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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】スロットルグリップ装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 11/02 20060101AFI20220425BHJP
【FI】
F02D11/02 R
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021064710
(22)【出願日】2021-04-06
(62)【分割の表示】P 2017011050の分割
【原出願日】2017-01-25
(65)【公開番号】P2021105400
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2021-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000213954
【氏名又は名称】朝日電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】澤木 祐介
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-13833(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0107789(US,A1)
【文献】特開2010-280304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のハンドルパイプの先端側に取り付けられ、運転者による回転操作が可能とされるとともに、初期位置から所定方向に正回転及び当該所定方向とは逆方向の逆回転が可能とされたスロットルグリップと、
前記スロットルグリップの正回転及び逆回転に連動して回転し得る連動部材と、
前記スロットルグリップが正回転したとき、前記連動部材を初期位置に向かって付勢する第1付勢手段と、
前記スロットルグリップが逆回転したとき、前記連動部材を初期位置に向かって付勢する第2付勢手段と、
前記連動部材の回転角度を検出することにより前記スロットルグリップの回転角度を検出し得る回転角度検出手段と、
前記スロットルグリップが正回転したとき、前記第2付勢手段の付勢力を前記連動部材に付与させずに前記第1付勢手段の付勢力を前記連動部材に付与させ、前記スロットルグリップが逆回転したとき、前記第1付勢手段の付勢力を前記連動部材に付与させずに前記第2付勢手段の付勢力を前記連動部材に付与し得る選択部材と、
を具備し、前記回転角度検出手段で検出された前記スロットルグリップの正回転時の回転角度に応じて車両のエンジンを制御可能とされるとともに、前記スロットルグリップが逆回転したとき車両の所定の機能を作動又は非作動とし得るスロットルグリップ装置であって、
前記連動部材、選択部材、第1付勢手段及び第2付勢手段は、前記ハンドルパイプの内部に配設され、且つ、前記選択部材は、前記連動部材に形成されるとともに、一方の面側に前記第1付勢手段が形成され、他方の面側に前記第2付勢手段が形成されたことを特徴とするスロットルグリップ装置。
【請求項2】
前記回転角度検出手段を収容する収容部材を有するとともに、当該収容部材が前記ハンドルパイプの内部に固定されたことを特徴とする請求項1記載のスロットルグリップ装置。
【請求項3】
前記収容部材は、前記回転角度検出手段を収容する収容部と、前記ハンドルパイプの延設方向に沿って突出した突出部とを有するとともに、当該突出部に対して前記連動部材が挿通されて回転可能とされたことを特徴とする請求項2記載のスロットルグリップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットルグリップの回転操作に基づいて車両のエンジンが制御されるスロットルグリップ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時の二輪車においては、スロットルグリップの回転角度をポテンショメータ等のスロットル開度センサにて検出し、その検出値を電気信号として当該二輪車が搭載する電子制御装置等に送るよう構成されたものが普及されるに至っている。そして、かかる検出信号に基づき電子制御装置が所定の演算を行い、その演算結果に基づいてエンジンの点火時期、吸気バルブ若しくはスロットルバルブの開閉が制御されるようになっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、走行速度を一定に保持する定車速保持装置(オートクルーズ装置)を具備するとともに、スロットルグリップを所定方向に正回転させたとき、その回転角度に応じて車両のエンジンを制御するとともに、スロットルグリップを所定方向とは反対の方向に回転させたとき、定車速保持装置の車速保持制御を停止(キャンセル)させるスロットルグリップ装置が開示されている。
【0004】
かかる従来のスロットルグリップ装置は、スロットルグリップを所定方向に正回転させたとき連動して回転する連動部材と、スロットルグリップを所定方向とは反対の方向に回転させたとき連動して摺動する摺動部材と、連動部材を初期位置に向かって付勢する第1付勢手段と、摺動部材を初期位置に向かって付勢する第2付勢手段とを具備するとともに、連動部材内に摺動部材及び第2付勢手段が配設されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-81564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のスロットルグリップ装置においては、スロットルグリップの基端側に取り付けられたケースに、連通部材、第1付勢手段及び第2付勢手段が配設されていたので、当該ケースが大型化してしまうという問題があった。そこで、本出願人は、ハンドルパイプの内部のスペースに着目し、当該スペースを有効活用することで、スロットルグリップを正回転及び逆回転可能としつつケースを小型化又は不要とするものを鋭意検討するに至った。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、スロットルグリップを正回転及び逆回転可能としつつスロットルグリップの基端側のケースを小型化又は不要とすることができるスロットルグリップ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、車両のハンドルパイプの先端側に取り付けられ、運転者による回転操作が可能とされるとともに、初期位置から所定方向に正回転及び当該所定方向とは逆方向の逆回転が可能とされたスロットルグリップと、前記スロットルグリップの正回転及び逆回転に連動して回転し得る連動部材と、前記スロットルグリップが正回転したとき、前記連動部材を初期位置に向かって付勢する第1付勢手段と、前記スロットルグリップが逆回転したとき、前記連動部材を初期位置に向かって付勢する第2付勢手段と、前記連動部材の回転角度を検出することにより前記スロットルグリップの回転角度を検出し得る回転角度検出手段と、前記スロットルグリップが正回転したとき、前記第2付勢手段の付勢力を前記連動部材に付与させずに前記第1付勢手段の付勢力を前記連動部材に付与させ、前記スロットルグリップが逆回転したとき、前記第1付勢手段の付勢力を前記連動部材に付与させずに前記第2付勢手段の付勢力を前記連動部材に付与し得る選択部材とを具備し、前記回転角度検出手段で検出された前記スロットルグリップの正回転時の回転角度に応じて車両のエンジンを制御可能とされるとともに、前記スロットルグリップが逆回転したとき車両の所定の機能を作動又は非作動とし得るスロットルグリップ装置であって、前記連動部材、選択部材、第1付勢手段及び第2付勢手段は、前記ハンドルパイプの内部に配設され、且つ、前記選択部材は、前記連動部材に形成されるとともに、一方の面側に前記第1付勢手段が形成され、他方の面側に前記第2付勢手段が形成されたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のスロットルグリップ装置において、前記回転角度検出手段を収容する収容部材を有するとともに、当該収容部材が前記ハンドルパイプの内部に固定されたことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のスロットルグリップ装置において、前記収容部材は、前記回転角度検出手段を収容する収容部と、前記ハンドルパイプの延設方向に沿って突出した突出部とを有するとともに、当該突出部に対して前記連動部材が挿通されて回転可能とされたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、スロットルグリップの回転方向に応じて第1付勢手段及び第2付勢手段を選択的に作用させることができるとともに、スロットルグリップを正回転及び逆回転可能としつつスロットルグリップの基端側のケースを小型化又は不要とすることができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、回転角度検出手段を収容する収容部材を有するとともに、当該収容部材がハンドルパイプの内部に固定されたので、スロットルグリップの基端側のケースをより一層小型化又は不要とすることができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、収容部材は、回転角度検出手段を収容する収容部と、ハンドルパイプの延設方向に沿って突出した突出部とを有するとともに、当該突出部に対して連動部材が挿通されて回転可能とされたので、回転角度検出手段の収容機能と連動部材の取付機能とを収容部材に持たせることができ、且つ、スロットルグリップと連動して連動部材が回転する際、より安定した回転を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係るスロットルグリップ装置を示す正面図及び側面図
図2図1におけるII-II線断面図
図3図1におけるIII-III線断面図
図4】同スロットルグリップ装置を示す分解斜視図
図5】同スロットルグリップ装置における内部構成を示す斜視図
図6】同スロットルグリップ装置における連動部材を示す3面図
図7】同スロットルグリップ装置における選択部材を示す3面図
図8】同スロットルグリップ装置における収容部材を示す3面図
図9】同スロットルグリップ装置における固定部材を示す3面図
図10】同スロットルグリップ装置の連動部材に選択部材及び磁石を取り付けた状態を示す斜視図
図11】同スロットルグリップ装置の連動部材に選択部材、収容部材、第1付勢手段及び第2付勢手段を取り付けた状態を示す斜視図
図12】同スロットルグリップ装置の収容部材に固定部材を取り付けた状態を示す斜視図
図13】同スロットルグリップ装置におけるスロットルグリップが初期位置にある場合の状態を示す模式図
図14】同スロットルグリップ装置におけるスロットルグリップが正回転した状態を示す模式図
図15】同スロットルグリップ装置におけるスロットルグリップが逆回転した状態を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るスロットルグリップ装置は、図1に示すように、二輪車のハンドルパイプH(ハンドルバー)に取り付けられたスロットルグリップGの回転角度を検出し、その検出信号を二輪車が搭載するECU等電子制御装置に送るためのもので、図1~5に示すように、スロットルグリップGと、連動部材1と、選択部材2と、第1付勢手段S1と、第2付勢手段S2と、収容部材3と、磁気センサ4(回転角度検出手段)と、固定部材6とを有して構成されている。
【0016】
スロットルグリップGは、図1に示すように、車両のハンドルパイプHの先端側に取り付けられ、運転者による回転操作が可能とされるとともに、初期位置から所定方向に正回転a及び当該所定方向とは逆方向の逆回転bが可能とされている。本実施形態に係るスロットルグリップGは、図2、3に示すように、例えば硬質樹脂から成る基部材Gbの外周面に軟質樹脂や合成ゴム等から成る把持部材Gaが固着して構成されている。
【0017】
連動部材1は、ハンドルパイプHの内部に配設されるとともに、スロットルグリップGの正回転a及び逆回転bに連動して回転し得る筒状部材から成るもので、図6に示すように、一端部に一体形成された被係合部1aと、長手方向に貫通した貫通孔1bと、一端部に一体形成された当接部1cと、他端部に突出形成された取付部1dと、第2付勢手段S2の他端部を係止して固定可能な係止部1eとを有して構成されている。
【0018】
被係合部1aは、スロットルグリップGの基部材Gbと係合し得る部位から成り、当該被係合部1aを介してスロットルグリップGの回転操作力が伝達され、連動部材1を軸周りに回転させ得るようになっている。なお、本実施形態に係る被係合部1aは、一対の当接部1cのうち一方の当接部1cを径方向に延設した部位とされているが、当接部1cとは別個の部位から成るものであってもよい。
【0019】
貫通孔1bは、連動部材1の軸方向に形成され、内部に収容部材3の突出部3bが挿通可能な内径寸法とされている。当接部1cは、連動部材1の一端部から径方向に突出した一対の突出形状部から成り、当該連動部材1の回転(正回転a)に伴って選択部材2の被当接部2a(図7参照)と当接可能とされている。取付部1dは、連動部材1の他端部から軸方向に突出した一対の突出形状部から成り、図10に示すように、磁石Mを取付可能とされている。
【0020】
収容部材3は、基板5及び基板5に形成された磁気センサ4を収容するもので、図8に示すように、基板5及び磁気センサ4を収容する収容部3aと、ハンドルパイプHの延設方向に沿って突出した突出部3bと、第1付勢手段S1の他端部を挿通して固定可能な取付溝3cとを有して構成されている。収容部3aは、磁気センサ4が形成された基板5が収容された後、樹脂等の防水材が充填され得るとともに、その中央から突出部3bが一体形成されている。突出部3bは、連動部材1の貫通孔1bに挿通可能とされており、その突端面にはネジ穴3baが形成されている。なお、本実施形態に係る収容部材3は、その収容部3aが一対のネジnにてハンドルパイプHの内部に固定されている。
【0021】
磁気センサ4(回転角度検出手段)は、連動部材1における回転軸の延長線上の位置に配設されたセンサから成り、連動部材1に取り付けられた磁石Mから生じる磁気の変化を検出することにより、スロットルグリップGの回転角度を検出可能とされている。具体的には、磁気センサ4は、磁石Mの磁場変化(磁束密度の変化)に応じた出力電圧を得ることができるもので、例えばホール効果を利用した磁気センサであるホール素子(具体的には、磁石Mの磁場(磁束密度)に比例した出力電圧を得ることができるリニアホールIC)等により構成されている。なお、本実施形態に係る磁気センサ4は、所定の電気回路が印刷された基板5(プリント基板)に形成されている。
【0022】
しかして、スロットルグリップGが正回転aするのに伴って連動部材1が同方向に回転すると、当該連動部材1に取り付けられた磁石Mも同方向に同一角度だけ回転する。これにより、その回転角度によって磁場が変化するので、当該回転角度に応じた出力電圧を得ることができ、当該出力電圧に基づき連動部材1の回転角度(即ち、スロットルグリップGの回転角度)を検出することが可能とされている。このように検出されたスロットルグリップGの回転角度は、二輪車に搭載されたECU(エンジン・コントロール・ユニット)に対して電気信号として送信され、送信されたスロットルグリップGの回転角度に応じて車両のエンジンが制御され得るようになっている。
【0023】
一方、スロットルグリップGが逆回転bするのに伴って連動部材1が同方向に回転すると、当該連動部材1に取り付けられた磁石Mも同方向に同一角度だけ回転する。これにより、その回転角度によって磁場が変化するので、当該回転角度に応じた出力電圧を得ることができ、スロットルグリップGの逆回転bを検出することができる。
【0024】
このように、スロットルグリップGの逆回転bが検出されると、二輪車が具備する所定の機能を作動又は非作動とすることができるようになっている。本実施形態においては、走行速度を一定に保持する定車速保持装置(オートクルーズ装置)を備えた二輪車に適用されており、スロットルグリップGを逆回転b(初期位置からスロットルを全開させる正回転aの方向とは逆方向の回転操作)させると、当該定車速の保持制御を停止(キャンセル)させ得るよう構成されている。
【0025】
固定部材6は、図2、3に示すように、ハンドルパイプHの先端に固定され、収容部材3の突出部3bをハンドルパイプH内にて固定し得るもので、図9に示すように、ストッパ部6aと、挿通孔6bとを有して構成されている。挿通孔6bは、固定部材6がハンドルパイプHの先端に固定された状態において、収容部材3の突出部3bに形成されたネジ穴3baと合致する位置に形成されており、図12に示すように、ネジfを挿通孔6bに挿通しつつネジ穴3baに螺合させることにより、固定部材6に突出部3bが固定され得るようになっている。ストッパ部6aは、選択部材2に形成された被当接部2aと当接して当該選択部材2の回転を規制する部位から成る。なお、固定部材6には、バランサB(ハンドルパイプHの先端に取り付けられる錘部材)が取り付けられるようになっている。
【0026】
選択部材2は、連動部材1に組み付けられてハンドルパイプHの内部に配設された円環状部材から成り、図7に示すように、被当接部2aと、取付溝2bと、取付孔2cと、挿通孔2dとを有して構成されている。被当接部2aは、選択部材2の一方の面から突出形成された一対の突出形状部から成り、連動部材1の当接部1c及び固定部材6のストッパ部6aと当接可能とされている。
【0027】
取付溝2bは、第1付勢手段S1の一端部が嵌合して取り付けられる溝形状から成るとともに、取付孔2cは、第2付勢手段S2の一端部(図11参照)が挿通して取り付けられる孔形状から成るものである。挿通孔2dは、選択部材2の中央に形成された貫通孔から成り、図10に示すように、連動部材1を挿通可能な内径寸法とされている。しかして、選択部材2は、連動部材1に組み付けられるとともに、一方の面側に第1付勢手段S1の一端部が取り付けられ、他方の面側に第2付勢手段S2の一端部が取り付けられるよう構成されている。
【0028】
第1付勢手段S1は、スロットルグリップGが正回転aしたとき、連動部材1を初期位置に向かって付勢するためのバネ(捩りコイルスプリング)から成り、一端部が選択部材2に形成された取付溝2bに固定されるとともに、他端部が収容部材3に形成された取付溝3cに固定されるようになっている。すなわち、第1付勢手段S1は、連動部材1における外周面において選択部材2と収容部材3との間に介在して取り付けられているのである。なお、本実施形態に係る第1付勢手段S1は、捩りコイルスプリングにて構成されているが、他の付勢手段としてもよい。
【0029】
第2付勢手段S2は、スロットルグリップGが逆回転bしたとき、連動部材1を初期位置に向かって付勢するためのバネ(捩りコイルスプリング)から成り、一端部が選択部材2に形成された取付孔2cに固定されるとともに、他端部が連動部材1に形成された係止部1eに固定されるようになっている。すなわち、第2付勢手段S2は、連動部材1における一端部側において当該連動部材1と選択部材2との間に介在して取り付けられているのである。なお、本実施形態に係る第2付勢手段S2は、捩りコイルスプリングにて構成されているが、他の付勢手段としてもよい。
【0030】
本実施形態に係る選択部材2は、上述の如く第1付勢手段S1の一端部及び第2付勢手段S2の一端部がそれぞれ取り付けられるとともに、スロットルグリップGが正回転aしたとき、第2付勢手段S2の付勢力を連動部材1に付与させずに第1付勢手段S1の付勢力を連動部材1に付与させ、スロットルグリップGが逆回転bしたとき、第1付勢手段S1の付勢力を連動部材1に付与させずに第2付勢手段S2の付勢力を連動部材1に付与し得るよう構成されている。
【0031】
具体的には、スロットルグリップGが初期位置(回転操作前の状態)にあるとき、図13に示すように、連動部材1の当接部1cは、選択部材2における被当接部2aの間に位置している。そして、スロットルグリップGを正回転aさせると、図14に示すように、連動部材1の当接部1cが被当接部2aと当接して押圧するので、選択部材2が同方向に回転することとなり、第1付勢手段S1による付勢力が連動部材1を介してスロットルグリップGに付与されることとなる。このとき、連動部材1及び選択部材2が共に回転するので、第2付勢手段S2による付勢力は付与されない。
【0032】
一方、スロットルグリップGを逆回転bさせると、図15に示すように、連動部材1の当接部1cは、被当接部2aの間で移動するだけで当該被当接部2aと当接しないので、連動部材1の回転に伴う選択部材2の回転は行われない。また、選択部材2における被当接部2aの一方の縁部は、当該選択部材2が逆方向bに回転しようとすると、固定部材6のストッパ部6aと当接して回転が規制されるようになっている。これにより、連動部材1が回転しつつ選択部材2の回転が規制されるので、第2付勢手段S2による付勢力が連動部材1を介してスロットルグリップGに付与されることとなる。このとき、選択部材2は回転しないので、第1付勢手段S1による付勢力は付与されない。
【0033】
ここで、本実施形態においては、連動部材1、第1付勢手段S1及び第2付勢手段S2がハンドルパイプHの内部に配設されている。これにより、スロットルグリップGの正回転a及び逆回転bを可能としつつスロットルグリップGの基端側のケース(従来、付勢手段を構成するバネ等が収容されたケース)を小型化又は不要とすることができる。また、本実施形態においては、連動部材1、第1付勢手段S1及び第2付勢手段S2に加え、磁気センサ4(回転角度検出手段)を収容する収容部材3もハンドルパイプHの内部に固定されたので、スロットルグリップGの基端側のケースをより一層小型化又は不要とすることができる。
【0034】
さらに、本実施形態に係る収容部材3は、磁気センサ4(回転角度検出手段)を収容する収容部3aと、ハンドルパイプHの延設方向に沿って突出した突出部3bとを有するとともに、当該突出部3bに対して連動部材1が挿通されて回転(スロットルグリップGの回転操作に伴う回転)可能とされたので、磁気センサ4の収容機能と連動部材1の取付機能とを収容部材3に持たせることができ、且つ、スロットルグリップGと連動して連動部材1が回転する際、より安定した回転を行わせることができる。
【0035】
またさらに、スロットルグリップGが正回転aしたとき、第2付勢手段S2の付勢力を連動部材1に付与させずに第1付勢手段S1の付勢力を連動部材1に付与させ、スロットルグリップGが逆回転bしたとき、第1付勢手段S1の付勢力を連動部材1に付与させずに第2付勢手段S2の付勢力を連動部材1に付与し得る選択部材2を具備したので、スロットルグリップGの回転方向に応じて第1付勢手段S1及び第2付勢手段S2を選択的に作用させることができる。
【0036】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば連動部材1、第1付勢手段S1及び第2付勢手段S2をハンドルパイプHの内部に配設するとともに磁気センサ4(回転角度検出手段)をハンドルパイプHの外側(スロットルグリップGの基端側)に取り付けられたケース内に配設するようにしてもよい。また、磁気センサ4に代えてスロットルグリップGの回転角度を検出し得る他のセンサ(磁気を使用しないセンサ等)としてもよい。
【0037】
さらに、本実施形態においては、スロットルグリップGを逆回転させると、定車速保持装置(オートクルーズ装置)の定車速の保持制御を停止(キャンセル)させるよう構成されているが、スロットルグリップGの逆方向の回転を検知すると、車両が具備する所定の機能を作動又は非作動するものであれば足りる。例えば、スロットルグリップGの逆方向の回転により、イモビシステムやスマートエントリシステムにおける認証開始、エンジンを始動させるスタータの作動、ハザード等の緊急時点灯手段の作動等を行わせるものとしてもよい。なお、適用される車両は、本実施形態の如く二輪車に限定されるものではなく、ハンドルパイプHを有した他の車両(例えばATVやスノーモービル等)に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 連動部材
1a 被係合部
1b 貫通孔
1c 当接部
1d 取付部
1e 係止部
2 選択部材
2a 被当接部
2b 取付溝
2c 取付孔
2d 挿通孔
3 収容部材
3a 収容部
3b 突出部
3c 取付溝
3ba ネジ穴
4 磁気センサ(回転角度検出手段)
5 基板
6 固定部材
6a ストッパ部
6b 挿通孔
S1 第1付勢手段
S2 第2付勢手段
H ハンドルパイプ
G スロットルグリップ
Ga 把持部材
Gb 基部材
M 磁石
B バランサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15