(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-21
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】銅ベースの伝導性ペースト及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01B 1/22 20060101AFI20220422BHJP
C08L 39/04 20060101ALI20220422BHJP
C08K 3/08 20060101ALI20220422BHJP
C08F 226/06 20060101ALI20220422BHJP
C08K 9/04 20060101ALI20220422BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20220422BHJP
【FI】
H01B1/22 A
C08L39/04
C08K3/08
C08F226/06
C08K9/04
C08L101/00
(21)【出願番号】P 2020555317
(86)(22)【出願日】2019-02-22
(86)【国際出願番号】 KR2019002214
(87)【国際公開番号】W WO2019198929
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】10-2018-0042720
(32)【優先日】2018-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513246872
【氏名又は名称】ソウル大学校産学協力団
【氏名又は名称原語表記】SEOUL NATIONAL UNIVERSITY R&DB FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ジョンシク
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0160359(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 1/22
C08L 39/04
C08K 3/08
C08F 226/06
C08K 9/04
C08L 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部分架橋構造を有するイミダゾール-シラン共重合体が塩酸水溶液とリン酸水溶液で表面処理された銅粉末に導入された共重合体-銅複合体と、
溶媒と、
バインダーと、
添加剤と
を含み、
前記イミダゾール-シラン共重合体は、下記化学式1で表示されるイミダゾール単量体と下記化学式2で表示されるシラン単量体と架橋剤とを用いて重合され
、前記架橋剤は、前記イミダゾール単量体と前記シラン単量体との合計200重量部に対して1~20重量部であることを特徴とする、銅ベースの伝導性ペースト。
【化1】
化学式1において、Xは水素原子(H)またはメチル基(-CH
3)を示し、R
1はビニル基(vinyl)またはアリル基(allyl)を示す。
【化2】
化学式2において、Yはメトキシ基(methoxy)、2-メトキシエトキシ基(2-methoxy ethoxy)またはアセトキシ基(acetoxy)を示し、R
2はビニル基を示す。
【請求項2】
前記シラン単量体は、前記イミダゾール単量体100重量部に対して1~30重量部であることを特徴とする、請求項1に記載の銅ベースの伝導性ペースト。
【請求項3】
前記架橋剤としてジビニルベンゼンが使用されることを特徴とする、請求項1に記載の銅ベースの伝導性ペースト。
【請求項4】
前記銅粉末は、平均粒子径が1~10マイクロメートルである球形、フレーク、針状、繊維、デンドライト形態の中一つであることを特徴とする、請求項1に記載の銅ベースの伝導性ペースト。
【請求項5】
前記塩酸水溶液及び前記リン酸水溶液は、前記銅粉末の表面処理時、同時に導入されることを特徴とする、請求項1に記載の銅ベースの伝導性ペースト。
【請求項6】
前記塩酸水溶液の濃度は、0.5~2モル濃度であることを特徴とする、請求項1に記載の銅ベースの伝導性ペースト。
【請求項7】
前記塩酸水溶液の体積は、前記銅粉末10グラムに対して3~10ミリリットルであることを特徴とする、請求項1に記載の銅ベースの伝導性ペースト。
【請求項8】
前記リン酸水溶液の濃度は、1~2.5モル濃度であることを特徴とする、請求項1に記載の銅ベースの伝導性ペースト。
【請求項9】
前記リン酸水溶液の体積は、前記銅粉末10グラムに対して1~5ミリリットルであることを特徴とする、請求項1に記載の銅ベースの伝導性ペースト。
【請求項10】
前記イミダゾール-シラン共重合体は、前記銅粉末100重量部に対して2~10重量部であることを特徴とする、請求項1に記載の銅ベースの伝導性ペースト。
【請求項11】
前記バインダーは、水性バインダーまたは油性バインダーであることを特徴とする、請求項1に記載の銅ベースの伝導性ペースト。
【請求項12】
前記水性バインダーは、ポリスチレンスルホナート(polystyrene sulfonate)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol)、ヒドロキシメチルセルロース(hydroxylmethyl cellulose)、ヒドロキシプロピルセルロース(hydroxylpropyl cellulose)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxylpropylmethyl cellulose)、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose)、およびカルボキシプロピルセルロース(carboxypropyl cellulose)のうち少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項
11に記載の銅ベースの伝導性ペースト。
【請求項13】
前記油性バインダーは、エチルセルロース(ethylcellulose)、エチレングリコールブチルエーテル(ethylene glycol butyl ether)、ヒドロキシエチルセルロース(hydroxyethyl cellulose)、エチルヒドロキシエチルセルロース(ethyl hydroxyethyl cellulose)、メチルセルロース(methylcellulose)、およびニトロセルロース(nitrocellulose)のうち少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項
11に記載の銅ベースの伝導性ペースト。
【請求項14】
前記水性バインダーまたは前記油性バインダーは、前記共重合体-銅複合体100重量部に対して3~30重量部であることを特徴とする、請求項
11に記載の銅ベースの伝導性ペースト。
【請求項15】
前記溶媒は、水性溶媒または油性溶媒であることを特徴とする、請求項1に記載の銅ベースの伝導性ペースト。
【請求項16】
前記水性溶媒は、脱イオン蒸留水であることを特徴とする、請求項
15に記載の銅ベースの伝導性ペースト。
【請求項17】
前記油性溶媒は、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(diethylene glycol monobutyl ether)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(diethylene glycol dibutyl ether)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(diethylene glycol monobutyl ether acetate)、アルファ-タピノル(α-terpinol)、ベータ-タピノル(β-terpinol)、ブチルカルビトールアセテート(butyl carbitol acetate)、およびカルビトールアセテート(carbitol acetate)のうち少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項
15に記載の銅ベースの伝導性ペースト。
【請求項18】
前記水性溶媒または前記油性溶媒は、前記共重合体-銅複合体100重量部に対して15~60重量部であることを特徴とする、請求項
15に記載の銅ベースの伝導性ペースト。
【請求項19】
前記添加剤は、鎖延長剤、フィルム衝撃緩和剤、乾燥遅延剤、分散剤、および接着増進剤のうち少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項1に記載の銅ベースの伝導性ペースト。
【請求項20】
前記鎖延長剤は、ジビニルスルホン、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノンビス(2-ヒドロキシエーテル)エーテル、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、およびジエチルトルエンジアミンのうち少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項
19に記載の銅ベースの伝導性ペースト。
【請求項21】
前記フィルム衝撃緩和剤は、ポリビニルピロリドンであることを特徴とする、請求項
19に記載の銅ベースの伝導性ペースト。
【請求項22】
前記乾燥遅延剤は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、およびジプロピレングリコールのうち少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項
19に記載の銅ベースの伝導性ペースト。
【請求項23】
前記分散剤は、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両面性界面活性剤、および非イオン型界面活性剤のうち少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項
19に記載の銅ベースの伝導性ペースト。
【請求項24】
前記接着増進剤は、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、およびビニルトリアセトキシシランのうち少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項
19に記載の銅ベースの伝導性ペースト。
【請求項25】
前記鎖延長剤、前記フィルム衝撃緩和剤、前記乾燥遅延剤、前記分散剤、前記接着増進剤は、それぞれ、前記バインダーを含有する前記溶媒200重量部に対して0.01~10重量部であることを特徴とする、請求項
19に記載の銅ベースの伝導性ペースト。
【請求項26】
共重合体-銅複合体と、
溶媒と、
バインダーと、
添加剤と
を含み、
前記共重合体-銅複合体は、
銅粉末と、
前記銅粉末の表面上に配置される銅-リン酸塩膜と、
前記銅-リン酸塩膜上に配置され、部分架橋構造を有するイミダゾール-シラン共重合体と
を含み、
前記イミダゾール-シラン共重合体は、下記化学式1で表示されるイミダゾール単量体と下記化学式2で表示されるシラン単量体と架橋剤とを用いて重合され
、前記架橋剤は、前記イミダゾール単量体と前記シラン単量体との合計200重量部に対して1~20重量部であることを特徴とする、銅ベースの伝導性ペースト。
【化3】
化学式1において、Xは水素原子(H)またはメチル基(-CH
3)を示し、R
1はビニル基(vinyl)またはアリル基(allyl)を示す。
【化4】
化学式2において、Yはメトキシ基(methoxy)、2-メトキシエトキシ基(2-methoxy ethoxy)またはアセトキシ基(acetoxy)を示し、R
2はビニル基を示す。
【請求項27】
請求項1又は請求項
26に記載の銅ベースの伝導性ペーストを含む素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気伝導性を有する銅ベースの伝導性ペースト(conductive paste)及びその製造方法に関するものである。さらに詳細には、銅粉末の酸化を防ぎ、熱的安定性を提供するために、銅粉末の表面を部分架橋されたイミダゾール-シラン共重合体(imidazole-silane copolymer)で処理し、処理された銅粉末を油性又は水性溶媒に溶かしたバインダー樹脂に混合して伝導性ペーストを形成することにより、既存の硬化型伝導性ペーストを代わり、様々な分野に応用が可能な銅ベースの伝導性ペースト及びこれを製造する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
現在印刷電子素子(printed electronics)の技術的利点が台頭されながら、核心素材である伝導性ペースト(conductive paste)の製造技術が多方面に研究されている。伝導性ペーストは、溶媒に溶かしたバインダー樹脂に複数の伝導性フィラー(filler)を分散させて製造され、伝導性フィラー、溶媒、バインダー樹脂以外にも硬化剤、硬化触媒および添加剤で構成される。
【0003】
このような伝導性ペーストに添加されて伝導性を付与するための伝導性フィラー(filler)としては、カーボンブラック(carbon black)、黒鉛(graphite)などのような炭素系化合物、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウムなどのような各種金属粉末、各種非伝導性粉体や短繊維などの表面を銀のような伝導性金属で処理したものなどがある。一般的に、炭素系化合物は、伝導性金属に比べて伝導度が低くて適用に制限を受けている。伝導性金属の場合、バルク材料の伝導度は互いにほとんど差がないが、伝導性ペーストのフィラーとして使用する場合、金属を粉末に製造することにおいて加工性、表面酸化、価格などの要因により、それぞれの使用範囲が互いに差がある。
【0004】
代表的な伝導性ペーストである金属ペーストは、金、銀、アルミニウム、ニッケルなどの金属フィラーを溶媒に溶かしたバインダー樹脂に混合してペースト(paste)状態につくった伝導性材料であり、太陽電池を含んで多くの分野に適用が可能な素材である。金属ペーストは、流動性があるバインダー樹脂溶液に金属粉末が分散された状態であり、各種の電極、ディスプレイ、ナノインク、スマートフォンのアンテナにも適用可能である。
【0005】
金属ペーストの種類には、最も広く使用される銀粉末がフィラーとして入った伝導性材料である銀(Ag)ペースト、印刷回路基板や電磁波遮蔽用として使用される伝導性ペースト、コンデンサ用電極や抵抗ネットワークとして使用される高温性ペースト、液晶ディスプレイ(LCD)などに使用される異方伝導性ペーストに区分される。銀(Ag)粉末は、高伝導性、高信頼性を持つフィラーであり、代表的に多く使用される金属系フィラーである。銀(Ag)粉末は耐酸化性に優れて、0.1~1マイクロメートル程度の小さな粉末であっても酸化に対して非常に安定し、フレーク(flake)化のような後加工が可能である。
【0006】
バインダー樹脂を使用する高分子型伝導性ペーストの場合、伝導度はフィラー間の接触によって実現されるため、ペースト内のフィラー同士の接触面積を増加させる必要がある。銀(Ag)フレーク(flake)をフィラーとして使用した銀(Ag)ペーストの場合、表面抵抗(surface resistance)値が10-4Ω/□(ohm per square)であって非常に優れた伝導度を持っており、様々な分野で広く使用されてきた。
【0007】
しかし、前記銀粉末を用いた伝導性ペーストは、他の金属材料を用いて製造された金属ペーストに比べて価格が高いので、適用分野に制約を受けており、これを代替できる金属ペーストとして銅(Cu)ペーストが注目されている。銅(Cu)は、銀(Ag)に比べて価格面ではるかに有利で伝導度の面でも類似の性能を示すので、その活用度が急速に増加している傾向にある。
【0008】
しかし、銅(Cu)は、銀(Ag)や他の金属に比べて容易に酸化される欠点がある。電子材料として銅ペーストを適用した後、大気中におくと空気中の酸素やバインダー樹脂中に含まれる酸素が銅物質と化合して、銅粒子の表面を酸化させて銅ペーストの 伝導度が急激に低下して電子材料としての機能を喪失するようになる。このような問題点を克服するために最近シルバーコーティング銅(Cu)ペーストが開発された。この伝導性ペーストは、銀(Ag)ペーストよりも価格が安くて、電極用及び電磁波遮蔽用として使用することができる。シルバーコーティング銅(Cu)素材は、銅(Cu)粉末の表面に銀(Ag)を薄膜でコーティングして製造するため、従来の銅の欠点である室温で長時間空気中または高温(200)に露出される場合に酸化される問題点を補完したが、価格面では従来の銅(Cu)に比べてまだ高いという欠点がある。
【0009】
したがって、既存に使用する銅(Cu)粉末に有機高分子化合物で表面処理をして腐食を抑制する開発が継続的に行われた。腐食の問題を解決するための方法として、有機腐食防止剤を添加して銅(Cu)粉末の表面に腐食防止コーティング層を形成する方法などがある。その中の代表的な腐食防止剤として、様々なイミダゾール化合物が存在する。2-アルキルイミダゾール(2-alkylimidazole)、2-アリールイミダゾール(2-arylimidazole)、2-アルキルベンズイミダゾール(2‐alkylbenzimidazole)、2-アラルキルベンズイミダゾール(2-aralkylbenzimidazole)、および2-アラルキルイミダゾール(2-aralkylimidazole)などのようなイミダゾール化合物を含有する表面処理剤を使用して銅(Cu)粉末表面の酸化を効果的に防止することができる。しかし、150℃以上の熱処理工程時に深刻な熱履歴が発生するようになって、銅(Cu)粉末の表面に酸化膜形成が促進されるため、伝導度が急激に低下することになる。
【0010】
また、銅(Cu)ペーストの場合、優れた伝導性を維持するためには、バインダー樹脂内に銅粉末が均一に分布しなければならない。既存の銅(Cu)ペーストの場合には、配合時にバインダー樹脂内で銅(Cu)粉末の分散度が低いので、電子材料として適用した後に、銅(Cu)粉末の分散度が低い部位を通じて腐食が発生する問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記のような問題点を解決するために、本発明は、優れた物性を有する銅ベースの伝導性ペーストを提供する。
【0012】
本発明は、銅粉末に部分架橋されたイミダゾール-シラン共重合体を導入して、腐食防止用コーティング層を形成して耐腐食性及び耐熱性を有する銅ベースの伝導性ペーストを提供する。
【0013】
本発明は、前記銅ベースの伝導性ペーストの製造方法を提供する。
【0014】
本発明者らは数多くの実験と詳細な研究を重ねた後、これまで知られている方法とは全く別の方法、すなわち、部分架橋されたイミダゾール-シラン共重合体を銅末粉の耐腐食性層に導入して油性及び水性バインダーベースの銅ペーストを製造した。
【0015】
本発明の他の目的は以降の詳細な説明および添付図面から明確になるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の実施例による銅ベースの伝導性ペーストは、部分架橋構造を有するイミダゾール-シラン共重合体が塩酸水溶液とリン酸水溶液で表面処理された銅粉末に導入された共重合体-銅複合体と、溶媒と、バインダーと、添加剤とを含む。前記イミダゾール-シラン共重合体は、下記化学式1で表示されるイミダゾール単量体と下記化学式2で表示されるシラン単量体と架橋剤とを用いて重合される。
【0017】
【化1】
化学式1において、Xは水素原子(H)またはメチル基(-CH
3)を示し、R
1はビニル基(vinyl)またはアリル基(allyl)を示す。
【0018】
【化2】
化学式2において、Yはメトキシ基(methoxy)、2-メトキシエトキシ基(2-methoxy ethoxy)またはアセトキシ基(acetoxy)を示し、R
2はビニル基を示す。
【0019】
本発明の実施例による銅ベースの伝導性ペーストの製造方法は、(a)下記化学式1で表示されるイミダゾール単量体と下記化学式2で表示されるシラン単量体と架橋剤とを用いて重合され、部分架橋構造を有するイミダゾール-シラン共重合体を製造する段階と、(b)前記イミダゾール-シラン共重合体が塩酸水溶液とリン酸水溶液で表面処理された銅粉末に導入された共重合体-銅複合体を製造する段階と、(c)前記共重合体-銅複合体を溶媒、バインダー、及び添加剤と混合して伝導性ペーストを製造する段階とを含む。
【0020】
【化3】
化学式1において、Xは水素原子(H)またはメチル基(-CH
3)を示し、R
1はビニル基(vinyl)またはアリル基(allyl)を示す。
【0021】
【化4】
化学式2において、Yはメトキシ基(methoxy)、2-メトキシエトキシ基(2-methoxy ethoxy)またはアセトキシ基(acetoxy)を示し、R
2はビニル基を示す。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施例による銅ベースの伝導性ペーストは、優れた物性を持つことができる。例えば、上記銅ベースの伝導性は、優れた耐腐食性と耐熱性を持つことができる。
【0023】
本発明による銅ベースの伝導性ペーストの製造方法は、これまで油性及び水性バインダーベースの銅ペーストのうちに報告されたことがない、まったく新しい方法であって、架橋剤が導入されたイミダゾール-シラン共重合体を用いて銅粉末の表面に耐腐食層を形成して共重合体-銅複合体を製造し、上記共重合体-銅複合体を溶媒に溶かしたバインダー樹脂および添加剤を混合して耐腐食性と耐熱性を持つ銅ベースの伝導性ペーストを製造することができる。
【0024】
また、本発明で製造された銅ベースの伝導性ペーストは、加熱処理と硬化工程が全く要求されない銅ペーストであり、相対的に価格競争力に優れた銅粉末を活用し、耐腐食性と耐熱性を持つ銅ペーストの大量生産が可能であるという長所を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施例による銅ペーストの製造方法を例示したフローチャートである。
【
図2】本発明の一実施形態による塩酸水溶液とリン酸水溶液で表面処理された銅粉末に部分架橋構造のイミダゾール-シラン共重合体を入れて共重合体-銅複合体を形成してバインダーを含有した溶媒に混合して構造した銅ベースの伝導性ペーストの断面構造を概略的に例示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。本発明の目的、特徴、利点は以下の実施例から容易に理解できるであろう。本発明は、ここで説明される実施例に限定されず、他の形態に具体化されることもできる。ここで紹介される実施例は、開示された内容が徹底的で完全なものとなるように、かつ本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に本発明の思想が十分に伝達されるようにするために提供されるものである。よって、以下の実施例により本発明が限定されてはならない。
【0027】
図面において、要素の大きさ、または要素間の相対的な大きさは、本発明に対するさらに明確な理解のために多少誇張して示すことができる。また、図示した要素の形状が製造工程上の変異などによって多少変更できるであろう。したがって、本明細書で開示した実施例は、特別な記載がない限り、図示した形状に限定されてはならず、ある程度の変形を含むものと理解されるべきである。
【0028】
本明細書において、特に明示されない限り、時間、温度、含量、サイズなどの数値範囲は、本発明の製造方法を最適化することができる範囲を意味する。
【0029】
本発明の実施例による銅ベースの伝導性ペーストは、部分架橋構造を有するイミダゾール-シラン共重合体が塩酸水溶液とリン酸水溶液で表面処理された銅粉末に導入された共重合体-銅複合体と、溶媒と、バインダーと、添加剤とを含む。前記イミダゾール-シラン共重合体は、下記化学式1で表示されるイミダゾール単量体と下記化学式2で表示されるシラン単量体と架橋剤とを用いて重合される。
【0030】
【化5】
化学式1において、Xは水素原子(H)またはメチル基(-CH
3)を示し、R
1はビニル基(vinyl)またはアリル基(allyl)を示す。
【0031】
【0032】
化学式2において、Yはメトキシ基(methoxy)、2-メトキシエトキシ基(2-methoxy ethoxy)またはアセトキシ基(acetoxy)を示し、R2はビニル基を示す。
【0033】
前記シラン単量体は、前記イミダゾール単量体100重量部に対して1~30重量部である。
【0034】
前記架橋剤としてジビニルベンゼンが使用される。
【0035】
前記架橋剤は、前記イミダゾール単量体と前記シラン単量体との合計200重量部に対して1~20重量部である。
【0036】
前記銅粉末は、平均粒子径が1~10マイクロメートルである球形、フレーク、針状、繊維、デンドライト形態の中一つである。
【0037】
前記塩酸水溶液及び前記リン酸水溶液は、前記銅粉末の表面処理時、同時に導入される。
【0038】
前記塩酸水溶液の濃度は、0.5~2モル濃度である。前記塩酸水溶液の体積は、前記銅粉末10グラムに対して3~10ミリリットルである。
【0039】
前記リン酸水溶液の濃度は、1~2.5モル濃度である。前記リン酸水溶液の体積は、前記銅粉末10グラムに対して1~5ミリリットルである。
【0040】
前記イミダゾール-シラン共重合体は、前記銅粉末100重量部に対して2~10重量部である。
【0041】
前記バインダーは、水性バインダーまたは油性バインダーである。前記水性バインダーは、ポリスチレンスルホナート(polystyrene sulfonate)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol)、ヒドロキシメチルセルロース(hydroxylmethyl cellulose)、ヒドロキシプロピルセルロース(hydroxylpropyl cellulose)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxylpropylmethyl cellulose)、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose)、およびカルボキシプロピルセルロース(carboxypropyl cellulose)のうち少なくとも一つを含む。前記油性バインダーは、エチルセルロース(ethylcellulose)、エチレングリコールブチルエーテル(ethylene glycol butyl ether)、ヒドロキシエチルセルロース(hydroxyethyl cellulose)、エチルヒドロキシエチルセルロース(ethyl hydroxyethyl cellulose)、メチルセルロース(methylcellulose)、およびニトロセルロース(nitrocellulose)のうち少なくとも一つを含む。前記水性バインダーまたは前記油性バインダーは、前記共重合体-銅複合体100重量部に対して3~30重量部である。
【0042】
前記溶媒は、水性溶媒または油性溶媒である。前記水性溶媒は、脱イオン蒸留水である。前記油性溶媒は、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(diethylene glycol monobutyl ether)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(diethylene glycol dibutyl ether)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(diethylene glycol monobutyl ether acetate)、アルファ-タピノル(α-terpinol)、ベータ -タピノル(β-terpinol)、ブチルカルビトールアセテート(butyl carbitol acetate)、およびカルビトールアセテート(carbitol acetate)のうち少なくとも一つを含む。前記水性溶媒または前記油性溶媒は、前記共重合体-銅複合体100重量部に対して15~60重量部である。
【0043】
前記添加剤は、鎖延長剤、フィルム衝撃緩和剤、乾燥遅延剤、分散剤、および接着増進剤のうち少なくとも一つを含む。
【0044】
前記鎖延長剤は、ジビニルスルホン、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノンビス(2-ヒドロキシエーテル)エーテル、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、およびジエチルトルエンジアミンのうち少なくとも一つを含む。
【0045】
前記フィルム衝撃緩和剤は、ポリビニルピロリドンである。
【0046】
前記乾燥遅延剤は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、およびジプロピレングリコールのうち少なくとも一つを含む。
【0047】
前記分散剤は、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両面性界面活性剤、および非イオン型界面活性剤のうち少なくとも一つを含む。
【0048】
前記接着増進剤は、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、およびビニルトリアセトキシシランのうち少なくとも一つを含む。
【0049】
前記鎖延長剤、前記フィルム衝撃緩和剤、前記乾燥遅延剤、前記分散剤、前記接着増進剤は、それぞれ、前記バインダーを含有する前記溶媒200重量部に対して0.01~10重量部である。
【0050】
本発明の実施例による銅ベースの伝導性ペーストの製造方法は、(a)下記化学式1で表示されるイミダゾール単量体と下記化学式2で表示されるシラン単量体と架橋剤とを用いて重合され、部分架橋構造を有するイミダゾール-シラン共重合体を製造する段階と、(b)前記イミダゾール-シラン共重合体が塩酸水溶液とリン酸水溶液で表面処理された銅粉末に導入された共重合体-銅複合体を製造する段階と、(c)前記共重合体-銅複合体を溶媒、バインダー、及び添加剤と混合して伝導性ペーストを製造する段階とを含む。
【0051】
【化7】
化学式1において、Xは水素原子(H)またはメチル基(-CH
3)を示し、R
1はビニル基(vinyl)またはアリル基(allyl)を示す。
【0052】
【化8】
化学式2において、Yはメトキシ基(methoxy)、2-メトキシエトキシ基(2-methoxy ethoxy)またはアセトキシ基(acetoxy)を示し、R
2はビニル基を示す。
【0053】
前記シラン単量体は、前記イミダゾール単量体100重量部に対して1~30重量部である。
【0054】
前記架橋剤としてジビニルベンゼンが使用される。
【0055】
前記架橋剤は、前記イミダゾール単量体と前記シラン単量体との合計200重量部に対して1~20重量部である。
【0056】
前記銅粉末は、平均粒子径が1~10マイクロメートルである球形、フレーク、針状、繊維、デンドライト形態の中一つである。
【0057】
前記塩酸水溶液及び前記リン酸水溶液は、前記銅粉末の表面処理時、同時に導入される。
【0058】
前記塩酸水溶液の濃度は、0.5~2モル濃度である。前記塩酸水溶液の体積は、前記銅粉末10グラムに対して3~10ミリリットルである。
【0059】
前記リン酸水溶液の濃度は、1~2.5モル濃度である。前記リン酸水溶液の体積は、前記銅粉末10グラムに対して1~5ミリリットルである。
【0060】
前記イミダゾール-シラン共重合体は、前記銅粉末100重量部に対して2~10重量部である。
【0061】
前記バインダーは、水性バインダーまたは油性バインダーである。前記水性バインダーは、ポリスチレンスルホナート(polystyrene sulfonate)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol)、ヒドロキシメチルセルロース(hydroxylmethyl cellulose)、ヒドロキシプロピルセルロース(hydroxylpropyl cellulose)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxylpropylmethyl cellulose)、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose)、およびカルボキシプロピルセルロース(carboxypropyl cellulose)のうち少なくとも一つを含む。前記油性バインダーは、エチルセルロース(ethylcellulose)、エチレングリコールブチルエーテル(ethylene glycol butyl ether)、ヒドロキシエチルセルロース(hydroxyethyl cellulose)、エチルヒドロキシエチルセルロース(ethyl hydroxyethyl cellulose)、メチルセルロース(methylcellulose)、およびニトロセルロース(nitrocellulose)のうち少なくとも一つを含む。前記水性バインダーまたは前記油性バインダーは、前記共重合体-銅複合体100重量部に対して3~30重量部である。
【0062】
前記溶媒は、水性溶媒または油性溶媒である。前記水性溶媒は、脱イオン蒸留水である。前記油性溶媒は、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(diethylene glycol monobutyl ether)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(diethylene glycol dibutyl ether)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(diethylene glycol monobutyl ether acetate)、アルファ-タピノル(α-terpinol )、ベータ-タピノル(β-terpinol)、ブチルカルビトールアセテート(butyl carbitol acetate)、およびカルビトールアセテート(carbitol acetate)のうち少なくとも一つを含む。前記水性溶媒または前記油性溶媒は、前記共重合体-銅複合体100重量部に対して15~60重量部である。
【0063】
前記添加剤は、鎖延長剤、フィルム衝撃緩和剤、乾燥遅延剤、分散剤、および接着増進剤のうち少なくとも一つを含む。
【0064】
前記鎖延長剤は、ジビニルスルホン、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノンビス(2-ヒドロキシエーテル)エーテル、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、およびジエチルトルエンジアミンのうち少なくとも一つを含む。
【0065】
前記フィルム衝撃緩和剤は、ポリビニルピロリドンである。
【0066】
前記乾燥遅延剤は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、およびジプロピレングリコールのうち少なくとも一つを含む。
【0067】
前記分散剤は、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両面性界面活性剤、および非イオン型界面活性剤のうち少なくとも一つを含む。
【0068】
前記接着増進剤は、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、およびビニルトリアセトキシシランのうち少なくとも一つを含む。
【0069】
前記鎖延長剤、前記フィルム衝撃緩和剤、前記乾燥遅延剤、前記分散剤、前記接着増進剤は、それぞれ、前記バインダーを含有する前記溶媒200重量部に対して0.01~10重量部である。
【0070】
本発明では、一種類のイミダゾール-シラン共重合体ではなく様々なイミダゾール-シラン共重合体を使用して、優れた耐腐食性の銅ベースの伝導性ペーストを達成しようとした。段階(a)で部分架橋構造のイミダゾール-シラン共重合体を製造する際に使用される単量体は、下記化学式1で表示されるイミダゾール単量体と下記化学式2で表されるシラン単量体である。
【0071】
【化9】
ここで、Xは水素原子(H)またはメチル基(-CH
3)を示し、R
1はビニル基(vinyl)またはアリル基(allyl)を示す。
【0072】
【0073】
ここで、Yはメトキシ基(methoxy)、2-メトキシエトキシ基(2-methoxy ethoxy)またはアセトキシ基(acetoxy)を示し、R2はビニル基を示す。
【0074】
化学式1は、重合可能なイミダゾール化合物を示し、ここで、Xは水素原子またはメチル基を示している。R1はビニル基(vinyl)またはアリル基(allyl)を示し、重合可能な官能基である。
【0075】
化学式2は、重合可能なシラン化合物を示し、シランカップリング剤が好ましいが、これに限定されない。ここで、Yはメトキシ基(methoxy)、2-メトキシエトキシ基(2-methoxy ethoxy)またはアセトキシ基(acetoxy)を示し、加水分解(hydrolysis)の過程でシランカップリング剤にヒドロキシ(-OH)を生成し、Yはアルコールの形態の副産物(byproduct)を形成することになる。シランに形成されたヒドロキシ(-OH)は、縮合反応によって共重合体の接着力を増進させるのに寄与する。R2はビニル(vinyl)を示し、このビニル基は化学式1のR1と重合が可能であるため、共重合物を形成する役割をすることになる。部分架橋構造のイミダゾール-シラン共重合体を製造する際に使用される単量体の場合、ビニルイミダゾールとビニルトリメトキシシランを使用することが好ましいが、これに限定されない。この後の段階で明示される銅ベースの伝導性ペースト及びこの製造方法は、前述の様々なイミダゾール-シラン共重合体にすべて適用可能である。
【0076】
高分子は分子量、立体化学的構造、架橋度、反復単位の配列方式などの変数に基づいて物性が大きく変わり、その用途の範囲も変更される。そこで、本発明者は、架橋剤としてジビニルベンゼンを使用して、一般的な共重合体の重合ではなく、部分的にのみ架橋されたイミダゾール-ビニル共重合体を重合した。また、銅ベースの伝導性ペーストに最適な部分架橋をなすイミダゾール-シラン共重合体を製造するために数多くの研究を重ねた結果、最適な反応条件を見つけて開示した。
【0077】
段階(a)で部分架橋構造のビニルイミダゾール-シラン共重合体を製造する際に、ビニルイミダゾールがビニルトリメトキシシラン1重量部に対して10~30重量部でありことが好ましい。部分架橋構造のビニルイミダゾール-シラン共重合体でビニルイミダゾールの場合は共重合体に耐熱性を付与し、シランの場合は共重合体を銅表面にコーティングすることができる接着力を提供する。ビニルイミダゾールがビニルトリメトキシシラン1重量部に対して10重量部よりも低い場合には、部分架橋構造のビニルイミダゾール-シラン共重合体のうちでイミダゾールの割合が低くて耐熱性が低くなる現象を見せる。ビニルイミダゾールがビニルトリメトキシシラン1重量部に対して30重量部を超える場合には、部分架橋構造のビニルイミダゾール-シラン共重合体のうちでシランの割合が低くてビニルイミダゾール-シラン共重合体が銅粉末の表面にコーティング処理が難しくなる。
【0078】
段階(a)で部分架橋構造のビニルイミダゾール-シラン共重合体を製造する際に使用される架橋剤の場合、ジビニルベンゼンが好ましいが、その種類は限定されない。共重合体の製造時に架橋剤を導入して部分架橋構造を形成する場合、既存に水分に弱いというビニルイミダゾール-シラン共重合体の限界を補完することができる。部分架橋構造のビニルイミダゾール-シラン共重合体を製造する時に、架橋剤は単量体200重量部に対して1~20重量部であることが好ましい。架橋剤が単量体200重量部に対して1重量部未満である場合には、架橋構造がよく形成されず、水分にひ弱いという欠点があり、単量体200重量部に対して架橋剤が20重量部を超えるときは、架橋構造が増加して共重合体が銅表面のコーティング処理に使用し難いという欠点がある。
【0079】
段階(b)で使用される銅粉末は、直径が5ナノメートル~50マイクロメートルであるフレークの形態であることが好ましいが、これに限定されない。
【0080】
段階(b)では、塩酸とリン酸水溶液で同時に銅粉末を酸処理する単一工程法を提示している。これは、さまざまなイミダゾール-シラン共重合体を銅の表面に効果的に結合させるために、銅粒子の表面を酸処理して新しい結合官能基を生成しようとしたことである。従来の一般的な表面処理方法は、(b)の添加された塩酸水溶液とリン酸水溶液が銅粉末の表面処理時に、一般的に不活性ガスの注入下で銅粉末に塩酸水溶液をまず導入して銅粉末の表面をエッチングした後、追加的にリン酸水溶液を導入して銅リン酸塩を形成することになる。このように順次銅の表面を処理する方法は、銅粉末の表面を段階的に処理することで、表面処理時間が長くて表面処理による廃溶液も増加することになる。また、不活性ガス下で、塩酸水溶液で銅の表面処理が行われるため、不活性環境を造成するための実験装置と周辺環境の制御が必要である。本発明では、このような欠点を解決するために、塩酸水溶液とリン酸水溶液を、銅粉末の表面処理時、同時に導入して銅粉末の表面エッチングおよび銅リン酸塩の形成を同時に行って銅粉末の表面処理時間を大幅に短縮し、廃処理溶液の量を減らす効果を得た。また、銅粉末の表面処理が常圧、室温、大気中で行われるため、複雑な実験装置や反応器の周辺環境の細かな制御が不必要であるという長所がある。銅粉末の表面処理のために添加された塩酸水溶液の濃度は、0.5~2モル濃度であることが好ましい。また、塩酸水溶液の体積は、銅粉末10グラムに対して3~10ミリリットルであることが好ましい。銅粉末10グラムについて3ミリリットルより少ない場合には、銅粉末の表面が効果的にエッチングされず、銅の表面に酸化層が残って銅粉末の伝導性を低下することになり、10ミリリットルを超える場合には、銅粉末の表面を過度にエッチングして銅粉末の重量損失を引き起こす問題がある。
【0081】
銅粉末の表面処理のために添加されたリン酸水溶液の濃度は、1~2.5モル濃度であることが好ましい。また、添加されたリン酸水溶液の体積は、銅粉末10グラムに対して1~5ミリリットルであることが好ましい。銅粉末10グラムに対して1ミリリットルより少ない場合、銅の表面にリン酸塩が効果的に形成されず耐酸化性能が現れないので、銅の表面が容易に酸化されて銅の伝導度が低下する。銅粉末10グラムに対してリン酸水溶液が5ミリリットルを超える場合、銅粉末の表面が過度なリン酸塩を形成して銅粉末の伝導度を落とすという欠点がある。
【0082】
段階(b)で共重合体-銅複合体を製造する際に使用される部分架橋構造のビニルイミダゾール-シラン共重合体の場合、銅粉末100重量部に対して2~10重量部であることが好ましい。部分架橋構造のビニルイミダゾール-シラン共重合体が銅粉末100重量部に対して2重量部未満である場合には、銅粉末に耐腐食性と耐熱性を付与するのに量が不足であり、10重量部を超える場合には、不導体の割合が増えて銅ベースの伝導性ペーストの伝導性が低下される結果を招く。
【0083】
段階(c)で伝導性ペーストを製造する際に使用される溶媒の種類は大きく限定されない。伝導性ペーストを製造する時に、溶媒が共重合体-銅複合体100重量部に対して15~60重量部であることが好ましい。溶媒が共重合体-銅複合体100重量部に対して15重量部未満である場合には、伝導性ペーストの粘度がすごく高くてプリンティングが容易でないので作業性が不良であり、60重量部を超える場合には、伝導性ペーストの粘度がすごく低くてパターンのにじみ現象が起きて好ましくない。
【0084】
段階(c)で伝導性ペーストを製造する際に使用されるバインダーの種類は大きく限定されない。伝導性ペーストを製造する時に、バインダーが共重合体-銅複合体100重量部に対して3~30重量部であることが好ましい。バインダーが共重合体-銅複合体100重量部に対して3重量部未満である場合には、銅粉末の粒子間の凝集力がひどくてペースト化する場合に分散がうまくできず、共重合体-銅複合体のプリンティングに問題を引き起こすことになる。バインダーが共重合体-銅複合体100重量部に対して30重量部を超える場合には、バインダーが銅粉末粒子間の接触を妨げて伝導性ネットワークの形成を阻害し、伝導性ペーストの伝導度が下がることになる。
【0085】
本願発明は、溶媒とバインダー、および添加剤を含むことを特徴とする。様々な溶媒、バインダー、添加剤の組合を通じて、銅ベースの高性能伝導性ペーストを水性ペーストだけでなく油性ペーストでも具現する構成を開示する。
【0086】
以下、本発明の銅ベースの伝導性ペーストの中、水性と油性ビヒクルの構成要素と添加剤について別に詳細に説明する。
【0087】
A.水性ビヒクル組成物
本発明の銅ベースの伝導性ペーストに含まれる水性ビヒクルは水性溶媒である水に水性バインダーが溶解された溶液である。
【0088】
1)水性バインダー
本発明による水性バインダーは、水溶性高分子であるポリスチレンスルホナート(polystyrene sulfonate)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol)と親水性基を有する水溶性セルロース(cellulose)が使用されることができる。親水性基を有する水溶性セルロースは、ヒドロキシメチルセルロース(hydroxylmethyl cellulose)、ヒドロキシプロピルセルロース(hydroxylpropyl cellulose)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxylpropylmethyl cellulose)、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose)、カルボキシプロピルセルロース(carboxypropyl cellulose)がある。水性バインダーとして、ポリスチレンスルホナート(polystyrene sulfonate)を使用することが好ましい。
【0089】
水性バインダーの好ましい含量は、共重合体-銅複合体100重量部に対して3~30重量部である。水性バインダーの含量が3重量部未満である場合には、銅粉末の粒子間の凝集力が酷いのでペースト化する時に分散がうまくできず、共重合体-銅複合体の印刷性に問題が有り得る。水性バインダーの含量が30重量部を超える場合には、銅粉末の含量が水性バインダー含量に比べて相対的に小さくなって、水性バインダーが銅粉末の粒子間の接触を妨げて伝導性ネットワークの形成を阻害し、伝導性ペーストの伝導度が低くなるという欠点がある。
【0090】
2)水性溶媒
本発明による水性溶媒は、水を使用し、脱イオン蒸留水(Deionized water)を使用することが好ましい。水性溶媒の好ましい含量は、共重合体-銅複合体100重量部に対して15~60重量部である。水性溶媒の含量が15重量部未満であれば、銅ペーストの流動性が不良になって3-ロールミル分散工程で銅ペーストの分散に問題が有り得る。水性溶媒の含量が60重量部を超えると、銅粉末の含量が相対的に小さくなって、銅粉末間の緻密な接触を低下させて伝導度が低くなり、媒体(substrate)との接着性も低くなるという欠点がある。
【0091】
B.油性ビヒクル組成物
本発明の銅ベースの伝導性ペーストに含まれる油性ビヒクルは油性溶媒に油性バインダーが溶解された溶液である
【0092】
1)油性バインダー
本発明による油性バインダーは、広い温度領域で柔軟性を維持する材料として、セルロース(cellulose)系樹脂、アクリレート(acrylate)系樹脂、ポリビニルブチラール(polyvinyl butyral)、ポリエステル(polyester)などを使用することができる。特に、セルロース(cellulose)系樹脂が使用されることが好ましい。セルロース(cellulose)系樹脂として、メチルセルロース(methylcellulose)、エチルセルロース(ethylcellulose)、エチルヒドロキシセルロース(ethylhydroxy cellulose)、ヒドロキシエチルセルロース(hydroxyethyl cellulose)、エチルセルロースエーテル(ethyl cellulose ether)、エチレングリコールブチルエーテル(ethylene glycol butyl ether)、ニトロセルロース(nitrocellulose)などが使用されうる。
【0093】
油性バインダーの好ましい含量は、共重合体-銅複合体100重量部に対して、3~30重量部である。油性バインダーの含量が3重量部未満である場合、銅ペーストのバインダー含量が不足してバインダーが銅粉末を包まず、銅ペーストのフィルム形成が不良で、銅粉末が空気中に露出して容易に酸化される問題が有り得る。油性バインダーの含量が30重量部を超えると、銅粉末の含量がバインダーの含量に比べて相対的に小さくなって、銅ペーストの伝導度が低くなるという欠点がある。
【0094】
2)油性溶媒
本発明で使用される油性溶媒は、バインダーと結合して印刷方法に附合する粘度を形成する。本発明では、有機溶媒としてグリコールエーテル(glycol ether)類、タピノル(terpinol)、カルビトールアセテート(carbitol acetate)が使用されることが好ましい。例えば、グリコールエーテル(glycol ether)類として、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(diethylene glycol monobutyl ether)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(diethylene glycol dibutyl ether)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(diethylene glycol monobutyl ether acetate)などが使用され、タピノル(terpinol)類として、アルファ-タピノル(α-terpinol)、ベータ-タピノル(β-terpinol)が使用され、カルビトールアセテート(carbitol acetate)類として、ブチルカルビトールアセテート(butyl carbitol acetate)、カルビトールアセテート(carbitol acetate)が使用されうる。
【0095】
本発明の油性溶媒は使用される印刷方式に応じて使用量を調節することができるが、おおむね油性溶媒の好ましい含量は、共重合体-銅複合体100重量部に対して15~60重量部である。油性溶媒の含量が15重量部未満である場合、銅ペーストの流動性が不良になって3-ロールミル分散工程で銅ペーストの分散に問題が有り得る。油性溶媒の含量が60重量部を超えると、銅粉末の含量が相対的に小さくなって、銅粉末間の緻密な接触を低下して伝導度が低くなり、媒体との接着性も低くなるという欠点がある。
【0096】
C.添加剤
本発明の銅ベースの伝導性ペーストに含まれる添加剤は、該当業界で知られている鎖延長剤、フィルム衝撃緩和剤、乾燥遅延剤、分散剤、接着増進剤である。前記添加剤は、本発明のペーストにおける油性と水性バインダーの機能を増進させるように1種またはそれ以上をさらに導入することができる。銅ベースの伝導性ペーストに含まれる鎖延長剤、フィルム衝撃緩和剤、乾燥遅延剤、分散剤、接着増進剤のうちのいずれか一つの濃度がバインダーを含有した溶媒200重量部に対して0.01~10重量部であることが好ましい。
【0097】
1)鎖延長剤
鎖延長剤は、高分子材料を後重合方法のような追加処理により分子量を増加させるために使用される化合物である。鎖延長は、高分子材料の末端に存在する反応基と鎖延長剤が結合して最終的に高分子の分子量を増加させる。代表的な鎖延長剤として、ジビニルスルホン(divinyl sulfone)、1,3-プロパンジオール(1,3-propanediol)、1,4-ブタンジオール(1,4-butanediol)、ジグリシジルエーテル(diglycidyl ether)、1,6-ヘキサンジオール(1,6-hexanediol)、シクロヘキサンジメタノール(cyclohexanedimethanol)、ハイドロキノンビス(2-ヒドロキシエーテル)エーテル((hydroquinone bis(2-hydroxyether)ether))、ネオペンチルグリコール(neopentyl glycol)、1,4-シクロヘキサンジメタン(1,4-cyclohexanedimethane)、エタノールアミン(ethanolamine)、ジエタノールアミン(diethanolamine)、トリエタノールアミン(triethanolamine)、ジメチルチオトルエンジアミン(dimethylthiotoluenediamine)、ジエチルトルエンジアミン(diethyltoluenediamine)などがある。
【0098】
高分子末端基に水酸化基(-OH)が存在する場合には、鎖延長剤であるジビニルスルホン(divinyl sulfone)は酸の条件で水酸化基と反応してエーテル結合を形成することになり、これにより、高分子鎖が長く延長されるものである。このように鎖が延長された高分子材料は、従来の高分子に比べて耐水性が増加し、耐熱性も増大する効果を得ることができる。鎖延長剤として、ジビニルスルホン(divinyl sulfone)を使用することが好ましい。
【0099】
鎖延長剤はバインダーを含有した溶媒200重量部に対して1~10重量部であることが好ましい。鎖延長剤がバインダーを含有した溶媒200重量部に対して10重量部を超える場合には、バインダーの分子量の増加のために粘度が増加して作業性が低下し、バインダーを含有した溶媒200重量部に対して含量が1未満であれば、バインダーの分子量が低くて溶媒に容易に溶けるという短所がある。鎖延長剤による水性バインダーの機能増進効果と適切な鎖延長剤の含量は、後述の実施例と表2で詳細に説明する。
【0100】
2)フィルム衝撃緩和剤
フィルム衝撃緩和剤は、バインダーの脆性(brittleness)を緩和させてパターンフィルムの形成時にパターンが砕けないように柔軟性を付与する。また、フィルム衝撃緩和剤は、バインダーと媒体(substrate)との接着性を図って耐久性を向上させる。バインダーのフィルム衝撃緩和剤として、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone)を使用することが好ましい。フィルム衝撃緩和剤は、バインダーを含有した溶媒500重量部に対して1~25重量部であることが好ましい。フィルム衝撃緩和剤の量がバインダーを含有した溶媒500重量部に対して25重量部を超える場合には、バインダーのフィルム強度が低下してパターン形状を適切に維持するのが難しく、バインダーを含有した溶媒500重量部に対して1重量部未満である場合には、バインダーのフィルムの脆性(brittleness)のために製造されたパターンのフィルムが外力によって容易に壊れるという欠点がある。
【0101】
3)乾燥遅延剤
銅ペーストをスクリーンプリンターやロールツーロール方式のフィルム形成時に、大気中で十分な作業時間を持つために、溶媒に一定量の乾燥遅延剤を導入することで銅ペーストの溶媒蒸発を遅延させることができる。バインダーの乾燥遅延剤として、エチレングリコール(ethylene glycol)、ジエチレングリコール(diethylene glycol)、プロピレングリコール(propylene glycol)、ジプロピレングリコール(dipropylene glycol)を使用し、エチレングリコールを使用することが好ましい。溶媒にエチレングリコールの導入含量を増加させると、銅ペーストの乾燥速度が遅くなってプリンティング作業にかかる作業時間を付与することができる。
【0102】
乾燥遅延剤はバインダーを含有した溶媒200重量部に対して1~10重量部であることが好ましい。しかし、含量が10重量部を超える場合には、蒸発速度が遅くて作業性が低下し、含量が1重量部未満である場合には、銅ペーストの蒸発速度が速くて適用分野の十分な作業時間を具現することができないという欠点がある。
【0103】
4)分散剤
分散剤は、金属粒子をバインダーのうちで互いに固まらず均一に存在するようにする機能を付与する。したがって、分散剤は金属粒子の混合時にバインダーとの分散を改善する役割をする。金属ペーストの場合、金属粒子間の間隔を少なくとも20ナノメートル以上に維持しなければならず、粒子の間隔が迫ると、凝集現象が発生してペーストの安定性と流動性、製造されたパターンフィルムの物性と外観に影響を与えることになる。金属粒子が溶媒に溶かしたバインダー樹脂に混合される場合、使用される分散剤は、低分子分散剤である陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両面性界面活性剤、非イオン型界面活性剤が使用されている。銅ペーストに使用される分散剤として、主に陰イオン界面活性剤が好ましく、陰イオン界面活性剤の親水性基はカルボン酸(-COOH)、硫酸エステル(-OSO3H)、スルホン酸の3種類であり、これらの中で耐加水分解性、耐塩析性、耐硬水性に優れたものはスルホン酸界面活性剤である。分散剤として4-ドデシルベンゼンスルホン酸(4-dodecylbenzenesulfonic acid)を使用することが好ましい。
【0104】
分散剤は、バインダーを含有した溶媒5000重量部に対して1~100重量部であることが好ましい。しかし、含量がバインダーを含有した溶媒5000重量部に対して100重量部を超えると、バインダーのフィルム強度が低下し、含量がバインダー5000重量部に対して1重量部未満であれば、銅ペーストのうちにおいて銅粉末と他の添加剤の分散性を低下させるという欠点がある。
【0105】
5)接着増進剤
接着増進剤は、銅ペーストと媒体(substrate)との間の接着を向上させる機能を有する化合物であり、代表的な接着促進剤としてシランカップリング剤(silane coupling agent)が活用されている。
【0106】
シランカップリング剤は、分子中に2個以上の異なる反応基を持っており、一つは無機質材料(ガラス、金属、砂など)と化学結合する反応基(メトキシ基、エトキシ基など)であり、他の一つは有機質材料(各種合成樹脂)と化学結合する反応基(ビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基など)を持っている。通常、シランカップリング剤は有機質材料と無機質材料を化学的に連結する仲介者としての役割を持っている。接着促進剤として、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(glycidoxypropyltrimethoxysilane)を使用することが好ましい。接着増進剤は、バインダーを含有した溶媒5000重量部に対して1~100重量部であることが好ましい。しかし、バインダーを含有した溶媒5000重量部に対して含量が100重量部を超える場合には、多量のシラン成分のために媒体との密着性をむしろ低下させ、バインダーを含有した溶媒5000重量部に対して含量が1重量部未満である場合には、シラン成分の不足のためにバインダーの接着性能を向上させることができないという欠点がある。
【0107】
以下では、添付された図面を参照して、本発明の構成及び作用効果をさらに詳細に説明する。
【0108】
図1は、本発明の一実施例による銅ペーストの製造方法を例示したフローチャートである。
【0109】
イミダゾール単量体とシラン単量体に架橋剤を投入して部分架橋構造のイミダゾール-シラン共重合体を重合(S100)する。銅粉末は、塩酸水溶液とリン酸水溶液に入れて攪拌(S110)して、表面にリン酸塩が形成された銅粉末(S120)を製造する。すでに製造された部分架橋されたイミダゾール-シラン共重合体を表面処理された銅粉末に投入(S130)して共重合体-銅複合体(S140)を製造する。共重合体-銅複合体に溶媒に溶かしたバインダーと添加剤を、ミキシング機を通じて混合(S150)して、銅ベースの伝導性ペースト(S160)を製造する。
【0110】
図2は、本発明の一実施例による塩酸水溶液とリン酸水溶液で表面処理された銅粉末に部分架橋構造のイミダゾール-シラン共重合体を入れて共重合体-銅複合体を形成し、バインダーを含有した溶媒に混合して製造した銅ベースの伝導性ペーストの断面構造を概略的に例示した図である。
【0111】
図2を参照すると、共重合体-銅複合体は、銅粉末(110)と銅-リン酸塩膜(120)と部分架橋された共重合体層(130)とを含む。
【0112】
銅粉末(110)は、平均粒子径が1~10マイクロメートルである球形、フレーク、針状、繊維、デンドライト形態の中一つである。銅-リン酸塩膜(120)は銅粉末(110)の表面上に配置される。部分架橋された共重合体層(130)は、銅-リン酸塩膜(120)上に配置され、部分架橋構造を有するイミダゾール-シラン共重合体を含む。部分架橋構造を有するイミダゾール-シラン共重合体は、前に詳細に説明したのでここではその説明を省略する。
【0113】
銅ベースの伝導性ペースト(100)は、前記共重合体-銅複合体及びバインダーを含有した溶媒(140)を含む。銅ベースの伝導性ペースト(100)は、前記共重合体-銅複合体及びバインダーを含有した溶媒(140)を混合して製造することができる。
【0114】
本発明の銅ペーストは、イミダゾール-シラン共重合体が銅粉末に導入された共重合体-銅複合体に、前記構成成分と添加剤を同時に混合した後、ミキシング機を通じて銅ペーストに製造することができる。前記製造された銅ペーストは、スクリーンプリンティング、ロールツーロール工程、オフセット印刷などのプリンティング方法を通じてさまざまな伝導性パターンに製造することができ、このような銅ペーストパターンは、電気電子素子とウェアラブル素子に活用することができる。前記伝導性パターンは、耐水性、熱安定性、耐衝撃性、プリンティング作業性、可使時間(pot life)などがすべて優れ、高温の硬化工程が追加的に要求されないので、電気電子素子の様々な分野に適用可能である。例えば、電極素材、センサートランスデューサ、電磁気遮蔽素材、タッチパネル電極素材、スマートフォン電極素材、太陽電池前面電極、PDPパネル電極、RFIDタグアンテナ(Tag Antenna)、静電容量式タッチパネル回路、PCBペーストスルーホール等に適用可能である。本発明の銅ペーストは、ウェアラブル素子の場合、フレキシブル電子素材、透明スクリーン素材、スマート眼鏡素材、スマート時計素材、無線センサー素材、手首着用バンド機器素材などに適用可能である。
【0115】
また、銅ベースの伝導性ペーストを、様々なプリンティング技術に適用するためには、追加の熱硬化と紫外線硬化工程が除去された新しい伝導性電極を製造する製造方法が強く要求される。
【0116】
現在一番多く使用されている銀(Ag)ペーストは、ほとんど熱硬化型ペーストを使用している。熱硬化型ペーストは、硬化過程と乾燥工程による熱エネルギー消費と有機溶剤を使用することによる作業環境改善の問題点を有している。したがって、従来に使用される熱硬化型銀ペーストの代わりにエコで経済的な紫外線硬化型ペーストが開発された。紫外線硬化型ペーストの場合、現在市販されている熱硬化型バインダーの代わりに紫外線硬化型オリゴマーを使用しており、流動特性を付与するために単官能モノマーを添加して伝導性銀ペーストを製造してペーストパターンを形成している。しかし、紫外線硬化型ペーストを使用するときは、付随的に紫外線硬化装置がさらに要求される欠点がある。このような欠点を一挙に解消するためにバインダーとして使用される材料を重合反応が完結された高分子を使用して単量体やオリゴマーを使用する際に要求される追加の重合工程を削除することにより、熱硬化工程や紫外線硬化が全く要らない銅ベースの伝導性ペーストを製造することができ、これを利用して伝導性電極を容易に製造することができた。このような新概念の銅ペーストが製品に開発されると、国内の伝導性ペーストの産業体に対する国際競争力の強化とコスト削減、生産性増加、及びエネルギー節約によるコストダウンなどのような多くの利点が期待される。
【0117】
また、従来の銅ベースの伝導性ペーストの場合、脆弱な塗膜物性、塗膜接着性のために、金属基板のような比柔軟材質にのみパターン化が行われている。本発明の銅ベースのペーストは、部分架橋構造のイミダゾール-シラン共重合体を使用し、水性と油性溶媒、バインダーと添加剤を含む特徴的な構成でなって、脆性のために容易に塗膜が壊れた既存のペーストを代替できる改良された物性を示すので、ウェアラブル素子にも適用することができる。特に、身体にアクセサリーや衣類の形態で纏うか又は人体と直接に接触するウェアラブル素子の特性上、汗や水によく耐える特性が要求される。本発明では、このような要求条件を満たして様々な電気電子素子とウェアラブル素子に適用することができる銅ベースの伝導性ペーストを具現しようとした。
【実施例1】
【0118】
以下では、本発明の実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明し、これにより、本発明の内容と有利な効果などがより具体的に理解されることができるだろう。ただし、これは本発明の技術思想をさらに明確にするために説明の目的として提供されるものであって、本発明の範囲がこれに限定されるものではない。
【0119】
実施例1~3と比較例1(架橋剤の含量による銅ペーストの性能評価)
本実施例と比較実施例において、伝導性粒子は、平均粒子径6マイクロメートルの銅フレーク形態を使用し、バインダー樹脂としてポリスチレンスルホネート樹脂を使用し、溶媒として脱イオン蒸留水を使用した。
【0120】
イミダゾール-シラン共重合体は、次のように製造した。ビニルイミダゾールとビニルトリメトキシシランを真空条件で蒸留する。蒸留されたビニルイミダゾール単量体とビニルトリメトキシシラン単量体を15:1の重量比で混合した後、架橋剤であるジビニルベンゼンを、単量体200重量部に対して1重量部加え、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を、単量体100重量部に対して1重量部加えて部分架橋構造のビニルイミダゾール-シラン共重合体を製造することができた。このとき、単量体と架橋剤および開始剤でなる混合溶液のうちで単量体と開始剤の濃度は、それぞれ1モル濃度と0.001モル濃度とする。そしてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を加える条件は、不活性気体条件の68℃とする。銅粉末10グラムは、1モル塩酸水溶液10ミリリットルと1.5モルリン酸水溶液4ミリリットルで処理して準備する。そして部分架橋構造のビニルイミダゾール-シラン共重合体を、銅粉末100重量部に対し2重量部加え、30分間の攪拌を経て共重合体-銅複合体を製造する。製造された共重合体-銅複合体2グラムに溶媒である蒸留水を0.75グラム、そしてバインダーとしてポリスチレンスルホナート(polystyrene sulfonate)を0.25グラム加えて混ぜることで銅ベースの水性伝導性ペーストを製造することができた。上記のように製造された銅ベースの水性伝導性ペーストを用いて、共重合体-銅複合体の形成可否及び銅ペーストの耐水性を測定し、その結果を下記の表1に示した。
【0121】
【0122】
実施例1の場合は、イミダゾール-シラン共重合体に架橋が導入された状態であるが、共重合体で銅表面を処理するための溶媒であるエタノールに共重合体が溶けることができる程度であり、共重合体-銅複合体の形成が優れた状態であり、銅ペーストの製造時に水に対する耐水性が増加して銅ペーストの水分安定性を向上させることができた。これに比べて、比較例1の場合、イミダゾール-シラン共重合体に架橋が全く導入されず、共重合体-銅複合体の形成が優れた状態であり、銅ペーストの製造時に水に対する耐水性が脆弱であるため、イミダゾール-シラン共重合体が水と接触時に溶ける現象を観察した。
【0123】
実施例2の場合には、イミダゾール-シラン共重合体に架橋が導入されたが、架橋剤の含量が実施例1に比べて少なくて共重合体で銅表面を処理するための溶媒であるエタノールに容易に溶け、共重合体-銅複合体の形成が優れた状態であるが、銅ペーストの製造時に水に対する耐水性が増加しないので、銅ペーストの水に対する耐水性が不良であることを分かることができた。
【0124】
実施例3の場合には、架橋剤の含量を実施例1よりも増やした。したがって、イミダゾール-シラン共重合体に架橋密度が増加して、イミダゾール-シラン共重合体が銅の表面を処理するためのエタノールに高い架橋密度のために溶けず銅表面にしっかりとコーティングされることができず、共重合体-銅複合体を形成することができない不良状態であった。したがって、銅ペーストの製造時に共重合体が銅の表面にコーティングされず、水に対する耐水性が不良であることを分かることができた。これにより、架橋剤の有無がペーストの耐水性に大きな影響を与えるという点を分かることができる。
【0125】
また、架橋剤であるジビニルベンゼンの量を0.112、0.028、0.56に調節した例において、架橋剤の量が不足であるか又は過量であっても、優れた品質の銅ベースのペーストを製造することに問題があるという点を分かることができ、適切な量の架橋剤が添加される場合にのみ最適の共重合体-銅複合体の形成とペーストの耐水性が現れることを確認することができる。
【0126】
実施例1~6および比較例1(添加剤の種類による銅ペーストの性能評価)
本実施例と比較例において、伝導性粒子は、平均粒子径6マイクロメートルの銅フレーク形態を使用し、バインダー樹脂としてポリスチレンスルホネート樹脂を使用し、溶媒として脱イオン蒸留水を使用した。
【0127】
イミダゾール-シラン共重合体は、次のように製造した。ビニルイミダゾールとビニルトリメトキシシランを真空条件で蒸留する。蒸留されたビニルイミダゾール単量体とビニルトリメトキシシラン単量体を15:1の重量比で混合した後、架橋剤であるジビニルベンゼンを単量体200重量部に対して1重量部加え、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を単量体100重量部に対して1重量部加えて部分架橋構造のビニルイミダゾール-シラン共重合体を製造することができた。このとき、単量体と架橋剤および開始剤でなる混合溶液のうちで単量体と開始剤の濃度は、それぞれ1モル濃度と0.001モル濃度とする。そしてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を加える条件は、不活性気体条件の68℃とする。銅粉末10グラムは、1モル塩酸水溶液10ミリリットルと1.5モルリン酸水溶液4ミリリットルで処理して準備する。そして部分架橋構造のビニルイミダゾール-シラン共重合体を、銅粉末100重量部に対して2重量部加え、30分間の攪拌を経て共重合体-銅複合体を製造する。製造された共重合体-銅複合体2グラムに溶媒である蒸留水を0.75グラム、そしてバインダーとしてポリスチレンスルホナート(polystyrene sulfonate)を0.25グラム加えて混ぜることで銅ベースの伝導性ペーストを製造することができた。
【0128】
また、添加剤として使用された鎖延長剤としてジビニルスルホンを使用し、フィルム衝撃緩和剤としてポリビニルピロリドンを使用し、乾燥遅延剤としてエチレングリコールを使用し、分散剤として4-ドデシルベンゼンスルホン酸を使用し、接着促進剤としてグリシドキシプロピルトリメトキシシランを使用した。
【0129】
まず、共重合体-銅複合体をポリスチレンスルホナート(polystyrene sulfonate)と蒸留水の混合溶液に添加してハンドミキシングで均一な混合液を製造した後、ここに一定量の添加剤であるフィルム衝撃緩和剤、乾燥遅延剤、分散剤、および接着増進剤を添加して再びハンドミキシングで攪拌して銅ペーストを製造した。鎖延長剤を添加する場合には、ジビニルスルホンをポリスチレンスルホナート(polystyrene sulfonate)を含有した蒸留水200重量部に対して6重量部を加えて混ぜることで製造し、ジビニルスルホンが添加された銅ペーストをカバーガラス上に塗布した後、常圧条件において70℃で60分間加熱して銅ベースの導電性ペーストを熱処理した。
【0130】
比較例1の場合、前記実施例において添加剤である鎖延長剤、フィルム衝撃緩和剤、乾燥遅延剤、分散剤、および接着増進剤の導入を省略したものであり、その製造方法は上記方法と同一の方法で製造した。
【0131】
上記のように製造された銅ペーストをカバーガラス上に塗布した後、耐水性、塗膜物性、乾燥地延性、分散性、及び塗膜の接着性を測定し、その結果を下記の表2に示した(各成分はグラム単位である)。
【0132】
【0133】
上記結果に示すように、実施例1の場合、耐水性、塗膜物性、乾燥遅延性、分散性、及び塗膜の接着性の面を総合的に考慮すると、最も優れた銅ペースト特性を示していることを分かることができる。
【0134】
実施例2の場合には、添加剤であるフィルム衝撃緩和剤、乾燥遅延剤、分散剤、および接着増進剤を添加した反面、鎖延長剤であるジビニルスルホンが添加されなくてバインダーであるポリスチレンスルホナートの鎖延長が形成されておらず、これにより、銅ペーストの耐水性が脆弱な特性を示した。ポリスチレンスルホナートが銅ペーストフィルムの形成時、水と接触して容易にフィルム塗膜が溶けて銅ペーストの適用範囲を制限するようになる。その他の塗膜物性、乾燥遅延性、分散性、および塗膜の接着性の面では優れて良好な銅ペーストの特性を示した。
【0135】
実施例3の場合には、添加剤である鎖延長剤、乾燥遅延剤、分散剤、および接着増進剤を銅ペーストに添加した反面、フィルム衝撃緩和剤を添加しない場合である。銅ペーストにフィルム衝撃緩和剤であるポリビニルピロリドンを添加しない場合、銅ペーストのフィルム塗膜性が不良であり、塗膜の接着性も不良であることを分かることができた。このような結果により、本発明においてポリビニルピロリドンが銅ペーストとしてのフィルム塗膜特性に重要な影響を及ぼしていることを分かることができた。
【0136】
実施例4の場合には、添加剤である鎖延長剤、フィルム衝撃緩和剤、分散剤、および接着増進剤を銅ペーストに添加した反面、乾燥遅延剤を添加しない場合である。銅ペーストの全般的な特性は優秀かつ良好な反面、乾燥遅延剤であるエチレングリコールを銅ペーストに添加しない場合、ペーストの可用時間が短いという欠点を克服することができず、短時間内に銅ペーストが固まってしまう特性を示した。
【0137】
実施例5の場合には、添加剤である鎖延長剤、フィルム衝撃緩和剤、乾燥遅延剤、及び接着増進剤を銅ペーストに添加した反面、分散剤を添加しない場合である。分散剤である4-ドデシルベンゼンスルホン酸を銅ペーストに添加しない場合、銅ペーストフィルムの全般的な特性は良好であるが、ペースト内の銅粉末の分散状態が円滑でなく塗膜の分散性と塗膜の接着性の面で不良な結果を示した。
【0138】
実施例6の場合には、添加剤である鎖延長剤、フィルム衝撃緩和剤、分散剤、及び乾燥遅延剤を銅ペーストに添加した反面、接着増進剤であるグリシドキシプロピルトリメトキシシランを添加しない場合であり、この場合、銅ペーストフィルムの全般的な特性は良好であるが、フィルム塗膜の接着性が不良であることを分かることができた。一方、比較例1の場合、添加剤である鎖延長剤、フィルム衝撃緩和剤、乾燥遅延剤、分散剤、および接着増進剤を添加しない例を示したものであり、鎖延長剤であるジビニルスルホンが添加しない場合、水性バインダーであるポリスチレンスルホナートの鎖延長が形成されず、銅ペーストの耐水性が脆弱な特性を示した。一般的に、バインダーであるポリスチレンスルホナートは、フィルムの形成時に脆性のために容易に塗膜が壊れた特性がある。フィルム衝撃緩和剤であるポリビニルピロリドンを添加しない場合、銅ペーストのフィルム塗膜性が不良であることを分かることができ、銅ペーストの可用時間が短いという欠点を補完するために、乾燥遅延剤であるエチレングリコールを添加しない場合、短時間内に銅ペーストが固まってしまう特性を示した。
【0139】
また、分散剤である4-ドデシルベンゼンスルホン酸を銅ペーストに添加しない場合には、ペースト内の銅粉末の分散程度が良好でないので分散状態と塗膜の接着性の面で不良な結果を示した。銅ペーストに接着増進剤であるグリシドキシプロピルトリメトキシシランを添加しない場合には、フィルム塗膜の接着性が不良であることを示した。
【0140】
その結果、比較例1の不良性能は製品化が不可能なレベルであり、実際に使用するためには多くの改善が必要である。本願発明では、前記表2に開示されている例に限らず、その他の水性/油性溶媒とバインダーおよび様々な添加剤に対する構成を含んでいる。
【0141】
耐水性は、7.5cm×2.5cmのガラス表面に銅ペーストを塗装し、摂氏20±3度の水に浸水させ、乾燥させた後、塗膜が水によって溶けた量を、重さを計って評価した。銅ペーストの塗膜が水について外形的に形態を維持し、重量減少が5%未満である場合、耐水性が良好であると判断した。塗膜物性は、7.5cm×2.5cmのガラス表面に銅ペーストを塗装した後、塗膜形成の有無を、顕微鏡レンズを通して観察した。銅ペーストの表面に凹凸の有無と塗膜形成の有無を判断して評価した。乾燥遅延性は、銅ペーストにエチレングリコールを入れた試料と入れない試料を摂氏20±3度の恒温チェンバーに置いて2時間の経過後に、ペーストの流動性を肉眼で観察して評価した。分散性は、7.5cm×2.5cmのガラス表面に銅ペーストを塗装した後、顕微鏡レンズを通じてペーストの微細構造を考察して分散性の状態を把握した。塗膜の接着性は、クロスカットテスト(Cross cut Test)で3Mスコッチテープ(Scotch tape)8-8890を使用してASTM D3359によって評価した。
【0142】
以上、本発明の具体的な実施例について見てみた。本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明が本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で変形した形態で具現できることを理解することができるであろう。したがって、開示された実施例は限定的な観点ではなく、説明的な観点で考慮されるべきである。本発明の範囲は前述の説明ではなく、特許請求の範囲に示されており、それと同等の範囲内にあるすべての差異点は本発明に含まれるものと解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明の実施例によれば、優れた物性を有する銅ベースの伝導性ペーストを製造することができる。上記銅ベースの伝導性ペーストは優れた耐腐食性と耐熱性を有することができる。