(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】三次元構造電極及びそれを含む電気化学素子
(51)【国際特許分類】
H01M 4/02 20060101AFI20220425BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20220425BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20220425BHJP
H01M 4/485 20100101ALI20220425BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20220425BHJP
H01M 4/04 20060101ALI20220425BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20220425BHJP
H01M 10/054 20100101ALI20220425BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20220425BHJP
H01M 12/08 20060101ALI20220425BHJP
H01G 11/30 20130101ALI20220425BHJP
H01G 11/86 20130101ALI20220425BHJP
H01G 11/68 20130101ALI20220425BHJP
H01G 11/70 20130101ALI20220425BHJP
【FI】
H01M4/02 Z
H01M4/13
H01M4/62 Z
H01M4/485
H01M4/38 Z
H01M4/04 Z
H01M4/139
H01M10/054
H01M10/052
H01M12/08 K
H01G11/30
H01G11/86
H01G11/68
H01G11/70
(21)【出願番号】P 2020538567
(86)(22)【出願日】2019-10-16
(86)【国際出願番号】 KR2019013610
(87)【国際公開番号】W WO2020080831
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2020-07-10
(31)【優先権主張番号】10-2018-0124498
(32)【優先日】2018-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(73)【特許権者】
【識別番号】515351884
【氏名又は名称】ユニスト(ウルサン ナショナル インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー)
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】イン・スン・ウン
(72)【発明者】
【氏名】サン・ヨン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ヨ・ハン・クォン
(72)【発明者】
【氏名】ジュ・ミョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ウォン・イム
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ヒョン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ソン・ヒョク・キム
【審査官】結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0062617(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0043769(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0057255(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/02
H01M 4/13
H01M 4/62
H01M 4/485
H01M 4/38
H01M 4/04
H01M 4/139
H01M 10/054
H01M 10/052
H01M 12/08
H01G 11/30
H01G 11/86
H01G 11/68
H01G 11/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)複数の高分子繊維を含む多孔性不織布及び導電性物質が三次元的に不規則かつ連続的に連結され、相互に連結された気孔構造が内部に形成された集合体を成す構造の上部伝導層及び下部伝導層と、
(b)前記上部伝導層及び前記下部伝導層と同じ集合体構造を形成し、前記集合体構造内に形成されて相互に連結された気孔構造内に電極活物質粒子が均一に充填されて、三次元充填構造を形成した活物質層と
を含み、
前記活物質層は前記上部伝導層及び前記下部伝導層との間に形成されていることを特徴とする、三次元構造電極。
【請求項2】
前記三次元構造電極の厚さは3~1000μmであることを特徴とする、請求項1に記載の三次元構造電極。
【請求項3】
前記上部伝導層又は前記下部伝導層の厚さは、それぞれが前記活物質層の3~30%であり、
前記上部伝導層及び前記下部伝導層の気孔度は5~80体積%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の三次元構造電極。
【請求項4】
前記上部伝導層又は前記下部伝導層は、前記上部伝導層又は前記下部伝導層の総重量に対し、10~50重量%の導電性物質及び50~90重量%の多孔性不織布を含むことを特徴とする、請求項1~3の中の何れか一項に記載の三次元構造電極。
【請求項5】
前記導電性物質は、カーボンナノチューブ、銀ナノワイヤー、ニッケルナノワイヤー、金ナノワイヤー、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、ポリピロール、ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェン、ポリアニリン、これらの誘導体及びこれらの混合物を含む群から選択された1種以上であることを特徴とする、請求項1~4の中の何れか一項に記載の三次元構造電極。
【請求項6】
前記複数の高分子繊維を成す高分子は、
ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルイミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、アガロース、アルギン酸、フッ化ビニリデンヘキサフルオロプロピレン、ポリウレタン、ナイロン6、ポリピロール、ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェン、ポリアニリン、これらの誘導体及びこれらの混合物を含んでいる群から選択された1種以上であることを特徴とする、請求項1~5の中の何れか一項に記載の三次元構造電極。
【請求項7】
前記電極活物質粒子は、リチウムメタル系酸化物、カーボン系物質、酸化物、シリコン(Si)、スズ(Sn)、ゲルマニウム(Ge)、硫黄(S)、これらの誘導体及びこれらの混合物を含む群から選択された1種以上であることを特徴とする、請求項1~6の中の何れか一項に記載の三次元構造電極。
【請求項8】
(a)高分子及び溶媒を含む高分子溶液を製造する段階と、
(b)導電性物質、分散剤及び分散媒を含む第1コロイド溶液を製造する段階と、
(c)前記第1コロイド溶液に活物質粒子をさらに含む第2コロイド溶液をそれぞれ製造する段階と、
(d)前記高分子溶液と前記第1コロイド溶液及び前記第2コロイド溶液とを用いて三次元構造の繊維を製造する段階と、
(e)前記三次元構造の繊維を圧搾して三次元構造の繊維を得る段階とを含み、
前記(d)段階は、
前記高分子溶液と前記第1コロイド溶液を同時に紡糸して下部伝導層を製造する段階と、
前記下部伝導層の上部に前記高分子溶液と前記第2コロイド溶液を同時に紡糸して活物質層を製造する段階と、
前記活物質層の上部に前記高分子溶液と前記第1コロイド溶液を同時に紡糸して上部伝導層を製造する段階と、
を含むことを特徴とする、三次元構造電極の製造方法。
【請求項9】
前記(d)段階は、二重電界紡糸、二重電気噴霧、二重スプレー、及びこれらの組み合わせを含む群から選択された1種の方法を使用することを特徴とする、請求項8に記載の三次元構造電極の製造方法。
【請求項10】
前記(d)段階において、前記高分子溶液の紡糸速度は2~15μL/minであり、
前記第1コロイド溶液及び第2コロイド溶液の紡糸速度は30~300μL/minであることを特徴とする、請求項8又は9に記載の三次元構造電極の製造方法。
【請求項11】
前記第1コロイド溶液は、前記第1コロイド溶液の総重量に対して、0.1~50重量%の導電性物質を含むことを特徴とする、請求項8~10の中の何れか一項に記載の三次元構造電極の製造方法。
【請求項12】
前記高分子溶液は、前記高分子溶液の総重量に対して、5~30重量%の高分子を含むことを特徴とする、請求項8~11の中の何れか一項に記載の三次元構造電極の製造方法。
【請求項13】
前記(c)段階は、前記活物質粒子に前記導電性物質を投入して、混合粉末を製造する段階と、
前記混合粉末を粉砕して、活物質粒子/導電性物質の複合体を得る段階と、
前記複合体を前記分散媒に分散させ、前記第2コロイド溶液を製造する段階とを含むことを特徴とする、請求項8~12の中の何れか一項に記載の三次元構造電極の製造方法。
【請求項14】
前記(b)段階は、前記導電性物質を前記分散媒に分散させて、前記第1コロイド溶液を製造する段階を含むことを特徴とする、請求項8~13の中の何れか一項に記載の三次元構造電極の製造方法。
【請求項15】
負極、正極及び前記負極と正極との間に介在された分離膜を含む電極組立体が電池ケースに内蔵されており、
前記負極又は前記正極は、請求項1~7の中の何れか一項に記載の三次元構造電極であることを特徴とする、電気化学素子。
【請求項16】
前記電気化学素子は、リチウム二次電池、スーパーキャパシタ、リチウム-硫黄電池、ナトリウムイオン電池、リチウム-空気電池、亜鉛-空気電池、アルミニウム-空気電池、及びマグネシウムイオン電池を含む群から選択された1種であることを特徴とする、請求項15に記載の電気化学素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元構造電極及びそれを含む電気化学素子に関するものである。
【0002】
本出願は、2018年10月18日付の韓国特許出願第10-2018-0124498号に基づく優先権の利益を主張する。そして当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【背景技術】
【0003】
最近の電子産業の発展の重要な傾向は、デバイスとワイヤレス、モバイルの推移とアナログのデジタルへの転換と要約し得る。無線電話機(携帯電話)とノートパソコンの急速な普及、アナログカメラからデジタルカメラへの転換などが代表的な例として挙げられる。
【0004】
このような傾向に付け加え、デバイスの動作電源としての電気化学素子に対する研究開発が活発に進んでいる。特に、正極活物質としてのリチウム遷移金属酸化物、リチウム複合酸化物などを使用する、重量と比べて高い出力と容量のリチウム二次電池が、大きく脚光を浴びている。
【0005】
二次電池は、正極/分離膜/負極の構造の電極組立体が、どのような構造から成っているかによって分類されることもある。代表的には、長いシート型の正極らと負極らを分離膜が介在された状態で巻取した構造のジェリーロール(巻取型)電極組立体、所定の大きさの単位で切り取った多数の正極と負極を分離膜の介在した状態で順次的に積層したスタック型(積層型)電極組立体、所定単位の正極と負極を分離膜の介在した状態で積層したバイセル(Bi-cell)又はプルセル(Full cell)を分離膜シートで巻取した構造のスタック/折り畳み型電極組立体などが挙げられる。
【0006】
一方、電極はイオンの交換を通じて電流を発生させるが、電極を成す正極及び負極は、金属からなる電極集電体に電極活物質が塗布された構造からなる。通常、負極は銅やアルミニウムなどからなる電極板に炭素系活物質が塗布された構造からなり、正極はアルミニウムなどからなる電極板にLiCoO2、LiMnO2、LiNiO2などからなる活物質がコーティングされた構造からなる。
【0007】
しかし、上記電極の構成物質のうち、実質的に電気化学素子の容量及びエネルギー密度に寄与するものは、活物質のみである。そのため、導電材およびバインダーなどの添加物質を最小限に抑えるときに、電極の容量が増加することになり、電気化学素子のエネルギー密度が高められる。
【0008】
韓国登録特許1728828号は、上記の問題を解決するために、高分子繊維からなる不織布及び複数の導電性物質が三次元的に集合体を成し、上記集合体の内部の気孔構造に活物質が充填された構造の三次元電極を開示している。しかし、上記のような三次元電極は、活物質が高い理論容量を有するように設計するとしても、物質固有の電子伝導度が低いため、不十分な可逆容量を示し得る。
【0009】
特に、天然黒鉛の理論容量を超える大容量の負極活物質は、合金化又はコンバージョン反応を通じてリチウムと反応するので、体積変化が大きいという短所がある。このような体積変化は電池の寿命特性を大きく劣化させるとの問題がある。また、このような短所を補完するため、電極の設計の際に過量の導電性物質を含むことになり、これは電池のエネルギー密度を高めることにおいて、大きな問題となっている。
【0010】
上記のような問題点を解決するためには、活物質の粒子の大きさを極端に減少させる方法、金属元素にリチウムとの反応性がほとんどない第3の元素を添加する方法などがあるが、まだ商用化に近い特性を見せる素材は出現していない。
【0011】
したがって、上記問題の解決のための技術開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記のような問題点を解決するために、既存の電極として活用される活物質層の上部及び下部に、複数の高分子繊維を含む多孔性の不織布及び複数のカーボンナノチューブが、三次元的に連結して形成された集合体を成した構造の伝導層を積層した。これにより、体積変化の大きい活物質が適用されても、電子伝導ネットワークを維持して活物質の脱離を防止し、電池の性能を極大化することを目的とする。
【0013】
また、既存の三次元電極に対し、サンドイッチ構造の伝導層を上部及び下部に形成することにより、活物質層内の活物質の高ローディングが可能になるようにし、電池の容量及びエネルギー密度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記のような課題を解決するために、本発明の三次元構造電極は、
(a)複数の高分子繊維を含む多孔性不織布及び導電性物質が三次元的に不規則かつ連続的に連結され、相互に連結された気孔構造が内部に形成された集合体を成す構造の上部伝導層及び下部伝導層と、
(b)前記伝導層と同じ集合体構造を形成しており、前記集合体構造内に形成された相互に連結されている気孔構造内に、電極活物質粒子が均一に充填されて、三次元充填構造を形成した活物質層とを含み、
前記活物質層は、前記上部伝導層及び下部伝導層の間に形成された三次元構造電極を提供する。
【0015】
本発明の一実施例で、前記三次元構造電極の厚さは3~1000μmであり得る。
【0016】
併せて、前記上部伝導層及び下部伝導層の厚さは、それぞれが前記活物質層の3%~30%であり得る。
【0017】
本発明の一実施例において、前記電極活物質層の気孔度は5~95体積%であり、前記上部伝導層及び下部伝導層の気孔度は5~80体積%であり得る。
【0018】
前記高分子繊維の平均直径は0.001~1000μmであり、活物質粒子の平均直径は0.001~30μmであり得る。
【0019】
次に、本発明の一実施例によると、三次元構造電極に含まれた各物質の含量は次の通りである。
【0020】
前記活物質層は、活物質層の重量に対して、5~70重量%の多孔性不織布及び20~85重量%の活物質粒子を含み、前記活物質層の活物質粒子及び導電性物質の含量の割合は、前記活物質粒子の前記導電性物質の重量比で、0.1:100~50:100であり得る。
【0021】
前記上部伝導層又は下部伝導層は、前記上部伝導層又は下部伝導層の総重量に対して、10~50重量%の導電性物質及び50~90重量%の多孔性不織布を含むことができる。
【0022】
次に、本発明の一実施例で、三次元構造電極に含まれた物質の種類は次の通りである。
【0023】
前記導電性物質は、カーボンナノチューブ(carbon nanotube)、銀ナノワイヤー、ニッケルナノワイヤー、金ナノワイヤー、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、ポリピロール、ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェン、ポリアニリン、これらの誘導体及びこれらの混合物を含んでいる群から選択された1種以上であり得る。
【0024】
前記複数の高分子繊維を成す高分子は、
ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルイミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、アガロース、アルギン酸、フッ化ビニリデンヘキサフルオロプロピレン、ポリウレタン、ナイロン6、ポリピロール、ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェン、ポリアニリン、これらの誘導体、及びこれらの混合物を含んでいる群から選択された1種以上であり得る。
【0025】
前記活物質粒子は、リチウムメタル系酸化物、カーボン系物質、酸化物、シリコン(Si)、スズ(Sn)、ゲルマニウム(Ge)、硫黄(S)、これらの誘導体、及びこれらの混合物を含んでいる群から選択された1種以上であり得る。
【0026】
次に、三次元構造電極の製造方法は、
(a)高分子及び溶媒を含む高分子溶液を製造する段階と、
(b)導電性物質、分散剤及び分散媒を含む第1コロイド溶液を製造する段階と、
(c)前記第1コロイド溶液に活物質粒子をさらに含む第2コロイド溶液をそれぞれ製造する段階と、
(d)前記高分子溶液と前記第1コロイド溶液及び第2コロイド溶液とを使用して三次元構造の繊維を製造する段階と、
(e)前記三次元構造の繊維を圧搾して三次元構造の繊維を得る段階とを含み、
前記(d)段階は、
前記高分子溶液と前記第1コロイド溶液を同時に紡糸して下部伝導層を製造する段階と、
前記下部伝導層の上部に前記高分子溶液と前記第2コロイド溶液を同時に紡糸して活物質層を製造する段階と、
前記活物質層の上部に前記高分子溶液と前記第1コロイド溶液を同時に紡糸して、上部伝導層を製造する段階とを含むことができる。
【0027】
一方、本発明の一実施例によれば、前記(b)段階は、前記導電性物質を前記分散媒に分散させてコロイド溶液を製造する段階を含むことができる。
【0028】
また、前記(c)段階は、前記活物質粒子に前記導電性物質を投入して、混合粉末を製造する段階と、
前記混合粉末を粉砕して、活物質粒子/導電性物質の複合体を得る段階と、
前記複合体を前記分散媒に分散させ、前記コロイド溶液を製造する段階とを含むことができる。
【0029】
前記(d)段階は、二重電界紡糸(electrospinning)、二重電気噴霧(electrospray)、二重スプレー(spray)、及びこれらの組み合わせを含む群から選択された1種の方法を使用することであり得る。そして、前記高分子溶液の紡糸速度は2~15μL/minであり、前記第1コロイド溶液及び第2コロイド溶液の紡糸速度は、30~300μL/minであり得る。
【0030】
本発明の一実施例によると、三次元構造電極の製造方法において、各溶液の組成は次の通りである。
【0031】
また、前記三次元構造電極の製造方法において、前記第1コロイド溶液は、前記第1コロイド溶液の総重量に対して、0.1~50重量%の導電性物質を含むことができる。
【0032】
前記第2コロイド溶液は、前記第2コロイド溶液の総重量に対して、活物質粒子1~50重量%を含み、前記第2コロイド溶液内の活物質粒子及び導電性物質の含量の割合は、前記活物質粒子に対する前記導電性物質の重量比で、0.1:100~50:100であり得る。
【0033】
前記高分子溶液は、前記高分子溶液の総重量に対して、5~30重量%の高分子を含むことができる。
【0034】
前記分散剤の含量は、前記第1コロイド溶液及び第2コロイド溶液の総重量に対して0.001~10重量%であり得る。
【0035】
前記分散剤は、ポリビニルピロリドン、ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェン、およびこれらの混合物を含む群から選択された1種以上であり、
前記分散媒は、蒸留水(deionized water)、イソプロピルアルコール(iso-propylalcohol)、ブタノール(buthalol)、エタノール(ethanol)、ヘキサノール(hexanol)、アセトン(Acatone)、 ジメチルホルムアミド(N、N-dimethylformamide)、ジメチルアセトアミド(N、Ndimethylacetamide)、メチルピロリドン(N、N-Methylpyrrolidone)及びこれらの組み合わせを含む群から選択された1種以上であり得る。
【0036】
また、本発明は、負極、正極及び前記負極と正極との間に介在された分離膜を含む電極組立体が電池ケースに内蔵されており、前記負極又は正極は、請求項1~16の中で何れか一項による三次元構造電極であることを特徴とする、電気化学素子を提供する。
【0037】
前記電気化学素子は、リチウム二次電池、スーパーキャパシタ(Super Capacitor)、リチウム-硫黄電池、ナトリウムイオン電池、リチウム-空気電池、亜鉛-空気電池、アルミニウム-空気電池、およびマグネシウムイオン電池を含む群から選択された一種であり得る。
【発明の効果】
【0038】
本発明に係る三次元構造電極は、前述した活物質層と上部伝導層及び下部伝導層のサンドイッチ構造によって、添加物質を最小限に抑え、軽い素材の集電体を使用することで、電極の重量及び体積当たりの容量を向上させる。また、体積変化の大きい活物質が適用されても電子伝導ネットワークを維持し、活物質の脱離が防止し得る。
【0039】
また、これを通じて、高エネルギー密度及び高出力特性を有し、サイクル性能に優れた電気化学素子が提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明の一具体例に係る三次元構造電極の構造及び上記三次元構造電極の製造方法を示した模式図である。
【
図2】本発明に係るリチウム二次電池を示した模式図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る三次元構造電極の外観を示した写真である。
【
図4】本発明の一実施例に係る三次元構造電極の断面及び表面を走査電子顕微鏡で観察した写真である。
【
図5】本発明の一実施例に係る三次元構造電極及び比較例によって製造された電極の電子伝導度を比較した結果である。
【
図6】本発明の一実施例と比較例に係る電池の充放電サイクルの寿命特性を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本明細書及び特許請求の範囲に使用された用語は、通常的、又は辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者が彼自身の発明を最も最善の方法で説明するためには用語の概念を適切に定義することができるとの原則に立脚して、発明の技術的思想に符合する意味と概念として解釈されるべきである。したがって、本明細書に記載された実施例に図示された構成は、本発明の最も好ましい一つの実施様態に過ぎず、本発明の全ての技術的思想を代弁するものではないので、本出願の出願時点においてこれらを代替できる多様な均等物及び変形例があり得るとのことを理解しなければならない。
【0042】
本願明細書の全体において、どの部分が他の部分と「連結」されているとするとき、これは「直接的に連結されている場合」だけでなく、その中間に他の素子を置いて、「電気的に連結」されている場合も含む。
【0043】
本願明細書の全体において、どの部分がどの構成要素を「含む」とするとき、これは反対する記載が特にない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0044】
本願明細書の全体において使用される用語「約」、「実質的に」などは、言及された意味に固有の製造および物質許容誤差が提示されるとき、その数値又はその数値に近い意味として使用する。また、本願の理解を助けるために正確又は絶対的な数値が記載された開示内容を、非良心的な侵害者が不当に利用することを防止するために使用する。
【0045】
本願明細書の全体において、マクシ形式の表現に含まれる「これらの組み合わせ(ら)」との用語は、マクシ形式の表現に記載された構成要素からなる群から選択される1つ以上の混合又は組み合わせを意味することで、上記構成要素からなる群から選択される1つ以上を含むことを意味する。
【0046】
本発明は、電気化学素子用の電極及びそれを含む電気化学素子に関するものである。本発明において、上記電気化学素子は、電気化学反応をするすべての素子を含む。具体的な例を挙げると、全ての種類の一次、二次電池、燃料電池、太陽電池又はキャパシタ(capacitor)などがある。特に、上記二次電池の中でリチウム金属二次電池、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池又はリチウムイオンポリマー二次電池などを含むリチウム二次電池が好ましい。
【0047】
本願明細書の全体において、「A及び/又はB」の記載は、「A又はB又はこれら全て」を意味する。
【0048】
また、本願明細書において、「伝導層」の記載は、「上部伝導層又は下部伝導層」を意味する。
【0049】
また、本願明細書において、「上部」又は「下部」の記載は、活物質層を基準として伝導層の相対的な位置を示す用語である。
【0050】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0051】
本発明に係る三次元構造電極は、(a)複数の高分子繊維を含む多孔性不織布及び導電性物質が三次元的に不規則かつ連続的に連結されて、相互に連結された気孔構造が内部に形成された集合体を成す構造の上部伝導層及び下部伝導層と、上記伝導層と同じ集合体構造を形成しており、上記集合体構造内に活物質粒子が均一に充填されて、三次元充填構造を形成した活物質層とを含み、上記活物質層は上記上部伝導層及び下部伝導層の間に形成されている構造である。
【0052】
図1は、本発明の一具体例による三次元構造電極の構造及び上記三次元構造電極の製造方法を示した模式図である。
【0053】
具体的に、本発明による三次元構造電極(100)は三次元充填構造であって、活物質層(110)の場合、上記多孔性不織布に含まれた複数の高分子繊維(10)が支持体の役割を果たし、上記複数の高分子繊維(10)の間には、上記正極活物質粒子(20)及び上記導電性物質(30)が均一に充填され、上記複数の高分子繊維(10)によって相互に連結された気孔構造(interconnected porous network)が形成された形である。
【0054】
これは、三次元構造電極に添加される物質を最小限に抑えて、また、軽い素材の集電体を使用することによって、面積当たりの重量を減少させながらも、優れた電子伝導ネットワークを維持し得るようにする。具体的に、別途のバインダーが添加されず、金属集電体の代わりに軽い素材の多孔性不織布を使用する。ひいて、上記三次元充填構造の内で活物質粒子が導電性物質に囲まれた形を成すことによって、電子伝導ネットワークを均一化して、電気化学素子の高出力特性に寄与し得る。これは、一般的な電極と比べて、放電特性を向上させる。
【0055】
併せて、本発明に係る三次元電極は、上記活物質層の上部と下部に上部伝導層(120)及び下部伝導層(130)が形成されて、サンドイッチ形態の電極構造を形成しており、上記上部伝導層及び下部伝導層には、多孔性不織布に含まれていた複数の高分子繊維(10)に導電性物質(30)が充填され、三次元的な集合体の構造が形成されている。
【0056】
通常、活物質は多様な構造及び成分で開発される。特に商用化された負極素材である黒鉛は、非常に可逆的な充放電挙動を見せ、それによって長い寿命特性を見せる。ただし、黒鉛は低い理論容量を有するので(理論容量が約370mAh/gに制限)、黒鉛を代替するために高容量のシリコン、遷移金属酸化物などの多様な素材が開発されてきた。その中でも、負極活物質として高い理論容量(4200mAh/g)を有するシリコンを用いて、上記黒鉛のような炭素系物質を代替しようとする研究が進められてきた。
【0057】
しかし、殆どの高容量素材は、低い電気伝導度に因して充放電速度が遅いという短所があった。また、上記のような高容量素材は、コンバージョン反応又は合金化反応に因して体積変化が大きいという短所がある。
【0058】
例えば、合金化反応の場合、Si元素又は金属元素を含む負極活物質は、金属がLiと合金化する過程で構造的に大きな変化が起き、大きな体積膨張が発生する。Li+
χM-
χの形成のとき、ホスト金属(M)は、Liイオンを蓄積するのみでなく、Liイオンと同じ数の電子も受け入れることになる。即ち、金属は、次の電荷移動(charge transfer)反応によって中性原子より半径が大きい陰イオンの状態になる。
【0059】
M0+χe-←→Mχ-
【0060】
このような結果、Liが挿入された金属は、Liがない場合と比べて、体積が100~400%程度増加することになる。さらにLi合金はイオン結合特性を見せるので、壊れやすく、体積変化による機械的な応力によって機械的安定性が落ちる。
【0061】
したがって、上記のような体積変化は、サイクルが持続されることによって増加し、これは電極ネットワークの切れを誘発し、活物質の亀裂化及び表面が不安定な固体-電解液-インタフェーズ(solid-electrolyte-interphase、SEI)層の生成のような劣化挙動を引き起こし、数サイクルの充放電以内に容量が急激に減退する問題が発生することになる。
【0062】
特に電極構造の内部をみると、集電体と活物質層との間の接着力が、活物質と活物質との間の接着力より低くて、充放電時に界面での応力を大きく受け、活物質の脱離現象が発生することになる。
【0063】
したがって、このような現象を防止するために、上記伝導層を活物質層の上部及び下部に形成させることで、上記伝導層が活物質の脱離を緩和し得る緩衝地帯の役割を果たして活物質の脱離を抑制し、活物質の体積変化が発生しても上記伝導層を通じて電子伝導ネットワークを維持し得るようにする。これを通じて、電池の容量が減るのを防止し、電極の導電性を増加させて、電池のサイクル寿命特性を向上し得るし、エネルギー密度を増加し得る。ひいて、曲げなどによる強い外力が加わっても、活物質の脱離現象が抑制されるので、電極の流動性の向上にも寄与し得る。
【0064】
以下、本発明に係る三次元構造電極の構造について説明する。
【0065】
上述したように、本発明に係る三次元構造電極(100)は、上部伝導層(120)及び下部伝導層(130)との間に活物質層(110)が介在された構造である。
【0066】
上記活物質層(110)は、上記多孔性不織布に含まれていた多孔性不織布及び導電性物質が三次元的に不規則かつ連続的に連結され、相互に連結された気孔構造が内部に形成された集合体を形成する。また、上記集合体の内部に活物質粒子が充填された構造を有する。より具体的に、上記多孔性不織布の内部に形成された不均一な多数の空間の内部に導電性物質が均一に充填され、再び、その内部に活物質粒子が充填された構造である。
【0067】
上記活物質層の気孔度は、電解質を容易に吸収できると共に、イオンの移動度を適切に調節することによって電気化学素子の性能を改善するため、5~95体積%であり得る。また、三次元構造電極のイオン伝導性及び機械的強度の向上のため、より好ましくは30~90体積%であり得る。
【0068】
上記活物質層の気孔度が95体積%を超える場合、電極のローディング値が体積と比べて、あまりにも小さくなるという問題が発生する。そして、上記活物質粒子及び上記導電性物質との間の距離が増加し、電子伝導ネットワークの形成が難しいという問題がある。また、上記気孔度が5体積%未満の場合は、気孔度があまりにも小さくて、三次元構造電極のイオン伝導性が低下し得る。
【0069】
これに対し、上記上部伝導層及び下部伝導層は、活物質の脱離の抑制及び電子伝導ネットワークの維持の側面で、活物質層の気孔度より小さいことが好ましい。5~80体積%が好ましく、20~60体積%がさらに好ましい。
【0070】
上記上部伝導層及び下部伝導層の気孔度が5体積%未満の場合は、気孔度があまりにも小さく、活物質層からのイオン移動度及び電子移動性が低下して電池の性能が低下し得る。また、気孔度が80体積%以上である場合は、活物質層からの活物質粒子の脱離を抑制し難く、電池のエネルギー密度を高めることが困難という問題がある。
【0071】
上記三次元電極の気孔度は、上記高分子繊維及び活物質粒子の直径、そして添加される高分子繊維、導電性物質、活物質粒子の含量によって制御し得る。
【0072】
また、本発明に係る三次元構造電極の厚さは、電極の製造工程の容易性及び円滑な電子伝導ネットワークの形成のために、3~1000μmであり得る。電極の厚さが1000μmを超える場合は、厚さ方向の電子伝導性が低下して電池の出力特性が低下し得る。また、厚さが3μm未満の場合は、電極の厚さが過度に薄くなるため、電極の容量が減少し得るという問題がある。ひいて、本発明の効果を極大化するために、10~300μmの厚さで電極を形成することがより好ましい。
【0073】
また、本発明に係る三次元電極において、上部伝導層又は下部伝導層の厚さは、それぞれ、上記活物質層の3~30%であり得るし、より好ましくは5~10%であり得る。上記上部伝導層又は下部伝導層の厚さが活物質層の3%未満の場合は、厚さが過度に薄くて活物質の体積変化による活物質の脱離を防止することができず、活物質の脱離によって電子伝導ネットワークが損傷され得る。逆に、上部伝導層又は下部伝導層の厚さが活物質層の30%を超える場合は、活物質層からのイオン移動性が低下し得るという問題が発生し得る。
【0074】
一方、本発明に係る三次元構造電極において、上記活物質層の面積当たり重量は0.001mg/cm2~1g/cm2であり得るし、上記上部伝導層及び下部伝導層の面積当たり重量は、活物質層の重量対比5~10%程度であり得る。
【0075】
上記の範囲は、上記三次元構造電極内の添加物質を最小限に抑え、一般的な金属集電体の代わりに軽い素材である多孔性不織布を使用することによって、電極の面積当たり重量が減少したことである。また、電極の面積当たり重量は、活物質の含量に影響を受けるので、活物質粒子が含まれていない上記上部伝導層及び下部伝導層の面積当たり重量は、活物質層と比べて減少し、全体的な電極の面積あたり重量も活物質層より小さい。
【0076】
電極の面積当たり重量が上記範囲より減少する場合は、電極のエネルギー密度が低くなり、電極の面積当たり重量が上記範囲より大きい場合は、電極の性能と比べて電極が重くなり得るという問題が発生し得る。特に、三次元構造電極の性能を極大化するために、上記上部伝導層及び下部伝導層の面積当たり重量は、0.001~50mg/cm2がさらに好ましい。
【0077】
また、上記三次元構造電極は、活物質粒子のローディング量を極大化し、電気化学素子の容量及びエネルギー密度を向上させるため、複数個の電極が多層構造を形成したものであり得る。
【0078】
上記のように多層構造で形成された三次元構造電極の面積当たり重量は0.002~10g/cm2であり得る。
【0079】
また、本発明に係る三次元構造電極は、電解質に対する優れた湿潤性(wettability)のため、極性であり得る。
【0080】
また、上記三次元構造電極は、正極又は負極であり得る。
【0081】
次に、上記三次元構造電極に含まれた物質について説明する。
【0082】
まず、活物質層及び伝導層に含まれる複数の高分子繊維は、不均一に集合されて多孔性不織布の形態を形成し得るものであれば、その種類に特別な制限は存在しない。ただし、上記高分子が耐熱性を有することが、電極の熱安定性の確保に好ましい。
【0083】
具体的に、上記複数の高分子繊維を成す高分子は、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリスルホン、ポリビニリデンフルオライド、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルイミッド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、アガロース、アルジネート、ポリビニリデンヘキサフルオロプロピレン、ポリウレタン、ナイロン6、ポリピロール、ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェン、ポリアニリン、これらの誘導体、およびこれらの混合物を含んでいる群から選択された1種以上であり得るし、その外にカーボンナノチューブ(carbon nanotube)、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、ポリピロール、ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェン、ポリアニリン、これらの誘導体、およびこれらの混合物を含んでいる群から選択された1種以上であり得る。特に高分子の機械的、化学的安定性などを鑑みて、ポリアクリロニトリルが最も好ましい。
【0084】
上記高分子繊維は、平均直径が0.001~100μmであり得るし、さらに好ましくは0.01~2μmであり得る。
【0085】
上記数値範囲内の高分子繊維を使用することにより、三次元集合体の構造を形成した複数の高分子繊維内に活物質粒子及び導電性物質が充填され得る十分なスペースを確保し得るし、高分子繊維内に均一な気孔構造が形成され得るので、電解質の吸収及びイオンの移動に有利であり得る。
【0086】
上記高分子繊維の直径が0.001μm未満の場合は、高分子繊維が支持体の役割をするのに、脆弱な物性を有することになる。100μmを超える場合は、高分子繊維の厚さが過度に厚くなって、内部に形成される気孔が減少するので、活物質粒子及び導電性物質が充填され難いという問題が発生し得る。
【0087】
上記活物質層の電極の容量増大の側面で、活物質層の総重量に対して5~70重量%の多孔性不織布を含み得るし、さらに好ましくは15~60重量%の多孔性不織布を含むことができる。また、上部伝導層又は下部伝導層は、上部伝導層又は下部伝導層の重量に対して50~90重量%の多孔性不織布を含み得るし、さらに好ましくは60~80重量%の多孔性不織布を含むことができる。
【0088】
活物質層又は伝導層内の多孔性不織布の含量が上記範囲を超える場合は、上記多孔性不織布と比べ活物質粒子又は導電性物質の含量が過度に減少する結果、電子伝導性が低下する問題が発生し得る。逆に、多孔性不織布の含量が上記範囲の未満である場合は、多孔性不織布が支持体の役割を十分に行えるほど十分ではないので、電極の構造が維持され得ない。特に、伝導層内の多孔性不織布は、活物質の脱離を防止するために、その含量の割合は、活物質層と比べて大きいのが好ましい。
【0089】
次に、活物質粒子は、前もって言及したリチウムメタル系酸化物、その他の酸化物、シリコン(Si)、スズ(Sn)、ゲルマニウム(Ge)、硫黄(S)、これらの誘導体、及びこれらの混合物を含んでいる群から選択された1種以上であり得る。具体的に、リチウムメタル系酸化物とその誘導体は正極活物質になり得るし、これを適用した電極は正極になり得る。一方、酸化物、シリコン(Si)、スズ(Sn)、ゲルマニウム(Ge)、硫黄(S)、及びこれらの誘導体は、負極活物質になり得るし、これを適用した電極は負極になり得る。
【0090】
また、上記活物質粒子は、表面が炭素(Carbon)系化合物でコーティングされたものであり得るし、上記炭素系化合物としては、難黒鉛化炭素、黒鉛系炭素などがあるが、これに限定されるものではない。
【0091】
上記活物質粒子中のリチウムメタル系酸化物は、リチウムニッケル系酸化物、リチウムコバルト系酸化物、リチウムマンガン系酸化物、リチウムチタン系酸化物、リチウムニッケルマンガン系酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン系酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム系酸化物、リチウムリン酸鉄系酸化物、リチウムリン酸バナジウム系酸化物、リチウムリン酸マンガン系、リチウムマンガンシリケート系酸化物、リチウム鉄シリケート系酸化物、及びこれらの組み合わせを含んでいる群の中から選ばれた、少なくとも一つであり得る。
【0092】
即ち、コバルト、マンガン、ニッケル、またはそれらの組み合わせの金属とリチウムとの複合酸化物の中で1種以上のものが使用し得る。その具体的な例としては、下記化学式の中、何れか一つで表される化合物が使用し得る。
【0093】
具体的に、正極活物質は、1又はそれ以上の遷移金属で置換されたリチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)等の層状化合物;1又はそれ以上の遷移金属で置換されたリチウムマンガン酸化物;化学式LiNi1-yMyO2(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、B、Cr、Zn又はGaであり、上記元素の中で1つ以上の元素を含む、0.01≦y≦0.7である)で表されるリチウムニッケル系酸化物;Li1+zNi1/3Co1/3Mn1/3O2、Li1+zNi0.4Mn0.4Co0.2O2などのようにLi1+zNibMncCo1-(b+c+d)MdO(2-e)Ae(ここで、-0.5≦z≦0.5、0.1≦b≦0.8、0.1≦c≦0.8、0≦d≦0.2、0≦e≦0.2、b+c+d<1である、M=Al、Mg、Cr、Ti、Si又はYであり、A=F、P又はClである)で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物;化学式Li1+xM1-yM’yPO4-zXz(ここで、M=遷移金属、好ましくはFe、Mn、Co又はNiであり、M’=Al、Mg又はTiであり、X=F、S又はNであり、-0.5≦x≦+0.5、0≦y≦0.5、0≦z≦0.1である)で表されるオリビン系リチウム金属フォスフェイトなどが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0094】
また、上記の活物質粒子の中で酸化物は、SnO、SnO2、PbO、PbO2、Pb2O3、Pb3O4、Sb2O3、Sb2O4、Sb2O5、GeO、GeO2、Bi2O3、Bi2O4、Bi2O5などの金属酸化物であり得る。
【0095】
その他の負極活物質として使用し得る物質は、LixFe2O3(0≦x≦1)、LixWO2(0≦x≦1)、SnxMe1-xMe’yOz(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me’:Al、B、P、Si、周期表の1族、2族、3族元素、ハロゲン;0<x≦1;1≦y≦3;1≦z≦8)などの金属複合酸化物;リチウム金属;リチウム合金;珪素系合金;スズ系合金;ポリアセチレンなどの導電性高分子などがあるが、これに限定されるものではない。
【0096】
特に、好ましい活物質粒子として、理論容量の大きい活物質粒子にはSi、SiO、Ge、Sn、Sがある。
【0097】
上記活物質粒子の平均直径は0.001~30μmであり得るし、更に好ましくは0.001~10μmであり得る。活物質粒子の大きさを上記のように調節することによって、活物質層の気孔度を前述した範囲へと調節することができる。また、後述のように、活物質粒子を含む第2コロイド溶液内の分散性を向上させ、電界紡糸法による三次元構造電極の気孔を均一にすることができる。
【0098】
上記活物質粒子の平均直径が0.001μm未満の場合は、電極の密度が低くなって、電極が適切な体積当たりの容量を有することができず、粒子の大きさが過度に小さくて取り扱いが難しく、活物質の脱離が防止し難い。また、上記活物質粒子の平均直径が30μmを超える場合は、活物質粒子のサイズに因して、後述する第2コロイド溶液の分散状態が不均一であり、活物質粒子が気孔内に均一に充填され難くなり得るし、活物質の体積が過度に大きいサイズへと増加することになり得る。
【0099】
上記活物質層は、活物質層の重量に対して、20~85重量%の活物質粒子を含み得るし、より好ましくは、30~75重量%の活物質粒子を含むことができる。活物質粒子の含量を上記のような範囲へと調節することによって、電気化学素子の容量及びエネルギー密度が向上し得るし、三次元構造電極の気孔度を制御することができる。
【0100】
活物質粒子の含量が85重量%を超える場合は、上記多孔性不織布に対して上記活物質粒子の含量が過度に多く、多孔性不織布が電極を支持する役割を果たし難くて電極構造を維持することが難しいとの問題がある。逆に、活物質粒子の含量が20%未満の場合は、活物質粒子の含量が過度に少なく、活物質粒子及び導電性物質との間に電子伝導ネットワークを形成し難くて、電極の出力が低下され得る。
【0101】
次に、本発明に係る三次元構造電極において、導電性物質は活物質粒子と共に電子伝導ネットワークを形成する役割を行い、電子伝導ネットワークが形成できるのであれば、その種類は特に制限されない。
【0102】
上記導電性物質は、カーボンナノチューブ(carbon nanotube、CNT)、銀ナノワイヤー、ニッケルナノワイヤー、金ナノワイヤー、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、ポリピロール、ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェン、ポリアニリン、これらの誘導体及びこれらの混合物を含む群から選択された1種以上であり得るし、機械的強度および電子伝導性の側面で、カーボンナノチューブが更に好ましい。
【0103】
上記活物質層において、導電性物質の含量は、上記活物質粒子に対する上記導電性物質の重量比で、0.1:100~50:100であり得る。上記範囲の導電性物質を含有することによって、電子伝導ネットワークを形成し、電気化学素子の出力を向上させることができる。
【0104】
導電性物質の含量が上記範囲の未満である場合は、電子伝導ネットワークの形成が不十分であり、電気化学素子の出力が低下し得る。また、導電性物質の含量が上記範囲を超える場合は、後述する第1コロイド溶液及び第2コロイド溶液の分散状態が維持されず、均一な電極構造が形成され得ないとの問題がある。
【0105】
また、電子伝導ネットワークの形成のため、上部伝導層及び下部伝導層は、上部伝導層又は下部伝導層の総重量に対して10~50重量%の導電性物質を含むことができる。更に好ましくは20~40重量%の導電性物質を含むことができる。上記導電性物質の含量が50重量%を超える場合は、伝導層を構成する多孔性不織布の含量が少なくて、伝導層が支持されにくい。また、活物質の脱離を効果的に抑制することができない。逆に、上記導電性物質の含量が10重量%未満の場合は、伝導層の電子伝導ネットワークの形成が難しく、活物質の体積変化に因する活物質層の電子伝導ネットワークの損傷のときに、電極の出力特性が減少し得るという問題がある。
【0106】
次に、本発明に係る三次元構造電極を製造する方法について説明する。
【0107】
本発明に係る三次元構造電極の製造方法は、(a)高分子を溶媒に溶解させ、高分子及び溶媒を含む高分子溶液を製造する段階と、(b)導電性物質を分散媒に分散させて、導電性物質、分散剤および分散媒を含む第1コロイド溶液を製造する段階と、(c)活物質粒子及び導電性物質を分散媒に分散させて上記第1コロイド溶液に活物質粒子を更に含む第2コロイド溶液を製造する段階と、(d)上記高分子溶液と上記第1コロイド溶液及び第2コロイド溶液とから三次元構造の繊維を製造する段階と、(e)上記三次元構造の繊維を圧搾して三次元構造の繊維を得る段階とを含み、上記(d)、上記高分子溶液と上記第1コロイド溶液及び上記第2コロイド溶液とを使用して三次元構造の繊維を製造する段階は、複数の高分子繊維を含む多孔性不織布を形成させ、上記多孔性不織布に含まれた複数の高分子繊維の間に上記活物質粒子及び上記導電性物質を均一に充填させ、気孔を形成する工程である。
【0108】
また、更に具体的に、上記(d)、上記高分子溶液と上記第1コロイド溶液及び上記第2コロイド溶液とを使用して三次元構造の繊維を製造する段階は、上記高分子溶液と第1コロイド溶液を同時に紡糸して下部伝導層を製造する段階と、上記下部伝導層の上部に上記高分子溶液と上記第2コロイド溶液を同時に紡糸して活物質層を製造する段階と、上記活物質層の上部に上記高分子溶液と上記第1コロイド溶液を同時に紡糸して上部伝導層を製造する段階とを含む。
【0109】
即ち、上記高分子溶液と上記第1コロイド溶液又は第2コロイド溶液とを同時に噴射することにより、優れた特性の三次元構造電極を製造することができる。
【0110】
上記第2コロイド溶液に含まれている活物質粒子としては、前述したように、リチウムメタル系酸化物、金属酸化物を含む酸化物、シリコン(Si)、スズ(Sn)、ゲルマニウム(Ge)、硫黄(S)、これらの誘導体、及びこれらの混合物を含む群から選択された1種以上が使用し得る。
【0111】
具体的に、上記第2コロイド溶液を上記高分子溶液と同時に紡糸して、支持体の役割をする複数の高分子繊維によって相互に連結された気孔構造を形成し、上記活物質粒子及び上記導電性物質による三次元充填構造を形成し、上記第1コロイド溶液を上記高分子溶液と同時に活物質層の上部及び下部に紡糸して、複数の高分子繊維及び導電性物質による三次元集合体の構造を形成することである。
【0112】
まず、上記(a)、高分子及び溶媒を含む高分子溶液を製造する段階について説明する。
【0113】
上記高分子溶液の噴射によって、複数の高分子繊維及びそれから多孔性不織布を形成するように、上記高分子溶液は上記高分子溶液の総重量に対して5~30重量%の高分子が含められるし、より好ましくは10~15重量%の高分子が含められる。
【0114】
上記高分子繊維が5重量%未満である場合は、高分子溶液が均一に紡糸されず、ビーズ(bead)が形成されるという問題が発生する。また、30重量%を超える場合は、高分子溶液が紡糸されるノズルの先端で固まって、紡糸が円滑でないという問題が発生する。上記高分子溶液に使用され得る溶媒は、上記高分子を溶解させられるものであれば、特に制限されない。代表的に、ジメチルホルムアミド(N、N-dimethylformamide)、ジメチルアセトアミド(N、N-dimethylacetamide)、メチルピロリドン(N、N-Methylpyrrolidone)、及びこれらの組み合わせを含んでいる群から選択された1種以上が使用され得るし、ジメチルホルムアミド(N、N-dimethylformamide)が好ましい。
【0115】
次に、(b)導電性物質、分散剤および分散媒を含む第1コロイド溶液を製造する段階及び(c)上記第1コロイド溶液に活物質粒子を更に含む第2コロイド溶液を製造する段階について説明する。
【0116】
上記第1コロイド溶液内での上記導電性物質の含量は、第1コロイド溶液の総重量に対して0.1~50重量%の導電性物質を含むことが好ましく、1~20重量%の導電性物質を含むことが更に好ましい。また、第2コロイド溶液での導電性物質の含量は、上記活物質粒子に対する導電性物質の重量比で、0.1:100~50:100であり得る。上記のような範囲に導電性物質の含量を調節することによって、三次元構造電極の電子伝導ネットワークが維持し得る。
【0117】
導電性物質の含量が上記範囲の未満である場合は、電子伝導ネットワークの形成が不十分であり、電気化学素子の出力が低下され得る。また、導電性物質の含量が上記範囲を超える場合は、上記第1コロイド溶液の分散状態が維持されず、均一な電極構造が形成され得ないという問題がある。
【0118】
上記第2コロイド溶液は、上記第2コロイド溶液の総重量に対して、活物質粒子1~50重量%を含み得る。これを通じて、三次元構造電極内の気孔度を調節することができる。
【0119】
上記活物質粒子の含量が1重量%未満である場合は、上記三次元構造電極の活物質ローディング量が小さくなり、活物質粒子及び導電性物質の間に電子伝導ネットワークが形成し難くなり、電極の出力が低下され得る。また、上記活物質粒子の含量が50重量%を超える場合は、活物質粒子の分散が難しく、以降の活物質層の形成時に上記活物質粒子の含量が過度に多くて、多孔性不織布が電極を支持する役割を行い難くなり、電極構造を維持することが難しいという問題がある。
【0120】
上記(b)段階及び上記(c)段階について具体的に説明すると、上記(b)段階は、上記導電性物質を上記分散媒に分散させて第1コロイド溶液を製造する段階を含み、上記(c)段階は、上記活物質粒子を粉砕する段階と、上記粉砕された活物質粒子及び上記粉砕された導電性物質を上記分散媒に分散させて上記第2コロイド溶液を製造する段階とを含み得る。
【0121】
更に具体的に、上記(c)段階は、上記活物質粒子に上記導電性物質を投入して混合粉末を製造する段階と、上記混合粉末を粉砕して活物質粒子/導電性物質の複合体を得る段階と、上記複合体を上記分散媒に分散させて上記第2コロイド溶液を製造する段階とを含み得る。
【0122】
上記のように活物質粒子を粉砕することは、第2コロイド溶液内の活物質粒子の均一な分散のためである。これは、以降の三次元構造電極内の活物質粒子の平均直径を限定したことと関連している。具体的に、上記第2コロイド溶液の製造前に、マイクロメートル単位の平均直径を有する活物質粒子を、ナノメートル単位の平均直径を有する粒子へと粉砕する場合、活物質粒子は上記コロイド溶液中に均一に分散され易い。
【0123】
ただし、上記活物質粒子がナノメートル単位の平均直径を有する場合は、粉砕段階が不要であり得る。上記のように、第2コロイド溶液内の活物質粒子が均一に分散されるようにすることによって、活物質粒子の表面の電子伝導性が更に強化し得る。
【0124】
一方、上記(b)段階及び(c)段階において、上記分散剤はコロイド溶液内の導電性物質の分散を助けられる物質である。上記分散剤の含量は、上記第1コロイド溶液及び第2コロイド溶液の総重量に対して0.001~10%であり得るし、更に好ましくは0.01~1%であり得る。
【0125】
上記分散剤の含量が0.001重量%未満の場合は、分散剤の量が過度に少なくて、コロイド溶液内の粒子の分散が容易ではない。また、10重量%を超える場合は、分散剤の量が過度に増加して、コロイド溶液の粘度が過度に増加し得る。
【0126】
具体的に、上記分散剤は、ポリビニルピロリドン、ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェン、およびこれらの混合物を含む群から選択された1種以上であり得る。具体的に、分散効果の側面ではポリビニルピロリドンが好ましい。
【0127】
上記分散媒は、上記活物質粒子及び上記導電性物質を分散させ得るものであれば、特に限定されず、蒸留水(deionized water)、イソプロピルアルコール(iso-propylalcohol)、ブタノール(buthalol)、エタノール(ethanol)、ヘキサノール(hexanol)、アセトン(Acatone)、ジメチルホルムアミド(N、N-dimethylformamide)、ジメチルアセトアミド(N、N-dimethylacetamide)、メチルピロリドン(N、N-Methylpyrrolidone)及びこれらの組み合わせを含んでいる群から選択された1種以上であり得る。具体的に、分散効果の側面から、蒸留水及びイソプロピルアルコールの混合溶媒が好ましい。
【0128】
次に、上記(d)、上記高分子溶液と上記第1コロイド溶液及び上記第2コロイド溶液及びとを使用して三次元構造の繊維を製造する段階について説明する。
【0129】
前述したように、上記(d)段階は、下部導電層を形成する段階と、下部伝導層の上に活物質層を形成する段階と、活物質層の上部に上部伝導層を形成する段階とを含んでいる。
【0130】
上記(d)段階は、上記高分子溶液と上記第1コロイド溶液又は第2コロイド溶液とを同時に紡糸して、多孔性不織布及び導電性物質が三次元的な集合体構造を形成するようにするものであり、上記溶液を同時に紡糸し得る方法であれば特に制限されないが、二重電界紡糸、二重電気噴霧(electrospray)、二重スプレー(spray)、及びこれらの組み合わせを含んでいる群から選択された1種であり得る。その中でも三次元充填構造及び均一な気孔形成の側面から、二重電界紡糸の方法が好ましい。
【0131】
また、上記(d)段階は、50分~24時間の間に行われるものであり得る。このようなの随行時間の範囲内で、上記三次元構造電極が形成され得るし、特に、随行時間が増えることによって上記三次元構造電極内の活物質粒子の高ローディングが可能である。
【0132】
上記高分子溶液の紡糸速度は2~15μL/minであり、上記第1コロイド溶液及び第2コロイド溶液の紡糸速度は30~300μL/minであり得る。更に好ましくは、高分子溶液の紡糸速度は5~10μL/minであり、第1コロイド溶液及び第2コロイド溶液の紡糸速度は50~200μL/minであり得る。上記のような紡糸速度で溶液を紡糸することによって、上記のような三次元構造電極が形成され得るし、三次元構造電極内の活物質粒子のローディングが向上し得る。
ただし、溶液の紡糸速度が上記速度範囲の以下である場合は、高分子溶液が均等に紡糸されず、ビーズが形成されるか、コロイド溶液が均一に紡糸され得なくなる。
【0133】
また、本発明は、負極、正極及び上記負極と正極との間に介在された分離膜を含む電極組立体が、電池ケースに内蔵されている。また、上記負極又は正極は上述した三次元構造電極であることを特徴とする、電気化学素子を提供する。
【0134】
上記電気化学素子は、リチウム二次電池、スーパーキャパシタ(Super Capacitor)、リチウム-硫黄電池、ナトリウムイオン電池、リチウム-空気電池、亜鉛-空気電池、アルミニウム-空気電池、およびマグネシウムイオン電池を含む群から選択された1種であり得るし、具体的には、リチウム二次電池であり得る。また、上記リチウム二次電池は、円筒形電池、角形電池、コイン形電池、パウチ型電池などを全て含むことができし、上記リチウム二次電池の形態には特別な制限があるわけではない。
【0135】
図2は、本発明の一実施例によるリチウム二次電池(200)を示した模式図である。
【0136】
図2を参照すると、本発明の一実施例によるリチウム二次電池(200)は、電極組立体(210)が電池ケース(220)の収納部に収納される。また、電池ケース(220)内に電極組立体(210)が完全に浸漬されるように、収納部には電解質が注入される。電池ケース(220)には、ケースを密封するためのキャップアセンブリ(230)が搭載及び結合されている。上記電極組立体は、正極活物質を含む正極(213)と負極活物質を含む負極(211)との間に分離膜(212)を介在したものである。
【0137】
上記電解質としては、有機溶媒にリチウム塩を溶解させた非水電解質、ポリマー電解質、無機固体電解質及びポリマー電解質と無機固体電解質との複合材料などが使用され得る。
【0138】
上記非水性有機溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンらが移動できる、媒質の役割をする。非水性有機溶媒としては、カーボネート系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系、又は非プロトン性溶媒が使用し得る。非水性有機溶媒は、単独、又は一つ以上を混合して使用し得るし、一つ以上を混合して使用する場合の混合比率は、目的とする電池性能に応じて適切に調節し得るし、これは、当該分野に従事する人々には広く理解され得る。
【0139】
具体的に、上記非水性有機溶媒としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ガンマブチロラクトン、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロキシフラン(tetrahydroxy franc)、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3-ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒を使用することができる。
【0140】
上記有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリアジテーションリシン(agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含む重合体などが使用され得る。
【0141】
上記無機固体電解質としては、例えば、Li3N、LiI、Li5NI2、Li3N-LiI-LiOH、LiSiO4、LiSiO4-LiI-LiOH、Li2SiS3、Li4SiO4、Li4SiO4-LiI-LiOH、Li3PO4-Li2S-SiS2などのLiの窒化物、ハロゲン化物、硫酸塩などが使用され得る。
【0142】
リチウム塩は、非水性有機溶媒などに溶解され、電池内でリチウムイオンの供給源として作用してリチウム二次電池を動作させ、正極と負極との間のリチウムイオンの移動を促進する。
【0143】
具体的に、上記リチウム塩は、上記非水系電解質に溶解され良い物質として、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO4、LiBF4、LiB10Cl10、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、CH3SO3Li、(CF3SO2)2NLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、4フェニルホウ酸リチウム、イミドなどが使用され得る。
【0144】
以下、本発明の理解を助けるために、実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明に係る実施例は、多様な他の形態へと変形され得るし、本発明の範囲が下記の実施例によって限定されるものとして解釈してはならない。本発明の実施例は、当業界にて通常の知識を有する者に、本発明をより完全に説明するために提供するものである。
【0145】
<実施例>
[高分子溶液の製造]
まず、多孔性高分子を製造するための高分子としてはポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile、PAN)を使用し、これを溶解する溶媒としてはジメチルホルムアミド(N、N-dimethylformamide)を使用した。上記ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile、PAN)をジメチルホルムアミド(N、N-dimethylformamide)に添加した後、溶液内のポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile、PAN)の含量が10重量パーセント(wt%)になるように高分子溶液を製造した。
【0146】
[第1コロイド溶液の製造]
導電性物質を含むコロイド溶液を製造するため、導電性物質としてはカーボンナノチューブ(carbonnanotube)を使用し、分散媒としては蒸留水(deionized water)及びイソプロピルアルコール(iso-propylalcohol)を重量比3:7で混合した共溶剤(co-solvant)を使用した。具体的に、カーボンナノチューブを第1コロイド溶液の5重量%になるように添加し、分散剤であるポリビニルピロリドンを上記コロイド溶液に対して1重量%を含有するように添加した。
【0147】
[第2コロイド溶液の製造]
活物質粒子及び導電性物質を含むコロイド溶液を製造するため、上記の活物質粒子としては平均直径100nmのシリコン(Si)を使用し、導電性物質としてはカーボンナノチューブ(carbonnanotube)を使用し、分散媒としては蒸留水(deionized water)及びイソプロピルアルコール(iso-propylalcohol)を共溶剤(co-solvant)として使用した。
具体的に、上記シリコン(Si)を上記分散媒(蒸留水(deionized water):イソプロピルアルコール(iso-propylalcohol)で表示される重量比=3:7)に分散させた後、溶液内のシリコン(Si)の含量が1重量%になるように、活物質粒子溶液を製造した。
上記活物質粒子溶液に上記カーボンナノチューブ(carbonnanotube)をシリコン(Si)の重量に対し10重量%を添加して、上記シリコン(Si)及び上記カーボンナノチューブが共に分散されたコロイド溶液を製造した。このとき、分散剤であるポリビニルピロリドンを上記コロイド溶液に対して1重量%が含有されるように添加した。
【0148】
[二重電界紡糸を通じた電極の製造]
上記高分子溶液と上記第1コロイド溶液及び上記第2コロイド溶液とを電界紡糸装置(購入先:ナノエンシ)に導入した後、上記高分子溶液の噴射速度は5μL/min、上記コロイド溶液の噴射速度は120μL/minとし、約240分の間、同時に紡糸(二重電界紡糸)して、三次元構造の繊維を製造した。
具体的に、上記高分子溶液及び上記第1コロイド溶液を紡糸して下部伝導層を形成した後、上記下部伝導層の上部に上記高分子溶液と上記第2コロイド溶液を紡糸して活物質層を形成し、上記活物質層の上部に上記高分子溶液及び上記第1コロイド溶液を紡糸して、上部伝導層を形成した。
上記製造された三次元構造の繊維は、ロールプレス(Roll Press、購入先:(株)キベイエンティ)を用いて圧縮した。これを通じて、活物質のローディングが約2mg/cm2であり、厚さは約12μmである三次元構造電極が収得できた。
【0149】
[リチウム二次電池の作製]
得た上記三次元構造電極を正極として適用し、リチウム二次電池を作製した。
具体的に、負極にはリチウム金属を使用し、分離膜としてはポリエチレン(polyethylene、Tonen20μm)を使用した。
有機溶媒(EC:DEC=1:1(v:v))にLiPF6の濃度が1Mになるように溶解し、FEC10重量%が含有された非水性電解液を製造した。
上記のように製造された正極、負極、および分離膜を入れて円筒型セルを形成した後、上記非水性電解液を注入して円筒形リチウム二次電池を製造した。
【0150】
<比較例>
第1コロイド溶液を製造せず、二重電界紡糸のときに上部伝導層及び下部導電層を形成せず、活物質層のみが形成された形態の電極を、活物質ローディングは約2.0mg/cm2、厚さは約10μmで製造したことを除いて、実施例と同じ方法で電極を製造した。また、実施例と同じ方法でリチウム二次電池を作製した。
【0151】
<実験例1>
[電極の観察]
走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)を用いて、実施例によって製造された電極の上部伝導層及び下部伝導層及び活物質層の断面と表面を観察した。その結果は
図4に図示されている。
図3は、上記実施例に係る電極の外観を示す写真である。
図3を参照すると、電極を曲げた状態でも活物質粒子の脱離がなく、電極の構造がよく維持されていることが確認し得る。
【0152】
<実験例2>
[電極の電子伝導度の比較]
実施例及び比較例を通じて製造された各電極の表面抵抗を比較するため、電子伝導度の測定を行った。
具体的に、上記電子伝導度の測定は、(株)ダソルイエンジ社の4probeチップを用いて、表面抵抗を測定したものであり、実施例及び比較例に係る結果を
図5に記した。
図5によると、47.5S/cmの電子伝導度を記した比較例と比べ、実施例の電極は72.0S/cmと、約6倍程度増加した数値を示した。これを通じて、実施例の電極は高い電子伝導度を有するので、別途の集電体がなくても電極として使用し得るし、これを含む電池の出力特性もまた向上させ得ることが推測できる。
【0153】
<実験例3>
[サイクル特性の評価]
上記実施例及び比較例にて、それぞれ製造された電池を、25℃にて0.2Cの定電流(CC)で0.01Vになるまで、1回目の充電を行った。以降、0.2Cの定電流(CC)で1.2Vになるまで放電した。これを1~100回のサイクルで繰り返し実施し、放電容量の劣化度を観察した。その結果は
図6に図示した。
実施例の電池は比較例の電池と比べて優れたサイクル特性を示した。これは、比較例に開示された電極にての活物質の体積変化に因して、活物質が電極から脱離され、電子伝導ネットワークが切れたためだと判断される。
一方、実施例の電極は、上/下部伝導層によって体積変化の大きい活物質が適用されても、電子伝導ネットワークを維持し、活物質の脱離が防止できる。
また、これを通じて、高エネルギー密度及び高出力特性を有し、サイクル性能に優れた電気化学素子が提供し得る。
本発明が属した分野において、通常の知識を有する者であれば、上記の内容に基づき、本発明の範囲内で多様な応用及び変形を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0154】
10 高分子繊維
20 活物質粒子
30 導電性物質
100 三次元構造電極
110 活物質層
120 上部伝導層
130 下部伝導層