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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】ヘアカットレザー
(51)【国際特許分類】
   B26B 21/12 20060101AFI20220425BHJP
【FI】
B26B21/12
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017164387
(22)【出願日】2017-08-29
(65)【公開番号】P2019037720
(43)【公開日】2019-03-14
【審査請求日】2020-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】511292817
【氏名又は名称】株式会社アメイズプラス
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】西 綾太
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-007149(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0047748(US,A1)
【文献】登録実用新案第3154602(JP,U)
【文献】登録実用新案第3153103(JP,U)
【文献】特開平09-313751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪をカットする刃先が形成された刃体と、
前記刃体を斜めに向けた状態で保持するホルダ部と、
前記ホルダ部に支持され、人の手によって接近方向の外力が付与された場合に、前記刃体から離間した離間位置から前記刃体に接近した接近位置に相対的に変位可能な変位部と、
前記変位部に設けられ、前記刃体の刃先と向き合う位置に配置された間隔保持部と、
前記ホルダ部において前記間隔保持部と向き合う位置に設けられ、前記刃体の刃先よりも前記間隔保持部側に突出する突起部と、
を備え、
前記ホルダ部と前記変位部との間に束状の毛髪が導入された状態で前記変位部が前記離間位置から前記接近位置へ向けて相対変位する際に、前記突起部が前記間隔保持部と当接して前記変位部の前記接近位置へ向けた相対変位が規制されることにより、前記刃先と前記間隔保持部とが当接しない状態で前記刃先と前記間隔保持部との間隔が所定長さに保持される構成であり、
前記刃体は、前記間隔が前記所定長さに保持された状態で前記ホルダ部と前記変位部との間に前記束状の毛髪が挟まれた場合に、前記束状の毛髪の延びる方向に対して斜めに向けられた状態で前記刃先が前記束状の毛髪に接するように前記ホルダ部において保持されており
前記間隔が前記所定長さに保持された状態で前記ホルダ部及び前記変位部をこれらの間に挟まれた前記束状の毛髪の毛先に向けて移動させた場合に、前記延びる方向に対して斜めに向けられた状態の前記刃体の前記刃先により前記束状の毛髪がテーパー状に削がれることを特徴とするヘアカットレザー。
【請求項2】
前記突起部は、前記刃体の刃先に沿って複数点在して配置されている、請求項1に記載のヘアカットレザー。
【請求項3】
前記刃体の刃先と向き合う位置に押圧部が設けられており、
前記押圧部は、前記間隔保持部と直列に並んで配置されており、
前記変位部の前記接近位置への相対変位により前記押圧部が前記刃先に押圧されることで、前記押圧部と前記刃先との間に挟まれた毛髪が切断される、請求項1又は請求項2に記載のヘアカットレザー。
【請求項4】
前記変位部は弾性変形可能であり、
前記押圧部が前記刃先と当接した後、前記変位部を前記接近位置へ向けて更に押すことにより、前記弾性変形によって前記間隔が前記所定長さとされるように、前記押圧部が前記間隔保持部よりも前記刃先側へ突出して形成されている、請求項3に記載のヘアカットレザー。
【請求項5】
前記ホルダ部は、ホルダ本体とカバーとを備え、
前記ホルダ本体には、前記刃体が収容される貫通孔が形成されており、
前記貫通孔には前記変位部とは反対側から前記刃体を挿入可能であり、
前記挿入された前記刃体を位置決めする位置決め部が、前記ホルダ本体における前記貫通孔を形成する内壁部に形成されており、
前記カバーは、前記刃体を前記ホルダ本体に納めた状態で前記変位部とは反対側から前記ホルダ本体に取り付けられるものであり、
前記カバーには、前記刃体を視認可能とする窓部が形成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のヘアカットレザー。
【請求項6】
前記突起部は前記貫通孔から前記変位部側へ突出して設けられており、
前記位置決め部は前記内壁部において前記突起部を挟んだ両側にそれぞれ設けられており、一方の側に設けられた前記位置決め部と他方の側に設けられた前記位置決め部とはいずれも、前記刃体を前記刃先が前記突起部側へ傾斜した状態で位置決めするものであり、
前記突起部は山型部の頂部に形成されており、前記山型部は前記頂部を挟んだ一対の傾斜部を有しており、
前記カバーが前記ホルダ本体に取り付けられた状態では、前記刃体が前記位置決め部に位置決めされつつ、前記傾斜部と前記内壁部とで前記刃体が挟み込まれている、請求項5に記載のヘアカットレザー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーパーカットを行うのに適したヘアカットレザーに関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪のカット技法の一種として、毛髪を削いで先細りにするテーパーカット技法が知られている。テーパーカットによって、毛先がチクチクすることを抑制し、毛先を柔らかい風合いにすることができる。その一方、毛先を細く削ぐためには、毛髪の延びる方向に対して刃を斜めに配置し、繊細な力加減によって毛先を削ぎ落す必要があることから、熟練を要する。
【0003】
このような熟練に頼らないようにするために、肌や毛髪に接触する接触面を設け、その接触面に対して所定角度を維持するように刃を固定したヘアカットレザーが提案されている(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-268971号公報
【文献】特開2015-282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のヘアカットレザーでは、肌や毛髪に接触面を接触させても、基準となる肌や毛髪自体が平面形状ではないため、テーパーカットの成功率は必ずしも高くはならない。また、そもそも毛髪は太くても0.1mm程度であり、通常はそれより細いことから、ヘアカットレザーへの力の入れ具合でも出来栄えが変化してしまう。このように、テーパーカット専用のヘアカットレザーを用いても、毛先を細く削ぐことは容易ではない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、熟練を要することなく、簡単にテーパーカットを行うことができるヘアカットレザーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明のヘアカットレザーは、
毛髪をカットする刃先が形成された刃体と、
前記刃体を斜めに向けた状態で保持するホルダ部と、
前記ホルダ部に支持され、人の手によって接近方向の外力が付与された場合に、前記刃体から離間した離間位置から前記刃体に接近した接近位置に相対的に変位可能な変位部と、
前記変位部に設けられ、前記刃体の刃先と向き合う位置に配置された間隔保持部と、
前記ホルダ部において前記間隔保持部と向き合う位置に設けられ、前記刃体の刃先よりも前記間隔保持部側に突出する突起部と、
を備え、
前記ホルダ部と前記変位部との間に束状の毛髪が導入された状態で前記変位部が前記離間位置から前記接近位置へ向けて相対変位する際に、前記突起部が前記間隔保持部と当接して前記変位部の前記接近位置へ向けた相対変位が規制されることにより、前記刃先と前記間隔保持部とが当接しない状態で前記刃先と前記間隔保持部との間隔が所定長さに保持される構成であり、
前記刃体は、前記間隔が前記所定長さに保持された状態で前記ホルダ部と前記変位部との間に前記束状の毛髪が挟まれた場合に、前記束状の毛髪の延びる方向に対して斜めに向けられた状態で前記刃先が前記束状の毛髪に接するように前記ホルダ部において保持されており
前記間隔が前記所定長さに保持された状態で前記ホルダ部及び前記変位部をこれらの間に挟まれた前記束状の毛髪の毛先に向けて移動させた場合に、前記延びる方向に対して斜めに向けられた状態の前記刃体の前記刃先により前記束状の毛髪がテーパー状に削がれることを特徴とする。
【0008】
このように構成されたヘアカットレザーでは、変位部と刃体とが離間している状態で毛髪をホルダ部と変位部との間に導入し、変位部を接近位置へ相対変位させることで刃先と間隔保持部との間に毛髪を束にして挟み込むようにする。この状態でホルダ部及び変位部を毛先に向けてスライドさせると、ホルダ部に保持された刃体の刃先によって毛髪が削がれ、毛先が細くなったテーパーカットが行われる。ここで、変位部を離間位置から接近位置へ相対変位させる際、刃先に先立って突出部が間隔保持部に当接することにより、刃先と間隔保持部との間隔が所定長さ(毛髪を削ぐのに適切な一定の距離に保たれ、テーパーカットに必要な毛髪と刃先との微妙な位置関係を、熟練者でなくても実現することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のヘアカットレザーによれば、熟練を要することなく、簡単にテーパーカットを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)は斜め上方からのヘアカットレザーの斜視図、(b)は斜め下方からのヘアカットレザーの斜視図。
図2】(a)はヘアカットレザーの平面図、(b)は離間状態でのヘアカットレザーの側面図、(c)はベース板部の平面図。
図3】(a)は接近状態でのヘアカットレザーの側面図、(b)は使用例を説明するための説明図。
図4図2(b)のA-A線断面図。
図5】ヘアカットレザーの分解斜視図。
図6】(a)は裏面側から見たカバーの斜視図、(b)はカバーの裏面図。
図7図2(a)のB-B線断面図。
図8】テーパーカット方法を説明するための説明図。
図9図8(b)のC-C線断面。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るヘアカットレザーを具体化した一実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
<ヘアカットレザー10の概略について>
先ず、図1図4を参照しながら本実施の形態に係るヘアカットレザー10について概略的に説明する。図1はヘアカットレザー10の斜視図、図2の(a)はヘアカットレザー10の平面図、(b)は離間状態でのヘアカットレザー10の側面図、(c)はベース板部12の平面図、図3の(a)は接近状態でのヘアカットレザー10の側面図、(b)は使用例を説明するための説明図、図4図2(b)のA-A線断面図である。
【0013】
図1に示すように、ヘアカットレザー10は、略角柱状のホルダ部11と、ホルダ部11に対向配置された長板状のベース板部(変位部)12とを備えている。図1(b)に示すように、ホルダ部11内には、ホルダ部11の長さ方向に沿って長板状の刃体13が配置され、その刃先13aは、ホルダ部11のベース板部12との対向面11bにおいてベース板部12側に露出している。
【0014】
刃体13は、図4に示すように、ホルダ部11に対する正面視において斜めに配置されている。詳しくは、ホルダ部11とベース板部12との対向方向に直交する仮想平面P1に対して斜めに交差し、基端部13bから刃先13aに向けてベース板部12側に下る下り傾斜となるように配置されている。
【0015】
図1図3に示すように、ホルダ部11の基端部11aとベース板部12の基端部12aとは、弾性変形が可能な略U字状の連結部14を介して連結されている。ヘアカットレザー10が自然状態(ヘアカットレザー10に外力を付与していない状態)にある場合は、図2(b)に示すように、ホルダ部11とベース板部12とが離間した離間状態となっている。かかる状態から、ホルダ部11とベース板部12とを接近させる方向の外力を付与すると、図3(a)に示すように、連結部14が弾性変形し、両者が接近する接近状態に移行する。
【0016】
ヘアカットレザー10を用いて毛髪をテーパーカットする場合は、上記離間状態において、複数本の毛髪を束状にしてホルダ部11とベース板部12との間に導入する。その際、毛髪は、ホルダ部11及びベース板部12の長さ方向に交差(理想的には直交)し、かつ、刃先13aが毛先側を向くようにして配置する。その後、ホルダ部11とベース板部12とを接近させて毛髪を挟み込み、ヘアカットレザー10を毛先に向けてスライド移動させる。その結果、斜めに向けられた刃先13aによって毛髪が削がれ、毛先が細くなったテーパーカットが行われる。なお、カット対象となる毛髪は、頭髪に限らず、陰毛や脛毛、腕毛等の人体の毛とすることができる。
【0017】
ヘアカットレザー10は、図3(b)に示すように、人の手で握ることが可能な大きさとなっている。例えばホルダ部11の上面11c(ベース板部12とは反対側の面)に親指を、ベース板部12の下面12c(ホルダ部11とは反対側の面)に人差し指を宛がい、握り操作・緩め操作を行うことで、離間状態と接近状態とを切り替えることができる。この場合、ホルダ部11及びベース板部12は、連結部14の弾性力によりそれぞれ離間方向に付勢されているため、接近状態から離間状態への切り替えに際しては、握りを緩めるだけで、自然と離間状態へ移行させることができる。このため、簡単に離間状態へ復帰させることができ、上記テーパーカット(毛髪の導入及び挟み込み)を繰り返す場合に、使い勝手が良いものとなっている。
【0018】
なお、ホルダ部11とベース板部12とを接近させる場合、ホルダ部11がベース板部12に向けて移動するほか、ベース板部12がホルダ部11に向けて移動してもよいし、その両方であってもよい。要は、ベース板部12が、ホルダ部11(刃体13)に接近した接近位置と、ホルダ部11(刃体13)から離間した離間位置とに相対的に変位可能な構成であれば足りる。
【0019】
<ヘアカットレザー10の詳細構成について>
次に、図1図7を参照しながらヘアカットレザー10の詳細構成について説明する。図5はヘアカットレザー10の分解斜視図、図6の(a)は裏面側から見たカバー22の斜視図、(b)はカバー22の裏面図、図7図2(a)のB-B線断面図である。
【0020】
図5に示すように、ホルダ部11は、ホルダ本体21と、ホルダ本体21に対して着脱可能なカバー22とを備えている。ホルダ本体21は、ベース板部12及び連結部14とともに合成樹脂によって一体形成されている。
【0021】
ホルダ本体21には、ベース板部12側に向けて凹状をなし、刃体13及びカバー22を収容可能な収容部23が形成されている。収容部23は、ベース板部12とは反対側に開口する第1開口部24を有しており、第1開口部24を通じて刃体13及びカバー22を収容部23内に挿入可能となっている。
【0022】
収容部23の底部23aには、ホルダ本体21の長さ方向に延びる長孔状の第2開口部25が形成されている。第2開口部25は、収容部23に収容された刃体13の刃先13aをベース板部12側に露出させるためのものであり、ホルダ本体21の幅方向において底部23aの中央部に配置されている。本実施の形態では、収容部23、第1開口部24及び第2開口部25により、刃体13が収容される貫通孔が構成されている。
【0023】
底部23aにおいて第2開口部25を挟んだ両側には、一対の傾斜内壁部26が形成されている。各傾斜内壁部26は、図4に示すように、第2開口部25に向けて下る下り傾斜となっており、刃先13aを第2開口部25に至らせた状態で刃体13を設置可能となっている。各傾斜内壁部26には、ベース板部12とは反対側に突出する位置決め凸部27が設けられており、刃体13が設置される場合には、位置決め凸部27が、刃体13に形成された位置決め孔部28(図5参照)に挿入される。これにより、刃体13の位置決めがなされる。
【0024】
カバー22は、図5に示すように、ホルダ本体21の長さ方向に沿って延びる長尺状をなしており、合成樹脂によって形成されている。カバー22は、板状のカバー本体31を備えており、カバー本体31における長さ方向の両端部には位置決め凸部32及び係止フック33が設けられている。カバー22をホルダ本体21に取り付ける場合には、カバー本体31の位置決め凸部32を、ホルダ本体21の先端部に設けられた位置決め孔34に挿入した態で、カバー本体31の係止フック33をホルダ本体21の被係止部35に係止する。これにより、カバー22が位置決めされた状態でホルダ本体21に係止される。
【0025】
カバー本体31の表面31aには、ベース板部12側に凹むようにして指当て部36が設けられている。指当て部36は親指の設置箇所を規定するものであり、指当て部36により親指の設置が適正位置に誘導されるほか、テーパーカット時における親指の滑りが抑制される。指当て部36は平面視において楕円状をなしており、指当て部36における指との当接面は滑らかな曲面によって構成されている。これにより、指当て部36に親指を載せた場合に両者が面接触しやすくなり、握り操作(ホルダ部11とベース板部12とを接近させる外力を付与する操作)を行った場合や当該操作を繰り返した場合に、指が痛くなることが抑制されている。
【0026】
図6(a)に示すように、カバー本体31の裏面31bには、ベース板部12側に膨出する膨出部37が設けられている。膨出部37は、カバー本体31の長辺部31cに沿って立設された一対の外側壁部38により、その長手方向の外縁が規定されている。膨出部37において外側壁部38の内側には、一対の内側壁部39が立設され、これら内側壁部39の間を架け渡すようにして、ベース板部12側に凸となる山型部41が設けられている。
【0027】
山型部41は複数設けられており、これら複数の山型部41a~41iは、カバー22の取付状態において、刃体13の刃先13aに沿って並ぶように配列されている(図7参照)。各山型部41a~41iは、その並び方向において相互に間隔を隔てて配置されており、隣接する山型部41の間には、膨出部37を貫通する孔部42(図6(b)参照)が形成されている。これらの孔部42は窓部として機能とするものであり、カバー本体31の表面31a側から刃体13を視認可能となっている(図2(a)参照)。
【0028】
図4に示すように、各山型部41a~41iは、膨出部37の幅方向中央に頂部を有しており、当該頂部には、ベース板部12側に突出する突起部43が形成されている。突起部43を挟んだ幅方向両側には、突起部43に向けて下り傾斜となる一対の傾斜部44が形成されている。各傾斜部44の傾斜角度は、収容部23の底部23aに形成された傾斜内壁部26の傾斜角度と等しくなっている。
【0029】
傾斜部44は、カバー22とホルダ本体21とが組み付けられた場合に、傾斜内壁部26上の刃体13に当接するように、その高さ位置が設定されている。また、山型部41a~41iの幅方向寸法Waは、収容部23の底部23aに形成された第2開口部25の幅方向寸法Wbよりも大きくなっている。このため、ホルダ本体21内に刃体13を設置した後、カバー22を取り付けることで、傾斜部44と傾斜内壁部26との間に刃体13を挟み込むことが可能となっている。さらに、カバー22を取り付けた状態では、外側壁部38におけるベース板部12側の端部38aが刃体13に当接し、外側壁部38と傾斜内壁部26とによっても刃体13が挟み込まれる。
【0030】
このように、本実施の形態では、カバー22と収容部23の底部23a(刃体13の設置部)とにより刃体13が挟持される構成であるため、刃体13を、位置決め凸部27及び位置決め孔部28により位置決めしながらホルダ部11内に保持することができる。これにより、刃体13の位置決めを高精度に行いつつ、カット時における刃体13のがたつきを抑制することが可能となる。
【0031】
ちなみに、カバー22が取り付けられた際、位置決め凸部27は、内側壁部39と外側壁部38との間に形成される空間部45に入り込む。つまり、上記空間部45が位置決め凸部27の収容部として機能することで、位置決め凸部27とカバー22との干渉が回避されている。
【0032】
また、カバー22が取り付けられた状態では、各山型部41a~41iの突起部43及び傾斜部44の一部が、第2開口部25を通じてベース板部12側に露出する。この場合において、突起部43の先端部43aは刃体13の刃先13aよりもベース板部12側に位置し、突起部43が刃先13aよりもベース板部12側に突出した状態となっている。
【0033】
一方、刃先13aは、第2開口部25周辺におけるホルダ本体21のベース板部12側の端部21aよりもホルダ部11の内側に入り込んでいる。すなわち、刃先13aは、ホルダ本体21からベース板部12側に突出せず、ホルダ本体21内に配置された状態となっている。これにより、ユーザが第2開口部25に触れても刃先13aへの接触が抑制され、安全性が高められている。
【0034】
図1(a)及び図2(c)に示すように、ベース板部12の表面12bには、ホルダ部11側に突出するとともに、ベース板部12の長さ方向に延びる凸条部51が設けられている。凸条部51は、ホルダ部11の第2開口部25と対向するように配置されている。詳しくは、ホルダ部11とベース板部12とが接近する接近状態において、複数の山型部41a~41i(図7参照)のうち、ホルダ部11の最先側に位置する山型部41a以外の山型部41b~41iと当接するように、凸条部51の長さ及び第2開口部25(カバー22)との相対的な位置関係が定められている。なお、カバー22において山型部41b~41iは等間隔に配列されている。
【0035】
既に説明したように、山型部41b~41iの突起部43は、刃体13の刃先13aよりもベース板部12側に突出している。このため、ホルダ部11とベース板部12とを接近させた場合、凸条部51は、刃先13aに到達する前に突起部43と当接し、それ以上刃先13aに接近することが規制される。これにより、凸条部51と刃先13aとの間に隙間が確保されつつ、両者の距離が一定に保たれる。この場合における上記距離は、図4の拡大図に示す、突起部43の先端部43aと刃先13aとの高低差Laとなる。なお、本実施の形態では、凸条部51における突起部43との当接面51a(図2(c)参照)が、間隔保持部として機能する。
【0036】
図7に示すように、ベース板部12の表面12bには、凸条部51と直列に並ぶようにして押圧部52が設けられている。押圧部52は、凸条部51よりもベース板部12の先端側に配置され、その高さは凸条部51よりも高くなっている。押圧部52は、ホルダ部11とベース板部12との接近状態においてホルダ部11内に入り込み、刃体13の刃先13aに当接可能となっている。以下、かかる構成について詳細に説明する。
【0037】
押圧部52は、凸条部51に隣接し、接近状態において刃先13aと平行になる平面状の当接部53と、当接部53からベース板部12の先端側に向けて下り傾斜となる傾斜部54とを備えている。これら当接部53及び傾斜部54の幅方向寸法Wc(図2(c)参照)は、第2開口部25の幅方向寸法Wb(図4参照)よりも小さくなっている。
【0038】
ここで、当接部53は、ホルダ部11における最先側の山型部41aと、その隣の山型部41bとの間の領域55(図6(b)参照)と対向するように、その配置位置が設定されている。上記領域55の大きさ、すなわち、山型部41a,41b間の間隔Lbは、他の山型部41間の間隔よりも広くなっており、当接部53を含む押圧部52の一部が入り込める大きさとなっている。具体的には、図7に示すように、当接部53における凸条部51側の端部53aと、傾斜部54の途中部54aとの間の距離Lcよりも、上記間隔Lbが大きくなっている。なお、途中部54aは、凸条部51の当接面51aに面一な仮想平面P2と、傾斜部54の傾斜面54bとの交点である。
【0039】
さらに、当接部53と凸条部51との高低差Ldは、突起部43と刃先13aとの高低差La(図4参照)よりも大きくなるように設定されている。
【0040】
このような構成により、ホルダ部11とベース板部12とを接近させると、領域55を通じて当接部53がホルダ部11内に入り込み、刃先13aと当接して刃先13aを押圧する。このため、当接部53上に毛髪を載せた状態で握り操作を行うことにより、刃先13aを毛髪に強く押し付けて毛髪を切断することができる。すなわち、本実施の形態にかかるヘアカットレザー10では、毛先を細くするテーパーカットだけでなく、毛髪を短くするカットを行うこともできる。
【0041】
<テーパーカット方法について>
次に、ヘアカットレザー10を用いたテーパーカット方法について、図8及び図9を参照しながら説明する。図8はテーパーカット方法を説明するための説明図、図9図8(b)のC-C線断面である。なお、図8においては便宜上毛髪の図示を省略している。また、毛髪を短くするカットについては既に述べたため、説明を省略する。
【0042】
テーパーカットにあたっては、先ず、各傾斜内壁部26(図4参照)のうち、刃体13を設置する側の傾斜内壁部26を選択し、必要に応じて刃体13の付け替えを行う。かかる付け替えにより、ヘアカットレザー10のスライド方向を反転させることができる。すなわち、本実施の形態に係るヘアカットレザー10では、ユーザが自らの利き手に合わせてスライド方向を選択可能となっている。
【0043】
次いで、ホルダ部11とベース板部12とを離間させた状態にて、束状の毛髪H(図9参照)をホルダ部11とベース板部12との間に導入し、その後、両者を接近させるべく、握り操作を行う。この場合、高低差Ld(図7参照)が高低差La(図4参照)よりも大きくなっていることから、図8(a)に示すように、凸条部51と各突起部43とが当接するのに先立って、押圧部52と刃体13の刃先13aとが当接する。その後、ベース板部12をホルダ部11側に向けて更に押すことで、ベース板部12が弾性変形して撓み、図8(b)に示すように、凸条部51と各突起部43とが当接する。
【0044】
凸条部51と各突起部43とが当接する状態では、束状の毛髪Hは、山型部41b~41iにおいて隣接する山型部41間の領域を通り、ホルダ部11とベース板部12との間に介在する。その際、毛髪Hは、図9の拡大図に示すように、凸条部51の角部51bと第2開口部25の角部25aとの間、及び、凸条部51の当接面51aと刃体13の刃先13aとの間のそれぞれにおいて挟まれた状態となる。
【0045】
このときの当接面51aと刃先13aとの間隔は、既に説明したように、突起部43と刃先13aとの高低差Laとなり、一定の距離に保たれる。このため、当接面51aと刃先13aとの間隔がテーパーカットに適した距離となるように、上記高低差Laを設定することで、ユーザが意識しなくても、テーパーカットに必要な毛髪と刃先13aとの微妙な位置関係が実現される。
【0046】
上記のようにして毛髪Hを挟んだ後は、ヘアカットレザー10を毛先に向けてスライドさせる。その結果、挟み込み開始位置から毛先に向けて毛髪Hの一部が刃先13aによって削り取られ、当該削り取られた部分において毛髪Hが細くなる。なお、1回のスライド操作では、束状の毛髪Hのうち刃先13aと接触する上層の毛髪のみがテーパーカットされるが、毛髪Hの挟み込み及びスライド操作を繰り返すことで、全体を万遍なくテーパーカットすることができる。
【0047】
ここで、上記高低差La(当接面51aと刃先13aとの間隔)は、0.2mm以上かつ0.5mm以下とすることが好ましく、0.25mm以上かつ0.4mm以下とすることがより好ましい。高低差Laが0.2mm未満の場合は、毛髪Hに対する刃先13aの当たりが強くなり、毛髪Hが切断されてしまうおそれがある。一方、0.5mmよりも大きい場合は、毛髪Hと刃先13aとが適切に接触せず、毛髪Hが削がれないおそれがある。
【0048】
また、刃体13の傾斜角度θ(刃体13の軸線Oと仮想平面P1とがなす角度(図4参照))は、10°以上かつ20°以下とすることが好ましく、14°以上かつ16°以下とすることがより好ましい。傾斜角度θが10°未満の場合は、毛髪Hに対して刃先13aが寝すぎるものとなり、刃先13aが毛髪H上を滑って毛髪Hが削がれなくなるおそれがある。一方、20°よりも大きい場合は、毛髪Hに対して刃先13aが立ちすぎるものとなり、スライド時に刃先13aが毛髪Hに引っ掛かってユーザが痛みを感じるおそれがある。さらに、刃先13aの引っ掛かりにより毛髪Hが途中で千切れるおそれもあり、この場合、毛髪Hにおいて細くなる部分の長さが短くなる結果、毛先に硬さが残り、チクチク感が十分に解消されない懸念もある。
【0049】
なお、図1(a)に示すように、ホルダ部11の上面11c(カバー本体31の表面31a)には、テーパーカットを行う際の操作手順(使用方法)を示唆又は説明する示唆部57が設けられている。毛髪Hの挟み込み位置側を指す一方向矢印と「1」の数字表記とから構成された第1示唆部57aは、ホルダ部11において山型部41や刃体13が設置された領域と、ベース板部12において凸条部51が設置された領域との間に、毛髪Hを挟み込むべきことを示すものである。一方、スライド方向に延びる双方向矢印と「2」の数字表記とから構成された第2示唆部57bは、第1示唆部57aが対応する操作(毛髪Hの挟み込み)を行った後、ヘアカットレザー10を矢印方向にスライド移動させるべきことを示すものである。示唆部57が見やすい位置に設けられていることで、使い方の理解や確認を促すことができ、不適切な方法での使用を抑制可能となる。
【0050】
以上、詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0051】
・刃体13が保持されたホルダ部11と、ベース板部12との間に毛髪Hを挟むようにした上で、突起部43及び凸条部51を設け、刃先13aと凸条部51との間隔が所定長さ(高低差La)に保たれる構成とした。これにより、上記間隔が適切な距離に保たれ、テーパーカットに必要な毛髪Hと刃先13aとの微妙な位置関係を、熟練者でなくても実現することができる。
【0052】
しかも、特許文献1、2とは異なり、毛先だけの処理が行いやすかったり、比較的に長さの短い脛毛や腕毛等の処理にも柔軟に対応できる利点もある。すなわち、特許文献1、2では、ユーザが毛先を掴んで毛髪を支える必要があるため、カット開始時において、ユーザが掴んでいる部分よりも毛根側の位置に刃先を当てざるを得ない。このため、毛先だけの処理が行いにくかったり、処理可能な毛髪としてある程度の長さが求められるおそれがある。これに対し、本実施の形態では、ユーザが毛髪を持つ必要がないため、カット開始時における刃先13aの当て位置に制約がなく、毛先だけの処理等を好適に行うことができる。
【0053】
・突起部43が刃先13aよりも凸条部51側に突出し、突起部43と凸条部51とが当接することにより、刃先13aと凸条部51との間隔が所定長さに規制される構成とした。この場合、刃先13aと凸条部51との間隔が所定長さに適切に維持されるほか、ユーザが指を刃体13に近付けた場合に、突起部43により刃先13aとの接触が抑制され、安全性を高めることが可能になる。
【0054】
・複数の山型部41b~41iを刃体13の長さ方向に配列し、突起部43が刃先13aに沿って点在する構成とした。この場合、凸条部51の複数箇所において、刃先13aとの間隔を規定することができる。その結果、例えば、接近方向への押圧力によりベース板部12が湾曲するなどして、刃先13aとの間隔にばらつきが生じることを抑制できる。かかる構成において毛髪Hの導入は、隣接する突起部43間の領域を利用して行うことができるため、テーパーカットの形成に支障を来すこともない。
【0055】
なお、本実施の形態では、凸条部51と当接する突起部43の数を8個としたが、これに限定されるものではなく、その数は任意である。また、突起部43間の間隔も必ずしも等間隔である必要はなく、それらの間隔のうち少なくとも1つにおいて大きさが異なる構成であってもよい。
【0056】
・刃先13aと向き合う位置に押圧部52を設け、ホルダ部11とベース板部12とを接近させた場合に、押圧部52が刃先13aに当接して押圧する構成とした。これにより、毛髪Hを挟む位置を変えるだけで、毛髪Hを切断して短くするカットを実行可能となる。とくに本実施の形態では、押圧部52を刃先13aに沿った方向の端部に設けたため、毛髪Hを押圧部52のみに導入しやすく、テーパーカットとの使い分けが行いやすい。これにより、毛髪Hが押圧部52と凸条部51との両方に導入され、テーパーカットと短くするカットとが同時に行われる不都合を抑制できる。
【0057】
・ホルダ部11とベース板部12とを接近させた場合に、押圧部52と刃先13aとを当接させてから凸条部51と突起部43とを当接させる構成とした。これにより、押圧部52が刃先13aから浮くことを抑制し、押圧部52の機能(毛髪Hを短くカットする機能)を適切に発揮可能となる。
【0058】
ここで、本実施の形態では、押圧部52が刃先13aに沿った方向の先端部に設けられているため、押圧部52を刃先13aに当接させた後、ベース板部12において押圧部52よりも基端部12a側の部分を押しやすく、ベース板部12をホルダ部11側に弾性変形させやすい。よって、押圧部52と刃先13aとを先に当接させる構成でありながらも、凸条部51と突起部43とを簡単に当接させることが可能になる。
【0059】
とくに本実施の形態では、ホルダ部11において押圧部52との対向部よりも基端部11a側の部分に、指当て部36が設けられている。当該指当て部36によりユーザの親指の設置位置が規定されることで、上記対向部よりも基端部11a,12a側の部分が親指と人差し指とによって挟まれる状態となりやすい(図3(b)参照)。これにより、押圧部52が当接した後、凸条部51に押圧力が付与されやすくなり、凸条部51と突起部43とをより簡単に当接させることが可能になる。
【0060】
なお、本実施の形態では、指当て部をホルダ部11のみに設けているが、ベース板部12にも設けたり、ホルダ部11側の指当て部36を省略してベース板部12のみに指当て部を設けたりしてもよい。この場合の指当て部は、ベース板部12の下面12cにおいて、押圧部52とベース板部12の基端部12a(連結部14との連結部分)との間に配置するとよい。
【0061】
・ホルダ本体21と着脱可能なカバー22とによってホルダ部11を構成し、ホルダ本体21内に刃体13を配置した状態でカバー22を取り付けることにより、刃体13が保持される構成とした。これにより、刃体13の交換が可能となる。この場合、刃体13の入れ替えは、ベース板部12とは反対側に設けた第1開口部24を通じて行うことができる。このため、ベース板部12が刃体13の出し入れの邪魔とならず、入れ替え作業を簡単に行うことができる。
【0062】
・カバー22において窓部としての孔部42を設け、当該孔部42を通じてホルダ部11内の刃体13を視認可能な構成とした。これにより、ホルダ部11内に刃体13がセットされているか否かや、刃体13の向き、さらにはホルダ部11内の汚れ具合(毛髪Hの切り屑や油分の付着等)を容易に確認可能となる。なお、本実施の形態では、ホルダ部11、ベース板部12及び連結部14が合成樹脂によって形成されているため、ヘアカットレザー10を水等により丸洗いすることができ、清潔に保つことができる。丸洗いを前提とする場合は、刃体13に防錆処理を施したり、ステンレス鋼製(耐錆構造)としたりして、刃体13が錆びにくい構成とするとよい。
【0063】
・第2開口部25(突起部43)を挟んだ両側にそれぞれ刃体13を設置可能な構成とした。これにより、刃体13の向き(スライド方向)を切り替えることができ、利き手を問わず良好に使用可能となる。
【0064】
・刃体13を位置決めしつつ、ホルダ本体21の傾斜内壁部26とカバー22の傾斜部44とにより刃体13を挟持する構成とした。これにより、刃体13を高精度に位置決めしながら、刃体13の保持を安定させることが可能になる。とくに本実施の形態では、傾斜部44がカバー22と一体化されているため、カバー22の取付により刃体13を挟持することができ、刃体13のセット作業を円滑かつ容易に行うことが可能になる。
【0065】
<その他の実施形態>
本発明は上記実施の形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0066】
上記実施の形態では、弾性変形が可能な連結部14によりホルダ部11とベース板部12とを連結したが、回動軸を介して両者を回動可能に連結してもよい。また、ホルダ部11とベース板部12とを平行に配置し、それらが接近・離間する方向に直線移動する構成としてもよい。これらの場合、ばね等により、ホルダ部11及びベース板部12の少なくとも一方を離間方向に付勢するとよい。
【0067】
上記実施の形態において、凸条部51を省略し、ベース板部12の表面12bと突起部43とが当接する構成としてもよい。かかる構成によっても、刃先13aとベース板部12の表面12bとを離間させつつ、それらの距離を一定化することができる。この場合、ベース板部12の表面12bが間隔保持部として機能する。
【符号の説明】
【0068】
10…ヘアカットレザー、11…ホルダ部、12…ベース板部(変位部)、13…刃体、13a…刃先、21…ホルダ本体、22…カバー、23…収容部(貫通孔)、24…第1開口部(貫通孔)、25…第2開口部(貫通孔)、26…傾斜内壁部(内壁部)、27…位置決め凸部(位置決め部)、41…山型部、42…孔部(窓部)、43…突起部(規制部)、44…傾斜部、51a…当接面(間隔保持部)、52…押圧部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9