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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-21
(45)【発行日】2022-05-02
(54)【発明の名称】移植片準備システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 90/00 20160101AFI20220422BHJP
   A61F 2/08 20060101ALI20220422BHJP
【FI】
A61B90/00
A61F2/08
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020173523
(22)【出願日】2020-10-14
(65)【公開番号】P2021062211
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2021-01-12
(31)【優先権主張番号】16/654,601
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597117606
【氏名又は名称】アースレックス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ゼロギアネス、 ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン、 ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ジョリー、 ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】ボイル、 ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】イングワー、 ザカリー
(72)【発明者】
【氏名】セテウルン、 ライ
【審査官】小河 了一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-188762(JP,A)
【文献】米国特許第02618268(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第02777613(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0175088(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移植片準備システムであって、
第1のボタン穴及び第2のボタン穴を有するボタンと、前記第1のボタン穴を通る第1の縫合糸のストランドと、前記第1のボタン穴及び前記第2のボタン穴の両方を通る縫合糸構造体とを含む固定インプラントであって、前記縫合糸構造体は、第1の自由なストランド及び第2の自由なストランドを含み、前記縫合糸構造体は、ループによって相互接続されて調節可能なループを形成する第1の調節可能なアイスプライス及び第2の調節可能なアイスプライスを含む、固定インプラントと、
形状が実質的に矩形であり、移植片縁と、反対側の支持鉤縁と、第1のクリートを画定する第1のクリート縁と、第2のクリートを画定する反対側の第2のクリート縁と、前記移植片縁から延びる長手方向軸を有する通路と、前記通路の両側に位置する第1の穴及び第2の穴と、前記移植片縁から前記第1の穴まで延びる第1のスリットと、前記移植片縁から前記第2の穴まで延びる第2のスリットと、前記第1の穴の上方に位置する前記移植片縁の第1の溝と、前記第2の穴の上方に位置する前記移植片縁の第2の溝と、前記支持鉤縁に位置する第3の溝と、前記支持鉤縁に位置する第4の溝とを含む移植片準備カードであって、
前記第1の溝と前記第3の溝との間に延びる線は、前記長手方向軸に実質的に平行であり、前記第2の溝と前記第4の溝との間の線は、前記長手方向軸に実質的に平行であり、
前記固定インプラントの第1の縫合糸のストランド、第1の自由なストランド、及び第2の自由なストランドは、前記移植片準備カードに巻き付けられ、
前記縫合糸構造体の第1の調節可能なアイスプライスは、前記移植片準備カードの第1の溝及び第3の溝に受け入れられ、前記縫合糸構造体の第2の調節可能なアイスプライスは、前記移植片準備カードの第2の溝及び第4の溝に受け入れられ、
前記第1の調節可能なアイスプライスは、前記第1の穴に受け入れられるように前記第1のスリットを通ってスライド可能であり、前記第2の調節可能なアイスプライスは、前記第2の穴に受け入れられるように前記第2のスリットを通ってスライド可能であり、
前記縫合糸構造体のループは、前記第1の穴と前記第2の穴との間に位置する、移植片準備カードと、
第1の歯を有する第1のアームと、第2の歯を有する第2のアームとを含む支持鉤であって、前記第1のアーム及び前記第2のアームは、ピボットで旋回可能に接続され、前記第1の歯及び前記第2の歯は、それぞれ前記支持鉤の第1のアーム及び第2のアームの遠位端にあり、前記第1の歯と前記ピボットとの間の前記第1のアームは、前記移植片準備カードを受け入れるスロットを含む、支持鉤と、
テープ縫合糸と、第1の縫合糸ストランドと、第2の縫合糸ストランドと、前記第1の縫合糸ストランド及び前記第2の縫合糸ストランドに取り付けられた針とを含むテープ縫合糸アセンブリであって、前記テープ縫合糸は、移植片上に配置され、前記第1の縫合糸ストランド及び前記第2の縫合糸ストランドは、前記テープ縫合糸の遠位端部分から延び、前記テープ縫合糸は、前記第1の縫合糸ストランド及び前記第2の縫合糸ストランドによって形成されるステッチで前記移植片に取り付けられ、前記支持鉤の第1の歯は、前記テープ縫合糸の近位端部分を貫通し、前記支持鉤の第2の歯は、前記移植片の近位端部分を貫通する、テープ縫合糸アセンブリと
を含み、
前記固定インプラントの第1の縫合糸のストランドと前記縫合糸構造体の第1の自由なストランド及び第2の自由なストランドは、前記移植片準備カードの第1のクリート及び第2のクリートに巻き付く、移植片準備システム。
【請求項2】
移植片準備システムであって、
少なくとも1つの縫合糸のストランドを含む固定インプラントと、
前記固定インプラントの前記少なくとも1つの縫合糸のストランドが巻き付けられる移植片準備カードと、
第1の歯を有する第1のアームと第2の歯を有する第2のアームとを含む支持鉤であって、前記第1のアームと前記第2のアームとは、ピボットで旋回可能に接続され、前記第1の歯と前記ピボットとの間の前記第1のアームは、前記移植片準備カードを受け入れるスロットを含む、支持鉤と、
テープ縫合糸と第1の縫合糸ストランドとを含むテープ縫合糸アセンブリであって、前記テープ縫合糸は、移植片上に配置され、前記第1の縫合糸ストランドは、前記テープ縫合糸の遠位端部分から延び、前記テープ縫合糸は、前記第1の縫合糸ストランドで形成されるステッチで前記移植片に取り付けられ、前記支持鉤の第1の歯は、前記テープ縫合糸の近位端部分を貫通し、前記支持鉤の第2の歯は、前記移植片の近位端部分を貫通する、テープ縫合糸アセンブリと
を含む移植片準備システム。
【請求項3】
前記第1の歯及び前記第2の歯は、それぞれ前記支持鉤の第1のアーム及び第2のアームの遠位端にある、請求項2に記載の移植片準備システム。
【請求項4】
前記移植片準備カードは、形状が実質的に矩形であり、移植片縁と、反対側の支持鉤縁と、第1のクリート縁と、反対側の第2のクリート縁とを含み、前記移植片準備カードは、前記移植片縁から延びる長手方向軸を有する通路を含む、請求項2に記載の移植片準備システム。
【請求項5】
前記移植片準備カードは、前記通路と連通する湾曲部分を含み、前記通路及び前記湾曲部分は、鍵穴形状の開口部を画定する、請求項4に記載の移植片準備システム。
【請求項6】
前記移植片準備カードは、前記通路の両側に位置する第1の穴及び第2の穴を含み、第1のスリットが前記移植片縁から前記第1の穴まで延び、第2のスリットが前記移植片縁から前記第2の穴まで延びる、請求項4に記載の移植片準備システム。
【請求項7】
前記移植片縁の第1の溝が前記第1の穴の上方に位置し、前記移植片縁の第2の溝が前記第2の穴の上方に位置し、第3の溝が前記支持鉤縁に位置し、第4の溝が前記支持鉤縁に位置し、前記第1の溝と前記第3の溝との間に延びる線が前記長手方向軸に実質的に平行であり、前記第2の溝と前記第4の溝との間の線が前記長手方向軸に実質的に平行である、請求項6に記載の移植片準備システム。
【請求項8】
前記第1のクリート縁は第1のクリートを画定し、前記反対側の第2のクリート縁は第2のクリートを画定し、第3の穴が前記支持鉤縁と前記第1のクリート縁とが交差する領域に位置し、第4の穴が前記支持鉤縁と前記反対側の第2のクリート縁とが交差する領域に位置し、第5の穴が前記移植片縁と前記反対側の第2のクリート縁とが交差する領域に位置し、前記第4の穴と前記第5の穴との間の線が前記長手方向軸に対して実質的に平行である、請求項7に記載の移植片準備システム。
【請求項9】
前記固定インプラントは、第1のボタン穴及び第2のボタン穴を有するボタンを含み、前記少なくとも1つの縫合糸のストランドは、前記第1のボタン穴を通る第1の縫合糸のストランドと、前記第1のボタン穴及び前記第2のボタン穴の両方を通る縫合糸構造体とを含み、前記縫合糸構造体は、第1の自由なストランド及び第2の自由なストランドを含み、前記縫合糸構造体は、ループによって相互接続されて調節可能なループを形成する第1の調節可能なアイスプライス及び第2の調節可能なアイスプライスを含む、請求項8に記載の移植片準備システム。
【請求項10】
前記縫合糸構造体の第1の調節可能なアイスプライスは、前記移植片準備カードの第1の溝及び第3の溝に受け入れられ、前記縫合糸構造体の第2の調節可能なアイスプライスは、前記移植片準備カードの第2の溝及び第4の溝に受け入れられ、前記第1の調節可能なアイスプライスは、前記第1の穴に受け入れられるように前記第1のスリットを通ってスライド可能であり、前記第2の調節可能なアイスプライスは、前記第2の穴に受け入れられるように前記第2のスリットを通ってスライド可能であり、前記縫合糸構造体のループは、前記第1の穴と前記第2の穴との間に位置する、請求項9に記載の移植片準備システム。
【請求項11】
前記固定インプラントの第1の縫合糸ストランド及び前記縫合糸構造体の第1の自由なストランド及び第2の自由なストランドは、前記移植片準備カードの第1のクリート及び第2のクリートに巻き付く、請求項に記載の移植片準備システム。
【請求項12】
前記テープ縫合糸アセンブリは、第2の縫合糸ストランドを含み、前記第2の縫合糸ストランドは、前記テープ縫合糸の遠位端部分から延び、前記テープ縫合糸は、前記第2の縫合糸ストランドによって形成されるステッチで前記移植片に取り付けられる、請求項2に記載の移植片準備システム。
【請求項13】
前記テープ縫合糸アセンブリの第1の縫合糸ストランド及び第2の縫合糸ストランドは、前記テープ縫合糸を前記移植片に固定するために、少なくとも2つのV字形ステッチ及び少なくとも2つの上下逆さまのV字形ステッチを形成する、請求項12に記載の移植片準備システム。
【請求項14】
前記第1の縫合糸ストランド及び前記第2の縫合糸ストランドに取り付けられた針を含む、請求項12に記載の移植片準備システム。
【請求項15】
前記第1の縫合糸ストランドは、前記移植片及び前記テープ縫合糸アセンブリのテープ縫合糸を貫通し、前記第1の調節可能なアイスプライス及び前記第2の調節可能なアイスプライスの調節可能なループを通って環状になるように前記移植片の近位端及び前記テープ縫合糸の近位端の上で環状になり、前記移植片及び前記テープ縫合糸を貫通するステッチを形成する、請求項に記載の移植片準備システム。
【請求項16】
移植片を準備する方法であって、
固定インプラントの少なくとも1つの縫合糸のストランドが巻き付けられている移植片準備カードを支持鉤のスロットに挿入することと、
第1のアームの第1の歯がテープ縫合糸アセンブリのテープ縫合糸の近位端部分を貫通し、第2のアームの第2の歯が移植片の近位端部分を貫通するように、ピボットを中心に前記支持鉤の前記第1のアーム及び前記第2のアームを旋回させることと、
前記テープ縫合糸アセンブリのテープ縫合糸を前記移植片に固定するために、前記テープ縫合糸アセンブリの第1の縫合糸ストランドでステッチを形成することと
を含む、移植片を準備する方法。
【請求項17】
前記テープ縫合糸アセンブリは、第2の縫合糸ストランドを含み、前記ステッチを形成するステップは、第1の位置で前記移植片の第1の側から前記移植片に針を通して前記移植片の反対側の第2の側に前記針を配置することと、前記第1の縫合糸ストランドと前記第2の縫合糸ストランドとを広げて開口部を形成することと、前記移植片を前記開口部に通すことにより前記第1の縫合糸ストランドと前記第2の縫合糸ストランドを前記移植片の第1の側に移動させることと、前記第1の位置の近位の第2の位置で前記移植片の第1の側から前記テープ縫合糸と前記移植片に前記針を通すこととにより第1のステッチを形成することを含む、請求項16に記載の移植片を準備する方法。
【請求項18】
前記針、前記第1の縫合糸ストランド及び前記第2の縫合糸ストランドを前記移植片の近位端部分及び前記テープ縫合糸の近位端部分に通すことと、前記針、前記第1の縫合糸ストランド及び前記第2の縫合糸ストランドを前記固定インプラントの調節可能なループに通すことと、前記第2の位置の近位の第3の位置で前記針、前記第1の縫合糸ストランド及び前記第2の縫合糸ストランドを前記移植片の第1の側から前記移植片及び前記テープ縫合糸に通すこととにより第2のステッチを形成することを含む、請求項17に記載の移植片を準備する方法。
【請求項19】
前記第1の縫合糸ストランド及び前記第2の縫合糸ストランドを広げて前記開口部を形成することと、前記移植片を前記開口部に通すことにより前記第1の縫合糸ストランド及び前記第2の縫合糸ストランドを前記移植片の第1の側に移動させることと、前記第1の位置で前記移植片の第1の側から前記テープ縫合糸及び前記移植片に前記針を通すこととにより第3のステッチを形成することを含む、請求項18に記載の移植片を準備する方法。
【請求項20】
前記針の近くで前記第1の縫合糸ストランド及び前記第2の縫合糸ストランドの一方を切断し、前記第1の縫合糸ストランド及び前記第2の縫合糸ストランドで結び目を結び、前記移植片に前記針を突き刺して前記結び目を前記移植片に埋め込み、前記固定インプラントの前記少なくとも1つの縫合糸のストランドを前記移植片準備カードから解き、前記固定インプラントの調節可能なループを前記移植片準備カードから取り外すことを含む、請求項19に記載の移植片を準備する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移植片準備システムに関する。
【背景技術】
【0002】
移植片は、補強を提供するために手術前に準備される。縫合糸は、骨組を提供して更なる強度を提供するために、針を用いて移植片に縫い付けることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
移植片準備システムは、2つの縫合糸のストランドと縫合糸構造体とを含む固定インプラントを含む。縫合糸構造体は、ループによって相互接続されて調節可能なループを形成する第1の調節可能なアイスプライス及び第2の調節可能なアイスプライスを含む。移植片準備システムは、移植片準備カードを含み、固定インプラントの2つの縫合糸のストランドは、移植片準備カードに巻き付けられる。第1のアームは、移植片準備カードを受け入れるスロットを含む。移植片準備システムは、第1の歯を有する第1のアームと第2の歯を有する第2のアームとを含む支持鉤を含む。支持鉤の第1の歯はテープ縫合糸を貫通し、支持鉤の第2の歯は移植片を貫通する。移植片準備システムは、テープ縫合糸と、第1の縫合糸ストランドと、第2の縫合糸ストランドとを含むテープ縫合糸アセンブリを含む。テープ縫合糸は、第1の縫合糸ストランド及び第2の縫合糸ストランドで形成されるステッチで移植片に取り付けられる。固定インプラントは、調節可能なループを通る、第1の縫合糸ストランド及び第2の縫合糸ストランドで形成されるステッチで移植片に取り付けられる。
【0004】
一実施例では、移植片準備システムは、第1のボタン穴及び第2のボタン穴を有するボタンと、第1のボタン穴を通る第1の縫合糸のストランドと、第1のボタン穴及び第2のボタン穴の両方を通る縫合糸構造体とを含む固定インプラントを含む。縫合糸構造体は、第1の自由なストランド及び第2の自由なストランドを含み、縫合糸構造体は、ループによって相互接続されて調節可能なループを形成する第1の調節可能なアイスプライス及び第2の調節可能なアイスプライスを含む。移植片準備システムは、形状が実質的に矩形であり、移植片縁と、反対側の支持鉤縁と、第1のクリートを画定する第1のクリート縁と、第2のクリートを画定する反対側の第2のクリート縁とを含む移植片準備カードを含む。移植片準備カードは、移植片縁から延びる長手方向軸を有する通路と、通路の両側に位置する第1の穴及び第2の穴と、移植片縁から第1の穴まで延びる第1のスリットと、移植片縁から第2の穴まで延びる第2のスリットとを含む。移植片準備カードは、第1の穴の上方に位置する移植片縁の第1の溝と、第2の穴の上方に位置する移植片縁の第2の溝と、支持鉤縁に位置する第3の溝と、支持鉤縁に位置する第4の溝とを含む。第1の溝と第3の溝との間に延びる線は、長手方向軸に実質的に平行であり、第2の溝と第4の溝との間の線は、長手方向軸に実質的に平行である。固定インプラントの第1の縫合糸のストランド、第1の自由なストランド、及び第2の自由なストランドは、移植片準備カードに巻き付けられる。縫合糸構造体の第1の調節可能なアイスプライスは、移植片準備カードの第1の溝及び第3の溝に受け入れられ、縫合糸構造体の第2の調節可能なアイスプライスは、移植片準備カードの第2の溝及び第4の溝に受け入れられる。第1の調節可能なアイスプライスは、第1の穴に受け入れられるように第1のスリットを通ってスライド可能であり、第2の調節可能なアイスプライスは、第2の穴に受け入れられるように第2のスリットを通ってスライド可能である。縫合糸構造体のループは、第1の穴と第2の穴との間に位置する。移植片準備システムは、第1の歯を有する第1のアームと第2の歯を有する第2のアームとを含む支持鉤を含む。第1のアーム及び第2のアームは、ピボットで旋回可能に接続され、第1の歯及び第2の歯は、それぞれ支持鉤の第1のアーム及び第2のアームの遠位端にある。第1の歯とピボットとの間の第1のアームは、移植片準備カードを受け入れるスロットを含む。移植片準備システムは、テープ縫合糸と、第1の縫合糸ストランドと、第2の縫合糸ストランドと、第1の縫合糸ストランド及び第2の縫合糸ストランドに取り付けられた針とを含むテープ縫合糸アセンブリを含む。テープ縫合糸は、移植片上に配置され、第1の縫合糸ストランド及び第2の縫合糸ストランドは、テープ縫合糸の遠位端部分から延び、テープ縫合糸は、第1の縫合糸ストランド及び第2の縫合糸ストランドによって形成されるステッチで移植片に取り付けられる。支持鉤の第1の歯は、テープ縫合糸の近位端部分を貫通し、支持鉤の第2の歯は、移植片の近位端部分を貫通し、第1の縫合糸ストランド及び縫合糸構造体の2つの自由なストランドは、移植片準備カードの第1のクリート及び第2のクリートに巻き付く。
【0005】
別の実施例では、移植片準備システムは、少なくとも1つの縫合糸のストランド及び移植片準備カードを含む固定インプラントを含む。固定インプラントの少なくとも1つの縫合糸のストランドは、移植片準備カードに巻き付けられる。移植片準備システムは、第1の歯を有する第1のアームと、第2の歯を有する第2のアームとを含む支持鉤を含み、第1のアームと第2のアームはピボットで旋回可能に接続されている。第1の歯とピボットとの間の第1のアームは、移植片準備カードを受け入れるスロットを含む。移植片準備システムは、テープ縫合糸と第1の縫合糸ストランドとを含むテープ縫合糸アセンブリを含む。テープ縫合糸は、移植片上に配置され、第1の縫合糸ストランドは、テープ縫合糸の遠位端部分から延びる。テープ縫合糸は、第1の縫合糸ストランドで形成されるステッチで移植片に取り付けられ、支持鉤の第1の歯は、テープ縫合糸の近位端部分を貫通し、支持鉤の第2の歯は、移植片の近位端部分を貫通する。
【0006】
別の実施形態では、第1の歯及び第2の歯は、それぞれ支持鉤の第1のアーム及び第2のアームの遠位端にある。
【0007】
別の実施形態では、移植片準備カードは、形状が実質的に矩形であり、移植片縁と、反対側の支持鉤縁と、第1のクリート縁と、反対側の第2のクリート縁とを含む。移植片準備カードは、移植片縁から延びる長手方向軸を有する通路を含む。
【0008】
別の実施形態では、移植片準備カードは、通路と連通する湾曲部分を含み、通路及び湾曲部分は、鍵穴形状の開口部を画定する。
【0009】
別の実施形態では、移植片準備カードは、通路の両側に位置する第1の穴及び第2の穴を含み、第1のスリットが移植片縁から第1の穴まで延び、第2のスリットが移植片縁から第2の穴まで延びる。
【0010】
別の実施形態では、移植片縁の第1の溝が第1の穴の上方に位置し、移植片縁の第2の溝が第2の穴の上方に位置し、第3の溝が支持鉤縁に位置し、第4の溝が支持鉤縁に位置する。第1の溝と第3の溝との間に延びる線は、長手方向軸に実質的に平行であり、第2の溝と第4の溝との間の線は、長手方向軸に実質的に平行である。
【0011】
別の実施形態では、第1のクリート縁は第1のクリートを画定し、反対側の第2のクリート縁は第2のクリートを画定し、第3の穴が支持鉤縁と第1のクリート縁とが交差する領域に位置し、第4の穴が支持鉤縁と反対側の第2のクリート縁とが交差する領域に位置し、第5の穴が移植片縁と反対側の第2のクリート縁とが交差する領域に位置する。第4の穴と第5の穴との間の線は、長手方向軸に実質的に平行である。
【0012】
別の実施形態では、固定インプラントは、第1のボタン穴及び第2のボタン穴を有するボタンを含む。少なくとも1つの縫合糸のストランドは、第1のボタン穴を通る第1の縫合糸のストランドと、第1のボタン穴と第2のボタン穴の両方を通る縫合糸構造体とを含む。縫合糸構造体は、第1の自由なストランド及び第2の自由なストランドを含み、縫合糸構造体は、ループによって相互接続されて調節可能なループを形成する第1の調節可能なアイスプライス及び第2の調節可能なアイスプライスを含む。
【0013】
別の実施形態では、縫合糸構造体の第1の調節可能なアイスプライスは、移植片準備カードの第1の溝及び第3の溝に受け入れられ、縫合糸構造体の第2の調節可能なアイスプライスは、移植片準備カードの第2の溝及び第4の溝に受け入れられる。第1の調節可能なアイスプライスは、第1の穴に受け入れられるように第1のスリットを通ってスライド可能であり、第2の調節可能なアイスプライスは、第2の穴に受け入れられるように第2のスリットを通ってスライド可能であり、縫合糸構造のループは、第1の穴と第2の穴との間に位置する。
【0014】
別の実施形態では、第1の縫合糸ストランド及び縫合糸構造体の2つの自由なストランドは、移植片準備カードの第1のクリート及び第2のクリートに巻き付く。
【0015】
別の実施形態では、テープ縫合糸アセンブリは、第2の縫合糸ストランドを含み、第2の縫合糸ストランドは、テープ縫合糸の遠位端部分から延び、テープ縫合糸は、第2の縫合糸ストランドによって形成されるステッチで移植片に取り付けられる。
【0016】
別の実施形態では、テープ縫合糸アセンブリの第1の縫合糸ストランド及び第2の縫合糸ストランドは、テープ縫合糸を移植片に固定するために、少なくとも2つのV字形ステッチ及び少なくとも2つの上下逆さまのV字形ステッチを形成する。
【0017】
別の実施形態では、第1の縫合糸ストランド及び第2の縫合糸ストランドに針が取り付けられる。
【0018】
別の実施形態では、第1の縫合糸ストランドは、移植片及びテープ縫合糸アセンブリのテープ縫合糸を貫通し、2つの調節可能なアイスプライスの調節可能なループを通って環状になるように移植片の近位端及びテープ縫合糸の近位端の上で環状になり、移植片及びテープ縫合糸を貫通するステッチを形成する。
【0019】
別の実施例では、移植片を準備する方法は、移植片準備カードを支持鉤のスロットに挿入することを含む。固定インプラントの縫合糸のストランドが移植片準備カードに巻き付けられる。方法は、第1のアームの第1の歯がテープ縫合糸アセンブリのテープ縫合糸の近位端部分を貫通し、第2のアームの第2の歯が移植片の近位端部分を貫通するように、ピボットを中心に支持鉤の第1のアーム及び第2のアームを旋回させることを含む。方法は、テープ縫合糸アセンブリのテープ縫合糸を移植片に固定するために、テープ縫合糸アセンブリの第1の縫合糸ストランドを用いてステッチを形成することを含む。
【0020】
別の実施形態では、テープ縫合糸アセンブリは、第2の縫合糸ストランドを含み、ステッチを形成するステップは、第1の位置で移植片の第1の側から移植片に針を通して移植片の反対側の第2の側に針を配置することと、第1の縫合糸ストランド及び第2の縫合糸ストランドを広げて開口部を形成することと、移植片を開口部に通すことにより第1の縫合糸ストランドと第2の縫合糸ストランドを移植片の第1の側に移動させることと、第1の位置の近位の第2の位置で移植片の第1の側からテープ縫合糸と移植片に針を通すこととにより第1のステッチを形成することを含む。
【0021】
別の実施形態では、方法は、針、第1の縫合糸ストランド及び第2の縫合糸ストランドを移植片の近位端部分及びテープ縫合糸の近位端部分に通すことと、針、第1の縫合糸ストランド及び第2の縫合糸ストランドを固定インプラントの調節可能なループに通すことと、第2の位置の近位の第3の位置で針、第1の縫合糸ストランド及び第2の縫合糸ストランドを移植片の第1の側から移植片及びテープ縫合糸に通すこととにより第2のステッチを形成するステップを含む。
【0022】
別の実施形態では、方法は、第1の縫合糸ストランド及び第2の縫合糸ストランドを広げて開口部を形成することと、移植片を開口部に通すことにより第1の縫合糸ストランド及び第2の縫合糸ストランドを移植片の第1の側に移動させることと、第1の位置で移植片の第1の側からテープ縫合糸及び移植片に針を通すこととにより第3のステッチを形成することを含む、移植片を準備するステップを含む。
【0023】
別の実施形態では、方法は、針の近くで第1の縫合糸ストランド及び第2の縫合糸ストランドの一方を切断し、第1の縫合糸ストランド及び第2の縫合糸ストランドで結び目を結び、移植片に針を突き刺して結び目を移植片に埋め込み、固定インプラントの少なくとも1つの縫合糸のストランドを移植片固定カードから解き、固定インプラントの調節可能なループを移植片固定カードから取り外すステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
様々な特徴及び利点は、現時点で好ましい実施形態の以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。表側詳細な説明に添付する図面は、以下のように簡単に説明することができる。
図1】移植片の計測を示す。
図2】固定インプラントを示す。
図3】固定インプラントの縫合糸ストランドが移植片準備カードの周囲に巻かれている状態で移植片準備カードの表側を示す。
図4】固定インプラントの縫合糸ストランドが移植片準備カードの周囲に巻かれている状態で移植片準備カードの裏側を示す。
図5】支持鉤を示す。
図6】支持鉤のスロットに受け入れられた移植片準備カードを示す。
図7】テープ縫合糸アセンブリのテープ縫合糸を貫通する支持鉤の歯を示す。
図8】移植片を貫通する支持鉤の別の歯を示す図である。
図9A】テープ縫合糸を移植片に固定するために、近位方向にテープ縫合糸アセンブリの縫合糸ストランドで第1のステッチを形成することを示す。
図9B】テープ縫合糸を移植片に固定するために、近位方向にテープ縫合糸アセンブリの縫合糸ストランドで第1のステッチを形成することを示す。
図9C】テープ縫合糸を移植片に固定するために、近位方向にテープ縫合糸アセンブリの縫合糸ストランドで第1のステッチを形成することを示す。
図9D】テープ縫合糸を移植片に固定するために、近位方向にテープ縫合糸アセンブリの縫合糸ストランドで第1のステッチを形成することを示す。
図10A】テープ縫合糸を移植片に固定するための、テープ縫合糸アセンブリの縫合糸ストランドでのステッチの形成を示す。
図10B】テープ縫合糸を移植片に固定するための、テープ縫合糸アセンブリの縫合糸ストランドでのステッチの形成を示す。
図10C】テープ縫合糸を移植片に固定するための、テープ縫合糸アセンブリの縫合糸ストランドでのステッチの形成を示す。
図10D】テープ縫合糸を移植片に固定するための、テープ縫合糸アセンブリの縫合糸ストランドでのステッチの形成を示す。
図11A】テープ縫合糸アセンブリの縫合糸ストランドでの結び目の形成を示す。
図11B】テープ縫合糸アセンブリの縫合糸ストランドでの結び目の形成を示す。
図11C】テープ縫合糸アセンブリの縫合糸ストランドでの結び目の形成を示す。
図11D】テープ縫合糸アセンブリの縫合糸ストランドでの結び目の形成を示す。
図12】テープ縫合糸アセンブリの縫合糸ストランドを切断した後の、移植片準備カード及び移植片に取り付けられた固定インプラントの前面を示す。
図13】固定インプラントの縫合糸が移植片準備カードから開放された後の、移植片準備カード及び移植片に取り付けられた固定インプラントの前面を示す。
図14】準備された移植片に取り付けられた固定インプラントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
移植片は、補強を提供するために手術前に準備される。縫合糸は、骨組を提供して更なる強度を提供するために、針を用いて移植片に縫い付けることができる。
【0026】
移植片準備システムは、2つの縫合糸のストランドと縫合糸構造体とを含む固定インプラントを含む。縫合糸構造体は、ループによって相互接続されて調節可能なループを形成する第1の調節可能なアイスプライス及び第2の調節可能なアイスプライスを含む。移植片準備システムは、移植片準備カードを含み、固定インプラントの2つの縫合糸のストランドは、移植片準備カードに巻き付けられる。第1のアームは、移植片準備カードを受け入れるスロットを含む。移植片準備システムは、第1の歯を有する第1のアームと第2の歯を有する第2のアームとを含む支持鉤を含む。支持鉤の第1の歯はテープ縫合糸を貫通し、支持鉤の第2の歯は移植片を貫通する。移植片準備システムは、テープ縫合糸と、第1の縫合糸ストランドと、第2の縫合糸ストランドとを含むテープ縫合糸アセンブリを含む。テープ縫合糸は、第1の縫合糸ストランド及び第2の縫合糸ストランドで形成されるステッチで移植片に取り付けられる。固定インプラントは、調節可能なループを通る、第1の縫合糸ストランド及び第2の縫合糸ストランドで形成されるステッチで移植片に取り付けられる。
【0027】
一実施例では、移植片準備システムは、第1のボタン穴及び第2のボタン穴を有するボタンと、第1のボタン穴を通る第1の縫合糸のストランドと、第1のボタン穴及び第2のボタン穴の両方を通る縫合糸構造体とを含む固定インプラントを含む。縫合糸構造体は、第1の自由なストランド及び第2の自由なストランドを含み、縫合糸構造体は、ループによって相互接続されて調節可能なループを形成する第1の調節可能なアイスプライス及び第2の調節可能なアイスプライスを含む。移植片準備システムは、形状が実質的に矩形であり、移植片縁と、反対側の支持鉤縁と、第1のクリートを画定する第1のクリート縁と、第2のクリートを画定する反対側の第2のクリート縁とを含む移植片準備カードを含む。移植片準備カードは、移植片縁から延びる長手方向軸を有する通路と、通路の両側に位置する第1の穴及び第2の穴と、移植片縁から第1の穴まで延びる第1のスリットと、移植片縁から第2の穴まで延びる第2のスリットとを含む。移植片準備カードは、第1の穴の上方に位置する移植片縁の第1の溝と、第2の穴の上方に位置する移植片縁の第2の溝と、支持鉤縁に位置する第3の溝と、支持鉤縁に位置する第4の溝とを含む。第1の溝と第3の溝との間に延びる線は、長手方向軸に実質的に平行であり、第2の溝と第4の溝との間の線は、長手方向軸に実質的に平行である。固定インプラントの第1の縫合糸のストランド、第1の自由なストランド、及び第2の自由なストランドは、移植片準備カードに巻き付けられる。縫合糸構造体の第1の調節可能なアイスプライスは、移植片準備カードの第1の溝及び第3の溝に受け入れられ、縫合糸構造体の第2の調節可能なアイスプライスは、移植片準備カードの第2の溝及び第4の溝に受け入れられる。第1の調節可能なアイスプライスは、第1の穴に受け入れられるように第1のスリットを通ってスライド可能であり、第2の調節可能なアイスプライスは、第2の穴に受け入れられるように第2のスリットを通ってスライド可能である。縫合糸構造体のループは、第1の穴と第2の穴との間に位置する。移植片準備システムは、第1の歯を有する第1のアームと第2の歯を有する第2のアームとを含む支持鉤を含む。第1のアーム及び第2のアームは、ピボットで旋回可能に接続され、第1の歯及び第2の歯は、それぞれ支持鉤の第1のアーム及び第2のアームの遠位端にある。第1の歯とピボットとの間の第1のアームは、移植片準備カードを受け入れるスロットを含む。移植片準備システムは、テープ縫合糸と、第1の縫合糸ストランドと、第2の縫合糸ストランドと、第1の縫合糸ストランド及び第2の縫合糸ストランドに取り付けられた針とを含むテープ縫合糸アセンブリを含む。テープ縫合糸は、移植片上に配置され、第1の縫合糸ストランド及び第2の縫合糸ストランドは、テープ縫合糸の遠位端部分から延び、テープ縫合糸は、第1の縫合糸ストランド及び第2の縫合糸ストランドによって形成されるステッチで移植片に取り付けられる。支持鉤の第1の歯は、テープ縫合糸の近位端部分を貫通し、支持鉤の第2の歯は、移植片の近位端部分を貫通し、第1の縫合糸ストランド及び縫合糸構造体の2つの自由なストランドは、移植片準備カードの第1のクリート及び第2のクリートに巻き付く。
【0028】
別の実施例では、移植片準備システムは、少なくとも1つの縫合糸のストランド及び移植片準備カードを含む固定インプラントを含む。固定インプラントの少なくとも1つの縫合糸のストランドは、移植片準備カードに巻き付けられる。移植片準備システムは、第1の歯を有する第1のアームと、第2の歯を有する第2のアームとを含む支持鉤を含み、第1のアームと第2のアームはピボットで旋回可能に接続されている。第1の歯とピボットとの間の第1のアームは、移植片準備カードを受け入れるスロットを含む。移植片準備システムは、テープ縫合糸と第1の縫合糸ストランドとを含むテープ縫合糸アセンブリを含む。テープ縫合糸は、移植片上に配置され、第1の縫合糸ストランドは、テープ縫合糸の遠位端部分から延びる。テープ縫合糸は、第1の縫合糸ストランドで形成されるステッチで移植片に取り付けられ、支持鉤の第1の歯は、テープ縫合糸の近位端部分を貫通し、支持鉤の第2の歯は、移植片の近位端部分を貫通する。
【0029】
別の実施例では、移植片を準備する方法は、移植片準備カードを支持鉤のスロットに挿入することを含む。固定インプラントの縫合糸のストランドが移植片準備カードに巻き付けられる。方法は、第1のアームの第1の歯がテープ縫合糸アセンブリのテープ縫合糸の近位端部分を貫通し、第2のアームの第2の歯が移植片の近位端部分を貫通するように、ピボットを中心に支持鉤の第1のアーム及び第2のアームを旋回させることを含む。方法は、テープ縫合糸アセンブリのテープ縫合糸を移植片に固定するために、テープ縫合糸アセンブリの第1の縫合糸ストランドを用いてステッチを形成することを含む。
【0030】
図1は、移植片準備システムの移植片10を示す。移植片10の近位端領域12は、器具14によって保持される。定規16が移植片10の隣に配置され、所望のステッチの長さに基づいて移植片10上の所望の位置を見つけるために使用される。移植片10は、線20を形成するようにマーカー18で所望の位置に線を付けられる。一実施例では、所望の位置は、移植片10の近位端22から約2.0cmである。一実施例では、移植片10は、大腿四頭筋腱移植片である。
【0031】
図2は、固定インプラント24を示す。一実施例では、固定インプラント24は、フロリダ州ネイプルズのArthrex社によって製造されるTightRope(登録商標)固定インプラント24である。固定インプラント24は、第1の穴28及び第2の穴30を含むボタン26を含む。縫合糸ストランド32が、第1の穴28を通る。縫合糸構造体34が、第1の穴28及び第2の穴30の両方を通る。縫合糸構造体34は、2つの自由なストランド36及び38と、ループ44で相互接続されて調節可能なループ46を形成する2つの調節可能なアイスプライス40及び42とを含む。ボタン26は、移植片10の皮質骨固定を提供する。ループ46は、調節可能な長さを有し、移植片10に接続されるか又は移植片10を支持する。自由なストランド36及び38を引っ張ることによって、個々のアイスプライス40及び42はそれぞれ、ループ46のサイズを収縮及び縮小する。個々のアイスプライス40及び42を長くするために、アイスプライス40及び42の一方又は両方の内側に力を加えることもできる。
【0032】
図3及び4は、移植片準備カード48を示す。移植片準備カード48は、形状が実質的に矩形であり、移植片縁50と、反対側の支持鉤縁52と、第1のクリート縁54と、反対側の第2のクリート縁56とを含む。移植片準備カード48は、移植片縁50から延びる鍵穴形状の開口部58を含む。鍵穴形状の開口部58は、長手方向軸Aを有する。鍵穴形状の開口部58は、移植片縁50から内側に延びる通路60と、通路60に連通する湾曲部分61とを含む。一実施例では、湾曲部分61は卵形である。
【0033】
穴62、64が、鍵穴形状の開口部58の通路60の両側に位置する。スリット66及び68がそれぞれ、移植片縁50から穴62及び64のそれぞれまで延びる。溝70及び72がそれぞれ、各穴62及び64の上方で移植片縁50に位置する。支持鉤縁52は、それぞれが移植片縁50の溝70及び72の一方と整列している2つの溝74及び76を含む。タブ78が、2つの溝74、76の間に画定されている。
【0034】
第1のクリート縁54及び反対側の第2のクリート縁54はそれぞれクリート78及び80を画定する。第1の穴82が、支持鉤縁52と第1のクリート縁54とが交わる領域に位置し、第2の穴84が、支持鉤縁52と反対側の第2のクリート縁54とが交わる領域に位置し、第3の穴86が、移植片縁50と反対側の第2のクリート縁54とが交わる領域に位置する。スリット124、126及び128が、最も近いクリート縁54及び56から穴82、84及び86のそれぞれまで延びている。第2の穴84と第3の穴86との間に画定された線が、長手方向軸Aに実質的に平行である。
【0035】
ボタン26は、移植片準備カード48の表側に位置する。縫合糸構造体34のアイスプライス40及び42は、ボタン26から延び、それぞれ移植片準備カード48の支持鉤縁52上の溝74及び76の一方に受け入れられる。アイスプライス40及び42は、アイスプライス40及び42が移植片縁50の溝70及び72に受け入れられるように移植片準備カード48の裏側に延びる。縫合糸構造体34のアイスプライス40及び42は、それぞれスリット66及び68の一方を通ってスライドされ、それぞれ穴62及び64に受け入れられ、縫合糸構造体34のループ44は、穴62及び64の間に位置する。
【0036】
縫合糸ストランド32及び縫合糸構造体34の自由端36及び38は、スリット124を通って第1の穴82内に入り、縫合糸ストランド32及び縫合糸構造体34の自由端36及び38がクリート78及び80上に受け入れられるように移植片準備カード48の周りに数回巻き付けられる。次いで、縫合糸ストランド32及び縫合糸構造体34の自由端36及び38は、移植片準備カード48の第1のクリート縁54のクリート78から、巻き付けられた縫合糸上で移植片準備カード48の裏側を斜めに横切って延び、スリット128を通って第2の穴84に入る。縫合糸ストランド32及び縫合糸構造体34の自由端36及び38は、移植片準備カード48の表側を長手方向軸Aに実質的に平行に延び、スリット126を通って第3の穴86に入る。次いで、縫合糸ストランド32の端部と縫合糸構造体34の自由端36及び38が、他の縫合糸の下に固定される。
【0037】
図5は、移植片準備カード48を保持する器具を示す。一実施例では、器具は、ピボット94で接続された2つのアーム90及び92を含む支持鉤88である。各アーム90及び92の一端はそれぞれ指受け穴94及び96を含み、各アーム90及び92の反対側端はそれぞれ歯98及び100を含む。一実施例では、各歯98及び100は先端を画定する。アーム92は、アーム92のピボット94と歯100との間に位置する部分のピボット94の近くにスロット102を含む。スロット102は、移植片準備カード48を受け入れる。
【0038】
移植片準備カード48は、より大きな包装カード48(図示せず)から取り出される。図6に示すように、移植片準備カード48の反対側の支持鉤縁52のタブ78は、支持鉤88のスロット102内に配置される。テープ縫合糸アセンブリ105のテープ縫合糸104の端部領域は、支持鉤88の歯100に近接するように配置される。テープ縫合糸アセンブリ105は、テープ縫合糸104と、テープ縫合糸104の反対側の端部領域に取り付けられた縫合糸の2つの自由なストランド106及び108(図7に示す)と、針110(図9Aから図9Cに示す)とを含む。一実施例では、テープ縫合糸は、フロリダ州ネイプルズのArthrex社によって製造されるFiberTag(登録商標)縫合糸である。
【0039】
図7に示すように、次いで、支持鉤88のアーム90及び92は、支持鉤88の一方のアーム90の歯100がテープ縫合糸104を貫通するように引き合わせられる。固定インプラント24は、支持鉤88の歯98及び100によって貫通されていない。
【0040】
図8に示すように、支持鉤88の他方のアーム92の歯98は、移植片10の近位端22を貫通する。一実施例では、支持鉤88は、移植片10の近位端22から約2mmでクランプされる。
【0041】
図9Aから9Dに示すように、次いで、テープ縫合糸104は、テープ縫合糸アセンブリ105の縫合糸の2つの自由なストランド106及び108を用いて移植片10に取り付けられる。図9Aに示すように、テープ縫合糸104の長さ及び位置は、マーカー18によって引かれた線20で移植片10を通る針110の最初の通過を用いて決定される。図9Bに示すように、針110は、針110が移植片10の裏側に位置するように移植片10を通過している。次いで、縫合糸の2つの自由なストランド106及び108を広げて開口部112を形成し、移植片10を開口部112に通すことによって、縫合糸の2つの自由なストランド106及び108及び針110を移植片10の表側に移動させる。図9Dに示すように、次いで、針110は近位側に配置され、テープ縫合糸104及び移植片10を通って移植片10の裏側に配置され、第1のステッチ114を形成することによってテープ縫合糸104を捕捉する。近位側に移動し、これらのステップを繰り返して第2のステッチ116が形成される。必要に応じて、同じ方法で追加のステッチを形成することができる。図示の実施例では、2つのステッチ114及び116が形成されている。
【0042】
図10Aに示すように、針110は、移植片10の裏側に位置する。縫合糸の2つの自由なストランド106及び108は、移植片準備カード48の鍵穴形状の開口部58の通路60を通り、固定インプラント24の2つの調節可能なアイスプライス40及び42を捕捉して2つの調節可能なアイスプライス40及び42を通って環状になる。次いで、針110は、2つのステッチ114及び116の近位の位置でテープ縫合糸104及び移植片10を通って第3のステッチ117を形成する。針110は、移植片10の裏側に位置する。次いで、固定インプラント24を移植片10に固定する。
【0043】
次いで、縫合糸の2つの自由なストランド106及び108を広げて開口部112を形成し、次いで、移植片10を開口部112に通すことによって、縫合糸の2つの自由なストランド106及び108及び針110を移植片10の表側に移動させる。図10Bに示すように、縫合糸の2つの自由なストランド106及び108を有する針110は、第1のステッチ114と第2のステッチ116との間の位置で表側から移植片10及びテープ縫合糸104を通って第4のステッチ118を形成する。その結果、針110は、移植片10の裏側に位置する。
【0044】
縫合糸の2つの自由なストランド106及び108は、開口部112を形成するように広げられ、次いで、縫合糸の2つの自由なストランド106及び108及び針110は、移植片10の表側に移動され、テープ縫合糸104を第4のステッチ118で捕捉する。遠位側に移動し、これらのステップを繰り返して第5のステッチ120が形成される。必要に応じて、同じ方法で追加のステッチを形成することができる。図示の実施例では、2つのステッチ118及び120が形成されている。
【0045】
図10Cに示すように、針110は、後で結ばれる結び目122(図11Aに示す)を埋め込むのを補助するために、線20にあるテープ縫合糸104の端部で第5のステッチ120を完了する。図10Dに示すように、縫合糸の2つの自由なストランドの一方106は、針110のすぐ下で切断される。
【0046】
図11Aに示すように、縫合糸の2つの自由なストランド106及び108は、締結で移植片10に巻き付けられ、構造体を固定するために結び目122が結ばれる。図11Bに示すように、針110のない自由な縫合糸のストランド106は、結び目122のすぐ上で切断される。図11Cに示すように、針110は、移植片10及び結び目122を貫通して、移植片10を通して結び目112を引っ張る。自由な縫合糸のストランド108に張力を加えて、結び目122を移植片10に埋め込む。図11D及び図12に示すように、針110を有する自由な縫合糸のストランド108は、移植片10と同一平面で切断される。
【0047】
図13に示すように、支持鉤88は、移植片準備カード48から取り外すことができる。縫合糸ストランド32及び固定インプラント24の2つの自由なストランド36及び38は、移植片準備カード48から解かれる。2つの調節可能なアイスプライス40及び42は、移植片準備カード48内のスリット66及び68から取り外される。図14は、固定インプラント24が取り付けられ、外科的処置で使用する準備ができている、最終的な準備状態の移植片10を示す。
【0048】
本実施形態の本質を説明するために本明細書に記載及び図示されている部品の詳細、材料、工程、及び配置における多くの追加的な変更は、開示された実施形態の原理及び範囲内に留まりながら、当業者によってなされ得ることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図11D
図12
図13
図14