(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F24C 3/12 20060101AFI20220425BHJP
【FI】
F24C3/12 K
(21)【出願番号】P 2017200430
(22)【出願日】2017-10-16
【審査請求日】2020-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 譲
(72)【発明者】
【氏名】小原 直人
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-194241(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0246453(US,A1)
【文献】特開2016-020749(JP,A)
【文献】特開2011-106729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスバーナと、
前記ガスバーナの火力を設定する操作に用いられる設定操作部と、
前記ガスバーナの少なくとも一部を収容し
、自身の上端部に天板が固定される筐体部と、
前記ガスバーナの上方側に調理器具を載置するための載置部と、
前記筐体部に対して直接的に又は他部材を介して間接的に組み付けられ、少なくとも前記ガスバーナから火炎が放出される領域を、上下方向と交差する向きで撮像する撮像部と、
を有し、
前記撮像部は、
前記天板よりも上の位置から前記ガスバーナから火炎が放出される領域を前側から後方側に向かって撮像する
加熱調理器。
【請求項2】
前記天板を備え、
前記撮像部は、前記天板に固定される
請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記撮像部によって得られた撮像画像に基づいて火炎が生じているか否かを判定する火炎有無判定部を有する請求項1又は請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記撮像部によって得られた撮像画像に基づいて火炎の色を判定する火炎色判定部を有する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記火炎色判定部によって判定された火炎の色が燃焼不良を示す色として予め定められた色条件に該当する場合に報知を行う報知部を有する請求項4に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記撮像部によって得られた撮像画像に基づいて火炎の範囲を検出する火炎範囲検出部を有する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記火炎範囲検出部によって検出される火炎の範囲が予め定められた正規範囲を外れている場合に前記ガスバーナの燃焼抑制制御又は報知制御を行う保護動作部を有する請求項6に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスバーナを備えた加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガスコンロに設けられたバーナの炎の溢れを判別し、炎が溢れ出たと判別されたときにバーナの火力を弱めうる火力調節装置が開示される。この火力調節装置は、バーナを中心とする所定範囲の温度分布を測定する測定手段として、上方から撮像する赤外線イメージセンサを備えており、赤外線イメージセンサの画像から炎が溢れ出ているか否かを判別する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は、ガスコンロから離れた位置に赤外線イメージセンサが別体として設けられているため、ガスコンロ以外の場所において赤外線イメージセンサを固定するための装置が別途必要となり、構成が大掛かりになるとともに部品管理などが複雑になるという問題がある。しかも、ガスコンロからかなり離れた位置に赤外線イメージセンサを配置する構成であるため、赤外線イメージセンサと加熱調理器(ガスコンロ)との間で電気的な連携を確保するための大掛かりな構成が必要になる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、火炎が放出される領域の画像を取得し得る加熱調理器を、よりコンパクトに且つ電気的接続を行う上でより有利な構成で実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の加熱調理器は、ガスバーナと、
前記ガスバーナの火力を設定する操作に用いられる設定操作部と、
前記ガスバーナの少なくとも一部を収容する筐体部と、
前記ガスバーナの上方側に調理器具を載置するための載置部と、
前記筐体部に対して直接的に又は他部材を介して間接的に組み付けられ、少なくとも前記ガスバーナから火炎が放出される領域を、上下方向と交差する向きで撮像する撮像部と、
を有する。
【発明の効果】
【0007】
上記加熱調理器は、ガスバーナから火炎が放出される領域を撮像し得る撮像部が筐体部に対して直接的に又は他部材を介して間接的に組み付けられているため、火炎が放出される領域の画像を取得し得る加熱調理器を、よりコンパクトに且つ電気的接続を行う上でより有利な構成で実現し得る。しかも、撮像部は、上下方向と交差する向きで撮像する構成であるため、撮像画像において上下方向の位置関係が認識されやすくなる。特に、撮像部によって生成される撮像画像内には、調理器具の下方側の空間の画像が含まれる可能性が高くなるため、調理器具の下方側の火炎をより良好に認識しやすくなる。例えば、上方から見て調理器具の下方側に完全に隠れるような位置関係で火炎が生じている場合であっても、その隠れる火炎の様子を直接的に撮像することができるため、精度の高い火炎の画像が得られやすく、火炎の状態をより正確に認識しやすくなる。しかも、調理器具の下方側の火炎を上下方向と交差する向きで撮像した場合、調理器具と重ならない形で火炎画像が得られやすく、調理器具の影響が排除又は抑制された高精度な火炎画像を利用することが可能となる。
例えば、特許文献1の技術のように調理器具の上方から赤外線イメージセンサによって撮像するような構成では、上方から見て調理器具の下方に火炎が完全に隠れるような状態のときには火炎を直接的に撮像することができず、火炎の状態(火炎の有無や色など)についての正確な認識が困難になる。また、この特許文献1の技術を用いる場合、調理器具の温度を赤外線イメージセンサによって把握することで、調理器具が現に火炎によって加熱されている状態であるか否かを間接的に推測することも考えられるが、直接的な撮像画像に基づかない間接的な推測であるため、火炎の状態(火炎の有無や色など)についての認識精度が低くなることは避けられない。例えば、燃焼中に生じた風などによってガスバーナの火が突然消えた場合、火が消えた直後は調理器具の温度が高い状態で継続するため、赤外線イメージセンサによって温度を把握する方法では、燃焼動作に起因する高温状態であるのか、燃焼終了後に継続する高温状態であるのかを区別することができず、消火を迅速に認識することができない。これに対し、本構成では、調理器具の下方側の火炎が直接的に撮像されやすいため、燃焼中に生じた風などによってガスバーナの火が突然消えた場合であっても、火炎が無くなったことを迅速かつ正確に認識しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1の加熱調理器を概略的に示す斜視図である。
【
図2】実施例1においてガスバーナへのガス供給路等を概念的に示す説明図である。
【
図3】実施例1の加熱調理器の電気的構成を例示するブロック図である。
【
図4】
図1の加熱調理器を正面から見た構造及び撮像範囲等を説明する説明図である。
【
図5】
図1の加熱調理器を上方から見た構造等を説明する説明図である。
【
図6】
図6(A)は、消火状態のときの監視範囲の画像であり、
図6(B)は、正常な火力範囲で点火している状態のときの監視範囲の画像である。
【
図7】
図7(A)は、横方向において正規範囲から外れた状態で点火しているときの監視範囲の画像であり、
図7(B)は、上下方向において正規範囲から外れた状態で点火しているときの監視範囲の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好ましい形態を以下に例示する。
上記加熱調理器は、撮像部によって得られた撮像画像に基づいて火炎が生じているか否かを判定する火炎有無判定部を有していてもよい。
このようにすれば、実際に撮像して得られた撮像画像に基づいて火炎の有無を判定することができるため、火炎の有無について、より正確な判定が可能となる。しかも、火炎の有無の判定に用いられる撮像画像は、上下方向と交差する向きで撮像された画像であるため、上方から撮像する方法で死角になりやすい範囲の火炎の有無を良好に判定しやすくなる。
【0010】
上記加熱調理器は、撮像部によって得られた撮像画像に基づいて火炎の色を判定する火炎色判定部を有していてもよい。
このようにすれば、実際に撮像して得られた撮像画像に基づいて火炎の色をより正確に判定することができる。しかも、火炎の色の判定に用いられる撮像画像は、上下方向と交差する向きで撮像された画像であるため、上方から撮像する方法で死角になりやすい範囲であっても、火炎の色を良好に判定しやすくなる。
【0011】
火炎色判定部によって判定された火炎の色が燃焼不良を示す色として予め定められた色条件に該当する場合に報知を行う報知部を有していてもよい。
このようにすれば、燃焼不良が生じている状態であるか否かを、実際に撮像して得られた撮像画像に基づいて、より正確に判定することができる。しかも、判定に用いられる撮像画像は、上下方向と交差する向きで撮像された画像であるため、上方から撮像する方法で死角になりやすい範囲であっても、燃焼不良が生じているか否かをより正確に判定しやすくなる。
【0012】
撮像部によって得られた撮像画像に基づいて火炎の範囲を検出する火炎範囲検出部を有していてもよい。
このようにすれば、火炎の範囲を、撮像部によって実際に撮像して得られた撮像画像に基づき、より正確に特定することができ、しかも、検出に用いられる撮像画像は、上下方向と交差する向きで撮像された画像であるため、火炎の範囲の上下方向の位置関係を特定することができ、上方から撮像する方法で死角になりやすい範囲であっても、火炎の範囲の特定が可能となる。
【0013】
火炎範囲検出部によって検出される火炎の範囲が予め定められた正規範囲を外れている場合にガスバーナの燃焼抑制制御又は報知制御を行う保護動作部を有していてもよい。
このようにすれば、火炎の範囲が正規範囲から外れているか否かを撮像部によって実際に撮像して得られた撮像画像に基づいて判定することができる。しかも、判定に用いられる撮像画像は、上下方向と交差する向きで撮像された画像であるため、上下方向の火炎の範囲についても、正規範囲から外れているか否かを判定することができる。そして、火炎の範囲が正規範囲から外れている場合には、燃焼の抑制又は報知を行うことができるため、火炎の範囲が正規範囲から外れている状態で強い火力が継続することを防ぎやすくなる。
【0014】
<実施例1>
(基本構成)
以下、実施例1について、図面を参照して説明する。
まず、
図1~
図3等を参照し、加熱調理器1の基本構成を説明する。
図1に示す加熱調理器1は、ビルトインコンロとして構成され、上端部が開放した箱状の筐体部2と、筐体部2の上端部に固定される天板5(トッププレート)とを備え、天板5から露出するように、右こんろ部4A、左こんろ部4B、小こんろ部4Cが設けられている。筐体部2は、右こんろ部4A、左こんろ部4B、小こんろ部4C、グリル庫3などを収容する構成をなし、前面側に前面パネル7A(
図1も参照),7Bなどが配置されてなる。右こんろ部4A、左こんろ部4B、小こんろ部4C、グリル庫3のそれぞれには、
図3で示すガスバーナ51,52,53,54が設けられ、これらガスバーナ51,52,53,54の各々は、一部又は全部が筐体部2内に収容された形態でそれぞれ設けられている。天板5上において、各ガスバーナ51,52,53の周囲には、五徳9A、9B、9Cがそれぞれ設けられている。五徳9A、9B、9Cは、載置部の一例に相当し、ガスバーナ51,52,53の上方側に調理器具を載置するために用いられる。五徳9A、9B、9Cのいずれも、調理器具を支持するための複数の支持部が間隔をあけて環状に配置されるとともに複数の支持部の各上端部が近接するガスバーナよりも上方側に配置された構成をなし、複数の支持部上に調理器具が載置されたときにガスバーナの上方側に調理器具が配置されるように支持する構成をなす。
【0015】
筐体部2内には、
図2のように、ガス配管として、共通のガス流路である共通供給路60と、共通供給路60から分岐したガス流路である複数の分岐供給路61,62,63,64とが設けられ、共通供給路60を通って流れたガスが、各分岐供給路61,62,63,64を通って各ガスバーナ51,52,53,54に導かれるようになっている。共通供給路60には、共通供給路60を開閉する元電磁弁N1が設けられている。分岐供給路61には、分岐供給路61を開閉可能な電磁弁(安全弁)51G及び閉止弁51Fと、ガスバーナ51へのガス供給量を調整可能な火力調整弁51Eとが設けられている。分岐供給路62には、分岐供給路62を開閉可能な電磁弁(安全弁)52G及び閉止弁52Fと、ガスバーナ52へのガス供給量を調整可能な火力調整弁52Eとが設けられている。分岐供給路63には、分岐供給路63を開閉可能な電磁弁(安全弁)53G及び閉止弁53Fと、ガスバーナ53へのガス供給量を調整可能な火力調整弁53Eとが設けられている。ガスバーナ54は、グリル庫3内において上側の所定位置に配置される上グリルバーナ54Aと、グリル庫3内において上グリルバーナ54Aよりも下側に配置される下グリルバーナ54Bとを備える。共通供給路60から分岐したガス流路である分岐供給路64には、分岐供給路64から分岐して上グリルバーナ54Aにガスを導くガス流路である第1供給路65Aと、分岐供給路64から分岐して下グリルバーナ54Bにガスを導くガス流路である第2供給路65Bとが接続されている。分岐供給路64には、分岐供給路64を開閉可能な電磁弁(安全弁)54G及び閉止弁54Fが設けられ、第1供給路65Aには第1供給路65Aを開閉可能な複数の電磁弁54H,54Jが設けられ、第2供給路65Bには第2供給路65Bを開閉可能な電磁弁54Kが設けられている。第1供給路65Aには、電磁弁54Jと並列にバイパス路66Aが設けられ、第2供給路65Bには、電磁弁54Kと並列にバイパス路66Bが設けられている。
【0016】
図1に示すように、加熱調理器1の前面部付近には、右こんろ部4A、左こんろ部4B、小こんろ部4C、グリル庫3にそれぞれ対応するように4つの回転操作部6A,6B,6C,6Dがそれぞれ設けられている。第1の回転操作部6A、第4の回転操作部6Dは、筐体部2の前面部の一部を構成する右側の前面パネル7Aから露出するように設けられ、第2の回転操作部6B、第3の回転操作部6Cは、筐体部2の前面部の一部を構成する左側の前面パネル7Bから露出するように設けられている。第1の回転操作部6Aは、右こんろ部4Aを構成するガスバーナ51の点火、消火、火力調整を行うものであり、第2の回転操作部6Bは、左こんろ部4Bを構成するガスバーナ52の点火、消火、火力調整を行うものであり、第3の回転操作部6Cは、小こんろ部4Cを構成するガスバーナ53の点火、消火、火力調整を行うものである。第4の回転操作部6Dは、ガスバーナ54(グリルバーナ)の点火、消火、火力調整を行うものである。
図1の例では、回転操作部6A,6B,6C,6Dのいずれも、使用者が押す毎に退避位置と突出位置とに切り替わるようになっている。
【0017】
次に、
図3等を参照して加熱調理器1の電気的構成について説明する。
図3において制御回路10は、例えばマイクロコンピュータとして構成されており、CPU10A、ROM10B、RAM10Cなどを備え、更に、図示しないタイマ、I/Oインタフェイスなどを備える。なお、図示はしていないが、制御回路10の内部又は外部に不揮発性メモリを設けてもよい。電源回路57は電池ボックスに収容された2つの乾電池56からの電力供給を受け、所定の電源電圧を生成する機能を有し、電源回路57で生成された電源電圧は、図示しない経路を介して様々な電気部品に供給される。
【0018】
スイッチ30A,30B,30C,30Dは、
図1で示す回転操作部6A,6B,6C,6Dにそれぞれ対応するように設けられ、
図3のように、スイッチ30A,30B,30C,30Dにそれぞれ対応するように点火信号入力回路40A,40B,40C,40Dがそれぞれ設けられている。スイッチ30A,30B,30C,30Dは、いずれも点火スイッチとして機能し、回転操作部6A,6B,6C,6Dのいずれにおいても、回転操作部が退避位置(消火位置)のときには対応するスイッチがオフ状態となり、このスイッチに対応する点火信号入力回路から制御回路10にオフ信号が与えられる。また、回転操作部が突出位置(点火位置)のときには対応するスイッチがオン状態となり、このスイッチに対応する点火信号入力回路から制御回路10にオン信号が与えられる。例えば、
図1で示す実線位置のように、回転操作部6Aが退避位置にあるときには、
図3で示すスイッチ30Aがオフ状態となり、このとき点火信号入力回路40Aは制御回路10に対してオフ状態を示す信号(オフ信号)を入力する。また、
図1の二点鎖線6A’のように回転操作部6Aが突出位置にあるときには、
図3で示すスイッチ30Aがオン状態となり、このとき点火信号入力回路40Aは、制御回路10にオン状態を示す信号(オン信号)を入力する。
【0019】
変位検出部32A,32B,32C,32Dは、
図1で示す回転操作部6A,6B,6C,6Dにそれぞれ対応するように設けられ、
図3のように、変位検出部32A,32B,32C,32Dにそれぞれ対応するように火力信号入力回路42A,42B,42C,42Dがそれぞれ設けられている。回転操作部6A,6B,6C,6Dのいずれにおいても、回転操作部の変位(回転位置)を対応する変位検出部(エンコーダ等の回転角度センサなど)が検出し、この変位検出部に対応する火力信号入力回路から変位検出部が検出した変位(回転位置)に応じた信号が制御回路10に与えられる。例えば、回転操作部6Aに対応して設けられた変位検出部32Aは、回転操作部6Aの変位(回転位置)を検出し得るようになっており、この変位検出部32Aに対応する火力信号入力回路42Aから制御回路10に対し、変位検出部32Aが検出した変位(即ち、回転操作部6Aの回転位置)に応じた信号が与えられる。なお、回転操作部6A,6B,6Cは、設定操作部の一例に相当し、上述したように、ガスバーナ51,52,53の火力を設定する操作に用いられる。
【0020】
図2のように、各ガスバーナ51,52,53,54A,54Bのそれぞれに隣接して熱電対51C,52C,53C,54C、54Dがそれぞれ設けられ、
図3のように、熱電対51C,52C,53C,54C、54Dのそれぞれに対応して温度信号入力回路44A,44B,44C,44D,44Eがそれぞれ設けられている。更に、
図3のようにイグナイタ回路46が及びイグナイタ28が設けられ、イグナイタ28には、各ガスバーナ51,52,53,54のそれぞれに隣接して図示しないイグナイタ端子が設けられている。
【0021】
図3で示す駆動回路48Aは、制御回路10からの制御量が指示されることに応じて、火力調整弁51Eを制御量に応じた開度に駆動する構成をなす。駆動回路48Bは、制御回路10からの制御量が指示されることに応じて、火力調整弁52Eを制御量に応じた開度に駆動する構成をなす。駆動回路48Cは、制御回路10からの制御量が指示されることに応じて、火力調整弁53Eを制御量に応じた開度に駆動する構成をなす。駆動回路49Aは、電磁弁51F,51Gを制御回路10からの指示に応じた状態に切り替える回路であり、駆動回路49Bは、電磁弁52F,52Gを制御回路10からの指示に応じた状態に切り替える回路であり、駆動回路49Cは、電磁弁53F,53Gを制御回路10からの指示に応じた状態に切り替える回路であり、駆動回路49Dは、電磁弁54F,54G,54H,54J,54Kを制御回路10からの指示に応じた状態に切り替える回路である。駆動回路50は、元電磁弁N1を制御回路10からの指示に応じた状態に切り替える回路である。なお、図示はしていないが、例えば圧電ブザー装置などの公知構成をなすブザー装置や、メロディ、メッセージなどの音声を発する公知構成の音声装置(スピーカ等)や、LEDや液晶表示器などの公知構成の表示装置なども、制御回路10によって制御される構成をなす。
【0022】
図3のように、加熱調理器1は、更に、撮像部90を備える。撮像部90は、CCDカメラ、CMOSカメラ、赤外線カメラなど、撮像範囲からの可視光又は赤外線を受光して撮像範囲の画像を生成し得る公知構成の撮像装置によって構成されており、予め定められた所定位置(
図1の例では天板5上の位置)に固定された構成をなす。
図1の例では、撮像部90は、筐体部2に対して天板5を介して間接的に組み付けられ、少なくともガスバーナ51,52,53から火炎が放出される領域を、上下方向と交差する向き(具体的には、上下方向と直交する方向である水平方向に沿った向き)で撮像するように構成されている。
図6の例では、例えば五徳9A、9B、9Cのいずれにも調理器具が載置されていない状態で、ガスバーナ51,52,53の全ての上端部が撮像され、五徳9A、9B、9Cの全ての上端部が撮像され得るように撮像範囲が設定されている。撮像部90は、例えば五徳9A、9B、9Cのいずれにも調理器具が載置されていない状態でガスバーナ51,52,53のそれぞれを最大火力にしたときにガスバーナ51,52,53の各炎の全てが撮像され得るような撮像範囲であってもよく、ガスバーナ51,52,53の各炎の一部が撮像され得るような撮像範囲であってもよい。なお、本明細書では、天板5の厚さ方向を上下方向とし、天板5を平面視したときの長手方向を左右方向(横方向)とし短手方向を前後方向とする。上下方向と左右方向は直交する関係にあり、前後方向は上下方向及び左右方向と直交する関係にある。
【0023】
(画像処理)
次に、撮像部90及び制御回路10が有している画像処理機能について説明する。ガスバーナ51に関する画像処理機能について代表的に説明するが、ガスバーナ52、53に関しても、同様に行うことができる。
【0024】
本構成では、例えば、
図4で示す撮像範囲AR1の画像が撮像部90によって撮像されるようになっている。
図3で示す制御回路10は、所定の開始条件の成立時に撮像部90に撮像動作を開始させ、その後、撮像部90によって撮像される画像を一定時間毎に取得する。所定の開始条件の成立時は、例えば、所定の電源スイッチのオン動作によって加熱調理器1の電源がオン状態に切り替わった時(電源回路57から各部品に電力が供給され得る状態となった時)であってもよく、ガスバーナ51,52,53の全てが消火している状態でガスバーナ51,52,53のいずれかに対して点火操作がなされた時であってもよい。
【0025】
制御回路10は、ガスバーナ51に対応する回転操作部6Aに対して点火操作が行われた後、
図4で示す撮像部90の撮像範囲AR1のうち、ガスバーナ51の周囲において予め設定された監視範囲AR2の撮像画像を定期的に取得する。そして、制御回路10は、火炎有無判定部の一例として機能し、撮像部90によって得られた監視範囲AR2の撮像画像に基づいて火炎が生じているか否かを判定する。
【0026】
具体的には、予め火炎色を示す色の範囲として、R成分(赤成分の画素値であるR値)、G成分(緑成分の画素値であるG値)、B成分(青成分の画素値であるB値)についての値の組み合わせ(火炎色を示すRGBの値の組み合わせ)が複数定められており、いずれかの値の組み合わせ(複数の「火炎色を示すRGBの値の組み合わせ」のうちのいずれか)に該当する画素が一定範囲以上存在するか否かを判定する。なお、以下の説明では、「火炎色を示すRGBの値の組み合わせ」に該当する画素を、「火炎色条件を満たす画素」ともいう。例えば、ある画素について、R値がX、G値がY、B値がZであり、これらX,Y,Zの組み合わせが「火炎色を示すRGBの値の組み合わせ」に該当する場合、その画素は、「火炎色条件を満たす画素」に該当することになる。
図6では、ガスバーナ51において火炎が生じていないときの画像を
図6(A)で示し、ガスバーナ51において火炎が生じているときの画像を
図6(B)で示し、火炎色条件を満たす画素の領域をハッチング領域Fgとして示している。制御回路10は、回転操作部6Aに対して点火操作が行われた後、監視範囲AR2の撮像画像において火炎色条件を満たす画素が一定範囲以上存在するか否か(例えば、火炎色条件を満たす画素が一定数以上存在するか否か)を判定し、火炎色条件を満たす画素が一定範囲以上存在する場合(例えば、
図6(B)のような場合)にはガスバーナ51において火炎が生じていると判定する。制御回路10は、監視範囲AR2の撮像画像において火炎色条件を満たす画素が一定範囲以上存在しない場合(
図6(A)参照)にはガスバーナ51に火炎が生じていないと判定する。なお、回転操作部6Aが点火位置(突出位置)にあるときに火炎色条件を満たす画素が一定範囲以上存在しない場合、ブザー音やメッセージ音声を発するようにして警報を行ってもよく、消火状態を維持する保護動作(例えば、電磁弁51F,51Gなどを閉状態に切り替える保護動作など)を行ってもよい。
【0027】
制御回路10は、回転操作部6Aが点火位置(突出位置)にあるときに得られる監視範囲AR2の撮像画像において火炎色条件を満たす画素が一定範囲以上存在すると判定した場合、火炎範囲検出部の一例として機能し、監視範囲AR2において火炎色条件を満たす画素の範囲を検出する。例えば、
図6(B)で示すハッチング領域Fgは、監視範囲AR2の撮像画像における火炎色条件を満たす画素の範囲であり、制御回路10は、このような範囲を検出する。
【0028】
更に、制御回路10は、保護動作部として機能し、火炎範囲検出部によって検出される火炎の範囲(即ち、火炎色条件を満たす画素の範囲)が予め定められた正規範囲を外れているか否かを判定し、外れている場合にはガスバーナ51の燃焼抑制制御及び報知制御を行う。
図7のように、監視範囲AR2の撮像画像において正規範囲(上下方向の正規範囲Ya及び左右方向(横方向)の正規範囲Xa)が予め定められ、撮像画像が取得される毎に、その撮像画像において正規範囲を特定できるようになっている。
図7の例では、撮像画像において縦方向の一定範囲Ya内且つ横方向の一定範囲Xa内が正規範囲となっている。制御回路10は、
図7(A)のように、火炎色条件を満たす画素の範囲(
図7(A)におけるハッチング領域Fg)の少なくとも一部が横方向(左右方向)の正規範囲Xaから外れている場合に、ガスバーナ51の火炎の範囲が予め定められた正規範囲を外れていると判定する。また、制御回路10は、
図7(B)のように、火炎色条件を満たす画素の範囲(
図7(B)におけるハッチング領域Fg)の少なくとも一部が上下方向の正規範囲Yaから外れている場合に、ガスバーナ51の火炎の範囲が予め定められた正規範囲を外れていると判定する。制御回路10は、ガスバーナ51の火炎の範囲が予め定められた正規範囲を外れていると判定した場合、ブザー音の鳴動や警告メッセージ(例えば、「異常火力です」等のメッセージ)を発するなどの報知動作を行ってもよく、その異常検出時よりもガスバーナ51の火力を低下させる燃焼抑制制御(例えば、ガスバーナ51の火力を最小火力とする制御や火力調整弁の開度を一定レベル低下させる制御など)を行ってもよい。
【0029】
制御回路10は、
図6(B)のように火炎色条件を満たす画素の範囲(
図6(B)におけるハッチング領域Fg)の全体が、上下方向の正規範囲Ya内に収まっており且つ左右方向の正規範囲Xa内にも収まっている場合には、ガスバーナ51の火炎の範囲が予め定められた正規範囲内にあると判定する。
【0030】
制御回路10は、火炎色判定部の一例としても機能し、撮像部90によって得られた監視範囲AR2の撮像画像において火炎色条件を満たす画素の範囲(例えば、
図6(B)におけるハッチング領域Fg)を検出した上で、その範囲の各々の画素の色を判定する。具体的には、火炎色条件を満たす画素の範囲(ハッチング領域Fg)における各々の画素のRGB値(R成分の値(R値)、G成分の値(G値)、B成分の値(B値)の組み合わせ)を特定する。このようにして、火炎色条件を満たす画素の範囲(ハッチング領域Fg)において各々の画素の色が特定され、各位置での火炎の色が特定される。
【0031】
制御回路10は、報知部の一例としても機能し、火炎色判定部によって判定された火炎の色が燃焼不良を示す色として予め定められた色条件に該当するか否かを判定し、該当する場合に報知を行う。一般的には、換気不十分な状態やガスバーナに詰まりが生じた状態などに起因して燃焼不良が生じた場合には、通常の火炎色の炎(青色の炎)よりも赤色度合いが大きくなることが知られている。本構成では、「火炎色を示す色に該当するRGB成分の組み合わせ」が複数定められ、それら複数の組み合わせの各々が、「異常色として定められたRGB成分の組み合わせ」と、「正常色として定められたRGB成分の組み合わせ」とに分けられている。そして、複数用意された「異常色として定められたRGB成分の組み合わせ(異常色を示すR値、G値、B値の組み合わせ)」のうちのいずれかの組み合わせに該当するる画素(いずれかの異常色の画素)が一定範囲以上存在する場合に、「火炎色判定部によって判定された火炎の色が燃焼不良を示す色として予め定められた色条件に該当する」と判定し、一定範囲以上存在しない場合には、「火炎色判定部によって判定された火炎の色が燃焼不良を示す色として予め定められた色条件に該当しない」と判定する。制御回路10は、燃焼不良色(異常色)を示すR値、G値、B値の組み合わせに該当する画素が一定範囲以上存在する場合、即ち、「火炎色判定部によって判定された火炎の色が燃焼不良を示す色として予め定められた色条件に該当する場合」、ブザー音の鳴動や警告メッセージ(例えば、「燃焼火力異常です」等のメッセージ)を発するなどの報知動作を行ってもよく、その異常検出時よりもガスバーナ51の燃焼を抑制する燃焼抑制制御(例えば、ガスバーナ51の火力を最小火力とする制御や燃焼を停止する制御など)を行ってもよい。
【0032】
ここで、本構成の効果を例示する。
加熱調理器1は、ガスバーナ51,52,53から火炎が放出される領域を撮像し得る撮像部90が筐体部2に対して他部材(天板5)を介して間接的に組み付けられているため、火炎が放出される領域の画像を取得し得る加熱調理器を、よりコンパクトに且つ電気的接続を行う上でより有利な構成で実現し得る。しかも、撮像部90は、上下方向と交差する向きで撮像する構成であるため、撮像画像において上下方向の位置関係が認識されやすくなる。
【0033】
加熱調理器1は、撮像部90によって得られた撮像画像に基づいて火炎が生じているか否かを判定する火炎有無判定部(制御回路10)を有する。このようにすれば、実際に撮像して得られた撮像画像に基づいて火炎の有無を判定することができるため、火炎の有無について、より正確な判定が可能となる。しかも、火炎の有無の判定に用いられる撮像画像は、上下方向と交差する向きで撮像された画像であるため、上方から撮像する方法で死角になりやすい範囲の火炎の有無を良好に判定しやすくなる。
【0034】
加熱調理器1は、撮像部90によって得られた撮像画像に基づいて火炎の色を判定する火炎色判定部(制御回路10)を有する。このようにすれば、実際に撮像して得られた撮像画像に基づいて火炎の色をより正確に判定することができる。しかも、火炎の色の判定に用いられる撮像画像は、上下方向と交差する向きで撮像された画像であるため、上方から撮像する方法で死角になりやすい範囲であっても、火炎の色を良好に判定しやすくなる。
【0035】
加熱調理器1は、火炎色判定部によって判定された火炎の色が燃焼不良を示す色として予め定められた色条件に該当する場合に報知を行う報知部(制御回路10)を有する。このようにすれば、燃焼不良が生じている状態であるか否かを、実際に撮像して得られた撮像画像に基づいて、より正確に判定することができる。しかも、判定に用いられる撮像画像は、上下方向と交差する向きで撮像された画像であるため、上方から撮像する方法で死角になりやすい範囲であっても、燃焼不良が生じているか否かをより正確に判定しやすくなる。
【0036】
加熱調理器1は、撮像部90によって得られた撮像画像に基づいて火炎の範囲を検出する火炎範囲検出部(制御回路10)を有する。このようにすれば、火炎の範囲を、撮像部90によって実際に撮像して得られた撮像画像に基づき、より正確に特定することができ、しかも、検出に用いられる撮像画像は、上下方向と交差する向きで撮像された画像であるため、火炎の範囲の上下方向の位置関係を特定することができ、上方から撮像する方法で死角になりやすい範囲であっても、火炎の範囲の特定が可能となる。
【0037】
加熱調理器1は、火炎範囲検出部(制御回路10)によって検出される火炎の範囲が予め定められた正規範囲を外れている場合にガスバーナの燃焼抑制制御又は報知制御を行う保護動作部(制御回路10)を有する。このようにすれば、火炎の範囲が正規範囲から外れているか否かを撮像部90によって実際に撮像して得られた撮像画像に基づいて判定することができる。しかも、判定に用いられる撮像画像は、上下方向と交差する向きで撮像された画像であるため、上下方向の火炎の範囲についても、正規範囲から外れているか否かを判定することができる。そして、火炎の範囲が正規範囲から外れている場合には、燃焼の抑制又は報知を行うことができるため、火炎の範囲が正規範囲から外れている状態で強い火力が継続することを防ぎやすくなる。
【0038】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような例も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0039】
(1)上述した実施例では、撮像部90が筐体部2に対して他部材を介して間接的に組み付けられた例を示したが、ガスバーナ51,52,53から火炎が放出される領域を撮像し得る配置であれば、筐体部2に直接的に組み付けられていてもよい。また、筐体部2がガスバーナ51,52,53のそれぞれの一部を内部に収容する構成を例示したがガスバーナ全体が筐体部内に収容されていてもよい。
(2)上述した実施例では、前方側に設けられた撮像部90によってガスバーナ51,52,53から火炎が放出される領域を撮像したが、天板5の後端部近傍や側端部近傍に設けられた撮像部によってガスバーナ51,52,53から火炎が放出される領域を撮像してもよい。
(3)上述した実施例又は上述した実施例を変更したいずれの例においても、「ガスバーナから火炎が放出される領域を上下方向と交差する向きで撮像する構成」は、実施例1のように撮像部がガスバーナから火炎が放出される領域を前方側から後方側に向けて前後方向に沿った向きで撮像する構成に限定されず、後方側から前方側に前後方向に沿った向きで撮像してもよく、左右方向に沿った向きで撮像してもよく、前後方向に対して傾斜した向きで水平方向に撮像してもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…加熱調理器、2…筐体部、6A,6B,6C…回転操作部(設定操作部)、9A,9B,9C…五徳(載置部)、10…制御回路(火炎有無判定部、火炎範囲検出部、火炎色判定部、報知部、保護動作部)、51,52,53…ガスバーナ、90…撮像部、