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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-21
(45)【発行日】2022-05-02
(54)【発明の名称】防振床構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 5/43 20060101AFI20220422BHJP
   E04F 15/18 20060101ALI20220422BHJP
   E04B 1/98 20060101ALI20220422BHJP
【FI】
E04B5/43 H
E04F15/18 601C
E04B1/98 E
E04F15/18 601L
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018068660
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019178555
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】磯田 和彦
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-078880(JP,A)
【文献】特開平05-039823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/02
E04B 5/43
E04B 1/98
E04F 15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体に設けられた凹部の内部にばね軸を上下方向に向けて設けられたばね部材と、前記ばね部材の上端を接続して支持され、前記凹部に設けられた浮き床とを備えてなる防振床構造であって、
前記浮き床を、前記構造体に対して鉛直変位を阻害することなく水平変位を拘束するための変位制御装置を備え
前記変位制御装置が、レール及び該レールに案内されて前記レールの延設方向に移動自在に支持されたガイドからなり、前記レールを前記構造体の凹部を形成する側壁部に前記延設方向を鉛直方向に向けて設置され、前記鉛直変位に対応するリニアガイドと、
前記リニアガイドの前記ガイドに一端側を接続し、前記浮き床の側端部に他端側を接続して設けられ、水平変位に対応するゴム支承と、を備えて構成されていることを特徴とする防振床構造。
【請求項2】
請求項記載の防振床構造において、
前記ガイドに一体に接続された設置プレートに、前記ゴム支承の他端に設けられたベースプレートをボルト接合して、前記ゴム支承と前記ガイドが接続され、
且つ、弾性変形してボルトに作用する引張力を緩和させる引張り緩和機構を備えることを特徴とする防振床構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防振床構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ライブハウスやコンサートホールで観客が音楽に合わせて動くタテノリに起因する振動によって周囲の建物が揺れたり、輪転機などの鉛直振動を生じる機器の振動が周囲に伝播するなど、床上で生じる加振力によって振動が周囲に伝わり、振動問題を起こすケースがある。
【0003】
従来、このような振動問題に対応する技術として、ばね部材を介して加振源を支持してなる防振床(防振架台や浮き基礎などを含む)が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照。
【0004】
例えば、図10に示すように、構造体1を部分的に凹ませ、ばね支持された浮き床2を設けたものがある。
浮き床2は構造体1に対して鉛直方向に相対変位する必要があり、支持ばね3の変位で対応している。防振効果を高めるためには支持ばね3が柔らかいほど良いが、柔らかすぎると所謂ふかふかばね状態となり使いづらくなってしまうので、一般的には浮き床2の鉛直固有振動数を1Hz程度以上とし、通常使用時の鉛直変位が1~2cm程度以下となるようにしている。
【0005】
また、浮き床2が構造体に対して円滑に相対変位できるように浮き床2と構造体1との間に所定の大きさの隙間を設け、これらを絶縁している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-82541号公報
【文献】特開平09-177875号公報
【文献】特開2009-203613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、浮き床と構造体との間に所定の大きさの隙間を設けて絶縁し、互いが離間したままでは浮き床が水平方向に勝手に移動してしまい、都合が悪い。また、地震時に作用する水平力によって浮き床が構造体に衝突して損傷するおそれもある。
【0008】
なお、特許文献3においては、防振床に対する水平拘束材が記載されているが、これは、ばね(防振材)で支持されたデッキ床形式の浮き床を、フラットバーなどの可撓性のある拘束材を介して下部構造床に固定して水平拘束しただけのものであり、地震時における浮き床の横滑りを簡易に防止しようとするものだが、拘束材の上部に位置する浮き床はせいぜい数cmのコンクリートであり僅かな鉛直変位を対象にしたものにすぎない。
【0009】
このため、例えば、加振力を数分の1に低減させる本格的な防振床構造が必要な場合、厚さ1m程度の巨大なRC造の浮き床を対象に、浮き床と構造体側壁との間に設置して浮き床の鉛直方向変位を阻害せず水平変位を拘束できる手法の開発が強く望まれている。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み、浮き床の防振性能を阻害することなく、水平移動を拘束することを可能にした防振床構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0012】
本発明に係る防振床構造は、構造体に設けられた凹部の内部にばね軸を上下方向に向けて設けられたばね部材と、前記ばね部材の上端を接続して支持され、前記凹部に設けられた浮き床とを備えてなる防振床構造であって、前記浮き床を、前記構造体に対して鉛直変位を阻害することなく水平変位を拘束するための変位制御装置を備え、前記変位制御装置が、レール及び該レールに案内されて前記レールの延設方向に移動自在に支持されたガイドからなり、前記レールを前記構造体の凹部を形成する側壁部に前記延設方向を鉛直方向に向けて設置され、前記鉛直変位に対応するリニアガイドと、前記リニアガイドの前記ガイドに一端側を接続し、前記浮き床の側端部に他端側を接続して設けられ、水平変位に対応するゴム支承と、を備えて構成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る防振床構造においては、前記ガイドに一体に接続された設置プレートに、前記ゴム支承の他端に設けられたベースプレートをボルト接合して、前記ゴム支承と前記ガイドが接続され、且つ、弾性変形してボルトに作用する引張力を緩和させる引張り緩和機構を備えることがより望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の防振床構造によれば、浮き床の防振性能を阻害することなく、水平移動を拘束することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る防振床構造を示す断面図である。
図2図1のa-a線矢視図であり、本発明の一実施形態に係る防振床構造を示す平面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る防振床構造の変位制御装置を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る防振床構造の変位制御装置を示す図である。
図5図4のb-b線矢視図である。
図6図4のc-c線矢視図である。
図7】本発明の一実施形態に係る防振床構造の変位制御装置の引張り緩和機構を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る防振床構造の変位制御装置の引張り緩和機構の皿ばねを示す図である。
図9】本発明の一実施形態に係る防振床構造の変位制御装置の引張り緩和機構の変更例を示す図である。
図10】従来の防振床構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1から図9を参照し、本発明の一実施形態に係る防振床構造について説明する。
【0018】
本実施形態の防振床構造Aは、図1及び図2に示すように、構造体(構造躯体)1を部分的に凹ませ、この凹部1aの底面にばね軸方向下端を接続して凹部1a内に設けられたばね部材(ばね装置/支持ばね)3と、ばね部材3の上端を接続し、ばね部材3で支持して凹部1aに設けられたRC造などの浮き床2を備えて構成されている。
【0019】
浮き床2は、その上面が凹部1aの周囲の床面と略同一平面を形成するように配設されている。
【0020】
浮き床2は、構造体1に対して円滑に相対変位できるように浮き床2と構造体1の側壁部1bとの間に所定の隙間をあけて設けられている。
【0021】
浮き床2は、構造体1に対して鉛直方向に相対変位できるようばね部材3で支持されており、例えば、浮き床2の鉛直固有振動数を1Hz程度以上、通常使用時の鉛直変位が1~2cm程度以下となるように設定されている。
【0022】
一方、本実施形態の防振床構造Aにおいては、巨大な浮き床2を、構造体1に対し鉛直変位を阻害することなく水平変位を拘束するための変位制御装置5を備えている。
【0023】
本実施形態の変位制御装置5は、図3から図6に示すように、リニアガイド6と積層ゴム(ゴム支承)7を直列してなるハイブリッド支承であり、構造体1の側壁部1bと浮き床2の側端部との間に設けられている。
【0024】
リニアガイド6は、レール6aとレール6aに案内されてレール6aの延設方向に移動自在に支持されたガイド6bからなり、レール6aがその延設方向を鉛直方向T1に配して構造体1の側壁部1bに取り付けられている。ガイド6bは、積層ゴム7のベースプレート7aと設置プレート6cを介して連結し、積層ゴム7の他方のベースプレート7bを浮き床2にボルト固定して設けられている。なお、浮き床2に袋ナットを埋め込み、隙間をグラウト後にボルト締結している。このようなリニアガイド6としては、例えばTHK株式会社製のLMガイド(登録商標:NRLB、C=800kN、2連として2台のガイドを直列配置)などが好適に採用可能である。
【0025】
ここで、本実施形態の防振床構造Aの具体的な仕様の一例について説明する。
【0026】
本実施例の防振床構造Aでは、浮き床2の鉛直方向T1の相対変位をリニアガイド6で対応し、水平方向変位を積層ゴム7で対応するように構成されている。1台のリニアガイド6と積層ゴム7からなる変位制御装置5に作用する短期許容圧縮力Pは、例えば、P=3.2MN=3200kN≒320tonfである。
【0027】
ちなみに、短期引張り力TはT=910kNで軸剛性も圧縮より桁違いに小さいため圧縮のみで評価する。また、限界圧縮荷重Pcrは、Pcr=5344kNであり、積層ゴム7はそれ以上なので、全水平耐力は10688kNとなる。1台のリニアガイド6と積層ゴム7に作用する直交せん断力Qは、床の水平変位<5mmからQ≦K×5mmとなる。ここで、Kを積層ゴム(ゴム支承)7のせん断剛性(0.54kN/mm)とすると、QはQ≦2.7kNとなる。
【0028】
次に、相対変位への対応について説明する。
【0029】
構造体1の側壁部1bに対する浮き床2の鉛直方向(Z方向)T1相対変位については、リニアガイド6で円滑に追従でき、浮き床2の水平変位(X方向)については、積層ゴム7とリニアガイド6の圧縮で対応する。双方とも圧縮剛性が高いため、わずかな変形しか生じず、水平変位を拘束できる。
【0030】
また、構造体1の側壁部1bに沿った浮き床2の水平方向変位(Y方向)については、積層ゴム7のせん断変形で対応する。積層ゴム7のせん断剛性が小さいので、Y方向変位に対して円滑に追従できる。
【0031】
ガイドレール6aの鉛直方向T1の設置精度については、ガイドレール6a間のズレを積層ゴム7の変形で吸収する。側壁部1bの厚さ方向の相対ズレに対しては積層ゴム7の軸変形、側壁部1bに沿った水平方向の相対ズレに対しては積層ゴム7のせん断変形により吸収できる。
【0032】
積層ゴム(ゴム支承)7の具体的構成の一例を示す。
【0033】
積層ゴム7は外径500φの支承(天然ゴムG0.34、厚3.75×33層、せん断剛性K=0.54kN/mm、軸剛性Kv=1460kN/mm)が好適に採用可能である。
【0034】
ここで、リニアガイド6の軸剛性(荷重Nとこれによる変位δの比:K=N/δ)はK≒15000kN/mmと極めて高く、支承部での軸変形はほとんど期待できない。このため、浮き床2にとりつく複数のガイドレール6aが精度よく鉛直に設置されていないと、浮き床2の鉛直変位に伴いレール6aとガイド6bに一体化された浮き床2との寸法が変化してしまい、この寸法変化δに軸剛性Kを乗じた力が作用することになる。
【0035】
一般的な施工精度だとレール可動長さ1mとして寸法誤差δ=2mm程度であり、積層ゴム7を直列すれば変位制御装置(支承)5に作用する力は3000kN程度となり問題なく対処できるが、リニアガイド6だけではこの10倍にもなり、可動システムにならない。
【0036】
したがって、本実施形態のようにリニアガイド6に積層ゴム7を直列して変位制御装置5を構成することは非常に合理的であると言える。
【0037】
ここで、図7図8に示すように、設置プレート6cと積層ゴム7の他端のベースプレート7aとのボルト接合部に設けた皿ばね(弾性部材)9を備え、このばね9が弾性変形してボルト8に作用する引張力を緩和させる引張り緩和機構10を採用し、変位制御装置5に過大な引張り力が作用しないようにすることがより好ましい。また、皿ばね9を安定して支持するため、各プレート6c、7aに皿ばね9が係合/嵌合する凹部(ザグリ)11を設けることが好ましい。
【0038】
例えば、締結ボルトM30(符号8)を用いた場合、MDS皿ばね(符号9)は、標準仕様(材質SUP10:ばね用鋼材)の呼び名称30-3、外径D=80mm、内径d=31mm、板厚t=2.5mm、可撓高h=2.8mm、全高H=5.3mmとする。取り付け時には、皿ばね9をh/4=0.7mmずつ縮めて緩み止めする(導入軸力=3.87kN)。ボルト本数8本で全予張力=31kNとなり、この引張り力以下では離間しない。また、皿ばね9が潰れるときの力は1本当たり8.49kNで、変形量(離間寸法)は4.2mmとなる。
【0039】
また、図9に示すように、上記の皿ばね9を用いる替わりに、ゴムリング12を用いた製品(例えば、昭和電線ホールディングス株式会社製のSWCCリングなど)を用いてもよい。この場合においても、上記と同様、一定以上の引張り力が作用するとプレート6c、7aに離間が生じ、過大な引張り応力が生じない仕組みになっている。なお、図9に示すように、設置プレート6cと積層ゴム7のベースプレート7aとを引張り力が作用した際に所定方向のみに離間させるための嵌合機構13が設けられていることが好ましい。
【0040】
そして、上記のように構成した本実施形態の防振床構造Aでは、浮き床2と構造体1の側壁部1bとの鉛直方向T1相対変位に対し、リニアガイド6による極めて小さな摩擦抵抗(摩擦係数μ≒0.006)を実現しており、浮き床2を円滑に抵抗なく上下に移動できる。
【0041】
また、構造体1の側壁部1bとの水平方向相対変位に対しては、リニアガイド6と積層ゴム7を直列した変位制御装置5の軸剛性(計算例では1箇所あたりK=1400kN/mm程度でかなり大きな値)で抵抗するため、大地震時でも浮き床2が数mm程度しか変位せず、浮き床2の水平方向変位をほぼ拘束できる。
【0042】
よって、本実施形態の防振床構造Aによれば、鉛直方向T1への変位を阻害することなく、水平方向の変位を確実且つ効果的に拘束することが可能になる。
【0043】
また、リニアガイド6と直列する積層ゴム7を備えて変位制御装置5を構成したことにより、リニアガイド6のみによる場合に比べて軸剛性Kを1/10程度に低下させることができる。
【0044】
これにより、複数のリニアガイド6を設置した場合でも浮き床2の鉛直変位が阻害されにくくなる。すなわち、積層ゴム7を備えることによって、リニアガイド6間の設置ばらつきによる相対変位に軸剛性Kを乗じた力が生じ、これが過大になってリニアガイド6が円滑に移動できなくなるという不都合を解消することができる。
【0045】
さらに、浮き床2と周囲に位置する構造体1の間に温度差が生じる場合もあるが、コンクリートの熱膨張係数は10-5(1/℃)であることから、例えば、浮き床2の平面寸法が30m×30mで温度差10℃とした場合に片側の伸縮量が1.5mm(全長30mに対する伸縮量は3mmであるため、その半分)である。変位制御装置5に作用する温度応力はこの伸縮量に上記Kを乗じたものとなるため、積層ゴム7を設置した場合は問題ないといえるが、リニアガイド6のみによる場合には過大な応力が生じることになる。
【0046】
設置プレート6cとベースプレート7aとのボルト接合に、ばね9を併用した引張り緩和機構10を設けることにより、変位制御装置5に生じる大きな引張応力を回避できる。リニアガイド6や積層ゴム7は圧縮に比べて引張り耐力が桁違いに小さく、これに対応するためにもこの引張り緩和機構10は効果的である。構造体1の側壁部1b(本体構造)に対する浮き床2の水平変位は大地震時でも5mm以下と小さく、設置プレート6cとベースプレート7aとにわずかでも離間が生じれば、支承となる変位制御装置5のリニアガイド6や積層ゴム7に引張りは生じなくなる。
【0047】
さらに、精密機械部品であるリニアガイド6でY方向とZ方向の2方向変位に対応する場合よりも、変位量の小さいY方向に安価な積層ゴム7を適用した方がローコストになる。
【0048】
リニアガイド6のレール6aを側壁部1bの下方まで延長しておけば、施工時に積層ゴム7等の部材を上下移動させる際にも利用できる。
【0049】
ここで、積層ゴム7やリニアガイド6や鋼板等で構成される変位制御装置5の重量は数百kgであり、浮き床2の施工後に取付工事を行うため、浮き床2と構造体1の側壁部1bの間にある狭隘な空間での揚重作業となる。また、一般に、ガイド6bとレール6aは鋼球(ベアリング)を介して組み付けてあるため、現場でガイド6bとレール6aとを分離したり接合したりすることができない。そのため、リニアガイド6と積層ゴム7および接合鋼板等は工場で一体化して製作後、現場に搬入され、浮き床2の外周面に取り付けることとなる。
【0050】
これに対し、レール6aを側壁部1bの下方の基礎版上まで延長し、現場搬入して基礎板上に設置した積層ゴム7及びガイド6bをレール6aに沿って上方に移動させ、積層ゴム7を浮き床2の側面に固定することで、精度良く変位制御装置5を取り付けることができる。また、万一変位制御装置5の部材を交換する場合にも、このレール6aを使って取り外した部材を基礎板上に降ろして撤去し、新たな部材を基礎板上から揚重して取り付け、容易に交換することもできる。
【0051】
以上、本発明に係る防振床構造の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 構造体(構造躯体)
1a 凹部
1b 側壁部
2 浮き床
3 ばね部材
5 変位制御装置
6 リニアガイド
6a レール
6b ガイド
6c 設置プレート
7 積層ゴム(ゴム支承)
7a ベースプレート
8 ボルト
9 皿ばね
10 引張り緩和機構
11 凹部(ザグリ)
12 ゴムリング
13 嵌合機構
A 防振床構造
T1 鉛直方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10