(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-21
(45)【発行日】2022-05-02
(54)【発明の名称】報知システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20220422BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20220422BHJP
H04W 4/021 20180101ALI20220422BHJP
H04W 4/44 20180101ALI20220422BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/09 F
H04W4/021
H04W4/44
(21)【出願番号】P 2016252974
(22)【出願日】2016-12-27
【審査請求日】2019-06-26
【審判番号】
【審判請求日】2021-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】宇野 昌利
(72)【発明者】
【氏名】宮瀬 文裕
(72)【発明者】
【氏名】土田 一輝
(72)【発明者】
【氏名】早野 雅士
(72)【発明者】
【氏名】荒▲瀬▼ 純治
(72)【発明者】
【氏名】山下 裕司
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】山本 信平
【審判官】鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-119352(JP,A)
【文献】特開平5-72970(JP,A)
【文献】特開2010-225130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G1/00-1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工事車両に関する情報である報知情報を報知する報知システムであって、
監視対象の領域に対応して設けられ、自装置の識別情報を含むビーコン信号を送信する複数のビーコン装置と、
前記監視対象の領域に対応して設けられ、前記報知情報を報知可能な第1の報知装置と、
前記工事車両に設けられ、前記ビーコン信号を受信可能な第1の通信装置と、
を備え、
前記第1の通信装置は、複数の前記ビーコン装置から受信した前記ビーコン信号に基づいて前記第1の通信装置の位置情報を推定し、前記推定した位置情報に応じた情報を前記報知情報として第1の報知装置に報知させ、
前記複数のビーコン装置は、前記工事車両が走行する道路の道路沿いに設けられ、
前記監視対象の領域は、前記工事車両
と一般車両とが混在する領域であり、
前記報知情報は、前記監視対象へ侵入する前記一般車両への情報であり、前記位置情報に応じて変化する、
報知システム。
【請求項2】
前記第1の報知装置又は前記第1の通信装置は、
前記第1の通信装置により推定された工事車両の位置情報に基づいて、前記工事車両が前記監視対象に進入することによる危険度を推定し、
前記第1の報知装置は、前記第1の報知装置又は前記第1の通信装置によって推定された前記危険度に応じた報知情報を報知する、
請求項1に記載の報知システム。
【請求項3】
前記第1の報知装置又は前記第1の通信装置は、
前記第1の通信装置により推定された工事車両の位置情報に基づいて、前記工事車両が前記監視対象の領域に進入する時間を前記危険度として推定する、
請求項2に記載の報知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、報知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工事用の出入り口付近などでは、工事車両と一般車両とが混在するため、誘導員を配置することで工事車両及び一般車両のそれぞれの安全な通行を実現している。ただし、工事車両がいつ工事用の出入り口に到着するかは不明であるため、工事用の出入り口に誘導員を常に配置している必要がある。そのため、誘導員の人件費がかかり、高コストとなる。
【0003】
特許文献1には、車両に搭載され且つその車両の位置情報を検出する車載装置と、その車載装置から位置情報を取得し、その取得した位置情報に応じた交通状態情報などの運転支援情報をその車両に向けて送信するセンター装置と、を有する車両運転支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムでは、センター装置と通信可能な通信装置を所有していなければ、運転支援情報を受け取ることができない。したがって、工事用の出入り口付近において、上記通信装置を有していない車両に対しては、工事車両に関する情報を伝達することができない。そのため、特許文献1に記載のシステムを用いたとしても、工事用の出入り口に誘導員を常に配置し、注意喚起する必要がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、車両に対して低コストで情報を伝達可能な報知システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、工事車両に関する情報である報知情報を報知する報知システムであって、監視対象の領域に対応して設けられ、自装置の識別情報を含むビーコン信号を送信する複数のビーコン装置と、前記監視対象の領域に対応して設けられ、前記報知情報を報知可能な第1の報知装置と、前記工事車両に設けられ、前記ビーコン信号を受信可能な第1の通信装置と、を備え、前記第1の通信装置は、複数の前記ビーコン装置から受信した前記ビーコン信号に基づいて前記第1の通信装置の位置情報を推定し、前記推定した位置情報に応じた情報を前記報知情報として第1の報知装置に報知させ、前記複数のビーコン装置は、前記工事車両が走行する道路の道路沿いに設けられ、前記監視対象の領域は、前記工事車両と一般車両とが混在する領域であり、前記報知情報は、前記監視対象へ侵入する前記一般車両への情報であり、前記位置情報に応じて変化する、報知システムである。
【0011】
本発明の一態様は、上述の報知システムであって、前記第1の報知装置又は前記第1の通信装置は、前記第1の通信装置により推定された工事車両の位置情報に基づいて、前記工事車両が前記監視対象に進入することによる危険度を推定し、前記第1の報知装置は、前記第1の報知装置又は前記第1の通信装置によって推定された前記危険度に応じた報知情報を報知する。
【0012】
本発明の一態様は、上述の報知システムであって、前記第1の報知装置又は前記第1の通信装置は、前記第1の通信装置により推定された工事車両の位置情報に基づいて、前記工事車両が前記監視対象の領域に進入する時間を前記危険度として推定する。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、車両に対して低コストで情報を伝達可能な報知システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1の実施形態に係る報知システム1の概略構成の一例を示す図である。
【
図2】第1の実施形態に係るビーコン装置2の概略構成の一例を示す図である。
【
図3】第1の実施形態に係る報知システム1の報知処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図4】第1の実施形態に係る報知システム1の活用例を示す図である。
【
図5】第2の実施形態に係る報知システム1Aの概略構成の一例を示す図である。
【
図6】第2の実施形態に係る報知システム1Aの活用例を示す図である。
【
図7】第2の実施形態に係る第2の通信装置40の概略構成の一例を示す図である。
【
図8】第2の実施形態に係る報知システム1Aにおける後方向報知処理の流れについて、説明する。
【
図9】第3の実施形態に係る報知システム1Bの概略構成の一例を示す図である。
【
図10】第3の実施形態に係る報知システム1Bの活用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、図面において、同一又は類似の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省く場合がある。また、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0017】
明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」、「有する」や「備える」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0018】
本発明の一実施形態に係る報知システムは、走行している工事車両に関する情報を報知情報として報知するシステムである。
以下、本発明の一実施形態に係る報知システムを、図面を用いて説明する。
【0019】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る報知システム1の概略構成の一例を示す図である。
図1に示すように、報知システム1は、ビーコン装置2、第1の通信装置3及び第1の報知装置4を備える。
【0020】
ビーコン装置2は、自装置の識別情報を含むビーコン信号を送信する。このビーコン装置2は、例えば、工事車両が走行する道路の道路沿いであって、工事車両と一般車両とが混在する位置(以下、「監視対象の領域」という。)の手前の位置に設けられる。例えば、監視対象の領域は、工事車両と一般車両とが合流する交差点や工事用の出入り口である。
図2は、第1の実施形態に係るビーコン装置2の概略図である。
図2に示すように、第1の実施形態では、例えば、杭30の杭頭にビーコン装置2が配置されたビーコン杭31を、工事車両が進入する交差点の手前の位置に複数設置する。
【0021】
図1に戻り、第1の通信装置3は、ビーコン装置2からビーコン信号を受信可能な装置である。また、第1の通信装置3は、第1の報知装置4と無線通信する。第1の通信装置3は、ビーコン装置2からビーコン信号を受信した場合に、工事車両の走行に関する情報を第1の報知装置4に報知させる。第1の実施形態において、第1の通信装置3は、工事車両内に設けられている。例えば、第1の通信装置3は、携帯電話、スマートフォン、タブレット又はウエアラブル端末等の可搬可能な装置である。
【0022】
例えば、第1の通信装置3は、複数のビーコン装置2から各ビーコン信号を受信する。そして、第1の通信装置3は、受信した各ビーコン信号の識別情報に基づいて自装置の位置情報を推定する。なお、第1の実施形態において、第1の通信装置3は、工事車両内に設けられている。そのため、この自装置の位置情報は、第1の通信装置3が設けられた工事車両の位置を示す情報となる。ここで、複数のビーコン杭31は、監視対象の領域の手前の道路沿いに、一列に配置されている。したがって、その複数のビーコン杭31における互いの設置間隔を予め所定の値に設定されていれば、第1の通信装置3は、各ビーコン信号の受信間隔から、工事車両の速度を算出することができる。
【0023】
また、ビーコン装置2から送信されるビーコン信号には、それぞれ自装置を識別する識別信号が含まれている。そのため、第1の通信装置3は、各ビーコン装置2の設置位置をそのビーコン装置2の識別信号に対応づけて予め記憶しておくことで、受信したビーコン信号の識別情報に基づいて工事車両の適切な位置を把握することができる。したがって、第1の通信装置3は、あとどれくらいの時間で工事車両が監視対象の領域に進入するか把握することができる。このように、第1の通信装置3は、複数のビーコン杭31を設置することで、工事車両の位置情報の信頼性を確保することができる。なお、上述の工事車両の位置情報の推定は、上述したように第1の通信装置3により実施されてもよいし、クラウド上で実施されてもよい。上述の工事車両の位置情報の推定がクラウド上で実施される場合には、第1の通信装置3は、ビーコン装置2から受信したビーコン信号をクラウドに送信する。
【0024】
なお、第1の通信装置3の各部は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよく、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。また、プログラムが実行されることにより、コンピュータが、第1の通信装置3の少なくとも一部として機能してもよい。プログラムは、CD-ROM、DVD-ROM、メモリ、ハードディスクなどのコンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されていてもよく、ネットワークに接続された記憶装置に記憶されていてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な媒体又はネットワークに接続された記憶装置から、第1の通信装置3の少なくとも一部を構成するコンピュータにインストールされてよい。
【0025】
第1の報知装置4は、監視対象の領域付近、すなわち監視対象の領域に対応して設けられ、走行している工事車両に関する報知情報を報知可能な装置である。例えば、第1の報知装置4は、他の装置と通信する通信機能を有する。第1の報知装置4は、第1の通信装置3と通信することで、第1の通信装置3から工事車両の走行に関する情報を取得し、その取得した情報を報知情報として報知する。この工事車両の走行に関する情報とは、例えば、工事車両が監視対象の領域に接近していることを示す情報である。すなわち、第1の報知装置4は、第1の通信装置3が推定した工事車両の位置に基づいて工事車両が監視対象の領域に接近していると判定された場合には、工事車両が監視対象の領域に接近していることを示す情報を、その監視対象の領域に進入しようとする一般車両の運転手に報知する。この報知は、音声でもよいし、表示でもよいし、音声及び表示の組み合わせでもよい。例えば、第1の報知装置4は、電光掲示板や、指向性アナウンス(音声案内)安全看板に内蔵した指向性アナウンススピーカーである。なお、第1の報知装置4は、工事車両の位置情報の推定がクラウド上で実施される場合には、そのクラウドからその工事車両の走行に関する情報を無線通信により取得してもよい。
【0026】
なお、第1の報知装置4の各部は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよく、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。また、プログラムが実行されることにより、コンピュータが、第1の報知装置4の少なくとも一部として機能してもよい。プログラムは、CD-ROM、DVD-ROM、メモリ、ハードディスクなどのコンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されていてもよく、ネットワークに接続された記憶装置に記憶されていてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な媒体又はネットワークに接続された記憶装置から、第1の報知装置4の少なくとも一部を構成するコンピュータにインストールされてよい。
【0027】
以下に、第1の実施形態に係る報知システム1の報知処理の流れについて、説明する。
図3は、第1の実施形態に係る報知システム1の報知処理の流れを示すシーケンス図である。
図4は、第1の実施形態に係る報知システム1の活用例を示す図である。
【0028】
複数のビーコン杭31(31-1~31-n(nは整数))は、監視対象の領域である交差点Rの手前の道路沿いに、一列に配置されている。そして、各ビーコン杭31は、自装置の識別情報を含むビーコン信号を送信する(ステップS101)。
ここで、
図4に示すように、走行中の工事車両10が交差点Rに接近すると、工事車両10内に設けられた第1の通信装置3は、複数のビーコン杭31からビーコン信号を受信する(ステップS102)。第1の通信装置3は、ビーコン装置2から受信したビーコン信号に基づいて工事車両が交差点Rに接近していることを示す情報を報知情報として、第1の報知装置4に送信する(ステップS103)。
【0029】
第1の報知装置4は、第1の通信装置3と通信することで、第1の通信装置3から報知情報を取得し(ステップS104)、その取得した報知情報を、その交差点Rに進入しようとする一般車両20の運転手や歩行者に報知する。なお、第1の報知装置4は、第1の通信装置3から工事車両10の位置情報を取得し、その位置情報に応じた報知情報を報知してもよい。例えば、第1の通信装置3により推定された工事車両の位置情報に基づいて、工事車両10が交差点Rに進入するのに時間がかかると判定された場合には、第1の報知装置4は、一般車両20の運転手に対して減速走行することを促す報知情報を報知する。また、その工事車両10が交差点Rに接近し、すぐに交差点Rに進入すると判定された場合には、第1の報知装置4は、一般車両20の運転手に対して工事車両10の接近を示す報知情報を報知する。すなわち、第1の報知装置4は、第1の通信装置3により推定された工事車両10の位置情報に基づいて、工事車両10の交差点Rへの進入による一般車両20や歩行者への危険度を推定し、その危険度に応じた報知を行う。なお、この危険度の推定は、第1の報知装置4が行ってもよいし、第1の通信装置3が行ってもよいし、クラウド上で行ってもよい。
【0030】
上述したように、第1の実施形態に係る報知システム1は、監視対象の領域に対応して設けられ、ビーコン信号を送信する複数のビーコン装置2と、監視対象の領域に対応して設けられ、工事車両に関する報知情報を報知可能な第1の報知装置4と、工事車両に設けられ、ビーコン信号を受信した場合には、工事車両の走行に関する情報を第1の報知装置に報知させる第1の通信装置3と、を備える。これにより、工事用の出入り口に誘導員を常に配置せずに、一般車両に工事車両に関する情報を伝達することができる。これにより、車両に対して低コストで情報を伝達可能である。
【0031】
また、第1の実施形態に係る報知システム1は、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)などの衛生が取得困難な、山中や半地下、地下などでも位置情報が取得できる。また、ビーコン装置2は、安価であるため、報知システム1を低コストで実用化することができる。
【0032】
また、上述の実施形態において、第1の通信装置3により推定された工事車両10の位置情報を、誘導員が携帯する情報端末に送信するようにしてもよい。これにより、誘導員は、工事車両10が監視対象の領域に接近した場合にのみその監視対象の領域における車両の誘導を行うことができ、誘導員の作業の効率化を図ることができる。
【0033】
<第2の実施形態>
以下に、第2の実施形態に係る報知システム1Aについて、説明する。報知システム1Aは、例えば、ダム堤体の施工や盛土工事に用いられる材料を工事車両に載せて所定の場所に運搬する場合において、誘導員を配置せずに、その工事車両を所定の場所に誘導可能なシステムである。
【0034】
図5は、第2の実施形態に係る報知システム1Aの概略構成の一例を示す図である。
図5に示すように、報知システム1Aは、ビーコン装置2、第1の通信装置3、第1の報知装置4、第2の通信装置40及び第2の報知装置50を備える。
【0035】
図6は、第2の実施形態に係る報知システム1Aの活用例を示す図である。
ビーコン装置2は、自装置の識別情報を含むビーコン信号を送信する。このビーコン装置2は、ダム堤体の施工や盛土工事に用いられる材料を運搬する工事車両10に設置される。
【0036】
第1の通信装置3は、道路の交差点Rの付近、すなわち監視対象の領域に対応して設けられ、ビーコン装置2からビーコン信号を受信可能な装置である。また、第1の通信装置3は、第1の報知装置4と無線通信する。第1の通信装置3は、ビーコン装置2からビーコン信号を受信した場合に、工事車両10の走行に関する情報を第1の報知装置4に報知させる。例えば、第2の実施形態における工事車両10の走行に関する情報とは、ビーコン装置2が搭載される工事車両10の進行方向を指示する指示情報である。例えば、
図6に示すように、工事車両10に積載された材料をB土砂場に運搬する必要がある場合には、交差点Rにおいて、左折することを指示する情報と、その運搬先の情報とを指示情報として第1の報知装置4に報知させる。
【0037】
具体的には、第1の通信装置3は、ビーコン装置2の識別情報と、指示情報とが予め対応づけられて記憶されている記憶部を備える。そして、複数の工事車両10には、それぞれ識別情報が異なるビーコン装置2が設けられている。そのため、ビーコン装置2の識別情報とは、複数の工事車両10のそれぞれを識別する識別情報である。したがって、第1の通信装置3は、予め各識別情報が示す工事車両10の運搬先及び指示する情報を、その識別情報に関連づけて記憶しておく。これにより、第1の通信装置3は、ビーコン信号を受信した場合に、そのビーコン信号の識別情報に対応する指示情報を記憶部から取得することで、交差点Rに接近した工事車両10の指示情報を第1の報知装置4に報知させることが可能となる。そのため、工事車両10の運転手は、交差点Rに進入した場合に、交差点R付近に設置された第1の報知装置4から報知される指示情報に基づいて、工事車両10に積載した材料をB土砂場に運搬することができる。これにより、誘導員の配置人数を削減することができる。
【0038】
ここで、
図6に示すように、工事車両10の運転手は、第1の報知装置4から、左折してB土砂場に行くことを指示する指示情報が報知されているにも関わらず、誤って交差点Rにおいて右折してA土砂場の方向に進んだとする。この場合において、第2の通信装置40及び第2の報知装置50は、その工事車両10の運転手に対して、誤った方向を走行していることを報知する。以下、第2の通信装置40及び第2の報知装置50について、説明する。
【0039】
第2の通信装置40は、交差点Rの分岐先に設けられ、ビーコン装置2からビーコン信号を受信可能な装置である。そして、第2の通信装置40は、第1の報知装置4が報知した指示情報が示す進行方向に工事車両10が進んだか否かを判定する。
【0040】
以下に、第2の実施形態に係る第2の通信装置40の概略構成について、説明する。
図7は、第2の実施形態に係る第2の通信装置40の概略構成の一例を示す図である。
【0041】
図7に示すように、第2の通信装置40は、受信部41、記憶部42、判定部43及び制御部44を備える。
受信部41は、ビーコン装置2からビーコン信号を受信する。
記憶部42は、所定のビーコン装置2の識別情報を予め記憶する。この所定のビーコン装置2の識別情報とは、A土砂場に材料を運搬する工事車両に搭載されたビーコン装置2の識別情報である。
【0042】
判定部43は、受信部41により受信したビーコン信号から抽出した識別情報と、記憶部42に記憶された識別情報とが一致するか否かを判定する。判定部43は、受信部41により受信したビーコン信号から抽出した識別情報と、記憶部42に記憶された識別情報とが一致しない場合には、そのビーコン信号を送信したビーコン装置2が搭載された工事車両10が誤った方向へ走行していると判定する。
制御部44は、抽出した識別情報と、記憶部42に記憶された識別情報とが一致しないと判定された場合には、指示情報が示す進行方向に工事車両10が進んでいないことを示す誤方向情報を第2の報知装置に報知させる。
【0043】
なお、第2の通信装置40の各部は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよく、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。また、プログラムが実行されることにより、コンピュータが、第2の通信装置40の少なくとも一部として機能してもよい。プログラムは、CD-ROM、DVD-ROM、メモリ、ハードディスクなどのコンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されていてもよく、ネットワークに接続された記憶装置に記憶されていてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な媒体又はネットワークに接続された記憶装置から、第2の通信装置40の少なくとも一部を構成するコンピュータにインストールされてよい。
【0044】
第2の報知装置50は、交差点Rの分岐先に設けられ、誤方向情報を報知する。例えば、第2の報知装置50は、他の装置と通信する通信機能を有する。第2の報知装置50は、第2の通信装置40と通信することで、第2の通信装置40から誤方向情報を取得し、その取得した誤方向情報を報知する。この報知は、音声でもよいし、表示でもよいし、音声及び表示の組み合わせでもよい。例えば、第2の報知装置50は、電光掲示板や指向性アナウンス安全看板に内蔵した指向性アナウンススピーカーである。
【0045】
なお、第2の報知装置50の各部は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよく、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。また、プログラムが実行されることにより、コンピュータが、第2の報知装置50の少なくとも一部として機能してもよい。プログラムは、CD-ROM、DVD-ROM、メモリ、ハードディスクなどのコンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されていてもよく、ネットワークに接続された記憶装置に記憶されていてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な媒体又はネットワークに接続された記憶装置から、第2の報知装置50の少なくとも一部を構成するコンピュータにインストールされてよい。
【0046】
以下に、第2の実施形態に係る報知システム1Aにおける、工事車両10が誤方向を走行していることを報知する誤方向報知処理の流れについて、説明する。
図8は、第2の実施形態に係る報知システム1Aにおける後方向報知処理の流れについて、説明する。
【0047】
ビーコン装置2は、自装置の識別情報を含むビーコン信号を送信する(ステップS201)。
【0048】
受信部41は、ビーコン装置2からビーコン信号を受信する(ステップS202)。判定部43は、受信部41により受信したビーコン信号から識別情報を抽出する(ステップS203)。判定部43は、抽出した識別情報と、記憶部42に記憶された識別情報とを比較する(ステップS204)。そして、判定部43は、抽出した識別情報と、記憶部42に記憶された識別情報とが一致しない場合には、工事車両10が誤った方向を走行していると判定する。したがって、制御部44は、判定部43により、工事車両10が誤った方向へ走行していると判定された場合には、誤方向情報を第2の報知装置50に送信する(ステップS205)。
【0049】
第2の報知装置50は、第2の通信装置40と通信することで、第2の通信装置40から誤方向情報を取得し(ステップS206)、その取得した誤方向情報を音声出力や自装置の表示画面への表示出力することで工事車両10の運転手に、誤った方向へ走行していることを報知する(ステップS207)。
【0050】
上述したように、第2の実施形態における報知システム1Aにおいて、第1の通信装置3は、ビーコン信号を受信した場合に、そのビーコン信号の識別情報に対応する指示情報を自装置の記憶部から取得することで、交差点Rに接近した工事車両10の指示情報を第1の報知装置4に報知させることが可能となる。したがって、報知システム1Aは、誘導員を配置することなく、工事車両10を目的の運搬先に誘導することが可能となる。すなわち、報知システム1Aは、車両に対して低コストで情報を伝達することができる。
【0051】
また、上述したように、第2の実施形態における報知システム1Aにおいて、監視対象の領域に対応して設けられた第2の通信装置は、ビーコン信号から抽出した識別情報と、記憶部42に記憶された識別情報とが一致しないと判定した場合には、第1の報知装置4に報知された指示情報が示す進行方向に、工事車両10が進んでいないことを示す誤方向情報を第2の報知装置50に報知させる。これにより、報知システム1Aは、車両に対して低コストで、且つより確実に情報を伝達することができる。
【0052】
<第3の実施形態>
以下に、第3の実施形態に係る報知システム1Bについて、説明する。報知システム1Bは、監視対象の領域である、例えば交差点に進入する車両が一般車両と工事車両とのいずれかであるのかを識別可能なシステムである。すなわち、報知システム1Bは、工事車両が監視対象の領域に接近したことを確実に把握可能なシステムである。
【0053】
図9は、第3の実施形態に係る報知システム1Bの概略構成の一例を示す図である。
図9に示すように、報知システム1Bは、ビーコン装置2、第1の通信装置3、第1の報知装置4及び車両検出装置60を備える。
【0054】
図10は、第3の実施形態に係る報知システム1Bの活用例を示す図である。
図10に示すように、ビーコン装置2は、監視対象の領域に対応して設けられ、自装置の識別情報を含むビーコン信号を送信する。例えば、このビーコン装置2は、工事車両10が走行する一般道の道路沿いに設置される。
【0055】
車両検出装置60は、例えば、一般道における所定の範囲において走行している車両を検出する。例えば、車両検出装置60は、レーザ、赤外線、超音波などの非接触型のセンサや、リミットスイッチなどの接触型センサ、あるいは車重を検知する荷重センサなどの任意のセンサを用いることができる。この所定の範囲とは、車両検出装置60における車両の検出範囲である。
【0056】
車両検出装置60は、車両を検出した場合には、その検出したことを示す信号を第1の報知装置4に無線送信する。ここで、車両検出装置60の検出する車両は、一般車両及び工事車両の両方である。
【0057】
第1の通信装置3は、工事車両10にのみ設けられている。ビーコン装置2からビーコン信号を受信した場合には、工事車両10の交差点Rへの接近を示す報知情報を第1の報知装置4に報知する。
【0058】
第1の報知装置4は、交差点R付近に設置される。第1の報知装置4は、車両検出装置60により走行車両が検出された場合であって、第1の通信装置3によりビーコン信号が受信された場合には、工事車両10の接近を示す情報を報知情報として報知する。一方、第1の報知装置4は、車両検出装置60により走行車両が検出された場合であって、第1の通信装置3によりビーコン信号が受信されない場合には、一般車両の接近を示す情報を報知する。
【0059】
上述したように、第3の実施形態に係る報知システム1Bにおいて、第1の報知装置4は、車両検出装置60の検出結果と第1の通信装置3におけるビーコン信号の受信結果との組み合わせに基づいて、監視対象の領域に接近している車両が一般車と工事車両とのいずれかであるかを判定する。そして、第1の報知装置4は、その判定結果に基づいて、報知する情報を切り替える。これにより、報知システム1Bは、誘導員を配置せずに、監視対象の領域に進入する車両が一般車両と工事車両とのいずれかであるのかを識別し、その識別結果を報知することができる。そのため、報知システム1Bは、低コストで且つ工事車両が監視対象の領域に進入する情報を確実に伝達可能である。
【0060】
上述した実施形態における報知システム1,1A及び1Bをコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0061】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0062】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0063】
1,1A,1B 報知システム
2 ビーコン装置
3 第1の通信装置
4 第1の報知装置
40 第2の通信装置
41 受信部
42 記憶部
43 判定部
44 制御部
50 第2の報知装置