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7062247遊技機の評価装置、評価システムおよび評価プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】遊技機の評価装置、評価システムおよび評価プログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20220425BHJP
【FI】
A63F7/02 328
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021171387
(22)【出願日】2021-10-20
【審査請求日】2021-12-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年8月20日にユニークワークス株式会社のウェブサイトで公表
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521461203
【氏名又は名称】ユニークワークス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】横井 貴時
(72)【発明者】
【氏名】海老原 弘明
【審査官】南川 泰裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-146368(JP,A)
【文献】特開2019-177029(JP,A)
【文献】特許第6945892(JP,B1)
【文献】特開2020-014668(JP,A)
【文献】特開2005-032274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象遊技場および前記対象遊技場外の所定範囲を含む商圏エリア内の遊技場に設置された遊技機の機種毎の台数の情報と、前記商圏エリア内の遊技場の客数の情報と、所定期間における前記商圏エリアを含む広域エリア内の遊技場に設置された全ての遊技機の稼働数の総和である総稼働数に対する、前記所定期間における前記広域エリア内の遊技場に設置された遊技機の機種毎の稼働数の割合を示すアウトシェアの情報と、を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された客数の情報と、アウトシェアの情報と、に基づいて、前記商圏エリアにおける遊技機の機種毎の見込客数を算出する見込客数算出部と、
前記情報取得部により取得された台数の情報と、前記見込客数算出部により算出された見込客数と、に基づいて、前記商圏エリアにおける遊技機の機種毎の充足率を算出する充足率算出部と、を備えることを特徴とする遊技機の評価装置。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機の評価装置において、
前記対象遊技場に設置された、または設置される予定のある遊技機の前記対象遊技場における機種毎の貢献度を導出する貢献度導出部をさらに備え、
前記情報取得部は、前記対象遊技場における遊技機の機種毎の営業利益の情報をさらに取得し、
前記貢献度導出部は、前記情報取得部により取得された営業利益の情報と、前記充足率算出部により算出された充足率と、に基づいて、前記対象遊技場における遊技機の機種毎の貢献度を導出することを特徴とする遊技機の評価装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の遊技機の評価装置において、
前記情報取得部は、遊技場から遊技客への玉またはメダルの貸出レート毎に前記台数の情報と前記アウトシェアの情報とを取得し、
前記見込客数算出部は、前記貸出レート毎に前記見込客数を算出し、
前記充足率算出部は、前記貸出レート毎に前記充足率を算出することを特徴とする遊技機の評価装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の遊技機の評価装置において、
前記商圏エリアには、前記対象遊技場を含む複数の遊技場が含まれることを特徴とする遊技機の評価装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の遊技機の評価装置において、
前記客数は、遊技客が最も多いピーク時間帯に前記商圏エリア内の遊技場で観測された客数であることを特徴とする遊技機の評価装置。
【請求項6】
対象遊技場および前記対象遊技場外の所定範囲を含む商圏エリアを含む広域エリア内の遊技場に設置され、稼働数を出力可能に設けられた遊技機と、
前記遊技機から出力された稼働数に基づいて、所定期間における前記広域エリア内の遊技場に設置された全ての遊技機の稼働数の総和である総稼働数に対する、前記所定期間における前記広域エリア内の遊技場に設置された遊技機の機種毎の稼働数の割合を示すアウトシェアを算出し、出力する稼働管理サーバと、
請求項1~3のいずれか1項に記載の遊技機の評価装置と、を備え、
前記評価装置は、
前記商圏エリア内の遊技場に設置された遊技機の機種毎の台数の情報と、前記商圏エリア内の遊技場の客数の情報と、前記稼働管理サーバから出力されたアウトシェアの情報と、を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された客数の情報と、アウトシェアの情報と、に基づいて、前記商圏エリアにおける遊技機の機種毎の見込客数を算出する見込客数算出部と、
前記情報取得部により取得された台数の情報と、前記見込客数算出部により算出された見込客数と、に基づいて、前記商圏エリアにおける遊技機の機種毎の充足率を算出する充足率算出部と、を備えることを特徴とする遊技機の評価システム。
【請求項7】
コンピュータに、
対象遊技場および前記対象遊技場外の所定範囲を含む商圏エリア内の遊技場に設置された遊技機の機種毎の台数の情報と、前記商圏エリア内の遊技場の客数の情報と、所定期間における前記商圏エリアを含む広域エリア内の遊技場に設置された全ての遊技機の稼働数の総和である総稼働数に対する、前記所定期間における前記広域エリア内の遊技場に設置された遊技機の機種毎の稼働数の割合を示すアウトシェアの情報と、を取得する情報取得ステップと、
前記情報取得ステップで取得された客数の情報と、アウトシェアの情報と、に基づいて、前記商圏エリアにおける遊技機の機種毎の見込客数を算出する見込客数算出ステップと、
前記情報取得ステップで取得された台数の情報と、前記見込客数算出ステップで算出された見込客数と、に基づいて、前記商圏エリアにおける遊技機の機種毎の充足率を算出する充足率算出ステップと、を実行させることを特徴とする遊技機の評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場の遊技機を評価する遊技機の評価装置、評価システムおよび評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、遊技場の遊技機を評価するようにした装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1記載の装置では、各遊技機で打ち出された玉数等の遊技機の稼働状況を示す値をX軸、玉あたりの粗利等の遊技機の調整状況を示す値をY軸にとり、各遊技機を第1象限から第4象限に対応する4つの区分に分類し、評価する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-146370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の装置では、各遊技場内の遊技機の情報のみに基づいて評価が行われるため、集客の見込まれる遊技機を適切に評価することが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様である遊技機の評価装置は、対象遊技場および対象遊技場外の所定範囲を含む商圏エリア内の遊技場に設置された遊技機の機種毎の台数の情報と、商圏エリア内の遊技場の客数の情報と、所定期間における商圏エリアを含む広域エリア内の遊技場に設置された全ての遊技機の稼働数の総和である総稼働数に対する、所定期間における広域エリア内の遊技場に設置された遊技機の機種毎の稼働数の割合を示すアウトシェアの情報と、を取得する情報取得部と、情報取得部により取得された客数の情報と、アウトシェアの情報と、に基づいて、商圏エリアにおける遊技機の機種毎の見込客数を算出する見込客数算出部と、情報取得部により取得された台数の情報と、見込客数算出部により算出された見込客数と、に基づいて、商圏エリアにおける遊技機の機種毎の充足率を算出する充足率算出部と、を備える。
【0006】
本発明の他の態様である遊技機の評価システムは、対象遊技場および対象遊技場外の所定範囲を含む商圏エリアを含む広域エリア内の遊技場に設置され、稼働数を出力可能に設けられた遊技機と、遊技機から出力された稼働数に基づいて、所定期間における広域エリア内の遊技場に設置された全ての遊技機の稼働数の総和である総稼働数に対する、所定期間における広域エリア内の遊技場に設置された遊技機の機種毎の稼働数の割合を示すアウトシェアを算出し、出力する稼働管理サーバと、遊技機の評価装置と、を備える。評価装置は、商圏エリア内の遊技場に設置された遊技機の機種毎の台数の情報と、商圏エリア内の遊技場の客数の情報と、稼働管理サーバから出力されたアウトシェアの情報と、を取得する情報取得部と、情報取得部により取得された客数の情報と、アウトシェアの情報と、に基づいて、商圏エリアにおける遊技機の機種毎の見込客数を算出する見込客数算出部と、情報取得部により取得された台数の情報と、見込客数算出部により算出された見込客数と、に基づいて、商圏エリアにおける遊技機の機種毎の充足率を算出する充足率算出部と、を備える。
【0007】
本発明のさらに他の態様である遊技機の評価プログラムは、コンピュータに、対象遊技場および対象遊技場外の所定範囲を含む商圏エリア内の遊技場に設置された遊技機の機種毎の台数の情報と、商圏エリア内の遊技場の客数の情報と、所定期間における商圏エリアを含む広域エリア内の遊技場に設置された全ての遊技機の稼働数の総和である総稼働数に対する、所定期間における広域エリア内の遊技場に設置された遊技機の機種毎の稼働数の割合を示すアウトシェアの情報と、を取得する情報取得ステップと、情報取得ステップで取得された客数の情報と、アウトシェアの情報と、に基づいて、商圏エリアにおける遊技機の機種毎の見込客数を算出する見込客数算出ステップと、情報取得ステップで取得された台数の情報と、見込客数算出ステップで算出された見込客数と、に基づいて、商圏エリアにおける遊技機の機種毎の充足率を算出する充足率算出ステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、集客の見込まれる遊技機を適切に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る遊技機の評価装置が適用される対象遊技場、対象遊技場を含む商圏エリア、および商圏エリアを含む広域エリアについて説明するための図。
図2】本発明の実施形態に係る遊技機の評価装置を含む評価システムの要部構成を例示するブロック図。
図3A図2の表示部に表示される評価情報の一例を示す図。
図3B図2の表示部に表示される評価情報の別の例を示す図。
図4図2の貢献度導出部による貢献度の導出について説明するための図。
図5】本発明の実施形態に係る遊技機の評価装置による処理の流れを例示するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態に係る遊技機の評価装置は、ぱちんこ遊技機(パチンコ機)や回胴式遊技機(パチスロ機)等の遊技機について、遊技場における貢献度を評価する。
【0011】
各遊技場には、遊技客に玉やメダルを貸し出すときの貸出レート毎に様々な機種が設置される。各遊技場で利用可能な貸出レート毎の機種の台数は、例えば各遊技場のホームページや案内サイト等に掲載され、遊技客は、目当ての機種が設置されている遊技場を検索することができる。したがって、来店する可能性のある遊技客から支持されている適切な機種を、適切な貸出レートで設置することにより、各遊技場の集客力を向上することができる。
【0012】
各遊技機の稼働状況は、玉が打ち出され、あるいはメダルが投入される度に稼働数(アウト数)として計数され、計数結果が外部のサーバ(例えば、店舗コンピュータの管理サーバ等)で管理される。このような各遊技機の稼働数は、遊技客の遊技結果の情報として、所定期間における貸出レート毎、機種毎に整理され、公開される。そこで本実施形態では、このような公開された情報を活用することで、集客の見込まれる遊技機を適切に評価することができるよう、以下のように遊技機の評価装置を構成する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る遊技機の評価装置が適用される対象遊技場(自店)A、対象遊技場Aを含む商圏エリア、および商圏エリアを含む広域エリアについて説明するための図である。商圏エリアは、対象遊技場Aに来店する可能性のある遊技客が居住する地域である。商圏エリアの範囲は、鉄道駅や幹線道路の状況等に応じて定められ、例えば鉄道駅のある都市部での商圏エリアは、対象遊技場Aから所定距離(例えば5km程度)以内の範囲として定められる。商圏エリアには、対象遊技場Aと他の遊技場(競合店)Bが含まれる場合と、対象遊技場Aのみが含まれる場合とがある。
【0014】
一方、広域エリアは、北海道、東北、北関東、南関東等の広範囲の地域である。広域エリアには、複数の商圏エリアが含まれ、各商圏エリアに属する多くの遊技場が含まれる。このような広域エリア内の遊技場に設置された遊技機から遊技客の遊技結果の情報が収集され、収集された情報に基づいて遊技機の貸出レート毎、機種毎のアウトシェアが算出される。すなわち、遊技機の貸出レート毎、機種毎のアウトシェアは、各広域エリアにおける遊技機の貸出レート毎、機種毎の遊技客の割合を表している。
【0015】
図2は、本発明の実施形態に係る遊技機10の評価装置40を含む評価システム100の要部構成を例示するブロック図である。評価システム100は、各遊技場A,B,・・・に設けられた複数の遊技機10と、各遊技場の遊技機10を管理する店舗コンピュータ20と、遊技機10の稼働状況を管理する稼働管理サーバ30と、各遊技場における遊技機10の評価装置40とを有する。各遊技場に設置された遊技機10は、その遊技場の店舗コンピュータ20に接続される。各遊技場の店舗コンピュータ20と、稼働管理サーバ30と、評価装置40とは、例えば無線通信網、インターネット網、電話回線網等の通信ネットワーク50を介して接続される。
【0016】
各遊技機10は、遊技の進行に伴って玉が打ち出され、あるいはメダルが投入される度に稼働数を示すアウト信号を出力する。各遊技機10から出力されたアウト信号は、遊技機10本体の計数機能または遊技機10に付帯して設けられた計数装置により処理され、計数結果が各遊技機10の識別情報とともに各遊技機10のアウト数の情報として店舗コンピュータ20に送信される。各遊技機10から各店舗コンピュータ20に送信された遊技機10毎のアウト数の情報は、各遊技機10の識別情報とともに、通信ネットワーク50を介して稼働管理サーバ30に送信される。
【0017】
稼働管理サーバ30は、各遊技機10の識別情報に基づいて、各遊技機10の貸出レート、機種、および設置されている遊技場が含まれる広域エリアを特定し、広域エリア毎に所定期間における貸出レート毎、機種毎のアウトシェアを算出する。より具体的には、各広域エリアの遊技機10から収集したアウト数の情報に基づいて、所定期間における各広域エリア内の全ての遊技機10のアウト数の総和(総アウト数、総稼働数)と、貸出レート毎、機種毎のアウト数の総和とを、それぞれ集計する。そして、集計結果に基づいて、全ての遊技機10の総アウト数に対する貸出レート毎、機種毎のアウト数の総和の割合を、貸出レート毎、機種毎のアウトシェアとして算出する。稼働管理サーバ30により算出された、所定期間における各広域エリアの遊技機10の貸出レート毎、機種毎のアウトシェアの情報は、遊技客の遊技結果の情報として公開される。
【0018】
評価装置40は、CPU等の処理部41、ROM,RAM等の記憶部42、およびI/Oインタフェースその他の周辺回路等を有するコンピュータを含んで構成される。評価装置40には、タッチパネルやキーボード、マウス等の入力部43、および液晶ディスプレイ等の表示部44も設けられる。
【0019】
評価装置40は、例えば、店舗コンピュータ20とは別のパーソナルコンピュータ等として対象遊技場Aに設けられる。対象遊技場Aを管理する管理者等のユーザは、入力部43を介して自店Aの情報や、自店Aおよび競合店Bを含む商圏エリアの情報等を入力することで、表示部44に入力値や評価結果等の評価情報を表示し、確認することができる。
【0020】
入力部43を介し、所定期間における対象遊技場Aが含まれる広域エリアの遊技機10の貸出レート毎、機種毎のアウトシェアの情報、商圏エリア内の各遊技場に設置された遊技機10の貸出レート毎、機種毎の台数の情報を入力することができる。また、入力部43を介し、商圏エリア内の遊技客の人数(商圏客数)の情報、対象遊技場Aにおける遊技機10の貸出レート毎、機種毎の営業利益(例えば、1台あたりの粗利、経費)の情報を入力することができる。
【0021】
処理部41は、記憶部42に記憶されたプログラムに基づいて所定の処理を実行する。処理部41は、機能的構成として、情報取得部45と、見込客数算出部46と、充足率算出部47と、貢献度導出部48とを有する。すなわち、処理部41は、情報取得部45と、見込客数算出部46と、充足率算出部47と、貢献度導出部48として機能する。
【0022】
情報取得部45は、所定期間における対象遊技場Aが含まれる広域エリアの遊技機10の貸出レート毎、機種毎のアウトシェアの情報と、商圏エリア内の各遊技場A,B,・・・に設置された遊技機10の貸出レート毎、機種毎の台数の情報とを取得する。情報取得部45は、予め記憶部42に記憶されたこれらの情報を読み込んでもよく、入力部43を介して入力されたこれらの情報を読み込んでもよく、インターネット上に公開されたこれらの情報を、通信ネットワーク50を介して取得してもよい。
【0023】
さらに、情報取得部45は、入力部43を介してユーザにより入力された、商圏エリア内の遊技客の人数(商圏客数)の情報、および対象遊技場Aにおける遊技機10の貸出レート毎、機種毎の営業利益(例えば、1台あたりの粗利、経費)の情報を取得する。なお、商圏客数は、遊技客が最も多い時間帯(ピーク時間帯)に各遊技場で観測され、集計される。
【0024】
図3Aおよび図3Bは、表示部44に表示される評価情報の一例を示す図であり、表計算シートの形式で表示された評価情報の一例を示す。図3Aの例では、遊技機10の評価情報が、貸出レートおよび機種のシリーズ(機種グループ)毎に複数のシートに分割して表示され、各シートに機種毎の評価情報が表示されている。図3Bの例では、遊技機10の貸出レートおよび機種グループ毎の評価情報、すなわち、図3Aの各シートの集計結果(合計)が一覧表示されている。
【0025】
図3Aに示すように、各シートには、入力部43を介して入力された商圏客数、機種毎の粗利および経費の情報が表示される。また、通信ネットワーク50を介して取得された、広域エリアにおける遊技機10の機種毎のアウトシェア、および商圏エリア内の各遊技場の遊技機10の機種毎の台数の情報が表示される。
【0026】
見込客数算出部46は、アウトシェアと商圏客数とに基づいて、商圏エリアにおける遊技機10の機種毎の見込客数を算出する。具体的には、商圏客数に遊技機10の機種毎のアウトシェアを乗算することで、商圏エリアにおける遊技機10の機種毎の見込客数を算出する。商圏エリアにおける遊技機10の機種毎の見込客数は、商圏エリアにおいてピーク時間帯に各機種の利用を希望する遊技客の推定人数である。
【0027】
充足率算出部47は、商圏エリアにおける遊技機10の機種毎の充足率を算出する。より具体的には、各機種について、商圏エリア内の各遊技場における設置台数を合計し、商圏エリア全体としての設置台数(商圏合計)を算出し、機種毎の見込客数を商圏エリア全体の設置台数で除算することで、商圏エリアにおける機種毎の充足率を算出する。充足率が所定値(例えば120%程度)を下回る機種は、商圏エリアにおける設置台数が見込客数に対して不足しているため、このような機種を新規導入または増台することで集客力を向上することができる。充足率の逆数を遊技客からの支持率として算出してもよい。
【0028】
図4は、貢献度導出部48による貢献度の導出について説明するための図であり、貢献度を表す評価指標の一例を示す。貢献度導出部48は、対象遊技場Aにおける遊技機10の機種毎の貢献度を導出する。図4の例では、充足率算出部47により算出された充足率を横軸、入力部43を介して入力された1台あたりの粗利から経費を差し引いた値(営業利益)を縦軸として、各貸出レートの各機種または各機種グループが4つの評価区分に分類される。
【0029】
すなわち、充足率が所定値を下回り、遊技客からの支持率が高い場合には、「花形」または「問題児」に分類され、充足率が所定値を上回り、遊技客からの支持率が低い場合には、「金のなる木」または「負け犬」に分類される。また、1台あたりの粗利が経費を上回り、営業利益が黒字となる場合には、「花形」または「金のなる木」に分類され、1台あたりの粗利が経費を下回り、営業利益が赤字となる場合には、「問題児」または「負け犬」に分類される。
【0030】
ユーザは、このような評価結果を参照することで、自店Aにおける遊技機10の貸出レート、機種および機種グループ毎の貢献度を、営業利益および集客力の両面から直感的に把握することができる。これにより、適切な機種の新規導入、増台または減台、あるいは貸出レートの変更を検討することができる。
【0031】
図5は、評価装置40による処理の流れを例示するフローチャートであり、評価装置40の記憶部42に予め記憶され、処理部41で実行される評価プログラムの処理の流れを示す。処理部41は、例えば入力部43を介して対象遊技場Aおよび商圏エリアの情報が入力されると開始される。
【0032】
先ずステップS1で、商圏客数、遊技機10の貸出レート毎、機種毎のアウトシェア、商圏エリア内の各遊技場における設置台数、対象遊技場Aにおける営業利益の情報が取得される。次いでステップS2で、遊技機10の貸出レート毎、機種毎の見込客数が算出される。次いでステップS3で、遊技機10の貸出レート毎、機種毎の充足率が算出される。次いでステップS4で、遊技機10の貸出レート毎、機種毎の充足率が所定値を下回っているか否かが判定される。
【0033】
ステップS4で肯定されると処理がステップS5に進み、遊技機10の貸出レート毎、機種毎に1台あたりの粗利が経費を上回っているか否かが判定される。ステップS5で肯定されると処理がステップS6に進み、該当する貸出レートの機種が「花形」の評価区分に分類されて処理が終了する。ステップS5で否定されると処理がステップS7に進み、該当する貸出レートの機種が「問題児」の評価区分に分類されて処理が終了する。
【0034】
一方、ステップS4で否定されると処理がステップS8に進み、遊技機10の貸出レート毎、機種毎に1台あたりの粗利が経費を上回っているか否かが判定される。ステップS8で肯定されると処理がステップS9に進み、該当する貸出レートの機種が「金のなる木」の評価区分に分類されて処理が終了する。ステップS8で否定されると処理がステップS10に進み、該当する貸出レートの機種が「負け犬」の評価区分に分類されて処理が終了する。
【0035】
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)評価装置40は、対象遊技場Aを含む商圏エリア内の遊技場A,B,・・・に設置された遊技機10の機種毎の台数の情報と、商圏エリア内の遊技場の客数の情報と、所定期間における商圏エリアを含む広域エリア内の遊技場A,B,・・・,X,Y,・・・に設置された全ての遊技機10の稼働数の総和である総稼働数に対する、所定期間における広域エリア内の遊技場に設置された遊技機10の機種毎の稼働数の割合を示すアウトシェアの情報とを取得する情報取得部45と、情報取得部45により取得された客数の情報とアウトシェアの情報とに基づいて、商圏エリアにおける遊技機10の機種毎の見込客数を算出する見込客数算出部46と、情報取得部45により取得された台数の情報と、見込客数算出部46により算出された見込客数とに基づいて、商圏エリアにおける遊技機10の機種毎の充足率を算出する充足率算出部47とを備える(図2)。
【0036】
このように、遊技機10の機種毎に対象遊技場Aの商圏エリアにおける充足率を算出することで、対象遊技場Aに来店する可能性のある遊技客からの支持率を数値化し、集客の見込まれる遊技機10の機種を適切に評価することができる。
【0037】
(2)評価装置40は、対象遊技場Aに設置された、または設置される予定のある遊技機10の対象遊技場Aにおける機種毎の貢献度を導出する貢献度導出部48をさらに備える(図2)。情報取得部45は、対象遊技場Aにおける遊技機10の機種毎の営業利益の情報をさらに取得する。貢献度導出部48は、情報取得部45により取得された営業利益の情報と、充足率算出部47により算出された充足率とに基づいて、対象遊技場Aにおける遊技機10の機種毎の貢献度を導出する(図4)。
【0038】
このように、対象遊技場Aにおける遊技機10の機種毎の貢献度を導出することで、自店Aにおける遊技機10の入れ替え等を検討するユーザにとって有用な情報を提示することができる。
【0039】
(3)情報取得部45は、遊技場から遊技客への玉またはメダルの貸出レート毎に台数の情報とアウトシェアの情報とを取得し、見込客数算出部46は、貸出レート毎に見込客数を算出し、充足率算出部47は、貸出レート毎に充足率を算出する(図3A図3B)。これにより、自店Aにおける遊技機10の貸出レートの変更を検討するユーザにとって有用な情報を提示することができる。
【0040】
上記実施形態では、図2等で評価装置40を、対象遊技場Aにおいて店舗コンピュータ20とは別に設けられたパーソナルコンピュータ等として説明したが、遊技機の評価装置は、このようなものに限らない。例えば、店舗コンピュータ20や稼働管理サーバ30が評価装置として機能してもよい。
【0041】
上記実施形態では、図4等で遊技機1台あたりの粗利が経費を上回るか否か、および充足率が所定値を下回るか否かに基づいて、遊技機10の機種毎の貢献度を4つの区分に分類して評価する例を説明したが、対象遊技場における機種毎の貢献度は、このようなものに限らない。例えば、充足率等の数値そのものを評価指標としてもよい。3つ以上の評価指標を用いて、あるいは評価指標毎に複数の閾値を設けて評価区分を定めてもよい。また、評価指標毎に重み付けを行ってもよい。
【0042】
以上では、本発明を遊技機の評価装置として説明したが、本発明は、遊技機の評価システムとして用いることもできる。すなわち、評価システム100は、対象遊技場Aを含む商圏エリアを含む広域エリア内の遊技場A,B,・・・,X,Y,・・・に設置され、稼働数を出力可能に設けられた遊技機10と、遊技機10から出力された稼働数に基づいて、所定期間における広域エリア内の遊技場に設置された全ての遊技機10の稼働数の総和である総稼働数に対する、所定期間における広域エリア内の遊技場に設置された遊技機10の機種毎の稼働数の割合を示すアウトシェアを算出し、出力する稼働管理サーバ30と、評価装置40とを備える(図2)。評価装置40は、商圏エリア内の遊技場A,B,・・・に設置された遊技機10の機種毎の台数の情報と、商圏エリア内の遊技場の客数の情報と、稼働管理サーバ30から出力されたアウトシェアの情報とを取得する情報取得部45と、情報取得部45により取得された客数の情報とアウトシェアの情報とに基づいて、商圏エリアにおける遊技機10の機種毎の見込客数を算出する見込客数算出部46と、情報取得部45により取得された台数の情報と、見込客数算出部46により算出された見込客数とに基づいて、商圏エリアにおける遊技機10の機種毎の充足率を算出する充足率算出部47とを備える(図2)。
【0043】
また、本発明は、遊技機の評価プログラムとして用いることもできる。すなわち、評価プログラムは、コンピュータに、対象遊技場Aを含む商圏エリア内の遊技場A,B,・・・に設置された遊技機10の機種毎の台数の情報と、商圏エリア内の遊技場の客数の情報と、所定期間における商圏エリアを含む広域エリア内の遊技場A,B,・・・,X,Y,・・・に設置された全ての遊技機10の稼働数の総和である総稼働数に対する、所定期間における広域エリア内の遊技場に設置された遊技機10の機種毎の稼働数の割合を示すアウトシェアの情報とを取得する情報取得ステップS1と、情報取得ステップS1で取得された客数の情報とアウトシェアの情報とに基づいて、商圏エリアにおける遊技機10の機種毎の見込客数を算出する見込客数算出ステップS2と、情報取得ステップS1で取得された台数の情報と、見込客数算出ステップS2で算出された見込客数とに基づいて、商圏エリアにおける遊技機10の機種毎の充足率を算出する充足率算出ステップS3とを実行させる(図5)。
【0044】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 遊技機、20 店舗コンピュータ、30 稼働管理サーバ、40 評価装置、41 処理部、42 記憶部、43 入力部、44 表示部、45 情報取得部、46 見込客数算出部、47 充足率算出部、48 貢献度導出部、50 通信ネットワーク、100 評価システム
【要約】
【課題】集客の見込まれる遊技機を適切に評価する。
【解決手段】評価装置40は、対象遊技場を含む商圏エリア内の遊技場に設置された遊技機10の機種毎の台数の情報と、商圏エリア内の遊技場の客数の情報と、所定期間における商圏エリアを含む広域エリア内の遊技場に設置された全ての遊技機の稼働数の総和である総稼働数に対する、所定期間における広域エリア内の遊技場に設置された遊技機10の機種毎の稼働数の割合を示すアウトシェアの情報とを取得する情報取得部45と、取得された客数の情報とアウトシェアの情報とに基づいて商圏エリアにおける遊技機10の機種毎の見込客数を算出する見込客数算出部46と、取得された台数の情報と算出された見込客数とに基づいて商圏エリアにおける遊技機10の機種毎の充足率を算出する充足率算出部47とを備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5