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特許7062172始動用バッテリーの駆動システム及びこれを用いた外部システムのオフ状態の認識方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】始動用バッテリーの駆動システム及びこれを用いた外部システムのオフ状態の認識方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20220425BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20220425BHJP
   H02J 7/14 20060101ALI20220425BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20220425BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20220425BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02J7/10 B
H02J7/14 E
H01M10/48 P
H01M10/44 Q
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020533598
(86)(22)【出願日】2019-09-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-08
(86)【国際出願番号】 KR2019012462
(87)【国際公開番号】W WO2020111481
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】10-2018-0148371
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】スン・ジュ・ホン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ウク・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ヒョン・ナム
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-246225(JP,A)
【文献】国際公開第2018/030636(WO,A1)
【文献】特開平06-038400(JP,A)
【文献】特開平10-271705(JP,A)
【文献】特開2011-101517(JP,A)
【文献】特開2018-022665(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0241052(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0185784(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0099357(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 7/10
H02J 7/14
H01M 10/48
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ以上のバッテリーセルと、
前記バッテリーセルの電圧を測定する電圧測定部と、
前記電圧測定部において測定される電圧と、既に設定された基準電圧とを比較して、その比較結果に基づいて、前記バッテリーセルの過電圧状態の有無を判断する過電圧判断部と、
前記バッテリーセルと外部システムとの間の充電電流が流れる主経路である第1の経路の上に構成されて、充電電流の流れを制御する充電電界効果トランジスター(FET)と、
前記外部システムからバッテリーセルへと充電電流が流れ、前記第1の経路と並列に形成される第2の経路の上に構成されて、前記バッテリーセルの充電電流を費やす第1の電流制限部及び第2の電流制限部と、
前記電圧測定部において測定される電圧値の変化から前記バッテリーセルが接続される前記外部システムのオフ状態を判断するシステムオフ判断部と、
前記過電圧判断部及び前記システムオフ判断部の判断結果に基づいて、前記第1の経路の上に構成された前記充電電界効果トランジスター(FET)のオン/オフを制御する充電電界効果トランジスター(FET)制御部と、
を備えてなり、
前記電圧測定部は、第1の電圧測定部及び第2の電圧測定部を備えてなり、
前記第1の電圧測定部及び前記第2の電圧測定部のグランド(GND)は、互いに異なる位置に設定されており、
前記第1の電圧測定部のグランド(GND)は、前記第1の経路の上に位置し、
前記第2の電圧測定部のグランド(GND)は、前記第2の経路の上に構成される前記第1の電流制限部と前記第2の電流制限部との間に位置する始動用バッテリーの駆動システム。
【請求項2】
前記過電圧判断部は、前記第1の電圧測定部において測定された電圧が既に設定された基準電圧を超える場合、前記バッテリーセルが過電圧状態であると判断し、前記充電電界効果トランジスター(FET)制御部に過電圧判断信号を出力し、
前記充電電界効果トランジスター(FET)制御部は、前記過電圧判断部から前記過電圧判断信号を入力されれば、前記充電電界効果トランジスター(FET)をオフ(Off)にすることを特徴とする請求項に記載の始動用バッテリーの駆動システム。
【請求項3】
前記充電電界効果トランジスター(FET)制御部により前記充電電界効果トランジスター(FET)がオフ(Off)になることによって、前記第1の経路を介して前記バッテリーセルに流れていた充電電流が、前記第2の経路を介して流れることを特徴とする請求項に記載の始動用バッテリーの駆動システム。
【請求項4】
前記第2の経路の上に構成される前記第1の電流制限部及び前記第2の電流制限部は、前記第2の経路を介して流れる充電電流を費やして前記バッテリーセルの過充電を防ぐことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の始動用バッテリーの駆動システム。
【請求項5】
前記第2の経路を介して前記バッテリーセルの充電電流が流れる場合、前記第1の電流制限部及び前記第2の電流制限部により前記第1の電圧測定部及び前記第2の電圧測定部においてそれぞれ測定する電圧値間の差が生じることを特徴とする請求項に記載の始動用バッテリーの駆動システム。
【請求項6】
前記システムオフ判断部は、
前記過電圧判断部から過電圧判断信号が出力されることを感知して前記バッテリーセルの過電圧状態を認識し、過電圧状態信号を出力する過電圧状態認識部と、
前記過電圧状態認識部から出力される前記過電圧状態信号により前記バッテリーセルが過電圧状態であると認識されれば、その時点から前記第1の電圧測定部及び前記第2の電圧測定部においてそれぞれ測定する電圧値間の差の発生有無を感知して前記外部システムのオフ(Off)状態を判断する電圧差発生有無感知部と、
を備えてなることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の始動用バッテリーの駆動システム。
【請求項7】
前記電圧差発生有無感知部は、前記第1の電圧測定部及び前記第2の電圧測定部においてそれぞれ測定する電圧値間の差が生じない状態に変化したと感知されれば、前記外部システムがオフ(Off)になった状態であると判断し、前記充電電界効果トランジスター(FET)制御部にシステムオフ信号を出力することを特徴とする請求項に記載の始動用バッテリーの駆動システム。
【請求項8】
前記充電電界効果トランジスター(FET)制御部は、
前記電圧差発生有無感知部から前記システムオフ信号を入力されれば、前記充電電界効果トランジスター(FET)をオン(On)にすることを特徴とする請求項に記載の始動用バッテリーの駆動システム。
【請求項9】
前記第1の電流制限部及び前記第2の電流制限部は、それぞれバイパス抵抗(By Pass resistor)から構成されることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の始動用バッテリーの駆動システム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の駆動システムにおいてバッテリーセルの過電圧状態で外部システムのオフ(Off)状態を認識する方法において、
前記第1の電圧測定部及び前記第2の電圧測定部において、前記バッテリーセルの電圧をそれぞれ測定する電圧測定ステップと、
前記過電圧判断部において、前記電圧測定ステップを介して前記第1の電圧測定部において測定された電圧が既に設定された基準電圧を超えるか否かを比較して、その比較結果に基づいて、前記バッテリーセルが過電圧状態であるか否かを判断する過電圧判断ステップと、
前記充電電界効果トランジスター(FET)制御部において、前記過電圧判断ステップを介して前記バッテリーセルが過電圧状態であると判断されれば、前記第1の経路の上に構成された前記充電電界効果トランジスター(FET)をオフ(Off)にして前記外部システムからバッテリーセルへと流れる充電電流を制御する充電電界効果トランジスター(FET)オフ制御ステップと、
前記システムオフ判断部において、前記充電電界効果トランジスター(FET)オフ制御ステップにより前記第1の経路の上に構成された前記充電電界効果トランジスター(FET)がオフになることにより、前記第1の電圧測定部及び前記第2の電圧測定部においてそれぞれ測定される電圧値が同一の値の状態となるか否かを感知する電圧値同異感知ステップと、
前記電圧値同異感知ステップにおいて、前記第1の電圧測定部及び前記第2の電圧測定部においてそれぞれ測定された電圧値が同一の値である状態となったと感知されれば、前記外部システムがオフ(Off)になった状態であると判断するシステムオフ判断ステップと、
前記充電電界効果トランジスター(FET)制御部において、前記システムオフ判断ステップにおいて前記外部システムがオフ(Off)になった状態であると判断されることにより、前記第1の経路の上に構成された前記充電電界効果トランジスター(FET)をオン(On)にする充電電界効果トランジスター(FET)オン制御ステップと、
を含んでなることを特徴とする外部システムのオフ状態の認識方法。
【請求項11】
前記充電電界効果トランジスター(FET)オフ制御ステップにおいて、前記第1の経路の上に構成された前記充電電界効果トランジスター(FET)がオフになることで前記第2の経路を介して充電電流が流れることにより、前記第2の経路の上に配備された前記第1の電流制限部及び前記第2の電流制限部により前記第1の電圧測定部及び前記第2の電圧測定部においてそれぞれ測定する電圧値が互いに異なることを特徴とする請求項10に記載の外部システムのオフ状態の認識方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、始動用バッテリーの駆動システム及びこれを用いた外部システムのオフ状態の認識方法に係り、さらに詳しくは、始動用バッテリーのバッテリー管理システム(BMS)に電流センサーを備えることなく、外部システムのオフ状態を認識可能にする始動用バッテリーの駆動システム及びこれを用いた外部システムのオフ状態の認識方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の地球温暖化などの環境問題への関心の急増には目を見張るものがあり、これに伴い、環境問題の主な原因の一つである二酸化炭素の排出を減少させるための必要性とニーズが高まりつつある。これに伴い、電気で動力を得て駆動する電気自動車や電気二輪車への需要が高まりつつある傾向にある。
【0003】
一方、始動用バッテリーは、エンジンの始動のためのバッテリーであって、始動後にはエンジンにより充電されるようになっている。このような始動用バッテリーは、電気自動車や電気二輪車に搭載されてエンジンの始動を可能にし、始動後にはエンジンにより充電が行われる。
【0004】
このとき、エンジンが非安定状態(Unregulated status)である場合、始動用バッテリーを安全電圧以上まで充電してしまうという問題が生じるが、リチウムイオン電池からなる始動用バッテリーの場合、安全電圧以上に充電されれば、爆発などといった危険問題が生じるため、バッテリー管理システム(BMS)を用いて、安全電圧以上に充電されないようにする制御を行うことが必要である。
【0005】
このために、一般に、バッテリー管理システム(BMS)は、電流センサーを備え、これを用いて、電流の大きさと方向を通して充/放電状態を正確に認識して、始動用バッテリーが安全電圧以上に充電できないように制御することができる。しかしながら、前述したように、バッテリー管理システム(BMS)に電流センサーを備えることはコストアップにつながるため、このようなバッテリー管理システム(BMS)により価格競争力が低下するという問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】KR 10-2009-0047181 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した問題を解決するためのものであり、電流センサーを備えなくても、バッテリー管理システム(BMS)の機能が行われるようにして価格競争力を向上させることのできる始動用バッテリーの駆動システムとこれを用いた外部システムのオフ状態の認識方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る始動用バッテリーの駆動システムは、一つ以上のバッテリーセルと、前記バッテリーセルの電圧を測定する電圧測定部と、前記電圧測定部において測定される電圧と、既に設定された基準電圧とを比較して、その比較結果に基づいて、バッテリーセルの過電圧状態の有無を判断する過電圧判断部と、前記バッテリーセルと外部システムとの間の充電電流が流れる主経路である第1の経路の上に構成されて、充電電流の流れを制御する充電電界効果トランジスター(FET)と、前記外部システムからバッテリーセルへと充電電流が流れ、前記第1の経路と並列に形成される第2の経路の上に構成されて、前記バッテリーセルの充電電流を費やす第1の電流制限部及び第2の電流制限部と、前記電圧測定部において測定される電圧値の変化から前記バッテリーセルが接続される外部システムのオフ状態を判断するシステムオフ判断部と、前記過電圧判断部及び前記システムオフ判断部の判断結果に基づいて、前記第1の経路の上に構成された充電電界効果トランジスター(FET)のオン/オフを制御する充電電界効果トランジスター(FET)制御部と、を備えてなる。
【0009】
ここで、前記電圧測定部は、第1の電圧測定部及び第2の電圧測定部を備えてなり、前記第1の電圧測定部及び第2の電圧測定部のグランド(GND)は、互いに異なる位置に設定されることを特徴とする。
【0010】
具体的に、前記第1の電圧測定部のグランド(GND)は、前記第1の経路の上に位置し、前記第2の電圧測定部のグランド(GND)は、前記第2の経路の上に構成される第1の電流制限部と第2の電流制限部との間に位置することを特徴とする。
【0011】
一方、前記過電圧判断部は、前記第1の電圧測定部において測定された電圧が既に設定された基準電圧を超える場合、バッテリーセルが過電圧状態であると判断し、前記充電電界効果トランジスター(FET)制御部に過電圧判断信号を出力し、前記充電電界効果トランジスター(FET)制御部は、前記過電圧判断部から過電圧判断信号を入力されれば、前記充電電界効果トランジスター(FET)をオフ(Off)にすることを特徴とする。
【0012】
このため、前記充電電界効果トランジスター(FET)制御部により充電電界効果トランジスター(FET)がオフ(Off)になることによって、前記第1の経路を介してバッテリーセルに流れていた充電電流が、前記第2の経路を介して流れることを特徴とする。
【0013】
一方、前記第2の経路の上に構成される第1の電流制限部及び第2の電流制限部は、前記第2の経路を介して流れる充電電流を費やしてバッテリーセルの過充電を防ぐことを特徴とする。
【0014】
これにより、前記第2の経路を介してバッテリーセルの充電電流が流れる場合、前記第1及び第2の電流制限部により前記第1の電圧測定部及び第2の電圧測定部においてそれぞれ測定する電圧値間の差が生じることを特徴とする。
【0015】
一方、前記システムオフ判断部は、前記過電圧判断部から過電圧判断信号が出力されることを感知してバッテリーセルの過電圧状態を認識し、過電圧状態信号を出力する過電圧状態認識部と、前記過電圧状態認識部から出力される過電圧状態信号によりバッテリーセルが過電圧状態であると認識されれば、その時点から前記第1の電圧測定部及び第2の電圧測定部においてそれぞれ測定する電圧値間の差の発生有無を感知して外部システムのオフ(Off)状態を判断する電圧差発生有無感知部と、を備えてなることを特徴とする。
【0016】
具体的に、前記電圧差発生有無感知部は、前記第1の電圧測定部及び第2の電圧測定部においてそれぞれ測定する電圧値間の差が生じない状態に変化したと感知されれば、外部システムがオフ(Off)になった状態であると判断し、前記充電電界効果トランジスター(FET)制御部にシステムオフ信号を出力することを特徴とする。
【0017】
これにより、前記充電電界効果トランジスター(FET)制御部は、
前記電圧差発生有無感知部からシステムオフ信号を入力されれば、前記充電電界効果トランジスター(FET)をオン(On)にすることを特徴とする。
【0018】
一方、前記第1の電流制限部及び第2の電流制限部は、それぞれバイパス抵抗(By Pass resistor)から構成されることを特徴とする。
【0019】
上述したような始動用バッテリー駆動システムにおいて、バッテリーセルの過電圧状態で外部システムのオフ(Off)状態を認識する方法は、前記第1の電圧測定部及び第2の電圧測定部において、バッテリーセルの電圧をそれぞれ測定する電圧測定ステップと、前記過電圧判断部において、前記電圧測定ステップを介して第1の電圧測定部において測定された電圧が既に設定された基準電圧を超えるか否かを比較して、その比較結果に基づいて、バッテリーセルが過電圧状態であるか否かを判断する過電圧判断ステップと、前記充電電界効果トランジスター(FET)制御部において、前記過電圧判断ステップを介してバッテリーセルが過電圧状態であると判断されれば、前記第1の経路の上に構成された充電電界効果トランジスター(FET)をオフ(Off)にして外部システムからバッテリーセルへと流れる充電電流を制御する充電電界効果トランジスター(FET)オフ制御ステップと、前記システムオフ判断部において、前記充電電界効果トランジスター(FET)オフ制御ステップにより第1の経路の上に構成された充電電界効果トランジスター(FET)がオフになることにより、前記第1の電圧測定部及び第2の電圧測定部においてそれぞれ測定される電圧値が同一の値の状態となるか否かを感知する電圧値同異感知ステップと、前記電圧値同異感知ステップにおいて、第1の電圧測定部及び第2の電圧測定部においてそれぞれ測定された電圧値が同一の値である状態となったと感知されれば、外部システムがオフ(Off)になった状態であると判断するシステムオフ判断ステップと、前記充電電界効果トランジスター(FET)制御部において、前記システムオフ判断ステップにおいて外部システムがオフ(Off)になった状態であると判断されることにより、前記第1の経路の上に構成された充電電界効果トランジスター(FET)をオン(On)にする充電電界効果トランジスター(FET)オン制御ステップと、を含んでなることを特徴とする。
【0020】
このとき、前記充電電界効果トランジスター(FET)オフ制御ステップにおいて、前記第1の経路の上に構成された充電電界効果トランジスター(FET)がオフになることで前記第2の経路を介して充電電流が流れることにより、前記第2の経路の上に配備された第1の電流制限部及び第2の電流制限部により前記第1の電圧測定部及び第2の電圧測定部においてそれぞれ測定する電圧値が互いに異なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、バッテリー管理システム(BMS)に電流センサーを備えなくても、バッテリーの過電圧状態でシステムのオフ状態を認識することができるので、バッテリーの価格競争力を向上させることができる。
【0022】
さらに、バッテリーの過電圧状態でシステムのオフ状態を認識することにより、次回の始動が可能なように制御を行うことができるので、バッテリーを安定的に運用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る全体的なシステムの構成を概略的に示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る実際の回路図である。
図3】同図2に示す各充電電流の流れの状態を示す図である。
図4】同図2に示す各充電電流の流れの状態を示す図である。
図5】同図2に示す各充電電流の流れの状態を示す図である。
図6】第1及び第2のアナログ-デジタルコンバーター(ADC)間の電圧差の発生原理を説明するための図である。
図7】本発明の実施形態に係る方法を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面に基づいて、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施形態をより詳しく説明する。しかしながら、本発明は異なる様々な形態に具体化でき、以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではない。そして、図中、本発明を明確に説明するために、説明とは無関係な部分は省略し、明細書の全体に亘って、同じ部分に対しては類似の図面符号を付している。
【0025】
「第1の」、「第2の」などのように序数を含む言い回しは、様々な構成要素を説明するうえで使用可能であるが、前記構成要素は、前記言い回しによって何等限定されない。上記の言い回しは、ある構成要素を他の構成要素から区別する目的でしか使えない。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しない範囲内において第1の構成要素は第2の構成要素と命名されてもよく、同様に、第2の構成要素もまた第1の構成要素と命名されてもよい。この出願において用いた用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられたものであり、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現は、文脈からみて明らかに他の意味を有さない限り、複数の言い回しを含む。
【0026】
明細書の全般に亘って、ある部分が他の部分と「連結」されているとか、「接続」されているとか、と言及された場合、これは、前記ある部分が前記他の部分に「直接的に連結されたり接続」されたりする場合だけではなく、これらの間に他の素子を間に挟んで「電気的に連結されたり接続」されたりする場合をも含む。なお、ある部分がある構成要素を「備える」としたとき、これは、特に断りのない限り、他の構成要素を除外するわけではなく、他の構成要素をさらに備えていてもよいことを意味する。本願の明細書の全般に亘って用いられる度合いの言い回しである「~(する)ステップ」又は「~のステップ」は、「~のためのステップ」を意味するものではない。
【0027】
本発明において用いられる用語としては、本発明における機能を考慮しつつ、できる限り現在汎広く用いられている一般的な用語を選択したが、これは、当分野に携わっている技術者の意図又は判例、新たな技術の出現などによって異なる。なお、特定の場合は、出願人が任意に選定した用語もあり、この場合に、当該する発明の説明の部分の欄において詳しくその意味を記載する。よって、本発明において用いられる用語は、単なる用語の名称ではなく、その用語が有する意味と本発明の全般に亘っての内容を踏まえて定義されるべきである。
【0028】
以下、添付図面に基づいて、本発明について詳しく説明する。
【0029】
1.本発明に係る始動用バッテリーの駆動システム
本発明は、直列または並列に接続された一つ以上のバッテリーセル100を備える。前記バッテリーセル100は、電気自動車や電気二輪車のエンジンの始動のための充電電流を供給し、始動後には、エンジンにより充電が行われる。
【0030】
1.2.電圧測定部200
電圧測定部200は、前記バッテリーセル100の電圧を測定する構成要素であって、第1の電圧測定部200a及び第2の電圧測定部200bから構成されてもよい。このとき、図2に示すように、第1の電圧測定部200a及び第2の電圧測定部200bは、同一の電圧を測定するが、グランド(GND)が互いに異なる位置に接続されてもよい。
【0031】
ここで、前記第1の電圧測定部200a及び第2の電圧測定部200bは、それぞれアナログ-デジタルコンバーター(ADC:Analog-to-Digital Converter)であってもよい。
【0032】
具体的に、前記第1の電圧測定部200aのグランド(GND)は、セルグランド(GND)に接続され、前記第2の電圧測定部200bのグランド(GND)は、後述するバイパス抵抗からなる第1の電流制限部500aと第2の電流制限部500bとの間に位置するように接続されてもよい。前記第1の電圧測定部200a及び第2の電圧測定部200bのグランド(GND)を互いに異なる位置に接続することは、このような接続により現れる第1の電圧測定部200aと第2の電圧測定部200bとの間の電圧差の発生有無に応じて、バッテリーセル100の過電圧状態で外部システムがオフ(Off)になった状態を認識するためであり、これについては、後述するシステムオフ判断部700を説明する際に詳しく説明する。
【0033】
1.3.過電圧判断部300
過電圧判断部300は、前記電圧測定部200において測定されるバッテリーセル100の電圧と、既に設定された基準電圧とを比較して、その比較結果に基づいて、バッテリーセル100の過電圧状態の有無を判断する構成要素である。
【0034】
比較の結果、前記電圧測定部200において測定された電圧が基準電圧を超えると、バッテリーセル100が過電圧状態であると判断して、後述する充電電界効果トランジスター(FET)制御部600及び過電圧状態認識部710に出力してもよい。
【0035】
ここで、前記過電圧判断部は、バッテリーセル100の過電圧状態の判断のために、前記第1の電圧測定部200aにおいて計測する電圧を用いることが好ましい。互いに異なるグランド(GND)の位置を有する前記第1の電圧測定部200a及び第2の電圧測定部200bにおいてそれぞれ計測する電圧値が異なることは、過電圧の判断により充電電界効果トランジスター(FET)400がオフ(Off)になることにより、充電電流が第2の経路に流れる場合であるため、過電圧状態を判断する前には第1の電圧測定部200a及び第2の電圧測定部200bにおいてそれぞれ計測する電圧値が同一であるが、過電圧状態の判断後に正常状態を判断する状況を考慮すれば、グランド(GND)の位置がセルグランド(GND)である第1の電圧測定部200aにおいて計測する電圧を用いることがバッテリーセル100の電圧状態を判断するうえで好ましい。
【0036】
1.4.充電電界効果トランジスター(FET)400
充電電界効果トランジスター(FET)400は、電気自動車や電気二輪車などの外部システムのエンジンからバッテリーセル100への、あるいは、バッテリーセル100から外部システムへの充電電流の流れを制御する構成要素であって、後述する充電電界効果トランジスター(FET)制御部600によりオン/オフ制御が行われてもよい。
【0037】
本発明は、電気自動車や電気二輪車などの外部システムのエンジンの始動のための電源を供給する始動用バッテリーであるため、エンジンの始動に際しては、図3に示すように、バッテリーセル100から外部システムへと充電電流が流れてエンジンの始動のための充電電流が流れ、エンジンの始動後には、図4に示すように、外部システムからバッテリーセル100へと充電電流が流れて、エンジンによりバッテリーセル100の充電が行われてもよい。
【0038】
ここで、前記充電電界効果トランジスター(FET)は、図2に示すように、主充電経路である第1の経路の上に構成されて、後述する充電電界効果トランジスター(FET)制御部600によりオン/オフになって充電電流の流れを制御してもよい。
【0039】
1.5.電流制限部500
電流制限部500は、第1の電流制限部500a及び第2の電流制限部500bを備えてなってもよい。図2に示すように、充電電界効果トランジスター(FET)400が構成される第1の経路とは異なる第2の経路の上に構成されて、バッテリーセル100の充電電流を費やすことにより、バッテリーセル100の過充電を防ぐことができる。
【0040】
具体的に、前記第1の電流制限部500a及び第2の電流制限部500bが構成される第2の経路は、外部システムからバッテリーセル100へと充電電流が流れる主経路である第1の経路と並列に形成されて、前記第1の経路の上に構成された充電電界効果トランジスター(FET)400のオフ(Off)に際して前記充電電流が流れるように構成されてもよい。前記過電圧判断部300において、バッテリーセル100が過電圧であると判断したとき、後述する充電電界効果トランジスター(FET)制御部600により充電電界効果トランジスター(FET)400がオフ(Off)になると、前記充電電流が第2の経路に流れることになる。このとき、第2の経路に構成された前記第1の電流制限部500a及び第2の電流制限部500bにより前記バッテリーセル100に流れる充電電流を費やして、バッテリーセル100の過充電を防ぐことができる。ここで、前記第1の電流制限部500a及び第2の電流制限部500bは、パイパス抵抗(By Pass resistor)から構成される。すなわち、パイパス抵抗からなる第1の電流制限部500a及び第2の電流制限部500bが当該抵抗値に見合う分だけバッテリーセル100の充電電流を費やすことにより、バッテリーセル100の過充電を防ぐことが可能になるのである。
【0041】
要するに、第1の経路は、充電電流が流れる主経路であり、第2の経路は、前記第1の経路の上に構成された充電電界効果トランジスター(FET)400がオフ(Off)になることにより前記充電電流が流れる経路であり、ここで、第2の経路の上にパイパス抵抗からなる第1の電流制限部500a及び第2の電流制限部500bを構成して、バッテリーセル100の充電電流を費やして、バッテリーセル100の過充電を防ぐことが可能になるのである。
【0042】
ここで、前述した電圧測定部200の第2の電圧測定部200aのグランド(GND)が、パイパス抵抗からなる第1の電流制限部500a及び第2の電流制限部500bの間に位置すると説明することができる。
【0043】
1.6.充電電界効果トランジスター(FET)制御部600
充電電界効果トランジスター(FET)制御部600は、前述したように、前記過電圧判断部300の判断結果に基づいて、前記充電電界効果トランジスター(FET)400をオン/オフ制御することができる。
【0044】
上述したように、前記充電電界効果トランジスター(FET)制御部600は、前記過電圧判断部300から過電圧判断信号が出力されれば、バッテリーセル100が過電圧状態であると認識し、外部システムから第1の経路へと流れる充電電流を遮断するために充電電界効果トランジスター(FET)400をオフ(Off)にしてもよい。
【0045】
これに対し、前記過電圧判断部300から過電圧判断信号が出力されない状態、すなわち、正常状態では、充電電界効果トランジスター(FET)400をオンにして、外部システムからの充電電流が主経路である第1の経路に流れるようにしてもよい。
【0046】
また、前記充電電界効果トランジスター(FET)制御部は、後述するシステムオフ判断部700からシステムオフ信号が出力されれば、前記充電電界効果トランジスター(FET)400をオン(On)にしてもよい。
【0047】
「前記システムオフ判断部700からシステムオフ信号が出力された」とは、バッテリーセル100の過電圧状態の判断により充電電界効果トランジスター(FET)400がオフ(Off)になった状態で外部システムがオフ(Off)になったことを意味するため、再び充電電界効果トランジスター(FET)400をオン(On)にしてもよい。これにより、次回のエンジンの始動に際して、バッテリーセル100から外部システムのエンジンへと充電電流が流れるようにして、エンジンの始動を可能にすることができる。
【0048】
これについては、後述するシステムオフ判断部700においてさらに詳しく説明する。
【0049】
1.7.システムオフ判断部700
システムオフ判断部700は、前記過電圧判断部300によりバッテリーセル100が過電圧状態であると判断された状態で、前記電圧測定部200の第1の電圧測定部200a及び第2の電圧測定部200bにおいてそれぞれ測定する電圧差の発生有無を感知して、その感知結果に基づいて、外部システムがオフ(Off)になった状態であることを判断する構成要素である。前記システムオフ判断部は、下記のような細部の構成要素を備えてなってもよい。
【0050】
イ.過電圧状態認識部710
過電圧状態認識部710は、前記過電圧判断部300からの過電圧判断信号の出力を感知して、バッテリーセル100の過電圧状態を認識してもよい。前記過電圧判断部300から過電圧判断信号が出力されれば、前記過電圧状態認識部710は、バッテリーセル100が過電圧状態であると判断し、過電圧状態信号を出力してもよい。
【0051】
ロ.電圧差発生有無感知部720
電圧差発生有無感知部720は、前記過電圧状態認識部710によりバッテリーセル100が過電圧状態であると認識された状態で、前記電圧測定部200の第1の電圧測定部200a及び第2の電圧測定部200bにおいてそれぞれ測定する電圧間の差が生じるか否かを感知する構成要素である。
【0052】
具体的に、前記電圧差発生有無感知部720は、前記過電圧状態認識部710から出力される過電圧状態信号を入力されてもよい。前記過電圧状態信号を入力されれば、その時点から所定の時間が経ってから、前記電圧測定部200の第1の電圧測定部200a及び第2の電圧測定部200bにおいてそれぞれ測定する電圧値の同異を比較して、両電圧間の差の発生有無を感知してもよい。同異の比較の結果、前記第1の電圧測定部200a及び第2の電圧測定部200bの電圧間の差が生じていない状態であると感知されれば、バッテリーセル100の過電圧状態で外部システムがオフ(Off)になったと判断して、前記充電電界効果トランジスター(FET)制御部600にシステムオフ信号を出力してもよい。これにより、前記システムオフ信号を入力された充電電界効果トランジスター(FET)制御部600は、充電電界効果トランジスター(FET)400をオンにすることにより、次回に外部システムの電源をオン(On)にしようとするとき、バッテリーセル100からエンジンへと充電電流が流れることを可能にして、エンジンを始動可能にすることができる。
【0053】
ここで、前記電圧差発生有無感知部720において過電圧状態信号を入力された時点から所定の時間が経ってから前記電圧測定部200の第1の電圧測定部200aと第2の電圧測定部200bとの間の電圧差の発生有無を感知することは、過電圧状態であると判断されることにより、充電電界効果トランジスター(FET)400がオフ(Off)になって第1の経路に流れていた充電電流が第2の経路に流れて、第1の電圧測定部200a及び第2の電圧測定部200bにおいてそれぞれ測定する電圧値が異なってくる時間を考慮したことであり、これにより、電圧差発生有無感知部720においては、第1の電圧測定部200a及び第2の電圧測定部200bの電圧値が互いに異なる状態で等しくなる、つまり、差が生じない状態をさらに正確に感知することができて、過電圧状態でシステムがオフ(Off)になったことを正確に判断することができる。
【0054】
ここで、「外部システムがオフ(Off)になった」とは、電気自動車、電気二輪車などの始動が止まった状態を意味し、「外部システムの電源をオン(On)にすることを可能にする」とは、始動が止まった状態で次回の始動を可能にすることを意味することがある。
【0055】
すなわち、本発明は、電気自動車、電気二輪車などの外部システムに取り付けられて、エンジンの始動のための充電電流を供給し、エンジンが始動した後には、エンジンにより充電が行われる始動用バッテリーに関するものであり、充電電界効果トランジスター(FET)400がオフ(Off)になった状態で外部システムがオフ(Off)になった場合(始動が止まった場合)、次回のエンジンの始動を可能にするために充電電界効果トランジスター(FET)400をオン(On)にし直すことが必要である。したがって、前記システムオフ判断部700は、バッテリーセル100の過電圧状態、すなわち、充電電界効果トランジスター(FET)400がオフ(Off)になった状態で前記電圧測定部200の第1の電圧測定部200a及び第2の電圧測定部200bにおいて計測する電圧値間の差が生じないと感知されれば、外部システムがオフ(Off)になったと判断し、次回の始動を可能にするために充電電界効果トランジスター(FET)制御部600に充電電界効果トランジスター(FET)400をオン(On)制御するためにシステムオフ信号を出力するのである。
【0056】
このように、バッテリーセル100の過電圧状態で前記第1の電圧測定部200a及び第2の電圧測定部200bにおいて同一の電圧値を計測することを外部システムがオフ(Off)になった状態で判断する原理について説明する。
【0057】
まず、前記図3に示すように、第1の経路の上にオン(On)になっている充電電界効果トランジスター(FET)400を介してバッテリーセル100から外部システムのエンジンへと充電電流が供給されてエンジンが始動した後、前記図4に示すように、エンジンからバッテリーセル100へと充電電流が供給されてバッテリーセル100の充電が行われてもよい。このような図3及び図4の状態では、充電電流が主経路である第1の経路に流れるため、抵抗による制限がほとんどない状態の充電電流が流れ、前記第1の電圧測定部200a及び第2の電圧測定部200bは、同一の電圧値を計測することができる。このような状態で、前記過電圧判断部300により過電圧状態であると判断されることにより、充電電界効果トランジスター(FET)400がオフ(Off)になれば、第1の経路に流れていた充電電流がバッテリーセル100の過充電の防止のために、図5に示すように、パイパス抵抗からなる第1の電流制限部500a及び第2の電流制限部500bが構成されている第2の経路に流れることになる。このように、充電電流が第2の経路にのみ流れる場合、前記第1の電圧測定部200aのグランド(GND)はセルグランド(GND)であるが、第2の電圧測定部200bのグランド(GND)は第1の電流制限部500aと第2の電流制限部500bとの間に位置するため、前記第1の電流制限部500a及び第2の電流制限部500bに充電電流が流れながら電圧がかかり、+、-に逆転されながらグランド(GND)がフローティング(Floating)するという現象が起こる。これにより、図6に示すように、第1のアナログ-デジタルコンバーター(ADC)200aと第2のアナログ-デジタルコンバーター(ADC)200bとが実際には同一の電圧を測定してはいるとはいえ、前記第2のアナログ-デジタルコンバーター(ADC)200bのグランド(GND)がフローティング(Floating)することにより、フローティング(Floating)した分だけ基準が異なってくるため、第1の電圧測定部200aにおいて読み込む電圧値と差が生じて、結果的に、第1の電圧測定部200a及び第2の電圧測定部200bの電圧値間の差が生じるのである。
【0058】
したがって、前記図3及び図4に示すように、第1の経路に充電電流が流れる状態では、第1の電圧測定部200a及び第2の電圧測定部200bにおいて計測する電圧値が等しく、前記図5に示すように、充電電界効果トランジスター(FET)400がオフ(Off)になることにより、第2の経路に充電電流が流れる状態、すなわち、過電圧状態では、前記第2の経路に構成された第1の電流制限部500a及び第2の電流制限部500bにより第2の電圧測定部200bのグランド(GND)がフローティング(Floating)して第1の電圧測定部200a及び第2の電圧測定部200bにおいて計測する電圧値の差が生じるものと説明することができる。
【0059】
ここで、外部システムの出力に応じえて電流が異なるため、前記第1の電流制限部500a及び第2の電流制限部500a、500bにかかる電圧もまた異なってきて、第2の電圧測定部200bのグランド(GND)に生じるフローティング(Floating)の度合いが異なってくることがある。
【0060】
前記図5の状態で、外部システムがオフ(Off)になれば、いかなる電流も流れない状態となるため、第1の電圧測定部200a及び第2の電圧測定部200bにおいて計測する電圧値の差が生じなくなる。
【0061】
したがって、本発明は、上述した原理を用いて、過電圧状態で第1の電圧測定部200a及び第2の電圧測定部200bの電圧値間の差がない同一の状態となることを感知して、外部システムがオフ(Off)になったと判断することができるのである。
【0062】
ここで、「外部システムがオフ(Off)になった状態」とは、エンジンの始動が止まった状態を意味することがある。
【0063】
これを通して、本発明は、電流センサーを備えなくてもパイパス抵抗からなる第1の電流制限部500a及び第2の電流制限部500bが構成される経路を備え、第1の電圧測定部200a及び第2の電圧測定部200bのグランド(GND)を互いに異なる位置に接続して、このような接続を通して、前記第1の電圧測定部200a及び第2の電圧測定部200bにおいて計測する電圧値間の差の発生有無に応じて、過電圧状態で外部システムがオフ(Off)になった状態を認識することができて、次回のエンジンの始動を可能にする今後の制御を行うことが可能であるので、価格競争力とその効率性を向上させることができる。
【0064】
ここで、前記第1の電圧測定部200a及び第2の電圧測定部200bの分配抵抗a、b、c、dの値と、前記第1の電流制限部500a及び第2の電流制限部500bの抵抗値との間に十分に大きな差を設けて設計されなければならないことがある。その理由は、上述した原理を利用するために、第1の電圧測定部200a及び第2の電圧測定部200bが計測する電圧値がほぼ同一の値ではなければならないが、各電圧測定部の分配抵抗の単位は10の6乗オームであり、パイパス抵抗である第1の電流制限部500a及び第2の電流制限部500bは、10の0乗オームであり、万倍の差を有する。したがって、これを考慮して、前記それぞれアナログ-デジタルコンバーター(ADC)から構成された電圧測定部の分配抵抗a、b、c、dの値と、前記第1の電流制限部500a及び第2の電流制限部500bの値とが十分に大きな差を有するように設計してはじめて、上述した原理を用いて過電圧状態でのシステムのオフ状態が認識可能になる。
【0065】
2.本発明に係る始動用バッテリーの駆動システムを用いた外部システムのオフ状態の認識方法
図7を参照すると、本発明に係る外部システムのオフ状態の認識方法は、下記のようなステップからなってもよい。
【0066】
2.1.電圧測定ステップ(S100)
電圧測定ステップ(S100)は、バッテリーセル100の電圧を測定するステップであって、それぞれのアナログ-デジタルコンバーター(ADC:Analog-to-Digital Converter)から構成された前記第1の電圧測定部200a及び第2の電圧測定部200bにより行われてもよい。
【0067】
2.2.過電圧判断ステップ(S200)
過電圧判断ステップ(S200)は、前記電圧測定ステップ(S100)において測定される電圧と、既に設定された基準電圧とを比較して、その比較結果に基づいて、バッテリーセル100の過電圧状態を判断するステップである。前記電圧測定ステップ(S100)において測定された電圧が既に設定された基準電圧を超えると、バッテリーセル100が過電圧状態であると判断し、過電圧判断信号を出力してもよい。
【0068】
このような過電圧判断ステップは、上述した過電圧判断部300により行われてもよい。
【0069】
2.3.充電電界効果トランジスター(FET)オフ制御ステップ(S300)
前記過電圧判断ステップ(S200)において、バッテリーセル100が過電圧状態であると判断されて過電圧判断信号が出力されることにより、電気自動車や電気二輪車などの外部システムから第1の経路を介してバッテリーセル100へと流れる充電電流を遮断するために、主充電経路である第1の経路の上に構成された充電電界効果トランジスター(FET)400をオフ制御するステップである。このステップを通して、図4に示すように、第1の経路を介して外部システムからバッテリーセル100へと流れていた充電電流は、図5に示すように、パイパス抵抗からなる第1の電流制限部500a及び第2の電流制限部500bが構成された第2の経路に流れて、前記第1の電流制限部500a及び第2の電流制限部500bにより電流が制限されてバッテリーセル100の充電電流を減少させることにより、過充電が防がれる。
【0070】
このような充電電界効果トランジスター(FET)オフ制御ステップ(S300)は、上述した過電圧判断部300から過電圧判断信号を入力された充電電界効果トランジスター(FET)制御部600により行われてもよい。
【0071】
2.4.電圧値同異感知ステップ(S400)
電圧値同異感知ステップ(S400)は、前記充電電界効果トランジスター(FET)オフ制御ステップ(S300)を通して外部システムからバッテリーセル100への充電電流が第1の電流制限部500a及び第2の電流制限部500bが構成された第2の経路に流れることにより、前記電圧測定ステップ(S100)を通して第1の電圧測定部200a及び第2の電圧測定部200bにおいてそれぞれ測定する電圧値の同異を比較して、両電圧値が同一の値である状態になるか否かを感知するステップである。
【0072】
上述したように、前記充電電界効果トランジスター(FET)オフ制御ステップ(S300を通して第1の経路の上に構成された充電電界効果トランジスター(FET)400が遮断されれば、図5に示すように、充電電流が第1の電流制限部500a及び第2の電流制限部500bが構成された第2の経路に流れることになる。ここで、前記第1の電圧測定部200aはセルグランド(GND)に、且つ、第2の電圧測定部200bのグランド(GND)は第1の電流制限部500aと第2の電流制限部500bとの間に位置するため、図5に示すように、第2の経路に充電電流が流れれば、前記第1の電流制限部500a及び第2の電流制限部500bにより第2の電圧測定部200bのグランド(GND)にフローティング(floating)が生じて、第1の電圧測定部200a及び第2の電圧測定部200bにおいてそれぞれ計測する電圧値に差が生じる。このような状態で、外部システムがオフ(Off)になれば、すなわち、エンジンの始動が止まれば、いかなる電流も流れないため、第1の電圧測定部200a及び第2の電圧測定部200bの電圧値が同一の値である状態となる。
【0073】
したがって、前記充電電界効果トランジスター(FET)オフ制御ステップ(S300)により第1の電圧測定部200a及び第2の電圧測定部200bにおいて計測する電圧値が互いに異なる状態であり、前記電圧差の発生有無感知ステップは、このような状態で両電圧値間の差が生じない状態を感知するステップであるのである。このような原理については、システムの構成の欄において説明したため、具体的な説明は省略する。
【0074】
このような電圧値同異感知ステップは、上述したシステムオフ判断部700により行われてもよい。
【0075】
2.5.システムオフ判断ステップ(S500)
前記電圧値同異感知ステップ(S400)の電圧差の発生有無の感知結果に基づいて、システムがオフ(Off)になった状態を判断するステップである。前記電圧値同異感知ステップ(S400)を通して、第1の電圧測定部200a及び第2の電圧測定部200bがそれぞれ計測する電圧値が同一の値である状態となったと感知されれば、システムがオフ(Off)になった状態であると判断してもよい。これは、前記充電電界効果トランジスター(FET)オフ制御ステップ(S300)により第1の経路の上に構成された充電電界効果トランジスター(FET)400がオフ(Off)になった過電圧状態でシステムがオフ(Off)になった状態を意味するため、次回のエンジンの始動のために、バッテリーセル100から外部システムへと充電電流を供給できるようにオフ(Off)になった充電電界効果トランジスター(FET)400をオン(On)にすることが必要である。したがって、上述したシステムオフ判断部700により行われるシステムオフ判断ステップにおいては、システムがオフ(Off)になったと判断されれば、後述する充電電界効果トランジスター(FET)オン制御ステップ(S600)が行われるように、前記充電電界効果トランジスター(FET)制御部600にシステムオフ信号を出力することができる。
【0076】
2.6.充電電界効果トランジスター(FET)オン制御ステップ(S600)
充電電界効果トランジスター(FET)オン制御ステップ(S600)は、前記システムオフ判断ステップ(S500)においてシステムがオフ(Off)になったと判断されて、システムオフ判断部700からシステムオフ信号を入力された充電電界効果トランジスター(FET)制御部600において、第1の経路の上に構成されたオフ(Off)になった状態の充電電界効果トランジスター(FET)400をオン(On)にするステップである。
【0077】
前記充電電界効果トランジスター(FET)オン制御ステップを通して充電電界効果トランジスター(FET)400をオン(On)にすることにより、次回のエンジンの始動に際して、第1の経路を介してバッテリーセル100から外部システムへと充電電流を供給することができて、エンジンの始動を可能にすることができる。
【0078】
このようなステップを通して、本発明は、従来のように電流センサーを備えなくても、バッテリーの過電圧状態で外部システムがオフ(Off)になった状態、すなわち、エンジンの始動が止まった状態を認識することができて、次回のエンジンの始動を可能にする制御を行うことが可能であるので、電流センサーを備えることによりかかっていたコストを節減することができるという効果が発揮されて、価格競争力を向上させることができる。
【0079】
一方、本発明の技術的思想は、前記実施形態に基づいて具体的に記述されたが、前記実施形態はその説明のためのものであり、その制限のためのものではないということに留意すべきである。なお、本発明の技術分野における当業者であれば、本発明の技術思想の範囲内において種々の実施形態が実施可能であるということが理解できる筈である。
【符号の説明】
【0080】
100 バッテリーセル
200 電圧測定部
200a 第1の電圧測定部、第1のアナログ-デジタルコンバーター(ADC)
200b 第2の電圧測定部、第2のアナログ-デジタルコンバーター(ADC)
300 過電圧判断部
400 充電電界効果トランジスター(FET)
500 電流制限部
500a 第1の電流制限部
500b 第2の電流制限部
600 充電電界効果トランジスター(FET)制御部
700 システムオフ判断部
710 過電圧状態認識部
720 電圧差発生有無感知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7