(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-21
(45)【発行日】2022-05-02
(54)【発明の名称】継手および流体制御装置
(51)【国際特許分類】
F17D 1/04 20060101AFI20220422BHJP
F16L 47/28 20060101ALI20220422BHJP
F16K 27/00 20060101ALI20220422BHJP
【FI】
F17D1/04
F16L47/28
F16K27/00 B
F16K27/00 D
F16K27/00 Z
(21)【出願番号】P 2019505898
(86)(22)【出願日】2018-03-06
(86)【国際出願番号】 JP2018008452
(87)【国際公開番号】W WO2018168559
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-01-06
(31)【優先権主張番号】P 2017050482
(32)【優先日】2017-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100183380
【氏名又は名称】山下 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】特許業務法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 祐介
(72)【発明者】
【氏名】藤根 和洋
(72)【発明者】
【氏名】堂屋 英宏
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06125887(US,A)
【文献】特開2005-163952(JP,A)
【文献】米国特許第06152175(US,A)
【文献】特開2015-010623(JP,A)
【文献】特開2013-177948(JP,A)
【文献】特表2005-539375(JP,A)
【文献】米国特許第05983933(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17D 1/04
F16K 27/00
F16L 47/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ブロックと、第2ブロックと、前記第1ブロックと前記第2ブロックを接続する単管部とを備え、内部に第1ガス流路および第2ガス流路を有し、前記第1ガス流路は、前記第1ブロックの外面に開口する第1ポート、前記単管部、および前記第2ブロックの外面に開口する第2ポートを連通するように形成され、
前記第2ガス流路は、前記第2ブロックの前記外面に開口する第3ポートおよび第4ポートを連通するように形成され、
前記第2ポートは、前記第3ポートと前記第4ポートとの間に位置
し、
前記第1ブロックの前記外面と、前記第2ブロックの前記外面とは、同じ側を向いており、前記第1ポートと、前記第2ポートとは同じ側に開口している、継手。
【請求項2】
前記第1ガス流路は、前記第1ブロックに形成された第1流路と前記第2ブロックに形成されたた第2流路とを有し、前記第2流路は、前記第2ブロックの前記外面に対し直交するように形成された流路により構成され、
前記第2ガス流路は、前記第2流路を避けるように形成されている、請求項1に記載の継手。
【請求項3】
前記第1ブロックにのみ、ブロックをレールに固定するためのボルトを挿通させるためのボルト挿入孔が形成されている、請求項1または請求項2に記載の継手。
【請求項4】
複数のガスラインを備え、各ガスラインは、複数の流体制御機器と、流体制御機器が設置される継手とを備え、
前記継手は、第1ブロックと、第2ブロックと、前記第1ブロックと前記第2ブロックを接続する単管部とを備え、内部に第1ガス流路および第2ガス流路を有し、
前記第1ガス流路は、前記第1ブロックの外面に開口する第1ポート、前記単管部、および前記第2ブロックの外面に開口する第2ポートを連通するように形成され、
前記第2ガス流路は、前記第2ブロックの前記外面に開口する第3ポートおよび第4ポートを連通するように形成され、
前記第2ポートは、前記第3ポートと前記第4ポートとの間に位置
し、
前記第1ブロックの前記外面と、前記第2ブロックの前記外面とは、同じ側を向いており、前記第1ポートと、前記第2ポートとは同じ側に開口している、流体制御装置。
【請求項5】
前記複数の流体制御機器は、二方弁である第1バルブと、三方弁である第2バルブと、パージガスを供給するためのパージガス配管とを備え、
前記継手は、前記第2ブロックよりも上流側に前記第1ブロックが位置するように配置され、
前記第1ブロックには、前記第1バルブが設置され、
前記第2ブロックには、前記第2バルブおよび前記パージガス配管が設置されている、請求項
4に記載の流体制御装置。
【請求項6】
前記複数の流体制御機器は、三方弁であるバルブと、パージガスを供給するためのパージガス配管と、流量制御機器とを備え、
前記継手は、前記第1ブロックよりも上流側に前記第2ブロックが位置するように配置され、
前記第2ブロックには、前記バルブおよび前記パージガス配管が設置され、
前記第1ブロックには、前記流量制御機器が設置されている、請求項
4に記載の流体制御装置。
【請求項7】
前記第1ガス流路は、前記第1ブロックに形成された第1流路と前記第2ブロックに形成された第2流路とを有し、前記第2流路は、前記第2ブロックの前記外面に対し直交するように形成された流路により構成され、
前記第2ガス流路は、前記第2流路を避けるように形成されている、請求項
4から請求項
6のいずれか一項に記載の流体制御装置。
【請求項8】
前記第1ブロックにのみ、ブロックをレールに固定するためのボルトを挿通させるためのボルト挿入孔が形成されている、請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の流体制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置等に使用される流体制御装置で用いられる継手およびその継手を備える流体制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、流体制御装置に用いられる継手が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されたマスフローコントローラが設置される継手には、ブロック状の継手の上面に、一直線上に第1~4ポートが形成され、第1、3ポートがV字状の流路により接続され、第2、4ポートがV字状の流路により接続されている。この継手は、三方弁の中央のポートをブロック上面側の別のポートに連通させ、複数のガスラインにまたがるパージガス分岐配管をブロック上面側に後から取り付けられるようにすることで、事前に複数あるガスラインを個々のガスラインごとに組み立て可能にしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された継手では、単一のブロックの上面に4つのポートが形成された構成であるため、流体制御装置のガスラインの改造時にマスフローコントローラのサイズの変更にあわせて、当該継手のサイズを変更するのは容易ではない。すなわち、ポート間の距離を変更するには、流路の角度を変更する必要があり、2本のV字状の流路の設計をやり直す必要がある。
【0005】
そこで本発明は、ガスラインの改造等を行うに際し、容易にサイズ変更が可能な継手および流体制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決するために、本発明の一態様である継手は、第1ブロックと、第2ブロックと、前記第1ブロックと前記第2ブロックを接続する単管部とを備え、内部に第1ガス流路および第2ガス流路を有し、前記第1ガス流路は、前記第1ブロックの外面に開口する第1ポート、前記単管部、および前記第2ブロックの外面に開口する第2ポートを連通するように形成され、前記第2ガス流路は、前記第2ブロックの前記外面に開口する第3ポートおよび第4ポートを連通するように形成され、前記第2ポートは、前記第3ポートと前記第4ポートとの間に位置する。
【0007】
また、前記第1ガス流路は、前記第1ブロックに形成された第1流路と前記第2ブロックに形成された第2流路とを有し、前記第2流路は、前記第2ブロックの前記外面に対し直交するように形成された流路により構成され、前記第2ガス流路は、前記第2流路を避けるように形成されていてもよい。
【0008】
また、本発明の一態様である流体制御装置は、複数のガスラインを備え、各ガスラインは、複数の流体制御機器と、流体制御機器が設置される継手とを備え、前記継手は、第1ブロックと、第2ブロックと、前記第1ブロックと前記第2ブロックを接続する単管部とを備え、内部に第1ガス流路および第2ガス流路を有し、前記第1ガス流路は、前記第1ブロックの外面に開口する第1ポート、前記単管部、および前記第2ブロックの外面に開口する第2ポートを連通するように形成され、前記第2ガス流路は、前記第2ブロックの前記外面に開口する第3ポートおよび第4ポートを連通するように形成され、前記第2ポートは、前記第3ポートと前記第4ポートとの間に位置する。
【0009】
また、前記複数の流体制御機器は、二方弁である第1バルブと、三方弁である第2バルブと、パージガスを供給するためのパージガス配管とを備え、前記継手は、前記第2ブロックよりも上流側に前記第1ブロックが位置するように配置され、前記第1ブロックには、前記第1バルブが設置され、前記第2ブロックには、前記第2バルブおよび前記パージガス配管が設置されていてもよい。
【0010】
また、前記複数の流体制御機器は、三方弁であるバルブと、パージガスを供給するためのパージガス配管と、流量制御機器とを備え、前記継手は、前記第1ブロックよりも上流側に前記第2ブロックが位置するように配置され、前記第2ブロックには、前記バルブおよび前記パージガス配管が設置され、前記第1ブロックには、前記流量制御機器が設置されていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ガスラインの改造等を行うに際し、容易にサイズ変更が可能な継手および流体制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る継手を備える流体制御装置の概略図を示す。
【
図2】本発明の実施形態に係る継手の斜視図を示す。
【
図3】(a)は、継手の平面図を示し、(b)は、継手の側面図を示す。
【
図4】変形例に係る継手を備える流体制御装置の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1の実施形態に係る継手および流体制御装置について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本実施形態に係る継手20を備える流体制御装置1の概略図を示している。
【0015】
流体制御装置1は、複数のガスライン2と、複数本のレール3と、レール3が固定される図示せぬベースとを備えている。なお、
図1では複数あるうちの一つのガスライン2およびレール3のみを示している。
【0016】
ガスライン2は、複数の継手4~6、20と、複数の流体制御機器10~16と、パージガス分岐配管17とを備える。
【0017】
複数の継手4~6、20は、プロセスガスの入口となる入口継手4と、プロセスガスの出口となる出口継手5と、入口継手4と出口継手5との間に配置される複数のブロック状の継手6、20とにより構成されている。継手20については、後で詳細に説明する。複数の継手4~6は、図示せぬボルトによりレール3に固定されている。各継手4~6には、図示せぬガスの流路が形成され、当該流路は、対応する流体制御機器10~16の流路に連通している。
【0018】
複数の流体制御機器10~16は、自動弁(例えば流体駆動式の自動弁)であるバルブ10~12(バルブ11を第1バルブ11、バルブ12を第2バルブ12とする。)、と、手動式のレギュレータ(減圧弁)13と、圧力計14と、流量制御機器(例えば、マスフローコントローラ(MFC:Mass Flow Controller))15と、フィルタ16とにより構成されている。各流体制御機器10~16は、ボルト18(図の簡略化のため一つのボルト18にのみ参照番号を付している。)により、継手4~6、20に対しそれぞれ連結されている。
【0019】
第1バルブ11には、第1ガス流入路11aおよび第1ガス流出路11bが形成されている。第2バルブ12は、三方弁であり、第2ガス流入路12a、第2ガス流出路12b、およびパージガス流路12cが形成されている。
【0020】
パージガス分岐配管17は、一端が継手20に接続され、他端が図示せぬパージガス主配管に接続されている。
【0021】
そして、入口継手4から流入するプロセスガスは、流体制御機器10~16、複数の継手6、20、出口継手5を通過して、図示せぬチャンバへ供給される。また、図示せぬパージガス主配管から供給されるパージガス(例えば、窒素)は、パージガス分岐配管17に流入し、第2バルブ12のパージガス流路12cを介して、第2ガス流入路12aから入口継手4側へ、第2ガス流出路12bから出口継手5側へ流れる。
【0022】
次に、本実施形態に係る継手20について、
図1~
図3を参照して説明する。
【0023】
図2は、継手20の斜視図を示している。
図3(a)は、継手20の平面図を示し、
図3(b)は、継手20の側面図を示している。
【0024】
継手20は、第1ブロック21と、第2ブロック22と、単管部23とを備える。
【0025】
第1ブロック21は、切削加工、鍛造、鋳造、または3Dプリントにより製造され、略直方体状をなしている。第1ブロック21は、第1面24と、第1面24の反対側に位置する第2面25と、第1面24と第2面25とを接続する第3面26とを有する。第1面24には、第1バルブ11が配置される。第1ブロック21は、ボルト7によりレール3に対し固定される。
【0026】
第1ブロック21には、第1流路27が形成されている。第1流路27は、平面視で直線状かつ側面視で略L字状をなし、第1面24に開口する第1入口部27Aと、第3面26に開口する第1出口部27Bとを有する。第1出口部27Bは、第1バルブ11の第1ガス流出路11bに連通する。
【0027】
第2ブロック22は、切削加工、鍛造、鋳造、または3Dプリントにより製造され、略直方体状をなしている。第2ブロック22は、第4面28と、第4面28の反対側に位置する第5面29と、第4面28と第5面29とを接続する第6面30とを有する。第4面28には、パージガス分岐配管17と、第2バルブ12とが配置される。第6面30は、第1ブロック21の第3面26に対向している。
【0028】
第2ブロック22には、第2流路31と、第3流路32とが形成されている。第2流路31は、平面視で直線状かつ側面視で略L字状をなし、第6面30に開口する第2入口部31Aと、第4面28に開口する第2出口部31Bとを有する。すなわち、第2流路31は、第4面28および第6面30に対し直交するように形成された流路により構成されている。第2入口部31Aは、単管部23に連通し、第2出口部31Bは、第2バルブ12の第2ガス流入路12aに連通する。
【0029】
第3流路32は、平面視および側面視で略V字状をなし、第4面28に開口する第3入口部32Aおよび第3出口部32Bを有する。すなわち、第3流路32は、第4面28に対し傾斜して略V字状をなすように形成されている。第3入口部32Aは、パージガス分岐配管17に連通し、第3出口部32Bは、第2バルブ12のパージガス流路12cに連通する。
【0030】
第2出口部31B、第3入口部32A、および第3出口部32Bは、一直線上に並ぶように形成されており、第2出口部31Bは、第3入口部32Aと第3出口部32Bとの間に位置する。第3流路32は、平面視および側面視で略V字状をなしており、第2流路31を避けて交わらないように構成されている。
【0031】
単管部23は、第1ブロック21と第2ブロック22との間に設けられ、第1単管23Aと、第2単管23Bとを有する。本実施形態において、第1単管23Aは、第1ブロック21と一体であり削り出しにより形成され、第1出口部27Bに連通している。第2単管23Bは、第2ブロック22の第2入口部31Aに溶接により接続されている。また、第1単管23Aと第2単管23Bとは、溶接により互いに接続されている。また、この単管部の溶接を行う際に、間に任意の長さの単管を追加して溶接することで、第1ブロック21と第2ブロック22との距離を容易に調節することができる。
【0032】
なお、第1入口部27Aは第1ポートに、第2出口部31Bは第2ポートに、第3入口部32Aは第3ポートに、第3出口部32Bは第4ポートに相当し、第1流路27、単管部23、および第2流路31は第1ガス流路に、第3流路32は第2ガス流路に相当する。
【0033】
上記のような継手20によれば、第2ブロック22に三方弁である第2バルブ12およびパージガス分岐配管17を設置可能であり、既存のガスライン2の改造時において、流量制御機器15のサイズが変更になり、パージガス分岐配管17および第2バルブ12の位置を調整する必要がある場合であっても、単管部23の長さを変更することにより、容易にそれらの位置を調整でき、ガスライン2の改造を行うことができる。
【0034】
また、第2流路31は、第4面28および第6面30に対し直交するように形成された流路により構成され、第3流路32は、第2流路31を避けるように、第4面28に対し傾斜して略V字状をなすように形成されている。このような構成によれば、第2ブロック22を構成する面に対し傾斜する方向に加工する必要があるのは、第3流路32のみであるので、第2単管23Bを切削加工で作ることができ、第2ブロック22を容易に製造することができる。
【0035】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。
【0036】
例えば、マスフローコントローラ15と第2バルブ12間の空間を確保したい場合、
図4に示すように、継手20を上記実施形態の状態から180°反転させて、流体制御装置1に設置するようにしてもよい。この場合、第2ブロック22が第1ブロック21よりも上流側に位置し、第2ブロック22に第2バルブ12およびパージガス分岐配管17が設置され、第1ブロック21に流量制御機器15が設置される。
【0037】
このような構成により、あるガスライン2のパージガス分岐配管17を他のガスライン2のパージガス分岐配管17からずらすことができるので、あるガスライン2のパージガスを他のガスライン2のパージガスから変えたい場合に有効である。
【0038】
また、第3流路32は、略V字状であったが、略U字状であってもよい。
【0039】
単管部23は、削り出しの第1単管23Aと、第2ブロック22に溶接により接合された第2単管23Bとにより構成されていたが、一本の単管を第1ブロック21および第2ブロック22に溶接により接合した構成であってもよいし、第2単管23Bを削り出しにより構成してもよいし、第1単管23Aを第1ブロック21に溶接により接合する構成であってもよい。
【0040】
上記の実施形態では、流体制御装置1は、流体制御機器として開閉弁(バルブ)、レギュレータ、圧力計およびマスフローコントローラを備えていたが、これらの他に、フィルタ、逆止弁等を備えていても良い。
【符号の説明】
【0041】
1:流体制御装置、2:ガスライン、11:第1バルブ、12:第2バルブ、15:流量制御機器、17:パージガス分岐配管、20:継手、21:第1ブロック、22:第2ブロック、23:単管部、24:第1面、27:第1流路、27A:第1入口部、28:第4面、30:第6面、31:第2流路、31B:第2出口部、32:第3流路、32A:第3入口部、32B:第3出口部