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  • 特許-容器搬送コンベヤ 図1
  • 特許-容器搬送コンベヤ 図2
  • 特許-容器搬送コンベヤ 図3
  • 特許-容器搬送コンベヤ 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-21
(45)【発行日】2022-05-02
(54)【発明の名称】容器搬送コンベヤ
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/57 20060101AFI20220422BHJP
   B65G 17/46 20060101ALI20220422BHJP
【FI】
B65G47/57 B
B65G17/46 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2016194671
(22)【出願日】2016-09-30
(65)【公開番号】P2018052735
(43)【公開日】2018-04-05
【審査請求日】2019-08-16
【審判番号】
【審判請求日】2021-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】矢野 竜也
(72)【発明者】
【氏名】福岡 大
【合議体】
【審判長】間中 耕治
【審判官】段 吉享
【審判官】平田 信勝
(56)【参考文献】
【文献】特開昭48-10777(JP,A)
【文献】実開昭51-17991(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 17/00
B65G 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネットに吸着可能な底を有する容器を搬送する容器搬送コンベヤにおいて、
搬送する容器の底を支持する搬送面に水平区間と昇降区間とを有する昇降コンベヤと、
前記昇降コンベヤの前記水平区間へ容器を受け渡す受け渡しコンベヤとを備え、
前記昇降コンベヤの搬送面にマグネットを所定間隔で配置し、
前記受け渡しコンベヤと前記昇降コンベヤの前記水平区間との間に、受け渡される容器の底と係合して容器を持ち上げて、容器の移動を規制する規制部材を設け、
容器の搬送方向前方を前記規制部材により持ち上げるとともに、前記昇降コンベヤの搬送面上に延出させている間に、容器の搬送方向前方箇所を昇降コンベヤのマグネットにより吸着して当該容器を搬送する
ことを特徴とする容器搬送コンベヤ。
【請求項2】
前記規制部材が、ローラであることを特徴とする請求項1に記載の容器搬送コンベヤ。
【請求項3】
前記マグネットが容器の底に複数個吸着されるように前記マグネットが配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の容器搬送コンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器を上方若しくは下方へ搬送するのに用いられる搬送コンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば容器に液体を充填してキャッピングを行う充填設備では、工場レイアウトの関係から容器を1階から2階へ、若しくは2階から1階へ昇降させて搬送する場合がある。搬送コンベヤを用いた容器の搬送において、容器を昇降させる際にはグリップコンベヤが用いられる。グリップコンベヤでは、搬送路の両側にコンベヤをそれぞれ配置し、両コンベヤで容器の胴部を両側から把持して容器の搬送を行う(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平01-152910号公報
【文献】特開平08-058945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
グリップコンベヤによる搬送は、ガラス製容器や樹脂製容器など、側方からの把持力に対して十分な剛性や弾性を示す容器の搬送に対しては有効である。しかし、スチール缶のように側方からの把持力に対し十分な強度を持たない容器の場合、グリップコンベヤの把持力により容器側面に凹み等の変形が発生する場合がある。
【0005】
本発明は、容器の両側を把持することなく容器を上方若しくは下方へ搬送可能な搬送コンベヤを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の容器搬送コンベヤは、マグネットに吸着可能な底を有する容器を搬送する容器搬送コンベヤにおいて、搬送する容器の底を支持する搬送面に水平区間と昇降区間とを有する昇降コンベヤと、前記昇降コンベヤの前記水平区間へ容器を受け渡す受け渡しコンベヤとを備え、前記昇降コンベヤの搬送面にマグネットを所定間隔で配置し、前記受け渡しコンベヤと前記昇降コンベヤの前記水平区間との間に、受け渡される容器の底と係合して容器を持ち上げて、容器の移動を規制する規制部材を設け、容器の搬送方向前方を前記規制部材により持ち上げるとともに、前記昇降コンベヤの搬送面上に延出させている間に、容器の搬送方向前方箇所を昇降コンベヤのマグネットにより吸着して当該容器を搬送することを特徴としている。
【0007】
規制部材は、例えばローラである。また例えばマグネットが容器の底に複数個吸着されるようにマグネットは配置される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、容器の両側を把持することなく容器を上方若しくは下方へ搬送可能な搬送コンベヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の容器搬送コンベヤの構成を示す模式的な側面図である。
図2】本実施形態の容器搬送コンベヤを含む搬送システムの構成を示す模式的な平面図である。
図3】昇降コンベヤの搬送面の部分拡大図である。
図4】受け渡しコンベヤから昇降コンベヤへと容器を受け渡す動作を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態である容器搬コンベヤの構成を示す模式的な側面図である。
【0011】
本実施形態の容器搬送コンベヤ10は、受け渡しコンベヤ12と、昇降コンベヤ14とを備える。受け渡しコンベヤ12は、例えば直方体形状を呈するスチール缶などの容器Vを水平に搬送し、その下流端において昇降コンベヤ14の第1水平区間14Aに容器を受け渡す。昇降コンベヤ14は、搬送方向に所定間隔でマグネット14Mが配置された搬送面を備え(後述)、受け渡された容器Vの底部がマグネット14Mで搬送面に吸着される。すなわち、受け渡しコンベヤ12から受け渡された容器Vは、順次昇降コンベヤ14の搬送面に所定間隔に吸着・保持されて搬送される。
【0012】
昇降コンベヤ14の第1水平区間14Aの下流側には、上昇区間(昇降区間)14Bが設けられる。上昇区間14Bでは、搬送面の移送方向が徐々に上方へ向けられ、所望の高さに達すると再び水平方向に徐々に戻される。上昇区間14Bの下流側には、搬送面が水平方向に移送される第2水平区間14Cが設けられ、その下流端には、図示しない排出コンベヤが配置される。すなわち、昇降コンベヤ14により搬送される容器Vは、第2水平区間14Cの下流端に達すると排出コンベヤへと受け渡される。
【0013】
図2は、本実施形態の容器搬送コンベヤ10を含む搬送システムの構成を示す模式的な平面図である。
【0014】
容器Vは、例えば第1供給コンベヤ16、第2供給コンベヤ18上を一列に搬送され、順次受け渡しコンベヤ12へと供給される。その後、容器Vは受け渡しコンベヤ12から後述するローラ(規制部材)24を介して、昇降コンベヤ14へと順次受け渡され、昇降コンベヤ14の搬送面に所定間隔で配置されたマグネット14Mの吸着力により搬送面上に保持・固定される。
【0015】
第1供給コンベヤ16と第2供給コンベヤ18の間の隙間、および第2供給コンベヤ18と受け渡しコンベヤ12の間の隙間には、渡り板20、20が設けられ、受け渡しコンベヤ12と昇降コンベヤ14の間の隙間には、容器Vの底面に係合しその動きを制御するローラ(規制部材)24が配置される。
【0016】
第1、第2供給コンベヤ16、18、および受け渡しコンベヤ12は、例えば並走する一対のチェーン上に多数のプレート26を掛け渡し、プレート26同士をリンク結合した一般的な搬送コンベヤである。なお、第2供給コンベヤ18の搬送速度は、第1供給コンベヤ16の搬送速度よりも遅く設定され、受け渡しコンベヤ12の搬送速度は、第2供給コンベヤ18の搬送速度よりも速く設定される。
【0017】
図3は、昇降コンベヤ14の搬送面の部分拡大図である。昇降コンベヤ14は、上述したように搬送経路に沿って配置される一対のチェーン(不図示)の間に掛け渡される多数のプレート26を備える。各プレート26は隣接して配置され、隣り合うプレート26同士は回転可能にリンク結合される。
【0018】
搬送方向における所定パターン置きのプレート26には、その中央部付近にマグネット14Mが埋設される。本実施形態では、2個以上のマグネット14Mが1つの容器Vの底面に吸着する間隔となるようにマグネット14Mが設けられる。図示例では、1つ置きのプレート26にマグネット14Mが各々埋設されている。
【0019】
図4は、受け渡しコンベヤ12から昇降コンベヤ14へと容器Vを受け渡す動作を説明する側面図である。
【0020】
受け渡しコンベヤ12と昇降コンベヤ14の第1水平区間14Aとの間には、容器Vの底面と係合して容器Vを持ち上げ、容器Vの移動を規制するローラ24が設けられる。
【0021】
すなわち、受け渡しコンベヤ12により搬送され、受け渡しコンベヤ12の下流端から迫り出した容器Vの底面は、ローラ24に当接し、ローラ24の上に乗り上げられる。これにより容器Vの底面の前縁は僅かに持ち上げられ(例えば1~2mm程度)、昇降コンベヤ14の上流端の搬送面上に僅かに浮いた状態で延出する。この間に最初に容器Vの底面下方を走行する昇降コンベヤ14のマグネット140Mが、容器Vの底面前縁近くを走行する際に底面の前方箇所を吸着する。容器Vは昇降コンベヤ14の搬送面に保持され、昇降コンベヤ14とともに移動するとともに次のマグネット141Mが容器Vの底面中央付近に吸着し、容器Vは昇降コンベヤ14へと受け渡される。なお、容器Vは、底面の長手方向が搬送方向に一致するように配置されることが望ましい。
【0022】
底面の前方箇所を含む搬送方向に沿った複数の位置をマグネット14Mにより搬送面に吸着・保持された容器Vは、図1に示されるように、昇降区間14Bを昇降コンベヤ14の搬送面とともに上昇する。このとき容器Vの底面前方箇所がマグネット14Mにより保持されているため、自重により発生するモーメントにより容器Vが搬送面から離接されることが防止される。
【0023】
以上のように本実施形態の容器搬送コンベヤによれば、把持力に対する側面強度が十分でない容器であっても、容器の底面がスチールなどのように磁石に吸着される性質を持つ素材から構成されていれば、その両側を把持することなく容器を上方へ搬送することができ、容器の変形を防止できる。
【0024】
なお、本実施形態では、規制部材として搬送方向に並べられた3連のローラを例示したが、規制部材はローラに限定されるものではなく、容器の底面との係合が受け渡し動作中十分に低摩擦であり、かつ迫り出した底面を僅かに押し上げることができれば、如何なる部材であってもよい。
【0025】
また本実施形態の昇降区画では、容器が上方へ搬送されたが、昇降区画において容器を下方へ搬送する構成とすることもできる。この場合、容器の底を複数のマグネットで吸着し、容器の前方と、真ん中よりも後方箇所を吸着することで容器を安定して搬送することができる。
【符号の説明】
【0026】
10 容器搬送コンベヤ
12 受け渡しコンベヤ
14 昇降コンベヤ
14A 第1水平区間
14B 上昇区間(昇降区間)
14C 第2水平区間
14M マグネット
16 第1供給コンベヤ
18 第2供給コンベヤ
24 ローラ(規制部材)
26 プレート
V 容器
図1
図2
図3
図4