(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】電池ボックス
(51)【国際特許分類】
H01M 50/244 20210101AFI20220425BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20220425BHJP
H01M 50/202 20210101ALI20220425BHJP
【FI】
H01M50/244 Z
H01M50/271 S
H01M50/271 B
H01M50/202 501B
(21)【出願番号】P 2020070071
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2020-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】391050640
【氏名又は名称】冨塚 薫
(72)【発明者】
【氏名】冨塚 薫
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04408261(US,A)
【文献】国際公開第2018/030059(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3022612(JP,U)
【文献】登録実用新案第3082381(JP,U)
【文献】特開2000-287726(JP,A)
【文献】特開2001-307701(JP,A)
【文献】特開2020-194761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
A44C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池陽極および電池陰極を有する電池を
凹部に収納する電池収納部と、
前記電池収納部に対して相対移動が可能なように前記電池収納部を覆うように設けられたキャップと、
前記キャップの周縁部に2つの素子電極が前記陽極と陰極の境界を跨ぐように設けられた発光素子とを有し、前記電池は前記陽極が前記凹部に前記陰極が前記キャップ側に向くように前記凹部に収納され、前記境界両側にて、前記素子電極は
一方の前記
素子電極が前記電池陽極又は前記電池陰極のいずれか一方に直接接触可能なように、および
、他方の前記
素子電極が前記電池陰極又は前記電池陽極のいずれか他方に直接接触可能なように、前記
発光素子上に設けられ
、
前記一方の
素子電極と前記電池陽極又は前記電池陰極のいずれか一方との
直接接触または解除、もしくは
、前記他方の
素子電極と前記電池陽極又は前記電池陰極のいずれか他方との
直接接触または解除、のうち少なくとも一つの前記接触または前記解除を
前記キャップが前記陰極表面に沿って移動する前記相対移動により行う接触/非接触機構
を備えた電池ボックス。
【請求項4】
前記接触/非接触機構は、前記電池収納部に設けられた一方の突起と、前記キャップに設けられた他方の突起から構成される請求項1に記載の電池ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池ボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のスイッチ付きの電池ボックスは、キャップ裏に回転電動盤を設けたり、発光素子のリード線を底部内面や側壁内面に埋設したりしていた。小さな電池ボックスとキャップが螺着し小型化されているため、構造が複雑化して小型化には限度があり、電池のオンオフも容易でなく、また電池交換時に、電池やボックス、キャップ等が落下し、取扱いが容易ではなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、構造が簡単で、オンオフが容易で、電池交換時にも、取扱いが容易な電池ボックスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の電池ボックスは、電池陽極および電池陰極を有する電池を収納する電池収納部と、電池収納部に対して相対移動が可能なように電池収納部を覆うように設けられたキャップと、一対の電極を構成する二つの電極のうち一方の電極が電池陽極又は電池陰極のいずれか一方に直接接触可能なように、および、一対の電極を構成する二つの電極のうち他方の電極が電池陽極又は電池陰極のいずれか他方に直接接触可能なように、キャップに設けられた発光素子と、発光素子の一方の電極と電池陽極又は電池陰極のいずれか一方との接触または解除、もしくは、発光素子の他方の電極と電池陽極又は電池陰極のいずれか他方との接触または解除、のうち少なくとも一つの接触または解除を相対移動により行う接触/非接触機構とを備えている。
【発明の効果】
【0005】
本発明の電池ボックスによれば、スイッチのための回転電動盤などが不要で、発光素子のリード線を必要とせず、小型化が可能で、電池のオンオフが容易で、取り扱いが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】本発明に係る電池ボックスの内部を示す正面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、本実施形態の電池ボックス1で構成された装身具のイヤリングなどの装飾体Aの使用状態を示す図であるが、イヤリング以外にピアスやストラップ装飾体にも応用することができる。
【0008】
図2は、本実施形態の電池ボックス1を開いた状態で内部を示す拡大図である。
図3は、同電池ボックス1の閉じた状態を示す平面図である。
図4は、同実施形態の側断面図である。
図6および
図7は、
図4の下部の円Cの拡大断面図である。本実施の形態の電池ボックス1は、
図2、
図3、
図4、
図6、
図7に示すように、電池陽極2および電池陰極3を有する電池4を収納する電池収納部5と、電池収納部5に対して相対移動が可能なように電池収納部5を覆うように設けられたキャップ6と、一対の電極を構成する二つの電極7、8のうち一方の電極7(8)が電池陽極2又は電池陰極3のいずれか一方に直接接触可能なように、および、一対の電極を構成する二つの電極7、8のうち他方の電極8(7)が電池陽極2又は電池陰極3のいずれか他方に直接接触可能なように、キャップ6に設けられた発光素子9と、発光素子9の一方の電極7と電池陽極2又は電池陰極3のいずれか一方との接触または解除、もしくは、発光素子9の他方の電極8と電池陽極2又は電池陰極3のいずれか他方との接触または解除、のうち少なくとも一つの接触または解除を相対移動により行う接触/非接触機構10とを備えている。
【0009】
図2、
図3、
図4において、電池ボックス1は、例えばボタン電池である電池4を電池収納凹部27に収納する円形状の電池収納部5と、電池収納部5の電池収納凹部27の開口部11を覆う円形状のキャップ6とが、例えば可撓性樹脂からなる連結部12によりそれぞれの周縁の一部で連結されている。キャップ6は電池収納部5に対して、連結部12によって連結された状態で開閉可能である。
図2は、キャップ6を電池収納部5から開いて内部を示している。
【0010】
キャップ6の、連結部12が形成されている周縁部とは反対側には、一対の電極を構成する二つの電極7(陰極)、8(陽極)を有する発光素子9が設けられている。
図6の拡大断面図に示すように、キャップ6で電池収納部5を閉じたときに、発光素子9の一方の電極7が電池陽極2に直接接触するように、さらに他方の電極8が電池陰極3に直接接触するように、発光素子9はキャップ6の内側に傾斜させて設けられている。すなわち、電池4は電池陽極2が電池収納部5の電池収納凹部27側に向くように、電池陰極3が開口部11側(キャップ6側)に向くように電池収納凹部27に収納され、電池4の電池陽極2および電池陰極3の境界23を跨るようにして、発光素子9はキャップ6に設けられる。なお、電極8が電池陽極2に直接接触するように、さらに電極7が電池陰極3に直接接触するように、発光素子9をキャップ6の内側に傾斜させて設けることも可能である。
【0011】
キャップ6の連結部12とは反対側の半円周の周縁部に沿って、凸状に形成された凸状嵌合部13が形成され、電池収納部5の連結部12とは反対側の半円周の周縁部に沿って、凹状に形成された凹状嵌合部14が形成されている。凸状嵌合部13と凹状嵌合部14とは、キャップ6で電池収納部5を閉じたときに、凹状嵌合部14の幅を凸状嵌合部13の幅より少し大きくするなどして、少しの上下動(
図2の上下方向の動き)が可能なように、嵌合するように構成されている。なお、キャップ6に凹状嵌合部14を形成し、電池収納部5に凸状嵌合部13を形成することも可能である。
【0012】
電池収納部5の内側(キャップ6と対面する側)で電池収納凹部27の左右の側部には、それぞれ突起15が形成され、キャップ6の内側(電池収納部5と対面する側)の左右の側部には、それぞれの突起15とそれぞれが係合するが溝16が形成されている。したがって、キャップ6で電池収納部5を閉じたときに、突起15は溝16内で上下動(
図2の上下方向の動き)が可能である。なお、キャップ6に突起15を形成し、電池収納部5に溝16を形成することも可能である。
【0013】
すなわち、キャップ6で電池収納部5を閉じたときに、凸状嵌合部13と凹状嵌合部14、および、突起15と溝16が、それぞれ嵌り合ってキャップ6の上下動(
図2の上下)、すなわちキャップ6の電池収納部5に対する相対移動が可能となっている。しかし、これらは必ずしも必要ではない。
【0014】
電池収納部5の開口部11の連結部12側と電池収納部5の周縁部との間には、接触/非接触機構10である一方の係止部としてのストッパー突起17が形成され、キャップ6の内側の連結部12の近傍には、接触/非接触機構10である他方の係止部としての突起18が形成されている。
【0015】
図5は
図4の上部の円Bの拡大側面図であり、連結部12の近傍を示す拡大側断面図である。
図2、
図5に示すように、キャップ6の突起18と連結部12との間には係合凸部19が形成され、電池収納部5のストッパー突起17と連結部12との間には、係合凹部20が形成されている。キャップ6で電池収納部5を閉じたときに、係合凸部19が係合凹部20に係合するが、
図5の点線で示すように、上下動(点線矢印D)が可能なように係合凸部19および係合凹部20は形成される。本実施形態の場合は、係合凸部19に対して係合凹部20の上下方向の幅は大きめに形成されている。
【0016】
また、電池収納部5の連結部12とは反対側(
図5の下側)には、
図2に示すように、キャップ6を閉じたときに発光素子9が当接する凹状の当接部21が設けられている。当接部21には、キャップ6と電池収納部5との相対移動が可能なように、すなわち発光素子9が当接部21内で移動可能なように空間部22が形成されている。
【0017】
以上のように、本実施形態では、凸状嵌合部13と凹状嵌合部14、突起15と溝16、当接部21と空間部22、連結部12などにより、キャップ6が電池収納部5に対して相対移動が可能なように構成されている。
【0018】
このような構成により、キャップ6で電池収納部5を閉じたときに、
図5の点線で示すように、キャップ6の突起18は電池収納部5のストッパー突起17の連結部12側(
図5の上部18a)の位置で係合凸部19と係合凹部20が係合し、
図6の拡大図に示すように、発光素子9の電極7は電池陽極2と直接接触し、発光素子9の電極8は電池陰極3と直接接触する。
【0019】
また、
図5の実線で示すように、キャップ6の突起18は電池収納部5のストッパー突起17の連結部12とは反対側(
図5の下部)の位置で係合突部10と係合凹部20が係合し、
図7の拡大図に示すように、発光素子9の電極7は電池陽極2と非接触状態となり、発光素子9の電極8は電池陰極3と非接触状態となる。
【0020】
また、本実施形態では、
図6、
図7に示すように、キャップ6の発光素子9の収納部25の一部にレンズ作用を持たせるようにレンズ部26を形成している。これにより、発光素子9により発光した光を外部に拡散してきらびやかな印象を与えることができる。
【0021】
以上のような構成により、本実施形態の電池ボックス1は、キャップ6を開いて電池収納部5の電池収納凹部27に電池4を収納し、キャップ6を閉じたときに、突起18がストッパー突起17の連結部12とは反対側(
図2、
図5の下部側)に位置してその状態を保ち、発光素子9の一対の電極7、8が電池陽極2、電池陰極3とそれぞれ非接触となり、発光素子9は点灯しない(オフ状態)。このとき、電池収納部5の突起15はキャップ6の溝16に嵌り合い、キャップ6の係合凸部19は電池収納部5の係合路凹部20に嵌り合っている。
【0022】
この状態で、指でキャップ6を電池収納部5に対して上方に移動させることにより、すなわちキャップ6および電池収納部5をずらせて両者を相対移動させることにより、キャップ6の突起18が電池収納部5のストッパー突起17を乗り越えて、突起18がストッパー突起17の連結部12側(
図2、
図5の上側)に位置してその状態を保ち、発光素子9の一対の電極7、8が電池陽極2、電池陰極3とそれぞれ接触し、発光素子9は点灯する(オン状態)。このとき、電池収納部5の突起15はキャップ6の溝16に嵌り合ってスライドし、キャップ6の係合凸部19は電池収納部5の係合路凹部20に嵌り合って移動している。
【0023】
さらに、この状態で、指でキャップ6を電池収納部5に対して下方(
図6の実線矢印E)に移動させることにより、すなわちキャップ6および電池収納部5をずらせて両者を相対移動させることにより、キャップ6の突起18が電池収納部5のストッパー突起17を乗り越えて、突起18がストッパー突起17の連結部12とは反対側(
図2、
図5の下側)に位置してその状態を保ち、発光素子9の一対の電極7、8が電池陽極2、電池陰極3から離れてそれぞれ非接触となり、発光素子9は消灯する(オフ状態)。このとき、電池収納部5の突起15はキャップ6の溝16に嵌り合ってスライドし、キャップ6の係合凸部19は電池収納部5の係合路凹部20に嵌り合って移動している。
【0024】
したがって、本実施形態によれば、回転電動盤やリード線は不要で小型化が可能で、片手の指先だけの簡単な操作で身飾品などの発光素子を容易にオンオフでき、取り扱いが容易である。
【0025】
本実施形態では、キャップ6および電池収納部5のそれぞれの連結部12の近傍に、接触/非接触機構10としての突起18およびストッパー突起17を形成したが、キャップ6および電池収納部5の左右側に、また複数個設けることも可能である。接触/非接触機構10は、ストッパー突起17および突起18に限らず、半円球状凸部と2つの位置を決める2つの半円球状凹部など、凸部と凹部の組み合わせなどで種々の構成を採用することができる。また、形状も角柱状、円柱状、球状、角錐状など、どのような形状でも可能である。すなわち、発光素子9の電極7、8と電池陽極2、電池陰極3との接触状態または非接触状態を保つことのできる2つの位置を選択可能な機構であればよい。
【0026】
また、突起18またはストッパー突起17の頭部の角部を丸くすることにより、突起18がストッパー突起17をスムーズに乗り越えるようにでき、より簡単に発光素子9のオンオフを行うことができる。
【0027】
ところで、本実施形態の発光素子9は、電極7、8が電池陽極2と電池陰極3との境界23を跨ぐように設けられている。しかし、
図8に斜視図を示すように、電極7、8の間に凹部24が形成された発光素子9や、
図9に斜視図を示すように、高さの異なる電極7、8を有するL字型の発光素子9、くの字型の発光素子なども適用可能である。また、電池4もボタン電池に限らず、コイン電池などでも適用可能である。
【0028】
またさらに、本実施形態の電池ボックス1において、充電可能なリチューム電池を用い、電池収納部5の周縁の端部に、ジャックやコンバーター、アダプター等を接続して、充電機能を備えることも可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 電池ボックス
2 電池陽極
3 電池陰極
4 電池
5 電池収納部
6 キャップ
7 電極(陰極)
8 電極(陽極)
9 発光素子
10 接触/非接触機構
11 開口部
12 連結部
13 凸状嵌合部
14 凹状嵌合部
15 突起
16 溝
17 ストッパー突起
18 突起
19 係合凸部
20 係合凹部
21 当接部
22 空間部
23 境界
24 凹部
25 収納部
26 レンズ部
27 電池収納凹部