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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-21
(45)【発行日】2022-05-02
(54)【発明の名称】使い捨て座薬挿入装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 31/00 20060101AFI20220422BHJP
【FI】
A61M31/00
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2018558134
(86)(22)【出願日】2017-05-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-20
(86)【国際出願番号】 US2017032142
(87)【国際公開番号】W WO2017197100
(87)【国際公開日】2017-11-16
【審査請求日】2020-03-09
(31)【優先権主張番号】62/335,179
(32)【優先日】2016-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518386209
【氏名又は名称】クリストコット エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ダヴァジャン,ジェニファー,ジェー.
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-215732(JP,A)
【文献】国際公開第2003/101525(WO,A1)
【文献】特開平02-302266(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02554211(EP,A1)
【文献】特表2004-526520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨て座薬挿入装置であって、
患者の肛門管内においてフィットするようにサイズ設定及び成形されたバレルと、
前記バレルに対して軸方向に移動可能であり、前記バレルに移動可能に結合されるように構成されたプランジャと、
前記バレルに対する前記プランジャの動作移動中に起動され、1回の使用後、座薬挿入装置を動作不能にするように構成され、前記プランジャは、中間部分、前記中間部分よりも幅広である挿入端部、及び指インターフェイス端部を含み、前記プランジャの前記中間部分に沿って位置決めされる前記バレル又は前記プランジャの無効化特徴と、
前記無効化特徴を起動するために、前記バレル又は前記プランジャの前記無効化特徴と不可逆的に係合するように構成される前記バレル又は前記プランジャの構造要素と、を含み、
前記構造要素は、前記バレルの内側表面から径方向に間隔を空けて延在する複数のフィンを含み、各フィンが前記バレルの長さに沿って軸方向に延在する使い捨て座薬挿入装置。
【請求項2】
前記無効化特徴を起動するために、座薬の挿入又はそれから離れる後退中に前記バレル又は前記プランジャの前記無効化特徴と係合するように前記バレル又は前記プランジャの前記構造要素が構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記構造要素は、前記無効化特徴に対して相補的な特徴を含む、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記構造要素の前記相補的な特徴は、凹入表面を含み、及び前記無効化特徴は、突出表面を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記構造要素は、前記バレルの内側表面から内向きに延在する4つのフィンを含む、請求項~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記構造要素は、離隔要素である、請求項~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記無効化特徴は、前記プランジャの外側表面から外向きに延在する突出部である、請求項~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記無効化特徴及び前記構造要素は、ラチェットを形成する、請求項~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記構造要素は、前記バレルに結合されるか又はそれによって画定され、前記無効化特徴は、前記プランジャに結合されるか又はそれによって画定される、請求項~8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記構造要素との前記無効化特徴の係合は、前記構造要素が前記バレルから結合解除されることを引き起こす、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記構造要素を前記バレルに結合するフランジを更に含み、前記フランジは、前記構造要素が前記バレルから結合解除されることを引き起こすために前記フランジの穿孔において破断するように構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記バレル内において受け入れ可能であり、且つ前記プランジャに結合するように構成されたインサートを更に含み、前記インサートは、無効化特徴を含む、請求項~11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記プランジャは、前記インサートに結合するための結合具を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記構造要素は、前記バレルを通した前記プランジャの後退中に前記無効化特徴と係合するように構成される、請求項~13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記構造要素は、前記バレルの内側表面から内向きに延在し、前記無効化特徴と係合するスロットを画定する、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記プランジャは中空である、請求項1~15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
使い捨て座薬挿入装置であって、
患者の肛門管内においてフィットするようにサイズ設定及び成形されたバレルと、
前記バレルに対して軸方向に移動可能であり、前記バレルに移動可能に結合されるように構成されたプランジャと、
前記バレルに対する前記プランジャの動作移動中に前記プランジャ又は前記バレルの無効化特徴を起動し、前記無効化特徴の起動により、1回の使用後、座薬挿入装置を動作不能にし、前記プランジャは、中間部分、前記中間部分よりも幅広である挿入端部、及び指インターフェイス端部を含み、前記無効化特徴は前記プランジャの前記中間部分に沿って位置決めされるための手段と、を含み、
前記無効化特徴を起動するための前記手段は、前記バレル又は前記プランジャの前記無効化特徴と不可逆的に係合するように構成された前記バレル又は前記プランジャの構造要素を含み、
前記構造要素は、前記バレルの内側表面から径方向に間隔を空けて延在する複数のフィンを含み、各フィンが前記バレルの長さに沿って軸方向に延在する使い捨て座薬挿入装置。
【請求項18】
座薬の挿入又はそれから離れる後退中に前記バレル又は前記プランジャの前記無効化特徴と係合するように前記バレル又は前記プランジャの前記構造要素が構成されている、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記構造要素は、前記バレルの内側表面から内向きに延在し、前記無効化特徴と係合するスロットを画定する、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記プランジャは中空である、請求項1719のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
前記構造要素が、前記バレルの内側表面から内向きに延在する4つのフィンを含む請求項17~20のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本出願は、2016年5月12日付けで出願された米国仮特許出願第62/335,179号の利益を主張するものである。上記の特許出願の教示全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
[0002] 直腸坐薬は、様々な疾病及び症状を治療するために、既定の薬剤用量を投与するように使用される。直腸坐薬は、患者を局所的に又は全身的に治療するために、身体内において溶解することにより、直腸坐薬に含まれている有効医薬成分(API)の直腸粘膜による吸収を許容するように設計される。坐薬は、通常、制御不能な嘔吐又は吐き気、慢性的な病気、及び胃腸疾病などの様々な理由から薬剤を経口摂取することができない患者に薬剤を投与するために使用される。加えて、子供、老人、及び自分で看護できない患者も、様々な症状及び状態を治療するために直腸坐薬を使用することができる。他の場合、特定の薬剤は、極端な胃のむかつきをもたらす可能性があり、又は胃若しくは肝臓において不活性化され、且つ従って直腸投与がより適している。
【0003】
[0003] 患者が例えば胎位において自らの左側部を下にして横たわっている間に且つ腸管を空にした後、指を使用して直腸坐薬を手作業で投与することが一般的な方法である。坐薬の挿入後、患者は、ある程度の長さの時間(例えば、少なくとも30分間)にわたり、胎位において自らの側部を下にして横たわった状態に留まるように指示される一方、坐薬が直腸内において溶解するための時間が確保され、且つ身体が吸収プロセスを開始する。
【0004】
[0004] 直腸坐薬を投与するためのアプリケータが提案されている。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 坐薬の使い捨て挿入のための装置及び関連する方法が提供される。
【0006】
[0006] 例示的な一実施形態による使い捨て座薬挿入装置を提供する方法は、坐薬の挿入又はそれから離れる後退中など、バレルに対するプランジャの動作移動中にバレル又はプランジャの無効化特徴を起動することを含む。
【0007】
[0007] 無効化特徴を起動することは、例えば、プランジャ又はバレルの無効化特徴をバレル又はプランジャの構造要素と不可逆的に係合させることを含み得る。無効化特徴を起動することは、バレルを通した且つ坐薬から離れるプランジャの後退など、坐薬の挿入又はそれから離れる後退中に無効化特徴を起動することを含み得る。
【0008】
[0008] 構造要素は、無効化特徴に対して相補的な特徴を含み得、且つ無効化特徴を相補的な特徴と係合させ得る。例えば、構造要素の相補的な特徴は、凹入表面を含み得、及び無効化特徴は、突出表面を含み得る。構造要素は、バレルの内側表面から延在し得、且つプランジャをバレルから離隔させるための離隔要素であり得る。
【0009】
[0009] 無効化特徴は、プランジャの外側表面から外向きに延在する突出部であり得る。例えば、無効化特徴及び構造要素は、1つの方向における移動を許容するが、別の(例えば、反対の)方向における移動を妨げるようにラチェットを形成し得る。
【0010】
[0010] 構造要素は、バレルに結合され得るか又はそれによって画定され得、及び無効化特徴は、プランジャに結合され得るか又はそれによって画定され得る。無効化特徴を構造要素と係合させることは、構造要素がバレルから結合解除されることを引き起こす。例えば、構造要素をバレルに結合させるフランジが提供され得る。フランジは、バレルからの完全な又は部分的な結合解除であり得る、構造要素が結合解除されることを引き起こすためにフランジの穿孔において破断するように構成され得る。
【0011】
[0011] 使い捨て座薬挿入装置を提供する方法は、プランジャを、バレル内において受け入れ可能なインサートに結合することを更に含み得、インサートは、無効化特徴を含む。プランジャは、インサートに結合するための結合具を含み得る。
【0012】
[0012] 例示的な一実施形態による使い捨て座薬装置は、バレルと、バレルに移動可能に結合されるように構成されたプランジャと、坐薬の挿入又はそれから離れる後退中など、バレルに対するプランジャの動作移動中に起動されるように構成されたバレル又はプランジャの無効化特徴とを含む。
【0013】
[0013] 使い捨て座薬挿入装置は、無効化特徴を起動するために、坐薬の挿入又はそれから離れる後退中にバレル又はプランジャの無効化特徴と係合するように構成されたバレル又はプランジャの構造要素を更に含み得る。
【0014】
[0014] 離隔要素、フィン、突出部などの構造要素は、装置と関連するガスフロー経路を維持するように構成され得る。構造要素は、無効化特徴と不可逆的に係合するように構成され得、且つ無効化特徴に対して相補的な特徴を含み得る。例えば、構造要素の相補的な特徴は、凹入表面を含み得、及び無効化特徴は、突出表面を含み得る。構造要素は、バレルを通したプランジャの後退中に無効化特徴と係合するように構成され得る。
【0015】
[0015] 装置は、バレル内において受け入れ可能であり、且つプランジャに結合するように構成されたインサートを更に含み得る。インサートは、無効化特徴を含み得るか又はそれを形成し得る。プランジャは、インサートに結合するための結合具を含み得、それにより、インサートは、バレルに対するプランジャの動作移動中にプランジャと共に移動する。プランジャは、無効化特徴を起動するためにインサートと更に協働し得る。
【0016】
[0016] 使い捨て座薬挿入装置の別の例示的な実施形態は、バレルと、バレルに移動可能に結合されるように構成されたプランジャと、坐薬の挿入又はそれから離れる後退中など、バレルに対するプランジャの動作移動中にプランジャ又はバレルの無効化特徴を起動するための手段とを含み得る。
【0017】
[0017] 無効化特徴を起動するための手段は、坐薬の挿入又はそれから離れる後退中にバレル又はプランジャの無効化特徴と係合するように構成されたバレル若しくはプランジャの構造要素又はその均等物を含み得る。
【0018】
[0018] 本発明の実施形態は、いくつかの利点を提供することができる。バレル、プランジャ又はその両方において提供され得る無効化特徴は、1回の使用後、座薬挿入装置を動作不能にすることができる。例えば、無効化特徴は、係合されると、バレルに別の座薬を再充填できないように、バレルを通したプランジャの後退を妨げることができる。無効化特徴は、1回の使用後に挿入装置を動作不能にする、1つ又は複数の破断要素などの破壊コンポーネントを含み得る。例えば、1つ又は複数の破断要素が破断した場合、プランジャは、もはやバレルと係合することができず、その結果、プランジャは、バレル内に留め置かれる。他の例では、無効化特徴は、バレルに対するプランジャの動作移動中に不可逆的に係合される。実施形態は、望ましい解剖学的場所における坐薬の適切な配置を確保するために、坐薬の挿入又はそれからの後退中にガスが身体内に又はそれから外に流れることを許容する1つ又は複数のフロー経路を含み得る。
【0019】
[0019] 上記は、同様の参照符号が様々な図を通して同じ部分を指す添付図面に示されている、本発明の例示的な実施形態に関する以下のより具体的な説明から明らかになるであろう。添付図面は、必ずしも縮尺通りではなく、代わりに本発明の実施形態を例示することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】組み立てられていない状態の装置を示す、本発明の例示的な一実施形態による使い捨て座薬挿入装置の断面図である。
図1B】組み立てられた状態における図1Aの使い捨て座薬挿入装置の断面図である。
図1C】例えば、坐薬の挿入後のロックされた状態における図1Bの使い捨て座薬挿入装置の断面図である。
図1D図1Aの装置のインサートの断面図である。
図1E図1Aの装置のプランジャの断面図である。
図1F図1Bの挿入装置の断面図である。
図2】別の例示的な実施形態による使い捨て座薬挿入装置の断面図である。
図3A】組み立てられていない状態の装置を示す、本発明の更に別の例示的な実施形態による使い捨て座薬挿入装置の断面図である。
図3B】組み立てられた状態における図3Aの使い捨て座薬挿入装置の断面図である。
図3C】坐薬の挿入後などのロックされた状態における図3Bの使い捨て座薬挿入装置の断面図である。
図3D図3Aの装置のバレルの断面図である。
図3E図3Aの装置のプランジャの断面図である。
図3F図3Bの装置の断面図である。
図3G】例示的な破断ロックメカニズムを示す。
図3H】例示的な着脱可能ロックメカニズムを示す。
図4A】組み立てられていない状態の装置を示す、本発明の別の例示的な実施形態による使い捨て座薬挿入装置の断面図である。
図4B】組み立てられた状態における図4Aの使い捨て座薬挿入装置の断面図である。
図4C】ロックされた状態における図4Bの使い捨て座薬挿入装置の断面図である。
図4D図4Aの装置のバレルの断面図である。
図4E図4Aの装置のプランジャの断面図である。
図5】別の例示的な実施形態による使い捨て座薬挿入装置の断面図である。
図6A】別の例示的な実施形態による挿入装置のバレルの断面図である。
図6B】穿孔されたフランジを示す図6Aのバレルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[0043] 以下では、本発明の例示的な実施形態について説明する。
【0022】
[0044] 坐薬を挿入する装置及び方法の例については、2012年6月5日付けで発行された「Method and Apparatus For Inserting a Rectal Suppository」という名称の米国特許第8,192,393号及び2013年4月16日付けで発行された「Method and Apparatus For Inserting a Rectal Suppository」という名称の米国特許第8,419,712号に記載されており、両方の教示全体が参照により本明細書に援用される。
【0023】
[0045] 坐薬を挿入する装置の更なる例については、米国特許出願公開第2013/0204182号として2013年8月8日付けで公開された「Method and Apparatus For Inserting a Rectal Suppository」という名称の米国特許出願公開第13/840,096号に記載されており、その教示全体が参照により本明細書に援用される。
【0024】
[0046] 坐薬を製造する装置及び方法の例については、国際公開第2014/063122号として2014年4月24日付けで公開された「Suppository Insertion Device, Suppository, and Method of Manufacturing a Suppository」という名称の国際特許出願第PCT/米国特許出願公開第2013/065795号に記載されており、その教示全体が参照により本明細書に援用される。
【0025】
[0047] ラチェットは、一般に、例えばレバー又はスプリング付勢されたキャッチなど、一方向のみにおける装置の一部分の移動を許容するロック装置又はメカニズムであると理解される。ラチェットは、ラチェットの要素の前向きの移動を許容しつつ、後ろ向きの移動を妨げるための爪又は戻り止めを含み得る。
【0026】
[0048] 図1A図1Fは、本発明の一実施形態による、例えば直腸坐薬などの坐薬105を人間又は動物に挿入するように構成されたアプリケータ(挿入装置)100の例示的な一実施形態を示す。挿入装置100は、更に後述するように、使い捨てられるように構成される。装置100は、坐薬の挿入又はそれから離れる後退中であり得るバレルに対するプランジャの動作移動中、プランジャ又はバレルの無効化特徴を起動するための手段を含み得る。
【0027】
[0049] 図1Aに示されているように、装置100は、バレル110と、プランジャ115とを含み得る。バレル110は、把持端部112と、挿入端部108とを有し、且つ患者の肛門管内においてフィットするように適切にサイズ設定及び成形され得る。バレル110は、肛門管内において位置決めされると、ガスがバレル110を通して自由に流れることを許容するガスフロー経路120を画定するように更に構成される。(例えば、指インターフェイス端部などの)把持端部116と、挿入端部114とを有するプランジャ115は、バレル110を通して延在するように適切にサイズ設定及び成形される。階段状の部分118は、プランジャの把持端部116において提供される。階段状の部分118は、例えば、ガスフロー経路120など、装置100と関連するガスフロー経路が装置の使用中に遮断されないことを確保するように構成され得る。プランジャ115は、バレルよりも実質的に長くなり、それにより、プランジャ115がバレル110の端部を越えて延在することを許容するように構成され得る。例えば、バレル110は、長さが約4cmであり得、プランジャ115は、長さが約8cmであり得る。
【0028】
[0050] 図1B図1Cに示されているように、プランジャ115は、バレル110に移動可能に(例えば、摺動可能に)結合されるように構成される。プランジャ115は、坐薬105が望ましい位置に挿入された後にプランジャが直腸及び肛門管から後退するのに伴って、ガスがプランジャ115を通して自由に流れることを許容する第2ガスフロー経路125を維持するように更に構成され得る。従って、坐薬105が挿入されるのに伴い、バレル110は、ガスが逃避することを許容するガスフロー経路120を維持する。プランジャ115が後退するのに伴い、プランジャが坐薬105から後退し、且つバレル110及びプランジャ115が患者の肛門管から除去されるのに伴ってプランジャのガスフロー経路125及びバレルのガスフロー経路120が維持される。ガスフロー経路125及び120は、バレル110及びプランジャ115が身体から除去されるのに伴ってガスが逃避することを許容することより、鼓腸の形態においてガスを放出する必要性を防止又は低減する。
【0029】
[0051] 装置100は、バレル110内において受け入れ可能であり、且つプランジャ115に結合するように構成されたインサート130を更に含み得る。インサート130は、例えば、坐薬の挿入又はそれから離れる後退中など、バレル110に対するプランジャ115の動作移動中に起動されるように構成された無効化特徴を含み得るか又はそれを提供し得る。プランジャ115は、インサート130に結合するための結合具135を含み得る。図示の例では、インサート130は、インサートの内側壁から内向きに延在する1つ又は複数の突出部134を含む。プランジャ115の結合具135は、インサートの1つ又は複数の突出部134に係合するための1つ又は複数の相補的な特徴136を含む。結合具135は、インサート130に結合し、且つインサートの一部分を膨張させるための力を印加するように構成される。バレル110は、インサート130が少なくとも部分的にバレル内に存在する場合などにインサート130の膨張を抑制するように構成され得る。プランジャ115をインサート130に結合し、且つインサートの膨張を許容する他の方法を使用することができる。
【0030】
[0052] 図1A図1Bに示されているように、インサート130は、バレル110内においてフィットし、且つ1つ又は複数のガスフロー経路が維持されることを許容する。インサート130は、プランジャ115に結合されると、挿入装置100の再使用を防止するために膨張するように構成され得る。図示のように、インサート130は、インサートの一端において1つ又は複数の長手方向のスロット132を含み得る。スロット132は、例えば、広がるか又は周囲が拡大するようにインサート130が膨張することを許容する。図1Cに示されているように、インサート130がプランジャ115の動作によってバレル110の挿入端部108を越えて押し出されると、インサートは、結合具135とインサート130との相互作用に起因して膨張する。膨張したインサート130’は、バレル内に戻ることができず、それにより、プランジャ115の後退と、別の坐薬による装置100の充填とを防止する広がった端部131を有する。また、インサート130は、図1Cに示されているものなど、膨張した状態で製造され得、且つ次いで装置100の組立中にバレル内で拘束され得る。このインサートは、プランジャ115の動作によってその膨張状態に戻ることが許容される。
【0031】
[0053] プランジャ115は、坐薬105の充填前又は後にインサート130と係合し得る。図示のように、結合具135は、プランジャ115の挿入端部114において位置決めされるが、プランジャの長さに沿った任意の場所において位置決めされ得る。
【0032】
[0054] 図2に示されている挿入装置200の代替実施形態では、装置200は、バレル210と、プランジャ215と、インサート230とを含む。図2は、坐薬の挿入後などのロックされた状態における装置200を示す。装置200のロックされた状態では、プランジャ215及びインサート230は、後ろ向きに移動しない。プランジャ215及びインサート230は、図1Aのプランジャ115及びインサート130に類似している。バレル210は、内向きに延在する構造要素240を含む。構造要素240は、バレル210と関連するガスフロー経路を維持するように構成されたフィン又は他の離隔要素であり得る。インサート230は、プランジャ215の動作によってバレル210内の位置から除去され得、且つ図2に示されているように後方端部において延在し得る。インサート230の膨張した後方端部231は、インサート230の後ろ向きの移動を防止するために、ラチェット様の方式で構造要素240と係合する。また、プランジャ215がインサート230に結合することから、プランジャ215は、例えば、バレル210から外への後退など、後ろ向きに移動することが妨げられる。この結果、インサート230は、バレル210内の位置に戻ることができない。従って、インサート230は、フィン240と協働して装置200の再使用を防止する無効化特徴を提供する。
【0033】
[0055] 図3A図3Fは、バレル310と、バレルに移動可能に結合されるように構成されたプランジャ315とを含む挿入装置300の代替実施形態を示す。バレル310は、挿入端部308と、把持端部312とを有し、且つ装置300と関連するガスフロー経路320を維持するために離隔要素として機能し得る、例えばフィン340などの構造要素を更に含む。図3Dに示されているように、4つのフィン340が存在し得、且つこれらのフィンは、プランジャ315を受け入れるためにバレル310内において空間321を提供し得る。
【0034】
[0056] 装置100のプランジャ115と同様に、プランジャ315は、(例えば、指インターフェイス端部などの)把持端部316と、挿入端部314とを有する。プランジャ315は、バレル310を通して延在するように適切にサイズ設定及び成形される。階段状の部分318は、プランジャ315の把持端部316において提供される。階段状の部分318は、例えば、ガスフロー経路320など、装置300と関連するガスフロー経路が装置の使用中に遮断されないことを確保するように構成され得る。プランジャ315は、バレル310よりも実質的に長くなり、それにより、プランジャ315がバレル310の挿入端部308を越えて延在することを許容するように構成され得る。
【0035】
[0057] 図3Aに示されているように、プランジャ315の外側表面から外向きに延在する1つ又は複数のフラップ345が提供される。図示のように、フラップ345は、鋭い角度でプランジャ315から外向きに且つプランジャの挿入端部314から離れる方向に延在し得る。図3A及び図3Eに例示されているように、2つのフラップ345が存在し得る。フラップ345は、弾性であり得、且つスプリング付勢され得る。フラップ345は、プランジャがバレル内に前進した場合など、フィン340によってプランジャ315に対して圧縮されると、例えば弾性変形するなど、折れ曲がるように構成され得る。フラップ345は、フィン340がプランジャ及びバレルの相対回転とは無関係にフラップを折り曲げるようにサイズ設定及び成形され得る。図3B及び図3Cは、バレル310内へのプランジャ315の前進の2つの異なる段階を示す。
【0036】
[0058] 図3Bにおいて且つ図3Fの断面において示されているように、フラップ345は、フィン340を含むバレル310の部分を通過するのに伴って折り曲げられ、且つプランジャ315に近接して保持される。図3Cに示されているように、フラップ345は、バレル310のフィン部分の端部を通過した後に膨張する。膨張したフラップ345は、フィン340と係合し、且つプランジャ315の後退を防止し、バレルに対してプランジャをロックし、且つそれにより装置300の再使用を妨げる。従って、フラップ345は、フィン340と協働して装置300の再使用を防止する無効化特徴を提供する。フィン340は、フラップ345に対して相補的な特徴を含み得る。例えば、フィンは、フラップ345の先端に係合するための凹入表面を含み得る。フィン340及びフラップ345は、ラチェットメカニズムを形成することができる。
【0037】
[0059] プランジャ115と同様に、プランジャ315は、坐薬が望ましい位置に挿入された後にプランジャが直腸及び肛門管から後退するのに伴って、ガスがプランジャ315を通して自由に流れることを許容する第2ガスフロー経路325(図3A及び図3E)を維持するように更に構成され得る。
【0038】
[0060] 図3Dは、図3Aの装置300のバレル310の断面図である。4つのフィン340がバレルの内腔内に延在し、且つプランジャ315のための空間321を提供する。
【0039】
[0061] 図3Eは、図3Aの装置300のプランジャ315の断面図であり、プランジャ315の本体を通して延在するガスフロー経路325を示す。また、プランジャの本体から半径方向を外向きに延在する2つのフラップ345も示される。
【0040】
[0062] 図3Fは、上述のように、フィン340によるフラップ345の圧縮を含む、バレル310内へのプランジャ315の前進の段階を示す図3Bの装置300の断面図である。また、プランジャ315とバレル310との間に維持される1つ又は複数のガスフロー経路320も示される。
【0041】
[0063] 本明細書に記載される使い捨て挿入装置の任意のものと共に、バレル内へのプランジャの早期の前進を防止し、それにより無効化特徴の早期の起動を防止するためのメカニズムが提供され得る。このメカニズムは、インサートであり得、又はバレル、プランジャ若しくはその両方のコンポーネントであり得る。インサート又はコンポーネントは、ユーザーが装置を取り扱っているか、坐薬を充填しているか、又は坐薬が供給される前の任意の他の時点で装置が早期にロックすることを防止し得る。メカニズムは、図3G及び図3Hに関して次に記載されるように、破断ロックメカニズム又は着脱可能クリップ若しくはカフを含み得る。
【0042】
[0064] 図3G及び図3Hは、プランジャが早期に前方に移動することを防止することにより、挿入装置が早期にロックすることを防止し得る2つの例示的なコンポーネントを示す。
【0043】
[0065] 図3Gは、破断部材350が装置のバレル310’及びプランジャ315’に結合するように提供されているという点を除いて装置300に類似する挿入装置300’を示す。破断部材350は、プランジャ315’をバレル310’に対して移動しないように維持し、且つ従って無効化特徴の係合を防止する。破断部材350は、それぞれ破断点352及び354においてバレル310’及びプランジャ315’から離れるように破断するように構成される。破断特徴がバレル310’及びプランジャ315’から解放されると、プランジャは、バレル内に前進され得、及び(例えば、フラップ345’などの)無効化特徴は、(例えば、フィン340’などの)バレルの構造要素に係合することができる。
【0044】
[0066] 図3Hは、装置300のプランジャ315に適用された着脱可能カフ355を示す。カフ355は、カフが除去される時点まで、プランジャ315がバレル310内に前方に移動することを防止するようにサイズ設定及び成形される。この特徴は、(例えば、フィン340などの)構造要素との(例えば、フラップ345などの)無効化特徴の早期の係合を防止することができる。
【0045】
[0067] 破断部材350及びカフ355は、プラスチック、エラストマ、紙、又は他の適切な材料など、プランジャ及びバレルと同じ材料から製造され得る。破断部材350及びカフ355は、それぞれ別個のコンポーネントであり得、又はプランジャ、バレル若しくはその両方と共に一緒に製造(例えば、一緒に成形)され得る。それぞれのメカニズム350、355は、ユーザーが坐薬を投与する準備が完了している場合、例えば取り除かれる、引き剥される、解放されるなど、ユーザーによって除去されるように構成され得る。
【0046】
[0068] 図4A図4Eは、使い捨て座薬挿入装置400の別の例示的な実施形態を示す。装置400は、バレル410と、バレルに移動可能に結合されるように構成されたプランジャ415とを含む。バレル410は、フィン440を含み、これらのフィンは、図1Aの装置100に関して説明されたガスフロー経路など、装置400と関連するガスフロー経路420を維持するように構成された離隔要素であり得る。図4Dに示されているように、等しく離隔された間隔でバレル410の内側壁から内向きに延在する4つのフィン440が存在し得る。フィン440は、プランジャ415のための空間421を画定することができる。プランジャ415は、プランジャの中間部分よりも幅広である挿入端部414と、階段状の部分418を含み、且つユーザーの指先とインターフェイスするためのカップ形状のインターフェイス部分を含み得る指インターフェイス端部416とを含む。突出部460は、挿入端部414と指インターフェイス端部416との間でプランジャ415の長さに沿って位置決めされる。図示の例では、突出部460は、図4Aにおいて且つ図4Eの断面図において示されているように、プランジャ415の外側表面から外向きに延在する(三角形の断面プロファイルを有する)円錐形形状の特徴である。突出部460は、プランジャ415の本体と一体的に形成され得る。代わりに、突出部460は、プランジャ415の本体に糊付け、接合又は他に装着され得る。プランジャ415は、中実又は中空であり得、且つ図1Aのプランジャ115の場合と同様に、プランジャを通したガスフロー経路を画定するように構成され得る。
【0047】
[0069] 図4Aは、組立前の装置400を示す一方、図4Bは、組み立てられた状態の装置を示し、この場合、プランジャ415がバレル410内に部分的に挿入されている。プランジャの挿入部分414は、フィン440の端部を過ぎて位置決めされる。突出部460は、フィン440の手前でバレルの把持端部412において位置決めされる。
【0048】
[0070] 図4Cは、最初の使用後にロックされた装置400を示し、プランジャ415がバレル410内に更に前進している。図示のように、突出部460は、フィン440の個々のスロット442内において位置決めされる。図示のように、プランジャ415は、突出部460とフィン440との係合に起因してバレル410から後退できないという意味でロックされる。突出部460及びフィン440は、ラチェットを形成することができる。
【0049】
[0071] 図5は、別の例示的な実施形態による使い捨て座薬挿入装置500を示す。図4A図4Eの装置400と同様に、装置500は、フィン540を有するバレル510を含み、及びバレル内において摺動可能に配設され且つ突出部560を有するプランジャ515も含む。但し、装置500では、バレルへのプランジャのロックは、装置400との比較でバレル内の異なる位置で発生する。装置400のフィン440と異なり、装置500のフィン540は、突出部560を受け入れるためのスロットを含まない。代わりに、突出部560は、図5に示されているように、突出部560がフィン540の端部を過ぎて前進すると、ロック方式でフィン540に係合する。
【0050】
[0072] 図6A図6Bは、別の例示的な実施形態による挿入装置のバレル610を示す。バレル610は、プランジャ115、215、315、315’、415、及び515など、本明細書に記載されるプランジャの任意のものと共に使用することができる。フランジ670が構造要素665をバレル610に結合する。この場合、構造要素665は、離隔要素である。フランジ670は、ユーザーが挿入装置の1回の使用後にプランジャを後退させるように試みた際、構造要素665がバレル610から結合解除されることを引き起こすために、フランジの穿孔672(図6B)において破断するように構成される。バレル610からの要素665の結合解除は、不可逆的であり、且つ装置を機能不能にする。例えば、プランジャは、インサートに結合され得るか、又は構造要素665に係合するために本明細書に記載されるように突出部又はフラップを含み得る。係合は、ユーザーが坐薬の挿入中にプランジャを前進させた場合又はユーザーが坐薬からプランジャを後退させた場合など、バレルに対するプランジャの移動によって発生する。例えば、構造要素665は、プランジャがもはやバレルと係合しないように破断することができる。この結果、プランジャは、バレル内に留め置かれ得る。
【0051】
[0073] 本明細書では、バレルと、プランジャと、無効化特徴とを含む使い捨て座薬挿入装置100、200、300、300’、400、500の例示的な実施形態が記載されている。使い捨て座薬挿入装置の実施形態は、無効化特徴を起動するために、坐薬の挿入又はそれから離れる後退中にバレル又はプランジャの無効化特徴と係合するように構成されたバレル又はプランジャの構造要素を更に含み得る。構造要素は、無効化特徴と不可逆的に係合するように構成され得、且つ無効化特徴に対して相補的な特徴を含み得る。例えば、構造要素の相補的な特徴は、凹入表面を含み得、及び無効化特徴は、突出表面を含み得る。構造要素は、バレルの内側表面から延在し得、且つ離隔要素であり得る。無効化特徴は、プランジャの外側表面から外向きに延在する突出部であり得る。例えば、無効化特徴及び構造要素は、ラチェットを形成することができる。構造要素は、バレルに結合され得るか又はそれによって画定され得、及び無効化特徴は、プランジャに結合され得るか又はそれによって画定され得る。無効化特徴を構造要素と係合させることは、構造要素がバレルから結合解除されることを引き起こし得る。構造要素は、バレルを通したプランジャの後退中に無効化特徴と係合するように構成され得る。
【0052】
[0074] 本明細書に引用されるすべての特許、公開特許出願及び参考文献の教示は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0053】
[0075] 本発明がその例示的な実施形態を参照して具体的に図示及び記載されたが、当業者は、添付の請求項によって包含される本発明の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に対する形態及び詳細の様々な変更形態がなされ得ることを理解するであろう。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6A
図6B