(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-21
(45)【発行日】2022-05-02
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理システム及び画像処理方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/08 20060101AFI20220422BHJP
A61B 5/055 20060101ALI20220422BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20220422BHJP
G01T 1/161 20060101ALI20220422BHJP
【FI】
A61B8/08
A61B5/055 390
A61B6/03 377
A61B5/055 383
A61B6/03 375
G01T1/161 D
A61B6/03 370B
(21)【出願番号】P 2019518835
(86)(22)【出願日】2018-05-16
(86)【国際出願番号】 JP2018018901
(87)【国際公開番号】W WO2018212230
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2017097659
(32)【優先日】2017-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【氏名又は名称】小松 靖之
(72)【発明者】
【氏名】本間 康之
【審査官】三好 貴大
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-523243(JP,A)
【文献】特開2000-139917(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0087088(US,A1)
【文献】ISHII, Katsuhisa et al.,Detection of Postischemic Regional Left Ventricular Delayed Outward Wall Motion or Diastolic Stunnin,Journal of the American Society of Echocardiography,vol.21, no.4,2008年04月,p.309-314
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
A61B 5/055
A61B 6/00-6/14
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体外から撮像された心臓の断層画像の入力を受け付ける画像入力部と、
前記断層画像に基づいて前記心臓の低運動部位を推定する低運動部位推定部と、
前記心臓の梗塞部位を推定する梗塞部位推定部と、
前記低運動部位のうち、前記梗塞部位以外の部位を目標部位として特定する目標部位特定部と、を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記梗塞部位推定部は、カテーテルの先端部に設けられた電極を介して、前記カテーテルの先端部が当接する心壁の心電位を示す心電位情報を取得し、該取得した心電位情報に基づいて、前記梗塞部位を推定する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記梗塞部位推定部は、所定の撮像装置により前記心臓を撮像した撮像画像に基づいて、心壁の心電位を示す心電位情報を取得し、該取得した心電位情報に基づいて、前記梗塞部位を推定する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記断層画像を第1断層画像とするとき、前記画像入力部は、体外から撮像された前記心臓の第2断層画像の入力を更に受け付け、
前記梗塞部位推定部は、前記第2断層画像に基づいて、前記梗塞部位を推定する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像入力部は、所定時間ごとに撮像された複数の前記第1断層画像の入力を受け付け、
前記低運動部位推定部は、前記複数の第1断層画像の時間変化に基づいて前記低運動部位を推定する、請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記目標部位特定部は、前記第2断層画像での前記心臓の伸縮状態に対応する第1断層画像を前記複数の第1断層画像から選択し、前記選択された前記第1断層画像を用いて前記目標部位を特定する、請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第1断層画像及び前記第2断層画像から特徴点をそれぞれ検出する特徴点検出部と、
前記第1断層画像及び前記第2断層画像における前記心臓の伸縮状態を、前記特徴点の位置情報に基づいてそれぞれ推定する伸縮状態推定部と、を更に備える、請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記心臓の拍動情報の入力を受け付ける心拍入力部と、
前記第1断層画像及び前記第2断層画像における前記心臓の伸縮状態を、前記拍動情報に基づいてそれぞれ推定する伸縮状態推定部と、を更に備える、請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記目標部位を前記第1断層画像又は前記第2断層画像に重畳した表示情報を生成する表示情報生成部を更に備える、請求項4から8のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記表示情報生成部は、前記表示情報を、前記第1断層画像を前記第2断層画像に基づいて補正して生成する、請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記第1断層画像は超音波画像である、請求項4から10のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記第2断層画像は遅延造影像を含み、
前記梗塞部位推定部は、前記遅延造影像に基づいて前記梗塞部位を推定する、請求項4から11のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記第2断層画像は、放射線画像又は磁気共鳴画像である、請求項4から12のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項14】
体外から心臓の断層画像を撮像する撮像装置と、
画像処理装置と、を含み、
前記画像処理装置は、
前記断層画像の入力を受け付ける画像入力部と、
前記断層画像に基づいて前記心臓の低運動部位を推定する低運動部位推定部と、
前記心臓の梗塞部位を推定する梗塞部位推定部と、
前記低運動部位のうち、前記梗塞部位以外の部位を目標部位として特定する目標部位特定部と、を備える、画像処理システム。
【請求項15】
画像処理装置を用いて実行される画像処理方法であって、
体外から撮像された心臓の断層画像の入力を受け付ける画像入力工程と、
前記断層画像に基づいて前記心臓の低運動部位を推定する低運動部位推定工程と、
前記心臓の梗塞部位を推定する梗塞部位推定工程と、
前記低運動部位のうち、前記梗塞部位以外の部位を目標部位として特定する目標部位特定工程と、を含む画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、画像処理システム及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、心不全などの治療において、細胞等の生体物質又はバイオマテリアル等の被投与物を組織に注入し、治療効果を期待する治療が検討されている。このような手技では、カテーテル等の器具が組織注入用に用いられている。このようなカテーテル等を用いた細胞治療にあたっては、注入手技前に心臓の心室等の生体組織を3Dマッピング等することで梗塞巣の位置を特定している。その後、梗塞巣と正常な心筋組織の境界部等の治療に応じた所望箇所に向けて被投与物としての細胞等を注入することが行われている。例えば、特許文献1には、超音波画像等から心臓の壁運動低下部位を異常部位として推定し、診断用画像を作成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、心臓の壁運動低下部位を異常部位として推定することができるが、治療効果の観点から、壁運動低下部位を特定するだけでは十分ではなかった。
【0005】
本開示の目的は、上記問題に鑑み、治療効果の向上に寄与することができる画像処理装置、画像処理システム及び画像処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様としての画像処理装置は、体外から撮像された心臓の断層画像の入力を受け付ける画像入力部と、前記断層画像に基づいて前記心臓の低運動部位を推定する低運動部位推定部と、前記心臓の梗塞部位を推定する梗塞部位推定部と、前記低運動部位のうち、前記梗塞部位以外の部位を目標部位として特定する目標部位特定部と、を備える。
【0007】
本発明の一実施形態としての画像処理装置は、前記梗塞部位推定部が、カテーテルの先端部に設けられた電極を介して、前記カテーテルの先端部が当接する心壁の心電位を示す心電位情報を取得し、該取得した心電位情報に基づいて、前記梗塞部位を推定する。
【0008】
本発明の一実施形態としての画像処理装置は、前記梗塞部位推定部が、所定の撮像装置により前記心臓を撮像した撮像画像に基づいて、心壁の心電位を示す心電位情報を取得し、該取得した心電位情報に基づいて、前記梗塞部位を推定する。
【0009】
本発明の一実施形態としての画像処理装置は、前記断層画像を第1断層画像とするとき、前記画像入力部が、体外から撮像された前記心臓の第2断層画像の入力を更に受け付け、前記梗塞部位推定部が、前記第2断層画像に基づいて、前記梗塞部位を推定する。
【0010】
本発明の一実施形態としての画像処理装置は、前記画像入力部が、所定時間ごとに撮像された複数の前記第1断層画像の入力を受け付け、前記低運動部位推定部が、前記複数の第1断層画像の時間変化に基づいて前記低運動部位を推定する。
【0011】
本発明の一実施形態としての画像処理装置は、前記目標部位特定部が、前記第2断層画像での前記心臓の伸縮状態に対応する第1断層画像を前記複数の第1断層画像から選択し、前記選択された前記第1断層画像を用いて前記目標部位を特定する。
【0012】
本発明の一実施形態としての画像処理装置は、前記第1断層画像及び前記第2断層画像から特徴点をそれぞれ検出する特徴点検出部と、前記第1断層画像及び前記第2断層画像における前記心臓の伸縮状態を、前記特徴点の位置情報に基づいてそれぞれ推定する伸縮状態推定部と、を更に備える。
【0013】
本発明の一実施形態としての画像処理装置は、前記心臓の拍動情報の入力を受け付ける心拍入力部と、前記第1断層画像及び前記第2断層画像における前記心臓の伸縮状態を、前記拍動情報に基づいてそれぞれ推定する伸縮状態推定部と、を更に備える。
【0014】
本発明の一実施形態としての画像処理装置は、前記目標部位を前記第1断層画像又は前記第2断層画像に重畳した表示情報を生成する表示情報生成部を更に備える。
【0015】
本発明の一実施形態としての画像処理装置は、前記表示情報生成部が、前記表示情報を、前記第1断層画像を前記第2断層画像に基づいて補正して生成する。
【0016】
本発明の一実施形態としての画像処理装置は、前記第1断層画像が超音波画像である。
【0017】
本発明の一実施形態としての画像処理装置は、前記第2断層画像が遅延造影像を含み、前記梗塞部位推定部が、前記遅延造影像に基づいて前記梗塞部位を推定する。
【0018】
本発明の一実施形態としての画像処理装置は、前記第2断層画像が、放射線画像又は磁気共鳴画像である。
【0019】
本発明の第2の態様としての画像処理システムは、体外から心臓の断層画像を撮像する撮像装置と、画像処理装置と、を含み、前記画像処理装置は、前記断層画像の入力を受け付ける画像入力部と、前記断層画像に基づいて前記心臓の低運動部位を推定する低運動部位推定部と、前記心臓の梗塞部位を推定する梗塞部位推定部と、前記低運動部位のうち、前記梗塞部位以外の部位を目標部位として特定する目標部位特定部と、を備える。
【0020】
本発明の第3の態様としての画像処理方法は、画像処理装置を用いて実行される画像処理方法であって、体外から撮像された心臓の断層画像の入力を受け付ける画像入力工程と、前記断層画像に基づいて前記心臓の低運動部位を推定する低運動部位推定工程と、前記心臓の梗塞部位を推定する梗塞部位推定工程と、前記低運動部位のうち、前記梗塞部位以外の部位を目標部位として特定する目標部位特定工程と、を含む。
【発明の効果】
【0021】
本開示の画像処理装置、画像処理システム及び画像処理方法によると、治療効果の向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態としての画像処理装置を含む画像処理システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示す画像処理装置が行う画像処理の概要を示すフローチャートである。
【
図3】
図1に示す画像処理装置が行う目標部位特定処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図4】
図1に示す画像処理装置が行う目標部位特定処理に伴う画像処理を説明する図である。
【
図5】
図1に示す画像処理装置が行う浸透領域推定処理で推定される浸透領域の一例を示す模式図である。
【
図6】
図1に示す画像処理装置が行う目標注入点決定処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図7】
図1に示す画像処理装置が行う目標注入点決定処理で決定される目標注入点の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。各図において共通の構成部には、同一の符号を付している。
【0024】
[画像処理システム1]
図1は、本発明の一実施形態としての画像処理装置10を含む画像処理システム1の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態の画像処理システム1は、画像処理装置10と、第1撮像装置としての超音波画像生成装置20と、第2撮像装置としての放射線画像生成装置30と、心拍取得装置40とを備える。
【0025】
第1撮像装置としての超音波画像生成装置20は、被検者の体外に位置し、被検者の体外から心臓の第1断層画像としての超音波画像を撮像する。超音波画像生成装置20は、超音波を発信する超音波発信部21と、超音波を受信する超音波受信部22と、超音波受信部22が受信した超音波に基づいて第1断層画像を形成する画像形成部23と、を備える。超音波画像生成装置20は、超音波発信部21及び超音波受信部22を被検体の体表面に接触させた状態で、超音波発信部21から被検体の心臓に向けて超音波を発信し、被検体の心臓から反射した超音波を超音波受信部22で受信する。超音波画像生成装置20は、超音波受信部22で受信した超音波を画像形成部23で処理することで、超音波の進行面に沿った断層画像を第1断層画像として得る。超音波画像生成装置20は、撮像した第1断層画像を、画像処理装置10の画像入力部11に出力する。
【0026】
超音波画像生成装置20は、超音波発信部21及び超音波受信部22の位置又は向きを変更させて異なる面に沿って撮像した複数の断層画像に基づいて、3次元画像を第1断層画像として生成してもよい。すなわち、第1断層画像は、1つの面に沿って撮像された断層画像でもよいし、複数の面に沿って撮像された複数の断層画像に基づいて生成された3次元画像でもよい。
【0027】
第2撮像装置としての放射線画像生成装置30は、被検者の体外に位置し、被検者の体外から心臓の第2断層画像としての放射線画像を撮像する。放射線画像生成装置30は、例えばコンピュータ断層撮影(CT:Computed Tomography)装置である。放射線画像生成装置30は、放射線を射出する放射線射出部31と、放射線を検出する放射線検出部32と、放射線検出部32が検出した放射線に基づいて第2断層画像を形成する画像形成部33と、を備える。放射線画像生成装置30は、被検者の周囲で互いに対向する位置に放射線射出部31及び放射線検出部32を備え、放射線射出部31及び放射線検出部32を被検者の周囲で回転させながら、放射線射出部31から被検者の心臓に向けてX線等の放射線を射出し、被検者の心臓を通過した放射線を放射線検出部32で検出する。放射線画像生成装置30は、放射線検出部32で検出した放射線を画像形成部33で処理することで、心臓の3次元画像である放射線画像を第2断層画像として得る。放射線画像生成装置30は、撮像した第2断層画像を、画像処理装置10の画像入力部11に出力する。
【0028】
第2撮像装置は、放射線画像生成装置30に代えて、磁気共鳴画像生成(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置であってもよい。磁気共鳴画像生成装置は、被検者の体外に位置し、被検者の体外から心臓の第2断層画像としての磁気共鳴画像を撮像する。磁気共鳴画像生成装置は、磁場を発生させる磁場発生部と、核磁気共鳴信号を受信する信号受信部と、信号受信部が受信した核磁気共鳴信号に基づいて3次元画像である磁気共鳴画像を第2断層画像として形成する画像形成部と、を備える。
【0029】
第2断層画像が第2撮像装置としての放射線画像生成装置30又は磁気共鳴画像生成装置によって撮像されるより所定時間前に、造影剤が被検者の心臓に投与される。これにより、第2撮像装置によって撮像される第2断層画像は、遅延造影像を含む。
【0030】
第2撮像装置は、放射線画像生成装置30又は磁気共鳴画像生成装置に代えて、シンチグラフィ検査、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)検査、PET(Positron Emission Tomography)検査等を行う核医学検査装置であってもよい。核医学検査装置は、被検者の体外に位置し、被検者の体外から心臓の第2断層画像としての放射性同位元素(RI:ラジオアイソトープ)分布画像を取得する。核医学検査装置は、予め被検者に投与された放射性同位元素で標識された薬剤の分布を画像化することで、第2断層画像を取得する。
【0031】
心拍取得装置40は、被検者の心臓の拍動情報を取得する。心臓の拍動情報は、心臓の拍動の時間変化の情報を含む。心拍取得装置40は、第1断層画像又は第2断層画像の撮像と同時に取得し、当該画像と対応付けてもよい。心拍取得装置40は、例えば、被検者の胸部又は手足に装着した電極を介して心臓活動電位の時間変化を計測し、心電図波形を連続して表示する心電図モニタである。
【0032】
画像処理装置10は、被検者の体外に位置し、コンピュータ等の情報処理装置によって構成される。画像処理装置10は、画像入力部11と、心拍入力部12と、操作入力部13と、表示部14と、記憶部15と、制御部16と、を備える。
【0033】
画像入力部11は、第1撮像装置としての超音波画像生成装置20から第1画像の入力を受け付ける。画像入力部11は、第2撮像装置としての放射線画像生成装置30から第2画像の入力を受け付ける。画像入力部11は、例えば、有線通信又は無線通信により、超音波画像生成装置20及び放射線画像生成装置30から情報を受信するインターフェースを含む。画像入力部11は、入力された画像の情報を、制御部16に出力する。
【0034】
心拍入力部12は、心拍取得装置40から心臓の拍動情報の入力を受け付ける。心拍入力部12は、例えば、有線通信又は無線通信により、心拍取得装置40から情報を受信するインターフェースを含む。心拍入力部12は、入力された心臓の拍動情報を、制御部16に出力する。
【0035】
操作入力部13は、例えばキーボード、マウス、又はタッチパネルを含む。操作入力部13がタッチパネルを含む場合、タッチパネルは表示部14と一体に設けられていてもよい。操作入力部13は、入力された情報を、制御部16に出力する。
【0036】
表示部14は、制御部16からの信号に基づいて、第1断層画像、第2断層画像、及びこれらに基づいて制御部16が生成する画像等を表示する。表示部14は、例えば液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示デバイスを含む。
【0037】
記憶部15は、制御部16に特定の機能を実行させるための種々の情報及びプログラムを記憶する。記憶部15は、例えば心臓の3次元画像を記憶する。心臓の3次元画像は、第1断層画像、第2断層画像、又はこれらに基づいて制御部16が後述する目標部位特定処理で生成した表示情報である。心臓の3次元画像は、心臓の異常部位R’(
図5及び
図7参照)を含む。心臓の異常部位R’は、例えば、後述する目標部位特定処理で制御部16によって特定される目標部位R(
図4(c)参照)である。記憶部15は、例えば異なる時刻に撮像された複数の断層画像に基づく複数の3次元画像を記憶する。記憶部15は、例えば後述する注入部材を用いた治療で異常部位R’に注入される被投与物の投与量及び物性情報を記憶する。記憶部15は、例えば注入部材の形状情報を記憶する。記憶部15は、例えばRAM又はROM等の記憶装置を含む。
【0038】
制御部16は、画像処理装置10を構成する各構成部の動作を制御する。制御部16は、特定のプログラムを読み込むことにより特定の機能を実行する。具体的に、制御部16は、第1断層画像及び第2断層画像に基づいて、表示情報を生成する。制御部16は、生成した表示情報を表示部14に表示させる。制御部16は、生成した表示情報を外部の表示装置に出力してもよい。制御部16は、例えばプロセッサを含む。
【0039】
制御部16は、低運動部位推定部161と、梗塞部位推定部162と、目標部位特定部163と、特徴点検出部164と、伸縮状態推定部165と、表示情報生成部166と、を構成する。
【0040】
低運動部位推定部161は、画像入力部11を介して入力された心臓の第1断層画像に基づいて、心臓の低運動部位を推定する。梗塞部位推定部162は、画像入力部11を介して入力された心臓の第2断層画像に基づいて、心臓の梗塞部位を推定する。目標部位特定部163は、低運動部位のうち、梗塞部位以外の部位を目標部位として特定する。特徴点検出部164は、第1断層画像及び第2断層画像から特徴点をそれぞれ検出する。伸縮状態推定部165は、第1断層画像及び第2断層画像における心臓の伸縮状態をそれぞれ推定する。表示情報生成部166は、第1断層画像及び第2断層画像に基づいて、表示情報を生成する。表示情報生成部166は、例えば、目標部位を第1断層画像又は第2断層画像に重畳した表示情報を生成する。
【0041】
表示情報生成部166は、第2断層画像が放射線画像生成装置30又は磁気共鳴画像生成装置によって撮像される場合、表示情報を、第1断層画像を第2断層画像に基づいて補正して生成してもよい。例えば、特徴点検出部164は、第1断層画像中の特徴点及び第2断層画像中の特徴点をそれぞれパターン認識等で検出し、表示情報生成部166は、第1断層画像中の特徴点を含む領域を対応する特徴点を含む第2断層画像中の領域で置換することで、第1断層画像を第2断層画像に基づいて補正した表示情報を生成することができる。これにより、第1断層画像をより高精細な第2断層画像で補正することができるため、心臓の構造及び形状の情報をより正確に示すことができる。
【0042】
[画像処理の概要]
図2は、画像処理装置10が行う画像処理の概要を示すフローチャートである。
図2に示すように、画像処理装置10は、まず、目標部位特定処理を行う(ステップS10)。画像処理装置10は、次に、浸透領域推定処理を行う(ステップS20)。画像処理装置10は、最後に、目標注入点決定処理を行う(ステップS30)。
【0043】
[目標部位特定処理]
図3は、画像処理装置10が行う目標部位特定処理の詳細を示すフローチャートである。
図4は、画像処理装置10が行う目標部位特定処理に伴う画像処理を説明する図であり、心臓の左心室LVの断面を示す図である。
図4(a)に示すように、画像処理装置10の低運動部位推定部161は、画像入力部11を介して入力された第1断層画像を読み出し、第1断層画像に基づいて心臓の低運動部位Pを推定する(ステップS11:低運動部位推定工程)。具体的に、画像入力部11は、所定時間ごとに撮像された複数の第1断層画像の入力を受け付ける。そして、低運動部位推定部161は、複数の第1断層画像の時間変化に基づいて低運動部位Pを推定する。更に詳細には、まず、特徴点検出部164は、第1断層画像中で輝度が所定値以上である複数の点を特徴点として抽出する。特徴点検出部164は、心筋が最も拡張した拡張期と、最も収縮した収縮期とを含む異なる時刻に撮像された複数の第1断層画像について、それぞれ複数の特徴点を抽出する。表示情報生成部166は、ある任意の特徴点と、隣接する他の特徴点との距離を、拡張期の第1断層画像及び収縮期の第1断層画像でそれぞれ測定した変化率を算出し、算出された変化率を心臓の3次元画像に反映させる。例えば、表示情報生成部166は、変化率が所定の閾値以下である領域と、変化率が所定の閾値を超える領域とが、異なる態様(例えば異なる色)となるように心臓の3次元画像に反映させる。低運動部位推定部161は、変化率が所定の閾値以下である領域に対応する心臓の部位を低運動部位Pであると推定する。変化率の所定の閾値は、例えば12%であるが、設定によって適宜変更することが可能であってよい。
【0044】
図4(b)に示すように、梗塞部位推定部162は、画像入力部11を介して入力された第2断層画像を読み出し、第2断層画像に基づいて心臓の梗塞部位Qを推定する(ステップS12:梗塞部位推定工程)。梗塞部位Qは、心筋が虚血状態になり壊死した部位である。梗塞部位Qは、上述の変化率が所定の閾値以下であり、低運動部位Pに含まれる。具体的に、梗塞部位推定部162は、第2断層画像が遅延造影像を含む場合、第2断層画像の遅延造影像に基づいて梗塞部位Qを推定する。詳細には、梗塞部位推定部162は、遅延造影像が写り込んだ部位を梗塞部位Qであると推定する。梗塞部位推定部162は、第2断層画像が放射性同位元素分布画像である場合、放射性同位元素の分布に基づいて梗塞部位Qを推定する。詳細には、梗塞部位推定部162は、放射性同位元素が集積していない集積欠損部位を梗塞部位Qであると推定する。梗塞部位推定部162は、梗塞部位推定工程(ステップS12)を、上述の低運動部位推定部161等による低運動部位推定工程(ステップS11)よりも先に実行してもよい。
【0045】
図4(c)に示すように、目標部位特定部163は、低運動部位推定工程(ステップS11)で推定された低運動部位Pのうち、梗塞部位推定工程(ステップS12)で推定された梗塞部位Q以外の部位を、目標部位Rとして特定する(ステップS13:目標部位特定工程)。目標部位Rは、上述の変化率が所定の閾値以下であるが、壊死してはいない部位であり、冬眠心筋又は気絶心筋である。表示情報生成部166は、特定された目標部位Rを第1断層画像又は第2断層画像に重畳した表示情報を生成する。目標部位Rは、冬眠心筋と気絶心筋とを含むが、互いに独立して存在する。冬眠心筋は慢性的な虚血状態であり、気絶心筋は急性的な虚血状態である。気絶心筋は血流再開による過負荷により生じる。そのため、過負荷の状態を生じさせて、それを解消させることによって、気絶心筋の部位を特定することができる。それにより、気絶心筋と冬眠心筋を選定することができる。
【0046】
心臓は拍動に伴って収縮と拡張とを繰り返すため、低運動部位推定工程(ステップS11)で用いる第1断層画像での心臓の伸縮状態、及び、梗塞部位推定工程(ステップS12)で用いる第2断層画像での心臓の伸縮状態は、同じ又は近い状態であることが好ましい。そこで、目標部位特定部163は、第2断層画像での心臓の伸縮状態に対応する第1断層画像を複数の第1断層画像から選択し、選択された第1断層画像を用いて目標部位Rを特定する。第1断層画像における心臓の伸縮状態は、特徴点検出部164を用いて、第1断層画像から特徴点をパターン認識等で検出し、当該特徴点の位置情報に基づいて推定してもよい。同様に、第2断層画像における心臓の伸縮状態は、特徴点検出部164を用いて、第2断層画像から特徴点をパターン認識等で検出し、当該特徴点の位置情報に基づいて推定してもよい。特徴点は、例えば心尖部AP又は大動脈弁AV等を含む。第1断層画像及び第2断層画像における心臓の伸縮状態は、心拍入力部12を介して入力された心臓の拍動情報に基づいて推定してもよい。詳細には、第1断層画像及び第2断層画像には、撮像された時点での心臓の拍動情報が対応付けられており、第1断層画像及び第2断層画像における心臓の伸縮状態は、それぞれ対応付けられた拍動情報によって推定される。
【0047】
上記のように、画像処理装置10は、目標部位Rとして、治療効果の比較的高い冬眠心筋又は気絶心筋を特定することができるので、治療効果の向上に寄与することができる。
【0048】
梗塞部位推定部162が心臓の梗塞部位を推定する方法は、上述した方法には限定されない。梗塞部位推定部162は、例えば、心臓の心壁の心電位を示す心電位情報に基づいて、梗塞部位を推定することができる。一般に、梗塞部位では、心電位は7.0mV未満であり、正常部位及び冬眠心筋では、心電位が7.0mV以上であることが知られている。したがって、心電位が所定の閾値未満(例えば、7.0mV未満)である部位は、梗塞部位であると推定することができる。
【0049】
心電位情報の取得の方法としては、種々の方法がある。例えば、心電位情報を取得する方法としては、カテーテルの先端部に電極を設け、カテーテルの先端部の電極を心臓の心壁に接触させることで、当該電極を介して、当該カテーテルの先端部が当接する心壁の心電位情報を取得する方法がある。また、別の方法として、超音波診断装置、X線CT装置、MRI装置などの所定の撮像装置により心臓を撮像した撮像画像を用いる方法がある。この方法では、心筋の電気的な興奮と心筋の収縮とは連関することを活用し、所定の撮像装置(上述した各種撮像装置)により心臓を撮像した撮像画像に基づいて、心電位情報を取得する。具体的には、撮像画像で観察される壁運動による収縮伝播のパターンから、心電位情報を取得することができる。所定の撮像装置としては、上述の超音波画像生成装置20(
図1参照)又は放射線画像生成装置30(
図1参照)を用いてもよい。
【0050】
[浸透領域推定処理]
図5は、画像処理装置10が行う浸透領域推定処理で推定される浸透領域Sの一例を示す模式図である。
図5は、心臓の左心室LVの心臓壁断面を示す図であり、異常部位R’内に位置する浸透領域Sの範囲を示している。制御部16は、記憶部15に記憶された心臓の3次元画像に含まれる異常部位R’の任意の注入点Tに被投与物が注入されると仮定した場合に、当該被投与物が浸透する浸透領域Sを推定する(浸透領域推定工程)。制御部16は、推定した浸透領域Sを3次元画像に重畳した表示情報を生成する。心臓の異常部位R’は、例えば、上述の目標部位特定処理で特定された目標部位Rである。被投与物は、例えば細胞等の生体物質又はバイオマテリアル等の物質である。浸透領域Sは、被投与物が注入されてから被投与物の効果が得られる時間内で所定時間経過した後の領域である。
【0051】
制御部16は、例えば、3次元画像に基づいて心臓内の血管BVの位置を推定し、血管BVの位置に対する注入点Tの位置に基づいて浸透領域Sを推定する。異常部位R’に注入される被投与物は、血管BVの近くでは血流の影響により、血管BVの方向に浸透しやすいと考えられる。従って、
図5に示すように、制御部16は、注入点Tが血管BVに近いほど、浸透領域Sが血管BVの方向に延在するように推定する。制御部16は、例えば、3次元画像に基づいて梗塞部位Qの位置を推定し、梗塞部位Qの位置に対する注入点Tの位置に基づいて、浸透領域Sを推定する。異常部位R’に注入される被投与物は、梗塞部位Qの近くでは例えば血流又は拍動等の心臓の活動が低下しているため、梗塞部位Qの方向に浸透しにくいと考えられる。従って、
図5に示すように、制御部16は、注入点Tが梗塞部位Qに近いほど、浸透領域Sが梗塞部位Qの方向への延在が妨げられると推定する。
【0052】
制御部16は、記憶部15に記憶された被投与物の投与量及び物性情報に基づいて、浸透領域Sを推定してもよい。詳細には、制御部16は、被投与物の投与量が多いほど、浸透領域Sが大きくなると推定する。制御部16は、3次元画像に基づいて心臓の部位ごとの壁厚を推定し、当該壁厚に基づいて浸透領域Sを推定してもよい。詳細には、制御部16は、注入点T付近の壁厚が薄いほど、浸透領域Sが心臓壁に沿って広くなると推定する。制御部16は、記憶部15に記憶された複数の3次元画像の時間変化に基づいて、浸透領域Sを推定してもよい。詳細には、制御部16は、複数の3次元画像における特徴点の位置の時間変化を検出し、当該特徴点の位置の時間変化に基づいて、心臓壁の部位ごとの拍動等による動きを推定する。そして、動きの大きい部位ほど、浸透領域Sが大きくなると推定する。制御部16は、記憶部15に記憶された注入部材の形状情報に基づいて、浸透領域Sを推定してもよい。注入部材は、例えば針状の部材で構成され、周囲に被投与物を排出するための側孔が形成されている。注入部材の形状情報としては、例えば、注入部材の外形(直線形状、湾曲形状、らせん形状等)、径の大きさ、側孔の位置、側孔の大きさ等が挙げられる。
【0053】
上記のように、画像処理装置10は、異常部位R’の任意の注入点Tに注入された被投与物が浸透する浸透領域Sを事前に推定することができるので、治療を行う前に治療のシミュレーションを行うことができる。
【0054】
[目標注入点決定処理]
図6は、画像処理装置10が行う目標注入点決定処理の詳細を示すフローチャートである。
図7は、画像処理装置10が行う目標注入点決定処理で決定される目標注入点Uの一例を示す模式図である。
図7は、心臓の左心室LVを、大動脈弁AV(
図4参照)から心尖部AP(
図4参照)の方向に見た断面図である。制御部16は、記憶部15に記憶された3次元画像を読み出して、表示部14に表示させる(ステップS31:3次元画像表示工程)。制御部16は、3次元画像に基づいて、異常部位R’に被投与物を注入すべき複数の目標注入点Uの位置を決定する(ステップS32:目標注入点決定工程)。制御部16は、決定した複数の目標注入点Uを、3次元画像に重畳して表示部14に表示させる(ステップS33:目標注入点表示工程)。目標注入点Uの位置は、心臓壁の内面から壁厚方向に沿う深さの情報を含む。換言すると、目標注入点Uは、心臓壁の内面からどの位置にどれくらいの深さで被投与物を注入すべきかを示す。目標注入点Uの位置は、例えば、上述の浸透領域推定処理で推定された浸透領域Sに基づいて決定される。詳細には、制御部16は、複数の注入点Tについての浸透領域Sをそれぞれ推定し、推定された複数の浸透領域Sに基づいて、被投与物を注入すべき注入点Tを目標注入点Uに決定する。制御部16は、例えば、他の複数の浸透領域Sに内包される浸透領域Sに対応する注入点Tを特定する。そして、特定された注入点T以外の注入点Tを、目標注入点Uに決定する。これにより、目標注入点Uに被投与物を注入することで、目標注入点Uに注入された被投与物による浸透領域Sが異常部位R’をより効率的に埋め尽くすことになる。
【0055】
制御部16は、複数の目標注入点Uの順番を決定する。制御部16は、決定された順番に基づく態様で複数の目標注入点Uを表示部14に表示させる。制御部16は、例えば、
図7に示すように、決定された順番を目標注入点Uに併記させる。制御部16は、例えば、次の順番の目標注入点Uのみを表示させる。制御部16は、被投与物を注入する注入部材の先端部が複数の目標注入点Uを経由して移動する移動経路Vを推定し、移動経路Vに基づいて目標注入点Uの順番を決定する。制御部16は、例えば移動経路Vが最短となるように、目標注入点Uの順番を決定する。詳細には、制御部16は、互いに最も近い目標注入点Uが順番となるように決定する。制御部16は、推定した移動経路Vを、3次元画像に重畳して表示部14に表示させてもよい。これにより、医療従事者等の操作者は、目標注入点Uの順番に従った最適な注入部材の動かし方を把握することができる。
【0056】
図7(a)に示すように、制御部16は、移動経路Vが心臓の左心室LV内で大動脈弁AV(
図4参照)から心尖部AP(
図4参照)に向かう長軸Oの周囲で螺旋を描くように、目標注入点Uの順番を決定してもよい。これにより、移動経路Vは、左心室LV内で、周方向Mに沿って手前の大動脈弁側から奥の心尖部側に向かって途中で引き返すことなく進む経路となるので、注入部材の操作を行いやすくすることができる。
【0057】
図7(b)に示すように、制御部16は、移動経路Vが心臓の左心室LV内で大動脈弁AVから心尖部APに向かう長軸Oに沿って往復するように、目標注入点Uの順番を決定してもよい。これにより、移動経路Vは、長軸Oに沿うため、左心室LV内に長軸Oに沿って位置する乳頭筋によって注入部材の移動が妨げられるおそれを低減することができ、僧帽弁に付随する腱索への引っ掛かりを低減することができる。
【0058】
図8は、注入部材による治療の様子を示す図である。
図8では、カテーテル50が大腿動脈FAから大動脈AOを通じて、心臓内腔の左心室LVの入口である大動脈弁AVまで延在した状態を示している。注入部材は、カテーテル50を通じて左心室LVまでデリバリーされる。カテーテル50は、大腿動脈FAからに限らず、例えば手首の橈骨動脈等から大動脈弁AVまで延在していてもよい。
【0059】
図8に示すように、超音波画像生成装置20は、被検者の体表面に位置し、第1断層画像を随時撮影し、画像処理装置10に送信する。超音波画像生成装置20は、注入部材の先端部の位置情報を随時取得し、画像処理装置10に送信する。これにより、画像処理装置10の制御部16は、例えば注入部材の先端部の位置に追従した3次元画像を表示情報として表示部14に表示させることができる。超音波画像生成装置20は、体表面に限らず、食道、血管、心臓内腔(心房、心室)から撮影してもよい。ただし、超音波画像生成装置20は、非侵襲な処置が行える点で、体表面から撮影することが好ましい。
【0060】
制御部16は、複数の目標注入点Uのうち、注入部材による被投与物の注入処置が済んだ目標注入点Uを、未処置の目標注入点Uとは異なる態様で表示部14に表示させてもよい。制御部16は、目標注入点Uが処置済であることを、例えば操作入力部13を介して処置済であることを示す信号が入力されたことに基づいて決定する。制御部16は、新たに入力された第1断層画像に基づいて、処置済の目標注入点Uを判別してもよい。
【0061】
上記のように、画像処理装置10は、異常部位R’に被投与物を注入すべき複数の目標注入点Uの位置を決定することができるので、治療を行う前により具体的な治療のシミュレーションを行うことができる。画像処理装置10は、処置を行うべき順番に基づく態様で目標注入点Uを表示するので、所定の順番での処置を操作者に誘導することができる。
【0062】
本開示は、上述した各実施形態で特定された構成に限定されず、特許請求の範囲に記載した内容を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、各構成部、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本開示は、画像処理装置、画像処理システム及び画像処理方法に関する。
【符号の説明】
【0064】
1:画像処理システム
10:画像処理装置
11:画像入力部
12:心拍入力部
13:操作入力部
14:表示部
15:記憶部
16:制御部
161:低運動部位推定部
162:梗塞部位推定部
163:目標部位特定部
164:特徴点検出部
165:伸縮状態推定部
166:表示情報生成部
20:超音波画像生成装置(第1撮像装置)
21:超音波発信部
22:超音波受信部
23:画像形成部
30:放射線画像生成装置(第2撮像装置)
31:放射線射出部
32:放射線検出部
33:画像形成部
40:心拍取得装置
50:カテーテル
AO:大動脈
AP:心尖部
AV:大動脈弁
BV:血管
FA:大腿動脈
LV:左心室
M:周方向
O:長軸
P:低運動部位
Q:梗塞部位
R:目標部位
R’:異常部位
S:浸透領域
T:注入点
U:目標注入点
V:移動経路