(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】電気自動車用電池パック冷却システム及びそれを用いた電気自動車用電池パックシステムの冷却方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/633 20140101AFI20220425BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20220425BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20220425BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20220425BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20220425BHJP
H01M 10/6572 20140101ALI20220425BHJP
H01M 10/651 20140101ALI20220425BHJP
H01M 10/663 20140101ALI20220425BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20220425BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20220425BHJP
H01M 50/20 20210101ALI20220425BHJP
B60L 58/26 20190101ALI20220425BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20220425BHJP
B60K 11/02 20060101ALI20220425BHJP
【FI】
H01M10/633
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6568
H01M10/6556
H01M10/6572
H01M10/651
H01M10/663
H01M10/48 P
H01M10/48 301
H01M10/615
H01M50/20
B60L58/26
B60K1/04 Z
B60K11/02
(21)【出願番号】P 2020549543
(86)(22)【出願日】2019-06-11
(86)【国際出願番号】 KR2019007008
(87)【国際公開番号】W WO2020013455
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2020-06-03
(31)【優先権主張番号】10-2018-0080099
(32)【優先日】2018-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ユン-キ・チェ
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-226927(JP,A)
【文献】国際公開第2011/138156(WO,A1)
【文献】特開平09-102331(JP,A)
【文献】特開2008-044476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/60-10/667
H01M 10/48
H01M 50/20
B60L 58/26
B60K 1/04
B60K 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池を含む電池パックと、
前記電池の外部と熱伝導可能に取り付けられた冷媒導管を含み、前記冷媒導管に冷媒を流して熱伝導を用いて間接的に前記電池を冷却させる水冷式冷却装置と、
前記水冷式冷却装置の冷媒導管のうち前記冷媒を前記電池パック側に導入する入口側冷媒導管と前記電池パックを冷却させた冷媒を前記電池パックの外側に排出する出口側冷媒導管との間に設けられ、前記入口側冷媒導管に対向する吸熱面及び前記出口側冷媒導管に対向する発熱面を備える熱電素子モジュールと、
前記電池パックに供給される充電電流の大きさを検出する電流センサと、
前記充電電流の大きさから充電C-レートを決定し、前記充電C-レートが予め設定された臨界値以上であれば、前記熱電素子モジュールを駆動させて前記吸熱面と前記発熱面との間に温度差を誘発させるように構成された制御ユニットと、
を含む、電気自動車用電池パック冷却システム。
【請求項2】
前記熱電素子モジュールを通じて前記入口側冷媒導管と出口側冷媒導管との間で熱交換が行われるように、前記吸熱面を前記入口側冷媒導管に接触させ、前記発熱面を前記出口側冷媒導管に接触させる、請求項1に記載の電気自動車用電池パック冷却システム。
【請求項3】
前記電池パックは、パックケースをさらに含み、前記パックケースの内部に前記冷媒を流して前記電池を冷却させる冷却部材をさらに含み、
前記冷却部材内には連続的な流路が形成され、前記流路の両端は前記冷媒を前記電池パック側に導入する冷媒入口と前記電池パックを冷却させた冷媒を前記電池パックの外側に排出する冷媒出口とに連結され、
前記入口側冷媒導管は前記冷媒入口に連結され、前記出口側冷媒導管は前記冷媒出口に連結される、請求項1または2に記載の電気自動車用電池パック冷却システム。
【請求項4】
前記電気自動車用電池パック冷却システムは、前記電池パックに取り付けられて前記電池パックの温度を検出する温度センサをさらに含み、
前記制御ユニットは、前記温度センサを用いて前記電池パックの温度の時間変化率を決定し、前記時間変化率が予め設定した値以上であって、前記充電C-レートが予め設定された臨界値以上であれば、前記熱電素子モジュールを駆動させるように構成された、請求項1から3のいずれか一項に記載の電気自動車用電池パック冷却システム。
【請求項5】
前記充電電流は、前記電池パックの外部充電装置から供給され、前記電流センサは、前記電池パックと外部充電装置とを連結する充電線路に設けられたものである、請求項1から4のいずれか一項に記載の電気自動車用電池パック冷却システム。
【請求項6】
前記熱電素子モジュールを駆動させる電力は、外部電源供給装置から供給され、
前記電気自動車用電池パック冷却システムは、外部電源供給装置と前記熱電素子モジュールとの間に連結されたスイッチをさらに含み、
前記制御ユニットは、前記スイッチをターンオンさせて前記熱電素子モジュールを駆動させるように構成された、請求項1から5のいずれか一項に記載の電気自動車用電池パック冷却システム。
【請求項7】
複数の電池を含む電池パックと、前記電池の外部と熱伝導可能に取り付けられた冷媒導管を通じて冷媒を流入させて間接的に前記電池を冷却させる水冷式冷却装置とを含む電気自動車用電池パックシステムの冷却方法であって、
(a)前記水冷式冷却装置の冷媒導管のうち前記冷媒を前記電池パック側に導入する入口側冷媒導管と前記電池パックを冷却させた冷媒を前記電池パックの外側に排出する出口側冷媒導管との間に熱電素子モジュールを提供するが、前記熱電素子モジュールの吸熱面及び発熱面がそれぞれ前記入口側冷媒導管及び前記出口側冷媒導管に対向するように提供する段階と、
(b)前記電池パックと外部充電装置とを連結する充電線路に流れる充電電流の大きさを測定して充電C-レートを決定する段階と、
(c)前記充電C-レートが予め設定された臨界値以上であれば、前記熱電素子モジュールを駆動させて前記熱電素子モジュールの前記吸熱面と前記発熱面との間に温度差を誘発し、前記吸熱面で前記冷媒の温度を下げて前記電池パック側に供給する段階と、
を含む電気自動車用電池パックシステムの冷却方法。
【請求項8】
前記(a)段階は、
前記熱電素子モジュールを通じて前記入口側冷媒導管と出口側冷媒導管との間で熱交換が行われるように、前記吸熱面を前記入口側冷媒導管に接触させ、前記発熱面を前記出口側冷媒導管に接触させる段階を含む、請求項7に記載の電気自動車用電池パックシステムの冷却方法。
【請求項9】
前記(c)段階において、前記充電C-レートが2C以上の急速充電である場合、前記熱電素子モジュールを駆動させる、請求項7または8に記載の電気自動車用電池パックシステムの冷却方法。
【請求項10】
前記(c)段階は、
前記電池パックの温度を測定する段階と、
前記電池パックの温度の時間変化率が予め設定した値以上であって、前記充電C-レートが予め設定された臨界値以上であれば、前記熱電素子モジュールを駆動させる段階と、
を含む、請求項7から9のいずれか一項に記載の電気自動車用電池パックシステムの冷却方法。
【請求項11】
前記(c)段階において、前記熱電素子モジュールを駆動させるために外部電源供給装置から電力を供給する、請求項7から10のいずれか一項に記載の電気自動車用電池パックシステムの冷却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車用電池パック冷却システム及びそれを用いた冷却方法に関し、より詳しくは、急速充電(quick charging)中の電池温度の上昇を防止できる電気自動車用電池パック冷却システム及びそれを用いた電気自動車用電池パックシステムの冷却方法に関する。
【0002】
本出願は、2018年7月10日出願の韓国特許出願第10-2018-0080099号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
近年、ノートパソコン、携帯電話などのような携帯用電子製品の需要が急激に伸び、電動カート、電動車椅子、電動自転車などの需要も増えることで、繰り返して充放電可能な高性能二次電池に対する研究が活発に行われている。また、炭素エネルギーが徐々に枯渇して環境への関心が高まりながら、全世界的にPEV(Plug-in Electric Vehicle)、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)などの電気自動車(EV)に対する需要も徐々に増加している。
【0004】
それに伴って、電気自動車の核心的な部品である電池パックにより多くの関心と研究が集中され、電池を素早く充電可能な急速充電技術の開発も求められている。特に、補助的なエネルギー源のないPEVにおいては、急速充電が非常に重要な性能である。
【0005】
電池を充電するプロセスは、電池に電流を供給して電荷及びエネルギーを蓄積することを含み、このようなプロセスは注意深く制御しなければならない。一般に過剰な充電率または充電電圧は電池の性能を永久的に低下させ、最終的には完全な失敗を誘発するか又は腐食性の強い化学物質の漏出や爆発などの突発障害を誘発し得るためである。
【0006】
充電率及び放電率の単位として、C-レートである「C」を使用している。例えば、1Cとは、満充電した電池の容量を1時間で使用するか又は満たす充放電速度を意味し、そのときの電流密度も意味する。近年、電子機器の機能の多様化とともに、一定時間内に機器によって使用される電流の要求量も大幅に増加している。それに伴って、そのエネルギー源として使用される電池においてもさらなる性能が求められている。携帯電話の場合、従来は殆ど1/2Cを必要としたが、今後は機能がより強化されて1Cに相応する性能が求められるかもしれない。現在、ノートパソコンの電池、電気自動車用電池パックなどにこれと同等な充電C-レート及びこれよりさらに高い放電C-レートが要求されている。
【0007】
自動車市場においては、充電時間に対する要求が益々高まり、その要求に応えるためにはより高い充電C-レートが必要である。したがって、1Cより高い充電C-レートが急速充電の面から望ましい。しかし、電気自動車の場合、電池を無理に強い電圧と電流で充電すると、電池の内部構造が破損されて耐久性と出力が急減するおそれがあるため、さらなる注意が必要である。例えば、高い充電電流密度で急速充電すれば、負極にLiがインターカレーション(intercalation)できずに析出されるため、Liメッキ現象が問題になる。そして、高い電流で持続的に充電すると、一般的な充電プロセスと異なって、電池内部に高い熱が生じ得、電池の抵抗のため各電極が過電圧状態になり得る。
【0008】
一般に、電気自動車用電池パックの充電は、電池パックに備えられたBMS(Battery Management System)によって制御される。BMSは、適切な制御変数を決めて短時間の急速充電を制御する必要があり、電池パックの耐久性に最も関連する制御変数としては電池の温度が挙げられる。電池の温度によって充電可能な電流が制限され、電池の耐久性も変わり得る。例えば、BMSは、充電開始後、電池のSOC(State of Charge)と温度を検出し、SOCが目標SOCに到達するまで充電するが、もし電池温度が臨界温度以上の高温である場合は充電を一時中断して電池を冷却し、臨界温度未満の状態でのみ電池を目標SOCまで充電するように構成することができる。
【0009】
このように電池温度が設定された臨界温度以上に上昇すると充電を中断する方式を用いる場合、従来の冷却方式を適用すると、冷却が十分でなければ充電遅延が生じることになる。したがって、急速充電時には一般的な充電プロセスとは差別化した冷却方法も必要である。
【0010】
一般的な電池の冷却方法としては、大きく水冷式冷却法及び空冷式冷却法が知られている。電気自動車用電池パックの冷却には、通常、空気を用いた空冷式構造が採択され、車両の外部または内部の空気を吸入して電池パックを冷却させた後、車両の外部に排出する構造を有している。しかし、空気のみを用いて電池パックを冷却するには限界があり、特に車両が停車している場合は空気の循環が円滑ではないため、電池パックから発生する熱を効果的に外部へと放出して電池パックを冷却するには限界がある。
【0011】
水冷式冷却法は、冷却水のような熱交換媒体(冷媒)を用いて冷却する技術であって、電気カーペットのコイルのような形状を有する冷媒導管を電池の外部と熱伝導可能に取り付け、前記冷媒導管に冷媒を流して熱伝導を用いて間接的に電池を冷却する技術である。例えば、特許文献1~3などには水冷式冷却装置を有する電池モジュールが開示されている。
【0012】
水冷式冷却法は、空冷式冷却法に比べて冷却効率に優れる。したがって、このような水冷式冷却法を用いて電気自動車用電池パックの急速充電に特化した冷却方法及び冷却システムが具現されれば望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】韓国特許第10-1112442号公報
【文献】韓国特許第10-1205181号公報
【文献】韓国特許第10-1833526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、急速充電時に活用可能な電気自動車用電池パック冷却システムを提供することを目的とする。
【0015】
本発明は、急速充電時に活用可能な電気自動車用電池パックシステムの冷却方法を提供することを他の目的とする。
【0016】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施形態によってより明らかに分かるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達成するため、本発明による電気自動車用電池パック冷却システムは、複数の電池を含む電池パックと、前記電池の外部と熱伝導可能に取り付けられた冷媒導管を含み、前記冷媒導管に冷媒を流して熱伝導を用いて間接的に前記電池を冷却させる水冷式冷却装置と、前記水冷式冷却装置の冷媒導管のうち前記冷媒を前記電池パック側に導入する入口側冷媒導管と前記電池パックを冷却させた冷媒を前記電池パックの外側に排出する出口側冷媒導管との間に設けられ、前記入口側冷媒導管に対向する吸熱面及び前記出口側冷媒導管に対向する発熱面を備える熱電素子モジュールと、前記電池パックに供給される充電電流の大きさを検出する電流センサと、前記充電電流の大きさから充電C-レートを決定し、前記充電C-レートが予め設定された臨界値以上であれば、前記熱電素子モジュールを駆動させて前記吸熱面と前記発熱面との間に温度差を誘発させるように構成された制御ユニットとを含む。
【0018】
望ましくは、前記熱電素子モジュールを通じて前記入口側冷媒導管と出口側冷媒導管との間で熱交換が行われるように、前記吸熱面を前記入口側冷媒導管に接触させ、前記発熱面を前記出口側冷媒導管に接触させる。
【0019】
前記電池パックは、パックケースをさらに含み、前記パックケースの内部に前記冷媒を流して前記電池を冷却させる冷却部材をさらに含み、前記冷却部材内には連続的な流路が形成され、前記流路の両端は前記冷媒を前記電池パック側に導入する冷媒入口と前記電池パックを冷却させた冷媒を前記電池パックの外側に排出する冷媒出口とに連結され、前記入口側冷媒導管は前記冷媒入口に連結され、前記出口側冷媒導管は前記冷媒出口に連結される。
【0020】
望ましくは、前記電気自動車用電池パック冷却システムは、電池パックに取り付けられて前記電池パックの温度を検出する温度センサをさらに含み、前記制御ユニットは、前記温度センサを用いて前記電池パックの温度の時間変化率を決定し、前記時間変化率が予め設定した値以上であって、前記充電C-レートが予め設定された臨界値以上であれば、前記熱電素子モジュールを駆動させるように構成される。
【0021】
前記充電電流は、前記電池パックの外部充電装置から供給され、前記電流センサは、前記電池パックと外部充電装置とを連結する充電線路に設けられたものであり得る。
【0022】
前記熱電素子モジュールを駆動させる電力は、外部電源供給装置から供給され、前記電気自動車用電池パック冷却システムは、外部電源供給装置と前記熱電素子モジュールとの間に連結されたスイッチをさらに含み、前記制御ユニットは、前記スイッチをターンオンさせて前記熱電素子モジュールを駆動させるように構成されたものであり得る。
【0023】
上記の他の目的を達成するため、本発明による電気自動車用電池パックシステムの冷却方法は、複数の電池を含む電池パックと、前記電池の外部と熱伝導可能に取り付けられた冷媒導管を通じて冷媒を流入させて間接的に前記電池を冷却させる水冷式冷却装置とを含む電気自動車用電池パックシステムの冷却方法である。該方法は、(a)前記水冷式冷却装置の冷媒導管のうち前記冷媒を前記電池パック側に導入する入口側冷媒導管と前記電池パックを冷却させた冷媒を前記電池パックの外側に排出する出口側冷媒導管との間に熱電素子モジュールを提供するが、前記熱電素子モジュールの吸熱面及び発熱面がそれぞれ前記入口側冷媒導管及び前記出口側冷媒導管に対向するように提供する段階と、(b)前記電池パックと外部充電装置とを連結する充電線路に流れる充電電流の大きさを測定して充電C-レートを決定する段階と、(c)前記充電C-レートが予め設定された臨界値以上であれば、前記熱電素子モジュールを駆動させて前記熱電素子モジュールの前記吸熱面と前記発熱面との間に温度差を誘発し、前記吸熱面で前記冷媒の温度を下げて前記電池パック側に供給する段階とを含む。
【0024】
望ましくは、前記(a)段階は、前記熱電素子モジュールを通じて前記入口側冷媒導管と出口側冷媒導管との間で熱交換が行われるように、前記吸熱面を前記入口側冷媒導管に接触させ、前記発熱面を前記出口側冷媒導管に接触させる段階を含み得る。
【0025】
望ましくは、前記(c)段階において、前記充電C-レートが2C以上の急速充電である場合、前記熱電素子モジュールを駆動させる。
【0026】
望ましくは、前記(c)段階は、前記電池パックの温度を測定する段階と、前記電池パックの温度の時間変化率が予め設定した値以上であって、前記充電C-レートが予め設定された臨界値以上であれば、前記熱電素子モジュールを駆動させる段階とを含む。
【0027】
前記(c)段階において、前記熱電素子モジュールを駆動させるために外部電源供給装置から電力を供給することが望ましい。
【発明の効果】
【0028】
急速充電時には一般的な充電プロセスとは差別化した冷却方法が必要である。本発明によれば、急速充電時に熱電素子モジュールを作動させて冷媒を冷却して電池パックの冷却に用いることができるため、急速充電時に電池パックから発生する多量の熱を効果的に除去することができる。
【0029】
したがって、不十分な冷却によって電池パックの充電遅延が発生する従来の問題を改善することができ、熱蓄積が生じて電池パックが劣化する問題も改善することができる。電池パックの劣化を改善するため、電池パックの寿命を延長させるだけでなく、発火または爆発を根本的に遮断することができる。
【0030】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の一実施形態による電気自動車用電池パック冷却システムの模式図である。
【
図2】
図1の電気自動車用電池パック冷却システムに含まれる電池パックシステムの一部を示した図である。
【
図3】
図2の電池パックシステムに含まれる冷却部材の一例を示した模式図である。
【
図4】
図1の電気自動車用電池パック冷却システムに含まれる熱電素子モジュールと冷媒導管との連結関係を示した模式図である。
【
図5】
図1の電気自動車用電池パック冷却システムに含まれる熱電素子モジュールの概略的な図である。
【
図6】本発明の一実施形態による電気自動車用電池パックシステムの冷却方法の冷却効果をシミュレーションしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。ただし、本発明による実施形態は多くの他の形態に変形でき、本発明の範囲が後述する実施形態に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施形態は、当業界で平均的な知識を持つ者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0033】
本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0034】
したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0035】
図1は、本発明の一実施形態による電気自動車用電池パック冷却システムの模式図である。
【0036】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による電気自動車用電池パック冷却システム100は、電池パックシステム10に熱電素子モジュール(Thermo Electric Module、TEM)70を適用したものである。
【0037】
図1において、参照符号200は電気自動車充電ステーションである。例えば、電気自動車充電ステーション200のケーブル230を電気自動車のコネクタ110に連結して電気自動車充電ステーション200で電池パック1を充電することができる。このとき、電気自動車充電ステーション200は、外部充電装置210及び外部電源供給装置220を含むことができる。
【0038】
電池パックシステム10は、電池パック1及び水冷式冷却装置20を含む。
【0039】
電池パック1は、複数の電池1’を含む。
【0040】
水冷式冷却装置20は、電池1’の外部と熱伝導可能に取り付けられた冷媒導管30を通じて冷媒を導入して間接的に電池1’を冷却させるものである。図面の点線矢印は冷媒の流れ方向を示す。水冷式冷却装置20には冷媒導管30間の熱交換のための熱交換器(図示せず)がさらに含まれてもよい。
【0041】
電気自動車用電池パック冷却システム100は、通常の電気自動車で行われる空冷式冷却とともに用いられてもよい。例えば、車両内部の室内空気(エアコン装置から室内に供給された室内空気)をパッケージトレイなどの室内の所定位置で冷却ファンに吸入して電池パック1の内部を通過させた後、トランクルームなどを通じて排出する内気冷却方式を併用することができる。
【0042】
図2は、
図1の電気自動車用電池パック冷却システムに含まれる電池パックシステムの一部を示した図である。
図3は、
図2の電池パックシステムに含まれる冷却部材の一例を示した模式図である。
図4は、
図1の電気自動車用電池パック冷却システムに含まれる熱電素子モジュールと冷媒導管との連結関係を示した模式図である。
【0043】
まず、
図2を参照すると、電池パックシステム10の電池パック1は、複数の電池1’及びパックケース2を含む。パックケース2の内部または外部、若しくはパックケース2自体に冷媒を流して電池1’を冷却する構造を有する。
【0044】
例えば、パックケース2の内部には、
図3のような冷却部材3が設けられ得る。冷却部材3は金属板材4からなり、その内部に連続的な流路5が形成された状態であり、他の部分6はシーリングされているか又はソリッドな構造であり得る。流路5の両端は、冷媒を電池パック1側に導入する冷媒入口(inlet)40、及び電池パック1を冷却させた冷媒を電池パック1の外側に排出する冷媒出口(outlet)50に連結される。図面の点線矢印は冷媒の流れ方向を示す。
【0045】
図1を再度参照すると、冷媒導管30は、電池パックシステム10の冷却部材3に対し、電池パック1の外部で冷媒入口40及び冷媒出口50に連結される。冷媒導管30は、冷媒入口40に連結されて冷媒入口40側に近い部分である入口側冷媒導管42、及び冷媒出口50に連結されて冷媒出口50側に近い部分である出口側冷媒導管52を含む。
図2の電池パックシステム10にも入口側冷媒導管42及び出口側冷媒導管52の一部を示した。
【0046】
固体状態である材料の両端に温度差があれば、熱依存性を有するキャリア(電子または正孔)の濃度差が発生し、これは熱起電力という電気的な現象、すなわち熱電現象として現れる。このように熱電現象とは、温度の差と電圧との間の可逆的且つ直接的なエネルギー変換を意味する。このような熱電現象は、電気的エネルギーを生産する熱電発電と、逆に電流印加によって両端の温度差を誘発する熱電冷却/加熱とに区分できる。
【0047】
本発明では、熱電素子モジュール70の両端に温度差を誘発して熱電冷却するため、熱電素子モジュール70に外部電源供給装置から電力を供給して使用する。外部電源供給装置からの電力供給を通じて熱電素子モジュール70の両側面に起電力が形成されれば、一側面は吸熱によって冷たくなり他側面は放熱によって熱くなる。したがって、駆動電力供給による電流が印加されるとき、熱電素子モジュール70の一側面は吸熱面になり、他側面は発熱面になる。
【0048】
図1に示したように、熱電素子モジュール70は、特に水冷式冷却装置20の入口側冷媒導管42と出口側冷媒導管52との間に位置するように取り付けられている。これを
図4により詳しく示した。
【0049】
図4に示したように、入口側冷媒導管42または入口側冷媒導管42を囲む入口側冷媒導管支持部材43の面と、出口側冷媒導管52または出口側冷媒導管52を囲む出口側冷媒導管支持部材53の面との間に、熱電素子モジュール70を取り付ける。駆動電力供給を通じる電流印加の方向は、熱電素子モジュール70において、入口側冷媒導管42または入口側冷媒導管42を囲む入口側冷媒導管支持部材43の面に取り付けられた側が吸熱面70aを形成し、出口側冷媒導管52または出口側冷媒導管52を囲む出口側冷媒導管支持部材53の面に取り付けられた側が発熱面70bを形成する。このように電流が印加されれば、熱電素子モジュール70は入口側冷媒導管42から吸熱して出口側冷媒導管52側に放熱するため、
図4に矢印で示したような熱の流れが発生する。換言すれば、熱電素子モジュール70を通じて入口側冷媒導管42と出口側冷媒導管52との間で熱交換が行われるように、吸熱面70aが入口側冷媒導管42側に取り付けられ、発熱面70bが出口側冷媒導管52側に取り付ける。ここで、入口側冷媒導管支持部材43及び出口側冷媒導管支持部材53は、それぞれ入口側冷媒導管42及び出口側冷媒導管52を囲んで車両内でこれらを構造的に支持する役割を果たすものであり、省略可能な要素である。
【0050】
このように本発明においては、熱電素子モジュール70の吸熱面70a及び発熱面70bがそれぞれ入口側冷媒導管42及び出口側冷媒導管52に対向するように提供される。熱電素子モジュール70を通じて入口側冷媒導管42と出口側冷媒導管52との間で熱交換が行われるように、吸熱面70aを入口側冷媒導管42に接触させ、発熱面70bを出口側冷媒導管52に接触させることが望ましい。接触は、直接接触、または入口側冷媒導管支持部材43、出口側冷媒導管53を介した間接接触をすべて含む。
【0051】
一般に、熱電素子モジュールは、正孔が移動して熱エネルギーを移動させるp型熱電素子と電子が移動して熱エネルギーを移動させるn型熱電素子とからなる一対のp-n熱電素子が基本単位になり得る。そして、このような熱電モジュールは、p型熱電素子とn型熱電素子との間を連結する電極を備えることができる。また、熱電モジュールは、熱電モジュールの外部に配置されて電極などの構成要素を外部と電気的に絶縁させ、外部の物理的または化学的要素から熱電モジュールを保護する基板を備えることができる。
【0052】
図5は、
図1の電気自動車用電池パック冷却システムに含まれる熱電素子モジュールの概略的な図である。
【0053】
図5を参照すると、熱電素子モジュール70は、基板75、電極80及び熱電素子85を含む。
【0054】
基板75は、板状で構成され、熱電素子モジュール70の外部に配置されて熱電素子85などの熱電素子モジュール70の構成要素を保護し、熱電素子モジュール70と外部との間に電気的絶縁性を維持することができる。基板75は、アルミナ基板であり得る。基板75は、互いに対向する上部基板76と下部基板77との一対で備えられる。
【0055】
電極80は、電気伝導性を有して電流を流す。そして、電極80は、基板75に備えられる。特に、電極80は、基板75の少なくとも一面に露出するように構成され、熱電素子85を実装することができる。特に、電極80には少なくとも2つの熱電素子85が実装され得、これら2つの熱電素子85の間で電流が流れる経路を提供する。上部基板76の下面、そして下部基板77の上面に電極80が蒸着、スパッタリング、直接圧着、プリンティングなどの方法で備えられ、その間に複数の熱電素子85が配置されて熱電素子モジュール70を構成することができる。電極80が基板75に直接形成されたDBC(Direct Bonded Copper)タイプの基板も使用可能である。望ましくは、電極80は金属から形成され、例えば、Cu、Au、Ag、Ni、Al、Cr、Ru、Re、Pb、Sn、In及びZnを含む群より選択される少なくとも1種の金属またはこれら金属のうち少なくとも2種を含む合金から形成可能である。電極80のうち上部基板76に形成される上部電極81は熱電素子85の上部でこれらを連結し、電極80のうち下部基板77に形成される下部電極82は熱電素子85の下部でこれらを連結する。
【0056】
熱電素子85は、熱電材料、すなわち熱電半導体から構成できる。熱電半導体には、カルコゲナイド(chalcogenide)系、スクッテルダイト(skutterudite)系、シリサイド(silicide)系、クラスレート(clathrate)系、ハーフホイスラー(half heusler)系などの多様な種類の熱電材料が含まれ得る。例えば、BiTe系物質、PbTe系物質などの熱電材料を適切にドープして使用し得る。本発明の出願時点に公知された多様な種類の熱電半導体が熱電素子85の材料として用いられ得る。
【0057】
熱電素子85は、熱電材料がバルク状に焼結された形態で構成できる。従来の熱電モジュールにおいて、熱電素子は主に蒸着法を通じて電極に形成されることが多い。しかし、例示する熱電素子モジュール70において、熱電素子85は電極80に蒸着される形態で形成されず、バルク状に先に焼結され得る。そして、その後、このようなバルク状の熱電素子85を電極80に接合し得る。そして、図示していないが、電極80と熱電素子85との間に接着力を改善するためのバッファー層(図示せず)をさらに含んでもよい。
【0058】
まず、熱電素子85をバルク状に製造することができる。このとき、このようなバルク状の熱電素子85は、熱電素子85の各原料を混合して混合物を形成する段階、混合した原料を熱処理して合成物を形成する段階、及び合成物を焼結する段階を含む製造方式で製造することができる。焼結段階で焼結された熱電材料はバルク状に形成され得る。次いで、このようにバルク状に焼結された熱電材料は、熱電素子モジュール70への適用に適した大きさ及び/または形態に加工され得る。例えば、円筒状のバルク状に焼結された熱電材料は、それより小さい六面体型のバルク状に切り取られ得る。すなわち、熱電材料であるインゴットを粉砕し、その後、微細化ボールミル工程を経た後、焼結した構造物を切り取って形成した構造物の形態であり得る。そして、このようにより小さいバルク状に加工された熱電材料は、熱電素子85として基板75の電極80に接合され得る。ここで、バルク状の熱電素子85と電極80との接合は、焼結のような熱処理や半田付けなどの多様な方式で行われ、本発明が特定の接合方式に限定されることはない。
【0059】
このように、熱電素子85がバルク状に焼結された後、電極80に接合される構成によれば、熱電素子85が焼結を通じて緻密な構造を成しているため、従来の熱電素子、特に蒸着形態で構成される従来の熱電素子に比べて熱電性能をかなり向上させることができる。
【0060】
熱電素子85は、熱電レグ(thermoelectric leg)などとも称され、n型熱電素子86及びp型熱電素子87を備えることができる。ここで、n型熱電素子86は、n型熱電材料がバルク状に焼結される形態で構成され、p型熱電素子87は、p型熱電材料がバルク状に焼結される形態で構成され得る。このようなn型熱電材料及びp型熱電材料としては、本発明の出願時点に公知された多様な材料を採用可能であるため、これについての詳しい説明は省略する。
【0061】
熱電素子85は、n型熱電素子86とp型熱電素子87とが対を成して一つの基本単位を構成することができる。そして、n型熱電素子86及びp型熱電素子87は2つ以上備えられることで、複数の対を成すことができる。また、このようなn型熱電素子86とp型熱電素子87とは交互に配列されることで、複数のn型熱電素子86とp型熱電素子87の対を形成することができる。
【0062】
n型熱電素子86とp型熱電素子87とは、電極80を通じて互いに電気的に連結される。例えば、一つの電極80を基準にして、n型熱電素子86は電極80の一端に接合し、p型熱電素子87は電極80の他端に接合し得る。熱的には並列で、また、電気的には直列で連結されるように、上部基板76及び下部基板77にそれぞれ形成される上部電極81及び下部電極82の形状が考慮されねばならない。熱電素子85は直列で連結され、ここに電気を外部から供給できるように、直列で連結された熱電素子85の両端にリード電線90が備えられる。
【0063】
熱電素子モジュール70に印加される電流の大きさと方向によって吸熱と発熱の両方を調節することができる。n型熱電素子86と接合する電極80は、電流が流れ込む側で発熱してその反対側で吸熱し、p型熱電素子87は逆に発熱及び吸熱する。このような熱電素子モジュール70は、機械的に作動する部分がなく、取り付けの位置や方向が動作に影響を及ぼさないという長所があるため、水冷式冷却装置(
図1の20)内に組み入れるのに非常に適する。さらに、熱電素子モジュール70は薄型で製造可能であるため、冷媒導管(
図1の30)の間の空間に挿入でき、水冷式冷却装置の大きさや重量を増やさなくても高い冷却性能を提供することができる。
【0064】
図4及び
図5を一緒に参照すると、本発明の一実施形態では、熱電素子モジュール70の吸熱面70aを入口側冷媒導管42または入口側冷媒導管42を囲む入口側冷媒導管支持部材43の面に取り付けると同時に、熱電素子モジュール70の発熱面70bを出口側冷媒導管52または出口側冷媒導管52を囲む出口側冷媒導管支持部材53の面に取り付ける。例えば、下部基板77側を吸熱面70aにし、上部基板76側を発熱面70bにする。このようになるようにリード電線90に印加される電流の方向を決めれば良い。
図5にもそれによる熱の流れを矢印で表示した。
【0065】
上述したような電気自動車用電池パック冷却システム100の使用は、電気自動車用電池パックシステム10の冷却方法に該当する。
図1を再度参照して、電気自動車用電池パック冷却システム100の構成要素及び電気自動車用電池パック冷却システム100の使用についてより詳しく説明する。
【0066】
電気自動車用電池パック冷却システム100は、電流センサ92、温度センサ93、スイッチ94及び制御ユニット95をさらに含む。
【0067】
電流センサ92は、電池パック1に供給される充電電流の大きさを検出する。前記充電電流は、電池パック1の外部充電装置210で供給され、例えば外部充電装置210は電気自動車充電ステーション200に含まれたものであり得る。電流センサ92は、電池パック1と外部充電装置210とを連結する充電線路92’に設けられ得る。
【0068】
温度センサ93は、電池パック1に取り付けられて電池パック1の温度を検出する。温度センサ93は、例えば熱電対であり得る。
【0069】
熱電素子モジュール70を駆動させる電力は、外部電源供給装置220から供給され、例えば外部電源供給装置220は、電気自動車充電ステーション200に含まれたものであり得る。スイッチ94は、外部電源供給装置220と熱電素子モジュール70との間に連結され、外部電源供給装置220と熱電素子モジュール70との間の連結を統制する。例えば、スイッチ94は、外部電源供給装置220と熱電素子モジュール70とを連結する電力供給線路94’に設けられ得る。
【0070】
制御ユニット95は、電流センサ92、温度センサ93及びスイッチ94と連結され、電流センサ92、温度センサ93から情報を取得してスイッチ94の動作制御のための各種の演算を行うだけでなく、制御信号を出力して電流センサ92、温度センサ93及びスイッチ94を制御する。制御ユニット95はBMSであり得る。
【0071】
特に、制御ユニット95は、前記充電電流の大きさから充電C-レートを決定する。決定された充電C-レートが予め設定された臨界値以上であれば、熱電素子モジュール70を駆動させて吸熱面70aと発熱面70bとの間に温度差を誘発させるように構成される。本実施形態において、制御ユニット95がスイッチ94をターンオンさせれば、熱電素子モジュール70を駆動させることができる。また、制御ユニット95は、温度センサ93を用いて電池パック1の温度の時間変化率を決定することができる。前記時間変化率が予め設定した値以上であって、前記充電C-レートが予め設定された臨界値以上であれば、熱電素子モジュール70を駆動するように構成されてもよい。
【0072】
電気自動車用電池パック冷却システム100を用いた電池パックシステム10の冷却方法は、以下のように行われ得る。
【0073】
水冷式冷却装置20の冷媒導管30のうち冷媒を電池パック1側に導入する入口側冷媒導管42と電池パック1を冷却させた冷媒を電池パック1の外側に排出する出口側冷媒導管52との間に熱電素子モジュール70を提供するが、熱電素子モジュール70の吸熱面70a及び発熱面70bがそれぞれ入口側冷媒導管42及び出口側冷媒導管52に対向するように提供する。
【0074】
電流センサ92を用いて、電池パック1と外部充電装置210とを連結する充電線路92’に流れる充電電流の大きさを測定し、制御ユニット95で充電C-レートを決定する。前記充電C-レートが予め設定された臨界値以上であれば、制御ユニット95は、熱電素子モジュール70を駆動させて熱電素子モジュール70の吸熱面70aと発熱面70bとの間に温度差を誘発し、吸熱面70aで冷媒の温度を下げて電池パック1側に供給する。
【0075】
一方、制御ユニット95の構成によっては、温度センサ93を用いて電池パック1の温度を測定し、電池パック1の温度の時間変化率が予め設定した値以上であって、前記充電C-レートが予め設定された臨界値以上である条件をすべて満足する場合、熱電素子モジュール70を駆動させるようにしてもよい。単に充電C-レートのみで判断する場合より、電池パック1の温度の時間変化率まで考慮して熱電素子モジュール70の駆動を判断すれば、充電C-レートが予め設定された臨界値未満であるものの、電池パック1の冷却が不十分であって、電池パック1の温度が急上昇する場合であっても、熱電素子モジュール70を駆動できるようになり、電池パック1の温度増加を防止することができる。
【0076】
熱電素子モジュール70を作動するとき、熱電素子モジュール70の吸熱面70aは入口側冷媒導管42から熱を吸収するため、入口側冷媒導管42を通る入口側冷媒の温度を下げることができる。このように本発明は、熱電素子モジュール70を適用して冷却水のような冷媒温度を下げて電池パック1に供給することで、冷却性能を高めることが第一の特徴である。
【0077】
熱電素子モジュール70が作動するとき、熱電素子モジュール70の吸熱面70aが入口側冷媒の温度を下げる間に、熱電素子モジュール70の発熱面70bは出口側冷媒導管52または出口側冷媒導管52を囲む出口側冷媒導管支持部材53面側に熱を発散する。出口側冷媒導管52を通る冷媒は、熱電素子モジュール70の発熱面70bで発生する熱を受け持って移動する。このように熱電素子モジュール70の発熱面で熱を自然放熱させるか又は累積する代わりに、出口側冷媒を用いて熱を除去することで、発熱面の温度が増加しないようにすることが第二の特徴である。
【0078】
充電C-レートが予め設定された臨界値以上である場合のように急速充電時のみに熱電素子モジュール70が作動する点が第三の特徴である。熱電素子モジュール70は、温度差を誘発するために電力を消耗するものであるため、一般的な充電プロセスでは動作させず、急速充電時のみに動作させる。
【0079】
また、熱電素子モジュール70の駆動に必要な電力を電池パック1の充電時に別途の外部電力を使用することで解決することが第四の特徴である。熱電素子モジュール70を駆動させる電力は外部電源供給装置220から供給され、例えば外部電源供給装置220は電気自動車充電ステーション200に含まれたものであり得る。
【0080】
現在自動車メーカーで開発中の電気自動車において、電池の急速充電にかかる時間は、SOC5%から80%まで充電するのに約30分程度である。充電C-レートが約2C未満であると言える。従来、ガソリンまたはディーゼルなどの一般エンジン車両における燃料の注油時間が一般に5分程度であることに比べると、電気自動車の場合、急速充電であってもかなりの時間を必要とすることが現実である。注油と充電とは、車両の駆動エネルギーを充電する点で共通し、長距離走行の際、車両の注油時間と充電時間は車両の商品性の面で重要に考慮すべき事項である。
【0081】
充電時間を短縮するためには充電C-レートが高いことが望ましいが、電池の種類及び特性を考慮して充電C-レートを決定しなければならない。例えば、PEV用電池は、充電C-レートを1.5C程度に決定し得る。他の例として、PHEV用電池は、初期充電C-レートを3Cに決定し得る。より高速の充電率及び放電率が必要な電池仕様では、初期充電C-レートをさらに高めることができ、例えば5Cにまで高めることもできる。このような充電C-レートは、電池の種類だけでなく、実際に自動車で使用されるモーターの最大電流によっても制限され得る。本発明においては、急速充電とは、充電C-レートが1C以上、望ましくは2C以上であることにする。
【0082】
本発明による場合、急速充電時のみに熱電素子モジュール70が外部電力によって駆動され、作動する熱電素子モジュール70によって入口側冷媒が電池パック1に流れ込む前により低い温度に冷却されるため、急速充電時の電池冷却効率が高くなる。出口側冷媒は、熱電素子モジュール70の発熱面70bを冷却させることで、熱電素子モジュール70の発熱面70bに熱が累積されず、低い温度に維持されるようにする。
【0083】
上述したように、本発明においては、入口側冷媒導管42と出口側冷媒導管52との間で適切な熱交換が行われるように熱電素子モジュール70を構成し、これによって電池パック1を冷却させる冷媒の温度を下げて電池パック1に供給することで冷却性能を高めることができる。熱電素子モジュール70は、急速充電時に電気自動車の充電ステーションから供給され得る外部電力で作動するように設計することで、熱電素子モジュール70の作動時に必要な電力の供給源を解決することができる。
【0084】
本発明は、このように急速充電時に熱電素子モジュール70に外部電力が供給されるようにして熱電素子モジュール70を作動させることで、急速充電時に電池パック1の温度が上昇しても、温度がより低くなった冷媒を供給することによって効果的に冷却させることができる。すなわち、電気自動車の充電ステーションから供給される外部電力がリード電線90を通じて熱電素子モジュール70の熱電素子85に供給され、吸熱面70a及び発熱面70bを構成するようになる。特に、急速充電時のみに熱電素子モジュール70が作動するようにして急速充電時の冷却に対応する。したがって、電気自動車用電池パックの急速充電時に発生する熱を効果的に外部に放出させ、電池パックの劣化を抑制することができる。
【0085】
一方、充電C-レートによる電池パックの温度上昇幅が分かれば、適正の電池パック温度が決められたよき、供給すべき冷媒の温度が分かる。したがって、そのために必要な熱電素子の種類、吸熱面/発熱面の適切な温度差のために供給すべき電流の大きさなどの条件を決定することができる。そして、実際の熱電素子と冷却導管の形状などを如何に具現するかは、当業者の通常の能力範囲内で自在に変更可能である。
【0086】
図6は、本発明の一実施形態による電気自動車用電池パックシステムの冷却方法の冷却効果をシミュレーションしたグラフである。グラフにおいて、横軸は時間(s)であり、縦軸は電池最高温度(℃)である。
【0087】
図6は、SOC5%から95%まで2Cで急速充電する場合を仮定して得られた図である。三次元、二次元、一次元及び零次元のシミュレーション方法のうち零次元シミュレーション方法である「集中モデル計算(Lumped model calculation)」を用いた。充電時間に応じて温度が変化するため、時間依存性のない「定常解析(Steady analysis)」ではなく、時間依存性のある「過渡解析(Transient analysis)」を用いた。
【0088】
初期電池温度は50℃であり、外気温度も50℃である場合を仮定した。初期電池温度及び外気温度条件は、求められる使用条件によって自在に変更可能である。電池最高許容温度(例えば、BMSで充電を許容する臨界温度)が60℃の条件である。電池最高許容温度条件は電池の種類によって変わる。本実験例では、三成分系NCM(ニッケル、コバルト、マンガン)正極材料を有する電池で通常求められる60℃にした。電池から冷媒までの総熱抵抗は小さい方が有利である。本実験例では、電気自動車用電池仕様で通常望ましいと言われる数値である2.0K/Wの場合に仮定して計算した。
【0089】
本発明によれば、熱電素子モジュールを駆動させて入口側冷却水の温度を外気温度以下、例えば10℃にまで下げることができる(本発明の実施例1)。この場合、入口側冷却水の温度が30℃の場合(比較例1)、入口側冷却水の温度が本シミュレーション実験の外気温度と同じ50℃の場合(比較例2)を選定してこれらを比べた。
【0090】
図6に示されたように、電池温度は(充電)時間の経過とともに増加する。電池最高温度は、入口側冷却水の温度が10℃、30℃、50℃に変化するにつれて、約1600秒が経過したとき、55.2℃、65.7℃、76.8℃にそれぞれ変化した。
【0091】
したがって、本発明の実施例のように、入口側冷却水の温度を10℃に下げることができれば、充電中の電池最高温度を60℃以下に維持することが可能である。比較例1、2は電池最高温度が60℃を超える。
【0092】
BMSが、充電開始後に電池のSOCと温度を検出し、SOCが目標SOCに到達するまで充電し、電池の温度が臨界温度以上の高温である場合は充電を一時中断して電池を冷却し、臨界温度未満の状態でのみ電池を目標SOCまで充電するように構成されている場合、本発明のように電池最高温度を60℃以下に維持できれば、充電を一時中断することなく短時間内に充電を完了できるはずである。しかし、本発明のような程度に冷却水の温度を下げて供給することができない比較例1、2においては、シミュレーションしたように電池最高温度が60℃を超えるため、充電の一時中断が必要となって充電時間が長くなる。
【0093】
このように、本発明は、複数の電池を含む電池パックを冷却するための冷却システム及びそれを用いた冷却方法に関し、前記冷却システムは、内部に冷媒が流動する冷媒導管、及び冷媒導管の外部に熱電素子モジュールを含み、前記熱電素子モジュールの吸熱面は入口側冷媒導管側に取り付けられ、発熱面は出口側冷媒導管側に取り付けられる。前記熱電素子モジュールは、前記電池パックが取り付けられる電気自動車に対し、電気自動車の充電ステーション(充電所)から充電時に供給される外部電力によって作動する。前記熱電素子モジュールによって、冷却した冷媒が電池パックの冷却を行うため、急速充電時の過度な電池パックの発熱に対する冷却性能を向上させることができる。
【0094】
以上のように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0095】
1 電池パック
20 水冷式冷却装置
42 入口側冷媒導管(冷媒導管)
52 出口側冷媒導管(冷媒導管)
70 熱電素子モジュール
92 電流センサ
95 制御ユニット
100 電気自動車用電池パック冷却システム