(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-21
(45)【発行日】2022-05-02
(54)【発明の名称】車両空調用送風装置
(51)【国際特許分類】
B60H 1/00 20060101AFI20220422BHJP
【FI】
B60H1/00 102E
B60H1/00 102F
(21)【出願番号】P 2017064795
(22)【出願日】2017-03-29
【審査請求日】2020-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000152826
【氏名又は名称】株式会社日本クライメイトシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平 泰輔
(72)【発明者】
【氏名】嘉本 啓悟
【審査官】佐々木 訓
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-184118(JP,A)
【文献】特開2000-016050(JP,A)
【文献】特開昭61-021817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00 - 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内の空気を導入する内気導入口と、車室外の空気を導入する外気導入口とが外部に開放するように形成され、上記内気導入口及び上記外気導入口の両方に連通する上層空気通路及び下層空気通路が内部に形成されるとともに、上記内気導入口及び上記外気導入口を開閉する内外気切替ダンパを有するケーシングと、
上記上層空気通路に回転中心線が上下方向に延びるように配設される上層送風用ファンと、
上記下層空気通路に回転中心線が上下方向に延びるように配設される下層送風用ファンと、
上記上層送風用ファン及び上記下層送風用ファンを回転駆動するモーターとを備え、
上記上層送風用ファンによって上記上層空気通路内の空気を空調用空気として送風し、上記下層送風用ファンによって上記下層空気通路内の空気を空調用空気として送風するように構成された車両空調用送風装置において、
上記上層空気通路は、上記ケーシングを構成している上層スクロール部の内部において上記上層
送風用ファンを囲む周方向に延びた後、上記上層スクロール部の内部に設けられたノーズ部よりも下流側まで延びており、
上記モーターに冷却風を供給する冷却風通路の上流端は、上記ケーシングの側壁部において上記上層空気通路の上記ノーズ部よりも下流側に対応する部分に開口するとともに、上記上層空気通路の上記ノーズ部よりも下流側に連通していることを特徴とする車両空調用送風装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両空調用送風装置において、
上記ケーシングには、上記冷却風通路の上流端の開口部の下部を覆う下側縦板部が設けられていることを特徴とする車両空調用送風装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両空調用送風装置において、
上記ケーシングには、該ケーシングの内部を上記上層空気通路と上記下層空気通路とに仕切るための仕切板が配設されており、
上記仕切板には、上記下側縦板部が設けられていることを特徴とする車両空調用送風装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の車両空調用送風装置において、
上記ケーシングには、上記冷却風通路の上流端の開口部の上部を覆う上側縦板部が設けられていることを特徴とする車両空調用送風装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車両空調用送風装置において、
上記上側縦板部は、上記冷却風通路の上流端の開口部の縁部から延びるように形成されていることを特徴とする車両空調用送風装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の車両空調用送風装置において、
上記ケーシングには、上記冷却風通路の上流端の開口部の上縁から上記上層空気通路内へ向けて延びる上板部が形成されていることを特徴とする車両空調用送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車等に搭載されて空調用空気を送風する車両空調用送風装置に関し、特に、車室内の空気と車室外の空気とを同時に送風可能な構造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両に搭載される空調装置は、車室内の空気(内気)と車室外の空気(外気)の一方を選択して空調用空気として送風し、冷却用熱交換器及び加熱用熱交換器によって温度調節した後に、車室の各部に供給するように構成されている。
【0003】
近年では、空調用空気を送風する車両空調用送風装置として、上記内気のみを送風する内気循環モードと、上記外気のみを送風する外気導入モードの他、内気と外気の両方を送風する内外気2層流モードにも切り替えられる装置が実用化されている。すなわち、特許文献1~4に開示されているように、車両空調用送風装置のケーシングには、内気導入口と外気導入口が形成されるとともに、上層空気通路と下層空気通路が形成されている。上層空気通路と下層空気通路の内部には、それぞれ送風用ファンが設けられており、これら2つの送風用ファンは共通のモーターによって駆動される。また、ケーシングには、内気導入口及び外気導入口を開閉する内外気切替ダンパが設けられ、この内外気切替ダンパによって内気導入口のみを開く内気循環モード、外気導入口のみを開く外気導入モード、内気導入口及び外気導入口を開く内外気2層流モードの切替が可能になっている。そして、上記2つの送風用ファンを回転させて内気循環モードにすると上層空気通路と下層空気通路に内気導入口から導入された内気が流れ、また、外気導入モードにすると上層空気通路と下層空気通路に外気導入口から導入された外気が流れ、さらに、内外気2層流モードにすると上層空気通路に外気導入口から導入された外気が流れる一方、下層空気通路に内気導入口から導入された内気が流れる。
【0004】
また、特許文献4には、モーターの冷却風が流通する冷却風通路を設けることが開示されている。この冷却風通路は、下層空気通路に連通するように形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-296710号公報
【文献】特開2001-206044号公報
【文献】特開2011-201501号公報
【文献】特許第3823480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1~4のように内外気2層流モードへの切替が可能な送風装置によれば、例えば暖房時に内外気2層流モードにすることにより、上層空気通路に導入された低湿度の外気をフロントウインド近傍に供給して曇りを抑制しながら、下層空気通路に導入された内気を循環させて足元近傍に供給して暖房効率を向上できるという利点がある。
【0007】
ところが、内外気2層流の送風装置では、2つの送風用ファンを共通のモーターによって駆動することになるので、モーターへの負担が大きくなることは避けられず、モーターの冷却性能の更なる向上が課題となる。
【0008】
そこで、特許文献4に記載されているように、下層空気通路に連通するように冷却風通路を設けることが考えられるが、冷却風通路を下層空気通路に連通させた場合には次のような問題が起こる可能性がある。
【0009】
すなわち、上述したように、暖房時には内外気2層流モードへ切り替えられるのであるが、内外気2層流モードでは下層空気通路に内気が導入され、この内気は車室内の空気であることから温度が高い。冷却風通路を下層空気通路に連通させていると、内外気2層流モード時に温度の高い空気がモーターに供給されることになるので、モーターの冷却性能が低下する恐れがある。
【0010】
また、外気導入口が開かれるモードでは、雨水や洗車時の水が外気導入口からケーシングの内部に浸入し、この水が重力によって下層空気通路に流入してしまい、ケーシングの底壁部に溜まることになる。ケーシングの底壁部に溜まった水は送風用ファンが回転しても全てを吸い出すことはできず、水が下層空気通路に溜まったままとなりやすい。また、下層空気通路に溜まった水を排水するための排水用通路を設けることが考えられるが、排水用通路を設けたとしても、送風用ファンが回転すると排水用通路内が負圧になるので、下層空気通路に一旦水が溜まると排水することは困難である。冷却風通路を下層空気通路に連通させていると、下層空気通路に溜まった水がモーターへ流れ込んでしまう恐れがある。水がモーターに浸入するとモーターに不具合を発生させる原因になる。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、内外気2層流の送風装置において、モーターの冷却性能を向上させるとともに、モーターへの水の浸入を抑制してモーターに不具合が発生しないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明では、冷却風通路を上層空気通路に連通させるようにした。
【0013】
第1の発明は、車室内の空気を導入する内気導入口と、車室外の空気を導入する外気導入口とが外部に開放するように形成され、上記内気導入口及び上記外気導入口の両方に連通する上層空気通路及び下層空気通路が内部に形成されるとともに、上記内気導入口及び上記外気導入口を開閉する内外気切替ダンパを有するケーシングと、上記上層空気通路に回転中心線が上下方向に延びるように配設される上層送風用ファンと、上記下層空気通路に回転中心線が上下方向に延びるように配設される下層送風用ファンと、上記上層送風用ファン及び上記下層送風用ファンを回転駆動するモーターとを備え、上記上層送風用ファンによって上記上層空気通路内の空気を空調用空気として送風し、上記下層送風用ファンによって上記下層空気通路内の空気を空調用空気として送風するように構成された車両空調用送風装置において、上記上層空気通路は、上記ケーシングを構成している上層スクロール部の内部において上記上層送風用ファンを囲む周方向に延びた後、上記上層スクロール部の内部に設けられたノーズ部よりも下流側まで延びており、上記モーターに冷却風を供給する冷却風通路の上流端は、上記ケーシングの側壁部において上記上層空気通路の上記ノーズ部よりも下流側に対応する部分に開口するとともに、上記上層空気通路の上記ノーズ部よりも下流側に連通していることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、内外気切替ダンパの動作によって内気導入口を開き、かつ、外気導入口を閉じると、内気導入口から内気が導入される内気循環モードになる。内気循環モードでは、上層送風用ファン及び下層送風用ファンが回転することで、内気導入口から導入された内気が上層空気通路及び下層空気通路を流れて空調用空気として送風される。また、内外気切替ダンパの動作によって内気導入口を閉じ、かつ、外気導入口を開くと、外気導入口から外気が導入される外気導入モードになる。外気導入モードでは、上層送風用ファン及び下層送風用ファンが回転することで、外気導入口から導入された外気が上層空気通路及び下層空気通路を流れて空調用空気として送風される。さらに、内外気切替ダンパの動作によって内気導入口及び外気導入口を開くと、内外気2層流モードになり、上層送風用ファン及び下層送風用ファンが回転することで、外気導入口から導入された外気が上層空気通路及び下層空気通路の一方を流れ、内気導入口から導入された内気が他方を流れ、空調用空気として送風される。
【0015】
モーターに冷却風を供給する冷却風通路が上層空気通路に連通しているので、上層空気通路を流れる空気がモーターに供給されることになる。暖房時、内外気2層流モードにおいては、上層空気通路に外気が導入され、この外気は内気に比べて低温である。従って、モーターに低温の冷却風が供給されるので、モーターの冷却性能が高まる。
【0016】
また、冷却風通路が上層空気通路に連通しているので、下層空気通路に溜まった水がモーターへ流れ込んでしまうことはなく、モーターへの水の浸入が抑制される。
【0017】
また、仮に上層空気通路内に水が浸入した場合に、冷却風通路の上流端を側壁部に開口させていることで、上層空気通路内の水が冷却風通路に流入し難くなる。
【0018】
第2の発明は、第1の発明において、上記ケーシングには、上記冷却風通路の上流端の開口部の下部を覆う下側縦板部が設けられていることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、仮に上層空気通路内に水が浸入した場合に、上層空気通路内の水の流れが下側縦板部によって遮られ、冷却風通路の上流端の開口部へ向けて流れ難くなる。
【0020】
第3の発明は、第2の発明において、上記ケーシングには、該ケーシングの内部を上記上層空気通路と上記下層空気通路とに仕切るための仕切板が配設されており、上記仕切板には、上記下側縦板部が設けられていることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、仮に上層空気通路内に水が浸入した場合には、仕切板の上面に水が溜まることになる。この仕切板に下側縦板部を設けたことで、仕切板の上面に水が溜まったとしてもその水が冷却風通路の上流端の開口部へ向けて流れ難くなる。
【0022】
第4の発明は、第1から3のいずれか1つの発明において、上記ケーシングには、上記冷却風通路の上流端の開口部の上部を覆う上側縦板部が設けられていることを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、仮に上層空気通路内に上方から水が浸入した場合に、その水の流れが上側縦板部によって遮られ、冷却風通路の上流端の開口部へ向けて流れ難くなる。
【0024】
第5の発明は、第4の発明において、上記上側縦板部は、上記冷却風通路の上流端の開口部の縁部から延びるように形成されていることを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、ケーシングの側壁部を流れている水が冷却風通路の上流端の開口部に達し難くなる。
【0026】
第6の発明は、第4または5の発明において、上記ケーシングには、上記冷却風通路の上流端の開口部の上縁から上記上層空気通路内へ向けて延びる上板部が形成されていることを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、仮に上層空気通路内に上方から水が浸入した場合に、その水の流れが上板部によって遮られ、冷却風通路の上流端の開口部へ向けて流れ難くなる。
【発明の効果】
【0028】
第1の発明によれば、冷却風通路を上層空気通路に連通させるようにしたので、モーターの冷却性能を更に向上させることができるとともに、モーターへの水の浸入を抑制してモーターに不具合が発生しないようにすることができる。
【0029】
また、冷却風通路の上流端がケーシングの側壁部に開口しているので、仮に上層空気通路内に水が浸入した場合に、上層空気通路内の水が冷却風通路に流入し難くなり、モーターに不具合が発生しないようにすることができる。
【0030】
第2の発明によれば、上層空気通路内の水の流れを下側縦板部によって遮ることができ、水が冷却風通路の上流端の開口部へ向けて流れ難くなる。
【0031】
第3の発明によれば、上層空気通路と下層空気通路とを仕切るための仕切板に縦板部を設けたので、上層空気通路内の水の流れを下側縦板部によって確実に遮ることができる。
【0032】
第4の発明によれば、上方から水が流れてきた場合に、その水の流れを上側縦板部によって遮ることができ、水が冷却風通路の上流端の開口部へ向けて流れ難くなる。
【0033】
第5の発明によれば、上側縦板部が冷却風通路の上流端の開口部の縁部から延びているので、ケーシングの側壁部を流れている水が冷却風通路の上流端の開口部に達し難くなる。
【0034】
第6の発明によれば、冷却風通路の上流端の開口部の上縁から上層空気通路内へ向けて延びる上板部を形成したので、上方から水が流れてきた場合に、その水の流れを上板部によって遮ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の実施形態1に係る車両空調用送風装置を前側から見た斜視図である。
【
図3】
図2におけるIII-III線断面図である。
【
図4】上層空気通路近傍を下流側から見た拡大斜視図である。
【
図6】実施形態2に係る上層空気通路ケース部を左側から見た斜視図である。
【
図8】実施形態2に係る仕切板を左側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0037】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る車両空調用送風装置1の斜視図である。この車両空調用送風装置1は、例えば自動車の車室内に配設されて空調用空気を送風するためのものであり、図示しない空調ユニット(温度調整ユニット)と共に車両用空調装置を構成している。空調ユニットは、冷却用熱交換器と、加熱用熱交換器と、エアミックスダンパと、吹出方向切替ダンパと、これらを収容する空調ケーシングとを備えている。車両空調用送風装置1から送風された空調用空気は、空調ケーシングの内部に導入されて冷却用熱交換器及び加熱用熱交換器を通過して所望温度の空調風とされた後、吹出方向切替ダンパによって設定された吹出モードに応じて車室の各部に供給される。空調風の温度調整は、エアミックスダンパによって設定される加熱用熱交換器の空気通過量よって行われる。
【0038】
尚、この実施形態では、車両前側を単に「前」といい、車両後側を単に「後」といい、車両左側を単に「左」といい、車両右側を単に「右」というものとするが、これは説明の便宜を図るためであり、本発明を限定するものではない。
【0039】
車両空調用送風装置1は、図示しないが車室内の前端部に設けられているインストルメントパネルの内部に空調ユニットと共に収容されている。空調ユニットは、インストルメントパネルの内部において左右方向の略中央部に配置される一方、車両空調用送風装置1は、インストルメントパネルの内部において空調ユニットの助手席側(右ハンドル車の場合は左側、左ハンドル車の場合は右側)に配置される。この実施形態では、車両空調用送風装置1が右側に配置されている場合について説明する。
【0040】
(車両の構成)
図2に示すように、車両空調用送風装置1が配設される車両は、エンジンルームEと、車室Rとを区画するためのダッシュパネル(区画部材)100を備えている。エンジンルームEは車両の前部に設けられていて、エンジンや変速機等が配設されるようになっている。ダッシュパネル100は略上下方向に延びている。ダッシュパネル100の上部には、左右方向に延びるカウル101が配設されている。カウル101には、車室外に連通する連通口101aが形成されている。カウル101は車室外に配設されているものなので、カウル101には、雨水や洗車時の水、雪等が入ることがある。
【0041】
(車両空調用送風装置の構成)
図3にも示すように、車両空調用送風装置1は、上層送風用ファン(第1送風用ファン)40と、下層送風用ファン(第2送風用ファン)50と、送風用ファン40、50を結合するための結合部材60と、送風用ファン40、50を回転駆動するためのモーター65と、第1内外気切替ダンパ4と、第2内外気切替ダンパ5と、エアフィルタ6と、内外気切替用アクチュエータ7と、送風ケーシング8とを備えている。
【0042】
送風ケーシング8は、
図1に示すように、空気導入ケース部81と、上層空気通路ケース部82と、下層空気通路ケース部83と、下側ケース部84と、仕切板85とで構成されている。空気導入ケース部81、上層空気通路ケース部82、下層空気通路ケース部83、下側ケース部84及び仕切板85は締結部材等によって一体化されている。この送風ケーシング8の内部には、上層送風用ファン40、下層送風用ファン50、第1内外気切替ダンパ4、第2内外気切替ダンパ5及びエアフィルタ6が収容されている。
【0043】
図2及び
図3に示すように、送風ケーシング8の空気導入ケース部81の上壁部には、その前側部分に、車室外の空気(外気)を送風ケーシング8に導入するための外気導入口9が形成されている。送風ケーシング8における外気導入口9の周縁部には、上方へ延びる外気導入ダクト10が設けられており、この外気導入ダクト10の上流端がカウル101の連通口101aに接続されている。つまり、外気導入口9は、外気導入ダクト10及び連通口101aを介して車室外と連通している。外気導入口9は、左右方向に長い形状とすることができる。外気導入ダクト10には、雨水や洗車時の水、雪等が浸入することがある。
【0044】
送風ケーシング8の空気導入ケース部81の上壁部には、その後側部分に、内気導入口11が外気導入口9の後側に隣接するように形成されている。内気導入口11は車室内に開口しており、車室内の空気(内気)を送風ケーシング8に導入するためのものである。内気導入口11も、左右方向に長い形状とすることができ、開口面積を十分に確保している。
【0045】
送風ケーシング8の周壁部8bの内方における上側には、外気導入口9及び内気導入口11が連通するフィルタ収容空間Sが設けられている。フィルタ収容空間Sには、上記フィルタ6が配設されている。フィルタ6は、プリーツ成形された空気濾過用の濾材6aと、濾材6aを囲むように設けられて該濾材6aと一体化されている枠材6bと、送風ケーシング8のフィルタ挿入部を閉塞するための蓋6cとを備えている。フィルタ6は、フィルタ収容空間Sにおいて略水平方向に延びるように配置され、送風ケーシング8の内面に支持されている。フィルタ収容空間Sは、送風ケーシング8の空気導入ケース部81に設けられている。
【0046】
送風ケーシング8の周壁部8bの内方におけるフィルタ収容空間Sよりも下側(空気流れ方向下流側)には、上層空気通路(第1空気通路)17と、下層空気通路(第2空気通路)18とが形成されている。すなわち、送風ケーシング8の上層空気通路ケース部82には、フィルタ収容空間Sから下方に離れた部分に、上層スクロール部13が形成され、また、下層空気通路ケース部83には、上層スクロール部13の下側に隣接するように、下層スクロール部14が形成されている。上層スクロール部13と下層スクロール部14とは略同心上に位置している。また、上層スクロール部13と下層スクロール部14との間には、仕切板85が配設されている。
【0047】
図3に示すように、上層スクロール部13の上壁部には上層ベルマウス13aが上方に向けて開口している。この上層ベルマウス13aは、送風ケーシング8の周壁部8bの内方において左右方向中央部から左側に偏位している。上層ベルマウス13aの右縁部には、上方へ突出する下側仕切板15が設けられている。下側仕切板15はフィルタ収容空間S内まで延びており、これにより、フィルタ収容空間S及びフィルタ収容空間Sよりも下流側の空間が左右に2つに区画される。また、下層スクロール部14の下壁部には、下層ベルマウス14aが下方に向けて開口している。下層ベルマウス14aと上層ベルマウス13aは、略同心上に位置している。
【0048】
送風ケーシング8の内方には、下側仕切板15の上方への延長線上に位置するように上側仕切板16が配設されている。上側仕切板16により、フィルタ収容空間Sよりも空気流れ方向上流側の空間が左右に2つに区画される。
【0049】
下側仕切板15及び上側仕切板16よりも左側の空間が上層空気通路17の上流側とされており、この上層空気通路17の上流側は上層ベルマウス13aまで延びている。そして、上層空気通路17の下流側は、上層ベルマウス13aから上層スクロール部13の内部まで延び、上層スクロール部13の内部において周方向に延びた後、左側へ延びている。
【0050】
また、下側仕切板15及び上側仕切板16よりも右側の空間が下層空気通路18とされている。下層空気通路18の上流側は、上層スクロール部13及び下層スクロール部14の外面と、送風ケーシング8の周壁部8bの内面との間を下方へ延びて送風ケーシング8の底壁部8aに達している。つまり、下層空気通路18は、上層空気通路17よりも下方まで延びている。下層空気通路18の上流側は下層ベルマウス14aまで延びている。
【0051】
下層空気通路18の下流側は、下層ベルマウス14aから下層スクロール部14の内部まで延び、下層スクロール部14の内部において周方向に延びた後、左側へ延びている。下層空気通路18の下流側は、上層空気通路17の下流側の下側に位置している。
【0052】
図1に示すように、上層空気通路17の下流側と、下層空気通路18の下流側とは、仕切板85によって仕切られている。
【0053】
上記モーター65は、送風ケーシング8の底壁部8aに固定されるモーターフランジ65bを有している。モーター65の出力軸65aは、上下方向に延び、送風ケーシング8の下層スクロール部14から上層スクロール部13の内部に達している。出力軸65aの断面は円形状の場合や、一部が平坦な略D字形状の場合等がある。
【0054】
上層送風用ファン40及び下層送風用ファン50は、それぞれ樹脂材により成形されて別体とされている。つまり、上層送風用ファン40は専用の金型を使用して全体が射出成形法により一体成形されてなるものであり、また、下層送風用ファン50も専用の金型を使用して全体が射出成形法により一体成形されてなるものである。
【0055】
上記上層送風用ファン40は、遠心式ファンであり、上層スクロール部13の内部、即ち上層空気通路17の内部において回転中心線が上下方向に延びる姿勢となるように配設されている。上層送風用ファン40が回転することでその上方から吸い込んだ空気を径方向に吹き出すように構成されている。
【0056】
図3に示すように、上層送風用ファン40の下側には円形板部41が設けられている。この円形板部41の周縁部には、上方へ延びる複数のブレード42が周方向に互いに間隔をあけて設けられている。ブレード42の上端部は周方向に連結されている。円形板部41は、上層送風用ファン40の回転中心部が最も上に位置するように形成され、そこから周縁部に向かって徐々に下に位置するように湾曲形成されている。円形板部41の周縁部近傍は、上層送風用ファン40の回転中心線の径方向に延出している。上層送風用ファン40のファン径は、上層送風用ファン40の径方向の寸法であり、上層送風用ファン40の高さは、上層送風用ファン40の中心線方向の寸法である。
【0057】
上層送風用ファン40の円形板部41の中心部には、上方へ突出するとともに両端に開放する上側円筒部43と、下方へ突出するとともに両端に開放する下側円筒部44とが設けられている。上側円筒部43と下側円筒部44とは、上層送風用ファン40の回転中心線と同心上に位置しており、上側円筒部43の下端部と、下側円筒部44の上端部とは連通している。上側円筒部43は下側円筒部44よりも小径とされている。また、下側円筒部44における中心線方向の長さは、上側円筒部43における中心線方向の長さよりも長くなっている。
【0058】
図1及び
図2に示すように、上記下層送風用ファン50は、遠心式ファンであり、下層スクロール部14の内部、即ち下層空気通路18の内部において回転中心線が上下方向に延びる姿勢となるように配設されている。下層送風用ファン50が回転することでその下方から吸い込んだ空気を径方向に吹き出すように構成されている。
【0059】
図3に示すように、下層送風用ファン50の上側には円形板部51が設けられている。
図1及び
図2に示すように、下層送風用ファン50の円形板部51と、上層送風用ファン40の円形板部41とは互いに上下方向に所定の隙間をあけた状態で対向している。下層送風用ファン50の円形板部51の周縁部には、下方へ延びる複数のブレード52が周方向に互いに間隔をあけて設けられている。ブレード52の下端部は周方向に連結されている。円形板部51は、下層送風用ファン50の回転中心部が最も下に位置するように形成され、そこから周縁部に向かって徐々に上に位置するように湾曲形成されている。円形板部51の周縁部近傍は、下層送風用ファン50の回転中心線の径方向に延出している。下層送風用ファン50のファン径は、下層送風用ファン50の径方向の寸法であり、下層送風用ファン50の高さは、下層送風用ファン50の中心線方向の寸法である。
【0060】
図3に示すように、下層送風用ファン50の円形板部51の中心部には、上方へ突出するとともに両端に開放する上側円筒部53と、下方へ突出するとともに両端に開放する下側円筒部54とが設けられている。上側円筒部53と下側円筒部54とは、下層送風用ファン50の回転中心線と同心上に位置しており、上側円筒部53の下端部と、下側円筒部54の上端部とは連通している。下側円筒部54は上側円筒部53よりも小径とされている。また、上側円筒部53における中心線方向の長さは、下側円筒部54における中心線方向の長さよりも長くなっている。
【0061】
結合部材60は、上層送風用ファン40の下側円筒部44及び下層送風用ファン50の上側円筒部53に挿入される筒状部材で構成され、モーター65の出力軸65aの中心線に沿って上下方向に延びている。この結合部材60は、上層送風用ファン40及び下層送風用ファン50を構成する樹脂材よりも高い強度を有する樹脂材を射出成形してなるものである。
【0062】
図3に示すように、結合部材60には、モーター65の出力軸65aが挿入された状態で嵌合する。嵌合状態では、出力軸65aと結合部材60との相対的な回転が抑制される。
【0063】
(内外気切替ダンパの構成)
図2及び
図3に示す第1内外気切替ダンパ4及び第2内外気切替ダンパ5は独立して動作し、共に、外気導入口9と内気導入口11を開閉するロータリーダンパである。第1内外気切替ダンパ4は、上層空気通路17の上流側に配置されており、外気導入口9と内気導入口11を開閉することによって外気だけ、内気だけ及び両方のうちの任意の1つを選択して上層空気通路17に流入させる。また、第2内外気切替ダンパ5は、下層空気通路18の上流側に配置されており、外気導入口9と内気導入口11を開閉することによって外気だけ、内気だけ及び両方のうちの任意の1つを選択して下層空気通路18に流入させる。
【0064】
具体的には、第1内外気切替ダンパ4の左端部には左側円筒部4aが設けられ、右端部には右側円筒部4bが設けられている。左側円筒部4a及び右側円筒部4bは、左右方向に延びており、互いに同心上に位置している。そして、第1内外気切替ダンパ4の左側円筒部4aと右側円筒部4bとの間の部分は、左側円筒部4a及び右側円筒部4bを連結するように左右方向に延びる閉塞板部4cとされている。左側円筒部4a及び右側円筒部4bは送風ケーシング8に回動可能に支持されている。従って、閉塞板部4cは左右方向に延びる中心線周りに前後方向に回動する。
【0065】
図2及び
図3に示すように閉塞板部4cが後側に回動すると外気導入口9が全開となり、かつ、内気導入口11が全閉となって外気だけが導入される。一方、図示しないが、閉塞板部4cが前側に回動すると外気導入口9が全閉となり、かつ、内気導入口11が全開となって内気だけが導入される。また、閉塞板部4cを中間位置で停止させることにより、外気導入口9及び内気導入口11が開き、外気と内気が導入される。左側円筒部4aは、送風ケーシング8の周壁部8bを貫通して外方へ突出している。左側円筒部4aに内外気切替用アクチュエータ7の駆動力が伝達部材42を介して伝達されて第1内外気切替ダンパ4が回動するようになっている。
【0066】
第2内外気切替ダンパ5も基本的には第1内外気切替ダンパ4と同様に構成されており、左右方向に延びる左側軸部5a及び右側軸部5bと、閉塞板部5cとを有していて、閉塞板部5cは左右方向に延びる中心線周りに前後方向に回動し、これにより、外気だけが導入される状態、内気だけが導入される状態、外気と内気が導入される状態のいずれかに切り替えられる。左側軸部5a及び右側軸部5bは送風ケーシング8に回動可能に支持されている。左側軸部5aには、左右方向に延びる駆動軸41の右端部が相対回転不能に結合されている。この駆動軸41には、リンク部材40を介して内外気切替用アクチュエータ7の駆動力が伝達され、これにより、第2内外気切替ダンパ5が回動するようになっている。尚、第1内外気切替ダンパ4と第2内外気切替ダンパ5とには別々に駆動力が伝達されるようになっており、これは例えば周知のリンク機構によって可能となっている。また、第1内外気切替ダンパ4と第2内外気切替ダンパ5とを別々のアクチュエータで駆動することも可能である。
【0067】
(冷却風通路70の構成)
図1や
図3に示すように、送風ケーシング8には、モーター65に冷却風を供給するための冷却風通路70が設けられている。冷却風通路70は、たとえば送風ケーシング8に一体成形したダクト等の内部に形成することもできるし、送風ケーシング8とは別部材からなるダクト等の内部に形成することもできる。冷却風通路70の下流端は、モーター65の内部に連通している。この冷却風通路70の下流端の連通構造は、従来から周知のものであるので詳細な説明は省略する。
【0068】
図1や
図3に示すように、冷却風通路70は上下方向に延びるように形成することができる。この冷却風通路70の上流端(上端)は上層空気通路17に連通している。すなわち、
図4に示すように、冷却風通路70の上流端の開口部71は、送風ケーシング8の上下方向に延びる側壁部において、仕切板85よりも上側の部分に開口している。具体的には、開口部71は、上層空気通路ケース部82の側壁部に開口している。開口部71は、上層空気通路17の下流側、即ち左側へ延びる部分に臨むように開口しており、この上層空気通路17の下流側を流れる空気が開口部71に流入するようになっている。
【0069】
図4に示すように、冷却風通路70の上流端の開口部71は、上層空気通路17の長手方向に所定の幅寸法Wを有しており、また、上層空気通路17の高さ方向に所定の高さ寸法Hを有している。幅寸法W及び高さ寸法Hは任意に設定することができ、十分な量の冷却風を導入可能な開口面積となるように設定されている。
【0070】
冷却風通路70の上流端の開口部71の下縁部は、仕切板85の上面と略同じ高さに位置している。この実施形態では、送風ケーシング8の仕切板85に、冷却風通路70の上流端の開口部71の下部を覆う下側縦板部85aが設けられている。下側縦板部85aは、仕切板85の上面から上方へ突出するとともに、上層空気通路17の空気流れ方向に沿って延びている。下側縦板部85aの高さ寸法は、開口部71の高さ寸法Hよりも短く設定されており、下側縦板部85aの上縁部は、開口部71の上下方向中央部よりも下に位置している。これにより、下側縦板部85aによって閉塞されてしまう開口部71の面積が十分に小さくなり、冷却風の取り込みに殆ど悪影響を与えないようにすることができる。
【0071】
また、下側縦板部85aの長さは、上層空気通路17の幅寸法Wよりも長く設定されている。下側縦板部85aの長さは、上層空気通路17の幅寸法Wと同じに設定することもできる。
【0072】
(実施形態の作用効果)
車両への搭載状態では、第1内外気切替ダンパ4及び第2内外気切替ダンパ5を独立して作動させることで、上層空気通路17及び下層空気通路18に外気を導入する外気導入モードと、上層空気通路17及び下層空気通路18に内気を導入する内気循環モードと、上層空気通路17に外気を導入し、下層空気通路18に内気を導入する内外気2層流モードとの3つのモードのうち、任意の1つに切り替えられる。内気循環モード、外気導入モード及び内外気2層流モードの切替は、従来から周知のオートエアコン制御によって行われる。内外気2層流モードにすることで、冬季には比較的乾燥した外気をデフロスト吹出口に供給してフロントウインドガラスの曇りを良好に晴らしながら、比較的暖かい内気をヒート吹出口に供給して暖房効率を向上させることができる。
【0073】
モーター65に冷却風を供給する冷却風通路70が上層空気通路17に連通しているので、上層空気通路17を流れる空気がモーター65に供給されることになる。暖房時、内外気2層流モードにおいては、上層空気通路17に外気が導入され、この外気は内気に比べて低温である。従って、モーター65に低温の冷却風が供給されるので、モーター65の冷却性能が高まる。
【0074】
また、冷却風通路70が上層空気通路17に連通しているので、下層空気通路18に溜まった水がモーター65へ流れ込んでしまうことはなく、モーター65への水の浸入が抑制される。
【0075】
また、上層空気通路17内に水が浸入した場合を想定すると、上層空気通路17内の水の流れが下側縦板部85aによって遮られる。また、仕切板85の上面に水が溜まったとしてもその水が冷却風通路70の上流端の開口部71へ向けて流れ難くなる。従って、モーター65への水の浸入を抑制できる。
【0076】
また、例えば車両の開発過程において、車両空調用送風装置1が搭載される車種によって上層送風用ファン40及び下層送風用ファン50のうち、一方の送風ファンのファン径やファン高さ等の各種寸法変更を行う場合がある。この実施形態では、上層送風用ファン40と下層送風用ファン50とが別体であるため、一方の送風ファンの寸法変更を行ったとしても、他方の送風ファンには影響を与えることはなく、他方の送風ファンまで新設する必要はなく、安価に対応できる。また、上層送風用ファン40と下層送風用ファン50とが別体であるため、一体成形する場合のようなスライド型は不要になり、金型費用を削減できる。
【0077】
(実施形態2)
図5~
図9は、本発明の実施形態2に係るものである。実施形態2では、冷却風通路70への水浸入防止構造が実施形態1のものと異なっており、他の部分は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0078】
実施形態2では、送風ケーシング8に、冷却風通路70の上流端の開口部71の上部を覆う上側縦板部82aが設けられている。上側縦板部82aは、上層空気通路ケース部82の側壁部に一体成形されていて、冷却風通路70の上流端の開口部71の縁部から延びている。すなわち、上側縦板部82aの基端部は、開口部71における上層空気通路17の流れ方向上流側の縁部に連なっている。上側縦板部82aは、開口部71における上層空気通路17の流れ方向上流側の縁部から下流側へ向かって延びており、下流側へ行くほど、前側(開口部71から離れる側)に位置するように、上層空気通路17の主流方向に対して傾斜している。
【0079】
また、実施形態2では、送風ケーシング8に、冷却風通路70の上流端の開口部71の上縁から上層空気通路17内へ向けて延びる上板部82bが形成されている。上板部82bは、開口部71の上縁から上側縦板部82aの上縁まで延びており、上層空気通路17の内壁と上側縦板部82aの上縁とを連結する連結壁部である。上板部82bの幅は、上側縦板部82aの傾斜に対応しており、上層空気通路17の流れ方向下流側へ行くほど広くなっている。
【0080】
また、実施形態2では、送風ケーシング8の仕切板85に、下側傾斜板部85bが設けられている。下側傾斜板部85bは、仕切板85の上面から上方へ突出している。下側傾斜板部85bは、上側縦板部82aの直下方に位置しており、上側縦板部82aと同様に、上層空気通路17の主流方向に対して傾斜している。下側傾斜板部85bの上縁と、上側縦板部82aの下縁とは当接させることができる。
【0081】
この実施形態2では、モーター65に冷却風を供給する冷却風通路70が上層空気通路17に連通しているので、実施形態1と同様な作用効果を奏することができる。また、仮に上層空気通路17内に上方から水が浸入した場合に、その水の流れを上側縦板部82aによって遮ることができ、冷却風通路70の上流端の開口部17へ向けて流れ難くすることができる。
【0082】
また、上記実施形態1、2では、車両空調用送風装置1が助手席の前方に配設されているセミセンタユニットに本発明を適用した場合について説明したが、これに限らず、車両空調用送風装置1を車両の左右方向中央部に配設したフルセンタユニットに本発明を適用してもよい。
【0083】
また、車両空調用送風装置1と空調ユニットとは一体化されていてもよい。
【0084】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上説明したように、本発明に係る車両空調用送風装置は、例えば、車両用空調装置の送風ユニットとして使用することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 車両空調用送風装置
4 第1内外気切替ダンパ
5 第2内外気切替ダンパ
8 送風ケーシング
9 外気導入口
11 内気導入口
17 上層空気通路
18 下層空気通路
40 上層送風用ファン
50 下層送風用ファン
65 モーター
70 冷却風通路
71 開口部
82a 上側縦板部
82b 上板部
85 仕切板
85a 下側縦板部