前記下部電極層と一体に接続される、アンテナ素子。
【0018】
9.前記項目7において、前記屈曲接続部は、前記グランドパッドから分岐される複数の屈曲ラインを含む、アンテナ素子。
【0019】
10.前記項目7において、前記上部電極層は、前記放射電極から延長され、前記グランドパッドと隣接するように配置される伝送線路をさらに含む、アンテナ素子。
【0020】
11.前記項目7において、前記上部電極層は、複数の放射電極と、前記複数の放射電極のそれぞれとカップリングされる複数のグランドパッドとを含み、
前記下部電極層は、前記複数のグランドパッドと複数の屈曲接続部により一体に接続される、アンテナ素子。
【0021】
12.前記項目1において、前記上部電極層、前記屈曲接続部および前記下部電極層は、同じ導電物質を含む、アンテナ素子。
【0022】
13.前記項目12において、前記上部電極層、前記屈曲接続部および前記下部電極層は、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、モリブデン(Mo)及びこれらの合金からなる群より選択される少なくとも一つを含む、アンテナ素子。
【0023】
14.前記項目1において、前記上部電極層および前記下部電極層は、互いに異なる導電物質を含む、アンテナ素子。
【0024】
15.前記項目1において、前記放射電極は、メッシュ構造を含む、アンテナ素子。
【0025】
16.前記項目14において、前記下部電極層は、メッシュ構造を含む、アンテナ素子。
【0026】
17.前記項目15において、前記放射電極の周辺に配列されたダミーメッシュ層をさらに含む、アンテナ素子。
【0027】
18.前記項目1~17のいずれかに記載のアンテナ素子を含む、ディスプレイ装置。
【発明の効果】
【0028】
本発明の実施形態に係るアンテナ素子において、上部グランドパッド及び下部電極層は、屈曲接続部によって一体に接続することができる。上部グランドパッドを前記下部電極層に接続することにより、放射電極における共振周波数の変動、放射特性の妨害などを防止し、放射及び信号信頼性を向上することができる。
【0029】
また、前記屈曲接続部により、コンタクト、回路基板のような別の導電部材を形成または挿入しなくても、上部グランドパッド及び下部グランドの相互接続を容易に実現することができる。また、前記コンタクトまたは回路基板の使用時に引き起こされるアンテナ素子の厚さの増加、前記導電部材による自体ノイズの発生などを抑制することができる。
【0030】
前記アンテナ素子は、3G以上、例えば5G高周波帯域の送受信が可能な移動通信機器を含むディスプレイ装置に、例えばフィルムアンテナの形で適用され、放射特性および透過度のような光学特性を共に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、例示的な実施形態に係るアンテナ素子を示す概略平面図である。
【
図2】
図2は、例示的な実施形態における屈曲された状態のアンテナ素子を示す平 面図である。
【
図3】
図3は、例示的な実施形態における屈曲された状態のアンテナ素子を示す側 面図である。
【
図4】
図4は、例示的な実施形態における屈曲された状態のアンテナ素子を示す側 面図である。
【
図5】
図5は、いくつかの例示的な実施形態に係るアンテナ素子を示す概略平面図 である。
【
図6】
図6は、いくつかの例示的な実施形態における屈曲された状態のアンテナ素 子を示す側面図である。
【
図7】
図7は、いくつかの例示的な実施形態に係るアンテナ素子を示す概略平面図 である。
【
図8】
図8は、いくつかの例示的な実施形態に係るアンテナ素子を示す概略平面図 である。
【
図9】
図9は、いくつかの例示的な実施形態に係るアンテナ素子を示す概略側面図 である。
【
図10】
図10は、例示的な実施形態に係るディスプレイ装置を説明するための概 略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施形態は、上部電極層および下部電極層を含み、前記上部電極層および下部電極層が誘電層を挟んで屈曲接続部によって互いに接続されているアンテナ素子を提供するものである。
【0033】
前記アンテナ素子は、例えば、透明フィルムの形で製作されるマイクロストリップパッチアンテナ(microstrip patch antenna)であってもよい。前記アンテナ素子は、例えば、3G~5G移動通信のための通信機器に適用できる。
【0034】
また、本発明の実施形態は、前記アンテナ素子を含むディスプレイ装置を提供するものである。
【0035】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態をより具体的に説明する。ただし、本明細書に添付される図面は、本発明の好適な実施形態を例示するものであって、発明の詳細な説
明とともに本発明の技術思想をさらに理解する一助となる役割を果たすものであるため、本発明は図面に記載された事項のみに限定されて解釈されるものではない。
【0036】
図1は、例示的な実施形態に係るアンテナ素子を示す概略平面図である。
図2~4は、例示的な実施形態における屈曲された状態のアンテナ素子を示す平面図及び側面図である。
【0037】
具体的には、
図1は、屈曲前のアンテナ素子を示す平面図である。
図2は、屈曲後のアンテナ素子の平面図である。
図3は、屈曲後のアンテナ素子の第2方向からの側面図である。
図4は、屈曲後のアンテナ素子の第1方向からの側面図である。
【0038】
図1において、誘電層100の上面に平行であり、互いに交差する二つの方向を第1方向及び第2方向に定義する。例えば、前記第1方向及び第2方向は、互いに垂直に交差することができる。誘電層100の上面に対して垂直な方向は、第3方向に定義される。例えば、前記第1方向は前記アンテナ素子の幅方向、前記第2方向は前記アンテナ素子の長さ方向、前記第3方向は前記アンテナ素子の厚さ方向に相当し得る。前記方向の定義は、他の図面でも同様に適用できる。
【0039】
図1を参照すると、前記アンテナ素子は、誘電層100上に形成された上部電極層130および下部電極層110を含むことができる。前記アンテナ素子は、下部電極層110および上部電極層130を接続する屈曲接続部120を含むことができる。
【0040】
誘電層100は、例えば、折り曲げできる柔軟性を有する透明樹脂物質を含むことができる。例えば、誘電層100は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体などのスチレン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系またはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン-プロピレン共重合体などのポリオレフィン系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ナイロン、芳香族ポリアミドなどのアミド系樹脂;イミド系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;スルホン系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン系樹脂;硫化ポリフェニレン系樹脂;ビニルアルコール系樹脂;塩化ビニリデン系樹脂;ビニルブチラル系樹脂;アリレート系樹脂;ポリオキシメチレン系樹脂;エポキシ系樹脂などの熱可塑性樹脂を含むことができる。これらは、単独であるいは2以上を組み合わせて使用することができる。
【0041】
また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系などの熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂からなる透明フィルムを誘電層100として活用してもよい。いくつかの実施形態では、また、光学透明粘着剤(Optically clear Adhesive:OCA)、光学透明樹脂(Optically Clear Resin:OCR)などの粘接着フィルムが誘電層100に含まれ得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、誘電層100は、ガラス、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物などの無機絶縁物質を含むこともできる。
【0043】
図1に示すように、誘電層100は、第1領域(I)、第2領域(II)及び第3領域(III)を含むことができる。例示的な実施形態によると、誘電層100の第3領域(III)は、屈曲領域で提供できる。誘電層100が第3領域(III)によって屈曲された後、第1領域(I)及び第2領域(II)は、それぞれ上部領域及び下部領域で提供できる。
【0044】
誘電層100によって上部電極層130と下部電極層110との間で静電容量(capacitance)又はインダクタンス(inductance)が形成され、前記アンテナ素子が駆動又はセンシングできる周波数帯域を調節することができる。いくつかの実施形態では、誘電層100の誘電率は、約1.5~12の範囲に調節できる。前記誘電率が約12を超えると、駆動周波数が減少しすぎて、所望の高周波帯域での駆動を実現できないことがある。
【0045】
上部電極層130は、誘電層100の第1領域(I)上に配置され、放射電極132及びグランドパッド136を含むことができる。上部電極層130は、放射電極132から分岐されて延長する伝送線路134をさらに含むこともできる。例えば、伝送線路134は、放射電極132の中央部からグランドパッド136側に延長することができる。
【0046】
グランドパッド136は、伝送線路134の末端部周辺に配置することができる。例えば、グランドパッド136は、リセス(recess)を含み、伝送線路134の前記末端部を前記リセス内に挿入することができる。一実施形態では、伝送線路134の前記末端部は、グランドパッド136と離隔したまま、前記リセス内でグランドパッド136と隣接するように配置することができる。
【0047】
グランドパッド136を伝送線路134の周辺に配置することにより、伝送線路134を介して放射信号の送受信時に発生するノイズを効率的にフィルタリング又は低減することができる。
【0048】
下部電極層110は、誘電層100の第2領域(II)上に配置することができる。例示的な実施形態によると、下部電極層110は、前記アンテナ素子の下部グランド層で提供することができる。
【0049】
図1に示すように、下部電極層110は、平面上で上部電極層(例えば、放射電極132)よりも広い面積を持つことができる。いくつかの実施形態では、下部電極層110の前記第1方向及び第2方向への長さは、それぞれ上部電極層130よりも大きくてもよい。
【0050】
屈曲接続部120は、誘電層100の第3領域(III)上に配置することができる。例示的な実施形態によると、屈曲接続部120は、下部電極層110と上部電極層130を互いに電気的に接続することができる。また、屈曲接続部120は、下部電極層110及び上部電極層130と一体に接続され、実質的に単一の部材として提供することができる。
【0051】
いくつかの実施形態において、屈曲接続部120は、下部電極層110及び上部電極層130のグランドパッド136と一体に接続することができる。
【0052】
上部電極層130、下部電極層110および屈曲接続部120は、互いに同一または異なる導電性物質を含むことができる。いくつかの実施形態では、上部電極層130、下部電極層110及び屈曲接続部120は、同じ金属物質を含むことができる。この場合、実質的に単一のパターニング工程により一括して形成することができる。
【0053】
例えば、上部電極層130、下部電極層110及び屈曲接続部120は、 銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、モリブデン(Mo)又はこれらの合金を含むことができる。これらは、単独であるいは2以上を組み合わせて使用することができる。例えば、低抵抗の実現のために、銀(Ag)または銀合金(例えば銀-パラジウム-銅(APC)合金)を使用することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、上部電極層130および下部電極層110は、互いに異なる導電物質を含むことができる。例えば、上部電極層130は、前述した金属または合金を、下部電極層110は、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電性酸化物を含むことができる。
【0055】
図2~
図4を参照すると、
図1に示すアンテナ素子は、誘電層100の第3領域(III)により屈曲して折り曲げることができる。これにより、上部電極層130及び下部電極層110は、
図2及び
図4に示すように前記第3方向に重畳することができる。
【0056】
誘電層100の折り曲げにより、誘電層100は、上部誘電層102と下部誘電層104に区分することができる。また、誘電層100の第3領域(III)は、屈曲誘電部106に変換できる。例えば、誘電層100は、屈曲誘電部106によって実質的に完全に折り畳まれて、上部誘電層102と下部誘電層104が互いに接触することができる。
【0057】
これにより、上部電極層130は、上部誘電層102の上面上に配置し、下部電極層110は、下部誘電層104の底面上に配置することができる。
図3に示すように、屈曲接続部120は、屈曲誘電部106の側面に沿って共にベンディングされ得る。屈曲接続部120は、屈曲誘電部106の前記側面上でグランドパッド136及び下部電極層110と一体に接続することができる。
【0058】
図2に点線で示すように、下部電極層110は、平面上で上部電極層130または放射電極132を全体的に包括するように重畳することができる。これにより、誘電層100によるインダクタンス形成効率が増加し、グランドパッド136と接続されて接地効率が向上できる。
【0059】
前述したように、屈曲接続部120を介して上部電極層130のグランドパッド136と下部電極層110を互いに接続することができる。これにより、グランドパッド136から発生し得るノイズまたは信号干渉を下部電極層110により接地、除去することができる。したがって、放射電極132の共振周波数のような放射特性の変動なしに信頼性のある信号送受信を実現することができる。
【0060】
また、例示的な実施形態によると、グランドパッド136及び下部電極層110と一体に形成された屈曲接続部120のベンディング動作によって、上部及び下部電極層の相互接続を容易に実現することができる。
【0061】
比較例では、アンテナの上部電極及び下部電極を接続する方法として、コンタクトを誘電層内に形成することや、プリント回路基板(FPCB)を使用することが考えられる。しかし、前記コンタクトを活用する場合には、エッチング工程のために誘電層の厚さが増加し、前記誘電層内でのインダクタンスを妨害することがある。また、FPCBを使用する場合には、製造コストが増加し、ボンディング部材によるノイズが増加することがある。
【0062】
これに対して、前述した例示的な実施形態によると、初期に同一平面上で屈曲接続部120をグランドパッド136及び下部電極層110と一体に形成した後、誘電層100のベンディングと共に上部及び下部電極層130,110を定義することができる。これにより、コンタクト及びFPCBのような別の導電性部材なしに、上部及び下部電極層130,110の相互接続を容易に実現することができる。
【0063】
図5は、いくつかの例示的な実施形態に係るアンテナ素子を示す概略平面図である。
図6は、いくつかの例示的な実施形態における屈曲された状態のアンテナ素子を示す側面図である。
図1~
図4と実質的に同一または類似の構成及び/又は構造については詳細な説明を省略する。
【0064】
図5及び
図6を参照すると、誘電層100の第3領域(III)または屈曲誘電部106上には屈曲接続部122を配置することができる。いくつかの実施形態では、屈曲接続部122は、複数の屈曲ラインを含むことができる。
【0065】
例えば、屈曲接続部122は、第1屈曲ライン122a及び第2屈曲ライン122bを含むことができる。第1屈曲ライン122a及び第2屈曲ライン122bは、それぞれグランドパッド136から分岐して下部電極層110と一体に接続することができる。
【0066】
屈曲接続部122を複数の屈曲ラインに分離することにより、ベンディング動作時に発生する応力を分散させることができる。これにより、前記ベンディング動作時の屈曲接続部122のクラックまたは破断による電気的接続不良を防止することができる。
【0067】
図7は、いくつかの例示的な実施形態に係るアンテナ素子を示す概略平面図である。
【0068】
図7を参照すると、上部電極層は、複数の放射電極を含み、複数のグランドパッドを一つの下部電極層110とそれぞれ屈曲接続部を介して電気的に接続することができる。
【0069】
いくつかの実施形態によると、前記上部電極層は、第1放射電極132aと、第2放射電極132bと、第3放射電極132cとを含むことができる。第1~第3放射電極132a,132b,132cは、それぞれ第1~第3伝送線路134a,134b,134cを介して第1~第3グランドパッド136a,136b,136cとカップルリングすることができる。
【0070】
第1~第3屈曲接続部120a,120b,120cは、それぞれ第1~第3グランドパッド136a,136b,136cから延長し、下部電極層110と一体に接続することができる。
【0071】
屈曲接続部120a,120b,120cは、誘電層100の第3領域(III)により共にベンディングされ、下部電極層110は、誘電層100を挟んで放射電極132a,132b,132cと向かい合うように配置することができる。
【0072】
下部電極層110は、前記ベンディングの後、平面上で第1~第3放射電極132a,132b,132cをすべて包括するように十分な面積を持つことができる。
【0073】
下部電極層110を介して複数のグランドパッド136a,136b,136cが接続されるので、接地、ノイズ吸収の抵抗を低減することができる。いくつかの実施形態では、第1~第3放射電極132a,132b,132cは、異なる位相を有することができる。この場合には、1つの下部電極層110によって位相差配列アンテナを実現できるので、信号の送受信効率を向上することができる。
【0074】
図8は、いくつかの例示的な実施形態に係るアンテナ素子を示す概略平面図である。
【0075】
図8を参照すると、前記アンテナ素子の上部電極層230は、メッシュ構造を含むことができる。例示的な実施形態によると、放射電極232は、メッシュ構造を含む。これにより、前記アンテナ素子の透過率を向上することができる。
【0076】
放射電極232の周辺には、ダミーメッシュ層240を誘電層上に配置することができる。ダミーメッシュ層240および放射電極232は、実質的に同一の形態のメッシュ構造を含むことができる。ダミーメッシュ層240によって放射電極232の周辺の電極配列を均一化し、前記メッシュ構造又はそれに含まれる電極ラインが、前記アンテナ素子が適用されるディスプレイ装置のユーザに視認されることを防止することができる。
【0077】
例えば、メッシュ金属層が誘電層100上に形成され、前記メッシュ金属層が所定の領域に沿って切断され、ダミーメッシュ層240を放射電極232から電気的、物理的に隔離させることができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、上部電極層230の伝送線路234及びグランドパッド236、屈曲接続部220及び/又は下部電極層210もまた前記メッシュ構造を含むことができる。また、ダミーメッシュ層240は、誘電層100の第1領域(I)、第2領域(II)及び第3領域(III)にわたって形成され、屈曲接続部220および下部電極層210の周辺にも配置することができる。
【0079】
図9は、いくつかの例示的な実施形態に係るアンテナ素子を示す概略側面図である。
【0080】
図9を参照すると、前述したように、誘電層100が屈曲誘電部106によりベンディングされ、上部誘電層102および下部誘電層104が定義され得る。
【0081】
下部誘電層104の底面上に配置された下部電極層110が上部電極層130を十分に包括するように、下部誘電層104の第2方向への長さは上部誘電層102よりも大きくてもよい。これにより、上部誘電層102により覆われていない部分によって段差が生じ得る。
【0082】
例示的な実施形態によると、前記段差により露出した下部誘電層104の上面上に機能性構造物150が配置され、前記段差を除去しながらスペース効率を向上することができる。
【0083】
例えば、機能性構造物150は、ディスプレイ装置に搭載されるタッチセンサー、IOTセンサーなどのセンサー構造物、または偏光板、リターダなどの光学フィルムなどを含むことができる。
【0084】
図10は、例示的な実施形態に係るディスプレイ装置を説明するための概略平面図である。例えば、
図10は、ディスプレイ装置のウインドウを含む外部形状を示している。
【0085】
図10を参照すると、ディスプレイ装置300は、表示領域310及び周辺領域320を含むことができる。周辺領域320は、例えば、表示領域310の両側部及び/又は両端部に配置することができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、前述したアンテナ素子は、ディスプレイ装置300の周辺領域320にパッチまたはフィルムの形で挿入することができる。いくつかの実施形態では、前記アンテナ素子の放射電極および下部電極層は、表示領域310と少なくとも部分的に重畳するように配置することができる。前述のように、前記下部電極層は、屈曲接続部によりベンディングされ、前記放射電極と共に表示領域310内に配置され得る。例えば、
図8に示すように、メッシュ構造を利用して、前記放射電極がユーザに視認されることを低減することができる。
【0087】
周辺領域320は、例えば、画像表示装置の遮光部又はベゼル部に相当し得る。周辺領域320内には、前記アンテナ素子の駆動特性および放射特性を調節し、給電信号を供給するための集積回路(IC)チップを配置することができる。