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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-21
(45)【発行日】2022-05-02
(54)【発明の名称】燃料供給装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/035 20060101AFI20220422BHJP
   B60K 15/04 20060101ALI20220422BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20220422BHJP
   F16K 15/06 20060101ALI20220422BHJP
   F16K 15/14 20060101ALI20220422BHJP
【FI】
B60K15/035 B
B60K15/04 C
F02M37/00 301E
F02M37/00 311A
F02M37/00 311K
F16K15/06
F16K15/14 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018042580
(22)【出願日】2018-03-09
(65)【公開番号】P2019156015
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120765
【弁理士】
【氏名又は名称】小滝 正宏
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】小島 功司
(72)【発明者】
【氏名】酒井 孝典
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 喜弘
(72)【発明者】
【氏名】下川 晋治
(72)【発明者】
【氏名】田代 和浩
【審査官】田中 成彦
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1597319(KR,B1)
【文献】特開昭48-045925(JP,A)
【文献】特開平10-054469(JP,A)
【文献】特開2012-077894(JP,A)
【文献】特開2008-055996(JP,A)
【文献】特開2006-138260(JP,A)
【文献】特開2003-252071(JP,A)
【文献】特開昭62-029418(JP,A)
【文献】実開平05-012236(JP,U)
【文献】実開昭63-080217(JP,U)
【文献】実開昭57-175865(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2001/0042750(US,A1)
【文献】米国特許第06415827(US,B1)
【文献】米国特許第06105612(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/035
B60K 15/04
F02M 37/00
F16K 15/06
F16K 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給油口から燃料タンクに至るインレットパイプと、
該インレットパイプの側面に設けられ、前記インレットパイプから突出する筒状部と、
該筒状部に配設される弁体と、
前記筒状部の底面に設けられ、大気を前記インレットパイプ内に導入可能な孔部と、
前記筒状部の底面に設けられた弁体取り付け部と、
前記筒状部に取り付けられ、前記弁体に当接するバルブキャップ、フィルタハウジング、大気導入口及びエアフィルタを有するフィルタユニットと、を備え、
前記弁体は、前記バルブキャップ側において前記バルブキャップ方向に突出する突起部を備え、前記弁体取り付け部に取り付けられ、前記燃料タンク内が負圧になったときに前記バルブキャップから開弁し、
前記バルブキャップの前記弁体との当接側は、前記フィルタハウジングから突出していることを特徴とする燃料供給装置。
【請求項2】
前記弁体の前記突起部は、前記弁体の付け根部から前記バルブキャップ方向に向けて、筒状の錐台形が分割された形状になっている請求項1に記載の燃料供給装置。
【請求項3】
前記突起部の前記弁体との付け根部の外形は、前記バルブキャップの内形より僅かに小さくなっている請求項1又は請求項2に記載の燃料供給装置。
【請求項4】
前記弁体の前記突起部は、前記弁体が前記フィルタユニットに取り付けられたときに前記バルブキャップを越えて延在し、さらに前記突起部の先端部分には、前記バルブキャップ側方向に突出する鍵状部が設けられている請求項1乃至請求項3に記載の燃料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンク内の圧力が低下した場合に、インレットパイプに取り付けられた筒状部内の弁体の開弁により大気を流入させる燃料供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の燃料タンク内の圧力が低下した場合は、大気中の空気を燃料タンク内に流入させ、燃料タンク内の圧力低下を解消することが必要である。そのために、フィラーネックに装着するフューエルキャップに負圧弁を設け、燃料タンクの圧力低下時に、大気中の空気を燃料タン内へ流入させ、燃料タンク内の圧力低下を解消する技術が提案されている。(特許文献1参照)
【0003】
ところで、特許文献1の技術の場合、大気中に含まれる塵が燃料タンクに入り込むのを抑制するため、フューエルキャップ内の空気流路を屈曲にし、2か所の塵溜め凹部を設けている。しかし、大気中に含まれる塵は、塵溜め凹部のみならず、負圧弁にも付着し、弁機能が損なわれる恐れがある。
【0004】
そこで、図5に示すように、給油口から燃料タンクに至るインレットパイプ12と、インレットパイプ12に設けられた筒状部15と、筒状部15内に取り付けられ、燃料タンク内が負圧になったときに開弁する弁体20と、インレットパイプ12に設けられた筒状部15に取り付けられたエアフィルタ33を収容するフィルタユニット30を備えることで弁体20の作動の信頼性を向上させ、上記の問題を克服したものがある。
【0005】
しかし、インレットパイプ12から突出する筒状部15に弁体20を取り付ける場合、細い筒状部15内に予めバネ部材18が取り付けられた弁体20を差し込まなければならず、取り付け後も弁体20は安定していない。また、その後にエアフィルタ33を有するフィルタユニット30を取り付ける場合、弁体20を押さえつつフィルタユニット30を取り付ける必要があり、作業性が悪い。
【0006】
さらに、この筒状部15にフィルタユニット30を取り付ける時には、弁体20が見えない状況で行う作業となり、取り付けの確実性に不安がある。特に溶着によりフィルタユニット30を筒状部15に固定する場合は、筒状部15とフィルタユニット30の位置決めが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平5-301530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、筒状部への弁体の差し込みやフィルタユニットの取り付け及び固定を、容易に、且つ確実に行うことを可能とする燃料供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、給油口から燃料タンクに至るインレットパイプと、インレットパイプの側面に設けられ、インレットパイプから突出する筒状部と、筒状部に配設される弁体と、筒状部の底面に設けられ、大気を前記インレットパイプ内に導入可能な孔部と、筒状部の底面に設けられた弁体取り付け部と、筒状部に取り付けられ、弁体に当接するバルブキャップ、フィルタハウジング、大気導入口及びエアフィルタを有するフィルタユニットと、を備え、弁体は、バルブキャップ側においてバルブキャップ方向に突出する突起部を備え、弁体取り付け部に取り付けられ、燃料タンク内が負圧になったときにバルブキャップから開弁し、バルブキャップの弁体との当接側は、フィルタハウジングから突出していることを特徴とする燃料供給装置である。
【0010】
請求項1の本発明では、給油口から燃料タンクに至るインレットパイプと、インレットパイプの側面に設けられ、インレットパイプから突出する筒状部と、筒状部に配設される弁体と、筒状部の底面に設けられ、大気を前記インレットパイプ内に導入可能な孔部と、筒状部の底面に設けられた弁体取り付け部と、筒状部に取り付けられ、弁体に当接するバルブキャップ、フィルタハウジング、大気導入口及びエアフィルタを有するフィルタユニットと、を備えている。このため、燃料タンク内が負圧になったときにインレットパイプから突出する筒状部の孔部から大気を導入することで燃料タンク内の負圧を解消することができる。
【0011】
また、筒状部に取り付けられ、弁体に当接するバルブキャップ、フィルタハウジング、大気導入口及びエアフィルタを有するフィルタユニットを備えているので、大気に含まれる塵埃をエアフィルタから先に通過することを阻止し、バルブキャップと弁体間の機密性を確保することができる。
【0012】
さらに、弁体のバルブキャップ側においてバルブキャップ方向に突出する突起部を備えているので、弁体の突起部は、弁体を弁体取り付け部に取り付けるときの持ち手になり、取り付けの確実性と作業性が向上する。
さらに、バルブキャップの弁体との当接側は、フィルタハウジングから突出しているので、後にフィルタユニットを筒状部に取り付けるときにバルブキャップが弁体を押しつける形となり、バルブキャップと弁体を確実に当接させることができる。
【0013】
請求項2の本発明は、弁体の突起部は、弁体の付け根部からバルブキャップ方向に向けて、筒状の錐台形が分割された形状になっている燃料供給装置である。
【0014】
請求項2の本発明では、弁体の突起部は、弁体の付け根部からバルブキャップ方向に向けて、筒状の錐台形が分割された形状になっているので、弁体を弁体取り付け部に取り付けるときの持ち手として用いる場合には、分割された形状のため、分割各部分が、若干の弾性を有し、突起部を確実に掴むことができる。また、突起部は、弁体に向けてすそ野が拡がった形状になっているため、フィルタユニットを筒状部に取り付けるときに、弁体とバルブキャップの位置に少しズレがあっても、正規の位置に戻すことができる。
【0015】
請求項3の本発明は、突起部の弁体との付け根部の外形は、バルブキャップの内形より僅かに小さくなっている燃料供給装置である。
請求項3の本発明では、突起部の弁体との付け根部の外形は、バルブキャップの内形より僅かに小さくなっているので、フィルタユニットのバルブキャップを弁体上に取り付けるガイドになり、取り付けの確実性と作業性が向上する。
【0016】
なお、バルブキャップが筒状の円柱であり、突起部が筒状の円錐台を分割した形状である場合、バルブキャップの内形とは、筒状の円柱の内径であり、突起部の弁体との付け根部の外形とは、筒状の円錐台の底面の外径である。
【0017】
請求項4の本発明は、弁体の突起部は、弁体がフィルタユニットに取り付けられたときにバルブキャップを越えて延在し、さらに突起部の先端部分には、バルブキャップ側方向に突出する鍵状部が設けられている燃料供給装置である。
【0018】
請求項4の本発明では、弁体の突起部は、弁体がフィルタユニットに取り付けられたときにバルブキャップを越えて延在し、さらに突起部の先端部分には、バルブキャップ側方向に突出する鍵状部が設けられているので、突起部がバルブキャップ内を通過するときは、鍵状部の存在によって突起部が内側に撓み、突起部がバルブキャップに接しつつ通過することになり、弁体の取り付けの確実性が増す。
【0019】
また、鍵状部がフィルタユニットのバルブキャップを通過し終わると、突起部の撓んだ状態が解放され、元に戻るときに「カチツ」という音がするため、弁体がバルブキャップに確実に取り付けられたことを確認することができる。
【発明の効果】
【0020】
燃料タンク内が負圧になると弁体が開弁し、大気がエアフィルタと弁体を通って燃料タンク内に流入する。この時、大気中の塵埃がエアフィルタで除去されるので、大気中の塵埃噛み込みに基づく弁体の作動不良が防止できる。
【0021】
また、弁体の突起部は、弁体取り付け部に取り付けるときの弁体の持ち手になり、フィルタユニットのバルブキャップを弁体上に取り付けるガイドになるので、取り付けの確実性と作業性が向上する。さらに、バルブキャップの弁体との当接側は、フィルタハウジングから突出しているので、後にフィルタユニットを筒状部に取り付けるときにバルブキャップが弁体を押しつける形となり、バルブキャップと弁体を確実に当接させることができる。さらに、鍵状部がフィルタユニットのバルブキャップを通過し終わると突起部の撓みが解放され、元の形状に戻る時に「カチツ」という音がするので、突起部がバルブキャップに確実に取り付けられたことを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態1の燃料供給装置の正面図である。
図2】本発明の実施形態1のバルブモジュールの正断面図である。
図3】本発明の実施形態1の燃料供給装置に用いられる弁体の斜視図である。
図4】本発明の実施形態2のバルブモジュールの正面図である。
図5】フィルタユニットを用いた燃料供給装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、燃料タンク内の圧力が低下した場合に、インレットパイプに取り付けられた筒状部内の弁体の開弁により大気を流入させる燃料供給装置に関し、弁体取り付けの作業性と確実性を向上させる燃料供給装置に関するものである。
【0024】
図1は、本発明の実施形態1の燃料供給装置40の正面図であり、図2は、バルブモジュール50の正断面図である。実施形態1の燃料供給装置40は、燃料タンク11と、燃料タンク11に燃料を供給するインレットパイプ12と、インレットパイプ12の給油口13を開閉するフューエルキャップ14と、インレットパイプ12の給油口13近傍に設けられた筒状部15と、筒状部15に配設される弁体20と、筒状部15に取り付けられたフィルタユニット30とを備えている。なお、バルブモジュール50とは、インレットパイプ12の筒状部15と、筒状部15に配設される弁体20と、筒状部15に取り付けられたフィルタユニット30を合わせた部分の総称である。本実施形態において、インレットパイプ12、筒状部15、フィルタハウジング32、バルブキャップ34、弁体20及び突起部21はいずれも樹脂製である。また、筒状部15、バルブキャップ34、弁体20は円柱形状である。
【0025】
図2に示すように、インレットパイプ12の側面に設けられた筒状部15には、弁体20が開弁時にフィルタユニット30から供給される大気がインレットパイプ12内に流入可能な孔部16と、大気の流入を制御する弁体20とバネ部材18が取り付けられる弁体取り付け部17が設けられている。
【0026】
弁体20のインレットパイプ12側には、バネ部材18を取り付けるバネ部材取り付け溝23が、また、バネ部材18を取り付けた弁体20を筒状部15の弁体取り付け部17に取り付ける弁体取り付け溝24が設けられている。一方、弁体20の弁体取り付け溝24とは反対の面には、突起部21が設けられている。突起部21は弁体20から離れる方向において、内側に傾斜している。
【0027】
フィルタユニット30は、フィルタハウジング32、エアフィルタ33とバルブキャップ34から構成されている。フィルタハウジング32のバルブキャップ34から最も遠い位置に内に大気の導入口31が設けられている。また、フィルタハウジング32の導入口31の下流側には蛇腹形状のエアフィルタ33が収容されている。
【0028】
フィルタハウジング32のインレットパイプ12の筒状部15側には、弁体20をインレットパイプ12側に押さえるバルブキャップ34が配設されている。フィルタハウジング32とバルブキャップ34は溶着により一体化されている。
【0029】
バルブキャップ34の弁体20との当接側は、フィルタハウジング32から突出するようにフィルタハウジング32に取り付けられる。これは、後にフィルタユニット30を筒状部15に取り付けるときにバルブキャップ34が弁体20を押しつける形となり、バルブキャップ34と弁体20を確実に当接させるためである。
【0030】
その結果、バルブキャップ34と弁体20とは、通常、当接しており、その状態では、フィルタハウジング32内の大気は弁体20で完全に遮断され、弁体20を通過し、孔部16からインレットパイプ12内に大気が漏れることはない。
【0031】
図3に示すように、弁体20のバルブキャップ34との当接側には、突起部21が設けられている。突起部21は、筒状の円錐台が4分割された形状になっている。突起部21が筒状の錐台形状、本実施形態では、円錐台形状のため、突起部21は軽くて済むので、燃料タンク11が負圧になったときに、バネ部材18の付勢に抗して弁体20は確実に作動する。また、分割された形状のため、突起部を確実に掴むことができる。
【0032】
本実施形態では、突起部21は、筒状の円錐台が4分割された形状としたが、分割は4分割には限られず、また、分割された突起部21の各々の形状は、同一でも異なっていてもよい。さらに、突起部21の厚さについては、均一でもよいが、突起部21と弁体20との付け根部分の強度と突起部21の軽量化を考慮すると、突起部21は、突起部21と弁体20との付け根部分が厚く、径が狭まるにつれて薄くなるようにすることが望ましい。
【0033】
筒状の円錐台形状の突起部21の上面と底面の径については、突起部21が弁体20を取り付けるときの持ち手になること、バルブキャップ34を取り付けるときのガイドになることを考慮すると大きな差があることは望ましくなく、円錐台の底面と側面が形成する角度は60度以上85度以下が望ましい。また、突起部21の高さは、突起部21が弁体20を取り付けるときの持ち手になり、弁体20を筒状部15に取り付けることを考慮すると10mm以上が望ましい。
【0034】
筒状の円錐台形状の突起部21の底面の径については、突起部21が、フィルタユニット30を筒状部15に取り付けるとき、すなわち、バルブキャップ34を弁体20上に取り付けるときにガイドになることを考慮し、円錐台の底面の外径は、筒状の円柱形状のバルブキャップ34の内径より僅かに小さく形成することが望ましい。そして、弁体20において、突起部21の外側部分がバルブキャップ34と当接する。
【0035】
なお、突起部21は、弁体20と同一材料であってもよいし、異種材料であってもよい。また、弁体20に接着や溶着で組み付けてもよいし、弁体20と一体成形してもよい。
【0036】
本実施形態のバルブモジュール50は、以下のように組付けられる。まず、弁体20のバネ部材取り付け溝23にバネ部材18を装着し、その後、インレットパイプ12の筒状部15に形成された弁体取り付け部17に弁体取り付け溝24を挿入して取り付ける。この時、弁体20は、弁体取り付け部17に弁体取り付け溝24が挿入されているので、図面上で左右方向に移動可能であり、固定されていない。なお、弁体20の突起部21は、弁体20を弁体取り付け部17に取り付けるときの持ち手になる。
【0037】
次に、エアフィルタ33が収容され、バルブキャップ34が溶着により一体化されたフィルタユニット30をインレットパイプ12の筒状部15に取り付ける。この時、バルブキャップ34の先端部分が弁体20を筒状部15内に押し付ける形になるとともに弁体20の突起部21は、フィルタユニット30のバルブキャップ34を弁体20上に取り付けるガイドになる。
最後に、フィルタユニット30とインレットパイプ12の筒状部15を溶着により一体化する。
【0038】
したがって、弁体20の突起部21は、弁体取り付け部17に弁体取り付け溝24を挿入して取り付けるときの弁体20の持ち手になり、フィルタユニット30のバルブキャップ34を弁体20上に取り付けるガイドになるので、取り付けの確実性と作業性が向上する。
【0039】
本実施形態のバルブモジュール50の機能は、以下の通りである。通常、燃料タンク11内の圧力が大気圧と同じ場合は、弁体20は、バネ部材18の付勢によりバルブキャップ34に押さえ付けられており、すなわち、弁が閉じている状態であり、燃料タンク11及びインレットパイプ12の機密が保たれている。
【0040】
燃料タンク11内の圧力が大気圧より低くなると、弁体20がバネ部材18の付勢に抗してインレットパイプ12側に移動するので、弁が開き、フィルタハウジング32内とインレットパイプ12が孔部16により連通する。その結果、大気中の空気が、導入口31からフィルタハウジング32内に導入され、孔部16、インレットパイプ12を通って燃料タンク11内に流入する。
【0041】
大気中には塵埃が浮遊しているが、フィルタユニット30は、フィルタハウジング32内に蛇腹状のエアフィルタ33が収容されているので、エアフィルタ33は、大気は通過させるが、大気中の塵埃の通過を阻止する。その後、燃料タンク11内の圧力と大気圧が同一になったときに弁体20は閉弁し、元の状態に戻る。その結果、弁体20が存在する部分に大気中の塵埃が届くことはなく、弁体20とバルブキャップ34間に塵埃が噛み込む恐れはない。
【0042】
図4は、本発明の実施形態2のバルブモジュール50の正面図である。本実施形態2と実施形態1との相違点は、本実施形態2における筒状部15に設けられた突起部21は、弁体20をフィルタユニット30に取り付けたときに、突起部21がバルブキャップ34を越えてフィルタハウジング32内まで延び、さらにその先端部分のバルブキャップ34側には、鍵状部22が設けられている点にある。
【0043】
鍵状部22は、a<bの関係となる傾斜を有する形状になっている。また、バルブキャップ34の内径をcとすると、鍵状部22とバルブキャップ34との関係では、a<c<bの関係となっている。上記関係を有することで、フィルタユニット30を筒状部15に取り付けるときに、まず、a<cの関係にあることから、鍵状部22の先端がバルブキャップ34内に入ることができる。
【0044】
次に、c<bの関係にあることから、鍵状部22がバルブキャップ34内を通過するときには、突起部21が内側に撓み、鍵状部22は、鍵状部22の後端がバルブキャップ34内に接触しながらバルブキャップ34内を通過する。
【0045】
そして、鍵状部22の後端がバルブキャップ34を通過し終わったときに、突起部21の撓みが解消され、突起部21が元の形状に戻る。その際に「カチツ」という音を発生し、鍵状部22がバルブキャップ34を通過し終わったことを確認することができる。
【0046】
なお、突起部21に関し、弁体20から鍵状部22の後端までの高さは、鍵状部22がバルブキャップ34を通過し、且つ弁体20の開弁長、すなわち、弁体20閉時の弁体220と弁体取り付け部17の先端までの距離を考慮すると、バルブキャップ34の高さに弁体20閉時の弁体20と弁体取り付け部17の先端までの距離を加えた値に設定することが望ましい。
【0047】
本実施形態のバルブモジュール50は、以下のように組付けられる。まず、弁体20のバネ部材取り付け溝23にバネ部材18を装着し、その後、インレットパイプ12の筒状部15に形成された弁体取り付け部17に弁体取り付け溝24を挿入して取り付ける。この時、弁体20は、弁体取り付け部17に弁体取り付け溝24が挿入されているので、図面上で左右方向に移動可能であり、固定されていない。なお、弁体20の突起部21または鍵状部22は、弁体20を弁体取り付け部17に取り付けるときの持ち手になる。
【0048】
次に、フィルタユニット30をインレットパイプ12の筒状部15に取り付ける。この時、弁体20の突起部21の先端部分には鍵状部22があるので、前述の通り突起部21は内側に撓んでフィルタユニット30のバルブキャップ34を通過する。そして、鍵状部22がフィルタユニット30のバルブキャップ34を通過し終わると、撓みが解放され、元の形状に戻り、突起部21がバルブキャップ34に取り付けられる。最後に、フィルタユニット30とインレットパイプ12の筒状部15を溶着により一体化する。
【0049】
したがって、弁体20の突起部21または鍵状部22は、弁体取り付け部17に取り付けるときの弁体20の持ち手になり、弁体20の突起部21がフィルタユニット30のバルブキャップ34を弁体20上に取り付けるガイドになるので、取り付けの確実性と作業性が向上する。さらに、鍵状部22がフィルタユニット30のバルブキャップ34を通過し終わると、撓みが解放され、元の形状に戻る時に「カチツ」という音がするので、突起部21がバルブキャップ34内に確実に取り付けられたことを確認することができる。
【0050】
本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0051】
本実施形態では、弁体20の突起部21は、4分割された筒状の円錐台が弁体20のフィルタユニット30のバルブキャップ34との当接面に設けられていたが、弁体20を弁体取り付け部17に取り付けるときの弁体20の持ち手、フィルタユニット30のバルブキャップ34を弁体20上に取り付けるガイドになる効果を奏すれば、他の形状でもよい。例えば、筒状の円錐台の上面の上に筒状の円柱を載せたような形状にする場合が考えられる。
【0052】
また、本実施形態では、フィルタユニット30と筒状部15は溶着で固定されていたが、係止突起とシーリング部材を使用して組み付けてもよい。
【符号の説明】
【0053】
11 燃料タンク
12 インレットパイプ
15 筒状部
16 孔部
17 弁体取り付け部
18 バネ部材
20 弁体
21 突起部
22 鍵状部
23 バネ部材取り付け溝
24 弁体取り付け溝
30 フィルタユニット
31 導入口
32 フィルタハウジング
33 エアフィルタ
34 バルブキャップ
40 燃料供給装置
50 バルブモジュール
図1
図2
図3
図4
図5