(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】調理用切断器具
(51)【国際特許分類】
B26B 3/00 20060101AFI20220425BHJP
【FI】
B26B3/00 Z
(21)【出願番号】P 2021157071
(22)【出願日】2021-09-27
【審査請求日】2021-10-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505209784
【氏名又は名称】二宮 俊二
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】二宮 俊二
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-005972(JP,U)
【文献】米国特許第04565004(US,A)
【文献】実公昭28-003357(JP,Y1)
【文献】実開昭56-009367(JP,U)
【文献】特開2002-143006(JP,A)
【文献】登録実用新案第3075877(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0093741(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0042431(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0049294(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第101973039(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 1/00 - 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の柄部と、
刃が形成されている一端縁部と、当該一端縁部の反対側となる端縁部であって前記柄部が接続された他端縁部とを有する板状の本体部と、を備え、
前記柄部は前記本体部の前記他端縁部に対してL字状に屈曲させて接続され
、
前記本体部の前記一端縁部には、中央部に設けられた第1刃部と、前記第1刃部の一側方部に前記第1刃部に繋げて設けられた円弧状の第2刃部と、前記第1刃部の他側方部に前記第1刃部に繋げて設けられた円弧状の第3刃部とを有する前記刃が形成され、
前記第1刃部は、前記本体部の前記一端縁部における、前記他端縁部に対して接続された前記柄部の前記本体部側への延長線上となる位置にあり、
前記第2刃部は、前記柄部の前記本体部側への前記延長線よりも前記本体部において外側となる前記一端縁部部分に形成され、
前記柄部は、前記他端縁部に対して前記第2刃部側に傾く傾斜を有して、前記他端縁部の前記第2刃部側の隅部に接続され、
前記第2刃部の外縁部と、前記他端縁部に接続された前記柄部の外縁部とが繋がる形状とされている、調理用切断器具。
【請求項2】
前記第1刃部は、直線状とされている、請求項1に記載の調理用切断器具。
【請求項3】
前記本体部において前記一端縁部と前記他端縁部との間となる平面部分には、前記一端縁部から前記他端縁部に向かって厚みを増していく斜面が形成されている、請求項1
又は請求項2に記載の調理用切断器具。
【請求項4】
前記斜面は、前記本体部における前記一端縁部から前記他端縁部に向かう方向に、前記本体部の前記平面部分側に凹む円弧状の形状で厚みを増していく請求項3に記載の調理用切断器具。
【請求項5】
前記斜面は、前記本体部における前記一端縁部から前記他端縁部に向かう方向において前記平面部分の一部に設けられ、前記他端縁部まで延びる形状とされ
、
前記斜面は、前記一端縁部から前記他端縁部に向かう方向における前記他端縁部側の一部が平面状とされて、前記他端縁部と同じ厚さとされ、
前記柄部は、前記厚さを有する前記他端縁部の一端に突設されている、請求項
3又は請求項4に記載の調理用切断器具。
【請求項6】
前記本体部の前記刃の先端を、平坦面又は丸面により形成されている、請求項1乃至請求項
5のいずれかに記載の調理用切断器具。
【請求項7】
前記本体部及び前記柄部は、一体的に形成された合成樹脂の成形品である請求項1乃至請求項
6のいずれかに記載の調理用切断器具。
【請求項8】
前記本体部と前記柄部とは、前記本体部と前記柄部の角度を調節する角度調節機構により接続されている、請求項1乃至請求項
7のいずれかに記載の調理用切断器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フライパンでの調理等に用いられる調理用切断器具に関する。
【背景技術】
【0002】
調理用切断器具として、様々な用途に適した各種の包丁等の切断器具が提案されている。例えば、特許文献1に記載の多用途包丁では、刃の湾曲した頭部に刃付けがされていない部分を設け、柄を刃の延びる方向に接続している。
【0003】
また、特許文献2に記載の洋食用のナイフでは、ナイフと柄をL字状に曲げて、ナイフの刃先を、形成されたL字の内側に向け、食物を切る刃先の部分を突き出させている(特許文献2の
図2を参照)。
【0004】
また、特許文献3に記載の突き切り野菜包丁では、円弧状先端刃部及び該円弧状先端刃部に連接する直線状側端刃部を有し、円弧状先端刃部の最先端から両刃部の境界位置までの直線の長さと直線状側端刃部の長さが略同一であり、両刃部の全長に対して二分の一以下の割合を占める刀身と、中子と、を備え、刀身と中子を、段差を設けて結合させ、刀身と柄をL字状に曲げて、両刃部の殆どの部分をL字状の内側に向け、中子を刀身に対して傾斜させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-18077号公報
【文献】登録実用新案第3027289号公報
【文献】特開昭58-198365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、フライパン1つで簡単に調理する所謂ワンパン料理が広く親しまれている。このワンパン料理では、例えば、フライパンで材料を調理して、フライパンの中で料理を完成させ、料理をフライパンからまな板に移し、まな板の上で料理を包丁で切り分けてお皿に移す。ここで、フライパンの中で料理を切り分けてから、料理をフライパンからお皿に移す方法も考えられる。この場合は、手順が更に簡単化され、料理を直ちにお皿に移して料理を迅速に提供でき、まな板を使わない分だけ後片付けも更に簡単になる。このため、フライパンの中で料理を切り分けるのに適した包丁があれば便利である。
【0007】
ここで、特許文献1に記載の多用途包丁は、柄を刃の延びる方向に接続しているので、フライパンの中で料理を切り分けようとして、刃をフライパンの中の料理に押し付けると、柄がフライパンの縁に当たり、料理を切るのが容易でない。また、この多用途包丁は、刃の湾曲した頭部に、刃付けがされていない部分を有しているため、この刃の頭部をフライパンの中の料理に押し付けて料理を切り分けることができる。しかしながら、刃の頭部の幅が小さいため、刃の頭部を移動させつつ何度も繰り返して料理に押し付けなければ、料理を切り分けることができない。
【0008】
また、特許文献2に記載の洋食用のナイフは、ナイフと柄をL字状に曲げて、ナイフの刃をL字状の内側に向けているので、フライパンの中で料理を切り分けようとして、刃をフライパンの中の料理に押し付けると、やはり柄がフライパンの縁に当たり易く、料理を切るのが容易でない。
【0009】
更に、特許文献3に記載の突き切り野菜包丁は、刀身と柄をL字状に曲げて、両刃部の殆どの部分がL字状の内側に向いているので、フライパンの中で料理を切り分けようとして、両刃部をフライパンの中の料理に押し付けると、これもまた、柄がフライパンの縁に当たり易く、料理を切るのが容易でない。
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、フライパン等の中で料理を切り分ける動作がし易い調理用切断器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一局面にかかる調理用切断器具は、長尺状の柄部と、刃が形成されている一端縁部と、当該一端縁部の反対側となる端縁部であって前記柄部が接続された他端縁部とを有する板状の本体部と、を備え、前記柄部は前記本体部の前記他端縁部に対してL字状に屈曲させて接続され、前記本体部の前記一端縁部は少なくともその一部が円弧状とされている。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、柄部が本体部の他端縁部に対してL字状に屈曲させて接続されているため、ユーザーが柄部を持って、刃が形成されている本体部の一端縁部をフライパン等の中の料理に押し当てるとき、柄部をフライパンの縁に当てないようにして料理を切り分ける作業がし易い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明にかかる一実施形態の調理用切断器具を示す斜視図である。
【
図2C】柄部を寝かせた状態とした調理用切断器具を示す背面図である。
【
図2D】第1刃部をフライパンの内底面に接触させた状態の調理用切断器具を示す背面図である。
【
図2E】本体部に凹部が形成された調理用切断器具を示す背面図である。
【
図3】(A)は調理用切断器具を示す左側面図、(B)は調理用切断器具を示す右側面図である。
【
図4】(A)は調理用切断器具を示す平面図、(B)は調理用切断器具を示す底面図である。
【
図5】(A)は本実施形態に係る調理用切断器具の刃の先端を拡大して示す断面図であり、(B)(C)は刃の先端の変形例を拡大して示す断面図である。
【
図6】本実施形態に係る調理用切断器具の本体を拡大して示す正面図である。
【
図7】(A)(B)は、本実施形態に係る調理用切断器具の使用手順を示す図である。
【
図8】(A)は本実施形態に係る調理用切断器具の使用状態を示し、本体部の刃により料理が押し切られている状態を示す平面図であり、(B)はその状態を示す側断面図である。
【
図9】本実施形態に係る調理用切断器具の本体の変形例を拡大して示す正面図である。
【
図10】調理用切断器具の変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る調理用切断器具を示す斜視図である。
図2Aは調理用切断器具を示す正面図である。
図2Bは調理用切断器具を示す背面図である。
図2Cは、柄部を寝かせた状態とした調理用切断器具を示す背面図である。
図2Dは、第1刃部をフライパンの内底面に接触させた状態の調理用切断器具を示す背面図である。
図3(A)は調理用切断器具を示す左側面図、(B)は調理用切断器具を示す右側面図である。
図4(A)は調理用切断器具を示す平面図、(B)は調理用切断器具を示す底面図である。
【0015】
図1乃至
図4に示すように、調理用切断器具1は、板状の本体部2と、本体部2の一端に接続された長尺状の柄部3とを備える。柄部3は本体部2に対してL字状に屈曲されて接続されている。例えば、柄部3及び本体部2は、一体的に形成された合成樹脂の成形品である。なお、ここでいうL字状とは、柄部3及び本体部2が直角に接続する状態と、更に、内角θを鈍角として、柄部3が本体部2に対して屈曲されて接続する状態とを広く指すものとする。
【0016】
本体部2は、刃4として形成されている一端縁部21と、一端縁部21の反対側となる端縁部であって、柄部3が接続された他端縁部22とを有する。調理用切断器具1において、刃4は、本体部2と柄部3とで形成されるL字がなす内角θ(
図2(A))部分ではなく、本体部2と柄部3とで形成される内角θに対して反対側となる端縁部に設けられている。本体部2と柄部3とで形成される内角θは鈍角(180度未満)とされている。
【0017】
本体部2の一端縁部21には、刃4として、中央部に設けられた直線状の第1刃部211と、第1刃部211の一側方部に設けられた円弧状の第2刃部212と、第1刃部211の他側方部に設けられた円弧状の第3刃部213とが形成されている。すなわち、本実施形態では、本体部2の一端縁部21は、少なくともその一部が円弧状とされている。但し、他の実施形態として、(1)第1刃部211、第2刃部212、及び第3刃部213の全てが直線状であってもよいし、(2)第2刃部212又は第3刃部213の一方が直線状で他方が円弧状であってもよいし、(3)更には、第1刃部211、第2刃部212、及び第3刃部213の全てが円弧状であってもよい。
【0018】
柄部3は、本体部2の他端縁部22の一方の隅部221に、他端縁部22に対して傾斜を有して接続されている。すなわち、上記のように、本体部2と柄部3とで形成される上記内角θを鈍角として、柄部3が他端縁部22の隅部221に接続されている。なお、他の実施形態として、(i)柄部3は、本体部2の他端縁部22の中央に、他端縁部22に対して傾斜を有して接続されている、或いは、(ii)本体部2の他端縁部22の中央に、他端縁部22に対して直角に接続されている、といった構成を採用してもよい。
【0019】
また、本体部2の一端縁部21に設けられた第1刃部211は、
図2(A)に示すように、他端縁部22に対して接続された柄部3の本体部2側への延長線上となる一端縁部21部分に形成されている。
【0020】
柄部3がこのようにして本体部2の他端縁部22に接続されていることにより、ユーザーが柄部3を持って、フライパン内の料理に対して上方から調理用切断器具1の一端縁部21を押し込んで当該料理を切断する作業を行うとき、料理に対して斜め上方から簡単に力を加えることができ切断位置も見やすく、しかも、柄部3の本体部2側への延長線上にある第1刃部211は直線状であるため、ユーザーは、当該料理の下に位置するフライパンの内底面に第1刃部211を接触させた状態で、当該内底面上で安定して調理用切断器具1をスライド動作させることができる。このとき、第2刃部212及び第3刃部213が料理の内部に接触しながら調理用切断器具1がスライド移動するため、第2刃部212及び第3刃部213により料理を切断することも可能になる。
【0021】
更に、第2刃部212は、柄部3の本体部2側への上記延長線よりも本体部2において外側、すなわち、第1刃部211が延びる方向における本体部2の中心部からみて上記延長線の外側となる本体部2の一端縁部21部分に設けられている。このため、ユーザーが、柄部3が本体部2に対して傾いている方向に柄部3を倒していくと、円弧状の第2刃部212の形状に沿って円滑に、矢印方向Bに調理用切断器具1を回動動作させることができる。この回動動作が円滑に行えることで、第2刃部212によっても、簡単に上記料理を切断することが可能になる。すなわち、本体部2の一端縁部21は少なくともその一部が円弧状であるため、ユーザーは、この円弧状部分をフライパンの内底面に当てた状態で柄部3を持ち、円弧状部分の形状に沿って調理用切断器具1を回動させることができる。このような回動動作によっても、ユーザーは、フライパンの中で柄部3をフライパンの縁に当てないようにして料理を切り分ける作業を行うことができる。
【0022】
また、
図2Cに示すように、柄部3を寝かせた状態として第2刃部212を料理に対して押し込み、第2刃部212をフライパンの内底面に接触させて調理用切断器具1をスライド動作させることもできる。これにより、ユーザーは、柄部を立てた状態時よりも、容易に力を入れて料理を切断することができる。
【0023】
なお、
図2Dに示すように、第3刃部213をフライパンの内底面に接触させて調理用切断器具1を回動動作させることも可能である。この回動動作により、第3刃部213によって上記料理を切断し、或いは、第3刃部213をフライパンの内底面に接触させて調理用切断器具1をスライド動作させることも可能である。
【0024】
更に、本体部2において一端縁部21と他端縁部22との間となる平面部分23には、一端縁部21から他端縁部22に向かって厚みを増していく斜面231が形成されている。斜面231は、本体部2における一端縁部21から他端縁部22に向かう方向において平面部分23の一部に設けられ、他端縁部22まで延びる形状とされている。これにより、本体部2は、刃4及び該刃4とは反対側に厚みがある他端縁部22を有する。斜面231は、他端縁部22の延びる方向に平行に延び、本体部2において当該延びる方向における幅の全域に亘って形成されている。更に、斜面231は、一端縁部21から他端縁部22に向かう方向における他端縁部22側の一部が平面状部232とされている。すなわち、斜面231は、一端縁部21から他端縁部22に向かう方向において、本体部2が他端縁部22と同じ厚さになるまで徐々に厚くなり、上記平面状部232の部分では、他端縁部22と同じ厚さとなっている。柄部3は、厚みがある他端縁部22の一端に突設されているため、本体部2と柄部3の間の接続強度の向上が図られている。
【0025】
なお、調理用切断器具1は、本体部2において、平面部分23を有する一面とは反対側の他面に、
図2Eに示すような凹部233が形成されていてもよい。凹部233は、本体部2の厚み方向に窪んだ形状となっている。調理用切断器具1は、本体部2に凹部233を有することで、本体部2及びその一端縁部21により料理を切断するとき、切断された料理が本体部2から離れやすくなる。
【0026】
図5(A)は調理用切断器具1の本体部2の刃4の先端を拡大して示す
図2(A)のA-A線における断面図である。
図5(A)に示すように刃4としての一端縁部21の先端には、該刃4の長手方向(
図1におけるX方向)に延び、側面視で鋭利な形状とされた端部4aが形成されている。このように刃4の先端は端部4aにより尖った形状とされているが、本体部2は合成樹脂による成形とすることで、切れ味を確保しつつ、安全性も確保している。
【0027】
図5(B)は調理用切断器具1の本体部2の刃4の先端の他の例を拡大して示す
図2(A)のA-A線における断面図である。刃4の先端は、
図5(B)に示すように、該刃4の長手方向(
図1におけるX方向)に延び、厚み方向に狭い幅を有する平坦面4bとしてもよい。これにより、刃4の先端を尖った形状にせず、切れ具合をなまらせたものとできる。
【0028】
図5(C)は調理用切断器具1の本体部2の刃4の先端の更に他の例を拡大して示す
図2(A)のA-A線における断面図である。
図5(C)に示すように刃4の先端には、刃4の長手方向(
図1におけるX方向)に延び、厚み方向に狭い幅を有する丸面4cとしてもよい。これにより、刃4の先端を尖った形状にせず、切れ具合をなまらせたものにできる。
【0029】
ここで、調理用切断器具1を使用してフライパンの中で調理された料理を切り分ける場合における、調理用切断器具1の使用方法の一例を説明する。
図6は、調理用切断器具1の本体部2部分を拡大して示す正面図である。上述したように、本体部2の刃4の周縁部分である一端縁部21は、直線状の第1刃部211と、円弧状の第2刃部212及び第3刃部213とを有する。そして、
図7(A)に示すように、ユーザーは、調理用切断器具1を、
図7(A)におけるフライパン11の中の料理12に対して上方から押し込み、更に料理12の下方へと移動させる。これにより、本体部2の一端縁部21により料理12に切れ目を入れる。
【0030】
(i)
図7(B)に示すように、ユーザーは、柄部3を掴んだ状態で、第1刃部211をフライパン11の内底面111に接触させた状態とし、この状態で矢印C方向にスライド移動させる。これにより、第2刃部212又は第3刃部213により料理12を矢印C方向に切断していくことが可能である。
【0031】
(ii)また、ユーザーは、柄部3を掴んだ状態で、第1刃部211をフライパン11の内底面111に接触させた状態とし、この状態で矢印D方向に、調理用切断器具1を回動させてもよい。この場合、第2刃部212又は第3刃部213が、
図7(B)に示す矢印D方向に回動しながら料理12に押し当たるため、料理12を更に確実に切り分けることができる。
【0032】
図8(A)は、本体部2の刃4により料理12が押し切られている状態を示す平面図である。
図8(B)は、その状態を示す側断面図である。本体部2の一端縁部21が料理12に対してその上方から押し当てられ、上方から料理12に入り込んだとき、まず、刃4としての一端縁部21が料理12に切れ目を入れ、続いて本体部2の斜面231が料理12の当該切れ目に入り込む(料理12の厚みが斜面231に到達する程度のものである場合)。このとき、本体部2の斜面231が当該切れ目の両側に位置する料理12部分を、斜面231により切れ目が拡がる方向に押し拡げる。これにより、料理12が確実に切り分けられる。
【0033】
なお、本体部2に対して柄部3が上記のようにL字状となるように設けられ、刃4をなす一端縁部21は、柄部3が取り付けられている本体部2部分とは反対側となる本体部2の縁部に設けられて延びているため、ユーザーは、柄部3をフライパン11の周縁に当てることなく、上記作業を行うことが可能である。
【0034】
また、調理用切断器具1を、料理12及び内底面111の上方に移動させて、料理12の切れ間から抜き、調理用切断器具1をその切れ目に沿って、料理12の別の位置に移動させ、移動後の位置で調理用切断器具1を料理12に向けて下方に移動させて、本体部2の一端縁部21を料理12に押し込み、上記(i)又は(i)(ii)の作業を繰り返すことで、料理12が大きくても、料理12を切り分けることができる。
【0035】
また、本体部2を合成樹脂により形成している場合、フライパン11が傷付けられたり、一端縁部21に刃こぼれが生じたりすることは少なく、子供などでも料理12を安全に切り分けることができる。また、
図5(B)(C)に示した形状とすることで、更に、フライパン11が傷付けられたり刃こぼれが生じたりすることを確実に防止できる。
【0036】
このように、本実施形態に係る調理用切断器具1は、柄部3が本体部2の他端縁部22に対してL字状に屈曲させて接続されているため、ユーザーが柄部3を持って、刃4が形成されている本体部2の一端縁部21をフライパン11等の中の料理に押し当てるとき、柄部3をフライパン11の縁112に当てないようにして料理を切り分ける作業がし易い。更に、本体部2の一端縁部21は少なくともその一部が円弧状であるため、ユーザーは、この円弧状部分をフライパン11の内底面111に当てた状態で柄部3を持ち、円弧状部分の形状に沿って調理用切断器具1を回動させることができる。このような回動動作によっても、ユーザーは、フライパン11の中で柄部3をフライパン11の縁112に当てないようにして料理を切り分ける作業を行うことができる。このため、出来上がった料理を直ちにお皿に移して、料理を熱いうちに提供することができ、更に、後片付けも簡単である。
【0037】
調理用切断器具1の本体部2の変形例を説明する。
図9は、調理用切断器具1の本体部2の変形例を拡大して示す正面図である。
図9に示すように、変形例の本体部2の刃4としての一端縁部21の周縁は、連続する1つの円弧部44として形成されている。このように刃4としての1つの円弧部44によっても、本体部2の刃4をフライパン11に押し付けた状態で、
図7(B)に示す矢印D方向に、調理用切断器具1を回動させることで、料理12を速やかに切り分けることができる。
【0038】
図10は、調理用切断器具1の更なる変形例を示す正面図である。この変形例に係る調理用切断器具1は、板状の本体部2Aと、本体部2Aの一端に接続された長尺状の柄部3Aとを備える。調理用切断器具1は、更に、本体部2Aと柄部3Aの角度を調節する角度調節機構10を有する。この角度調節機構10は、次のような構成となっている。
【0039】
本体部2Aの他端縁部22の一端には、本体部2Aの厚さ方向に貫通する貫通孔(図略)が形成されている。柄部3Aの下端にも、柄部3Aの厚さ方向に貫通する貫通孔(図略)が形成されている。本体部2Aの他端縁部22の一端の貫通孔と、柄部3Aの下端の貫通孔とを重ね合わせた状態とし、ビス7を両方の貫通孔に通し、ビス7にナット8をねじ込んで締め付け、柄部3Aを本体部2Aに接続して固定する。すなわち、角度調節機構10は、本体部2Aの他端縁部22の一端に形成された貫通孔と、柄部3Aの下端に形成された貫通孔と、ビス7と、ナット8とを含んで構成される。
【0040】
この固定時に、ナット8を緩めた状態で、本体部2Aに対する柄部3Aの角度を適宜変更して調節し、その後にナット8を締め付けて、その角度を固定することが可能である。
【0041】
本体部2Aの他端縁部22における柄部3Aの下端を挟む両側部位には、本体部2Aに対する柄部3Aの回動角度を制限する突起であるストッパー9がそれぞれ設けられている。これらのストッパー9により、本体部2Aに対する柄部3Aの取付角度の範囲を、本体部2Aと柄部3AがL字状を形成する予定した範囲内に制約できる。すなわち、角度調節機構10は、本体部2Aの他端縁部22の一端に形成された貫通孔と、柄部3Aの下端に形成された貫通孔と、ビス7と、ナット8と、ストッパー9とを含んで構成される。
【0042】
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、調理用切断器具1を合成樹脂による一体型の成形品としたが、調理用切断器具1を金属等の他の材質で作製してもよい。この場合は、刃4としての一端縁部21の先端部を
図5(B)(C)に示した形状とすることが好ましい。また、調理用切断器具1は、本体部2と柄部3とが別個の部品からなり、これら複数の部品が組み立てられて接続されることで、調理用切断器具1が完成するものとしても構わない。
【0043】
また、
図1乃至
図10を用いて説明した上記実施形態及び変形例の構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明を当該構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0044】
1 調理用切断器具
2 本体部
231 斜面
3 柄部
4 刃
4a 端部
4b 平坦面
4c 丸面
21 一端縁部
211 第1刃部
212 第2刃部
213 第3刃部
22 他端縁部
10 角度調節機構
【要約】
【課題】フライパン等の中で料理を切り分ける動作がし易い調理用切断器具を提供する。
【解決手段】調理用切断器具1は、刃4を有する板状の本体部2と、本体部2の一端に接続された長尺状の柄部3とを備える。本体部2は、刃4が形成されている一端縁部21と、一端縁部21の反対側となる端縁部であって柄部3が接続された他端縁部22とを有する。柄部3は本体部2の他端縁部22に対してL字状に屈曲させて接続される。本体部2の一端縁部21は少なくともその一部が円弧状とされている。
【選択図】
図1