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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-21
(45)【発行日】2022-05-02
(54)【発明の名称】レジスト剥離液組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/42 20060101AFI20220422BHJP
【FI】
G03F7/42
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018529402
(86)(22)【出願日】2017-06-05
(86)【国際出願番号】 JP2017020777
(87)【国際公開番号】W WO2018020837
(87)【国際公開日】2018-02-01
【審査請求日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】P 2016148642
(32)【優先日】2016-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000245531
【氏名又は名称】野村マイクロ・サイエンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】特許業務法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川野 伸一
(72)【発明者】
【氏名】大日向 秀収
【審査官】川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-122027(JP,A)
【文献】特開2012-094702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)レジスト剥離液100質量部に、
(B)オキシアルキレン界面活性剤を0.01~10質量部配合してレジスト剥離液組成物を製造するレジスト剥離液組成物の製造方法であって、
前記(B)オキシアルキレン界面活性剤は、水晶振動子の発振周波数4.95MHzにおける水晶振動子マイクロバランス法によって、分子中にオキシアルキレン基を有する界面活性剤を測定対象成分として選択され、
前記水晶振動子マイクロバランス法は、
(ア)水晶振動子測定基板上に形成された酸化インジウムスズ膜面に、前記測定対象成分を1nmol/cm以上20nmol/cm以下で付着させる付着工程、
(イ)前記測定対象成分の付着された前記酸化インジウムスズ膜表面に0.1mL/分で流水を供給して前記測定対象成分を前記流水で洗浄する洗浄工程、
(ウ)前記洗浄工程における前記酸化インジウムスズ膜面に付着した前記測定対象成分の減少の状態及び前記測定対象成分の消失までの時間を測定し、前記酸化インジウムスズ膜面に付着された前記測定対象成分が、1000秒以内に単調に減少して消失するものを(B)オキシアルキレン界面活性剤として選定する選定工程、
を有することを特徴とするレジスト剥離液組成物の製造方法。
【請求項2】
前記オキシアルキレン界面活性剤は下記一般式(2-1)で表される化合物から選ばれる1種以上からなることを特徴とする請求項1記載のレジスト剥離液組成物の製造方法。
一般式(2-1):R-O-(EO)(PO)-H
(ただし、上記一般式(2-1)中、Rは、直鎖状、分岐状又は環状の、炭素数6~22のアルキル基、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、pは17~40の数、qは0~10の数である。)
【請求項3】
前記オキシアルキレン界面活性剤は下記一般式(2-2)で表される化合物からなることを特徴とする請求項1記載のレジスト剥離液組成物の製造方法。
一般式(2-2):R-O-(EO)(PO)-H
(ただし、上記一般式(2-2)中、Rは、直鎖状、分岐状又は環状の、炭素数6~18のアルキル基、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、pは1~10の数、qは1~10の数、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基のモル比は、オキシエチレン基:オキシプロピレン基で0.2:1以上3:1以下である。)
【請求項4】
前記(A)レジスト剥離液は、(A1)炭酸エチレンと(A2)炭酸プロピレン、γ-ブチロラクトン、シクロペンタノン及び炭酸グリセロールから選ばれる1種以上とからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のレジスト剥離液組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト剥離液組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子、液晶パネル素子などの製造においては、シリコンウェハ、ガラスなどの基板上に、真空蒸着や、化学気相成長によって、シリコン半導体層や、酸化ケイ素膜等のゲート絶縁膜、酸化インジウムスズ膜(ITO膜)等の電極膜、窒化ケイ素膜等の保護絶縁膜などが形成される。次に、ゲート絶縁膜や保護絶縁膜上に、フォトレジストが均一に塗布され、その後、このフォトレジストが選択的に露光、現像処理されてフォトレジストパターンが形成される。そして、このパターンをマスクとして上記ゲート絶縁膜や保護絶縁膜が選択的にエッチングされ、微細回路が形成された後、不要のフォトレジスト層がレジスト剥離液で除去されて液晶パネル素子が製造される。
【0003】
従来、ノボラック樹脂からなるレジスト被膜の剥離液としては、モノエタノールアミン(MEA)、N-メチルアミノエタノール、N-メチル-2-ピロリドンなどのアミン系の化合物にジメチルスルホキシド(DMSO)のような水溶性有機溶媒と水を添加したアミン系のレジスト剥離液が用いられていた。
【0004】
アミン系以外のレジスト剥離液としては、還元性や吸着性を有する防食剤と、水溶性有機溶剤と、水と、界面活性剤を含むレジスト剥離液が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
ここで、上記フォトレジストパターンの形成過程では、エッチング後のレジスト剥離工程に続いて、基板に付着したレジスト剥離液を純水で洗浄除去するリンス工程が行われる。アミン系以外のレジスト剥離液を用いる場合、この純水によるリンス工程で、レジスト剥離液中に溶解しているレジスト剥離物が基板表面に析出したり、レジスト剥離液中に分散しているレジスト剥離物の微粒子が基板表面に再付着したりして、レジスト残渣が生じるという問題があった。
【0006】
このような溶解レジスト剥離物の基板表面への析出やレジスト剥離物の微粒子の再付着を防ぐために、リンス工程において、純水に界面活性剤を含有させたリンス液を用いることが知られている(例えば、特許文献2参照。)。また、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、γ-ブチロラクトン及びシクロペンタノンから選ばれる1種以上に炭酸グリセロールを添加したレジスト剥離液も提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0007】
しかしながら、リンス液に界面活性剤を含有させた場合、リンス液を洗浄する追加のリンス工程が必要になることや、リンス液が泡立つために洗浄機器のメンテナンス負荷が生じるという課題がある。
【0008】
そこで、純水のみでリンス可能なレジスト剥離液が望まれるが、近年、液晶パネルディスプレイの大面積化や液晶パネル素子の多層化に伴い、洗浄後の基板表面へのレジスト残渣についての要求がさらに厳しくなってきている。そのため、レジスト残渣の極めて少ないレジスト剥離液組成物が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2008-58624号公報
【文献】特開2006-11054号公報
【文献】国際公開2014/2151号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであって、優れたレジスト剥離性能を有するとともに、レジスト剥離後の純水リンスに際して、レジスト剥離物の基板への再付着(レジスト残渣)の極めて少ないレジスト剥離液組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のレジスト剥離液組成物は、(A)レジスト剥離液100質量部に、(B)分子中にオキシアルキレン基を有する界面活性剤を0.01~10質量部配合してなり、前記(B)界面活性剤は、水晶振動子マイクロバランス法において、水晶振動子測定基板上の酸化インジウムスズ(ITO)膜面に付着された前記界面活性剤が、流水により1000秒以内に単調に減少して消失するオキシアルキレン界面活性剤からなることを特徴とする(ただし、前記(B)界面活性剤の付着量は、1nmol/cm以上20nmol/cm以下であり、前記ITO膜面における前記流水の流速は、0.1mL/分、前記水晶振動子の発信周波数は4.95MHzである。)。
【0012】
本発明のレジスト剥離液組成物の製造方法は、(A)レジスト剥離液100質量部に、(B)オキシアルキレン界面活性剤を0.01~10質量部配合してレジスト剥離液組成物を製造するレジスト剥離液組成物の製造方法であって、前記(B)オキシアルキレン界面活性剤は、水晶振動子の発信周波数4.95MHzにおける水晶振動子マイクロバランス法によって、分子中にオキシアルキレン基を有する界面活性剤を測定対象成分として選択され、前記水晶振動子マイクロバランス法は、(ア)水晶振動子測定基板上に形成された酸化インジウムスズ膜面に、前記測定対象成分を1nmol/cm以上20nmol/cm以下で付着させる付着工程、(イ)前記測定対象成分の付着された前記酸化インジウムスズ膜表面に0.1mL/分で流水を供給して前記測定対象成分を前記流水で洗浄する洗浄工程、(ウ)前記洗浄工程における前記酸化インジウムスズ膜面に付着した前記測定対象成分の減少の状態及び前記測定対象成分の消失までの時間を測定し、前記酸化インジウムスズ膜面に付着された前記測定対象成分が、1000秒以内に単調に減少して消失するものを(B)オキシアルキレン界面活性剤として選定する選定工程、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のレジスト剥離液組成物は、優れたレジスト剥離性能を有するとともに、レジスト剥離後の純水リンスに際して、レジスト剥離物の基板への再付着(レジスト残渣)を極めて少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】水晶振動子マイクロバランス(QCM)装置を模式的に表わす図である。
図2】実施例で使用した界面活性剤の、QCM洗浄性試験の結果を表わすグラフである。
図3】比較例で使用した界面活性剤の、QCM洗浄性試験の結果を表わすグラフである。
図4】実施例で使用した界面活性剤No.18の、QCM洗浄性試験の結果を表わすグラフである。
図5】実施例で使用した界面活性剤No.13の、QCM洗浄性試験の結果を表わすグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明のレジスト剥離液組成物は、レジスト被膜の剥離に用いられる液状組成物である。本発明のレジスト剥離液組成物は、(A)レジスト剥離液と、(B)オキシアルキレン界面活性剤とを含む。本発明のレジスト剥離液組成物において、(B)オキシアルキレン界面活性剤は、水晶振動子マイクロバランス法において、水晶振動子測定基板上の酸化インジウムスズ(ITO)膜面に付着された前記界面活性剤が、流水により1000秒以内に単調に減少して消失する特性を有する。この特性を測定する際の、(B)界面活性剤の付着量は、1nmol/cm以上20nmol/cm以下であり、ITO膜面における流水の流速は、0.1mL/分、水晶振動子の発信周波数は4.95MHzである。
【0016】
本発明のレジスト剥離液組成物において(A)成分は、主としてレジスト剥離性を発現する成分である。(B)成分は、レジストが剥離されて生じたレジスト剥離物に起因するレジスト残渣が生じるのを抑制する成分である。(A)成分と(B)成分からなる本発明のレジスト剥離液組成物は、優れたレジスト剥離性能を有するとともに、レジスト剥離後の純水リンス工程において、レジスト剥離液組成物中に溶解されたレジスト剥離物が基板表面に析出したり、レジスト剥離液組成物中に分散しているレジスト剥離物の微粒子が基板表面に再付着したりして、レジスト剥離後の基板等の表面にレジスト残渣が生じるのを著しく抑制する効果が得られる。
【0017】
本発明のレジスト剥離液組成物は、例えば、シリコン基板上のITO膜等の親水性膜、窒化ケイ素膜等の疎水性膜上に形成されたレジスト被膜の剥離に際して、上記レジスト残渣を抑制する多大な効果が得られる。本発明のレジスト剥離液組成物は、レジスト被膜としては、ネガ型レジスト被膜、ポジ型レジスト被膜のいずれに対しても溶解性が高く、優れたレジスト剥離性能及びレジスト残渣の抑制効果を発揮する。以下、本発明のレジスト剥離液組成物が含有する各成分について説明する。
【0018】
[(A)レジスト剥離液]
本発明のレジスト剥離液組成物において、(A)成分は、基板表面に形成されたレジスト被膜を当該基板から剥離する作用を奏する。(A)成分は、アミン系レジスト剥離液や、後述の炭化水素系レジスト剥離液等である。
【0019】
アミン系レジスト剥離液は、例えば、モノエタノールアミンを(MEA)主成分として、さらにジメチルスルホキシド(DMSO)や、N-メチルピロリドン(NMP)を含有する溶剤系レジスト剥離液、モノエタノールアミンを(MEA)主成分として、さらに水及びエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG)を含有する水系レジスト剥離液等である。
【0020】
炭化水素系レジスト剥離液は、炭素及び酸素からなる環構造を有する化合物を含むレジスト剥離液である。炭化水素系レジスト剥離液は、例えば、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)、炭酸グリセリン(GC)、シクロペンタノン(CP)、γ-ブチロラクトン(GBL)等を主成分とするレジスト剥離液である。炭化水素系レジスト剥離液は、上記主成分以外にも、レジスト剥離成分として、エチレングリコール(EG)や、プロピレングリコール(PG)等のグリコール化合物を含有していていもよい。
【0021】
本発明のレジスト剥離液組成物において、(A)成分は、炭化水素系レジスト剥離液であることが好ましい。より具体的には、(A)成分は、(A1)炭酸エチレンと、(A2)炭酸プロピレン、γ-ブチロラクトン、シクロペンタノン及び炭酸グリセロールから選ばれる1種以上からなることが好ましい。これらの(A1)成分及び(A2)成分は、分子構造に五員環構造を有し、この五員環を構成する炭素原子の一つがカルボニル基を構成する共通の分子構造を有している。そのため(A1)成分及び(A2)成分は互いに相溶性がよく、容易に混合することができる。また、(A1)成分及び(A2)成分は、レジスト被膜、特にノボラック樹脂系のレジスト被膜に対する溶解性が高く、レジスト剥離性能に優れている。
【0022】
(A)成分が上記(A1)成分と(A2)成分からなる場合、(A)レジスト剥離液の全量に対して、(A1)炭酸エチレンを20質量%以上80質量%以下含むことが好ましい。本発明のレジスト剥離液組成物は、炭酸エチレンを20質量%以上で含有する(A)レジスト剥離液を用いることで、極めて優れた剥離性能を発揮する。炭酸エチレンの含有量が80質量%以下のレジスト剥離液によれば、レジスト残渣が極めて低減される。
【0023】
また、(A)成分が上記(A1)成分と(A2)成分からなる場合、(A)成分は、(A2)成分として、γ-ブチロラクトンを含むことが好ましい。この場合、(A)成分は、その全量に対して、γ-ブチロラクトンを20質量%以上80質量%以下含むことが好ましく、30質量%以上50質量%以下含むことがより好ましい。本発明のレジスト剥離液組成物は、γ-ブチロラクトンを20質量%以上で含む(A)レジスト剥離液を用いることで、より優れたレジスト残渣抑制効果を発揮する。γ-ブチロラクトンを80質量%以下で含むレジスト剥離液を用いることで、レジスト剥離の作業温度におけるレジスト剥離液の蒸気圧が低くなり、レジスト剥離液の組成の変動が抑えられるとともに、安全性が向上する。
【0024】
また、(A)成分が上記(A1)成分と(A2)成分からなる場合、(A)成分は、(A2)成分として、γ-ブチロラクトン及び炭酸グリセロールを含むことが好ましい。これにより、レジスト剥離性能を向上させるとともに、レジスト残渣をさらに低減させることができる。この場合、炭酸エチレン、γ-ブチロラクトン及び炭酸グリセロールを(A)成分の全量に対して、30質量%以上含むことが好ましい。
【0025】
また、(A)成分が上記(A1)成分と(A2)成分からなる場合、(A)成分は、(A2)成分として、炭酸グリセロールを含むことが好ましい。この場合、(A)成分は、その全量に対して、炭酸グリセロールを、0質量%を超え50質量%以下で含むことが好ましい。炭酸グリセロールを含有させた(A)レジスト剥離液を用いることで、レジスト残渣が極めて低減される。炭酸グリセロールの含有量は、(A)成分の全量に対して、30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
【0026】
また、(A)成分が(A2)成分として、炭酸プロピレンを含む場合、(A)成分は、その全量に対して炭酸プロピレンを5質量%以上30質量%以下で含むことが好ましく、5質量%15質量%以下で含むことがより好ましい。炭酸プロピレンの含有量が上記した範囲の(A)レジスト剥離液を用いることで、レジスト剥離液組成物は、優れたレジスト剥離性能及び優れたレジスト残渣の低減効果を奏する。
【0027】
また、(A)成分が(A2)成分として、シクロペンタノンを含む場合、(A)成分は、その全量に対して、シクロペンタノンを5質量%以上50質量%以下で含むことが好ましく、5質量%以上35質量%以下で含むことがより好ましい。シクロペンタノンの含有量が上記した範囲であれば、優れたレジスト剥離性能と優れたレジスト残渣の低減効果を有し、さらに安全性に優れたレジスト剥離液組成物を得ることができる。
【0028】
また、(A)成分が上記(A1)成分と(A2)成分からなる場合、(A)レジスト剥離液はその全量に対して、(A1)炭酸エチレンを50質量%以上70質量%以下、γ-ブチロラクトンを30質量%以上50質量%以下、炭酸グリセロールを、0質量%を超え30質量%以下含むことが好ましい。上記範囲であれば、レジスト剥離性能を向上させるとともに、レジスト残渣をさらに低減させることができ、また、粘度が低く作業性に優れたレジスト剥離液組成物を得ることができる。
【0029】
[(B)オキシアルキレン界面活性剤]
本発明における(B)成分は、レジスト剥離後の純水リンス工程においてレジスト残渣が生じるのを抑制する。本発明者らは、水晶振動子マイクロバランス法(QCM法)によってこのような作用を奏する(B)成分を特定できることを見出した。すなわち、水晶振動子マイクロバランス法の水晶振動子測定基板上に、酸化インジウムスズ(ITO)からなる薄膜を形成し、このITO薄膜表面に、測定対象成分を所定量で付着させ、その後、純水によってITO薄膜表面に付着した測定対象成分を洗い流した際に、測定対象成分がITO薄膜表面へ再付着せずに、1000秒以内に単調に減少して消失する場合、優れたレジスト残渣抑制効果を奏することを見出したのである。ここでの「単調に減少」とは、測定対象成分を洗い流す際に、測定対象成分の消失までにおおむね減少傾向を示すことを意味し、一時的に測定対象成分の増加がある場合を排除する意図ではない。すなわち、「単調に減少」とは、再付着の不定期な繰り返しによる大幅な増減を伴っていないことを意味する。
【0030】
ここで、QCM法について説明する。QCM法は、水晶振動子を有する秤量天秤(測定基板)を備えたQCM装置を用い、後述する水晶振動子の圧電効果を利用して、水晶振動子表面で起こる微小な重量変化を測定する方法である。QCM装置は、例えば、Q-sence社製の分子間相互作用定量測定装置(型式名:QCM-D300)等である。水晶振動子の表面は、金、白金、銀、鉄、チタンなどの重金属、ステンレスや二酸化ケイ素などの化合物で被覆されていてもよい。
【0031】
QCM法による測定原理は次のとおりである。水晶振動子に交流の電場をかけると、水晶の結晶が歪み、水晶が規則正しく振動発振をする(圧電効果)。この水晶振動子の表面上に、微量の異物が付着すると振動数が変化する。振動数の変化量は付着している異物の質量に比例する。そのため、この振動数の変化量を測定することで、水晶振動子表面に付着した異物の質量を測定することができる。
【0032】
より具体的には、QCM装置により、水晶振動子に交流の電場をかけて、水晶振動子の振動数変化(Δf)を測定する。例えば、固形分濃度が5%以下程度の液体又はスラリを測定基板表面に接触させて、当該固形分の測定基板表面への付着量を湿式で測定する場合、振動数変化Δfと水晶振動子の質量変化Δmの間には、以下の式(5)の関係が成立する。式(5)に示されるように、Δfは水晶振動子表面に付着した異物の質量に比例する。
【0033】
Δf=定数×Δm ・・・(5)
【0034】
上記式(5)における比例定数は、次のように、Sauerbreyの式(式(6))によって求められる。例えば、上記QCM-D300は、5、15、25、35MHzの4段階の周波数を自動的に切り替え、それぞれのΔfを測定する。そして、式(6)において、Δfは前記4段階の周波数で測定した振動数の変化Δfをそれぞれ1、3、5、7で割って、5MHzにおける値に換算した値を使用して、質量変化Δmを算出する。
【0035】
Δm=-17.7(ng・cm-2・Hz-1)・Δf(Hz) ・・・(6)
【0036】
次に、図1を参照して、QCM洗浄性を測定するための、QCM装置の一例について説明する。図1は、QCM装置を模式的に表わす図である。図1に示すQCM装置1は、試料測定用チャンバー2と、試料測定用チャンバー2内に配置された測定基板3と、試料測定用チャンバー2内に、サンプル液を供給し、その後、試料測定用チャンバー2外に排出するフローモジュール4と、測定基板3に備えられる水晶振動子の振動数の変化を測定するための振動数検出器5を備えている。振動数検出器5は、発振・消散検出機等である。
【0037】
試料測定用チャンバー2は、内部で測定基板3の表面にサンプル液を接触させる気密な容器である。試料測定用チャンバー2は、電子制御などによる温度調節手段を備えていてもよい。フローモジュール4はサンプル液を送液するペリスタリックポンプ等であり、チューブ6によって、試料測定用チャンバー2に接続されている。
【0038】
上記QCM装置を用いたQCM洗浄性の試験は、例えば、次のように行うことができる。(ア)水晶振動子測定基板上の酸化インジウムスズ(ITO)膜面に、測定対象成分を付着させ(付着工程)、(イ)この測定対象成分の付着されたITO膜表面に流水を供給して(洗浄工程)、(ウ)洗浄除去される測定対象成分の減少の状態及び測定対象成分の消失までの時間を測定する。
【0039】
具体的には、先ず、測定基板3の表面に、例えば、スパッタリングによってITO薄膜を厚さ10~1000nmで形成する。このITO薄膜の形成された測定基板3を、試料測定用チャンバー2内に配置する。
【0040】
その後、温度調節手段により試料測定用チャンバー2内を所定温度に調節する。測定時の温度は、例えば、15~80℃±0.1℃で保たれる。温度調節後、フローモジュール4から、試料測定用チャンバー2内にブランク水として純水を通液し、安定性を確認する。
【0041】
次いで、次のように(ア)付着工程を行う。ブランク水に測定対象成分を所定濃度で添加したサンプル液を試料測定用チャンバー2内に通液する。振動数検出器5で検出される振動数が安定したことを確認しながら、まず、任意の濃度で測定対象成分を含むサンプル液の通液を行う。上記サンプル液の通液を続けると、振動数検出器5により測定される振動数がほぼ変化しなくなり、ITO膜表面への測定対象成分の付着量が、当該サンプル液の濃度における飽和付着量になる。次いで、サンプル液中の測定対象成分の濃度を少し増加させて、再度サンプル液の通液を続けると、測定対象成分の付着量が、当該増加させたサンプル液の濃度における飽和付着量になる。このようにして、サンプル液を、その濃度を逐次的に増加させながら通液し、例えば、飽和付着量が、1nmol/cm以上20nmol/cm以下になったときに付着工程を終了する。
【0042】
上記付着工程は、サンプル液中の測定対象成分の濃度が0.1~100μmol/mLの希薄水溶液を用いて行う。また、振動数測定時の振動数検出器5の発振周波数は、例えば4.95±0.1MHzである。
【0043】
次に、試料測定用チャンバー2内にブランク水を所定の流量で連続的に通液する((イ)洗浄工程)。その過程で、振動数検出器5によって振動数変化を測定し、これにより測定基板3の質量変化を算出して、測定対象成分の脱離の状態(QCM洗浄性)を観察する((ウ)選定工程)。
【0044】
上記洗浄工程での測定基板3表面におけるブランク水の流量は、例えば、0.01mL/分~0.5mL/分である。測定対象成分の付着物が、ブランク水通液によって、上記付着工程終了時の飽和吸着量から略単調に減少して、ブランク水通液開始後1000秒以内に消失する場合、レジスト残渣の抑制効果を奏するものと判断することができる。ブランク水通液開始から、測定対象成分の付着物の消失までの時間は、好ましくは900秒以内、より好ましくは600秒以内、さらに好ましくは300秒以内、特に好ましくは200秒以内である。消失までの時間は短い方がレジスト残渣の抑制効果が向上する傾向である。
【0045】
具体的には、所定の一定流量で連続的にブランク水を通液した際に、測定対象成分の付着量が、ブランク水通液開始からなだらかな減少曲線により減少していく場合に、測定対象成分の付着物が単調に減少すると判断することができる。測定対象成分の付着物が単調に減少するときには、測定対象成分の付着量の通液時間当たりの減少量の微分係数が、洗浄工程の期間内で正の値である。このとき、上記微分係数は、洗浄工程の期間内の一部の期間でゼロになっていてもよい。上記微分係数は、洗浄工程の期間内で一時的に負の値になっていてもよい。また、洗浄工程の期間内に、測定対象成分の付着物の量が、QCM装置による測定下限値以下になった際に、測定対象成分の付着物が消失した、と判断することができる。
【0046】
上記QCM洗浄性を有する(B)成分が、レジスト残渣を抑制するのは、純水リンス工程において、レジスト剥離液組成物がレジストを剥離した後の基板表面に、(B)成分が付着して、レジスト剥離後のレジスト剥離液組成物中に溶解、分散したレジスト剥離物と基板表面との接触を抑えるためであると考えられる。このとき、(B)成分の基板表面に対する付着力が適度に小さいため、(B)成分自体も、レジストと基板表面との接触を抑えながら、純水リンスによって洗い流される。そのため、純水リンス後の基板表面レジスト残渣の極めて少なくすることができる。また、(B)成分がレジスト剥離物の表面全体に付着し、レジスト剥離物を取り囲むことによって、レジスト剥離物が基板表面に接触し難くする効果もあると考えられる。
【0047】
上記QCM洗浄性を有する(B)成分は、具体的には、オキシアルキレン基を有する界面活性剤(オキシアルキレン界面活性剤)であり、好ましくは、親水基を有するか、又は疎水基と親水基の両者を有するオキシアルキレン界面活性剤である。また、界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤等である。(B)成分の界面活性剤は、ミセル形成性や表面張力を低減する作用において、必ずしも、十分な界面活性能を有する必要はなく、例えば、(B)成分が、その親水基を介してITO膜板表面に付着して、上記QCM洗浄性を発現するものであればよい。
【0048】
(B)成分は、優れたQCM洗浄性を発現する点で、ノニオン系の界面活性剤であることが好ましい。これは、ノニオン系の界面活性剤は、電荷を持っておらず、一旦、洗浄後の基板に付着した場合にも、純水によって洗浄し易く、これを基点にレジストの再付着が起こるのを抑制することができるためである。
【0049】
(B)成分として用いられるオキシアルキレン界面活性剤は、親水基であるオキシエチレン基(EO)を有するか、オキシエチレン基(EO)に加えて疎水基であるオキシプロピレン基(PO)を有することが好ましい。ここで、オキシエチレン基は-OCHCH-で表される基である。オキシプロピレン基は、プロピレン基が直鎖状の、オキシ-n-プロピレン基(-OCHCHCH-で表される基)及びプロピレン基が分岐した、オキシ-i-プロピレン基(-OC(CH)HCH-で表される基)のうち1種以上である。このうち、オキシプロピレン基は、オキシ-i-プロピレン基であることが好ましい。
【0050】
(B)成分のオキシアルキレン界面活性剤が、EOを有することで、ITOなどの親水性の基板表面に(B)成分が十分に付着して、立体障害によってレジスト剥離物が基板に再付着するのを抑制することができ、レジスト残渣の抑制効果を向上させることができる。
【0051】
また、(B)成分のオキシアルキレン界面活性剤が、POを有することで、ITOなどの親水性の基板表面に、(B)成分が付着した場合にも、純水によって洗浄し易く、これを基点にレジスト残渣の再付着が起こるのを抑制することができる。
【0052】
また、上記のように、(B)成分の有するEOとPOは、それぞれ、レジスト残渣の抑制効果に対して及ぼす作用が異なる。そのため、オキシアルキレン界面活性剤の有するEOとPOの比率によって、そのレジスト残渣の抑制効果も異なる場合がある。本発明のレジスト剥離液組成物によれば、上記QCM洗浄性を有する(B)成分を用いることで、優れたレジスト残渣抑制効果を有する(B)成分を得ることができる。
【0053】
(B)成分として用いられるオキシアルキレン界面活性剤が1分子中に有するオキシエチレン基及びオキシプロピレン基の個数は、オキシプロピレン基/オキシエチレン基(PO/EO)で表わされる個数の比で、0以上6以下であることが好ましい。PO/EOが0以上6以下であることで、適度なQCM洗浄性を発現するため、(B)成分の純水による除去効果とレジスト剥離物の基板への再付着抑制効果を両立させて、優れたレジスト残渣の抑制効果を有するレジスト剥離液組成物を得ることができる。なお、この際のEOの数は、1分子中、1個以上149個以下であることが好ましい。
【0054】
(B)成分として用いられるオキシアルキレン界面活性剤は、オキシエチレン基(EO)及びオキシプロピレン基(PO)を有する場合、そのEO及びPOの含有割合は、EO:POで表されるモル比で、0.2:1以上3:1以下であることが好ましく、0.5:1以上1.5:1以下であることがより好ましい。EO:PO(モル比)が上記した範囲であると、適度なQCM洗浄性を発現するため、優れたレジスト残渣の抑制効果を有するレジスト剥離液組成物を得ることができる。
【0055】
(B)成分として用いられるオキシアルキレン界面活性剤はEO及びPO以外にも、アルキル基、水酸基、水素原子等を有していてもよい。これらの基は、オキシアルキレン界面活性剤の有する炭素原子に、例えば、EO又はPOの有する水素原子を置換することで接続されるか、EO同士、PO同士又はEOとPOの間に接続されるか、又は末端に接続される。上記アルキル基、水酸基、水素原子等は、アルケニル基やフェニル基、多環フェニル基に比べて、疎水性が低いため、基板表面への付着が弱く、純水によって洗浄し易い。そのため、レジスト残渣の抑制効果を向上することができる。
【0056】
(B)成分がアルキル基を有する場合、当該アルキル基は、直鎖状又は分岐状であることが好ましい。直鎖状又は分岐状のアルキル基は、環状のアルキル基に比べて疎水性が低いため、基板表面への付着が弱く、純水によって洗浄し易い。そのため、レジスト残渣の抑制効果を向上することができる。
【0057】
(B)成分として用いられるオキシアルキレン界面活性剤は、本発明の効果を損なわない限り、EO、PO及び任意に有するアルキル基、水酸基を構成する炭素、水素、酸素以外の元素を含んでいてもよいが、炭素、水素、酸素のみからなることが好ましい。(B)成分は、炭素、水素、酸素のみからなる場合、これらの元素が電荷を持ちにくいため、基板表面への付着が弱く、純水によって洗浄し易い。そのため、レジスト残渣の抑制効果を向上することができる。
【0058】
(B)成分として用いられるオキシアルキレン界面活性剤は、(A)成分のレジスト剥離液との相溶性の観点から、数平均分子量が100以上15000以下であることが好ましい。また、オキシアルキレン界面活性剤は、炭素数10以上500以下であることが好ましい。なお、界面活性剤の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定して得られるポリスチレン換算の値として測定することができる。
【0059】
オキシアルキレン界面活性剤は、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(1):HO-(EO)-(PO)-(EO)-H
(ただし、上記式(1)中、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、x+zは1~150の数、yは、1~50の数である。)
【0060】
上記一般式(1)において、x+zは好ましくは1~30の数であり、yは好ましくは、1~30の数である。なお、上記一般式(1)で表される化合物において、PO/EO(個数比)はy/(x+z)で算出され、EO:PO(モル比)は、(x+z):yで算出される。このようなオキシアルキレン界面活性剤によれば、優れたレジスト残渣の抑制効果が得られるとともに、(A)成分との相溶性に優れるため、作業性が良好なレジスト剥離液組成物を得ることができる。
【0061】
一般式(1)で表される化合物としては、市販品を用いることができる。一般式(1)で表される化合物の市販品は、例えば、L-31、L-62、L34、F-88(いずれも製品名、アデカ社製)である。
【0062】
また、オキシアルキレン界面活性剤は、下記一般式(2-1)で表される化合物であることが好ましい。
【0063】
一般式(2-1):R-O-(EO)(PO)-H
(ただし、上記一般式(2-1)中、Rは、直鎖状、分岐状又は環状の、炭素数6~22のアルキル基、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、pは1~149の数、qは0~10の数である。)
一般式(2-1)において、pは1~40の数であることが好ましい。qは0~5の数であることが好ましく、0~3の数であることがより好ましい。
【0064】
また、オキシアルキレン界面活性剤は、下記一般式(2-2)で表される化合物であることが好ましい。
【0065】
一般式(2-2):R-O-(EO)(PO)-H
(ただし、上記式(2-2)中、Rは直鎖状、分岐状又は環状の、炭素数6~18のアルキル基、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、pは1~10の数、qは1~10の数である。)
【0066】
上記一般式(2-1)及び(2-2)において、Rは、直鎖状又は分岐状であることが好ましく、炭素数は、8~16であることが好ましく、8~15であることがより好ましい。また、pは1~3の数であることが好ましく、qは1~4の数であることが好ましい。上記一般式(2-1)及び(2-2)で表される化合物において、PO/EO(個数の比)はq/pで算出され、EO:PO(モル比)は、p:qで算出される。
【0067】
一般式(2)で表される化合物としては、市販品を用いることができる。一般式(2-1)で表される化合物の市販品は、NIKKOL BC-40、NIKKOL BB-20(いずれも、日光ケミカルズ株式会社製)等であり、一般式(2-2)で表される化合物の市販品は、WT-100(製品名、タナテックス社製)、2303Y、2303FB(いずれも製品名、日本乳化社製)等である。
【0068】
(B)成分として、一般式(2-1)及び(2-2)で表されるオキシアルキレン界面活性剤を使用した場合には、これ以外のその他の界面活性剤をさらに添加することで、レジスト残渣の抑制効果を向上させることができる。この場合、一般式(2-1)及び(2-2)で表されるオキシアルキレン界面活性剤と併用されるその他の界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤であることが好ましい。その他の界面活性剤は1種であっても2種以上であってもよい。
【0069】
本発明のレジスト剥離液組成物において、(B)オキシアルキレン界面活性剤の含有割合は、前記(A)レジスト剥離液の100質量部に対して、0.01~10質量部であり、0.1~3質量部であることが好ましく、0.1~1質量%であることがより好ましい。(B)オキシアルキレン界面活性剤の含有割合が、上記範囲であることで、優れたレジスト残渣の抑制効果を得ることができる。
【0070】
本発明のレジスト剥離液組成物は、25℃における粘度が、10cP以下であることが好ましく、5cP以下であることがより好ましい。本発明のレジスト剥離液組成物においては、(A)成分として、炭酸グリセロールを含む場合、炭酸グリセロールは粘度が高いので、その配合量が多い場合には粘度が高くなり、作業温度によっては作業性が低下することも考えられる。このような場合には、加熱して粘度を上記範囲にまで低くして剥離作業を行うことが望ましい。
【0071】
本発明のレジスト剥離液組成物は、引火点が100℃以上であることが好ましい。引火点が100℃以上であれば、加熱作業の際の安全性がより高くなる。なお本発明のレジスト剥離液組成物の引火点は、本発明の範囲内で上記した(A)成分の種類や含有割合を変更することで調整可能である。
【0072】
また、本発明のレジスト剥離液組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、(A)成分、(B)成分以外のその他の添加物、例えば少量の水や、水溶性の有機溶媒を含有していてもよい。
【0073】
以上で説明した本発明のレジスト剥離液組成物は、優れたレジスト剥離性能を有する。また。本発明のレジスト剥離液組成物は、レジスト剥離後の純水リンスに際して、レジスト剥離物の基板への再付着(レジスト残渣)を著しく抑制することができる。
【実施例1】
【0074】
次に実施例について説明する。
なお、以下の実施例における各略号は次の物質又は基を示している。
EC:炭酸エチレン
PC:炭酸プロピレン
GBL:γ-ブチロラクトン
CP:シクロペンタノン
GC:炭酸グリセロール
MEA:モノエタノールアミン
DMSO:ジメチルスルホキシド
BDG:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
EO:オキシエチレン基(-O-CHCH-)
i-PO:オキシ-i-プロピレン基(-O-C(CH)H-CH-)
PO:オキシ-i-プロピレン基(-O-C(CH)H-CH-)又はオキシ-n-プロピレン基(-O-CH-CH-CH-)
【0075】
また、各例で使用した界面活性剤は次に示すものであり、各製品の一般式は分析により得たものである。
No.1:一般式(3):HO-(EO)-(PO)-(EO)-Hで示されるポリオキシプロピレンポリオキシエチレン共重合体、x+z=3、y=16、製品名:L-31、アデカ社製、数平均分子量1100
No.2:一般式(3)で表わされるポリオキシプロピレンポリオキシエチレン共重合体、x+z=17、y=30、製品名:L-62、アデカ社製、数平均分子量2500
No.3:一般式(4-1):C-O-(EO)-(i-PO)-Hで表わされるポリオキシアルキレンアルキルエーテル、a=8、b=17、p=1、q=1、製品名:WT-100、タナテックス社製、数平均分子量220
No.4:一般式(3)で表わされるポリオキシプロピレンポリオキシエチレン共重合体、x+z=1、y=1、製品名:L-34、アデカ社製、数平均分子量1700
No.5:一般式(4):C-O-(EO)-(PO)-Hで表わされるポリオキシアルキレンアルキルエーテル、a=12~13、b=25~27、p=4、q=3、製品名:2303FB、日本乳化社製、数平均分子量536
No.6:一般式(3)で表わされるポリオキシプロピレンポリオキシエチレン共重合体、x+z=103、y=39、製品名:F-88、アデカ社製、数平均分子量10100
【0076】
No.7:一般式(3)で表わされるポリオキシプロピレンポリオキシエチレン共重合体、x+z=5、y=35、製品名:L-71、アデカ社製、数平均分子量2300
No.8:一般式(4)で表わされるポリオキシアルキレンアルキルエーテル、a=12~13、b=25~27、p=8、q=2、製品名2303Y、日本乳化社製、数平均分子量654
No.9:一般式(3)で表わされるポリオキシプロピレンポリオキシエチレン共重合体、x+z=85、y=16、製品名F-38、アデカ社製、数平均分子量4800
【0077】
No.10:一般式(4)で表わされるポリオキシアルキレンアルキルエーテル、a=8、b=17、x=2、y=0(2-エチルヘキシルジグリコール)、製品名:EHDG、日本乳化社製、数平均分子量218
No.11:一般式(4)で表わされるポリオキシアルキレンアルキルエーテル、a=12~13、b=25~27、x=0、y=5、製品名:2303FE、日本乳化社製、数平均分子量495
No.12:一般式(4)で表わされるポリオキシアルキレンアルキルエーテル、a=6、b=13、x=2、y=0(ヘキシルジグリコール)、製品名:HEDG、日本乳化社製、数平均分子量190
No.13:組成式:R13-O-(EO)-(i-PO)-H(R13は-C1429で表される分岐状のアルキル基である)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル、x=5、y=0、製品名:NT-5、日本乳化社製、数平均分子量420
No.14:アニオン系界面活性剤(C1225COOK)、製品名:パイオニンA-1-K、竹本油脂社製、数平均分子量253
No.15:カチオン系界面活性剤(C1225N(CHCl)、製品名:パイオニンB-111、竹本油脂社製、数平均分子量264
No.16:ポリオキシエチレン多環フェニルエーテルφ-O-(CHCHO)-H、φ:多環フェニル基(スチレン化フェノール系の多環フェニル基)、製品名:2607、日本乳化社製、数平均分子量550
【0078】
No.17:一般式(4)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル、a=16、b=33、p=40、q=0、製品名:NIKKOL BC-40、日光ケミカルズ株式会社、数平均分子量2002
No.18:一般式(4)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル、a=22、b=45、p=20、q=0、製品名:NIKKOL BB-20、日光ケミカルズ株式会社、数平均分子量1206
No.19:一般式(4)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル、a=16、b=33、p=150、q=0、製品名:NIKKOL BC-150、日光ケミカルズ株式会社、数平均分子量6842
No.20:一般式(4)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル、a=24、b=49、p=12、q=6、製品名:PEN-4612、日光ケミカルズ株式会社、数平均分子量1214
【0079】
[QCM洗浄性の測定]
上記No.1~No.20の界面活性剤について、図1に示すのと同様のQCM装置を用いて、それぞれQCM洗浄性を評価した(例1~20)。先ず、測定基板の表面に、スパッタリングによってITO薄膜を厚さ100nmで形成した。このITO薄膜の形成された測定基板を、試料測定用チャンバー内に配置した。測定基板の有効面積は、0.95cmであった。
【0080】
その後、試料測定用チャンバー内の温度を25℃に調節し、その後、試料測定用チャンバー内にブランク水(純水)を通液した。次いで、ブランク水に上測定対象成分を所定濃度で添加したサンプル液を、試料測定用チャンバー内に通液し、振動数検出器で検出される振動数が安定したことを確認しながら、逐次的に測定対象成分の添加濃度を増加させたサンプル液の通液を繰り返した。振動数検出器の発振周波数は4.95±0.05MHzを1、3、5、7、9、11、13倍と奇数倍で発振させて、それぞれ測定した。
【0081】
振動数検出器によって、測定基板の振動数変化を測定し、これにより、測定基板の質量変化を算出した。質量変化がなくなり、質量が300秒以上安定した後に、サンプル液の供給を停止した。このとき、測定基板には、サンプル液中の測定対象成分が飽和吸着しており、質量変化から、総付着量を求めたところ、測定基板への測定対象成分の付着量は、1nmol/cm以上20nmol/cm以下であった。試料測定用チャンバー内にブランク水を0.1mL/分で連続的に通液した。その過程で、振動数検出器によって振動数変化を測定し、上記式(5)、(6)と同様に測定基板の質量変化を算出した。
【0082】
測定対象成分が、当該洗浄工程初期の付着量(モル量)から、ブランク水通液によって、300秒以内に単調に減少してほぼ消失する特性を持つ場合を◎(優)、600秒以内に単調に減少してほぼ消失する特性を持つ場合を○(良)、900秒以内に減少してほぼ消失するか、これより早期に消失するが測定基板への再付着が生じて一次的に付着量の増加が起こる特性を持つ場合を△(可)、測定基板への再付着等が生じて、付着量の上昇と減少が不定期に起こる(単調に減少しない)場合、及び1000秒後にも消失しない場合を×(不良)と評価した。これらの結果を表1に示す。
【0083】
また、上記で○(良)と判断したNo.3の界面活性剤と、×と判断したNo.8の界面活性剤について、洗浄工程開始後の、ブランク水通液時間と付着量の関係をそれぞれ図2(No.3)、図3(No.8)に示す。また、上記で○(良)と判断したNo.18の界面活性剤と、△と判断したNo.13の界面活性剤について、洗浄工程開始後の、ブランク水通液時間と付着量の関係をそれぞれ図4(No.18)、図5(No.13)に示す。
【0084】
[レジスト許容濃度の評価1]
レジスト残渣の抑制効果の指標として、次のようにレジスト許容濃度を測定した。EC:GBL:GC=50:40:10(質量比)で混合したレジスト剥離液の100質量%に対して、表1に示すように、界面活性剤No.1~20をそれぞれ、0.1質量混合して、例1~20のレジスト剥離液組成物を調製した。
【0085】
得られたレジスト剥離液組成物の50gに、ノボラック樹脂系ポジ型レジスト(商品名:AZ SR-220(AZ ELECTRONICMATERIALS社製)を所定の量で溶解させ、レジスト溶解液を調整した。ホットスターラーで45℃に加温した評価対象のレジスト溶解液50mLに、窒化ケイ素(SiN)膜を表面に形成したガラス基板、ITO膜を表面に形成したガラス基板をそれぞれ60秒浸漬させ、その後、取り出した。取り出したガラス基板を、60℃、200mLの純水に浸漬させて60秒間でリンスした。純水リンスの際には、純水を収容する容器内で、純水を流量1.5L/minで供給してオーバーフローさせながらリンスした。
【0086】
ガラス基板としては、CORNING社製、商品名:イーグル2000、20mm×20mm、厚さ0.5mmを用いた。また、ガラス基板表面の窒化ケイ素膜、ITO膜は、いずれも厚さ100nmであり、スパッタリングによって形成した。
【0087】
純水リンス後、ガラス基板表面を窒素ガスで乾燥させ、その後、乾燥させたガラス基板の表面(窒化ケイ素膜表面又はITO表面)を、光学顕微鏡(オリンパス社製、商品名:工業用検査顕微鏡MX51)によって観察し、ガラス基板表面の付着物の有無を確認した。レジスト溶解液中のレジスト濃度を0.1~0.5質量%の範囲で変化させて、各濃度のレジスト溶解液について上記試験を行い、ガラス基板表面に付着物が生じるレジスト濃度をレジスト許容濃度とした。結果を表1に示す。表1において例1~6、10、12、13、17、18は実施例であり、例7~9、11、14~16、19、20は比較例である。
【0088】
【表1】
【0089】
レジスト残渣の抑制効果は、レジスト許容濃度によってS~Dの5段階で次のように評価した。レジスト許容濃度が大きい方が、レジスト剥離液中に溶解されるレジストの濃度が高く、純水リンスに際してレジスト剥離物の再付着(レジスト残渣)を生じにくいことを示す。
S:レジスト許容濃度が0.7質量%以上
A:レジスト許容濃度が0.5質量%以上
B:レジスト許容濃度が0.3質量%以上0.5質量%未満
C:レジスト許容濃度が0.1質量%以上0.3質量%未満
D:レジスト許容濃度が0.1質量%未満
【0090】
なお、工業的には、レジスト許容濃度が0.1質量%程度以上のレジスト剥離液であれば純水リンスの際にレジスト残渣が生じることがなく実用に適する。
【0091】
[レジスト許容濃度の評価2]
EC:GBL:GC=50:40:10(質量比)からなるレジスト剥離液と、EC:GBL:GC=60:35:5(質量比)の100質量%のそれぞれに対して、例1の界面活性剤(オキシアルキレン界面活性剤)を、0.01~10質量%の範囲の所定の量で混合して、レジスト剥離液組成物を調製した(例18~22、例24~28)。こうして得られた各レジスト剥離液組成物と、オキシアルキレン界面活性剤を添加しない比較例のレジスト剥離液(例17、例23)について、上記[レジスト許容濃度の評価1]と同様に、ITO膜を成膜したガラス基板を用いてレジスト許容濃度を測定し、評価した。結果を表2に示す。表2において、例18~22及び例24~28は実施例であり、例17及び例23は比較例である。
【0092】
【表2】
【0093】
また、(B)成分として、界面活性剤No.1に代えて、界面活性剤No.17(BC-40)、界面活性剤No.18(BB-20)を用い、表2と同様にその混合量を変更してレジスト剥離液組成物を調整し、上記同様のレジスト許容濃度を測定し、評価した。その結果、界面活性剤No.17(BC-40)とNo.18(BB-20)を用いた場合も、(B)成分の量が、(A)成分の100質量%に対して、0.01質量%及び10質量%の場合は「B」、0.1質量、0.5質量%、1.0質量%の場合は「A」であり、表2に示される界面活性剤No.1を用いた場合と同様の評価結果であった。
【0094】
[レジスト許容濃度の評価3]
EC:GBL:GC=50:40:10(質量比)からなるレジスト剥離液の100質量%のそれぞれに対して、No.1、No.3、No.6、No.17、No.18の界面活性剤のうちの1種を0.1質量%、及びNo.9、No.11、No.13~16の界面活性剤のうち1種を、0.1質量%それぞれ混合して、実施例のレジスト剥離液組成物を調製した。こうして得られた各例のレジスト剥離液組成物について、上記[レジスト許容濃度の評価1]と同様に、ITO膜を成膜したガラス基板を用いてレジスト許容濃度を測定し、評価した。
結果を表3に示す。
【0095】
【表3】
【0096】
[レジスト許容濃度の評価4]
表2に示される例17~例28のレジスト剥離液組成物に、No.11の界面活性剤を、(A)レジスト剥離液の100質量%に対して、0.1質量%混合して、例47~58のレジスト剥離液又はレジスト剥離液組成物を調製した。こうして得られた各例のレジスト剥離液組成物について、上記[レジスト許容濃度の評価1]と同様に、ITO膜を成膜したガラス基板を用いてレジスト許容濃度を測定し、評価した。結果を表4に示す。表4において、例48~52及び例54~58は実施例、例47及び例53は比較例である。
【0097】
【表4】
【0098】
また、(B)成分として、界面活性剤No.1に代えて、界面活性剤No.17(BC-40)、界面活性剤No.18(BB-20)を用い、上記同様にその混合量を変更してレジスト剥離液組成物を調整し、上記同様のレジスト許容濃度を測定し、評価した。その結果、界面活性剤No.17(BC-40)とNo.18(BB-20)を用いた場合も、(B)成分の量が、(A)成分の100質量%に対して、0.01質量%及び10質量%の場合は「B」、0.1質量、0.5質量%、1.0質量%の場合は「A」であり、表4に示される界面活性剤No.1を用いた場合と同様の評価結果であった。
【0099】
[レジスト許容濃度の評価5]
アミン系のレジスト剥離液として、MEA:DMSO=70:30及びMEA:BDG:水=20:60:20(いずれも質量比))のレジスト剥離液を用意した。この、アミン系のレジスト剥離液それぞれの100質量%に対し、No.1の界面活性剤を0.01~10質量%の範囲の所定の量で混合して、レジスト剥離液組成物を調製した。こうして得られた各例のレジスト剥離液組成物と、オキシアルキレン界面活性剤を添加しないレジスト剥離液について、上記[レジスト許容濃度の評価1]と同様に、ITO膜を成膜したガラス基板を用いてレジスト許容濃度を測定し、評価した。結果を表5に示す。表5において、例60~64、例66~例70は実施例、例59及び例65は比較例である。
【0100】
【表5】
【0101】
また、(B)成分として、界面活性剤No.1に代えて、界面活性剤No.17(BC-40)、界面活性剤No.18(BB-20)を用い、上記同様にその混合量を変更してレジスト剥離液組成物を調整し、上記同様のレジスト許容濃度を測定し、評価した。その結果、界面活性剤No.17(BC-40)とNo.18(BB-20)を用いた場合も、(A)成分の組成が、MEA:DMSO=70:30である場合、(B)成分の量が、(A)成分の100質量%に対して、0.01質量%及び10質量%の場合は「B」、0.1質量、0.5質量%、1.0質量%の場合は「A」であり、例60~64に示される界面活性剤No.1を用いた場合と同様の評価結果であった。(A)成分の組成が、MEA:BDG:水=20:60:20である場合、(B)成分の量が、(A)成分の100質量%に対して、0.01質量%及び10質量%の場合は「C」、0.1質量、0.5質量%、1.0質量%の場合は「A」であり、例66~70に示される界面活性剤No.1を用いた場合と同様の評価結果であった。
【0102】
[レジスト剥離速度の評価]
例17、例23、例19及び例25のレジスト剥離液組成物について、次のようにレジスト剥離速度の評価を行った。[レジスト許容濃度の評価1]と同様のガラス基板表面に、同様のレジストを塗布後、110℃及び130℃でベークして、厚さ2μmのレジスト膜を形成した。得られたレジスト膜付きガラス基板を、各例のレジスト剥離液組成物50g(常温)に6~12秒の範囲の所定の時間で浸漬し、1回/秒で揺動させた。その後、[レジスト許容濃度の評価1]と同様に、容器内でオーバーフローさせた純水中に浸漬し、窒素ガスによって乾燥させた後、表面を上記同様の光学顕微鏡で観察した。レジストが剥離されたものを○と表記して表6に結果を示す。
【0103】
これにより、いずれのレジスト剥離液組成物についても、レジスト膜付きガラス基板を10秒以上浸漬することで、レジストが剥離されたことが分かった。
【0104】
【表6】
【0105】
また、(B)成分として、界面活性剤No.1に代えて、界面活性剤No.17(BC-40)、界面活性剤No.18(BB-20)を用い、上記同様にその混合量を変更してレジスト剥離液組成物を調整し、上記同様のレジスト剥離速度の評価を行った。その結果、界面活性剤No.17(BC-40)とNo.18(BB-20)を用いた場合も、(B)成分の量が、(A)成分の100質量%に対して、0.1質量%の場合に、レジスト剥離時間が10~12秒であり、界面活性剤No.1を用いた場合と同様の評価結果であった。
【0106】
[金属配線に対する腐食性評価]
例19、25(実施例)及び例59、65(比較例)のレジスト剥離液組成物について、金属配線に対する腐食性評価を次のように行った。[レジスト許容濃度の評価1]と同様のガラス基板に、Cu、Al、Moをスパッタリングして模擬金属配線基板を用意した。模擬金属配線基板を60~80℃に加温した上記評価対象のレジスト剥離液組成物200g中に100分間、レジスト剥離液組成物を撹拌しながら浸漬させた。浸漬後、レジスト剥離液組成物中に溶出した金属量をICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析装置)で測定し、その結果からCu、Al、Moの1分間あたりのエッチングレートを求めた。結果を表7に示す。また、例19及び例25において、界面活性剤No.1に代えて、界面活性剤No.17を使用した場合(例93及び例94)、界面活性剤No.18を使用した場合(例95及び例96)についても上記同様に、金属配線に対する腐食性評価を行った。結果を上記界面活性剤No.1を用いた例19及び例25と併せて表7に示す。
【0107】
【表7】
【0108】
表7より、炭化水素系のレジスト剥離液によれば、アミン系のレジスト剥離液に比べて、金属配線の腐食が抑制されることが分かる。
【符号の説明】
【0109】
1…水晶振動子マイクロバランス(QCM)装置、2…試料測定用チャンバー、3…測定基板、4…フローモジュール、5…振動数検出器、6…チューブ。
図1
図2
図3
図4
図5