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特許7062170リチウム二次電池用電極およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】リチウム二次電池用電極およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/134 20100101AFI20220425BHJP
   H01M 4/1395 20100101ALI20220425BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20220425BHJP
   H01M 4/70 20060101ALI20220425BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20220425BHJP
【FI】
H01M4/134
H01M4/1395
H01M4/66 A
H01M4/70 Z
H01M4/38 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020528473
(86)(22)【出願日】2019-07-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 KR2019008600
(87)【国際公開番号】W WO2020045820
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2020-05-25
(31)【優先権主張番号】10-2018-0100361
(32)【優先日】2018-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】オビョン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】サンウク・ウ
(72)【発明者】
【氏名】イェリ・キム
【審査官】儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-022466(JP,A)
【文献】特開2014-053130(JP,A)
【文献】特開2005-108835(JP,A)
【文献】特開2004-356082(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0125818(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1502080(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0030438(KR,A)
【文献】特開2004-127561(JP,A)
【文献】特開2009-099512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/134
H01M 4/1395
H01M 4/66
H01M 4/70
H01M 4/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直径5乃至50μm、高さ3乃至50μmの複数個の半球形突出部が規則的に配列された、一面にパターンが形成された高分子フィルム;
前記高分子フィルムのパターン上に形成された導電性金属層;および
前記導電性金属層上に形成されたリチウム金属層を含む、リチウム二次電池用電極。
【請求項2】
前記半球形突出部の直径は7乃至40μmであり、高さは5乃至40μmである、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項3】
前記半球形突出部間の間隔は2乃至50μmである、請求項1または2に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項4】
前記高分子フィルムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリフェニルスルフィド、ポリエチレンスルフィド、ポリイミドおよびテフロン(登録商標)からなる群より選択される1種以上である、請求項1乃至のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項5】
前記高分子フィルムは、半球形突出部の高さを除いた厚さが5乃至30μmである、請求項1乃至のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項6】
前記導電性金属層は、Ni、Ti、Cu、Ag、Au、Pt、Fe、Co、Cr、W、Mo、Al、Mg、K、Na、Ca、Sr、Ba、Si、Ge、Sb、Pb、InおよびZnからなる群より選択される1種以上である、請求項1乃至のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項7】
前記導電性金属層の厚さは0.5乃至10μmである、請求項1乃至のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項8】
前記リチウム金属層の厚さは5乃至50μmである、請求項1乃至のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項9】
請求項1乃至のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用電極を含むリチウム二次電池。
【請求項10】
直径5乃至50μmの複数個の半球形突出部が規則的に配列された、一面にパターンが形成された高分子フィルムを準備する段階;
前記高分子フィルムのパターン上に導電性金属前駆体を無電解メッキして導電性金属層を形成する段階;および
前記導電性金属層上にリチウム金属を電解メッキしてリチウム金属層を形成する段階を含む、リチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項11】
前記導電性金属前駆体は、Ni、Ti、Cu、Ag、Au、Pt、Fe、Co、Cr、W、Mo、Al、Mg、K、Na、Ca、Sr、Ba、Si、Ge、Sb、Pb、InまたはZnの硫酸塩、ハロゲン化物、硝酸塩、または水酸化物からなる群より選択される1種以上である、請求項10に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項12】
前記無電解メッキ段階は、還元剤としてグリシン、ホルムアルデヒド、ヒドラジンおよびクエン酸からなる群より選択される1種以上を用いる、請求項10または11に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項13】
前記導電性金属層は0.5乃至10μmの厚さで形成される、請求項10乃至12のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項14】
前記リチウム金属層は5乃至50μmの厚さで形成される、請求項10乃至13のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は、2018年8月27日付韓国特許出願第10-2018-0100361号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容を本明細書の一部として含む。
【0002】
本発明は、リチウム二次電池に適用されて電池のサイクル性能および効率を上げることができるリチウム二次電池用電極およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電子、通信、コンピュータ産業の急速な発展に伴い、カムコーダー、携帯電話、ノートパソコン、PC、ひいては電気自動車までエネルギー貯蔵技術の適用分野が拡大されている。これによって、軽く、長く使用でき、信頼性の高い高性能の二次電池の開発が進められている。
【0004】
現在適用されている二次電池のうち、1990年代初めに開発されたリチウム二次電池は、水溶液電解液を用いるNi-MH、Ni-Cd、硫酸-鉛電池などの従来の電池に比べて作動電圧が高く、エネルギー密度が顕著に高いため、脚光を浴びている。
【0005】
リチウム二次電池の負極活物質としては、リチウム金属、炭素系物質、シリコンなどが用いられており、このうちリチウム金属は、最も高いエネルギー密度を得ることができるという長所を有しており、持続的な研究が行われている。
【0006】
活物質としてリチウム金属を利用するリチウム電極は、通常、平面の銅またはニッケル箔を集電体とし、その上にリチウム箔を付着させて製造される。または、別途の集電体なしにリチウム箔自体をリチウム電極として用いることができる。
【0007】
しかし、このようなリチウム電極は、電池充放電時に電極にリチウム金属が蒸着(depositing)および剥離(stripping)される過程で表面上に不均一にリチウムデンドライトが成長するという問題がある。リチウムデンドライトは、セパレータの損傷を誘発させることがあり、リチウム二次電池の短絡を発生させて電池の安全性を害するようになるため、これに対する改善が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、電池充放電時にリチウム金属の均一な蒸着および剥離を図ることによってリチウム二次電池のサイクルおよび効率特性を向上させることができるリチウム二次電池用電極およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は、
直径5乃至50μmの複数個の半球形突出部が規則的に配列された、一面にパターンが形成された高分子フィルム;
前記高分子フィルムのパターン上に形成された導電性金属層;および
前記導電性金属層上に形成されたリチウム金属層を含む、リチウム二次電池用電極を提供する。
【0010】
前記半球形突出部の高さは3乃至50μmであってもよい。
【0011】
好ましくは、前記半球形突出部の直径は7乃至40μmであり、高さは5乃至40μmであってもよい。
【0012】
前記半球形突出部間の間隔は2乃至50μmであってもよい。
【0013】
前記高分子フィルムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリフェニルスルフィド、ポリエチレンスルフィド、ポリイミドおよびテフロン(登録商標)からなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0014】
前記高分子フィルムは、半球形突出部の高さを除いた厚さが5乃至30μmであってもよい。
【0015】
前記導電性金属は、Ni、Ti、Cu、Ag、Au、Pt、Fe、Co、Cr、W、Mo、Al、Mg、K、Na、Ca、Sr、Ba、Si、Ge、Sb、Pb、InおよびZnからなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0016】
前記導電性金属層の厚さは0.5乃至10μmであってもよい。
【0017】
前記リチウム金属層の厚さは5乃至50μmであってもよい。
【0018】
また、本発明は、前記リチウム二次電池用電極を含むリチウム二次電池を提供する。
【0019】
また、本発明は、直径5乃至50μmの複数個の半球形突出部が規則的に配列された、一面にパターンが形成された高分子フィルムを準備する段階;
前記パターンが形成された高分子フィルム上に導電性金属前駆体を無電解メッキして導電性金属層を形成する段階;および
前記導電性金属層上にリチウム金属を電解メッキしてリチウム金属層を形成する段階を含む、リチウム二次電池用電極の製造方法を提供する。
【0020】
前記導電性金属前駆体は、Ni、Ti、Cu、Ag、Au、Pt、Fe、Co、Cr、W、Mo、Al、Mg、K、Na、Ca、Sr、Ba、Si、Ge、Sb、Pb、InまたはZnの硫酸塩、ハロゲン化物、硝酸塩、または水酸化物からなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0021】
前記無電解メッキ段階は、還元剤としてグリシン、ホルムアルデヒド、ヒドラジンおよびクエン酸からなる群より選択される1種以上を用いることができる。
【0022】
前記導電性金属層は0.5乃至10μmの厚さで形成されてもよい。
【0023】
前記リチウム金属層は5乃至50μmの厚さで形成されてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明のリチウム二次電池用電極をリチウム二次電池に適用すると、電池の充放電中にリチウム金属の蒸着および剥離が電極の表面全体で均一に起こるため、不均一なリチウムデンドライトの形成が抑制され、これによって、電池のサイクルおよび効率特性を改善することができる。
【0025】
また、本発明のリチウム二次電池用電極は、金属集電体および活物質層を含む従前の電極に比べて顕著に高い柔軟性を示すため、電極製造時および電池組立時に加工性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池用電極の断面図である。
図2】本発明の高分子フィルムの形状を示す断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池用電極の製造方法を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書で使用される用語は、単に例示的な実施例を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書で、「含む」、「備える」または「有する」などの用語は、実施された特徴、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や段階、構成要素、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。
【0028】
本発明は、多様な変更を加えることができ、多様な形態を有することができるところ、特定の実施例を例示して下記で詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されなければならない。
【0029】
同様に、本発明を説明するために、本明細書に添付した図面は本発明の一実施形態であって、本発明は多様な異なる形態に実現することができ、本明細書に限定されない。この時、図面では本発明を明確に説明するために、説明上不要な部分を省略し、明細書全体を通して類似の部分については類似の図面符号を使用した。また図面で表示された構成要素の大きさおよび相対的な大きさは、実際の縮尺とは関係なく、説明の明瞭性のために縮小されたり誇張されたものでありうる。
【0030】
リチウム二次電池用電極およびその製造方法
本発明は、
直径5乃至50μmの複数個の半球形突出部が規則的に配列された、一面にパターンが形成された高分子フィルム;
前記高分子フィルムのパターン上に形成された導電性金属層;および
前記導電性金属層上に形成されたリチウム金属層を含む、リチウム二次電池用電極に関する。
【0031】
図1は本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池用電極100の構造を示したものである。
【0032】
本発明のリチウム二次電池用電極は、一面にパターンが形成された高分子フィルム10上に導電性金属層20およびリチウム金属層30が順に積層された構造を有する。前記高分子フィルム10は、導電性金属層20とリチウム金属層30の支持体の役割を果たすものであって、高分子フィルム上に形成されたパターンは複数個の半球形突出部11が規則的に配列された形状を有し、このようなパターン形状上に薄い導電性金属層20およびリチウム金属層30が積層されるため、最終製造される電極の表面は高分子フィルム10のパターン形状により複数の半球形突出部を有するようになる。この時、「半球形突出部」とは、突出部の外周部が曲線形状である半球類似形状の突出部を意味するものであって、必ずしも半球形状のみを意味するのではない。
【0033】
このように電極表面に半球形突出部のパターンが形成された場合、電池充放電過程で電極表面の均一な電流流れを誘導することができ、これによって、表面上にリチウム金属の蒸着および剥離が均一に起こって、不均一なリチウムデンドライトの成長が顕著に抑制され得る。したがって、本発明のリチウム二次電池用電極は、リチウム二次電池の駆動中の安定性、サイクル特性および効率性を大幅に向上させることができる。一方、後述する実験例で確認されるように、このような均一な電流流れ誘導効果は、パターンの突出部の外周部が曲線形状である場合に得られ、正六面体形のように突出部に角ばっている部分を含む場合は、電流密度分散効果を期待し難い。また、外周部が曲線形状である半球形突出部であるとしても、突出部の直径が適正な範囲を満足してこそ前記効果を確保することができる。
【0034】
前記のような効果を確保するために、高分子フィルム10のパターンで半球形突出部11の直径は、5μm以上、または7μm以上、または10μm以上であり、50μm以下、または40μm以下、または30μm以下であることが好ましい。図2に示されているように、前記半球形突出部の直径dは、半球形突出部の最下部の一側から他側までの最長直線距離を意味する。もし、半球形突出部の直径が5μm未満であれば導電性金属層20およびリチウム金属層30が積層されて最終製造された電極のリチウム金属層表面にパターン形状が良好に現れないことがあり、50μmを超えて過度に大きければパターン化による電流密度の均一化効果の確保が難しいため、前記範囲を満足することが好ましい。
【0035】
一方、前記半球形突出部11の高さh1は、半球形突出部の最下部から最上部までの高さを意味し、3μm以上、または5μm以上、または10μm以上であり、50μm以下、または40μm以下、または30μm以下であることが好ましい。もし、半球形突出部11の高さが3μm未満であれば最終製造された電極にパターン形状が良好に現れないことがあり、50μmを超えれば電極の厚さが過度に厚くなってエネルギー密度が低くなる問題があり得る。
【0036】
また、図2に示されているように、半球形突出部11間の間隔gは、一つの半球形突出部の最下部一側から他の一つの半球形突出部の他側までの最短直線距離を意味するものであり、半球形突出部の間隔は50μm以下、または40μm以下、または30μm以下であることが好ましい。一つの半球形突出部は他の半球形突出部と間隔が全くなしに配列され得るため、半球形突出部の間隔において下限値は制限されないが、高分子フィルム上に積層される導電性金属層およびリチウム金属層の厚さを考慮して2μm以上または3μm以上の間隔を置くことが好ましい。
【0037】
前記高分子フィルムが過度に厚い場合は電極の柔軟性が落ち、反対に過度に薄い場合は支持体として役割を果たすことができず、電極製造時および電池組立時に加工性を害することがある。そこで、半球形突出部の高さを除いた高分子フィルムの厚さh2は、5乃至30μm、または8乃至15μm範囲であることが好ましい。
【0038】
一方、前記高分子フィルムの素材は特に制限されるのではないが、柔軟性を有し、有機電解液に簡単に反応せず、引張強度に優れて簡単に破断が起こらない特性を有する高分子を好適に用いることができる。一例として、本発明で用いることができる高分子フィルムの素材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリフェニルスルフィド、ポリエチレンスルフィド、ポリイミドおよびテフロン(登録商標)からなる群より選択される1種以上が挙げられるが、これに制限されるのではない。このうち、柔軟で強度に優れた特性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、またはテフロン(登録商標)が好ましく、PETを用いることがより好ましい。
【0039】
本発明において、導電性金属層20は、集電体の役割を果たすことができる導電性金属からなるものであり、前記導電性金属としては、通常、リチウム二次電池の負極集電体に用いられる種類を制限なしに用いることができる。一例として、前記導電性金属は、Ni、Ti、Cu、Ag、Au、Pt、Fe、Co、Cr、W、Mo、Al、Mg、K、Na、Ca、Sr、Ba、Si、Ge、Sb、Pb、InおよびZnからなる群より選択される1種以上であってもよく、導電性と経済性を考慮して、好ましくはNi、Cu、またはTiであってもよく、より好ましくはNiであってもよい。
【0040】
前記導電性金属層20の厚さは、0.5乃至10μm、または1乃至7μm、または2乃至5μm範囲であってもよい。導電性金属層20が10μmを超えて過度に厚い場合、エネルギー密度が低くなって電池の性能が落ちることがあり、高分子フィルム10に形成されたパターンが最終製造された電極表面に現れることができず、本発明の効果を確保することができない。反対に0.5μm未満で過度に薄い場合、導電性金属層が均一に形成されず、導電性が十分に確保されないという問題があり得るため、前記範囲を満足することが好ましい。
【0041】
本発明のリチウム二次電池用電極は、活物質としてリチウム金属を含む。リチウム金属層30は、前記導電性金属層20上に形成され、電極の安定した充放電のために厚さ5μm以上、または10μm以上であることが好ましい。一方、リチウム金属層30が過度に厚い場合、高分子フィルム10に形成されたパターンがリチウム金属層30上に現れることができないため、本発明の効果を達成することができない。したがって、リチウム金属層30の厚さは、50μm以下、または40μm以下であることが好ましい。
【0042】
本発明のリチウム二次電池用電極を製造する方法は、特に制限されないが、一例として図3に示されているように、直径5乃至50μmの複数個の半球形突出部が規則的に配列された、一面にパターンが形成された高分子フィルムを準備する段階;
前記高分子フィルムのパターン上に導電性金属前駆体を無電解メッキして導電性金属層を形成する段階;および
前記導電性金属層上にリチウム金属を電解メッキしてリチウム金属層を形成する段階を含む製造方法により製造されてもよく、これは後述する実施例によりさらに具体化され得る。
【0043】
前記高分子フィルムは、市販されるものを使用したり、直接製造して使用可能である。高分子フィルムを直接製造して使用する場合、その製造方法は限定されず、当業界に知られた押出成形、射出成形、溶液流延法(solution casting)方法などが多様に適用され得る。高分子フィルム上にパターンを形成する方法は、特に制限されないが、モールド上に平面型の高分子フィルムを位置させて加圧および/または加熱してパターンを形成させる方法などが使用可能である。
【0044】
導電性金属層を形成する段階は、導電性金属前駆体を利用した無電解メッキ法によることができる。無電解メッキは、水溶液内で金属塩中の金属イオンを還元剤により金属に還元させて被処理物の表面上に金属を析出させる方法であって、当業界に知られた通常の無電解メッキ法が制限なしに使用可能である。
【0045】
無電解メッキ段階で用いられる導電性金属前駆体は、Ni、Ti、Cu、Ag、Au、Pt、Fe、Co、Cr、W、Mo、Al、Mg、K、Na、Ca、Sr、Ba、Si、Ge、Sb、Pb、InまたはZnの硫酸塩、ハロゲン化物、硝酸塩、または水酸化物を用いることができる。前記導電性金属前駆体は、高分子フィルム上に十分な量の導電性金属層が形成されるように、0.1M乃至3M範囲、または0.5M乃至1.5M範囲で用いることが好ましい。
【0046】
前記無電解メッキ段階で還元剤としては、グリシン、ホルムアルデヒド、ヒドラジン、クエン酸などが使用可能であり、これら還元剤は、使用された導電性金属前駆体のモル数により適切な範囲で用いることができる。一例として、導電性金属前駆体が1価金属イオンを含む場合、前記還元剤は0.1乃至3Mまたは0.5乃至1.5Mの範囲で用いることができ、2価金属イオンを含む場合は、前記濃度の約2倍範囲(0.2乃至6Mまたは1乃至3M範囲)、3価金属イオンを含む場合は、前記濃度の約3倍範囲(0.3乃至9Mまたは1.5乃至4.5M範囲)に調節して用いることができる。
【0047】
一方、前記無電解メッキ段階で導電性金属前駆体溶液と還元剤溶液は、被処理物である高分子フィルムと水が入っている電解槽内に一時に投入されず、連続的に一定の速度で投入され得る。導電性金属前駆体溶液と還元剤溶液を電解槽に一時投入する場合、高分子フィルム上に無電解メッキが均一に起こらず、導電性金属層が均一に形成されないことがあるが、このように連続的に投入すれば均一な導電性金属層を得ることができるため好ましい。一例として、前記導電性金属前駆体溶液と還元剤溶液は0.05乃至1ml/min速度で、または0.1乃至0.5ml/min速度で投入されてもよく、投入時間(反応時間)は20分乃至5時間、または30分乃至3時間であってもよい。
【0048】
リチウム金属層の形成は、リチウム金属の電解メッキにより行われてもよい。電解メッキは、非水系溶媒中でリチウム塩の存在下で行われてもよく、前記非水系溶媒としては、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、N-メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ-ブチロラクトン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、テトラヒドロキシフラン(franc)、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3-ジオキソラン、4-メチル-1,3-ジオキセン、ジエチルエーテル、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの有機溶媒からなる群より選択される1種以上を用いることができる。
【0049】
また、前記リチウム塩は、LiCl、LiBr、LiI、LiClO、LiBF、LiB10Cl10、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、LiSCN、LiCBO、LiCFCO、LiCHSO、LiCFSO、LiN(SOF)、LiN(SOCF、LiN(SO、LiCSO、LiC(CFSO、(CFSONLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、テトラフェニルホウ酸リチウムおよびリチウムイミドからなる群より選択された1種以上が使用可能である。このうち、反応性を考慮してLiN(SOF)、LiCl、およびLiPFからなる群より選択される1種以上を用いることがより好ましい。
【0050】
電解メッキ段階の工程条件は、特に制限されないが、一例として前記非水系溶媒およびリチウム塩を含む電解槽内に導電性金属層が形成された高分子フィルムを入れ、20乃至30℃範囲の室温で0.1乃至10mA/cmの電流を印加する方法により行われてもよい。
【0051】
リチウム二次電池
本発明は、前述したリチウム二次電池用電極を含むリチウム二次電池を提供する。本発明のリチウム二次電池は、正極、負極、これらの間に介された分離膜、および電解質を含み、前記リチウム二次電池用電極は、好ましくは負極として用いられる。このように本発明のリチウム電極を負極として用いることによって、本発明のリチウム二次電池は充放電中のリチウムデンドライトの成長が顕著に抑制され、これによって、電池のサイクルおよび効率特性を確保し、電池安定性を向上させることができる。
【0052】
前記リチウム二次電池の正極、分離膜および電解質の構成は、本発明で特に限定せず、この分野における公知のものに従う。
【0053】
(1)正極
正極は、正極集電体上に形成された正極活物質を含む。
【0054】
正極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せずに高い導電性を有するものであれば特に制限されず、例えばステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどを用いることができる。この時、前記正極集電体は、正極活物質との接着力を高めることもできるように、表面に微細な凹凸が形成されたフィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態を用いることができる。
【0055】
電極層を構成する正極活物質は、当該技術分野で利用可能な全ての正極活物質が使用可能である。このような正極活物質の具体的な例としては、リチウム金属;LiCoOなどのリチウムコバルト系酸化物;Li1+xMn2-x(ここで、xは0乃至0.33である)、LiMnO、LiMn、LiMnOなどのリチウムマンガン系酸化物;LiCuOなどのリチウム銅酸化物;LiV、LiFe、V、Cuなどのバナジウム酸化物;LiNi1-x(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGaであり、x=0.01乃至0.3である)で表されるリチウムニッケル系酸化物;LiMn2-xMxO(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTaであり、x=0.01乃至0.1である)またはLiMnMO(ここで、M=Fe、Co、Ni、CuまたはZnである)で表されるリチウムマンガン複合酸化物;Li(NiCoMn)O(ここで、0<a<1、0<b<1、<c<1、a+b+c=1)で表されるリチウム-ニッケル-マンガン-コバルト系酸化物;LiV、LiFe、V、Cuなどのバナジウム酸化物;硫黄またはジスルフィド化合物;LiFePO、LiMnPO、LiCoPO、LiNiPOなどのリン酸塩;Fe(MoOなどが挙げられるが、これらだけに限定されるのではない。
【0056】
この時、電極層は、正極活物質以外にバインダー樹脂、導電剤、充填剤およびその他添加剤などを追加的に含むことができる。
【0057】
前記バインダー樹脂は、電極活物質と導電剤の結合と集電体に対する結合のために用いる。このようなバインダー樹脂の非制限的な例としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリル酸(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリメタクリルアミド、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、ポリイミド(PI)、アルギン酸(Alginic acid)、アルギネート(Alginate)、キトサン(Chitosan)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化-EPDM、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、これらの多様な共重合体などが挙げられる。
【0058】
前記導電剤は、電極活物質の導電性をより向上させるために用いる。このような導電剤は、当該電池に化学的変化を誘発せずに導電性を有するものであれば特に制限されるのではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などを用いることができる。
【0059】
前記充填剤は、電極の膨張を抑制する成分として選択的に用いられ、当該電池に化学的変化を誘発せずに繊維状材料であれば特に制限されるのではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系重合体;ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状物質が用いられる。
【0060】
(2)分離膜
分離膜は、多孔性基材からなることができるが、前記多孔性基材は、通常、電気化学素子に用いられる多孔性基材であれば全て使用が可能であり、例えばポリオレフィン系多孔性膜または不織布を用いることができるが、これに特に限定されるのではない。
【0061】
前記分離膜は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、およびポリエチレンナフタレートからなる群より選択されたいずれか一つまたはこれらのうちの2種以上の混合物からなる多孔性基材であってもよい。
【0062】
(3)電解質
前記リチウム二次電池の電解質は、リチウム塩および非水系有機溶媒を含む非水系電解液、有機固体電解質、無機固体電解質などを用いることができるが、これらだけに限定されるのではない。
【0063】
非水系有機溶媒は、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ-ブチロラクトン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、テトラヒドロキシフラン(franc)、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3-ジオキソラン、4-メチル-1,3-ジオキセン、ジエチルエーテル、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒を用いることができる。
【0064】
前記リチウム塩は、前記非水系電解質に溶解しやすい物質であって、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO、LiBF、LiB10Cl10、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、LiSCN、LiCBO、LiCFCO、LiCHSO、LiCFSO、LiN(SOF)、LiN(SOCF、LiN(SO、LiCSO、LiC(CFSO、(CFSONLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、テトラフェニルホウ酸リチウム、リチウムイミドなどを用いることができる。
【0065】
前記有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリアジテーションリシン(agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、二次性解離基を含む重合体などを用いることができる。
【0066】
前記無機固体電解質としては、例えば、LiN、LiI、LiNI、LiN-LiI-LiOH、LiSiO、LiSiO-LiI-LiOH、LiSiS、LiSiO、LiSiO-LiI-LiOH、LiPO-LiS-SiSなどのLiの窒化物、ハロゲン化物、硫酸塩などを用いることができる。
【0067】
また、前記電解質には、充放電特性、難燃性などの改善を目的としてその他添加剤をさらに含むことができる。前記添加剤の例示としては、ピリジン、トリエチルホスファート、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グライム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N,N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノール、三塩化アルミニウム、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、プロペンスルトン(PRS)、ビニレンカーボネート(VC)などが挙げられる。
【0068】
本発明によるリチウム二次電池は、一般的な工程である巻取(winding)以外にも分離膜と電極の積層(lamination、stack)および折り畳み(folding)工程が可能である。そして、前記電池ケースは、円筒型、角型、パウチ(pouch)型またはコイン(coin)型などになることができる。
【0069】
以下、本発明の理解のために好ましい実施例を提示するが、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範疇および技術思想の範囲内で多様な変更および修正が可能であることは当業者に明白であり、このような変更および修正が添付された特許請求の範囲に属することも当然である。
【0070】
実施例1
<リチウム二次電池用電極の製造>
水が入っている水槽に半球形突出部(直径10μm、高さ10μm、突出部間の間隔5μm)のパターンがあるPETフィルム(突出部の高さを除いた厚さ10μm)を浸漬した後、ニッケルスルフェート(Nickel sulfate)(1M)とグリシン(Glycine)(1M)を0.15mL/minの速度で投与して2時間にかけてNi無電解メッキを施した。製造されたNi/PETフィルム(Ni層の厚さ2μm)を蒸溜水で洗浄して乾燥した。
【0071】
前記製造されたNi/PETフィルムを1MのLiFSIが溶解されている1,4-ジオキサン(1,4-dioxane、DX):1,2-ジメトキシエタン(1,2-dimethoxyethane、DME)溶液(1:2、v/v)に入れて室温(25℃)で1mA/cmの電流を印加してLi電解メッキを施した。この時、電解メッキ装備としてはPNE solution社のPESC05を用いた。これによって、20μmの厚さのリチウム金属がメッキされた、Li/Ni/PETが順に積層され、複数個の規則的な半球形突出部を有するリチウム二次電池用電極を得た。
【0072】
<シンメトリックセル(Symmetric cell)の製造>
前記製造されたリチウム二次電池用電極をポリオレフィンセパレータを間に置いて両側に配置させたシンメトリックセル(Symmetric cell)を製作した後、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)を50:50の体積比で混合した溶媒に1MのLiPFが溶解された電解液を注入してコイン型電池を製造した。
【0073】
<フルセル(Full cell)の製造>
前記製造されたリチウム二次電池用電極(負極)と、正極活物質としてLiCoO 96重量%、デンカブラック(Denka black、導電剤)2重量%およびPVdF(Polyvinylidene fluoride、結合材)2重量%をNMP(N-Methyl-2-pyrrolidone)に添加して作ったスラリーをアルミニウム集電体の一面に65μmの厚さにコーティングし、これを乾燥および圧延して作った正極をポリオレフィンセパレータを間に置いて両側に配置させたフルセル(Full cell)を製作した後、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)を50:50の体積比で混合した溶媒に1MのLiPFが溶解された電解液を注入してコイン型電池を製造した。
【0074】
実施例2
PETフィルムとして半球形突出部の直径が20μmであるものを用いたことを除いては、前記実施例1と同様な方法で、リチウム二次電池用電極およびこれを含むコイン型電池を製造した。
【0075】
実施例3
PETフィルムとして半球形突出部の直径が40μmであるものを用いたことを除いては、前記実施例1と同様な方法で、リチウム二次電池用電極およびこれを含むコイン型電池を製造した。
【0076】
実施例4
PETフィルムとして半球形突出部の高さが20μmであるものを用いたことを除いては、前記実施例1と同様な方法で、リチウム二次電池用電極およびこれを含むコイン型電池を製造した。
【0077】
実施例5
PETフィルムとして半球形突出部の間隔が10μmであるものを用いたことを除いては、前記実施例1と同様な方法で、リチウム二次電池用電極およびこれを含むコイン型電池を製造した。
【0078】
比較例1
半球形突出部のパターンがないPETフィルムを用いたことを除いては、前記実施例1と同様な方法で、リチウム二次電池用電極およびこれを含むコイン型電池を製造した。
【0079】
比較例2
リチウム二次電池用電極として何ら処理をしていないリチウムメタル箔(20μm)を用いたことを除いては、実施例1と同様な方法でコイン型電池を製造した。
【0080】
比較例3
PETフィルムとして半球形突出部の模様が半球形でない正六面体形であって、一辺の長さが10μmであるものを用いたことを除いては、前記実施例1と同様な方法で、リチウム二次電池用電極およびこれを含むコイン型電池を製造した。
【0081】
比較例4
PETフィルムとして半球形突出部の直径が4μmであるものを用いたことを除いては、前記実施例1と同様な方法で、リチウム二次電池用電極およびこれを含むコイン型電池を製造した。
【0082】
比較例5
PETフィルムとして半球形突出部の直径が60μmであるものを用いたことを除いては、前記実施例1と同様な方法で、リチウム二次電池用電極およびこれを含むコイン型電池を製造した。
【0083】
実験例1
前記実施例および比較例で製造した各コイン型シンメトリックセル(Symmetric cell)を電気化学充放電器(PNE Solution社、PESC05)を利用して1mA/cmの電流密度で充電と放電を1時間ずつ繰り返して施した。この時、最初のサイクルの過電圧と対比して100回目サイクルの過電圧を比較して下記表1に示した。
【0084】
実験例2
前記実施例および比較例で製造した各コイン型フルセル(full cell)を電気化学充放電器(PNE Solution社、PESC05)を利用して充電と放電を行った。充電は電圧が4.4V vs. Li/Li+になるまで、放電は3.0V vs. Li/Li+になるまで行い、電流密度は0.5C-rateで加えた。この時、最初のサイクルの放電容量と対比して100回目サイクルの放電容量を比較して下記表1に示した。
【0085】
【表1】
【0086】
実験結果、実施例1乃至5の場合、比較例1乃至2の場合よりも100回目サイクルの過電圧増加率が顕著に低く示され、最初のサイクルに比べて100回目サイクルの放電容量は顕著に高く示された。その理由は、電極の表面が半球形パターンを有しており、電池充放電時にリチウムの蒸着および剥離が電極表面全体で均一に起こったためであると判断される。反面、電極表面にパターンがない比較例1乃至2は、過電圧が急激に増加し、放電容量が顕著に低下した点からみると、リチウムメタル表面の特定の部分に電流が集中してリチウムの蒸着および剥離が不均一に起こったことを確認することができる。
【0087】
一方、比較例3のようにパターンの突出部形状が半球形でなく、正六面体形で角ばっている場合、過電圧増加率が実施例1乃至5の場合よりも高く、放電容量が小さくなる結果が示されたが、これは角ばっている角部分への電流密度が高くなって均一な充放電を阻害したためであると判断される。
【0088】
また、比較例4乃至5の場合、実施例1乃至5に比べて過電圧増加率が高く、放電容量が小さく示されたが、これは半球形突出部の直径が過度に小さいかまたは過度に大きくて電流が均一に分散する効果が多少落ちたためであると判断される。前記結果から、本発明の効果を確保するためには、半球形突出部の直径が5乃至50μm範囲を満足しなければならないことを確認することができる。
【符号の説明】
【0089】
10:一面にパターンが形成された高分子フィルム
11:半球形突出部
20:導電性金属層
30:リチウム金属層
100:リチウム二次電池用電極
図1
図2
図3