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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】バスダクトのフィードイン接続構造
(51)【国際特許分類】
   H02G 5/06 20060101AFI20220425BHJP
【FI】
H02G5/06 311V
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018060222
(22)【出願日】2018-03-27
(65)【公開番号】P2019176569
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000162135
【氏名又は名称】共同カイテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】山田 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】小峯 功
【審査官】北岡 信恭
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-167717(JP,U)
【文献】特公昭49-044388(JP,B1)
【文献】特開平1-144580(JP,A)
【文献】特開2009-284642(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 5/06- 5/10
H01R 41/00
H02B 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源供給部と電気的に接続されるフィードイン導体と、
バスダクトのハウジングに内包されるバスバーと、
前記フィードイン導体と前記バスバーとを電気的に接続する一対の接続導体と、を有し、
前記バスバーは、前記フィードイン導体の電気的に接続される部分にて切り離された離間領域を有し、前記フィードイン導体は、前記離間領域内又は近傍に前記バスバーと略同一平面上に配置され前記一対の接続導体挿入されることにより電気的に接続されることを特徴とするバスダクトのフィードイン接続構造。
【請求項2】
前記フィードイン導体は、前記バスバーの伸長方向において、前記バスバーの離間領域の離間距離よりも小さい寸法を有し、前記離間領域内に挿し入れ配置されてなり
前記フィードイン導体と前記バスバーとの間の2か所をそれぞれ前記一対の接続導体で電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載のバスダクトのフィードイン接続構造。
【請求項3】
前記フィードイン導体は、前記バスバーの伸長方向において、前記バスバーの離間領域の離間距離よりも大きい寸法を有し、前記離間領域外に配置されて、前記一対の接続導体により、両側のバスバーとそれぞれ電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載のバスダクトのフィードイン接続構造。
【請求項4】
前記バスダクトのハウジングは、断面略矩形に形成され、
前記離間領域を被覆する部分において開口が設けられた開口面を有し、
前記ハウジングの開口面に略直交する両外側面にはそれぞれ剛性を有する側面カバー部材が前記バスダクトの伸長方向に沿って固設され、
前記フィードイン導体は、開口を設けた開口面を有するボックスケースに収納されており、
前記ボックスケースは、前記ボックスケースの開口面を前記バスダクトのハウジングの開口面に対向させて設置され、
前記ボックスケースの前記バスダクトの伸長方向の両端面を構成する両端面部材は、前記バスダクトのハウジングの前記側面カバー部材とそれぞれ固定されたことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のバスダクトのフィードイン接続構造。
【請求項5】
前記ボックスケースの両端面部材は、前記ボックスケースから取り外し可能に構成されたことを特徴とする請求項4に記載のバスダクトのフィードイン接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバスダクトのフィードイン接続構造、特にフィードイン導体とバスダクトとを電気的に接続するバスダクトのフィードイン接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、計算機室やデータセンター等において、バスダクトを設置する需要が高まっている。このような室内空間においては、電源装置や電子機器、サーバー等の電子機器がラック等の棚体に数多く収容され、列設されている。この列設された電子機器に対して、バスダクトを併設することで、列設された電子機器の各負荷に対し柔軟な配電を提供することが可能となる。
【0003】
併設されたバスダクトに電力を供給するためにフィードインユニットが使用される。フィードインユニットは、電力を供給するために、ケーブルに接続されるフィードイン導体と、このフィードイン導体をバスダクトに内包されるバスバーに接続するための接続部材とを有する。ここで、フィードインユニットには、バスダクトの終端部に接続するエンドフィードインユニットと、バスダクトの中間に接続する中間フィードインユニットとがある。
【0004】
特許文献1にはエンドフィードインユニットの構造が開示されており、バスダクトの終端部においてバスバーとフィードイン導体とを突き合わせた状態で、接続部材によってそれらを接続するユニット構造が示されている。
【0005】
特許文献2には中間フィードインユニットのボックス構造が開示されており、バスダクトの中間においてバスバーに突出部を設け、バスダクトのハウジング開口部を通して当該突出部を露出させ、この突出部に対してフィードインユニットのボックスを取り付ける構造が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開昭49-22495号
【文献】特開2009-284642号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のエンドフィードインユニットにおいては、ケーブルとバスバーとの接続部分は、板状端子片、導体露出部、絶縁介在片を重ね合わせボルトにより一括締付けを行う構成であり大型のものとなっている。
【0008】
特許文献2に記載された中間フィードインユニットによって給電する場合、バスバーにハウジング開口部を通して突出部(凸部)を設ける必要があり、製造に手間がかかり、コストが高くなる懸念がある。加えて、重量・サイズ両面において大きなユニットになってしまうため、特にサーバールームのような室内空間においては施工に手間が掛かる。
【0009】
更に、特許文献2に記載の中間フィードインユニットでは、フィードインボックスがバスダクトの延設方向にかさばってしまって、フィードインボックスの周囲に電子機器を取り付けることが難しい。
【0010】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、バスダクト内のバスバーと電源とをフィードイン導体を介して電気的に接続するフィードイン接続構造をよりコンパクトな構造とすることで、フィードイン接続構造の加工性・取扱い性・施工性を高めたフィードイン接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための請求項1 に記載のバスダクトのフィードイン接続構造は、
電源供給部と電気的に接続されるフィードイン導体と、
バスダクトのハウジングに内包されるバスバーと、
前記フィードイン導体と前記バスバーとを電気的に接続する一対の接続導体と、を有し、
前記バスバーは、前記フィードイン導体の電気的に接続される部分にて切り離された離間領域を有し、前記フィードイン導体は、前記離間領域内又は近傍に前記バスバーと略同一平面上に配置され前記一対の接続導体挿入されることにより電気的に接続されることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、フィードイン導体とバスバーとは略同一平面上で電気的に接続されるので、フィードイン導体の接続部分における構造が全体としてコンパクトなものとなる。したがって、フィードイン接続構造の加工性や取扱い性や施工性が高められる。さらに、フィードイン接続構造がコンパクト化されることで、近年のデータセンターの様な電子機器がバスダクト近傍に列設されるような状況において、良好な配線が可能となる。
【0013】
請求項2に記載のバスダクトのフィードイン接続構造は、請求項1に記載のバスダクトのフィードイン接続構造において、
前記フィードイン導体は、前記バスバーの伸長方向において、前記バスバーの離間領域の離間距離よりも小さい寸法を有し、前記離間領域内に挿し入れ配置されてなり
前記フィードイン導体と前記バスバーとの間の2か所をそれぞれ前記一対の接続導体で電気的に接続されることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、フィードイン導体の接続される部分にて、フィードイン導体は、バスバーと略同一平面上で電気的に接続さることに加え、離間されたバスバー間である離間領域内に挿し入れ配置されるのでフィードイン導体の接続部分の構造がより省スペース化される。
【0015】
請求項3に記載のバスダクトのフィードイン接続構造は、請求項1に記載のバスダクトのフィードイン接続構造において、
前記フィードイン導体は、前記バスバーの伸長方向において、前記バスバーの離間領域の離間距離よりも大きい寸法を有し、前記離間領域外に配置されて、前記一対の接続導体により、両側のバスバーとそれぞれ電気的に接続されることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、フィードイン導体が、上記離間距離よりも大きい寸法(幅長)に構成されており、離間領域内に挿し入れることなく、離間領域の近傍にて両側のバスバーと接続導体により容易に接続することが可能である。したがって、バスバーとフィードイン導体との略同一平面上における接続動作は、精密な位置決めを行うことなく簡単に行うことが可能となる。
【0017】
請求項4に記載のバスダクトのフィードイン接続構造は、請求項1~3の何れか1項に記載のバスダクトのフィードイン接続構造において、
前記バスダクトのハウジングは、断面略矩形に形成され、前記離間領域を被覆する部分において開口が設けられた開口面を有し、前記ハウジングの開口面に略直交する両外側面にはそれぞれ剛性を有する側面カバー部材が前記バスダクトの伸長方向に沿って固設され、前記フィードイン導体は、開口を設けた開口面を有するボックスケースに収納されており、前記ボックスケースは、前記ボックスケースの開口面を前記バスダクトのハウジングの開口面に対向させて設置され、前記ボックスケースの前記バスダクトの伸長方向の両端面を構成する両端面部材は、前記バスダクトのハウジングの前記側面カバー部材とそれぞれ固定されたことを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、フィードイン導体とバスバーとの接続部分において、ボックスケースの両側の端面部材とバスダクトのハウジングの両外側面に固設された剛性の有る側面カバー部材とがそれぞれ接続されることから、ボックスケースのバスダクトへの接続が強固になり、また、フィードイン接続構造の強度も向上し、信頼性のある電源供給が可能となる。
【0019】
請求項5に記載のバスダクトのフィードイン接続構造は、請求項4に記載のバスダクトのフィードイン接続構造において、
前記ボックスケースの前記両端面部材は、前記ボックスケースから取り外し可能に構成されたことを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、フィードイン導体とバスダクトとの接続部分において、ボックスケースの前記両端面部材はボックスケースから取り外し可能であることから、例えば、設置段階では両端面部材を取り外した状態として大きな空間を確保し、電源供給部からのケーブルのフィードイン導体への配線、接続などを容易に行うことが可能である。またフィードイン導体設置後の配線の確認等も視覚確認が容易となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のバスダクトのフィードイン接続構造によれば、フィードイン導体をバスダクトの途中でバスバーに接続する構成において、フィードイン接続構造のコンパクト化を図ることで、加工性・取扱い性・施工性を高めることができる。これにより、データセンター等のように、バスダクト設置領域に分岐用接続器具などが多く存在する環境において、より大きなスペースを確保することができ、接続作業や保守点検などの作業性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1の実施の形態に係り、フィードイン導体とバスバーとの接続状態を示す説明図である。
図2】バスバーとフィードイン導体の接続部分におけるバスダクトの構成を示す説明図である。
図3】ボックスケースの骨組みに関する説明図である。
図4】接続部材の拡大斜視図である。
図5】組立てたボックスケースのバスダクトへの取り付けに関する説明図である。
図6】フィードイン導体とバスバーとが接続導体によって接続された状態の説明図である。
図7】フィードイン導体とバスバーとが接続導体によって接続された図6におけるA-A断面図であり4相分示す。
図8】各バスバーに対して、接続導体とバスバーとを電気的に接続した状態とした後、端面部材をフィードイン導体の幅方向両外側に取り付ける様子を示す説明図である。
図9】接続部材の操作ピンと端面部材との干渉に関する説明図である。
図10】フィードイン導体とバスバーとの接続に係る変形例の説明図である。
図11】フィードイン導体の接続部分に係る変形例の説明図である。
図12】ボックスケースの骨組みと接続部材との接続方法の別手順に関する説明図である。
図13】本発明の第2の実施の形態に係り、絶縁密着型バスダクトに適用した場合についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態について、以下図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
(第1の実施の形態)
本発明に係るフィードイン接続構造の第1の実施の形態を図1~9を参照して説明する。本発明のフィードイン接続構造は、フィードイン導体とバスバーとの電気的な接続により実現される。なお、各図は本発明の実施の形態を例示したものであって、権利範囲に何らの限定を加えるものではなく、また、バスダクトの設計、配設方向及びフィードインユニットの設置位置、設置方向、入線方向等について限定するものではない。
【0025】
図1は、第1の実施の形態に係るフィードイン導体とバスバーとの接続状態を示す説明図である。フィードイン導体はフィードインユニット10に内包されており、バスバー18を内包するバスダクト16の延設方向(伸長方向)の中間に接続されている。この接続部分を符号14で示している。ここで、中間とは、そのバスダクトの端部以外の途中の部分を意味するもので、バスダクトの丁度中間に限定するものではない。
【0026】
図2は、バスバーとフィードイン導体の接続部分14におけるバスダクト16の構成を示す説明図である。図2に示されるとおり、バスダクト16は、上チャネル材20と下チャネル材22とによるハウジングで取り囲まれている。その内部にバスバー18が各相毎に設けられている。ハウジングの上チャネル材20の端部に、略方形の切り欠き部21が設けられ、バスダクト16の端部同志を底面カバー部材26に対して突き合わせ、図示しない継板を介して連結して一体とし、フィードイン導体を接続するための開口部52が形成されている。
【0027】
接続部分14において、更に一対の側面カバー部材28が底面カバー部材26の側方に配置されて補強されている。側面カバー部材28は、底面カバー部材26、或いはバスダクト16の上チャネル材20の側面に対して締着されるもので、底面カバー部材26の長さと略同一又はより長尺に構成されており、フランジ部28aがバスダクト16の上下方向の端部にそれぞれ設けられ、略コ字状の補強材となっている。
【0028】
開口部52側のフランジ部28aは、後述するようにボックスケース12の接続に活用することができ、他端のフランジ部28aは適宜バスダクト16の支持物に対して固定を得ることができる。例えば、サーバーラック等にバスダクト16を載置する場合は、他端のフランジ部28aによってサーバーラック等に固定することができる。
【0029】
図3は、ボックスケース12の骨組みに関する説明図である。ボックスケース12内には、フィードイン導体30が収納されている。フィードイン導体30は、電力供給部からのケーブル(図示していない)と接続されるフィードイン端部30aと、バスバーと接続するためのフィードアウト端部30bとで構成される。フィードイン導体30は、各相について前述の構成を適宜段付け加工して形成されており、絶縁性の離間部材36を介在させて各相が重ね合わされ、ネジ38、39を用いて締着されて一体に構成される。
【0030】
フィードイン端部30aにおいてはケーブルと接続した際に必要となる空間距離を十分に確保可能な距離だけ離間するように、また、フィードアウト端部30bにおいてはバスバーの離間距離と略同一の離間距離となるように、各相で適宜段付けされて略均等に離間するように構成されている。フィードイン導体30は幅方向と直交する方向で段付けされている。
【0031】
一括締着されたフィードイン導体30は、更にフィードイン導体30の重ね合わせた両外側から側面部材32が締着される。側面部材32には、底面部32aが形成されている。フィードイン導体30を一括で締着して強固な基礎構造が完成された箇所に、側面部材32を取り付けることができる構造であるため、ボックスケース12の組立作業に係る手間が大幅に省力化される。
【0032】
ボックスケース12の上部には、電源供給源からのケーブルをボックスケース12内に引き入れるための孔が形成された遮蔽板(図示していない)が枠部材34の上部に取り付けられる。枠部材34は、側面部材32の底面部32a側と対向する上端部に取り付けられて、ボックスケース12の上枠を形成する。図示しないビス、リベット等によって適宜組み付けられるものである。遮蔽板の孔からケーブルがボックスケース12の内部に引き込まれてフィードイン端部30aに接続される。
【0033】
フィードイン導体30のフィードアウト端部30bには、2つの接続部材40がフィードイン導体30の幅方向両端から挟んで配置される。図4は、接続部材40の拡大斜視図である。接続部材40は、絶縁性素材で形成された箱状体42の内部に、バスバー同士を電気的に接続する接続導体46を内包している。
【0034】
箱状体42には、略方形の内部空間44が複数設けられており、この内部空間44に1対の接続導体46が内包されている。略方形の内部空間44には、バスバーを容易に挿通可能なようにスリット48が設けられており、ここにバスバーを挿入させて接続導体46の一端と電気的に接触させることができる様に構成されている。接続導体46は当て板状の金属部材であり、一対の接続導体46が互いに挟着するようにバネ(図示していない)により付勢されている。
【0035】
一対の接続導体46の間には操作ピン50が介在している。この操作ピン50の操作によって接続導体46の離間距離が制御可能となり、接続導体46とバスバーとの圧着が操作される。操作ピン50は接続導体46を離間させる軸部50bと、軸部50bを回動操作するための把持部50aとで構成される。操作ピン50の軸部50bは短径と長径を有する略楕円体の断面構造の棒状の構造である。操作ピン50は、絶縁性の部材で構成しても良く、金属等の硬質の芯材の周囲を絶縁性素材でコーティングしても良い。
【0036】
操作ピン50を接続導体46間に介在させて挟着させると、操作ピン50の挟着された経の長さによって接続導体46間の離間距離が決定する。操作ピン50は把持部50aを設けてあるので、長径で挟持される場合と、短径で挟持される場合とを軸部50bの回動によって選択可能である。このように操作ピン50の回動操作によって接続導体46の離間距離が制御される。
【0037】
短径はバスバーの厚さよりも短く、長径はバスバーの厚さよりも長く構成されているため、長径で接続導体46が離間している状態では、接続導体46の離間距離がバスバーの厚さよりも長いことから、容易にバスバーを接続導体46間に挿入可能又は取外可能となる。逆に、短径で接続導体46が離間している場合は、接続導体46の離間距離がバスバーの厚さよりも短いことから、バスバーを接続導体46間に挿脱することが出来なくなる。
【0038】
操作ピン50は接続部材40から分離可能に構成されているが、接続部材40と一体に設けられて分離できないように構成しても良い。 接続導体46は接続板の略中心において付勢されるため、略中心の付勢箇所を中心として両端に操作ピン50を介在させることで、接続導体46の両端について個別にバスバーとの電気的接続を操作することができる。
【0039】
したがって、接続部材40は、フィードイン導体30の幅方向両側に配置され、フィードイン導体30側の操作ピン50の操作によって、フィードアウト端部30bに接続部材40を予め挟着しておくことができる。この際、フィードイン導体30側の操作ピン50は取り外されて、外側の操作ピン50が残る。
【0040】
フィードアウト端部30bに取り付けられた接続部材40は図示しない絶縁性シートを貼り付けて保護している。接続部材40とフィードイン導体30の接続部分の少なくとも一部をカバーしておくと、フィードイン導体30に対する接続導体46の位置ズレの恐れを比較的緩和できる。また、接続部材40自体の施工中の取外れの恐れも緩和できるため、スムースなフィードインユニット10の組み上げが可能となって好適である。絶縁性シートは接続部材40を補助的に保護できるカバー体であれば良く、絶縁性素材に限らず金属製で構成し、ハウジングと別体でカバーしても良い。また、接続部材40の一部又は全部を覆い隠して良い。
【0041】
図5は、組立てたボックスケース12のバスダクト16への取り付けに関する説明図である。ボックスケース12の基本骨組みの完成後、バスダクト16の開口部52にフィードアウト端部30bを挿入する。フィードアウト端部30bには、予め2つの接続部材40が組み付けられているが、対向するバスバー16がちょうど接続部材40の箱状体42のスリット48に収められるようになっているので、フィードインアウト端部30bとバスバー18との接続は容易に行うことができる。また、このような構成により、ボックスケース12は、バスバー16の延設(伸長)方向に嵩張ることはない。
【0042】
図6はフィードイン導体30とバスバー16とが接続導体46によって接続された状態の説明図である。接続部材40の箱状体42の外側を部分的に除いた1相分の説明図で、内包される接続導体46を図示している。バスバー16が所定距離離間して配置された間に、フィードイン導体30が配置されて、フィードイン導体30とバスバー16との間2箇所をそれぞれ一対の接続導体46で接続した状態となっている。一対の接続導体46は、バスバーの各相の並列配置に合わせて各相2つずつ配置されているが、これにかぎるものではなく、各相1つ又は3つ以上でも良い。
【0043】
フィードイン導体30の両端部に配置されたバスバー16の接続が独立しているため、一方のみの接続を構築して他方の接続を構築しない状態で使用することが可能であり、更に、一方の接続のみを構築したものに対して他方の接続を別途構築することも容易に可能であり、隣り合うバスバー18との絶縁距離を狭めることなく、施工・利用の観点から非常に柔軟性が高い構造である。
【0044】
図7は、フィードイン導体30とバスバー16とが接続導体40によって接続された図6におけるA-A断面図であり、4相分示している。フィードイン導体30は、バスバー18の対向配置された間に挿入され、接続導体46によりフィードイン導体30とバスバー18は電気的に接続されている。各相の離間距離は、フィードイン導体30とバスバー18とは重なることなく接続されているので狭まることがない。
【0045】
したがって、この構成によれば、フィードイン導体30とバスバー18とは略同一平面上で電気的に接続されるので、フィードイン導体30の接続部分14における構造が全体としてコンパクトなものとなる。さらに、バスバー18相互の絶縁距離の確保も容易であり、バスダクト16やフィードイン導体30における相互絶縁のための特段の加工も不要となる。したがって、フィードイン接続構造の加工性や取扱い性や施工性が高められる。さらに、フィードイン接続構造がコンパクト化されることで、近年のデータセンターの様な電子機器がバスダクト近傍に列設されるような状況において、良好な配線が可能となる。
【0046】
図8は、各バスバー18に対して、各接続部材40の操作ピン50の操作を行って、接続導体46とバスバー18とを電気的に接続した状態とした後、端面部材51をフィードイン導体30の幅方向両外側に取り付ける様子を示す。
【0047】
端面部材51は、バスダクトの延設(伸長)方向に直交する側面51bと、その側面51bのバスダクト側の下部に、端面から屈曲して延在した固定部51aを有する。端面部材51によってフィードインボックス部12の骨組みの側面の開口は完全に塞がれる。固定部51aは、端面部材51がボックスケース12に組み付けられた状態において、バスダクト16側でボックスケース12の外側に配置されるように設けられ、バスダクド16の延設方向に延在している。固定部51aは、部分的に接続部分14の開口部52を被覆しており、バスダクト16のハウジングとしての役割を担わせることもできる。
【0048】
また、図示しない締着手段等によって、バスダクト16のハウジングの側面カバー部材28に対して締着される。これによりバスダクト16本体に対してボックスケース12が固定支持を受ける。すなわち、ボックスケース12単体で備えるべき構造的な強度を、バスダクト16から部分的に得ることができるため、ボックスケース12自体の構造の簡易化に大きく寄与する。
【0049】
また、データセンター等の室内空間において当該センターフィードインユニットを組み上げる場合、ボックスケース12とバスダクト16とが分離可能となっていることから、重量物を扱う負荷・危険性が低減されるとともに、搬入作業等、施工全体を通して省力化に大きく貢献する。
【0050】
ボックスケース12の上部に、遮蔽版48を固定することでボックスケース12が完成する。なお、遮蔽板48は図示しない定着具によって骨組み部に締着されるものであり、適宜係合、締着されるように設ければ良い。
【0051】
図9は、操作ピン50によるバスバー18の接続を完了していない状態で、端面部材51を取り付けようとした場合の説明図である。すなわち、接続部材40の操作ピン50と端面部材51との干渉に関する説明図である。フィードイン導体30の厚さ方向視の略平面図である。
【0052】
操作ピン50による回動操作をしないで接続部材40に操作ピン50が取り付いたままの状態において、端面部材51を組み付けようとすると、端面部材51の組み付け位置に操作ピン50の把持部50aが干渉して端面部材51の組み付けを完了することができない。すなわち、操作ピン50を回動操作して接続導体46がバスバー18に圧着した状態とならなければ、ボックスケース12の組み上げか完了しない。
【0053】
このように、本発明の実施の形態によると、ボックスケース12が組み上がっていれば接続部材40によってフィードイン導体30とバスバー18との接続が確実になされていることが確認でき、接続部材40の接続漏れによる事故が予防されるので好適である。
【0054】
上述した第1の実施の形態においては、種々の変更を加えることが可能である。図10は、フィードイン導体30とバスバー18との接続に係る変形例の説明図である。フィードインユニット10の接続部分において、バスバー18の幅方向上端部とフィードイン導体30の長さ方向端部、すなわち、フィードアウト端部30bとをクリップ(接続導体)54で接続した構成になっている。このような構成によれば、バスバー18とフィードイン導体30との略同一平面上における接続動作は、精密な位置決めを行うことなく簡単に行うことが可能となる。また、上述した接続部材40を使用しないので、より低コストで構成することができる。
【0055】
図11は、フィードイン導体30の接続部分14に係る変形例の説明図である。バスダクト16のハウジングを構成する略コ字状のチャネル材について、組み合わせる一方の上チャネル材20を短手とし他方の下チャネル材22を長手に設け、フィードインユニットの接続部分において、フィードインユニット側に短手の側が対向して付き合わされるようにして開口部52を形成するものである。開口部52を形成するのに必要な加工を単純化することができ、省力化に寄与する。
【0056】
図12は、ボックスケース12の骨組みと接続部材40との接続方法の別手順に関する説明図である。これまで上述した手順では、接続部材40をフィードイン導体30に接続してからバスダクト16の途中に設けた開口部52に挿入しているが、開口部52の対向したバスバー16の各々に2つの接続部材40を予め接続しておき、フィードイン導体30のフィードアウト端部30bを接続部材40のスリットに挿通して、フィードイン導体30と接続導体46との接続を取るように構成しても良い。
【0057】
(第2の実施の形態)
図13は本発明の第2の実施の形態に係る説明図であり、3線式の絶縁密着型バスダクトに適用した例である。絶縁密着型バスバー60が所定の間隔を置いて対向配置されており、その間に絶縁密着型の接続部材62が配置されている。底面カバー部材26上でそれらを組み立て、フィードイン導体30のフィードアウト端部30bを2つの絶縁密着型の接続部材62間に挿入し、ボックスケース12の第2側板部材51に設けられた固定部51aを絶縁密着型バスダクトに固定している。3線式の絶縁密着型バスダクトに対しても、本発明のフィードインユニットを使用することが可能であり、列設された電子機器の各負荷に対し柔軟な配電を提供することが可能である。
【0058】
本発明は上述した実施の形態や変形例に限定されるものではなく、各実施形態や本明細書記載例の部分的な構成を組み合わせて特定したもの、各実施の形態の部分的な構成を変更して特定したもの、各実施の形態の構成に本明細書記載例の部分的な構成を追加して特定したもの、各実施形態の部分的な構成を削除して特定したものを包含し、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0059】
各実施例において、フィードイン導体30は各相全て並行に設けられているが、デルタ配置等、適宜配置を選択しても良い。
【0060】
前述の実施の形態においては、フィードインユニットにおける本願発明の特徴を適宜、他のバスダクト構造において活用しても良いことは言うまでもなく、例えば、T分岐構造や、タップオフ構造において、導体の加工を省きつつ、取り回しが容易なバスバーの分岐構造を提供可能となる。
【符号の説明】
【0061】
10 フィードインユニット
12 ボックスケース
14 接続部分
16 バスダクト
18 バスバー
20 上チャネル材
22 下チャネル材
26 底面カバー部材
28 側面カバー部材
30 フィードイン導体
32 側面部材
34 枠部材
36 離間剤
40 接続部材
46 接続導体
50 操作ピン
51 端面部材
52 開口部
54 クリップ(接続導体)
60 絶縁密着型バスバー
62 絶縁密着型接続部材
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
図11
図12
図13