(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】ポップコーン製造装置
(51)【国際特許分類】
A47J 37/00 20060101AFI20220425BHJP
【FI】
A47J37/00 A
(21)【出願番号】P 2020514857
(86)(22)【出願日】2018-04-19
(86)【国際出願番号】 JP2018016097
(87)【国際公開番号】W WO2019202696
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-07-03
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520244108
【氏名又は名称】獅子 輝政
(74)【代理人】
【識別番号】110003155
【氏名又は名称】特許業務法人バリュープラス
(72)【発明者】
【氏名】獅子 輝政
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-179245(JP,A)
【文献】特開2006-081587(JP,A)
【文献】実開昭61-172382(JP,U)
【文献】特開2014-140504(JP,A)
【文献】特開2010-029534(JP,A)
【文献】特開2008-073151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、このケース内に設けられた、ポップコーン原料を装入する鍋、この鍋を加熱する加熱機構、鍋内にオイルを供給するオイル供給機構、鍋内のポップコーン原料を撹拌する撹拌機構、及びこれらを制御する制御部を備えたポップコーン製造装置であって、少なくとも、前記加熱機構、前記オイル供給機構、前記撹拌機構、のそれぞれにセンサを設け、前記制御部が、ポップコーン原料の量に応じて前記加熱機構、前記オイル供給機構、前記撹拌機構の作動を最適に制御すると共に、それぞれのセンサが前記加熱機構、前記オイル供給機構、前記撹拌機構、の動作異常を検知したときにその旨報知し、さらに、電源投入時の初期動作において、
電源から通電されると、前記各センサ
が通電され、各機構
に通電しなかった場合を該各センサの作動不良
として検知
し、各センサの作動不良の旨を表示するメインセンサを備えたポップコーン製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料の量に応じて最適かつ安定した品質でポップコーンを製造することができ、また、異常状態を把握して装置自体を安定稼働させることができるポップコーン製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば以下の特許文献1には、品質の安定したポップコーンを製造するために、製造室を有するケースと、水平位置より角度回転自在な金属製のケトル(以下、釜という)と、この釜の底部に配置された電気ヒータと、該釜の開口部を開閉する蓋体と、該釜に設けた温度検出手段が検出した温度を基に該釜の温度が設定値となるように電気ヒータを制御する温度調節手段と、オイルを該釜へ散布するオイル散布手段と、該釜の中心部に設けられた撹拌手段とを備えたポップコーン製造装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
ポップコーンは、材料となる豆の量に応じた、釜の加熱温度と加熱時間及びオイル量が適切に制御される必要があるが、特許文献1のポップコーン製造装置は、釜の温度を検出して該釜を加熱する電気ヒータを制御するのみであるため、例えば製造後の出来上がったポップコーンの保温など細部に亘って総合的にポップコーン製造装置を制御する構成となっていないので、例えば操作者の経験や勘に影響されることがあり、ポップコーンの提供されるタイミングによって品質にばらつきがあった。
【0005】
また、安定した品質のポップコーンを提供するためには、ポップコーン製造装置自体の動作も安定していなければならず、例えば上記特許文献1では、各種の電子制御される部材、例えば撹拌手段が一定時間において所定回転(撹拌)しないといった故障や、オイルの散布用ポンプが動作不良となって所定量の豆に対して適切量を散布しないとなれば、当然に適正な品質で安定したポップコーンを製造できないこととなる。
【0006】
要するに、特許文献1を含めた従来のポップコーン装置は、安定した品質でポップコーンを提供するために考慮すべき点が多々ありながら、釜の温度制御だけとなっていて、その他は操作者の経験や技量に頼っていたので、結果的に、操作者による装置の操作技量や装置の作動状況によってポップコーンの出来、不出来が生じるといった不具合があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題は、特許文献1を含む従来のポップコーン製造装置は、製造手順を含めてきめ細やかに制御されていなかったので、操作者による装置の操作技量や装置の作動状況がポップコーンの品質に影響し、安定した品質で提供できない点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ケースと、このケース内に設けられた、ポップコーン原料を装入する鍋、この鍋を加熱する加熱機構、鍋内にオイルを供給するオイル供給機構、鍋内のポップコーン原料を撹拌する撹拌機構、及びこれらを制御する制御部を備えたポップコーン製造装置であって、少なくとも、前記加熱機構、前記オイル供給機構、前記撹拌機構、のそれぞれにセンサを設け、前記制御部が、ポップコーン原料の量に応じて前記加熱機構、前記オイル供給機構、前記撹拌機構の作動を最適に制御すると共に、それぞれのセンサが前記加熱機構、前記オイル供給機構、前記撹拌機構、の動作異常を検知したときにその旨報知し、さらに、電源投入時の初期動作において、電源から通電されると、前記各センサが通電され、各機構に通電しなかった場合を該各センサの作動不良として検知し、各センサの作動不良の旨を表示するメインセンサを備えたことを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、制御部がポップコーン原料の量に応じて加熱機構、オイル供給機構、撹拌機構に設けたセンサの検出信号に基づいて各作動を最適に制御するから、操作者によらず安定した品質のポップコーンを製造することができ。また、本発明は、加熱機構、オイル供給機構、撹拌機構に設けたセンサがこれら各機構における動作異常を検知するから、ポップコーンの品質にかかわる異常を報知して製造を停止し、保守点検を行ったうえで製造を再開することができる。したがって、発明は、失敗又は低品質のポップコーンを提供するといったことが防止され、ポップコーン原料を無駄にすることがなく、安定した品質のポップコーンを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明のポップコーン製造装置の概略構成を示す、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図、である。
【
図2】
図2は、本発明のポップコーン製造装置の略詳細構成を示す、(a)は天井部のみを示す図、(b)は正面図、である。
【
図3】
図3は、本発明のポップコーン製造装置の略詳細構成を示す、(a)は天井部のみを示す図、(b)は左側面図、である。
【
図4】
図4は、本発明のポップコーン製造装置の部分構成を示す、(a)は天井部のみを示す図、(b)はケースの篩板の平面視を示す図、(c)はラックの平面を示す図、である。
【
図5】
図5は、本発明のポップコーン製造装置の支持部周辺概略構成を示す、(a)は平面図、(b)は正面図、である。
【
図6】
図6は、本発明のポップコーン製造装置の支持部周辺概略構成を示す右側面図である。
【
図7】
図7は、本発明のポップコーン製造装置の支持部周辺詳細構成を示す、(a)は平面図、(b)は正面図、である。
【
図8】
図8は、本発明のポップコーン製造装置の支持部及び鍋並びにヒータ周辺詳細構成を示す、(a)は右側面における部分拡大図、(b)は右側面図、である。
【
図9】
図9は、本発明のポップコーン製造装置における制御部と電気駆動部の関係を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のポップコーン製造装置は、
図1~
図9を参照して説明する以下の形態により実施される。ポップコーン製造装置1は、次の構成とされる。2は、筐体であり、この筐体2は、上段に例えばガラスなどで側面三方を囲ったケース2Aと、下段に例えばステンレスなどで側面四方を覆ったラック2Bと、ケース2Aの上面を覆う天井部2Cとが、支柱2aにより組み立てられている。
【0012】
天井部2Cには、ケース2A内を上方から照らす照明部2Ca及び外部に向けて告知するための装飾照明部2Cb、及び本実施例ではポップコーン製造装置1全体の駆動制御のための後述の制御部11、この制御部11により制御されて食用油を滴下するオイル供給機構2Ccが設けられている。
【0013】
ラック2Bには、ポップコーン原料や製造に必要な食用油その他必要な材料や備品を収納する収納部2Baと、ポップコーン製造装置1全体の駆動源となる電源部2Bbとが、内部に設けられている。また、ラック2Bの下面には四隅にロック可能な車輪2Bcが設けられている。
【0014】
ケース2Aは、後述の各部材が収容されてポップコーン原料からポップコーンを製造し、製造後のポップコーンを貯蔵する部位である。ケース2Aの内部における、ラック2Bの上部を隔てる部位(以下、底面という)には、後述の篩板2Aaを介した未発泡のポップコーン原料を集合させるために、底面中央が下方に傾斜した集合板2bと、この集合板2bの下方傾斜端に形成された開口の下部に配置された集合箱2cと、が設けられている。この集合箱2cは、ケース2Aの側面において引き出して取り出すことができるように構成されている。
【0015】
ケース2Aの底面部位における一内側面には、ケース2A内を保温するための保温ヒータ2dと、この保温ヒータ2dの熱を該ケース2A内全域へ行き渡らせるためのファン2eとが設けられている。さらに、ケース2Aの底面部位における内側面には、例えば上下方向に3段で、各段における水平方向には複数のボス2fが形成されている。なお、このボス2fの最下段は、保温ヒータ2dとファン2eを設けた位置よりも高い位置としている。
【0016】
ケース2Aのボス2fには、篩板2Aaが高さ調節可能に架けられる。この篩板2Aaは、その前面に表裏を貫通する孔2Aaaが形成されている。篩板2Aaはケース2Aにおける内底面を構成し、上記ボス2fに架ける位置(高さ)を変更することでポップコーンの貯蔵量を可変とする。
【0017】
すなわち、最下段のボス2fに篩板2Aaを架ければケース2Aにおける内底面の高さが低くなるので、その分だけポップコーンの貯蔵量を増量することができ、一方、最上段のボス2fに篩板2Aaを架ければケース2Aにおける内底面の高さが高くなるので、その分だけポップコーンの貯蔵量を減量することができる。
【0018】
篩板2Aaには、その板全域に表裏を貫通する孔2Aaaが形成されている。孔2Aaaは、ポップコーン原料の平均粒径より大きい径で発泡したポップコーンの平均粒径より小さい径とされている。
【0019】
篩板2Aaにおける孔2Aaaは、上述のとおり、未発泡のポップコーン原料をこの篩板2Aaの裏面側に形成されたケース2Aの底面へとふるい落とす機能と、篩板2Aa上で貯蔵されたポップコーンを保温するために、保温ヒータ2dからファン2eで送られる熱風を篩板2Aa上面へ送る機能と、を果している。
【0020】
3は、ケース2Aの内部における一側面に設けられ、2本のアーム3A,3Aと機構収納部3Bとから構成された支持部である。支持部3のアーム3A,3Aは同高さ位置で対向状に設けられ、その対向間隔が後述のヒータ4の外径より若干大きい程度とされている。アーム3A,3Aのケース2Aの内側面に設けた側と反対側の端部(以下、先端部という)には、上方が開放された軸受部3Aaが各々形成されている。
【0021】
機構収納部3Bは、アーム3A,3Aの対向面間でヒータ4の中心位置より若干だけケース2Aの中心方向に突出して、かつ高さ方向は該ヒータ4の下面位置とされた伝達部3Baと、アーム3A,3Aのケース2Aの内側面に設けた側において伝達部3Baの下部に設けられた駆動部3Bbとからなる。
【0022】
駆動部3Bbには、後述する回転シャフト5を駆動するためのモータ3Bbaとヒータ4からの配線(参照番号無)が集合されて収納されている。モータ3Bbaは本実施例では回転軸3Bbbを上方に向けて配置しており、軸端には傘歯車3Bbcが設けられている。
【0023】
伝達部3Baには、前記配線が収納されると共に、両端に傘歯車3Baa,3Babを設けた伝達軸3Bacが設けられている。伝達軸3Bacの、一端の傘歯車3Baaは回転シャフト5の下端に設けた傘歯車5aと噛合し、他端の傘歯車3Babはモータ3Bbaの回転軸3Bbbに設けた傘歯車3Bbcと噛合する。つまり、モータ3Bbaの垂直方向に延びた回転軸3Bbbの回転動力は、伝達軸3Bacにより一旦水平方向に変換されて、垂直方向に延びた回転シャフト5にて再度方向変換されることになる。
【0024】
本実施例においては、駆動部3Bbのケース2A側の部位において、伝達部3Baを経由したヒータ4の電源及び駆動用の配線、及びモータ3Bbaの電源及び駆動用の配線が、支持部3における該駆動部3Bbにおいて中継されて、制御部11からの配線と、さらにラック2Bに設けた電源部2Bbの配線と、ピン接続されるように構成されている。
【0025】
すなわち、従来では、例えば後述のようにモータ3Bba故障を検知した場合は、モータ3Bbaと接続された制御部及び電源部を露出させたり取り出したりして、交換作業をしなければならなかったが、上記のように構成することで、モータ3Bbaを交換したり保守作業などする際には、この支持部3においてモータ3Bbaだけを取り外すことができる。また、例えばヒータ4、制御部11、電源部2Bbといった後述の各電気駆動部及び各センサが全てピン接続とされていることでピン接続を解除すれば独立的に扱うことができ、異常のあった各電気駆動部のユニット交換や保守作業が容易に行える。
【0026】
4は、後述する鍋6を加熱するためのヒータ(加熱機構)である。このヒータ4は、加熱体4Aと、鍋6が傾いて移動しないように配置可能とする例えば断面凹形状の外鍋4B、とから構成されている。加熱体4Aは、例えば円環状の電気抵抗により発熱する部材を例えば内外環にして外鍋4Bの内底面に配置している。この加熱体4Aの制御用、電源用の配線は、上記のとおり支持部3における伝達部3Baを介して駆動部3Bbでピン接続にて中継されて制御部11、電源部2Bbへ接続されている。
【0027】
ヒータ4における外鍋4Bは、鍋6を内嵌可能としており、その外側に、支持部3におけるアーム3A,3Aの軸受部3Aa,3Aaで受けられる傾動軸4Baが、該軸受部3Aa,3Aaに対応して設けられている。また、外鍋4Bの外側において、一方の傾動軸4Baの近傍にはハンドル4Bbが設けられている。ヒータ4(外鍋4B)は、ハンドル4Bbを操作して、傾動軸4Baを中心に、軸受部3Aa及び伝達部3Baで水平となっているヒータ4(外鍋4B)を傾動させる構成とされている。
【0028】
また、外鍋4Bの内底面で加熱体4Aの中央には孔4aが形成されており、ここに回転シャフト5の軸方向途中部位に設けた軸受5Aが孔4aに対して取り外し可能に設けられている。回転シャフト5は、外鍋4Bの傾動動作に伴って伝達軸3Bacとの伝達が断たれ、外鍋4Bの水平動作に伴って伝達軸3Bacと伝達が継がる構成とされている。
【0029】
5は、モータ3Bbaにより回転する回転シャフトである。この回転シャフト5は上述のとおり、モータ3Bbaによる回転軸3Bbb及び傘歯車3Bbcの回転が、伝達軸3Bacの傘歯車3Bab及び3Baaを介して伝達され、該回転シャフト5の軸途中に設けられた軸受5Aを介した一方端に設けた傘歯車5aに伝達されることで回転する。
【0030】
回転シャフト5の軸途中には軸受5Aが設けられており、この部位より伝達部3Ba側の回転シャフト5との噛合の継断自在で、ヒータ4の外鍋4Bの孔4aに対して取り外し可能とされている。回転シャフト5の軸受5Aを介した他端は、頭部に雌ねじ5bが形成され、ここに蝶ねじ5cがカバー5Bを介して螺入される。
【0031】
回転シャフト5の頭部にはカバー5Bが被せられおり、このカバー5Bは底面を有しないと共に頭部に上面を有する筒状とされている。カバー5Bの頭部つまり上面にはねじ孔5dが形成されており、このねじ孔5dから上記蝶ねじ5cが、回転シャフト5の頭部の雌ねじ5bに向けて螺入される。また、カバー5Bの頭部の一部には撹拌棒5Cが設けられる。
【0032】
撹拌棒5Cは、回転シャフト5及びカバー5Bと共に鍋6内において回転する。撹拌棒5Cの先端方向は水平部5Caが設けられ、この水平部5Caの面が斜めに傾斜した状態とされ、鍋6の高さ(深さ)方向の半分程度の高さに位置するように構成されている。
【0033】
6は、ヒータ4の外鍋4Bに嵌入される鍋であり、この鍋6は、中央部に突部6Aが形成されている。突部6Aは、底面を有しないと共に頭部に上面を有する筒状とされており、頭部には回転シャフト5が突出する孔6aが形成されている。つまり、回転シャフト5は、ヒータ4の外鍋4Bを貫通して、鍋6の突部6Aの孔6aから突出する。
【0034】
鍋6と回転シャフト5の関係は、突部6Aの孔6aから回転シャフト5が突出し、突部6Aの外面を覆うようにカバー5Bが被せられ、カバー5Bを介して回転シャフト5の頭部に蝶ねじ5cが設けられる構成である。したがって、鍋6の表裏はカバー5Bによって遮断されるから、鍋6内のポップコーン原料や撹拌棒5Cによる撹拌で生じた該原料の殻かすなどが鍋6からヒータ4へ漏れることがない。
【0035】
鍋6の上面開口には蓋6Bが設けられている。蓋6Bは、ヒータ4の外鍋4Bを覆う外径とされている。また、蓋6Bは、2分割され、ヒータ4を傾動させた際の勾配の下方側が開端とされ、上方側が閉端とされる。蓋6Bにおける前記開端と閉端との境には蝶番6bが設けられ、前記のとおりヒータ4の傾動に応じて開端側が開く構成とされている。閉端側は、ヒータ4の外鍋4Bの縁部に対して取り付けられる構成とされている。
【0036】
また、蓋6の閉端の上面には、漏斗6cが設けられている。この漏斗6cは、ケース2Aの内部における上方に設けたオイル供給機構2Ccより滴下される食用油を受けるためのものである。漏斗6cの内部にはフィルター(不図示)が設けてあり、中空滴下される食用油に混じって不純物が鍋6内に混入することを防止している。
【0037】
11は、ポップコーン製造装置1全体を制御すると共に異常やトラブルが生じた際にはその旨報知するようにされた制御部であり、本実施例では、例えば天井部2Cにおけるケース2A外に設けられ、この筐体において、図示しないが、メインスイッチと、入力と出力を兼ねる例えばいわゆるタッチパネルを採用すると共にスピーカーが設けられている。
【0038】
制御部11には、例えば本実施例では、電気的に作動する機構、すなわち筐体2部位では電源部2Bbに設けた電源センサS1、照明部2Caに設けた照明センサS2、装飾照明部2Cbに設けた装飾照明センサS3、オイル供給機構2Ccに設けたオイル供給センサS4、保温ヒータ2dに設けた保温センサS5、ファン2eに設けたファンセンサS6、支持部3部位では駆動部3Bb(モータ3Bba)に設けた駆動センサS7、ヒータ4部位では加熱体4Aに設けた加熱センサS8、のそれぞれがメインセンサS11を介して接続されている。
【0039】
メインセンサS11は、上記のとおり各センサS1~S8に接続されており、ポップコーン製造装置1のメインスイッチMSがオンにされると、電源部2Bbに先立ってまずメインセンサS11に通電され、ここに異常があると、電源部2Bbに通電されないため、ポップコーン製造装置1は作動しない。よって、まず、メインセンサS11自体の異常はメインスイッチMSのオンの際に把握できる。
【0040】
メインセンサS11に異常がなく、メインスイッチMSのオンにより通電されると、続いて、各センサS1~S8が通電される。ここで各センサS1~S8において異常があれば、該各センサS1~S8に接続された各電源供給を要する電源部2Bbを筆頭として、照明部2Ca、装飾照明部2Cb、オイル供給機構2Cc、ファン2e、駆動部3Bb(モータ3Bba)、加熱体4A(これらを以下「電気駆動部」という)が通電せず、かつその旨をメインセンサS11が検知し、例えば制御部11の筐体に設けたパネルなどにその旨表示する。こうすることで、各センサS1~S8の異常はメインセンサS11の通電の際に把握できる。
【0041】
各センサS1~S8に異常がない場合は各電気駆動部に通電され、該S1~S8により通電異常の有無を検知すると共に、制御部11からの制御信号の送受に基づいた制御が行われる。電源センサS1は、メインセンサS11からの制御に基づいて異常がある電気駆動部の通電をオフとし、また、電源部2Bbの異常を検知する。
【0042】
照明センサS2と装飾照明センサS3は、照明部2Caと装飾照明部2Cbにおける通電や特に装飾照明部2Cbにおいてはイルミネーションの制御をし、また、該照明部2Caと該装飾照明部2Cbの異常、例えばいわゆる球切れや劣化を検知する。
【0043】
オイル供給センサS4は、オイル供給機構2Ccにおけるポップコーン原料の量に基づいたオイル量を制御し、また、該オイル供給機構2Ccの機構上の異常、例えばノズル詰まりやストックしたオイル切れなどを検知する。
【0044】
保温センサS5は、出来上がりポップコーンの量に基づいて保温ヒータ2dの稼働時間と温度を制御し、また、該保温ヒータ2dの異常、例えばオン・オフ制御不能や温度異常などを検知する。
【0045】
ファンセンサS2は、ケース2A内温度に基づいて排気(排熱)ファン2eのオン・オフ制御し、また、該ファン2eの異常、例えばオン・オフ制御不能や回転異常などを検知する。
【0046】
駆動センサS7は、ポップコーンの量に基づいた撹拌棒5Cの作動タイミングや作動時間を制御し、また、該撹拌棒5C(駆動部3Bb)の異常、例えばオン・オフ制御不能や回転量、回転時間などを検知する。
【0047】
加熱センサS8は、ポップコーン原料の量に基づいたヒータ4(加熱体4A)の加熱時間や加熱温度を制御し、また、ヒータ4の異常、例えばオン・オフ制御不能や温度異常、作動時間異常などを検知する。
【0048】
上記構成のポップコーン製造装置1は、次のようにしてポップコーンを製造する。メインスイッチMSをオンにすると、制御部11におけるメインセンサS11に通電され、直ちに各センサS1~S8のセンサ異常の確認が行われ、次いで各センサ1~8から各電気駆動部の状況検知が行わる。
【0049】
ここで、上記のとおり、インスイッチMSをオンにした段階でポップコーン装置1が無反応な場合はメインセンサS11に異常があることとなる。この場合は、当然ながら、制御部11はその旨報知しない。一方、ポップコーン装置1においてメインセンサS11に通電された後に各電気駆動部が無反応な場合は、制御部11はセンサに異常があるとして、各センサS1~S8を表示して報知する。
【0050】
さらに、各センサS1~S8が各電気駆動部の異常を検知した場合は、メインセンサS11にその旨信号を送り、制御部11で異常のある電気駆動部の異常と状態を報知すると共に、場合によっては異常のある電気駆動部の通電をオフとする制御を行う。ここまでが、ポップコーン製造装置1の電源投入時の初期動作である。
【0051】
以下、メインセンサS11及び各センサS1~S8の異常、並びに各電気駆動部の異常がなかった場合、制御部11はポップコーン製造装置1の初期異常がなかった旨とポップコーンを製造するための手順等を表示する。まず、操作者は、所定カップであらかじめ計量されたポップコーン原料をヒータ4が水平となった鍋6内に装入する。
【0052】
その後、制御部11において表示機能と入力機能を備えた例えばタッチパネルからポップコーン原料の量を入力すると、制御部11はこのポップコーン原料の量に基づいて、メインセンサS11及び各センサS1~S8を介して各電気駆動部が例えば次のように最適に制御する。
【0053】
上記の初期動作において異常がなければ、ポップコーン製造装置1は、制御部11のタッチパネルにおいて味(例えばここではプレーンの塩味)を選択し、また、ポップコーン原料の量(例えば1,200g)を入力する。制御部は、制御部11は、上記のポップコーン原料(1,200g)の入力に基づいてで、これをプレーン(塩味)のポップコーンにする際には、1,200gを入力すると、制御部11は、この場合に必要な香味料40gと、必要なオイル量400gとを算出する。その後、制御部11はヒータ4をオンにして、70℃まで鍋6を加熱する。70℃になると制御部11はその旨ブザーを発し、ポップコーン原料と香味料の投入を促す。
【0054】
制御部11は、ポップコーン原料と香味料が鍋6に投入されて蓋6Bが閉められたことを確認すると(本例では駆動センサS7で検知できる)、上記のポップコーン原料の量に基づいてさらにヒータ4による鍋6の所定温度までの加熱を行うと共に、撹拌棒5Cによる鍋6内の所定時間の撹拌を行うよう制御する。なお、この間、制御部11は、加熱センサS8が例えば175℃となると安全のためヒータ4をオフとする制御を行う。そして、制御部11は、蓋6Bが浮き上がったことを駆動センサS7で検知すると、ヒータ4をオフとし、今回の製造手順を終える。
【0055】
上記を本発明のポップコーン製造装置1の構成に特化して説明すると、制御部11は、ヒータ4(加熱体4A)を加熱し、例えば、この加熱の所定時間後、オイル供給機構2Ccよりポップコーン原料の量に応じた量のオイルを滴下し、回転シャフト5を駆動すべくモータ3Bbaをオンにする。また、制御部11は、ポップコーン製造開始と同時に、保温ヒータ2d及びファン2eをオンにして、出来上がったポップコーンをケース2A内で保温する状態とする。
【0056】
鍋6内では、ポップコーン原料が撹拌棒5Cにより加熱されつつ撹拌され、所定温度に達すると、ポップコーン原料が発泡してポップコーンとなる。制御部11は、ポップコーン原料に応じた前記の一連の時間の経過後、つまりポップコーン原料の量によってレシピで設定された所定の製造時間の経過後に、モータ3Bba、ヒータ4をオフにする。
【0057】
ここまでのポップコーン製造工程において、各電気駆動部に異常が発生した場合には各センサS1~S8及びメインセンサS11を介して制御部11がその旨を報知し、各センサS1~S8に異常が発生した場合には、メインセンサS11を介して制御部11がその旨を報知し、さらに、メインセンサS11に異常が生じた場合には直ちに通電がオフとなる。
【0058】
モータ3Ba及びヒータ4の駆動がオフになった後、作業者がハンドル4Bbを操作してヒータ4ごと傾動させると、この傾動に応じて蓋6Bの開端が開き、鍋6内のポップコーンをケース2A内における篩板2Aa上へ投下されることになる。篩板2Aa上では未発泡のポップコーン原料だけが孔2Aaaを通過して集合板2bを介して集合箱2cで集められる。
【0059】
さらに多くのポップコーンを製造するには、ハンドル4Bbの操作によりヒータ4の傾動を水平に戻し、再度、鍋6にポップコーン原料を装入し、上記の動作を繰り返す。
【0060】
上記のようにポップコーンを製造するうち、特にケース2A内の各部材は例えば食用油やその他ポップコーン原料の殻かすなどが付着して異常が発生することがある。また、ポップコーン製造中においても突発的に各電気駆動部や各センサS1~S8に異常が発生することがある。本発明は、上記構成としていることで、その旨、タイムリーに異常を把握することができ、また、異常が生じた場合には例えば以下のとおり、清掃や保守作業が極めて簡便に行うことができる。
【0061】
例えば、ヒータ4を、例えば定期的に汚れを清掃したり、例えば破損して交換したり、する場合にケース2A外に取り出すときには、伝達部3Baにおいて該ヒータ4Aに電力供給用及び制御用の配線がピン接続されているので、ヒータ4だけを容易に取り外すことができる。このときに、回転シャフト5も必要であれば清掃を行えばよい。なお、回転シャフト5は、カバー5B及び鍋6の突部6A内にあるので、著しく汚れることがないようになっている。
【0062】
電気駆動部(電源部2Bb、照明部2Ca、装飾照明部2Cb、制御部11、オイル供給機構2Cc、保温ヒータ2d、ファン2e、モータ3Bba)が破損して交換する場合は、全て、上記のように、ケース2A、ラック2B、天井部2Cのブロック単位で、コネクタをピン接続しているので、筐体2全体を分解して配線を引き出してパーツを取り出して交換するといったことなく、そのブロック部位を分解してパーツだけを容易に取り出して交換することができる。
【0063】
また、例えば、ポップコーン製造装置1は、回転シャフト5をヒータ4上面中央から鍋6に形成した開口部(突部6A及び孔6a)から突出させ、かつヒータ4が鍋6を嵌入可能な断面凹形状とすると共にケース2A内側面の支持部3により傾動可能に支持されるから、従来のように、鍋を取り外すのにケースの上方から延びた回転シャフトが邪魔になることがない。
【0064】
このことから、定常的に汚れが生じる鍋6は、蓋6Bを外して、カバー5Bの頭部に設けた蝶ねじ5cを外し、該カバー5Bと共に撹拌棒5Cを回転シャフト5から取り外すことで、ヒータ4の外鍋4Bから容易に取り出すことができる。このときに、カバー5Bや撹拌棒5C、及び蓋6Bも同様に清掃すればよい。なお、ヒータ4の外鍋4Bの内底部は鍋6が内嵌していることでさほど汚れることがない。
【0065】
したがって、本発明のポップコーン製造装置1は、異常がタイムリーに把握できて保守作業が容易であることに加えて、清掃作業も容易に行えるので、常に衛生的に保つことができ、また、仮に汚れが酷かったり、破損・故障などして部品を取り替えたりするにも非常に簡便かつ容易であることから、ポップコーン製造の安定稼働を含めた最適制御のみならず、保守作業を行いながら長期に亘って使用することができ、安定した品質のポップコーンを製造することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 ポップコーン製造装置
2 筐体
2Bb 電源部
2Ca 照明部
2Cb 装飾照明部
2Cc オイル供給機構
2d 保温ヒータ
2e ファン
3 支持部
3Bb 駆動部
3Bba モータ
4 ヒータ
4A 加熱体
11 制御部
S1 電源センサ
S2 照明センサ
S3 装飾照明センサ
S4 オイル供給センサ
S5 保温センサ
S6 ファンセンサ
S7 駆動センサ
S8 加熱センサ
S11 メインセンサ