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特許7062159リチウムマンガン酸化物系正極活物質の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】リチウムマンガン酸化物系正極活物質の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 11/86 20130101AFI20220425BHJP
   C01G 45/12 20060101ALI20220425BHJP
   H01G 11/24 20130101ALI20220425BHJP
   H01G 11/46 20130101ALI20220425BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20220425BHJP
【FI】
H01G11/86
C01G45/12
H01G11/24
H01G11/46
H01M4/505
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020514696
(86)(22)【出願日】2018-09-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 KR2018011262
(87)【国際公開番号】W WO2019066415
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-03-11
(31)【優先権主張番号】10-2017-0124428
(32)【優先日】2017-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0113045
(32)【優先日】2018-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジョンミン・ロ
(72)【発明者】
【氏名】ソクヒョン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ホスブ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ビュングク・リュ
【審査官】鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/082426(WO,A1)
【文献】特開2012-232890(JP,A)
【文献】特開2000-072443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 11/00-11/86
H01M 10/05-10/0587
H01M 10/36-10/39
H01M 4/00-4/62
C01G 25/00-47/00
C01G 49/10-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンガン塩を使用してマンガン酸化物ナノ粒子を生成させる段階;および
前記マンガン酸化物ナノ粒子とリチウム塩を混合して350~430℃で1時間~3.5時間熱処理した後に、650~750℃で2.5時間~8時間熱処理する2段階の熱処理段階;
を含む、リチウムマンガン酸化物系正極活物質の製造方法。
【請求項2】
前記マンガン塩は、硫酸マンガン、酢酸マンガン、塩化マンガン、硝酸マンガン、炭酸マンガンおよびその水和物または混合物からなる群より選択された1種以上であることを特徴とする、
請求項1に記載のリチウムマンガン酸化物系正極活物質の製造方法。
【請求項3】
前記マンガン酸化物ナノ粒子を生成させる段階で、前記マンガン塩は、酸化剤存在下で50℃以上および10kg/cm以下の条件で反応させることを特徴とする、
請求項1または2に記載のリチウムマンガン酸化物系正極活物質の製造方法。
【請求項4】
前記酸化剤は、過マンガン酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、塩化第二鉄、およびその水和物または混合物からなる群より選択された1種以上であることを特徴とする、
請求項3に記載のリチウムマンガン酸化物系正極活物質の製造方法。
【請求項5】
前記マンガン酸化物ナノ粒子は、ナノロッド形態を有することを特徴とする、
請求項1から4のいずれか一項に記載のリチウムマンガン酸化物系正極活物質の製造方法。
【請求項6】
前記マンガン酸化物ナノ粒子は、数平均長さが200~2000nm、数平均幅が20~100nmであることを特徴とする、
請求項1から5のいずれか一項に記載のリチウムマンガン酸化物系正極活物質の製造方法。
【請求項7】
前記マンガン酸化物ナノ粒子とリチウム塩は、2.3:0.7~1.7:1.3のモル比で混合して反応させることを特徴とする、
請求項1から6のいずれか一項に記載のリチウムマンガン酸化物系正極活物質の製造方法。
【請求項8】
前記熱処理段階は、酸素または空気を含む雰囲気条件下で行うことを特徴とする、
請求項1から7のいずれか一項に記載のリチウムマンガン酸化物系正極活物質の製造方法。
【請求項9】
前記熱処理段階は、前記マンガン酸化物ナノ粒子とリチウム塩を混合して380~415℃で1.5時間~2.5時間熱処理した後に、675~725℃で3時間~6時間熱処理して行うことを特徴とする、
請求項1から8のいずれか一項に記載のリチウムマンガン酸化物系正極活物質の製造方法。
【請求項10】
化学式1で表されるリチウムマンガン酸化物系正極活物質であって、
[化学式1]
Li Mn
上記化学式1中、
xは、0.7~1.3範囲の値を有する実数であり、
yは、1.7~2.3範囲の値を有する実数であり、
zは、x、yの酸化数によって決められ、1~4の整数であり、
数平均長さが200~2000nm、数平均幅が20~100nmのナノロッド形態を有し、
BETで測定した表面積が5m /g~30m /gである、リチウムマンガン酸化物系正極活物質
【請求項11】
1MのLiSO電解質でサイクリックボルタンメトリーで測定した比静電容量が243F/g以上であることを特徴とする、
請求項10に記載のリチウムマンガン酸化物系正極活物質。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は、2017年9月26日付韓国特許出願第10-2017-0124428号および2018年9月20日付韓国特許出願第10-2018-0113045号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、エネルギー貯蔵装置用リチウムマンガン酸化物系正極活物質の製造方法に関するものであって、特に、高温の条件下で長時間の熱処理工程を実施しなくても小さな大きさで高い表面積を有し比静電容量に優れたリチウムマンガン酸化物系正極活物質を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
全世界的にエネルギー需要が大きく増加するにつれて、エネルギー貯蔵容量が大きく出力も高いエネルギー貯蔵装置の必要性が台頭している。
【0004】
特に、最近適正なエネルギー密度と出力を有するエネルギー貯蔵装置の必要性が大きくなっている。既存の一般的なキャパシタよりエネルギー密度が高く、一般的なリチウムイオンバッテリーより出力の高いエネルギー貯蔵装置としてスーパーキャパシタに対する研究が多方面に行われている。このようなスーパーキャパシタは、エネルギーを貯蔵するメカニズムの方式によって簡単に電気二重層キャパシタ(electrical doublelayer capacitor、EDLC)とシュードキャパシタ(pseudo capacitor)に分類することができる。その中でも電極素材として金属酸化物を使用して金属イオンの酸化/還元反応を通じてエネルギーを貯蔵するシュードキャパシタの場合、炭素素材系スーパーキャパシタより比静電容量に優れることが知られている。また、有機電解質系リチウムイオンバッテリーの場合、衝撃と熱による爆発危険性があって水系電解質を使用する水系リチウムイオンバッテリーに対する研究も活発に行われている。
【0005】
このような高出力および高容量の電極素材を製造するためには、電極材料として使用される金属酸化物の大きさを小さくして表面積をできるだけ広くすることが有利である。表面積が広くてこそ電解質と電極の間の界面が広くなって酸化/還元反応が円滑に起こるためである。しかし、金属酸化物は通常、高温の熱処理工程後に粒子がかたまることによって粒子が大きくなり表面積が減少して高出力シュードキャパシタおよびバッテリーに直ぐに適用するのは難しい。
【0006】
したがって、エネルギーと時間を最少化し複雑な合成工程を経ずに、高温の熱処理後にも大きさが小さくて表面積が広い電極素材を合成する方法に対する研究が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、高温の条件下で長時間の熱処理工程なくエネルギーと時間を最少化して、大きさが小さくて比表面積が広いながら比静電容量に優れたリチウムマンガン酸化物系正極活物質を効率的に製造する方法を提供しようとする。
【0008】
また、本発明は、前述のような方法で製造されたリチウムマンガン酸化物系正極活物質を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の一実施形態によれば、マンガン塩を使用してマンガン酸化物ナノ粒子を生成させる段階;および前記マンガン酸化物ナノ粒子とリチウム塩を混合して350~430℃で1時間~3.5時間熱処理した後に、650~750℃で2.5時間~8時間熱処理する段階;を含む、リチウムマンガン酸化物系正極活物質の製造方法が提供される。
【0010】
一方、発明の他の一実施形態によれば、前述のような方法で製造されたリチウムマンガン酸化物系正極活物質が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ナノ構造を有するマンガン酸化物を先ず製造した後、リチウム塩と混合して最適範囲で段階的に熱処理を行うことによってリチウムマンガン酸化物が合成されるのに使用されるエネルギーおよび時間を節約することができるだけでなく、熱処理後に合成されたリチウムマンガン酸化物の大きさは小さく表面積は広く維持し高い比静電容量を実現することができる優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1によって製造されたMnOおよびLiMnのナノ粒子を5万倍の倍率で拡大して測定したSEM写真である(左:MnO、右:LiMn)。
図2】実施例1によって製造されたLiMnのナノ粒子を含む正極活物質を使用して製造したシュードキャパシタ用正極電極に対してサイクリックボルタンメトリーで測定したCVグラフである(x軸:電位(potential)、y軸:電流(current)、比静電容量:257.51F/g)。
図3】比較例1によって製造されたLiMnのナノ粒子を含む正極活物質を使用して製造したシュードキャパシタ用正極電極に対してサイクリックボルタンメトリーで測定したCVグラフである(x軸:電位(potential)、y軸:電流(current)、比静電容量:242.61F/g)。
図4】比較例2によって製造されたLiMnのナノ粒子を含む正極活物質を使用して製造したシュードキャパシタ用正極電極に対してサイクリックボルタンメトリーで測定したCVグラフである(x軸:電位(potential)、y軸:電流(current)、比静電容量:234.51F/g)。
図5】比較例3によって製造されたMnOおよびLiMnのナノ粒子を5万倍の倍率で拡大して測定したSEM写真である(左:MnO、右:LiMn)。
図6】比較例3によって製造されたLiMnのナノ粒子を含む正極活物質を使用して製造したシュードキャパシタ用正極電極に対してサイクリックボルタンメトリーで測定したCVグラフである(x軸:電位(potential)、y軸:電流(current)、比静電容量:194.10F/g)。
図7】比較例4によって製造されたMnOおよびLiMnのナノ粒子を5万倍の倍率で拡大して測定したSEM写真である(左:MnO、右:LiMn)。
図8】比較例4によって製造されたLiMnのナノ粒子を含む正極活物質を使用して製造したシュードキャパシタ用正極電極に対してサイクリックボルタンメトリーで測定したCVグラフである(x軸:電位(potential)、y軸:電流(current)、比静電容量:207.05F/g)。
図9】比較例5によって製造されたLiMnのナノ粒子を含む正極活物質を使用して製造したシュードキャパシタ用正極電極に対してサイクリックボルタンメトリーで測定したCVグラフである(x軸:電位(potential)、y軸:電流(current)、比静電容量:191.92F/g)。
図10】比較例6によって製造されたLiMnのナノ粒子を含む正極活物質を使用して製造したシュードキャパシタ用正極電極に対してサイクリックボルタンメトリーで測定したCVグラフである(x軸:電位(potential)、y軸:電流(current)、比静電容量:211.79F/g)。
図11】比較例9によって市販のLiMn粒子を2万倍の倍率で拡大して測定したSEM写真である。
図12】比較例9によって市販のLiMn粒子を含む正極活物質を使用して製造したシュードキャパシタ用正極電極に対してサイクリックボルタンメトリーで測定したCVグラフである(x軸:電位(potential)、y軸:電流(current)、比静電容量:185.51F/g)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明において、第1、第2などの用語は多様な構成要素を説明するのに使用され、前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使用される。
【0014】
また、本明細書で使用される用語は単に例示的な実施例を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書で、“含む”、“備える”または“有する”などの用語は実施された特徴、数字、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在するのを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、構成要素、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないと理解されなければならない。
【0015】
本発明は多様な変更を加えることができ様々な形態を有することができるので、特定実施例を例示して下記で詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むと理解されなければならない。
【0016】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
発明の一実施形態によれば、マンガン塩を使用してマンガン酸化物ナノ粒子を生成させる段階;および前記マンガン酸化物ナノ粒子とリチウム塩を混合して350~430℃で1時間~3.5時間熱処理した後に、650~750℃で2.5時間~8時間熱処理する段階;を含む、リチウムマンガン酸化物系正極活物質の製造方法が提供される。
【0017】
本発明は、エネルギー密度と出力が全て高いエネルギー貯蔵装置としてシュードキャパシタ(pseudo capacitor)およびリチウムイオンバッテリーの正極に使用可能なリチウムマンガン酸化物系正極活物質を、ナノ構造のマンガン酸化物を先ず合成した後にリチウム塩と混合して最適化された条件下で段階的に熱処理して高温の熱処理工程を長時間行わず簡便な工程でも容易に合成することを特徴とする。
【0018】
従来は主にマンガン塩とリチウム塩を直接乾式あるいは湿式で混合した後に高温の熱処理を通じてリチウムマンガン酸化物を合成したが、リチウムマンガン酸化物の結晶性を増加させるための熱処理時間が非常に長いだけでなく、製造されたリチウムマンガン酸化物の粒子の大きさが数マイクロメートル(μm)~数十マイクロメートル(μm)であって非常に大きく表面積が狭くて瞬間的に高出力を出さなければならないシュードキャパシタには適しない。これにより、本発明はナノ構造を有するマンガン酸化物を先ず製造した後、リチウム塩と混合して段階的に熱処理を行うことによってリチウムマンガン酸化物が合成されるのに使用されるエネルギーおよび時間を節約することができるだけでなく、熱処理後に合成されたリチウムマンガン酸化物の大きさは小さく表面積は広く維持することが可能である。
【0019】
まず、本発明でマンガン酸化物ナノ粒子を生成させる出発物質としてマンガン塩は、硫酸マンガン(manganese sulphate)、酢酸マンガン(manganese acetate)、塩化マンガン(manganese chloride)、硝酸マンガン(manganese nitrate)、炭酸マンガン(manganese carbonate)、およびその水和物または混合物からなる群より選択された1種以上であってもよい。
【0020】
発明の好ましい一実施形態で、前記マンガン酸化物ナノ粒子を生成させる段階は、前記マンガン塩を酸化剤存在下で約50℃以上、または約50℃~約150℃、あるいは約50℃~約100℃で反応させることで行うことができる。前記マンガン酸化物生成反応を水溶液状態で行うことができる。この時、反応時間は反応温度および加圧条件によって変ってもよく、約2時間以上または約2時間~約72時間反応を行うことができる。また、前記マンガン酸化物ナノ粒子を生成させる段階は、オートクレーブなどを使用して高温高圧の水熱合成法を適用しなくてもよいため、約10kg/cm以下または約1kg/cm~約10kg/cm、あるいは約1kg/cm~約3kg/cmの圧力条件下でまたは常圧条件下で反応させることができる。特に、前記マンガン塩は高温の水熱合成反応でない、水溶液状態で約50~100℃、あるいは約60~90℃の温度下で酸化剤とフラスコ(flask)反応を通じてマンガン酸化物ナノ粒子を生成させることができる。この時、前記フラスコ反応は常圧(約1atm)条件下で行うことができる。例えば、前記マンガン塩は水溶液状態で約50~100℃、あるいは約60~90℃で一晩反応(overnight、約12~18時間)または約12時間~約36時間、あるいは約12時間~約24時間の条件下で酸化剤と反応させることができる。
【0021】
この時、酸化剤としては、過マンガン酸カリウム(potassium permanganate、KMnO)、過硫酸アンモニウム(ammonium persulfate)、過酸化水素(hydrogen peroxide)、塩化第二鉄(ferric chloride)、およびその水和物または混合物からなる群より選択された1種以上を使用することができる。この中で、マンガン酸化物ナノ粒子とリチウム塩を混合してリチウムマンガン酸化物生成時、リチウムマンガン酸化物の結晶相形成が効果的に行われるようにする側面から過マンガン酸カリウムを使用することができる。
【0022】
このように生成されたマンガン酸化物ナノ粒子は、αまたはγ-MnOの結晶構造を有しナノロッド形態を有するものであってもよい。前記マンガン酸化物ナノ粒子に対して走査電子顕微鏡(SEM、scanning electron microscope)などを使用して測定した数平均長さは200~2,000nm、あるいは200~1,000nm、あるいは200~500nmであってもよい。また、前記マンガン酸化物ナノ粒子の数平均幅は20~100nm、あるいは20~50nm、あるいは20~30nmであってもよい。
【0023】
通常、水溶液状態でマンガン酸化物ナノ粒子はナノロッド、ナノワイヤあるいはナノ平面形態に成長し、これはリチウムマンガン酸化物正極活物質を製造する時にマンガン酸化物ナノ粒子が一種の骨組み役割を果たしてリチウムマンガン酸化物が数マイクロメートルの大きさに大きく成長するのを防止することができる。マンガン酸化物ナノ粒子の代わりにマンガン塩とリチウム塩を混合して熱処理する場合、リチウムマンガン酸化物が特定の大きさおよび形態を有さず、数マイクロメートル大きさで形成される。特に、リチウムマンガン酸化物はリチウムイオンのデインターカレーション(de-intercalation)およびインターカレーション(intercalation)によって充電および放電特性を示し、リチウムイオンのデインターカレーション(de-intercalation)およびインターカレーション(intercalation)はリチウムマンガン酸化物の表面のみで行われる。そのためにリチウムマンガン酸化物をできるだけ小さく作って比表面積を増加させることによって比静電容量を極大化することができる。
【0024】
本発明では、このように生成されたマンガン酸化物ナノ粒子とリチウム塩を混合して所定の条件下で段階的に熱処理してリチウムマンガン酸化物系正極活物質を製造する。
【0025】
前記リチウム塩は、水酸化リチウム(lithium hydroxide)、炭酸リチウム(lithium carbonate)、酢酸リチウム(lithium acetate)、塩化リチウム(lithium chloride)、硝酸リチウム(lithium nitrate)、およびその水和物または混合物からなる群より選択された1種以上であってもよい。
【0026】
前記マンガン酸化物ナノ粒子とリチウム塩は2.3:0.7~1.7:1.3のモル比(Mn:Li)で混合して反応させることができ、例えば、2.1:0.9~1.9:1.1であってもよく、より具体的には2.05:0.95~1.95:1.05であってもよい。リチウムマンガン酸化物中のLiMnが構造的に安定した組成をなすようにする側面から、マンガン酸化物ナノ粒子とリチウム塩は前述のようなモル比範囲で混合して反応させることができる。このようなマンガン酸化物ナノ粒子とリチウム塩のモル比範囲を外れる場合、LiMn構造以外にも反応せず残ったマンガン酸化物およびMn構造が生成されることがある。
【0027】
このようにマンガン酸化物ナノ粒子とリチウム塩を混合した後には、先ず、350~430℃で1時間~3.5時間1次熱処理を行い、直ぐに連続して焼結炉の温度を650~750℃に上昇させた後に650~750℃で2.5時間~8時間2次熱処理を行って、大きさが小さく表面積が広いながら比静電容量に優れたリチウムマンガン酸化物を合成することができる。
【0028】
1次熱処理の場合、350℃以上で行うことになり、通常、350℃以上でマンガン酸化物-リチウム塩混合物がLiMn構造に変わり始める。さらに詳しくはマンガン酸化物-リチウム塩混合物内でLiMn種結晶(crystal seed)が生じるので、350℃未満である場合にこのようなLiMn構造への変換が現れないことがある。その後、650℃以上の温度に昇温することになれば、混合物内のLiMn種結晶が大きく成長して混合物全体がLiMnに変わるようになる。但し、750℃以上の温度ではLiMn種結晶がより速く成長するが、LiMn以外にもMn構造が成長し始める。そして、430℃を超過する高温で1次熱処理を行う場合にLiMn種結晶が、温度350℃以上から430℃以下範囲の時よりさらに多く生じることがある。しかし、これは、後で2次熱処理を通じて650℃以上の温度を加えることになれば最終的に350℃以上から430℃以下の範囲で1次熱処理を行った混合物よりLiMn結晶大きさが小さくなるので、電気化学的性能が結晶の大きさの大きいLiMnより減少するようになる。例えば、LiMn単結晶の大きさが大きいほど結晶性が高く、通常、結晶性が高いほど電気化学的性能も優れる。逆に、小さい単結晶が集まっているLiMn多結晶(polycrystal)の場合、結晶の間の結晶粒界(grain boundary)間電荷伝達(charge transfer)抵抗が大きいため、電気化学的性能が単結晶に比べて良くない。
【0029】
ここで、前記1次熱処理工程はLiMn種結晶を生成するための工程に該当するものであって、350~430℃、または370~420℃で1時間~3.5時間、あるいは380℃~415℃で1.5時間~2.5時間行うことができる。特に、前記1次熱処理工程温度はLiMn種結晶を予め生成するための側面から350℃以上で行わなければならず、LiMn種結晶の数を少なく維持するための側面から430℃下で行わなければならない。ここで、このような1次熱処理工程の温度および時間は互いに相補的関係を維持することになり、熱処理工程温度を低い範囲で適用時には熱処理工程時間を長く適用することが好ましく、熱処理工程温度を高い範囲で適用時には熱処理工程時間を短く適用することが好ましい。例えば、1次熱処理工程温度が350~390℃である場合には、熱処理時間は2~3.5時間で適用することができる。また、1次熱処理工程温度が390~430℃である場合には、熱処理時間は1~2時間で適用することができる。但し、前記1次熱処理工程時間はLiMn種結晶生成が始まるための側面から1時間以上で行わなければならず、LiMn種結晶の数を少なく維持するための側面から3.5時間以下に行わなければならない。
【0030】
前記1次熱処理工程を行った後に、続いて焼結炉の温度を高温に上昇させて2次熱処理工程を行う。前記2次熱処理工程は1次熱処理工程で生成したLiMn種結晶を成長させるための工程に該当するものであって、650~750℃、または660~740℃で2.5時間~8時間、あるいは675~725℃で3時間~6時間、あるいは680~715℃で3.5時間~5時間行うことができる。特に、前記2次熱処理工程温度はLiMn種結晶を急速に成長させるための側面から650℃以上で行わなければならず、LiMn以外にMn結晶が生成されないための側面から750℃下で行わなければならない。ここで、このような2次熱処理工程の温度および時間は互いに相補的関係を維持するようになり、熱処理工程温度を低い範囲で適用時には熱処理工程時間を長く適用することが好ましく、熱処理工程温度を高い範囲で適用時には熱処理工程時間を短く適用することが好ましい。例えば、2次熱処理工程温度が650~700℃である場合には、熱処理時間は4~8時間で適用することができる。また、2次熱処理工程温度が700~750℃である場合には、熱処理時間は2.5~4時間で適用することができる。但し、前記2次熱処理工程時間はLiMn結晶が十分に完全に成長するための側面から2.5時間以上で行わなければならず、LiMn結晶が完全に成長した後にLiMnナノロッド形態を維持するための側面から8時間以下に行わなければならない。特に、過度に長い時間2次熱処理工程を行う場合、LiMnナノ粒子がひとかたまりになり始め表面積が減少するようになる。
【0031】
前記熱処理する段階は、酸素または空気を含む雰囲気条件下で行うことができる。特に、前記熱処理時にマンガン酸化物ナノ粒子とリチウム塩混合物が十分に反応してリチウムマンガン酸化物が効果的に生成され、マンガン酸化物ナノ粒子がナノ構造が無くなりながらMnOに還元されることが発生しないようにするためには、酸素を含む条件下で熱処理工程を行うことが好ましい。
【0032】
前記リチウムマンガン酸化物系正極活物質の具体的な製造方法は、後述の実施例を参考にすることができる。しかし、リチウムマンガン酸化物系正極活物質の製造方法が本明細書に記述した内容に限定されるのではなく、前記製造方法は本発明の属する技術分野における通常採用する段階を追加的に採用することができ、前記製造方法の段階は通常変更可能な段階によって変更できる。
【0033】
一方、発明の他の実施形態によれば、前述のような方法で製造されたリチウムマンガン酸化物系正極活物質が提供される。
【0034】
前記リチウムマンガン酸化物系正極活物質は下記化学式1で表されるものであってもよく、一例としてLiMn、Li1.05Mn1.95、Li1.12Mn1.88、Li1.24Mn1.76などであってもよい。
[化学式1]
LiMn
上記化学式1中、
xは、0.7~1.3範囲の値を有する実数であり、あるいは0.85~1.15範囲の値を有する実数であり、
yは、1.7~2.3範囲の値を有する実数であり、あるいは1.85~2.15範囲の値を有する実数であり、
zは、x、yの酸化数によって決められ、例えば1~4の整数、好ましくは4である。
【0035】
特に、本発明によるリチウムマンガン酸化物系正極活物質は、前述のようにマンガン酸化物ナノ粒子を合成した後にリチウム塩と混合して最適化された条件下で段階的に熱処理工程を行うことによって、従来のマンガン塩とリチウム塩を混合した後に熱処理工程を行った時、比表面積の小さい数マイクロメートル大きさのアモルファス構造でない、比表面積が相対的に大きいナノ粒子およびロッド構造を有することを特徴とするものである。より具体的に、このような構造的特徴は、ナノメートル程度に大きさが小さく表面積が広くてリチウムイオンのインターカレーション(intercalation)およびデインターカレーション(de-intercalation)を極大化することができる長所を有する。
【0036】
一例として、前記リチウムマンガン酸化物系正極活物質はBETで測定した表面積が5m/g~30m/gであってもよく、好ましくは15~30m/gまたは15m/g以上であってもよい。
【0037】
また、前記リチウムマンガン酸化物系正極活物質はナノ粒子およびロッド形態を有するものであってもよく、走査電子顕微鏡(SEM、scanning electron microscope)などで測定した数平均長さが100~500nm、好ましくは100~300nm、より好ましくは100~200nmであってもよい。数平均幅は20~200nm、好ましくは20~100nm、より好ましくは20~50nmであってもよい。特に、リチウムのインターカレーション(intercalation)およびデインターカレーション(de-intercalation)は表面で起こった後に内部にリチウムイオンが拡散されるため数平均長さよりは数平均幅が小さいほどリチウムイオンがリチウムマンガン酸化物内部まで拡散されやすくて比静電容量がさらに大きい。
【0038】
本発明の一実施形態によるリチウムマンガン酸化物系正極活物質の電気的な特性を測定するためにNMP(N-methyl-2-pyrrolidone)溶液に活性物質である正極組成物と電流を伝達するための導電材料であるアセチレンブラック(acetylene black)、粒子を固定するバインダーの役割のポリビニリデンフルオライド(polyvinylidene fluoride)を7:2:1の重量比で混合した溶液を炭素(carbon)電極に塗布して乾燥した後、サイクリックボルタンメトリー(cyclic voltammetry)で比静電容量を測定することができる。この時、リチウムマンガン酸化物系正極活物質を使用したテストインクに対してサイクリックボルタンメトリーで測定した比静電容量が、1Mの硫酸リチウム(LiSO)電解質で243F/g以上または243~300F/gであってもよく、好ましくは245F/g以上または245~300F/gの数値が示され得る。特に、活性物質のみ基準にして測定時には286F/g以上または286~429F/gが示され得る。
【0039】
本発明において前記記載された内容以外の事項は必要によって加減が可能なものであるので、本発明では特に限定しない。
以下、本発明の理解のために好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、これによって本発明の内容が限定されるのではない。
【実施例
【0040】
<実施例>
実施例1
1-1.MnOの合成
次のような方法でフラスコ(flask)反応を通じてナノロッド形態のMnO粒子を製造した。
先ず、10mmolのMnSO・HO、10mmolのKMnOを100mLの水(water)と混合して水溶液を製造した後に常温常圧で約30分間攪拌した。その後、前記混合水溶液は常圧、約80度(℃)の温度条件下で一晩反応(overnight、約12~18時間)で攪拌しながら加熱反応を行って、数平均幅が約30nmであり数平均長さが約500nmであるナノロッド形態のMnOナノ粒子を生成させた。
【0041】
1-2.LiMnの合成
前記1-1段階で合成したMnOナノ粒子とLiOH・HOを2:1モル比でエタノールと混合した後、エタノールを蒸発させて均一なMnO-LiOH・HO混合粉末を得た。このように得られたMnO-LiOH・HO混合粉末を空気(air)雰囲気下で約400℃で約2時間熱処理した後に、約700℃に温度を上昇させて約4時間追加的に熱処理して、数平均幅が約50nmであり数平均長さが約300nmであるナノロッド形態が維持されたLiMnナノ粒子を製造した。
【0042】
前記1-1段階で生成されたMnOナノ粒子と1-2段階で生成されたLiMnのナノ粒子に対して、走査電子顕微鏡(SEM、scanning electron microscope)で写真を測定して図1に示した(図1の左:MnOナノ粒子、右:LiMnナノ粒子)。特に、MnOがLiMnになるにつれてナノロッドが短くなり太くなるが、ナノ構造は維持されるのを確認することができた。
【0043】
また、このように生成されたLiMnのナノ粒子をNMP(N-methyl-2-pyrrolidone)溶液に電流を伝達するための導電材料であるアセチレンブラック(acetylene black)、粒子を固定するバインダー役割のポリビニリデンフルオライド(polyvinylidene fluoride)と7:2:1の重量比で混合した溶液を炭素(carbon)電極に塗布して乾燥してシュードキャパシタ用正極電極を製造した。このようにLiMnのナノ粒子を使用して製造したシュードキャパシタ用正極電極に対して、サイクリックボルタンメトリー(CV、cyclic voltammetry)でCVグラフを測定して図2に示した。この時、サイクリックボルタンメトリーで測定した比静電容量は257.51F/gの高い数値を示した。
【0044】
実施例2
実施例1の1-1段階でMnSO・HOを酢酸マンガン(manganese acetate)に変更してMnOナノ粒子を製造したことを除いては、実施例1と同様な方法を行って数平均幅が約50nmであり数平均長さが約400nmである多少先が鋭くないナノロッド形態のLiMnナノ粒子を製造した。
【0045】
このように生成されたLiMnのナノ粒子を含むリチウムマンガン酸化物系正極活物質を使用して製造したシュードキャパシタ用正極電極に対して、サイクリックボルタンメトリーで測定した比静電容量は253.45F/gと確認された。
【0046】
実施例3
実施例1の1-1段階でKMnOを過硫酸アンモニウム(ammonium persulfate)に変更してMnOナノ粒子を製造したことを除いては、実施例1と同様な方法を行って数平均幅が約30nmであり数平均長さが約500nmであるナノロッド形態のLiMnナノ粒子を製造した。
【0047】
このように生成されたLiMnのナノ粒子を含むリチウムマンガン酸化物系正極活物質を使用して製造したシュードキャパシタ用正極電極に対して、サイクリックボルタンメトリーで測定した比静電容量は245.76F/gと確認された。
【0048】
実施例4
実施例1の1-1段階で合成温度を100℃に変更してMnOナノ粒子を製造したことを除いては、実施例1と同様な方法を行って数平均幅が約30nmであり数平均長さが約500nmであるナノロッド形態が維持されたLiMnナノ粒子を製造した。
【0049】
このように生成されたLiMnのナノ粒子を含むリチウムマンガン酸化物系正極活物質を使用して製造したシュードキャパシタ用正極電極に対して、サイクリックボルタンメトリーで測定した比静電容量は247.92F/gと確認された。
【0050】
実施例5
実施例1の1-1段階で合成時間を36時間に変更してMnOナノ粒子を製造したことを除いては、実施例1と同様な方法を行って数平均幅が約30nmであり数平均長さが約500nmであるナノロッド形態が維持されたLiMnナノ粒子を製造した。
【0051】
このように生成されたLiMnのナノ粒子を含むリチウムマンガン酸化物系正極活物質を使用して製造したシュードキャパシタ用正極電極に対して、サイクリックボルタンメトリーで測定した比静電容量は248.24F/gと確認された。
【0052】
実施例6
実施例1の1-2段階でMnOナノ粒子とLiOH・HOを2.1:1.9のモル比で混合した後に熱処理工程を行ったことを除いては、実施例1と同様な方法を行って数平均幅が約50nmであり数平均長さが約300nmであるナノロッド形態が維持されたLiMnナノ粒子を製造した。
【0053】
このように生成されたLiMnのナノ粒子を含むリチウムマンガン酸化物系正極活物質を使用して製造したシュードキャパシタ用正極電極に対して、サイクリックボルタンメトリーで測定した比静電容量は256.72F/gと確認された。
【0054】
実施例7
実施例1の1-2段階でMnO-LiOH・HO混合粉末を空気(air)雰囲気下で約430℃で約2時間熱処理した後に、約750℃に温度を上昇させて約4時間追加的に熱処理したことを除いては、実施例1と同様な方法を行って数平均幅が約60nmであり数平均長さが約300nmであるナノロッド形態が維持されたLiMnナノ粒子を製造した。
【0055】
このように生成されたLiMnのナノ粒子を含むリチウムマンガン酸化物系正極活物質を使用して製造したシュードキャパシタ用正極電極に対して、サイクリックボルタンメトリーで測定した比静電容量は256.12F/gと確認された。
【0056】
実施例8
実施例1の1-2段階でMnO-LiOH・HO混合粉末を空気(air)雰囲気下で約400℃で約1時間熱処理した後に、約700℃に温度を上昇させて約2.5時間追加的に熱処理したことを除いては、実施例1と同様な方法を行って数平均幅が約40nmであり数平均長さが約400nmであるナノロッド形態が維持されたLiMnナノ粒子を製造した。
【0057】
このように生成されたLiMnのナノ粒子を含むリチウムマンガン酸化物系正極活物質を使用して製造したシュードキャパシタ用正極電極に対して、サイクリックボルタンメトリーで測定した比静電容量は251.35F/gと確認された。
【0058】
実施例9
実施例1の1-2段階でMnO-LiOH・HO混合粉末を空気(air)雰囲気下で約350℃で約3.5時間熱処理した後に、約700℃に温度を上昇させて約4時間追加的に熱処理したことを除いては、実施例1と同様な方法を行って数平均幅が約50nmであり数平均長さが約300nmであるナノロッド形態が維持されたLiMnナノ粒子を製造した。
【0059】
このように生成されたLiMnのナノ粒子を含むリチウムマンガン酸化物系正極活物質を使用して製造したシュードキャパシタ用正極電極に対して、サイクリックボルタンメトリーで測定した比静電容量は253.35F/gと確認された。
【0060】
実施例10
実施例1の1-2段階でMnO-LiOH・HO混合粉末を空気(air)雰囲気下で約400℃で約2時間熱処理した後に、約650℃に温度を上昇させて約8時間追加的に熱処理したことを除いては、実施例1と同様な方法を行って数平均幅が約40nmであり数平均長さが約500nmであるナノロッド形態が維持されたLiMnナノ粒子を製造した。
【0061】
このように生成されたLiMnのナノ粒子を含むリチウムマンガン酸化物系正極活物質を使用して製造したシュードキャパシタ用正極電極に対して、サイクリックボルタンメトリーで測定した比静電容量は251.07F/gと確認された。
【0062】
比較例1
実施例1の1-2段階でMnO-LiOH・HO混合粉末を空気(air)雰囲気下で約400℃で約2時間熱処理した後に、約700℃に温度を上昇させ約2時間に時間を短縮して熱処理を行ったことを除いては、実施例1と同様な方法を行って数平均幅が約30nmであり数平均長さが約500nmであるナノロッド形態のLiMnナノ粒子を製造した。
【0063】
このように生成されたLiMnのナノ粒子を含むリチウムマンガン酸化物系正極活物質を使用して製造したシュードキャパシタ用正極電極に対して、サイクリックボルタンメトリー(CV、cyclic voltammetry)でCVグラフを測定して図3に示した。この時、サイクリックボルタンメトリーで測定した比静電容量は242.61F/gと確認された。特に、比較例1の場合、LiMnナノ粒子の結晶性が良くないことによって、同一な反応物であるMnSO・HOとKMnOを使用した実施例1と比較した時、比静電容量が顕著に低下したことが分かる。
【0064】
比較例2
実施例1の1-2段階でMnO-LiOH・HO混合粉末を空気(air)雰囲気下で約400℃で約4時間に時間を延長して熱処理した後に、約700℃に温度を上昇させて約4時間追加的に熱処理を行ったことを除いては、実施例1と同様な方法を行って数平均幅が約30nmであり数平均長さが約500nmであるナノロッド形態のLiMnナノ粒子を製造した。
【0065】
このように生成されたLiMnのナノ粒子を含むリチウムマンガン酸化物系正極活物質を使用して製造したシュードキャパシタ用正極電極に対して、サイクリックボルタンメトリー(CV、cyclic voltammetry)でCVグラフを測定して図4に示した。この時、サイクリックボルタンメトリーで測定した比静電容量は234.51F/gと確認された。特に、比較例2の場合、400℃で熱処理時間を4時間に延長して行ったにもかかわらず、むしろ同一な反応物であるMnSO・HOとKMnOを使用した実施例1と比較した時、比静電容量が顕著に低下したことが分かる。
【0066】
比較例3
実施例1の1-2段階でMnO-LiOH・HO混合粉末を空気(air)雰囲気下で約400℃での熱処理工程を行うことなく直ぐに約700℃で約4時間熱処理したことを除いては、実施例1と同様な方法を行って数平均幅が約30nmであり数平均長さが約500nmであるナノロッド形態のLiMnナノ粒子を製造した。
【0067】
このように生成されたMnOのナノ粒子とLiMnのナノ粒子に対して、走査電子顕微鏡(SEM、scanning electron microscope)で写真を測定して図5に示した(図5の左:MnOナノ粒子、右:LiMnナノ粒子)。また、このように生成されたLiMnのナノ粒子を含むリチウムマンガン酸化物系正極活物質を使用して製造したシュードキャパシタ用正極電極に対して、サイクリックボルタンメトリー(CV、cyclic voltammetry)でCVグラフを測定して図2に示した。この時、サイクリックボルタンメトリーで測定した比静電容量は194.10F/gと確認された。特に、比較例3によって製造されたMnOおよびLiMnの粒子形態は実施例1によって製造されたMnOおよびLiMnと大きく異ならないと見られるが、比静電容量が顕著に落ちるのを確認することができた。
【0068】
比較例4
4-1.MnOの合成
次のような方法で水熱合成法でナノロッド形態のMnO粒子を製造した。
まず、10mmolのMnSO・HO、10mmolのKMnOを100mLの水(water)と混合して水溶液を製造した後に常温常圧で約30分間攪拌した。その後、前記混合水溶液を内部圧力が約3.8bar条件で駆動されるオートクレーブ(autoclave)に入れ、内部温度が約160度(℃)の条件下で約6時間高温高圧の水熱合成工程を行って数平均幅が約40nmであり数平均長さが約700nmであるナノロッド形態のMnOナノ粒子を生成させた。
【0069】
4-2.LiMnの合成
前記4-1段階で水熱合成法で生成されたMnOナノ粒子とLiOH・HOを2:1モル比でエタノールと混合した後、エタノールを蒸発させて均一なMnO-LiOH・HO混合粉末を得た。このように得られたMnO-LiOH・HO混合粉末を空気(air)雰囲気下で約400℃で熱処理工程を行わず、直ぐに約700℃で約4時間熱処理して、数平均幅が約70nmであり数平均長さが約400nmであるナノロッド形態が維持されたLiMnナノ粒子を製造した。
【0070】
前記4-1段階で水熱合成法で生成されたMnOナノ粒子と4-2段階で生成されたLiMnのナノ粒子に対して、走査電子顕微鏡(SEM、scanning electron microscope)で写真を測定して図7に示した(図7の左:MnOナノ粒子、右:LiMnナノ粒子)。また、このように生成されたLiMnのナノ粒子を含むリチウムマンガン酸化物系正極活物質を使用して製造したシュードキャパシタ用正極電極に対して、サイクリックボルタンメトリー(CV、cyclic voltammetry)でCVグラフを測定して図8に示した。この時、サイクリックボルタンメトリーで測定した比静電容量は207.05F/gと確認された。
【0071】
特に、比較例4の場合、水熱合成法でMnOを合成することによって工程費用が増加するだけでなく、MnOナノ粒子自体がフラスコ反応よりさらに大きく生成されるため、リチウム塩を混合した後に熱処理して生成されたLiMnのナノ粒子大きさも大きくなる。これにより、比較例4によって生成されたリチウムマンガン酸化物ナノ粒子を使用する場合に、水熱合成法を適用しない実施例1より同一質量に対する表面積が減少することによって比静電容量が顕著に落ちると確認される。
【0072】
比較例5
実施例1の1-2段階でMnO-LiOH・HO混合粉末を空気(air)雰囲気下で約400℃で約2時間熱処理した後に、約500℃に温度を上昇させて約4時間追加的に熱処理を行ったことを除いては、実施例1と同様な方法を行って数平均幅が約30nmであり数平均長さが約500nmであるナノロッド形態のLiMnナノ粒子を製造した。
【0073】
このように生成されたLiMnのナノ粒子を含むリチウムマンガン酸化物系正極活物質を使用して製造したシュードキャパシタ用正極電極に対して、サイクリックボルタンメトリー(CV、cyclic voltammetry)でCVグラフを測定して図9に示した。この時、サイクリックボルタンメトリーで測定した比静電容量は191.92F/gと確認された。
【0074】
比較例6
実施例1の1-2段階でMnO-LiOH・HO混合粉末を空気(air)雰囲気下で約400℃で約2時間熱処理した後に、約800℃に温度を上昇させて約4時間追加的に熱処理を行ったことを除いては、実施例1と同様な方法を行って数平均幅が約30nmであり数平均長さが約500nmであるナノロッド形態のLiMnナノ粒子を製造した。
【0075】
このように生成されたLiMnのナノ粒子を含むリチウムマンガン酸化物系正極活物質を使用して製造したシュードキャパシタ用正極電極に対して、サイクリックボルタンメトリー(CV、cyclic voltammetry)でCVグラフを測定して図10に示した。この時、サイクリックボルタンメトリーで測定した比静電容量は211.79F/gと確認された。
【0076】
比較例7
実施例1の1-2段階でMnO-LiOH・HO混合粉末を空気(air)雰囲気下で約300℃で約4時間熱処理した後に、約750℃に温度を上昇させて約24時間追加的に熱処理したことを除いては、実施例1と同様な方法を行って数平均幅が約70nmであり数平均長さが約200nmであるナノロッド形態が維持されたLiMnナノ粒子を製造した。
【0077】
このように生成されたLiMnのナノ粒子を含むリチウムマンガン酸化物系正極活物質を使用して製造したシュードキャパシタ用正極電極に対して、サイクリックボルタンメトリーで測定した比静電容量は201.45F/gと確認された。
【0078】
比較例8
実施例1の1-1段階を行わず、マンガン塩であるMnSO・HOとリチウム塩であるLiCOを2:1のモル比で混合した後に、空気(air)雰囲気下で約750℃で約10時間熱処理して、大きさが約1~5μmであるLiMn粒子を製造した。
【0079】
このように生成されたLiMnのナノ粒子を含むリチウムマンガン酸化物系正極活物質を使用して製造したシュードキャパシタ用正極電極に対して、サイクリックボルタンメトリーで測定した比静電容量は193.42F/g程度に顕著に低下されることが分かる。
【0080】
比較例9
一般に市販されているリチウムマンガン酸化物(LiMn、electrochemical grade、482277 Aldrich、<5μm)に対して、走査電子顕微鏡(SEM、scanning electron microscope)で写真を測定して図11に表し、前記リチウムマンガン酸化物を使用して製造したシュードキャパシタ用正極電極に対してサイクリックボルタンメトリー(CV、cyclic voltammetry)でCVグラフを測定して図12に示した。この時、サイクリックボルタンメトリーで測定した比静電容量は185.51F/gと確認された。特に、電気化学素材等級として市販されている商用のLiMnであるとしても粒子が数マイクロメートル大きさで非常に大きく、粒子の大きさが大きくて表面積が小さいので185.51F/g程度に過ぎない低い比静電容量が示されることが分かる。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
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図10
図11
図12