(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】レーザー送出特性値の決定方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/102 20210101AFI20220425BHJP
B23K 26/00 20140101ALN20220425BHJP
【FI】
H01M50/102 101
B23K26/00 B
B23K26/00 M
(21)【出願番号】P 2019542214
(86)(22)【出願日】2018-09-18
(86)【国際出願番号】 KR2018010996
(87)【国際公開番号】W WO2019059617
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2019-08-02
(31)【優先権主張番号】10-2017-0122728
(32)【優先日】2017-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・キュ・イ
(72)【発明者】
【氏名】サン・ジン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ス・ソン
【審査官】結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-101409(JP,A)
【文献】特開2010-023295(JP,A)
【文献】特開平08-276506(JP,A)
【文献】特開2000-114619(JP,A)
【文献】特開平04-349341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/102
B23K 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外観が熱収縮性チューブから形成されたバッテリーセルをマーキングするレーザーの送出特性値の決定方法において、
レーザーの周波数、マーキング速度及び焦点距離を所定の一時設定値に設定する一時設定ステップと、
前記一時設定ステップにおいて設定された一時設定値を用いて前記レーザーを送出して、前記熱収縮性チューブに文字をマーキングするマーキングステップと、
前記熱収縮性チューブに熱を加える加熱ステップと、
前記加熱ステップ後に、前記熱収縮性チューブにマーキングされた文字のフォントサイズが既に設定されたフォントサイズ以上であるか否かを確認するフォントサイズ確認ステップと、
を含んでなり、
前記フォントサイズ確認ステップにおいて確認された文字のフォントサイズが既に設定されたフォントサイズ以上である場合、前記一時設定ステップにおいて設定された周波数、マーキング速度及び焦点距離を別途の保存空間に保存する送出特性値保存ステップを行うことを特徴とするレーザー送出特性値の決定方法。
【請求項2】
前記加熱ステップ前に、
熱収縮性チューブの収縮率を確認する収縮率確認ステップと、
前記収縮率確認ステップにおいて確認された収縮率に基づいて、前記バッテリーセルの作製時に熱収縮性チューブに加えられる加熱時間及び加熱温度値を別途の保存空間から読み出す加熱設定値読出しステップと、
を行うことを特徴とする請求項1に記載のレーザー送出特性値の決定方法。
【請求項3】
前記加熱ステップは、前記加熱設定値読出しステップにおいて読み出された加熱時間及び加熱温度値に基づいて行われることを特徴とする請求項2に記載のレーザー送出特性値の決定方法。
【請求項4】
前記熱収縮性チューブの収縮率は、バッテリーセルの大きさ及び形状に応じてそれぞれ異なるように設定されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のレーザー送出特性値の決定方法。
【請求項5】
前記フォントサイズ確認ステップにおいて確認された文字のフォントサイズが既に設定されたフォントサイズ未満である場合、周波数、マーキング速度及び焦点距離を補正して前記マーキングステップを再び行うことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のレーザー送出特性値の決定方法。
【請求項6】
前記既に設定されたフォントサイズは、6ポイント以上の値に設定されることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のレーザー送出特性値の決定方法。
【請求項7】
外観が熱収縮性チューブから形成されたバッテリーセルをマーキングするレーザーの送出特性値の決定方法において、
レーザーの周波数、マーキング速度及び焦点距離を所定の一時設定値に設定する一時設定ステップと、
前記一時設定ステップにおいて設定された一時設定値を用いて前記レーザーを送出して、前記熱収縮性チューブに所定本数の線から構成された一つ以上の読取り記号をマーキングするマーキングステップと、
前記熱収縮性チューブに熱を加える加熱ステップと、
前記加熱ステップ後に、前記熱収縮性チューブにマーキングされた読取り記号の線の本数が所定の本数であると識別され、線の長さが所定の既に設定された長さ以上であるか否かを確認する読取り記号確認ステップと、
を含んでなり、
前記読取り記号確認ステップにおいて確認された線の長さが既に設定された所定の長さ以上であり、且つ線の本数が所定の本数であると識別される場合、前記一時設定ステップにおいて設定された周波数、マーキング速度及び焦点距離を別途の保存空間に保存する送出特性値保存ステップを行うことを特徴とするレーザー送出特性値の決定方法。
【請求項8】
前記加熱ステップ前に、
熱収縮性チューブの収縮率を確認する収縮率確認ステップと、
前記収縮率確認ステップにおいて確認された収縮率に基づいて、バッテリーモジュールの作製時に熱収縮性チューブに加えられる加熱時間及び加熱温度値を別途の保存空間から読み出す加熱設定値読出しステップと、
を行うことを特徴とする請求項7に記載のレーザー送出特性値の決定方法。
【請求項9】
前記加熱ステップは、前記加熱設定値読出しステップにおいて読み出された加熱時間及び加熱温度値に基づいて行われることを特徴とする請求項8に記載のレーザー送出特性値の決定方法。
【請求項10】
前記熱収縮性チューブの収縮率は、バッテリーセルの大きさ及び形状に応じてそれぞれ異なるように設定されることを特徴とする請求項
7~9のいずれか一項に記載のレーザー送出特性値の決定方法。
【請求項11】
前記読取り記号確認ステップにおいて確認された線の長さが既に設定された所定の長さ未満であるか、あるいは、線の本数が所定の本数未満または超えであると識別される場合、周波数、マーキング速度及び焦点距離を補正して前記マーキングステップを再び行うことを特徴とする請求項
7~10のいずれか一項に記載のレーザー送出特性値の決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー送出特性値の決定方法に関し、より具体的には、バッテリーセルの外郭に形成された熱収縮性チューブにセル文字をレーザーでマーキングすることにより、マーキングされた文字が所定のフォントサイズ以上となるようにレーザーの適正な送出特性値を決定するレーザー送出特性値の決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリーパックを構成する単位電池としてのリチウム二次電池は、柔軟性を有してその形状が比較的に自由であり、軽量である他、安全性(セーフティ性)にも優れていることから、携帯電話、ビデオ付きカメラ、ノート型パソコンなどの携帯用の電子機器の電源としてのニーズが高まりつつある。
【0003】
また、前記バッテリーパックのタイプは、バッテリーケースの形状に応じて分類されるが、電極組立体が円筒状または角形の金属缶に内蔵されている場合は、筒型バッテリーパック及び角型バッテリーパックとして分類される。また、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのポーチ状のケースに内蔵されている場合は、ポーチ型バッテリーパックとして分類される。
【0004】
さらに、バッテリーケースに内蔵される電極組立体は、正極、負極、及び前記正極と前記負極との間に挟持されたセパレーターを有する構造となっていて、充/放電可能である。なお、円筒状の電極組立体は、電極活物質が塗布された長尺のシート状の正極、セパレーター及び負極をこの順に積層して巻き取ったジェリー-ロール状に形成される。
【0005】
一方、一般に、バッテリーセルには、各国の認証ロゴ及び製品の注意事項などを表現するために、別途のポリエチレンテレフタレート(PET)材質のラベルが貼付され、このような従来のバッテリーセルについては、
図1に基づいて説明する。
【0006】
【0007】
図1を参照すると、従来のバッテリーセルは、前記ケースを固定する熱収縮性チューブ及びラベルをさらに備えてなることで、外部から絶縁できるようにする。
【0008】
しかしながら、前記ラベルは、当該バッテリーセルの文字の伝達の他には、これといった機能がないため、不要な資材コストがさらにかかる。
【0009】
したがって、バッテリーセルの製品情報は表記されながら、不要な構成要素は削除可能な技術の開発が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、不要な構成要素であるラベルが削除され、ラベルの代わりに、熱収縮性チューブにバッテリーセルの文字が記載できるように適正なレーザー送出特性値を決定するレーザー送出特性値の決定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施形態に係るレーザー送出特性値の決定方法は、外観が熱収縮性チューブから形成されたバッテリーセルをマーキングするレーザーの送出特性値の決定方法において、レーザーの周波数、マーキング速度及び焦点距離を所定の一時設定値に設定する一時設定ステップと、前記一時設定ステップにおいて設定された一時設定値を用いて前記レーザーを送出して、前記熱収縮性チューブに文字をマーキングするマーキングステップと、前記熱収縮性チューブに熱を加える加熱ステップと、前記加熱ステップ後に、前記熱収縮性チューブにマーキングされた文字のフォントサイズが既に設定されたフォントサイズ以上であるか否かを確認するフォントサイズ確認ステップと、を含んでなり、前記フォントサイズ確認ステップにおいて確認された文字のフォントサイズが既に設定されたフォントサイズ以上である場合、前記一時設定ステップにおいて設定された周波数、マーキング速度及び焦点距離といった送出特性値を別途の保存空間に保存する送出特性値保存ステップを行う 。
【0013】
前記加熱ステップ前に、熱収縮性チューブの収縮率を確認する収縮率確認ステップと、前記収縮率確認ステップにおいて確認された収縮率に基づいて、バッテリーセルの作製時に熱収縮性チューブに加えられる加熱時間及び加熱温度値を別途の保存空間から読み出す加熱設定値読出しステップと、を行う。
【0014】
前記加熱ステップは、前記加熱設定値読出しステップにおいて読み出された加熱時間及び加熱温度値に基づいて行われる。
【0015】
前記熱収縮性チューブの収縮率は、バッテリーセルの大きさ及び形状に応じてそれぞれ異なるように設定される。
【0016】
前記フォントサイズ確認ステップにおいて確認された文字のフォントサイズが既に設定されたフォントサイズ未満である場合、周波数、マーキング速度及び焦点距離を補正して前記マーキングステップを再び行う。
【0017】
前記既に設定されたフォントサイズは、6ポイント以上の値に設定される。
【0018】
本発明の他の実施形態に係るレーザー送出特性値の決定方法は、外観が熱収縮性チューブから形成されたバッテリーセルをマーキングするレーザーの送出特性値の決定方法において、レーザーの周波数、マーキング速度及び焦点距離を所定の一時設定値に設定する一時設定ステップと、前記一時設定ステップにおいて設定された一時設定値を用いて前記レーザーを送出して、前記熱収縮性チューブに所定本数の線から構成された一つ以上の読取り記号をマーキングするマーキングステップと、前記熱収縮性チューブに熱を加える加熱ステップと、前記加熱ステップ後に、前記熱収縮性チューブにマーキングされた読取り記号の線の本数が所定の本数であると識別されるか否かを確認する読取り記号確認ステップと、を含んでなり、前記読取り記号確認ステップにおいて確認された線の長さが既に設定された所定の長さ以上であり、且つ線の本数が所定の本数であると識別される場合、前記一時設定ステップにおいて設定された周波数、マーキング速度及び焦点距離を別途の保存空間に保存する送出特性値保存ステップを行う。
【0019】
前記加熱ステップ前に、熱収縮性チューブの収縮率を確認する収縮率確認ステップと、前記収縮率確認ステップにおいて確認された収縮率に基づいて、バッテリーセルの作製時に熱収縮性チューブに加えられる加熱時間及び加熱温度値を別途の保存空間から読み出す加熱設定値読出しステップと、を行う。
【0020】
前記加熱ステップは、前記加熱設定値読出しステップにおいて読み出された加熱時間及び加熱温度値に基づいて行われる。
【0021】
前記熱収縮性チューブの収縮率は、バッテリーセルの大きさ及び形状に応じてそれぞれ異なるように設定される。
【0022】
前記読取り記号確認ステップにおいて確認された線の長さが既に設定された所定の長さ未満であるか、あるいは、線の本数が所定の本数未満または超えであると識別される場合、周波数、マーキング速度及び焦点距離を補正して前記マーキングステップを再び行う。
【0023】
本発明の実施形態に係るバッテリーセルは、正極、負極及びセパレーターを有する電極組立体と、前記電極組立体を収納する電極組立体ケースと、前記電極組立体ケースの電極端子または外部入出力端子が形成された個所を除く外郭を包み込む電気絶縁性の熱収縮性チューブと、を備えてなり、前記熱収縮性チューブの表面には、当該バッテリーセルの情報がマーキングされる。
【0024】
前記熱収縮性チューブの表面にマーキングされた情報は、レーザーマーキング機を用いてマーキングされる。
【0025】
前記熱収縮性チューブの厚さは、0.05mmから0.5mm以内である。
【発明の効果】
【0026】
本発明の実施形態に係るレーザー送出特性値の決定方法は、熱収縮性チューブにバッテリーセルの文字が可読性よく記載できるようにレーザーの適正な送出特性値を決定して、適正な送出特性値で熱収縮性チューブにバッテリーセルの情報が記載されてラベルという構成要素が削除されることにより、削除されたラベルによる付随的な資材コストが削減され、これにより、経済性が向上できるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図2】本発明の実施形態に係るレーザー送出特性値の決定方法の手順図。
【
図3】本発明の他の実施形態に係るレーザー送出特性値の決定方法の手順図。
【
図4】本発明の実施形態に係るバッテリーセルの構造図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面に基づいて、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施形態について詳しく説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化される。なお、図中、本発明を明確に説明するために、説明とは無関係な部分は省略し、明細書の全般に亘って、類似の部分には類似の図面符号を付している。
【0029】
「第1の」、「第2の」など序数を含む言い回しは、様々な構成要素を説明するうえで使用可能であるが、前記構成要素は、前記言い回しによって何等限定されない。前記言い回しは、ある構成要素を他の構成要素から区別する目的でしか使えない。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しないつつも、第1の構成要素は第2の構成要素と命名されてもよく、同様に、第2の構成要素もまた第1の構成要素と命名されてもよい。本出願において用いた用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられたものであり、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現は、文脈からみて明らかに他の意味を有さない限り、複数の言い回しを含む。
【0030】
本発明において用いられる用語としては、本発明における機能を考慮したうえで、できる限り現在汎用されている通常の用語を選択したが、これは、当分野に携わっている技術者の意図又は判例、新たな技術の出現などに応じて異なる。なお、特定の場合、出願人が任意に選定した用語もあり、この場合、対応する発明の説明の部分において詳しくその意味を記載する。したがって、本発明において用いられる用語は、単なる用語の名称ではなく、その用語が有する意味と本発明の全般に亘たっての内容に基づいて定義されるべきである。
【0031】
<実施形態1>
次に、本発明の実施形態に係るレーザー送出特性値の決定方法について説明する。
【0032】
本発明の実施形態に係るレーザー送出特性値の決定方法は、任意の送出特性値が設定されたレーザーで熱収縮性チューブに文字をマーキングし、熱を加えた後、フォントサイズを確認して、既に設定されたフォントサイズとなるように送出特性値を調節することにより、熱収縮性チューブにマーキングされた文字の可読性を増大させてラベルという構成要素が除去できるようにする。
【0033】
図2は、本発明の実施形態に係るレーザー送出特性値の決定方法の手順図である。
【0034】
図2を参照すると、本発明の実施形態に係るレーザー送出特性値の決定方法は、外観が熱収縮性チューブから形成されたバッテリーパックをマーキングするために、まず、レーザーの周波数、マーキング速度及び焦点距離を所定の一時設定値に設定する(一時設定ステップ:S110)。
【0035】
しかる後、所定の一時設定値に設定された値で前記レーザーを送出して、前記熱収縮性チューブに文字をマーキングし(マーキングステップ:S120)、熱を加える(加熱ステップ:S130)。
【0036】
しかる後、前記熱収縮性チューブにマーキングされた文字のフォントサイズが既に設定されたフォントサイズ以上であるか否かを確認し(フォントサイズ確認ステップ:S140)、確認されたフォントサイズが既に設定されたフォントサイズ以上である場合、当該サイズに対する周波数、マーキング速度及び焦点距離の送出特性値を別途の保存空間に保存する。
【0037】
このようなレーザー送出特性値の決定方法の各ステップの詳細については、後述する。
【0038】
前記一時設定ステップ(S110)は、レーザーの周波数、マーキング速度及び焦点距離を所定の一時設定値に設定するステップであって、焦点距離は、フォントのサイズが調節される値であり、周波数及びマーキング速度は、フォントの深さ(ディセント)が調節される値であって、相互的に値が設定される。
【0039】
一般に、周波数は20~100kHz、焦点距離は10~300mm、マーキング速度は50mm/sec~5000mm/secの範囲内において設定される。
【0040】
また、前記マーキングステップ(S120)は、前記一時設定ステップ(S110)において設定された値を用いて前記熱収縮性チューブに文字をマーキングするステップであって、より具体的に、前記所定の一時設定値に設定された送出特性値が設定されたレーザーマーキング機を用いて、文字をマーキングする。ここで、文字は、バッテリーセルの生産時にラベルに記録される情報と同様にするか、あるいは、情報の一部分のみが熱収縮性チューブにマーキングできるようにする。
【0041】
さらに、前記加熱ステップ(S130)は、前記熱収縮性チューブに熱を加えるステップであって、前記収縮率確認ステップにおいて確認された加熱時間及び加熱温度に応じて熱を加える。
【0042】
さらにまた、バッテリーセルの大きさに応じてそれぞれ異なる収縮率を有する熱収縮性チューブを用いることにより、前記加熱ステップ(S130)前に、熱収縮性チューブの収縮率を確認し(収縮率確認ステップ)、確認された収縮率に基づいて、バッテリーセルの作製時に熱収縮性チューブに加えられる加熱時間及び加熱温度値を別途の保存空間から読み出す(加熱設定値読出しステップ)。
【0043】
前記収縮率確認ステップは、熱収縮性チューブに既に設定された収縮率を確認するステップであって、各バッテリーセルの大きさ及び形状に応じてそれぞれ異なるように設定された値を確認する。
【0044】
加えて、前記加熱設定値読出しステップは、前記収縮率確認ステップにおいて確認された収縮率に基づいて、バッテリーセルの作製時に熱収縮性チューブに加えられる加熱時間及び加熱温度値を別途の保存空間から読み出すステップであって、バッテリーセルの作製時に熱収縮性チューブに適用される値を確認しながら、さらに熱収縮性チューブの厚さをも確認する。
【0045】
一般に、前記加熱温度は、70℃以上、かつ、120℃以内に設定され、加熱時間は、温度に反比例して設定される。なお、収縮率は、50%から80%までの値を有することが一般的であり、厚さは、0.05mm~0.5mmに設定され、収縮率及び厚さに応じて、加熱温度及び加熱時間が変化する。
【0046】
このような値を確認して、様々な熱収縮性チューブに適用されるレーザーの送出特性値を算出できるようにする。
【0047】
また、前記熱収縮性チューブは、熱風機、ヒートガンなどを用いて熱が加えられるようにする。
【0048】
これは、もし、熱収縮性チューブに直接的な熱を加えると、煤が生じるため、間接的な熱を加えて、前記マーキングステップ(S120)においてマーキングされた文字の可読性が低下することを防止するためである。
【0049】
さらに、前記フォントサイズ確認ステップ(S140)は、前記加熱ステップ(S130)後に、前記熱収縮性チューブにマーキングされた文字のフォントサイズが既に設定されたフォントサイズ以上であるか否かを確認するステップであって、バッテリーセルの作製時に加熱された熱収縮性チューブがバッテリーセル胴体に収縮・固定されながら熱収縮性チューブにマーキングされた文字もまた縮小されて、縮小された文字が読めるサイズであるか否かを確認する。
【0050】
もし、確認された文字のフォントサイズが既に設定されたフォントサイズ以上である場合、前記一時設定ステップ(S110)において設定された周波数、マーキング速度及び焦点距離の送出特性値を保存し、もし、確認された文字のフォントサイズが既に設定されたフォントサイズ未満である場合、周波数、マーキング速度及び焦点距離を補正して、前記マーキングステップ(S120)を再び行う。ここで、既に設定されたフォントサイズは、6ポイント(2.1084mm)以上の値に設定する。
【0051】
さらにまた、前記周波数、マーキング速度及び焦点距離を補正する場合、まず、焦点距離を補正して、文字のサイズが大きくなり得るようにし、焦点距離に応じて、周波数及びマーキング速度を調節する。
【0052】
例えば、文字が大きくなるように焦点距離を縮めると、これによるレーザーのエネルギーが大きくなって、周波数またはマーキング速度を減らして、レーザーマーキングの際にチューブが貫通されないようにする。
【0053】
<実施形態2>
次に、本発明の他の実施形態に係るレーザー送出特性値の決定方法について説明する。
【0054】
本発明の他の実施形態に係るレーザー送出特性値の決定方法は、任意の送出特性値が設定されたレーザーで収縮チューブに所定の線の本数から形成された読取り記号をマーキングし、熱を加えた後、読取り記号の線の本数を確認して、線の本数が所定の本数であると識別できるように送出特性値を調節することにより、正確なレーザー送出特性値を確保できるようにする。
【0055】
図3は、本発明の他の実施形態に係るレーザー送出特性値の決定方法の手順図である。
【0056】
図3を参照すると、本発明の他の実施形態に係るレーザー送出特性値の決定方法は、外観が熱収縮性チューブから形成されたバッテリーパックをマーキングするために、まず、レーザーの周波数、マーキング速度及び焦点距離を所定の一時設定値に設定する(一時設定ステップ:S210)。
【0057】
しかる後、所定の一時設定値に設定された値で前記レーザーを送出して、前記熱収縮性チューブに所定の本数の線から構成された一つ以上の読取り記号をマーキングし(マーキングステップ:S220)、熱を加える(加熱ステップ:S230)。
【0058】
しかる後、前記熱収縮性チューブにマーキングされた読取り記号の線の本数が所定の本数であると識別されるか否かを確認し(フォントサイズ確認ステップ:S240)、確認された線の長さが既に設定された所定の長さ以上であり、且つ線の本数が所定の本数であると識別される場合、当該サイズに対する周波数、マーキング速度及び焦点距離の送出特性値を別途の保存空間に保存する。
【0059】
このようなレーザー送出特性値の決定方法の各ステップの詳細については、後述する。
【0060】
前記一時設定ステップ(S210)は、レーザーの周波数、マーキング速度及び焦点距離を所定の一時設定値に設定するステップであって、焦点距離は、読取り記号の大きさが調節される値であり、周波数及びマーキング速度は、読取り記号の深さが調節される値であって、相互的に値が設定される。
【0061】
一般に、周波数は20~100kHz、焦点距離は10~300mm、マーキング速度は50mm/sec~5000mm/secの範囲内において設定される。
【0062】
また、前記マーキングステップ(S220)は、前記一時設定ステップ(S210)において設定された値を用いて、前記熱収縮性チューブに所定の本数の線から構成された一つ以上の読取り記号をマーキングするステップであって、より具体的に、前記所定の一時設定値に設定された送出特性値が設定されたレーザーマーキング機を用いて読取り記号をマーキングする。ここで、読取り記号は、所定の範囲内のバッテリーセルの情報が記載されるフォントのサイズに横または縦の線が複数本形成される。
【0063】
さらに、前記加熱ステップ(S230)は、前記熱収縮性チューブに熱を加えるステップであって、前記収縮率確認ステップにおいて確認された加熱時間及び加熱温度に応じて熱を加える。
【0064】
さらにまた、バッテリーセルの大きさに応じてそれぞれ異なる収縮率を有する熱収縮性チューブを用いることにより、前記加熱ステップ(S230)前に、熱収縮性チューブの収縮率を確認し(収縮率確認ステップ)、確認された収縮率に基づいて、バッテリーセルの作製時に熱収縮性チューブに加えられる加熱時間及び加熱温度値を別途の保存空間から読み出す(加熱設定値読出しステップ)。
【0065】
前記収縮率確認ステップは、熱収縮性チューブに既に設定された収縮率を確認するステップであって、各バッテリーセルの大きさ及び形状に応じてそれぞれ異なるように設定された値を確認する。
【0066】
加えて、前記加熱設定値読出しステップは、前記収縮率確認ステップにおいて確認された収縮率に基づいて、バッテリーセルの作製時に熱収縮性チューブに加えられる加熱時間及び加熱温度値を別途の保存空間から読み出すステップであって、バッテリーセルの作製時に熱収縮性チューブに適用される値を確認しながら、さらに熱収縮性チューブの厚さをも確認する。
【0067】
一般に、前記加熱温度は、70℃以上、且つ、120℃以内に設定され、加熱時間は、温度に反比例して設定される。なお、収縮率は、50%から80%までの値を有することが一般的であり、厚さは、0.05mm~0.5mmに設定され、収縮率及び厚さに応じて加熱温度及び加熱時間が変化する。
【0068】
このような値を確認して、様々な熱収縮性チューブに適用されるレーザーの送出特性値を算出できるようにする。
【0069】
また、前記熱収縮性チューブは、熱風機、ヒートガンなどを用いて熱が加えられるようにする。
【0070】
これは、もし、熱収縮性チューブに直接的な熱を加えると、煤が生じるため、間接的な熱を加えて、前記マーキングステップ(S220)においてマーキングされた文字の可読性が低下することを防止するためである。
【0071】
さらに、前記読取り記号確認ステップ(S240)は、前記加熱ステップ(S230)後に、前記熱収縮性チューブにマーキングされた読取り記号の線の本数が所定の本数であると識別されるか否かを確認するステップであって、バッテリーセルの作製時に加熱された熱収縮性チューブがバッテリーセル胴体に収縮・固定されながら熱収縮性チューブにマーキングされた文字もまた縮小されて、縮小された文字が識別できるか否かを読取り記号を用いて確認する。
【0072】
もし、読取り記号内の線の長さが既に設定された所定の長さ以上であり、且つ線の本数が所定の本数であると識別された場合、前記一時設定ステップ(S210)において設定された周波数、マーキング速度及び焦点距離を別途の保存空間に保存し、もし、確認された線の本数が所定の本数未満または超えであると識別される場合、周波数、マーキング速度及び焦点距離を補正して、前記マーキングステップ(S220)を再び行う。ここで、既に設定された線の所定の長さは、一実施形態によれば、2.1mmに設定するが、これに限定されない。
【0073】
例えば、読取り記号確認ステップ(S240)において確認された線の長さが2.5mmである場合、前記設定された所定の長さ以上であるため、線の本数を確認する。
【0074】
さらにまた、読取り記号確認ステップ(S240)において確認された線の長さが1.9mmである場合、前記設定された所定の長さ値未満であるため、焦点距離を縮めた後、前記マーキングステップ(S220)を再び行う。
【0075】
加えて、レーザーの周波数またはマーキング速度の値が大きな場合、熱収縮性チューブは貫通され、レーザーの周波数またはマーキング速度の値が小さな場合は、識別し難いため、正確な線の本数が導き出されない。
【0076】
例えば、線の長さが2.5mmであるため、線の本数を確認して、確認された線の本数が4本であると識別される場合、前記マーキングステップ(S220)においてマーキングした線の本数が4本であれば、当該周波数及びマーキング速度が正しい値であるが、前記マーキングステップ(S220)においてマーキングした線の本数が5本であれば、過度に深くマーキングされて正しい識別が行われない。
【0077】
したがって、今度は、周波数及びマーキング速度を減らして前記マーキングステップ(S220)を再び行う。
【0078】
加えて、前記マーキングステップ(S220)においてマーキングした線の本数が3本であれば、マーキングされた線の深さが過度に浅いため鮮やかな識別が行われ難いため、周波数及びマーキング速度を増やして前記マーキングステップ(S220)を再び行う。
【0079】
また、前記読取り記号は、線の方向が横及び/又は縦に形成可能であり、さらに文字とも一緒にマーキングされて、レーザー送出特性値の決定方法を行ってもよい。
【0080】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態に係るバッテリーセルについて説明する。
【0081】
本発明の実施形態に係るバッテリーセルは、電極組立体が収納されたケースの外観にラベルなしに当該バッテリーセルの情報が入力された熱収縮性チューブのみから構成して、ラベルの生産に追加されるコストを削減させ、工程を短縮させて、高速での生産を可能にする。
【0082】
図4は、本発明の実施形態に係るバッテリーセルの構造図である。
【0083】
図4を参照すると、本発明の実施形態に係るバッテリーセル100は、正極、負極及びセパレーターを有する電極組立体110、前記電極組立体を収納する電極組立体ケース120及び前記電極組立体ケースの電極端子または外部入出力端子が形成された個所を除く外郭を包み込む電気絶縁性の熱収縮性チューブ130を備えてなる。ここで、
図4は、円筒状に形成されるが、これに限定されない。
【0084】
また、前記バッテリーセルの各構成要素の詳細については、後述する。
【0085】
前記電極組立体110は、正極、負極及びセパレーターを有する構成要素であって、電極活物質が塗布された正極と、負極及びセパレーターが、正極、セパレーター、負極の順に積層されるか、あるいは、積層された状態で巻き取られる構成要素である。
【0086】
さらに、前記電極組立体ケース120は、前記電極組立体を収納する構成要素であって、金属製であり、円筒状だけではなく、矩形状に形成されてもよい。
【0087】
さらにまた、前記熱収縮性チューブ130は、前記電極組立体ケースの電極端子または外部入出力端子が形成された個所を除く外郭を包み込む電気絶縁性の構成要素であって、一つのバッテリーセルだけではなく、2以上のバッテリーセルを包み込むように形成可能である。
【0088】
加えて、前記熱収縮性チューブ130は、バッテリーセルの大きさ及び形状に応じて異なる収縮率を有する。
【0089】
また、前記熱収縮性チューブ130の表面には、当該バッテリーセルの情報が記載され、レーザーマーキング機を用いてマーキングされる。
【0090】
さらに、前記熱収縮性チューブ130の厚さは、0.05mmから0.5mm以内に形成されて、バッテリーセルの表面に記載される情報がマーキング可能であり、全体の厚さが大き過ぎないようにする。
【0091】
これにより、別途のラベルという構成要素なしに高速でバッテリーセルが生産可能であり、ラベルによる付帯費用が節減される。
【0092】
一方、本発明の技術的思想は、前記実施形態に基づいて具体的に記述されたが、前記実施形態はその説明のためのものであり、その制限のためのものではないということに留意すべきである。なお、本発明の技術分野における当業者であれば、本発明の技術思想の範囲内において種々の実施形態が採用可能であるということが理解できる筈である。
【符号の説明】
【0093】
100:バッテリーセル
110:電極組立体
120:電極組立体ケース
130:熱収縮性チューブ