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特許7062167ガスケット圧縮リミッタを備えている電池パック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】ガスケット圧縮リミッタを備えている電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/20 20210101AFI20220425BHJP
【FI】
H01M50/20
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018536124
(86)(22)【出願日】2017-11-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-02-28
(86)【国際出願番号】 KR2017012309
(87)【国際公開番号】W WO2018097500
(87)【国際公開日】2018-05-31
【審査請求日】2018-07-10
【審判番号】
【審判請求日】2020-07-22
(31)【優先権主張番号】10-2016-0155860
(32)【優先日】2016-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ヒ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ミン・スン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ヒ・ジュン
【合議体】
【審判長】清水 稔
【審判官】須原 宏光
【審判官】山本 章裕
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0058440(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルを備える電池モジュールアセンブリと、
前記電池モジュールアセンブリが上面に搭載されるトレイ(tray)アセンブリと、
前記電池モジュールアセンブリを内蔵した状態でトレイアセンブリの上面における外周辺部位がトレイアセンブリの外周辺部位と対面結合されるカバー(cover)部材と、
前記対面結合されるトレイアセンブリの外周辺部位とカバー部材の外周辺部位との間に介在される密封用ガスケット(gasket)と、
を備えており、
前記トレイアセンブリの外周辺部位、カバー部材の外周辺部位及びガスケットのそれぞれには第1の締結部材が嵌入できるように互いに連通される複数の締付口が穿孔されており、
前記トレイアセンブリに穿孔されている締付口の下部には、第1の締結部材と結合される少なくとも一つ以上の第2の締結部材が位置し、
前記第2の締結部材は、その一方の端部がトレイアセンブリの締付口を貫通してトレイアセンブリの外周辺部位の上面に突出して延びているガスケット圧縮リミッタ(gasket compression limiter)を備えており、
前記ガスケット圧縮リミッタは、ガスケットの締付口に嵌入し、ガスケット圧縮リミッタの外周面の直径は、第1の締結部材の外周面の直径よりも相対的に大きく、前記ガスケット圧縮リミッタの外周面の直径は、前記第1の締結部材の外周面の直径の100%~110%の大きさになっており、
前記ガスケットの締付口の内周面と前記ガスケット圧縮リミッタとは、直接的に接触されていることを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記ガスケット圧縮リミッタは、ガスケットの締付口の内周面に隣り合うガスケットの上面の一部の部位を包む構造になっていることを特徴とする請求項に記載の電池パック。
【請求項3】
前記ガスケット圧縮リミッタがトレイアセンブリの上面から突出されている高さは、ガスケットの厚さに対して50%~95%の大きさであることを特徴とする請求項に記載の電池パック。
【請求項4】
前記ガスケット圧縮リミッタの外周面の直径は、ガスケットの締付口の内周面の直径に等しい大きさであることを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項5】
前記第2の締結部材は、トレイアセンブリの下面部におけるトレイアセンブリの締付口に対応する部位に溶接結合されていることを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項6】
前記第1の締結部材及び第2の締結部材は、それぞれボルト及びナットであり、前記第2の締結部材は、カバー部材の上面におけるカバー部材の外周辺部位、ガスケット及びトレイアセンブリの外周辺部位にそれぞれ穿孔された締付口を貫通する第1の締結部材と螺合されることを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項7】
前記トレイアセンブリの外周辺部位の上面に対面するガスケットの一面には複数の締結突起が形成されており、トレイアセンブリの外周辺部位の上面における前記締結突起に対応する部位には締結突起が嵌合するための複数の締結溝が穿孔されていることを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項8】
前記締結突起は、末端部位がトレイアセンブリの外周辺部位の上面に向かって幅が狭くなるテーパー構造に形成されていることを特徴とする請求項に記載の電池パック。
【請求項9】
前記ガスケットは、リング状の1単位部材からなることを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項10】
前記ガスケットの素材は、合成ゴム、天然ゴム、シリコン及びポリビニルポリ塩化ビニル(PVC)よりなる群から選ばれるいずれか一種以上であることを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項11】
請求項1に記載の電池パックを備えることを特徴とするデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスケット圧縮リミッタを備えている電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、化石燃料の枯渇によるエネルギー源の価格の値上げや環境汚染への関心が高まりつつあり、このようなエネルギー源に代えうる環境にやさしいエネルギー源が未来の生活のために欠かせない必須的な要素になっている。このため、原子力、太陽光、風力、潮力など多種多様な電力生産技術への取り組みが絶えず行われており、このようにして生産されたエネルギーを更に効率よく使用するための電力貯蔵装置に至大な関心が注がれてきている。
【0003】
とりわけ、モバイル機器に対する技術の開発が盛んに行われることに伴い、しかも、モバイル機器への需要が増えることに伴い、エネルギー源としての電池への需要が急増しており、最近では、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)などの動力源としての二次電池の使用が実現されており、グリッド(Grid)化を通じた電力補助電源などの用途としての使用領域が広がり、これに伴い、各種のニーズに応え得る電池に対する活発な研究が行われている。
【0004】
一方、小型のモバイル機器には、デバイス1機当たりに1つ又は2~3個の電池セルが使用されるのに対し、自動車などの中大型のデバイスには、高出力・大容量の必要性により、多数の電池セルを電気的に接続した中大型の電池モジュールを備える電池パックが使用される
【0005】
このような電池パックの場合、電気自転車、電気自動車などの様々な作動環境に露出されるデバイスは、電池パックを構成する要素が外部の環境に対して安定的に保護されなければならず、多数の電池を用いて高出力及び大容量を実現しなければならないため、安全性の側面も重要視されている。
【0006】
代表的に、梅雨などの多湿な条件及び様々な環境下においては、水分及び異物が電池パックの内部に浸透し易く、これは、電池パックを構成する電池モジュール及び電気的な接続装置の誤作動を引き起こす原因になるなど、電池パックの安全性を低下させる虞がある。
【0007】
したがって、通常の電池パックの場合、前記電池パックを構成するケース部材の結合部位にガスケットを介在させることにより、前記問題を解消している。
【0008】
しかしながら、一般に、ガスケットは、ケース部材の結合力により所望の密封力を発揮できるように、所望の弾性を発揮する素材からなるが、前記ケース部材の結合に際して加えられる圧力又は摩擦により、所望の部位から離脱されたり押されたりすることにより、くねる部位が生じる虞があり、これにより、ケース部材間の結合力が低下することが懸念され、これは、電池パックの密封力を低下させ、ひいては、電池パックの安全性を損なう要因として働く虞がある。
【0009】
なお、ガスケットは弾性素材からなるため、ガスケットをケース部材が加圧し過ぎると、ガスケットが定位置から外れる虞があるため、従来より、ガスケットの締付口に金属ブッシングを嵌入させて使用してきた。
【0010】
しかし、このように金属ブッシングをガスケットの締付口に嵌入させる工程は、製造時間を延ばすだけではなく、製造コストを大幅に上昇させてしまう。
【0011】
この理由から、このような問題を根本的に解消できる技術へのニーズが高まりつつあるのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述したような従来の技術の問題及び昔から要請されてきた技術的課題を解消することを目的とする。
【0013】
本出願の発明者らは、深度深い研究及び様々な実験を重ねて行った末に、後述するように、トレイアセンブリの上により手軽にガスケットを位置させることができ、前記トレイアセンブリと結合されるカバー部材の結合に際して加えられる圧力又は摩擦により、前記結合部位からガスケットが離脱されてしまうという現象を防ぐことができ、これにより、電池パックの水密性を向上させることにより、全体的な安全性を向上させることができるという知見を得、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するための本発明に係る電池パックは、複数の電池セルを備える電池モジュールアセンブリと、前記電池モジュールアセンブリが上面に搭載されるトレイ(tray)アセンブリと、前記電池モジュールアセンブリを内蔵した状態でトレイアセンブリの上面における外周辺部位がトレイアセンブリの外周辺部位と対面結合されるカバー(cover)部材と、前記対面結合されるトレイアセンブリの外周辺部位とカバー部材の外周辺部位との間に介在される密封用ガスケット(gasket)と、を備えていてもよく、前記トレイアセンブリの外周辺部位、カバー部材の外周辺部位及びガスケットのそれぞれには第1の締結部材が嵌入できるように互いに連通される複数の締付口が穿孔されており、前記トレイアセンブリに穿孔されている締付口の下部には、第1の締結部材と結合される少なくとも一つ以上の第2の締結部材が位置し、前記第2の締結部材は、その一方の端部がトレイアセンブリの締付口を貫通してトレイアセンブリの外周辺部位の上面に突出して延びているガスケット圧縮リミッタ(gasket compression limiter)を備えており、前記ガスケット圧縮リミッタは、ガスケットの締付口に嵌入し、ガスケット圧縮リミッタの外周面の直径は、第1の締結部材の外周面の直径よりも相対的に大きく形成されている構造になっていてもよい。
【0015】
従って、本発明に係る電池パックは、前記ガスケット圧縮リミッタは、ガスケットの締付口に嵌入し、ガスケット圧縮リミッタの外周面の直径は、第1の締結部材の外周面の直径よりも相対的に大きく形成されている構造になっているので、前記ガスケット固定部によりトレイアセンブリの上により手軽にガスケットを位置させることができ、前記トレイアセンブリと結合されるカバー部材の結合に際して加えられる圧力又は摩擦により、前記結合部位からガスケットが離脱されてしまうという現象を防ぐことができ、これにより、電池パックの水密性を向上させることにより、全体的な安全性を向上させることができる。
【0016】
本発明の一つの実施形態において、前記ガスケットの締付口の内周面とガスケット圧縮リミッタとは、直接的に接触されていてもよい。これにより、従来のガスケット構造においてガスケットの締付口に金属ブッシングを嵌入させてガスケットの圧縮率を一定のレベルに維持する機能を第2の締結部材の圧縮リミッタが行うので、電池パックの製造工程時間及びコストを大幅に節減することができる。
【0017】
本発明の一つの具体的な実施形態において、前記ガスケット圧縮リミッタは、ガスケットの締付口の内周面に隣り合うガスケットの上面の一部の部位を包む構造になっていてもよい。
【0018】
前記ガスケット圧縮リミッタがトレイアセンブリの上面から突出されている高さは、ガスケットの厚さに対して50%~95%の大きさになっていてもよい。前記トレイアセンブリ及びカバー部材間の結合に際して加えられる圧力によりガスケットが元の厚さの50%~95%未満に圧縮及び変形されてしまうという現象を防ぐことができ、これにより、過度な圧縮及び変形によるガスケットの損傷が防ぐことができる。
【0019】
本発明の一つの実施形態において、前記ガスケット圧縮リミッタの外周面の直径は、ガスケットの締付口の内周面の直径に等しい大きさになっていてもよい。これにより、電池パックの水密性を更に高めることができる。
【0020】
前記第2の締結部材は、トレイアセンブリの下面部におけるトレイアセンブリの締付口に対応する部位に溶接結合されていてもよい。
【0021】
本発明の一つの実施形態において、前記第1の締結部材及び第2の締結部材は、それぞれボルト及びナットであり、前記第2の締結部材は、カバー部材の上面におけるカバー部材の外周辺部位、ガスケット及びトレイアセンブリの外周辺部位にそれぞれ穿孔された締付口を貫通する第1の締結部材と螺合される構造になっていてもよい。
【0022】
本発明の一つの具体的な実施形態において、前記ガスケット圧縮リミッタの外周面の直径は、第1の締結部材から加えられる全体の圧力を保持できるように、第1の締結部材の外周面の直径の100%~110%の大きさになっていてもよい。
【0023】
本発明の一つの実施形態において、前記トレイアセンブリの外周辺部位の上面に対面するガスケットの一面には複数の締結突起が形成されており、トレイアセンブリの外周辺部位の上面における前記締結突起に対応する部位には締結突起が嵌合するための複数の締結溝が穿孔されていてもよい。
【0024】
具体的に、前記締結突起は、末端部位がトレイアセンブリの外周辺部位の上面に向かって幅が狭くなるテーパー構造に形成されていることを特徴としてもよい。
【0025】
本発明の一つの実施形態において、前記ガスケットは、リング状の1単位部材からなることが好ましい。
【0026】
前記ガスケットの素材は、合成ゴム、天然ゴム、シリコン及びポリビニルポリ塩化ビニル(PVC:Polyvinyl Chloride)よりなる群から選ばれるいずれか一種以上であってもよいが、これに限定されるものではなく、対面結合されるトレイアセンブリの外周とカバー部材の外周との間に介在されることにより、所望の密封力を発揮できる素材であれば、特に制限はない。
【0027】
この場合、前記合成ゴムは、スチレン-ブタジエンゴム、ポリクロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、多硫化物系ゴム、シリコンゴム、フルオロ系ゴム、ウレタンゴム及びアクリルゴムよりなる群から選択される一種以上であってもよい。
【0028】
一方、本発明に係る電池パックを構成する電池セルは、その種類が特に限定されることはないが、具体例として、高いエネルギー密度、放電電圧、出力安定性などのメリットを有するリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池などのリチウム二次電池が挙げられる。
【0029】
一般に、リチウム二次電池は、正極、負極、セパレータ及びリチウム塩含有非水電解液により構成されている。
【0030】
前記正極は、例えば、正極集電体の上に正極活物質、導電材及びバインダーの混合物を塗布した後に乾燥させて製造し、必要に応じては、前記混合物に充填剤を更に添加することもある。
【0031】
前記正極活物質は、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)などの層状化合物や一つ又はそれ以上の転移金属で置換された化合物;一般式Li1+xMn2-x(ここで、xは、0~0.33である)、LiMnO、LiMn、LiMnOなどのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(LiCuO);LiV、LiFe、V、Cuなどのバナジウム酸化物;一般式LiNi1-x(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、B又はGaであり、x=0.01~0.3である)で表わされるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;一般式LiMn2-x(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、Zn又はTaであり、x=0.01~0.1である)又はLiMnMO(ここで、M=Fe、Co、Ni、Cu又はZnである)で表わされるリチウムマンガン複合酸化物;一般式のLiの一部がアルカリ土金属イオンで置換されたLiMn;ジスルフィド化合物;Fe(MoOなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
前記導電材は、通常、正極活物質を含む混合物の全重量を基準として1~30重量%で添加される。このような導電材は、当該電池に化学的な変化を誘発せずに導電性を有するものであれば特に制限されるものではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカーと、酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などを使用することができる。
【0033】
前記バインダーは、活物質と導電材などの結合及び集電体に対する結合を助ける成分であって、通常、正極活物質を含む混合物の全重量を基準として1~30重量%で添加される。このようなバインダーの例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)、スチレンブチレンゴム、フッ素ゴム、様々な共重合体などが挙げられる。
【0034】
前記充填剤は、正極の膨張を抑制する成分であって、選択的に使用され、当該電池に化学的な変化を誘発せずに繊維状材料であれば特に制限されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系重合体;ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状物質が使用される。
【0035】
前記負極は、負極集電体の上に負極活物質を塗布した後に乾燥させて製作し、必要に応じて、上述したような成分が選択的に更に含まれてもよい。
【0036】
前記負極活物質としては、例えば、難黒鉛化炭素、黒鉛系炭素などの炭素;LiFe(0≦x≦1)、LiWO(0≦x≦1)、SnMe1-xMe´(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me´:Al、B、P、Si、周期律表の第1族、第2族、第3族元素、ハロゲン;0<x≦1;1≦y≦3;1≦z≦8)などの金属複合酸化物;リチウム金属;リチウム合金;ケイ素系合金;錫系合金;SnO、SnO、PbO、PbO、Pb、Pb、Sb、Sb、Sb、GeO、GeO、Bi、Bi及びBiなどの金属酸化物;ポリアセチレンなどの導電性高分子;Li-Co-Ni系材料などを使用することができる。
【0037】
前記セパレータ及び分離フィルムは、正極と負極との間に介在され、高いイオン透過度及び機械的強度を有する絶縁性の薄膜が使用される。セパレータの気孔径は、一般に、0.01~10μmであり、厚さは、一般に、5~130μmである。このようなセパレータとしては、例えば、耐化学性及び疎水性のポリプロピレンなどのオレフィン系ポリマー;ガラス繊維又はポリエチレンなどにより製作されたシートや不織布などが使用される。電解質としてポリマーなどの固体電解質が使用される場合には、固体電解質がセパレータを兼ねることもできる。
【0038】
また、一つの具体的な例において、電池の安全性の向上のために、前記セパレータ及び/又は分離フィルムは、有機/無機複合多孔性の安全性強化セパレータ(SRS:Safety-Reinforcing Separators)であってもよい。
【0039】
前記安全性強化セパレータ(SRS)は、ポリオレフィン系セパレータ基材の上に無機物粒子及びバインダー高分子を活性層成分として用いて製造し、このとき、セパレータ基材それ自体に含まれている気孔の構造とともに、活性層成分である無機物粒子間の間隙容量(interstitial volume)により形成された均一な気孔構造を有する。
【0040】
このような有機/無機複合多孔性セパレータを使用する場合、通常のセパレータを使用した場合に比べて、化成工程(Formation)に際しての膨らみ(swelling)に伴う電池の厚さの増加を抑えることができるというメリットがあり、バインダー高分子成分として液体電解液の含浸に際してゲル化可能な高分子を使用する場合、電解質としても同時に使用することができる。
【0041】
更に、前記有機/無機複合多孔性セパレータは、セパレータ内の活性層の成分である無機物粒子及びバインダー高分子の含量の調節により優れた接着力特性を示すことができるので、電池の組み立て工程が行われ易いという特徴がある。
【0042】
前記無機物粒子は、電気化学的に安定している限り、特に制限はない。すなわち、本発明において使用可能な無機物粒子は、適用される電池の作動電圧範囲(例えば、Li/Liを基準として0~5V)において酸化及び/又は還元反応が起こらないものであれば、特に制限されない。特に、イオン伝達能力を有する無機物粒子を使用する場合、電気化学素子内のイオン伝導度を高めて性能の向上を図ることができるので、できる限りイオン伝導度が高いことが好ましい。また、前記無機物粒子が高い密度を有する場合、コーティングに際して分散させ難いだけではなく、電池の製造に当たって重さが増えるという問題もあるため、できる限り密度が小さいことが好ましい。なお、誘電率が高い無機物である場合、液体電解質内の電解質塩、例えば、リチウム塩の解離度の増加に寄与して電解液のイオン伝導度を向上させることができる。
【0043】
リチウム塩含有非水電解液は、極性有機電解液及びリチウム塩からなる。電解液としては、非水系液状電解液、有機固体電解質、無機固体電解質などが使用される。
【0044】
前記非水系液状電解液としては、例えば、N-メチル-2-ピロリジノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ-ブチロラクトン、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロキシフラン(franc)、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3-ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒を使用することができる。
【0045】
前記有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリエジテーションリシン(agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含む重合体などを使用することができる。
【0046】
前記無機固体電解質としては、例えば、LiN、LiI、LiNI、LiN-LiI-LiOH、LiSiO、LiSiO-LiI-LiOH、LiSiS、LiSiO、LiSiO-LiI-LiOH、LiPO-LiS-SiSなどのLiの窒化物、ハロゲン化物、硫酸塩などを使用することができる。
【0047】
前記リチウム塩は、前記非水系電解質に溶解しやすい物質であって、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO、LiBF、LiB10Cl10、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、CHSOLi、CFSOLi、(CFSONLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、4フェニルホウ酸リチウム、イミドなどを使用することができる。
【0048】
また、非水系電解液には、充放電特性、難燃性などの改善の目的で、例えば、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グリム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N,N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノール、三塩化アルミニウムなどが添加されてもよい。場合によっては、不燃性を付与するために、四塩化炭素、三フッ化エチレンなどのハロゲン含有溶媒をさらに含ませることもでき、高温保存特性を向上させるために二酸化炭酸ガスをさらに含ませることもできる。
【0049】
本発明はまた、前記電池パックを備えるデバイスを提供するが、前記デバイスは、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車又は電力貯蔵装置よりなる群から選択されるいずれか一種であってもよい。
【0050】
前記デバイスは当業界における周知のものであるため、本明細書においてはそれについての詳細な説明を省略する。
【発明の効果】
【0051】
以上述べたように、本発明に係る電池パックは、ガスケット圧縮リミッタはガスケットの締付口に嵌入し、ガスケット圧縮リミッタの外周面の直径は第1の締結部材の外周面の直径よりも相対的大きく形成されている構造になっているので、前記ガスケット固定部によりトレイアセンブリの上により手軽にガスケットを位置させることができ、前記トレイアセンブリと結合されるカバー部材の結合に際して加えられる圧力又は摩擦により、前記結合部位からガスケットが離脱されてしまうという現象を防ぐことができ、これにより、電池パックの水密性を向上させることにより、全体的な安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】本発明の一つの実施形態に係る電池パックの構成要素を概略的に示す模式図である。
図2図1の電池パックのカバー部材の構造を概略的に示す模式図である。
図3図1の電池パックのトレイアセンブリの構造を概略的に示す模式図である。
図4図1の電池パックの構成要素が締結部材により結合された構造を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下では、本発明の実施形態に係る図面を参照して本発明を詳述するが、本発明の範囲がこれにより限定されることはない。
【0054】
図1は、本発明の一つの実施形態に係る電池パックの構成要素を概略的に示す模式図である。
【0055】
図1を参照すると、電池パック100は、電池モジュールアセンブリ(図示せず)が上面に搭載されるトレイアセンブリ130と、前記電池モジュールアセンブリを内蔵した状態でトレイアセンブリ130の上面における外周がトレイアセンブリ130の外周と対面結合されるカバー部材110と、前記対面結合されるトレイアセンブリ130の外周とカバー部材110の外周との間に介在される密封用ガスケット120と、を備えている。
【0056】
電池パック100は、高い集積度で配置されている車両用部品により搭載空間が制限されるため、電池パック100をなす電池モジュールアセンブリは、運転席及び補助席の間のように狭い空間に搭載できるように幅Wに比べて高さHが大きく、前記高さHに比べて前後方の長さLが大きな直方体構造になっており、電池パック100は、これに対応する直方体構造又はトンネル型構造になっている。
【0057】
前記電池パック100を構成するそれぞれの構成要素についての細部構造が図2乃至図4に示されている。
【0058】
まず、図2は、図1の電池パックのカバー部材の構造を概略的に示す模式図である。
【0059】
図2図1と結び付けて参照すると、カバー部材110は、トレイアセンブリ130の外周の形状に対応するトンネル形状に形成されている。
【0060】
カバー部材110は、前方F及び後方Bの高さに段差111が形成されており、前記高さの高い後方Bは、電池モジュールアセンブリを包み、高さの低い前方Fは電池モジュールアセンブリの作動スイッチング部を包むような構造である。
【0061】
カバー部材110は、トレイアセンブリ130に対する締結のためにトレイアセンブリ130と対面して結合される外周112が外側に向かって折れ曲がって延びており、前記外周112には第1の締結部材が嵌入するための複数の締付口113が穿孔されている。
【0062】
締付口113は、トレイアセンブリ130の外周及びガスケット120に形成されている締付口と相互連通される構造であり、第1の締結部材の嵌入により前記カバー部材110、トレイアセンブリ130及びガスケット120を結合することができる。
【0063】
図3は、図1の電池パックのトレイアセンブリの構造を概略的に示す模式図である。
【0064】
図3図1及び図2と結び付けて参照すると、トレイアセンブリ130は、前方Fの外周及び後方Bの外周の上にそれぞれ前方外周壁131及び後方外周壁131が取り付けられている。
【0065】
外周壁131、132には、電池モジュールアセンブリ及び外部装置間の電気的な接続のための装置をそれぞれ装着することができ、前記外周壁131、132がデバイスとそれぞれ結合されることにより、外部から印加される衝撃に伴う電池パック100の流動を低減させることができる。
【0066】
トレイアセンブリ130には、カバー部材110の外周112に対応して、電池モジュールアセンブリの装着部位133から折れ曲がって延びた構造の外周134が形成されており、前記外周134には、カバー部材110の締付口113と互いに連通される複数の締付口135が穿孔されている。
【0067】
トレイアセンブリ130の外周134は、電池パック100が適用されるデバイスにおいて、前記電池パック100が搭載される空間の形状に対応して、前方Fから後方Bに向かって高さが増加する傾斜区間136を含んでいるが、前記傾斜区間136の構造がこれに制限されるものではなく、電池パック100が適用されるデバイスの種類、形状及び搭載空間に応じて、前方Fから後方Bに向かって高さが減少する構造になっていてもよい。
【0068】
図4は、図1の電池パックの構成要素が締結部材により結合された構造を概略的に示す断面図である。
【0069】
図4を参照すると、トレイアセンブリ130の外周とカバー部材110の外周との間にガスケット120が介在された状態で互いに対面して結合される。
【0070】
トレイアセンブリ130の外周、ガスケット120及びカバー部材110の外周には、互いに連通される締付口がそれぞれ穿孔されており、前記トレイアセンブリ130の締付口の下面には、第1の締結部材140と結合される第2の締結部材150が位置している。
【0071】
第1の締結部材140はボルトであり、第2の締結部材150はナットである。
【0072】
第2の締結部材150は、その一方の端部がトレイアセンブリ130の締付口を貫通してトレイアセンブリ130の上面に突出して延びているガスケット圧縮リミッタ151を備えている。
【0073】
ガスケット圧縮リミッタ151は、ガスケット120の締付口に嵌入し、ガスケット圧縮リミッタ151の外周面の直径(D1)は、第1の締結部材140の外周面の直径(D2)よりも相対的に大きくなっている。具体的に、ガスケット圧縮リミッタ151の外周面の直径(D1)は、第1の締結部材の外周面の直径(D2)の110%の大きさになっている。
【0074】
ガスケット120の締付口の内周面とガスケット圧縮リミッタ151とは、直接的に接触されている。
【0075】
ガスケット120は、トレイアセンブリ130の上面に対面する一面に締結突起(図示せず)が形成されており、トレイアセンブリ130に穿孔されている締結溝に嵌合している。
【0076】
締結突起は、ガスケット120と隣り合う部位から末端部位に向かって幅が狭くなるテーパー構造に形成されている。
【0077】
第1の締結部材140は、カバー部材110の上面におけるカバー部材の外周、ガスケット120及びトレイアセンブリ130の外周にそれぞれ穿孔された締付口を貫通して嵌入して、第2の締結部材150の内周面と螺合されている。
【0078】
本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、上記の内容を踏まえて本発明の範囲内において多種多様な応用及び変形を行うことができる筈である。
【0079】
本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、上記の内容を踏まえて本発明の範囲内において多種多様な応用及び変形を行うことができる筈である。
【符号の説明】
【0080】
100 電池パック
110 カバー部材
113、135 締付口
120 密封用ガスケット
130 トレイアセンブリ
140 第1の締結部材
150 第2の締結部材
151 ガスケット圧縮リミッタ
図1
図2
図3
図4