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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-21
(45)【発行日】2022-05-02
(54)【発明の名称】イチゴ栽培用マルチカップベッド
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/00 20180101AFI20220422BHJP
   A01G 9/02 20180101ALI20220422BHJP
   A01G 22/05 20180101ALI20220422BHJP
【FI】
A01G9/00 J
A01G9/02 A
A01G22/05 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021203209
(22)【出願日】2021-12-15
【審査請求日】2021-12-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0082074
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520043017
【氏名又は名称】ナ ミヒ
【氏名又は名称原語表記】NA, Mi Hui
【住所又は居所原語表記】72-29, Yangsu-ro 6-gil, Okcheon-eup, Okcheon-gun,Chungcheongbuk-do 29035, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】ナ ミヒ
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1402563(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1699854(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/00 - 9/08
A01G 22/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポット(P1~P6)が2列に離隔して配置され、
第1列のポット(P1、P2、P3)と第2列のポット(P4、P5、P6)とのそれぞれは外側に行くほど下方に傾いた上面(10)で連結され、
前記上面(10)のうち前記第1及び前記第2列の間の縦方向上面(110)の中間には前記第1列及び前記第2列のポット(P1~P6)に養液を供給するための点滴ホース(H1、H2)が取り付けられるように点滴ホース取付部(112)が形成され、
前記点滴ホース取付部(112)は、ホースバンド(F)が挿入されるバンド孔(114)と、前記点滴ホース(H1、H2)の離脱防止のための離脱防止壁(116)とからなり、
前記バンド孔(114)と前記離脱防止壁(116)とは縦方向に沿って交互に形成され、
前記離脱防止壁(116)は前記縦方向上面(110)の頂点部位と前記縦方向上面(110)の頂点から下方に一定間隔で離隔した位置とに2個が形成され、2個の前記点滴ホース(H1、H2)が前記縦方向上面(110)上に外部に露出された状態で載置され、これから養液が落水して前記第1列と前記第2列とに個別に養液を供給するようにし、
前記第1列及び前記第2列の左右に隣接したポットの間の横方向上面(120)は左右側のポット側に下方に傾くように形成され、
前記横方向上面(120)の下部側には前記点滴ホース(H1、H2)から流れた養液が左右側のポットに向かうように左右側の下方に傾いた逆V字形の傾斜突起(122)が形成されることにより、左右に傾いた前記横方向上面(120)に沿って流れた養液が前記傾斜突起(122)にかかり再び左右側のポットに流れるように構成される、
ことを特徴とする、イチゴ栽培用マルチカップベッド。
【請求項2】
前記第1列のポット(P1、P2、P3)と前記第2列のポット(P4、P5、P6)とは互いにずれる位置に形成されることを特徴とする、請求項1に記載のイチゴ栽培用マルチカップベッド。
【請求項3】
前記複数のポット(P1~P6)の各々の内面には、前記点滴ホース(H1、H2)の養液がポットの四方に分散されるようにするための渦流段(20)が形成されることを特徴とする、請求項1に記載のイチゴ栽培用マルチカップベッド。
【請求項4】
前記複数のポット(P1~P6)の各々の底には根圏暖房のための暖房ホース(h3、h4)が通ることができるホース溝(40)が形成されることを特徴とする、請求項1に記載のイチゴ栽培用マルチカップベッド。
【請求項5】
前記渦流段(20)は、前記点滴ホース(H1、H2)が各ポット(P1~P6)の一側の前記縦方向上面(110)側に接する内側面から左右側面に沿って下方に傾くように形成され、外側面側に延びることを特徴とする、請求項3に記載のイチゴ栽培用マルチカップベッド。
【請求項6】
前記ホース溝(40)は各ポット(P1~P6)の内側面または外側面に円弧形に形成されるかまたは各ポット(P1~P6)の下面にトンネル形に形成されることを特徴とする、請求項4に記載のイチゴ栽培用マルチカップベッド。
【請求項7】
前記縦方向上面(110)は前記横方向上面(120)が左右のポット側に傾いた角度と同一の山部と谷部とが繰り返される形態になることを特徴とする、請求項1に記載のイチゴ栽培用マルチカップベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はイチゴ栽培のためのマルチカップベッドに関し、詳しくは複数のポットが一体に形成され、それぞれのポットは上土及び養液が互いに連結及び移動しないように形成され、病害の拡散を最小化し、養液の浪費も最少化することができるようにしたイチゴ栽培用マルチカップベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、イチゴは、出荷時期を3月乃至4月に繰り上げるために、露地栽培の代わりに、施設ハウス内で養液を供給して栽培する養液栽培方式を使っており、これに関連した多様な技術が普及されて使われている。
【0003】
比較的柔らかい野菜であるイチゴは、育苗期から収穫期に至るまで炭疽病、萎黄病、疫病、ウドン粉病菌、灰色カビ病、ナミハダニ、アザミウマなどのような主要病害虫及び生理障害に露出されやすい特性がある。施設ハウス内でのイチゴ養液栽培に関連した従来技術としては特許文献1~5などが提示されている。
【0004】
一方、施設ハウス内で冬季のイチゴ栽培は低温で遂行されるので、地上部や地下部の温度が作物の生育に最大の影響を及ぼす環境要因である。特に、根圏温度は根の生理作用に関与して作物の生育に大きな影響を及ぼす。根は根圏の温度によって活力が変わり、それによって養分の吸収も変わる。高い根圏温度は根の伸長は促進するが、根の褐変と伸長の停止を促進し、根の呼吸速度が高くなって光合性速度を低下させる。したがって、最近イチゴの養液栽培にも根圏温度が重要であるので、地下水をポンピングするか別途の温水ボイラーを使って栽培箱やベッドの下部側を加温する必要がある。
【0005】
上述した特許文献1~5の中で、本発明に密接な従来技術としては、本出願人の特許文献1を挙げることができる。これは病虫害の拡散を最小化しながらも養液を効果的に供給するために提案されたものであり、植物が植栽される空間を提供する多数のポットが平らな上面の前後に2列に交互に配置され、前後2列の間に点滴ホース溝が形成された構造を有する。
【0006】
一方、前記のように構成された従来のマルチカップベッドは、それぞれのポットに上土(培地)を上端の高さまで満たした状態で点滴ホース溝に点滴ホースを差し込んで養液を供給することになる。前後及び左右に隣接したポットの間に上土の上端部がある程度は連結されている状態を成すことになることはもちろんのこと、上土に養液が供給されてじめじめしている状態では隣接したポットの間に養液が互いに連結された状態を成すので、ある一ポットで病害虫が発生する場合、隣接したポットを連結する上土や養液を介して隣接した他のポットに急激に病害虫が拡散する状況が発生する可能性が非常に高かった。
【0007】
また、特許文献1のマルチカップベッドは、ベッドの上面が平面状態を成しているので、点滴ホースから出た養液がそれぞれのポットの間の上面に流れ出れば、その位置で停滞するか上面に沿って外部に流れ出る状況が発生するので、上面に停滞している養液による伝染病の拡散はもちろんのこと、養液の遺失が発生する問題点もあり、上面が平面形になっているので、イチゴの幹がカップベッドの外郭に伸び、イチゴの実が結ぶとき、幹が直角に折れるので、養分が実に円滑に供給されないか正常に生長しなくなる問題も発生する。
【0008】
また、特許文献1を含めた従来のマルチカップベッドにおいては、上述した根圏暖房を考慮せずに設計されているので、温水ホースの熱を効果的にそれぞれのポットの内部に伝達するのに不利な問題点が発見された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】韓国特許登録第10-1699854号公報
【文献】韓国特許登録第10-1402563号公報
【文献】韓国特許登録第10-1637227号公報
【文献】韓国公開特許第10-2020-0113708号公報
【文献】韓国特許登録第10-2206187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は特許文献1のマルチカップベッドを実際に生産して使っているうちに発見された上述したような問題点を解決するために案出されたものであり、本発明の第一目的は、隣接したポットとの上土連結による病害の拡散を効果的に防止することができ、第二目的は、イチゴ幹の折れを防止することができ、第三目的は、点滴ホースから供給される養液が不必要に外部に遺失されることを最小化しながら各ポットに均一に供給されるようするとともに、養液が隣接したポットの間に移動するか連結されることを防止して病害の拡散を最小化し、第四目的は、各ポット内のイチゴの根が冷害を受けないように地温ホースなどを設置して効果的な根圏暖房が可能な構造を有するイチゴ栽培用マルチカップベッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するために、本発明は、複数のポットが2列に離隔して配置され、第1列と第2列とのポットのそれぞれは外側に行くほど下方に傾いた上面で連結されている。前記第1及び前記第2列の間の縦方向上面の中間には前記第1列及び前記第2列のポットに養液を供給するための点滴ホースが取り付けられるように点滴ホース取付部が形成されている。前記点滴ホース取付部は、ホースバンドが挿入されるバンド孔と、前記点滴ホースの離脱防止のための離脱防止壁とからなる。前記バンド孔と前記離脱防止壁とは縦方向に沿って交互に形成される。前記離脱防止壁は前記縦方向上面の頂点部位と前記縦方向上面の頂点から下方に一定間隔で離隔した位置とに2個が形成され、2個の前記点滴ホースが前記縦方向上面上に外部に露出された状態で載置され、これから養液が落水して前記第1列と前記第2列とに個別に養液を供給する。前記第1列と第2列の左右に隣接したポットの間の横方向上面は左右側のポット側に下方に傾くように形成されたイチゴ栽培用マルチカップベッドを提供する。
【0012】
好適な実施例で、第1列と第2列のポットは互いにずれる位置に形成される。
【0013】
好適な実施例で、前記横方向上面の下部側には、点滴ホースから流れた養液が左右側ポットに向かうように傾斜突起が形成される。
【0014】
好適な実施例で、前記各ポットの内面には、点滴ホースの養液がポットの四方に分散されるようにするための渦流段が形成される。
【0015】
好適な実施例で、前記各ポットの底には、根圏暖房のための暖房ホースが通ることができる暖房ホース溝が形成される。
【0016】
好適な実施例で、前記点滴ホース取付部は、ホースバンドが挿入されるバンド孔と、点滴ホースの離脱防止のための離脱防止壁とからなり、前記バンド孔と離脱防止壁が縦方向に沿って交互に形成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の実施例によれば、マルチカップベッドの上面に点滴ホースが上部に露出されるように設置され、点滴ホースから出た養液はそれぞれのポットに独立的に供給されるので、隣接した上土の間の養液の移動がなく、上土が連結されていない状態であるので、一ポットに病害が発生しても隣接したポットに拡散することを防止することができる利点があり、点滴ホースから出た養液は直ちに各ポットに供給されるか左右に傾いた横方向上面に沿って左右のポットに流れるので、養液がマルチカップベッドの傾斜面に沿って外部に遺失される現象を最小化することができ、養液の浪費を防止することができ、カップベッドの上面が前後に傾くように形成されているので、イチゴの幹がカップベッドの外郭で直角に折れる現象を防止することができ、各ポットの下部には縦方向に暖房ホース溝が形成され、根圏暖房のための暖房ホースの設置が容易であるので、冬季のイチゴ栽培の際、ハウス内部の暖房費を最小化しながらもイチゴ根が冷害を受けずに盛んに生育することができるようにするなどの有用な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明によるマルチカップベッドの斜視図である。
図2図1に示すマルチカップベッドの底面斜視図である。
図3図1に示すマルチカップベッドの平面図である。
図4図1に示すマルチコップベッドの正面図である。
図5図1に示すマルチカップベッドの側面図である。
図6図1のA-A線についての断面図である。
図7図1のB-B線についての断面図である。
図8】本発明のマルチカップベッドでイチゴが栽培されている状態を示す図である。
図9図8のC部の拡大図である
図10図9のD-D線についての断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を限定しない好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1図7は本発明の一実施例によるイチゴ栽培用マルチカップベッドを示し、図8図10は本発明のマルチカップベッド1でイチゴが栽培されている状態を示す。
【0021】
図面に示すように、本実施例は、複数のポットP1~P6が2列に離隔して配置され、第1列のポットP1、P2、P3と第2列のポットP4、P5、P6とは互いにずれる位置に形成され、前記第1列と第2列のポットP1~P6のそれぞれは外側に行くほど下方に傾いた上面10で連結され、前記上面10のうち第1及び第2列のポットP1、P2、P3とP4、P5、P6との間の縦方向上面110の中間には各ポットに養液を供給するための2列の点滴ホースH1、H2が取り付けられるように点滴ホース取付部112が形成され、前記第1列と第2列の左右に隣接したポットP1とP2、P2とP3、P4とP5、P5とP6との間の横方向上面120は左右側のポット側に下方に傾くように形成され、前記横方向上面120の下側には点滴ホースH1、H2から流れた養液が左右側ポットに向かうように傾斜突起122が形成されている。
【0022】
本実施例で、前記上面10の最下端部、すなわち第1及び第2列のポットP1~P6の外側面の上部は、イチゴの幹が下方に延びるので、所定の曲率の曲面を成しているとともに前記上面10自体が外側下方に傾くように形成され、イチゴの幹は上面10の最下端部で緩く折れるので、幹の損傷やこれによるイチゴの実(花托)の成長障害が発生することを防止することができ、前記上面10の最下端部の底面両側にはマルチカップベッド1を取り付けるための取付パイプ(図示せず)が縦方向に延びて、上土と養液が供給されるマルチカップベッド1とを支持する。
【0023】
本実施例で、前記各ポットP1~P6の内側面には点滴ホースH1、H2の養液がポットの四方に分散されて供給されるようにするための渦流段20が形成される。点滴ホースH1、H2がそれぞれのポットP1~P6の一側の縦方向上面110側に位置し、前記渦流段20は縦方向上面110側に隣接した内側面から左右側面に沿って下方に斜めに形成され、さらに外側面側に伸びているので、縦方向上面110上に露出されて取り付けられた点滴ホースH1、H2から上土側に落ちた養液が各ポットの内面に沿ってすぐ下方に流れず、前記渦流段20に沿って各ポットの全周に分散されて供給されることにより、根の全方向に養液が均一に供給されることができる。
【0024】
本実施例で、前記第1及び第2列の各ポットP1~P6は、図3の平面図から分かるように、左右方向に長く前後方向に短い長方形を成している。よって、各ポットで栽培されるイチゴから伸び出た多数の幹が容易に外側下方に延び出ることができるようにすることにより、イチゴの収穫性向上を図るようになっている。
【0025】
また、本実施例で、前記第1及び第2列の各ポットP1~P6は、図4の正面図及び図5の側面図から分かるように、上部は前後左右の幅が大きく、下方に行くほど前後左右の幅が小さくなる形態になっているが、本発明はこれに限定されなく、前記各ポットのサイズや形態はマルチカップベッドの構造的強度及び機能的側面を考慮して多様に変形することができるというのは言うまでもない。
【0026】
図面で、符号‘30’は各ポットP1~P6の下側に形成される通気兼用排水口である。
【0027】
本実施例で、前記各ポットP1~P6の底には根圏暖房のための暖房ホースh3、h4が通ることができるホース溝40が形成されている。このホース溝40は各ポットP1~P6の外側面側に円弧形に形成されているが、本発明はこれに限定されず、各ポットP1~P6の下面にトンネル形(アーチ形)に形成されるか各ポットの内側面の下側に円弧形に形成されることもできるというのは言うまでもない。
【0028】
本実施例で、前記点滴ホース取付部112は、ホースバンドFが挿入されるバンド孔114と、点滴ホースH1、H2の離脱防止のための離脱防止壁116とからなり、前記バンド孔114と離脱防止壁116は縦方向に交互に形成されることにより、ホースバンドFの挿入作業を最小化しながらも点滴ホースH1、H2が縦方向上面110上に安定的に取り付けられた状態を維持することができる。
【0029】
本実施例によるマルチカップベッド1は、点滴ホースH1、H2が上面の点滴ホース溝に挿設される代わりに、縦方向上面110上に露出されるように載置される方式で構成される。一方、ホース溝に挿入された状態で養液が供給される場合には、溝と点滴ホースとの間に養液が残留して隣接したポットの間に養液が連結される状況になるので、連結された養液の間に病菌が伝播されるおそれが高かった。しかし、本実施例では、点滴ホースが外部に露出された状態で落水し、隣接したポットの間に養液が互いに遮断された状態を成すので、養液による病菌の伝播可能性を最小化することができる。
【0030】
また、本実施例で、前記離脱防止壁116は、縦方向上面110の頂点部位と縦方向上面110の頂点部位から下方に一定間隔で離隔した位置とに2個が形成される。頂点部位に形成された離脱防止壁116aは第1列及び第2列にそれぞれ設けられる点滴ホースH1、H2が他の列側に離脱することを防止する役割を果たし、相対的に下側に形成された離脱防止壁116bは点滴ホースH1、H2が当該列のポットの内側に垂れることを防止するとともに点滴ホースH1、H2から落水した養液が横方向上面120に沿ってすぐベッドの外側に流れることを防止しながら横方向上面120の左右側のポットに養液が供給されるようにする役割も兼ねる。
【0031】
一方、本実施例によるマルチカップベッド1は、第1列と第2列のポットP1~P6が互いに対称にならず半分ずつずれる位置に形成され、その左右側両端が凹凸形を成す。これにより、図8に示すように、縦方向に連続して配置する場合、第1列と第2列のポットP1~P3とP4~P6は縦方向に沿って同じ間隔を維持し、隣接したマルチカップベッド1の両端のポットの間も内側の横方向上面120と同様に左右方向に傾くように形成されるので、点滴ホースから落ちた養液が両端の傾斜面に沿って左右側のポットに供給されることができる。
【0032】
本実施例で、前記縦方向上面110は、図4の正面図及び図5の断面図から分かるように、縦方向に沿って同じ高さに形成されず、横方向上面120が左右のポット側に傾いた角度の山部と谷部が繰り返される形態を成し、前記横方向上面120の下部側に形成された傾斜突起122は、図3の平面図から分かるように、直線形に形成されず、左右側下方に傾いた逆V字形に形成されるので、左右に傾いた横方向上面120に沿って流れた養液が傾斜突起122にかかって再び左右側ポットに速く流れるようになっている。
【0033】
また、本実施例で、前記各ポットP1~P6の内部底面は上方に膨らんでいる形態を成し、養液がポットの底面に停滞せず、外郭に形成された排水口30を通して排水されるようになっているので、養液の不完全な排水及び停滞による根の活力及び生長の低下を予防するとともに病害の発生を防止することができる。
【0034】
本実施例によるマルチカップベッド1は、図8に示すように、ベッド1の上面10上に点滴ホースH1、H2が露出されるように取り付けられ、露出された点滴ホースH1、H2から出た養液は前後に傾いた縦方向上面110の前後側に縦方向に沿って一定間隔で離隔して配置されたそれぞれのポットP1~P6に個別的に供給されるので、隣接した上土の間の養液の移動がないだけでなく、隣接したポットP1~P6の間に上土の上端部が連結されない独立した環境で栽培されるので、一ポットに病害が発生しても養液や上土を介して隣接ポットに急激に拡散することを防止することができる。
【0035】
また、カップベッド1の上方に露出されて取り付けられた点滴ホースH1、H2から落水した養液はすぐ各ポットP1~P6に落水するか横方向上面120に沿って左右のポットに流れるので、養液がマルチカップベッドの上面に沿って外部に遺失される現象及び上面で停滞する現象を最小化することができ、養液の浪費を防止することができる。
【0036】
また、カップベッド1の上面が平面を成さず、前後に傾いた形態を成していることにより、点滴ホースから落水した養液がそれぞれのポットにすぐ流れて供給され、上面に停滞しないので、従来のように上面に停滞している養液による病害の拡散問題を解消することができる。
【0037】
また、本実施例によるカップベッド1は、各ポットP1~P6の下部側に縦方向にホース溝40が形成されることにより、根圏暖房のための暖房ホースh1、h2の取付けが容易であり、平坦なポットの底の下部または側部に暖房ホースを取り付けていた方式に比べて、各ポットの内側に暖房ホースの熱気が効果的に伝達されることができるので、冬季のイチゴ栽培の際、ハウス内部の暖房費を最小化しながらもイチゴ根が冷害を受けずに盛んに生育されることができるなどの利点がある。
【0038】
さらに、本実施例によるカップベッド1は、上面が前後に傾斜面をなすことにより、ベッドの外郭で垂れた幹が直角に折れずに緩い角度に曲がるので、幹の折れによるイチゴの実の生長低下の問題も解消することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 マルチカップベッド
10 上面
110 縦方向上面
112 点滴ホース取付部
114 バンド孔
116 離脱防止壁
116a 離脱防止壁(上部)
116b 離脱防止壁(下部)
120 横方向上面
122 傾斜突起
20 渦流段
30 排水口
40 ホース溝
F ホースバンド
H1、H2 点滴ホース
h1、h2 暖房ホース
P1~P6 ポット
【要約】
【課題】複数のポットが一体に形成され、それぞれのポットは上土及び養液が互いに連結及び移動しないように形成されることにより、病害の拡散を最小化し、養液の浪費も最小化することができるイチゴ栽培用マルチカップベッドを提供する。
【解決手段】複数のポット(P1~P6)が2列に離隔して配置され、第1列と第2列のポット(P1~P6)のそれぞれは外側に行くほど下方に傾いた上面(10)で連結され、第1及び第2列のポット(P1、P2、P3とP4、P5、P6)の間の縦方向上面(110)の中間には各ポットに養液を供給するための2列の点滴ホース(H1、H2)が取り付けられるように点滴ホース取付部(112)が設けられ、第1列と第2列の左右に隣接したポット(P1とP2、P2とP3、P4とP5、P5とP6)の間の横方向上面(120)は左右側のポット側に下方に傾くように形成されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10