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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-21
(45)【発行日】2022-05-02
(54)【発明の名称】モジュール構造及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/00 20060101AFI20220422BHJP
【FI】
H01L25/00 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020540775
(86)(22)【出願日】2018-07-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 CN2018095017
(87)【国際公開番号】W WO2019144574
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-07-27
(31)【優先権主張番号】201810085331.8
(32)【優先日】2018-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201820147790.X
(32)【優先日】2018-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518385648
【氏名又は名称】安徽安努奇科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】ANHUI ANUKI TECHNOLOGIES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】2800 Chuangxin Ave, Rm 602 Flr 6 Block C Bldg J1, Hefei Innovation Industrial Park Phase II, High-Tech Industrial Development Zone, Hefei, Anhui 230088, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】左成▲傑▼
(72)【発明者】
【氏名】何▲軍▼
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-286690(JP,A)
【文献】特開2009-099752(JP,A)
【文献】特開2004-056093(JP,A)
【文献】特開2006-216768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、少なくとも1つの受動素子と、少なくとも2つの金属柱と、少なくとも1つのチップとを備え、
前記少なくとも1つの受動素子、前記少なくとも2つの金属柱及び前記少なくとも1つのチップは、前記ベースと同じ側に位置し、前記少なくとも1つの受動素子は、前記ベースと前記少なくとも2つの金属柱が位置する膜層との間に位置し、且つ前記ベースと前記少なくとも1つのチップが位置する膜層との間に位置し、
前記少なくとも1つのチップの前記ベース上の垂直投影と、前記少なくとも2つの金属柱の前記ベース上の垂直投影を端点として構成した線分又は閉図形とは、重複領域が存在し、及び、
前記少なくとも1つの受動素子の前記ベース上の垂直投影と、前記少なくとも2つの金属柱の前記ベース上の垂直投影を端点として構成した線分又は閉図形とは、重複領域が存在することと、前記少なくとも1つの受動素子の前記ベース上の垂直投影と、前記少なくとも1つのチップの前記ベース上の垂直投影とは、重複領域が存在することとの少なくとも1つを含む、モジュール構造であって、
前記モジュール構造は、
前記受動素子を覆うか、又は包む第1の誘電体層と、
前記第1の誘電体層の前記ベースから離れる側に位置する第2の誘電体層と、
前記第2の誘電体層の前記ベースから離れる側に位置し、前記第2の誘電体層を覆う第3の誘電体層と、
を更に備え、
前記少なくとも2つの金属柱及び前記少なくとも1つのチップは、前記第2の誘電体層に位置し、前記第2の誘電体層の前記ベースから離れる側の表面は、前記少なくとも2つの金属柱の前記ベースから離れる側の表面よりも低い、且つ、前記少なくとも2つの金属柱のそれぞれの高さは、前記少なくとも1つのチップのそれぞれの高さよりも大きい、モジュール構造
【請求項2】
単一の前記金属柱がインダクタに形成されるか、或いは、前記少なくとも2つの金属柱のうちの少なくとも一部の前記金属柱の間に互いに電気的に接続されて電磁誘導コイルに形成されている、請求項1に記載のモジュール構造。
【請求項3】
前記受動素子は、コンデンサ、抵抗及びインダクタのうちの少なくとも1種を含む、請求項1に記載のモジュール構造。
【請求項4】
前記第1の誘電体層の前記ベースから離れる側に位置する第1の接続層と、
前記第2の誘電体層の前記ベースから離れる側に位置する第2の接続層と、
を更に備える、請求項に記載のモジュール構造。
【請求項5】
前記第1の誘電体層に第1のビアホールが形成され、前記第1のビアホール内に第1の導電体が形成され、前記受動素子は、前記第1の導電体及び前記第1の接続層を介して、前記金属柱及び前記チップのうちの少なくとも1つと電気的に接続されており、
前記第2の誘電体層に第2のビアホールが形成され、前記第2のビアホール内に第2の導電体が形成され、前記金属柱と前記チップとは、前記第2の導電体及び前記第2の接続層を介して電気的に接続されている、請求項に記載のモジュール構造。
【請求項6】
前記チップは、少なくとも1つのインターフェースを備え、前記インターフェースは、前記チップの前記ベースに近接する側の表面又は前記ベースから離れる側の表面に位置する、請求項1に記載のモジュール構造。
【請求項7】
前記インターフェースが前記チップの前記ベースから離れる側の表面に位置する場合、前記モジュール構造は、
前記チップと前記ベースとの間に位置する支持層を更に備える、請求項に記載のモジュール構造。
【請求項8】
前記少なくとも2つの金属柱と前記少なくとも1つのチップとの段差間のスペースに位置する、少なくとも電子素子を更に備える、請求項に記載のモジュール構造。
【請求項9】
ベースを提供することと、
前記ベースに少なくとも1つの受動素子を設けることと、
前記ベースの前記少なくとも1つの受動素子に近接する側に、前記受動素子を覆うか、又は包む第1の誘電体層を形成することと、
前記第1の誘電体層の前記ベースから離れる側に、少なくとも2つの金属柱及び少なくとも1つのチップを設けることと、
前記第1の誘電体層の前記ベースから離れる側に、第2の誘電体層を形成し、前記少なくとも2つの金属柱及び前記少なくとも1つのチップが、前記第2の誘電体層に位置し、前記第2の誘電体層の前記ベースから離れる側の表面が、前記少なくとも2つの金属柱の前記ベースから離れる側の表面よりも低い、且つ、前記少なくとも2つの金属柱のそれぞれの高さが、前記少なくとも1つのチップのそれぞれの高さよりも大きいようにすることと、
前記第2の誘電体層の前記ベースから離れる側に、前記第2の誘電体層を覆う第3の誘電体層を形成することと、を含み、
前記少なくとも1つのチップの前記ベース上の垂直投影と、前記少なくとも2つの金属柱の前記ベース上の垂直投影を端点として構成した線分又は閉図形とは、重複領域が存在し、及び、
前記少なくとも1つの受動素子の前記ベース上の垂直投影と、前記少なくとも2つの金属柱の前記ベース上の垂直投影を端点として構成した線分又は閉図形とは、重複領域が存在することと、前記少なくとも1つの受動素子の前記ベース上の垂直投影と、前記少なくとも1つのチップの前記ベース上の垂直投影とは、重複領域が存在することとの少なくとも1つを含む、
モジュール構造の製造方法。
【請求項10】
前記第1の誘電体層の前記受動素子から離れる側に、前記少なくとも2つの金属柱及び前記少なくとも1つのチップを設ける前に、
記第1の誘電体層に第1のビアホール形成且つ、前記第1のビアホール内に第1の導電体形成すること、を更に含む、請求項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記第1の誘電体層の前記受動素子から離れる側に、前記少なくとも2つの金属柱及び前記少なくとも1つのチップを設ける後、
前記少なくとも2つの金属柱と前記少なくとも1つのチップとの段差間のスペースに、少なくとも電子素子を形成すること、を更に含む、請求項9に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年1月29日に中国専利局に出願され、出願番号が201810085331.8号及び2018年1月29日に中国専利局に出願され、出願番号が201820147790.X号の中国特許出願に基づいて優先権を主張するものであり、上記出願の全ての内容を引用により本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願の実施例は、集積回路モジュールの技術に関し、例えば、モジュール構造及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電子製品の発展に伴い、様々な種類のデバイスの開発が高集積化、多機能化の方向に進化しているため、集積デバイスの集積回路モジュール構造に対する要求も高まっている。
【0004】
集積回路のモジュール構造には、複数種類の素子、例えば、パワーアンプ、ローノイズアンプ、スイッチ、音波フィルタ(acoustic wave filter)等のチップと、コンデンサ、インダクタ等の受動素子とが存在し、これらの素子は、一般的に、モジュール構造のベース上に敷き詰められており、これらの敷き詰めて設けられた素子は、モジュール構造の面積を増加させ、集積回路モジュール構造のスペース利用率を低下させ、集積回路モジュール構造の高集積化の実現に不利である。
【発明の概要】
【0005】
本出願は、モジュール構造の敷き詰めた面積を減少し、モジュール構造のスペース利用率を向上させ、モジュール構造の高集積化を実現するモジュール構造及びその製造方法を提供する。
【0006】
本出願は、ベースと、少なくとも1つの受動素子と、少なくとも2つの金属柱と、少なくとも1つのチップとを備え、
前記少なくとも1つの受動素子、前記少なくとも2つの金属柱及び前記少なくとも1つのチップは、前記ベースと同じ側に位置し、前記少なくとも1つの受動素子は、前記ベースと前記少なくとも2つの金属柱が位置する膜層との間に位置し、且つ前記ベースと前記少なくとも1つのチップが位置する膜層との間に位置し、
前記少なくとも1つのチップの前記ベース上の垂直投影と、前記少なくとも2つの金属柱の前記ベース上の垂直投影を端点として構成した線分又は閉図形とは、重複領域が存在し、及び、
前記少なくとも1つの受動素子の前記ベース上の垂直投影と、前記少なくとも2つの金属柱の前記ベース上の垂直投影を端点として構成した線分又は閉図形とは、重複領域が存在することと、前記少なくとも1つの受動素子の前記ベース上の垂直投影と、前記少なくとも1つのチップの前記ベース上の垂直投影とは、重複領域が存在することとの少なくとも1つを含む、
モジュール構造を提供する。
【0007】
一実施例において、単一の前記金属柱がインダクタに形成されるか、或いは、前記少なくとも2つの金属柱のうちの少なくとも一部の前記金属柱の間に互いに電気的に接続されて電磁誘導コイルに形成されている。
【0008】
一実施例において、前記モジュール構造は、
前記受動素子を覆うか、又は包む第1の誘電体層と、
前記第1の誘電体層の前記ベースから離れる側に位置する第2の誘電体層と、
前記第2の誘電体層の前記ベースから離れる側に位置し、前記第2の誘電体層を覆う第3の誘電体層と、を更に備える。
【0009】
一実施例において、前記受動素子は、コンデンサ、抵抗及びインダクタのうちの少なくとも1種を含む。
【0010】
一実施例において、前記モジュール構造は、
前記第1の誘電体層の前記ベースから離れる側に位置する第1の接続層と、
前記第2の誘電体層の前記ベースから離れる側に位置する第2の接続層と、を更に備える。
【0011】
一実施例において、前記第1の誘電体層に第1のビアホールが形成され、前記第1のビアホール内に第1の導電体が形成され、前記受動素子は、前記第1の導電体及び前記第1の接続層を介して、前記金属柱及び前記チップのうちの少なくとも1つと電気的に接続されており、
前記第2の誘電体層に第2のビアホールが形成され、前記第2のビアホール内に第2の導電体が形成され、前記金属柱と前記チップとは、前記第2の導電体及び前記第2の接続層を介して電気的に接続されている。
【0012】
一実施例において、前記チップは、少なくとも1つのインターフェースを備え、前記インターフェースは、前記チップの前記ベースに近接する側の表面又は前記ベースから離れる側の表面に位置する。
【0013】
一実施例において、前記インターフェースが前記チップの前記ベースから離れる側の表面に位置する場合、前記モジュール構造は、
前記チップと前記ベースとの間に位置する支持層を更に備える。
【0014】
一実施例において、前記第2の誘電体層の前記ベースから離れる側の表面は、前記金属柱の前記ベースから離れる側の表面と面一である。
【0015】
一実施例において、前記第2の誘電体層の前記ベースから離れる側の表面は、前記金属柱の前記ベースから離れる側の表面よりも低いか、又は高い。
【0016】
本出願は、ベースを提供することと、
前記ベースに少なくとも1つの受動素子を設けることと、
前記少なくとも1つの受動素子の前記ベースから離れる側に少なくとも2つの金属柱及び少なくとも1つのチップを設けることと、を含み、
前記少なくとも1つのチップの前記ベース上の垂直投影と、前記少なくとも2つの金属柱の前記ベース上の垂直投影を端点として構成した線分又は閉図形とは、重複領域が存在し、及び、
前記少なくとも1つの受動素子の前記ベース上の垂直投影と、前記少なくとも2つの金属柱の前記ベース上の垂直投影を端点として構成した線分又は閉図形とは、重複領域が存在することと、前記少なくとも1つの受動素子の前記ベース上の垂直投影と、前記少なくとも1つのチップの前記ベース上の垂直投影とは、重複領域が存在することとの少なくとも1つを含む、
モジュール構造の製造方法を更に提供する。
【0017】
一実施例において、前記少なくとも1つの受動素子の前記ベースから離れる側に、少なくとも2つの金属柱及び少なくとも1つのチップを設けることは、
前記ベースの前記受動素子に近接する側に前記受動素子を覆うか、又は包む第1の誘電体層を形成し、前記第1の誘電体層に第1のビアホールが形成され、前記第1のビアホール内に第1の導電体が形成されることと、
前記第1の誘電体層の前記受動素子から離れる側に、前記少なくとも2つの金属柱及び前記少なくとも1つのチップを設けることと、を含む。
本出願は、敷き詰めて設けることではなく、受動素子をベースとチップ及び金属柱が位置する膜層との間に設け、受動素子と他の素子との三次元積層を実現することにより、モジュール構造の面積を減少し、且つチップを金属柱間に設け、チップと金属柱とを入れ子状の構造にすることにより、モジュール構造のスペース利用率を向上させ、モジュール構造の高集積化を実現することができるモジュール構造及びその製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例1に係るモジュール構造の構造模式図である。
図2】実施例1に係る金属柱の接続の構造模式図である。
図3】実施例1に係る別のモジュール構造の構造模式図である。
図4】実施例1に係るさらに別のモジュール構造の構造模式図である。
図5】実施例2に係るモジュール構造の製造方法のフローチャートである。
図6】実施例3に係るモジュール構造の製造方法のフローチャートである。
図7図6に係るモジュール構造の製造方法を用いてモジュール構造を製造する時におけるモジュール構造の複数の状態の構造模式図である。
図8図6に係るモジュール構造の製造方法を用いてモジュール構造を製造する時におけるモジュール構造の複数の状態の構造模式図である。
図9図6に係るモジュール構造の製造方法を用いてモジュール構造を製造する時におけるモジュール構造の複数の状態の構造模式図である。
図10図6に係るモジュール構造の製造方法を用いてモジュール構造を製造する時におけるモジュール構造の複数の状態の構造模式図である。
図11図6に係るモジュール構造の製造方法を用いてモジュール構造を製造する時におけるモジュール構造の複数の状態の構造模式図である。
図12図6に係るモジュール構造の製造方法を用いてモジュール構造を製造する時におけるモジュール構造の複数の状態の構造模式図である。
図13図6に係るモジュール構造の製造方法を用いてモジュール構造を製造する時におけるモジュール構造の複数の状態の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面及び実施例を参照しながら、本出願について更に説明する。ここで説明される具体的な実施例は、本出願を説明するためのものに過ぎず、本出願を限定するものではない。説明の便宜上、図面にはすべての構造が示されず、本出願に関連する部分のみが示されている。
【0020】
実施例1
図1は、実施例1に係るモジュール構造の構造模式図である。図1を参照すると、該モジュール構造は、ベース1と、少なくとも1つの受動素子2と、少なくとも2つの金属柱3と、少なくとも1つのチップ4とを備え、上記少なくとも1つの受動素子2、上記少なくとも2つの金属柱3及び上記少なくとも1つのチップ4は、ベース1と同じ側に位置し、上記少なくとも1つの受動素子2は、ベース1と、上記少なくとも2つの金属柱3が位置する膜層との間に位置し、且つ前記ベース1と、上記少なくとも1つのチップ4が位置する膜層との間に位置し、上記少なくとも1つのチップ4のベース1上の垂直投影と、上記少なくとも2つの金属柱3のベース1上の垂直投影を端点として構成した線分又は閉図形とは、重複領域が存在し、及び、上記少なくとも1つの受動素子2のベース1上の垂直投影と、上記少なくとも2つの金属柱3のベース1上の垂直投影を端点として構成した線分又は閉図形とは、重複領域が存在することと、上記少なくとも1つの受動素子2のベース1上の垂直投影と、上記少なくとも1つのチップ4のベース1上の垂直投影とは、重複領域が存在することとの少なくとも1つを含む。
【0021】
図1において、受動素子2のベース1上の垂直投影は、金属柱3のベース1上の垂直投影を端点として構成した線分又は閉図形およびチップ4のベース1上の垂直投影の両方と重複領域が存在することは、本出願の具体的な例に過ぎず、本出願を限定するものではない。また、受動素子2のベース1上の垂直投影は、金属柱3のベース1上の垂直投影を端点として構成した線分又は閉図形のみと重複領域が存在してもよく、或いは、受動素子2のベース1上の垂直投影は、チップ4のベース1上の垂直投影のみと重複領域が存在してもよい。
【0022】
そのうち、受動素子2は、ベース1と、金属柱3及びチップ4が位置する膜層との間に位置し、及び、受動素子2のベース1上の垂直投影と、金属柱3のベース1上の垂直投影を端点として構成した線分又は閉図形とは、重複領域が存在することと、受動素子2のベース1上の垂直投影と、チップ4のベース1上の垂直投影とは、重複領域が存在することとの少なくとも1つを含むことにより、受動素子2と、金属柱3やチップ4等の素子とを、ベース1上に敷き詰めて設けることではなく、受動素子2と金属柱3及びチップ4等の素子との三次元積層を実現し、スペースの繰り返し利用を実現し、構成されたモジュール構造の敷き詰めた面積を減少することができる。
【0023】
金属柱3とチップ4とは同一の膜層にあり、チップ4のベース1上の垂直投影と、金属柱3のベース1上の垂直投影を端点として構成した線分又は閉図形とは、重複領域が存在し、即ち、チップ4および金属柱3は、入れ子構造を構成可能であり、チップ4は金属柱3間に配置され、スペース利用率を向上させ、モジュール構造の敷き詰めた面積を減少することができる。
【0024】
モジュール構造におけるベースは、シリコンウェハ、ガラスウェハ、基板や面板等の構造であってもよい。モジュール構造に複数のチップ4が含まれる場合、チップ4は同じチップでも異なるチップでもよく、例えば、パワーアンプ、ローノイズアンプ、スイッチ、音波フィルタ等のチップであってもよい。同様に、モジュール構造に複数の受動素子2が含まれる場合、受動素子2は同じ構造でも異なる構造でもよく、好ましくは、受動素子2は、コンデンサ、抵抗及びインダクタのうちの少なくとも1種を含んでもよい。
【0025】
一実施例において、モジュール構造が通常に動作できることを確保した上で、モジュール構造の面積を減少し、モジュール構造のスペース利用率をより高くするために、合理的な設計により、モジュール構造における他の素子同士をいずれも三次元積層又は入れ子状の積層にすることもできる。例示的に、チップ4以外の素子(例えば、コンデンサ)と、金属柱3とを入れ子状の積層にし、即ち、コンデンサは、金属柱3と同一の膜層に位置し、コンデンサのベース1上の垂直投影と、金属柱3のベース1上の垂直投影を端点として構成した線分又は閉図形とは、重複領域が存在するように設けられてもよい。チップ4と金属柱3との間に段差があることを考えると、チップ4と金属柱3とが入れ子状に積層されると同時に、他の素子が両方の段差間のスペースに位置するように設けられてもよい。
【0026】
本出願の実施例1に係るモジュール構造は、敷き詰めて設けることではなく、受動素子をベースとチップ及び金属柱が位置する膜層との間に設け、受動素子と他の素子との三次元積層を実現することにより、モジュール構造の面積を減少するとともに、チップを金属柱間に設け、チップと金属柱とを入れ子状の構造にすることにより、モジュール構造のスペース利用率を向上させ、モジュール構造の高集積化を実現することができる。
【0027】
金属柱3は異なる接続方式で異なる機能を実現可能であり、金属柱3の接続方式は実際のニーズに応じて決定可能である。図2は、実施例1に係る金属柱の接続の構造模式図である。図2を参照すると、好ましくは、単一の金属柱3によってインダクタを形成してもよく、或いは、上記少なくとも2つの金属柱3のうちの少なくとも一部の金属柱3間の電気的な接続によって電磁誘導コイルを形成してもよい。
【0028】
実際の適用過程では、金属柱3間には接続されなくてもよく、単一の金属柱3は、インダクタ素子又は抵抗とみなされてもよく、接続導線とみなされてもよい。或いは、電磁誘導コイルの特定の機能を実現するように複数の金属柱3間に互いに接続して電磁誘導コイルを形成してもよい。例示的に、複数の金属柱3を互いに接続するときに、螺旋構造の電磁誘導コイルを形成してもよく、必要に応じて複数の閉構造コイルを形成してもよい。実際の回路接続の要求に応じて、金属柱3はチップ4や受動素子2等の他の素子に電気的に接続されてもよいことが理解できる。
【0029】
複数の素子の三次元積層及び入れ子状の積層によるモジュール構造における回路の短絡や漏電等の状況が発生しないことを確保するために、複数の素子同士を電気的に絶縁できるように、モジュール構造に誘電体層が設けられてもよい。図3は、実施例1に係る別のモジュール構造の構造模式図である。例示的に、図3を参照すると、モジュール構造は、受動素子2を覆うか、又は包む第1の誘電体層と、第1の誘電体層5のベース1から離れる側に位置し、そのベース1から離れる側の表面は金属柱3のベース1から離れる側の表面と面一である第2の誘電体層6と、第2の誘電体層6のベース1から離れる側に位置し、第2の誘電体層6を覆う第3の誘電体層7とを更に備える。
【0030】
第1の誘電体層5、第2の誘電体層6及び第3の誘電体層7は、同じ誘電体材料により構成されてもよく、異なる誘電体材料により構成されてもよい。第1の誘電体層5、第2の誘電体層6及び第3の誘電体層7は、モジュール構造における回路の短絡などを回避可能であるが、モジュール構造の通常の動作に影響を及ぼさない。
【0031】
そのうち、ベース1と金属柱3及びチップ4が位置する膜層との間に他の素子が存在する場合、第1の誘電体層5は、上記他の素子を覆うか、又は包んでもよく、即ち、第1の誘電体層5は、ベース1と金属柱3及びチップ4が位置する膜層との間に位置する素子を覆うか、又は包むことができる。また、第1の誘電体層5は、絶縁作用に加えて、金属柱3とチップ4とを支持して、複数の素子間の三次元積層を実現するように、金属柱3及びチップ4を、受動素子2等の素子のベース1から離れる側に設けられることもできる。
【0032】
第2の誘電体層6は、金属柱3及びチップ4等の素子間の電気的絶縁を実現するために用いられる。一実施例において、図3を参照すると、第2の誘電体層6のベース1から離れる側の表面と、金属柱3のベース1から離れる側の表面とが面一であることは、本出願の一例に過ぎず、本出願を限定するものではない。好ましくは、第2の誘電体層6のベース1から離れる側の表面は、金属柱3のベース1から離れる側の表面よりも高くても低くてもよい。
【0033】
第2の誘電体層6のベース1から離れる側の表面と、金属柱3のベース1から離れる側の表面とが面一である場合、第2の誘電体層6上に金属柱3を接続する導線を直接形成して、金属柱3間又は金属柱3とチップ4との電気的接続を実現することができる。第2の誘電体層6のベース1から離れる側の表面が金属柱3のベース1から離れる側の表面よりも高い場合、第2の誘電体層6にビアホールを形成し、ビアホール内に導電材料を充填して導電体を形成する必要があり、導線とビアホール内の導電材料とを電気的に接続することで、金属柱3間又は金属柱3とチップ4との電気的接続を実現する。第2の誘電体層6のベース1から離れる側の表面が金属柱3のベース1から離れる側の表面よりも低い場合、ビアホールを開ける必要がなく、第2の誘電体層6の金属柱3よりも低い表面に金属柱3を接続する導線を形成してもよく、好ましくは、この場合、金属柱3の第2の誘電体層6よりも高い部分の厚さは、導線の厚さに等しい。
【0034】
一般的には、金属柱3の厚さをチップ4の厚さより大きく設けてもよいが、金属柱3の厚さ及びチップ4の厚さを実際の状況に応じて調整してもよい。引き続き図3を参照すると、好ましくは、モジュール構造は、第1の誘電体層5のベース1から離れる側に位置する第1の接続層8と、第2の誘電体層6のベース1から離れる側に位置する第2の接続層9とを更に備える。
【0035】
第1の接続層8及び第2の接続層9は金属構造であってもよい。第1の接続層8及び第2の接続層9は、複数の素子の所定接続路径に従って形成された金属パターンであってもよく、直接第1の接続層8及び第2の接続層9を介して複数の素子間の電気的接続を実現し、接続過程に金属柱3、受動素子2等の素子でのはんだボールの形成を回避し、モジュール構造における寄生抵抗を低下させ、モジュール構造におけるコンデンサ及びインダクタの品質係数を向上させることができることを理解できる。
【0036】
そのうち、第1の接続層8は、第1の接続層8における一部の金属により形成されたインダクタ等の素子を更に含んでもよく、第2の接続層9は、第2の接続層9における一部の金属により形成されたインダクタ等の素子を更に含んでもよい。
【0037】
また、少なくとも一部の金属柱3間に互いに電気的に接続されている場合、それぞれ金属柱3に電気的に接続された第1の接続層8及び第2の接続層9を介して、一部の金属柱3を電磁誘導コイルに形成することができる。
【0038】
一般的に、モジュール構造における複数の素子同士は、いずれもはんだボールで電気的接続を実現する。モジュール構造がラジオ周波数(RF)又は高周波数の条件下にある場合、はんだボールにおける寄生抵抗は、モジュール構造におけるコンデンサ又はインダクタの品質係数に影響を与え、モジュール構造の性能に影響を与えると考えられる。モジュール構造における寄生抵抗を低下させ、コンデンサ又はインダクタの品質係数を改善するために、誘電体層間にビアホールを形成し、ビアホールに導電材料を充填することにより、モジュール構造における異なる膜層における複数の素子を接続できる。金属柱3は、第2の誘電体層6におけるビアホール内に位置することで、上下に接続する機能を実現することもできる。
【0039】
例示的に、引き続き図3を参照すると、第1の誘電体層5に第1のビアホール50が形成され、第1のビアホール50に第1の導電体51が形成され、受動素子2は、第1の導電体51及び第1の接続層8を介して、金属柱3及びチップ4のうちの少なくとも1つと電気的に接続されており、第2の誘電体層6に第2のビアホール60が形成され、第2のビアホール60に第2の導電体61が形成され、金属柱3とチップ4とは、第2の導電体61及び第2の接続層9を介して電気的に接続されている。
【0040】
一実施例において、第1のビアホール50及び第2のビアホール60は、実際のニーズに応じて、それぞれ第1の誘電体層5又は第2の誘電体層6をエッチング又は腐食などの操作により形成されてもよい。第1ビアホール50及び第2ビアホール60に充填形成された第1導電体51及び第2導電体61は、導電性能がよく、導電率が高い金属材料で形成されてもよい。
【0041】
第1の導電体51は、第1の誘電体層5の第1のビアホール50に位置し、第1の誘電体層5により覆われた素子と他の膜層に位置する素子との間の電気的接続を実現するために用いられる。つまり、第1の導電体51は、受動素子2と金属柱3又はチップ4との間の電気的接続を実現できるだけでなく、第1の導電体5が他の素子を覆ったときにも、第1の導電体51を介して該素子と他の膜層の素子との間の電気的接続も実現できる。また、第1の導電体51と第1の接続層8との間は、実際の回路設計に応じて電気的に接続でき、第1の導電体51と第1の接続層8との協働により、複数の素子間の電気的接続を実現できる。例示的に、第1の誘電体層5が複数の受動素子2を覆うか又は包む場合、第1の導電体51及び第1の接続層8を介して複数の受動素子2間の電気的接続を実現してもよい。
【0042】
同様に、第2の導電体61は、第2の誘電体層6により覆われた要素と他の膜層の素子との間の電気的接続を実現するために用いられる。第2の導電体61は、第1の接続層8又は第2の接続層9との協働により、金属柱3とチップ4との間の電気的接続を実現できる。例示的に、第2の導電体61は、チップ4に対応して設けられ、第2の導電体61とチップ4とが電気的に接続され、第2の導電体61と第2の接続層9とが電気的に接続されてもよい。そのうち、金属柱3とチップ4との間の電気的接続を実現するように、第2の接続層9と金属柱3とが電気的に接続されている。
【0043】
第1の導電体51、第2の導電体61、第1の接続層8及び第2の接続層9同士の相互協働により、複数の膜層の素子間の電気的接続を実現し、はんだボールの形成を回避し、モジュール構造の寄生抵抗を低下させ、モジュール構造の性能を最適化にすることができる。
【0044】
一実施例において、1回の堆積プロセスによって第1の導電体51及び第1の接続層8を形成することができ、且つ、1回の堆積プロセスによって第2の導電体61及び第2の接続層9を形成することができる。
【0045】
一実施例において、第3の誘電体層7に第3のビアホールが形成されてもよく、第3のビアホールは、モジュール構造と他の構造(例えば、他のモジュール構造又はチップ)との間の電気的接続を実現可能である。寄生抵抗を低下させるために、第3のビアホールに第3の導電体が形成されてもよい。
【0046】
好ましくは、チップ4は、チップ4のベース1に近接する側の表面、又はベース1から離れる側の表面に位置する少なくとも1つのインターフェース41を備える。
【0047】
そのうち、チップ4におけるインターフェース41は、I/Oインターフェースであってもよい。チップにおけるインターフェース41が複数ある場合、すべてのインターフェース41がチップ4のベース1に近接する側の表面、又はベース1から離れる側の表面のみに位置するように設けられてもよく、インターフェース41がそれぞれチップ4のベース1に近接する側の表面及びベース1から離れる側の表面に位置するように設けられてもよい。実際の回路構造を簡素化するために、チップ4のインターフェース41の向きは、チップ4のインターフェース41に接続された構造に応じて決定されてもよい。
【0048】
例示的に、チップ4のインターフェースが、チップ4のベース1に近接する側の表面に位置するように設けられてもよい。例示的に、製造過程では、まず第1の誘電体層5上に第1の接続層8を形成し、そのうち、第1の接続層8に金属のインターフェースが設けられ、チップ4のインターフェースでの金属を金属インターフェースに直接押し付けてチップのインターフェースと第1の接続層との電気的接続を実現してもよい。
【0049】
図4は、実施例1に係るさらに別のモジュール構造の構造模式図である。好ましくは、インターフェース41がチップ4のベース1から離れる側の表面に位置する場合、モジュール構造は、チップ4とベース1との間に位置し、インターフェースと金属柱3のベース1から離れる側の端面との間の垂直距離を減少するために用いられる支持層10を更に備える。
【0050】
一般的に、チップ4と金属柱3との間に段差があり、金属柱3のベース1から離れる側の端面とインターフェース41との電気的接続を容易にするために、支持層10が設けられてもよい。支持層10は、段差の減少のみに使用され、モジュール構造の通常の動作及び性能に影響を与えない前提で、支持層10の材質や形状構造等は限定されない。
【0051】
実施例2
図5は、実施例2に係るモジュール構造の製造方法のフローチャートである。図5を参照し、該製造方法は、
ベースを提供するステップ10と、
ベース上に少なくとも1つの受動素子を設けるステップ20と、
少なくとも1つの受動素子のベースから離れる側に少なくとも2つの金属柱及び少なくとも1つのチップを設けるステップ30と、を含む。
【0052】
そのうち、少なくとも1つのチップのベース上の垂直投影と、少なくとも2つの金属柱のベース上の垂直投影を端点として構成した線分又は閉図形とは、重複領域が存在する。及び、少なくとも1つの受動素子のベース上の垂直投影と少なくとも2つの金属柱のベース上の垂直投影を端点として構成した線分又は閉図形とは、重複領域が存在することと、少なくとも1つの受動素子のベース上の垂直投影と少なくとも1つのチップのベース上の垂直投影とは、重複領域が存在することと、のうちの少なくとも1つを含む。
【0053】
受動素子、金属柱及びチップは、いずれも製造過程に実際に要求された回路に従って電気的接続を実現し、形成されたモジュール構造は、通常に動作し、その特定の機能を実現することができる。形成されたモジュール構造には、その機能を改善するか又は増加するように、受動素子、金属柱及びチップ以外の他の素子を備えてもよい。
【0054】
本出願の実施例に係る製造方法で製造されたモジュール構造は、敷き詰めて設けることではなく、受動素子をベースとチップ及び金属柱が位置する膜層との間に設け、受動素子と他の素子との三次元積層を実現することにより、モジュール構造の面積を減少し、且つチップを金属柱間に設け、チップと金属柱とを入れ子状の構造にすることにより、モジュール構造のスペース利用率を向上させ、モジュール構造の高集積化を実現する目的に寄与することができる。
【0055】
好ましくは、ステップ30は、
ベースの受動素子に近接する側に受動素子を覆うか、又は包む第1の誘電体層を形成し、第1の誘電体層に第1のビアホールが形成され、第1のビアホールに第1の導電体が形成されることと、
第1の誘電体層の受動素子から離れる側に少なくとも2つの金属柱と、少なくとも1つのチップとを設けることと、を含んでもよい。
【0056】
受動素子が金属柱及びチップと同一の膜層に存在しないことを確保し、三次元積層を実現するために、受動素子と金属柱又はチップとを絶縁し、複数の素子間に不要な接触による短絡又は漏電等の状況が発生することを回避することができる第1の誘電体層を形成してもよい。
【0057】
一実施例において、第1の誘電体層により覆われた素子と他の素子との電気的接続を実現するように、第1の誘電体層に第1の接続層を形成してもよい。例えば、第1の誘電体層は受動素子のみを覆った場合、第1の導電体及び第1の接続層の協働により、受動素子間、受動素子と金属柱との間、受動素子とチップとの間、又は受動素子と金属柱及びチップとの間等の構造の電気的接続を実現できる。実際の回路状況を考えると、第1の誘電体層は、さらに、他の素子を覆ってもよく、第1の導電体および第1の接続層を介して該素子と他の素子との電気的接続を実現できる。
【0058】
第1の導電体及び第1の接続層を介してモジュール構造における複数の素子を接続することにより、はんだボールの形成を回避し、モジュール構造における寄生抵抗を低下させ、コンデンサ又はインダクタの品質係数を向上させ、モジュール構造の性能を最適化にすることができる。
【0059】
一実施例において、金属柱及びチップを設けた後、第2の誘電体層を形成してもよく、第2の誘電体層のベースから離れる側の表面は、金属柱のベースから離れる側の表面と面一であるか、或いは、第2の誘電体層のベースから離れる側の表面は、金属柱のベースから離れる側の表面よりも低いか又は高い。第2の誘電体層に第2のビアホールが形成され、第2のビアホールに第2の導電体が形成されている。第2の誘電体層に第2の接続層を形成してもよく、第2の導電体と第1の接続層又は第2の接続層との協働により、複数の素子間の電気的接続を実現できる。
【0060】
第2の誘電体層のベースから離れる側に、第2の誘電体層を覆う第3の誘電体層を形成してもよい。第3の誘電体層にも、モジュール構造と他の構造(例えば、他のモジュール構造やチップ)との電気的接続を実現可能である第3のビアホールが形成されてもよい。寄生抵抗を低下させるために、第3のビアホールに第3の導電体が形成されてもよい。
【0061】
実施例3
本実施例3は、上記モジュール構造の製造方法により製造されたモジュール構造を提供する。
【0062】
図6は、実施例3に係るモジュール構造の製造方法のフローチャートである。図7図13は、図6に係るモジュール構造の製造方法を用いてモジュール構造を製造するときのモジュール構造の複数の状態の構造模式図である。
【0063】
例示的に、製造されたモジュール構造に、1つの受動素子と、複数の金属柱と、1つのチップと、3層の誘電体層とが含まれ、そのうち、受動素子はコンデンサであり、チップに3つのインターフェースが含まれ、3つのインターフェースは、いずれもチップのベースから離れる側の表面に設けられている。該モジュール構造の製造方法は、以下のステップを含んでもよい。
ステップ100では、ベースを提供する。
ステップ201では、ベース上にコンデンサを形成する。
【0064】
図8を参照すると、堆積・エッチングの方式で金属-絶縁体-金属(Metal-Insulator-Metal,MIM)コンデンサ22を形成可能であり、コンデンサ22は薄膜の方式で実現可能である。例示的に、まず、ベース上にコンデンサ22の一方の電極を形成してから、コンデンサ22の誘電体層を形成し、最後にコンデンサ22の他方の電極を形成するようにコンデンサを形成してもよい。そのうち、コンデンサ22の電極のサイズ及びコンデンサ22における誘電体層の材質は、いずれも実際のニーズに応じて調整可能であり、例えば、基板に近接する側のコンデンサの電極の面積は、基板から離れる側のコンデンサの電極の面積よりも大きく、コンデンサ22の誘電体層の材質は、窒化ケイ素等である。
【0065】
ステップ202では、コンデンサ上に第1の誘電体層を形成する。
【0066】
図9を参照すると、堆積の方式でベース21及びコンデンサ22上に第1の誘電体層23を形成してもよい。レーザー又はエッチングの方式で第1の誘電体層23に第1のビアホールを形成してもよい。再配線、堆積、電気めっきや露光・現像等方式で、形成された第1のビアホール内に第1の導電材料231を形成し、第1の誘電体層に第1の接続層を形成してもよく、そのうち、第1の導電材料231は、コンデンサ22と他の素子との電気的接続を実現するようにコンデンサ22の電極に電気的に接続され、第1の接続層は、モジュール構造における複数の素子間の電気的接続を実現するために実際の回路の要求に応じて形成されてもよく、第1の接続層は、金属柱を接続する第1の接続部を含んでもよいし、他の素子間の電気的接続を実現するための他の導線を含んでもよい。そのうち、第1の接続層及び第1の導電材料を用いてモジュール構造における複数の素子の電気的接続を実現することにより、はんだボールの使用を回避し、モジュール構造における寄生抵抗を低下させ、モジュール構造の性能を最適化にすることができる。
【0067】
ステップ301では、第1の誘電体層のベースから離れる側に少なくとも2つの金属柱を形成する。
【0068】
図10を参照すると、第1の接続層における金属柱24を形成する必要がある端点で金属柱24を形成してもよく、金属柱24を形成する方式は複数あり、例示的に、金属柱24は、電気めっきの方式で形成されてもよい。
【0069】
ステップ302では、金属柱24間にチップを設ける。
【0070】
図11を参照すると、チップ25は、金属柱24間に設けられてもよく、即ち、チップ25のベース21上の垂直投影と、少なくとも2つの金属柱24のベース21上の垂直投影を端点として構成した線分又は閉図形とは、重複領域が存在してもよい。図11に示すように、チップ25は、金属柱24により囲まれた領域内に位置することにより、チップ25と金属柱24との入れ子状の積層を実現し、モジュール構造の敷き詰めた面積を減少し、モジュール構造のスペース利用率を向上させる。
【0071】
コンデンサ22のベース21上の垂直投影と、金属柱24のベース上の垂直投影を端点として構成した線分又は閉図形とは、重複領域が存在するか、或いは、コンデンサ22のベース21上の垂直投影とチップ25のベース21上の垂直投影とは、重複領域が存在するか、或いは、コンデンサ22のベース21上の垂直投影と、金属柱24のベース21上の垂直投影を端点として構成した線分又は閉図形およびチップ25のベース21上の垂直投影とは、いずれも重複領域が存在する。チップ25および金属柱24により囲まれた領域と、コンデンサ22とは、垂直方向に重複領域が存在し、モジュール構造における素子の三次元積層を実現し、モジュール構造の敷き詰めた面積を減少し、モジュール構造のスペース利用率を向上させる。
【0072】
チップ25と金属柱24との間に段差があることを考えると、チップ25を設ける前に、チップ25上のインターフェースと金属柱24のベース21から離れる側の端面との間の垂直距離を減少するように、チップ25の下方に支持層26を設けてもよい。
【0073】
ステップ303では、第1の誘電体層のベースから離れる側に第2の誘電体層を形成する。
【0074】
図12を参照すると、第2の誘電体層27がチップ25及び金属柱24を覆い、且つ第2の誘電体層27のベース21から離れる側の端面が金属柱24のベース21から離れる側の端面と面一であるように、堆積等の方式で第2の誘電体層27を形成してもよい。
【0075】
金属柱24とチップ25との電気的接続を容易にするために、第2の誘電体層27に第2のビアホールを形成し、第2のビアホール内に第2の導電材料を形成してもよく、さらに、第2の誘電体層27のベース21から離れる側の表面に第2の接続層を形成してもよい。第2のビアホールは、第2の導電材料がチップ25のインターフェースと第2の接続層との電気的接続を実現するように、チップにおけるインターフェースに対応して設けられてもよい。第1の導電材料、第2の導電材料、第1の接続層及び第2の接続層同士の相互協働により、複数の膜層における素子間の電気的接続を実現できる。
【0076】
ステップ304では、第2の誘電体層のベースから離れる側に第3の誘電体層を形成する。
【0077】
図13を参照すると、第3の誘電体層28は、モジュール構造における素子と他の構造との間に短絡又は漏電等の状況が発生することを防止するために用いられる。後続きのプロセスに他の構造に接続できるように、第3の誘電体層28に第3のビアホールを形成してもよい。
【0078】
実施例3に係るモジュール構造は、敷き詰めて設けることではなく、受動素子をベースとチップ及び金属柱が位置する膜層との間に設け、受動素子と他の素子との三次元積層を実現することにより、モジュール構造の面積を減少し、且つチップを金属柱間に設け、チップと金属柱とを入れ子状の構造にすることにより、モジュール構造のスペース利用率を向上させ、モジュール構造の高集積化を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本出願は、敷き詰めて設けることではなく、受動素子と他の素子との三次元積層を実現することにより、モジュール構造の面積を減少し、且つチップを金属柱間に設け、チップと金属柱とを入れ子状の構造にすることにより、モジュール構造のスペース利用率を向上させ、モジュール構造の高集積化を実現することができるモジュール構造及びその製造方法を提供する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13