(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】サポート部材
(51)【国際特許分類】
A41D 13/08 20060101AFI20220425BHJP
A63B 71/08 20060101ALI20220425BHJP
A63B 71/14 20060101ALI20220425BHJP
【FI】
A41D13/08 107
A63B71/08 A
A63B71/14
(21)【出願番号】P 2017183341
(22)【出願日】2017-09-25
【審査請求日】2020-09-04
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田渕 規之
【審査官】武井 健浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-093284(JP,A)
【文献】登録実用新案第3115573(JP,U)
【文献】実公昭35-014330(JP,Y1)
【文献】特開2003-118265(JP,A)
【文献】特開2004-109101(JP,A)
【文献】特開2000-352924(JP,A)
【文献】実開昭63-038510(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0160178(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/00 - 13/12
A41D 20/00
A41D 19/00 - 19/04
A63B 71/08
A63B 71/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の指の屈曲動作をサポートするサポート部材であって、
前記特定の指の背側に当接する本体部と、
前記本体部より延伸するベルト部と、を備え、
前記本体部には、前記ベルト部を挿通させて2つの環状構造を形成させる、少なくとも2つの切欠きが設けられている、
ことを特徴とするサポート部材。
【請求項2】
請求項1に記載のサポート部材において、
前記少なくとも2つの切欠きは、
前記ベルト部を前記本体部の表側より裏側に挿通させて第1の環状部を形成させる第1の切欠きと、
前記第1の切欠きに挿通されている前記ベルト部を前記本体部の表側に挿通させた後に、再度前記本体部の裏側に挿通させて第2の環状部を形成させる第2の切欠きと、を含む、
ことを特徴とするサポート部材。
【請求項3】
請求項1に記載のサポート部材において、
前記少なくとも2つの切欠きは、
前記ベルト部を前記本体部の表側より裏側に挿通させて第1の環状部を形成させる第1の切欠きと、
前記第1の切欠きに挿通されている前記ベルト部を、前記本体部の表側に挿通させる第2の切欠きと、
前記第2の切欠きに挿通されている前記ベルト部を、前記本体部の裏側に挿通させて第2の環状部を形成させる第3の切欠きと、を含む、
ことを特徴とするサポート部材。
【請求項4】
請求項1に記載のサポート部材において、
前記ベルト部は、前記本体部より延伸する第1のベルト部と、第2のベルト部とを含み、
前記少なくとも2つの切欠きは、
前記第1のベルト部を前記本体部の表側より裏側に挿通させて第1の環状部を形成させる第1の切欠きと、
前記第2のベルト部を前記本体部の表側より裏側に挿通させて第2の環状部を形成させる第2の切欠きと、
前記第1の切欠き、及び前記第2の切欠きに挿通されている前記第1のベルト部、及び前記第2のベルト部を前記本体部の表側に挿通させる第3の切欠きと、を含む、
ことを特徴とするサポート部材。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のサポート部材において、
前記ベルト部は、少なくとも前記本体
部側において二股に分岐している、
ことを特徴とするサポート部材。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れかに記載のサポート部材において、
前記本体部と前記ベルト部とは、発泡EVAにより一体的に形成されている、
ことを特徴とするサポート部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指の把持力を向上させることのできるサポート部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
野球用バットやゴルフクラブのように、両手または片手で把持するスポーツ用の打撃具は、主に小指、薬指、及び中指の力で把持するのが良いとされている。従来、これらの指をアシストすることを目的とした補助具が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、中指と薬指とを周回固着させるバンドの握り面に肉厚を設けることでグリップ力を大きくするようにしたグリップ補助具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
サポートの対象となる小指と薬指は、指を独立して運動させたときに発揮できる力は小さいが、特に薬指は、その力発揮機能が他の指の力に強く依存していることが知られている。つまり、指間の力をうまく連動させることにより、指の把持の力を効果的に発揮させることができると期待される。しかしながら、かかる知見に基づいて把持力を向上させようとするサポート部材は知られていない。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、隣り合う指同士を連動させて屈曲させることにより、指の把持力を効果的に発揮させることのできるサポート部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明によるサポート部材は、特定の指の屈曲動作をサポートするサポート部材であって、前記特定の指の背側に当接する本体部と、前記本体部より延伸するベルト部と、を備え、前記本体部には、前記ベルト部を挿通させて2つの環状構造を形成させる、少なくとも2つの切欠きが設けられていることを特徴としている。これにより、サポートを目的とする指を、その両側の指と同調させて屈曲させることができる。
【0008】
また、前記少なくとも2つの切欠きは、前記ベルト部を前記本体部の表側より裏側に挿通させて第1の環状部を形成させる第1の切欠きと、前記第1の切欠きに挿通されている前記ベルト部を、前記本体部の表側に挿通させる第2の切欠きと、前記第2の切欠きに挿通されている前記ベルト部を、前記本体部の裏側に挿通させて第2の環状部を形成させる第3の切欠きと、を含むようにしてもよい。これにより、第2の環状部を容易に形成することができる。
【0009】
また、前記ベルト部は、前記本体部より延伸する第1のベルト部と、第2のベルト部とを含み、前記少なくとも2つの切欠きは、前記第1のベルト部を前記本体部の表側より裏側に挿通させて第1の環状部を形成させる第1の切欠きと、前記第2のベルト部を前記本体部の表側より裏側に挿通させて第2の環状部を形成させる第2の切欠きと、前記第1の切欠き、及び前記第2の切欠きに挿通されている前記第1のベルト部、及び前記第2のベルト部を前記本体部の表側に挿通させる第3の切欠きと、を含むようにしてもよい。これにより、第1の環状部、及び第2の環状部のそれぞれを容易に形成することができる。
【0010】
また、前記ベルト部を、前記本体部側において二股に分岐させてもよい。これにより、サポートを目的とする指の両側に負荷が掛かるのを防止することができる。
【0011】
また、前記本体部と前記ベルト部とを、発泡EVAにより一体的に形成してもよい。これにより、本発明によるサポート部材を簡易に形成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によるサポート部材によれば、サポート指をアシスト指の屈曲に同調させて屈曲させることができるようになり、サポート指の把持力を効果的に向上させることが可能になる。また、アシスト指自身もサポート指と同調させて屈曲させることができるので、アシスト指の把持力も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態1に係るサポート部材の斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係るサポート部材の本体部を示す平面図である。
【
図3】実施の形態1に係るサポート部材の使用方法を説明するための正面図である。
【
図4】実施の形態1に係るサポート部材の使用方法を説明するための正面図である。
【
図5】実施の形態1に係るサポート部材の使用方法を説明するための正面図である。
【
図6】実施の形態1に係るサポート部材の使用方法を説明するための正面図である。
【
図7】実施の形態1に係るサポート部材の使用状態を示す図である。
【
図8】本発明による効果を説明するための図である。
【
図9】実施の形態2に係るサポート部材の斜視図である。
【
図10】実施の形態2に係るサポート部材の使用方法を説明するための正面図である。
【
図11】実施の形態2に係るサポート部材の使用方法を説明するための正面図である。
【
図12】実施の形態2に係るサポート部材の使用方法を説明するための正面図である。
【
図13】実施の形態3に係るサポート部材の斜視図である。
【
図14】実施の形態3に係るサポート部材の使用方法を説明するための正面図である。
【
図15】実施の形態3に係るサポート部材の使用方法を説明するための正面図である。
【
図16】実施の形態4に係るサポート部材の斜視図である。
【
図17】実施の形態4に係るサポート部材の使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態1)
以下、本実施の形態1によるサポート部材について説明する。
図1は本発明に係るサポート部材100の斜視図である。以下の説明においては、ベルト部20(後述する。)が延伸する方向をサポート部材100の「長さ」方向と定義し、長さ方向に直交する方向を「幅」方向と定義する。また、本体部10(後述する。)が使用者の指に当接する側を、サポート部材100の「裏」と定義し、他方の面を「表」と定義する。また「左右」とは、長さ方向に関する位置関係を意味している。
【0015】
図1において、サポート部材100は、幅広の帯状に形成された本体部10と、細長の帯状に形成されたベルト部20とより構成される。本体部10には、本体部10の表裏を貫通する第1の切欠き31、及び第2の切欠き32が形成されている。本体部10とベルト部20とは、ゴム、シリコン、EVA、あるいはウレタンなどの伸縮性のある材料により、平面的に一体成型されている。
【0016】
本体部10は、バットなどの打撃具を把持している使用者の指のうち、把持力を高めようとする指(以下、「サポート指」という。)の背側に接し、サポート指に対して屈曲方向に付勢する力を与える部材である。本体部10は、長さ方向に関しては、サポート指の近位関節の幅長か、あるいはサポート指の近位関節囲の2/3程度の長さを覆うのが好ましい。幅方向に関しては、サポート指の背側長の4/5程度あれば、本体部10が指の近位関節を跨ぐ場合にも対応することができる。このため、薬指をサポート指として想定する場合、本体部10の長さは10~50mm程度とし、幅は上限として80mm程度とするのが好適である。
【0017】
本体部10の厚さは、本体部10を屈曲させることのできる範囲であれば任意の厚みとすることができ、例えばEVAの場合は、0.1~5mmとすることができる。本体部10の平面形状は、
図1に示すような矩形状の他に、円形状や楕円形状など任意の形状とすることができる。
【0018】
次に、ベルト部20は、サポート指の両側の指(以下、「アシスト指」という。)を挿入する2つの環状構造を、本体部10の表側の左右に形成するものである。ベルト部20は、後述するように、第1の切欠き31、及び第2の切欠き33に順次挿通させることで、第1の環状部40a、及び第2の環状部40bを立体的に形成する。
【0019】
ベルト部20は、アシスト指の近位関節囲の和にサポート指の近位関節囲の2/3程度の長さを加えた長さを下限とすることができる。このため、薬指をサポート指として想定する場合は、ベルト部20の長さは100mm以上とするのが好ましい。ベルト部20の幅は、本体部10の幅以下であれば任意の幅とすることができる。
【0020】
次に、第1の切欠き31、及び第2の切欠き33は、本体部10の表裏を貫通するベルト部20の挿通路である。第1の切欠き31、及び第2の切欠き33は、スリット状あるいは孔状に形成され、ベルト部20の幅よりも長い長さで設けられる。第1の切欠き31と、第2の切欠き32は、本体部10の長さ方向の中央部分を挟んだ左右それぞれの領域に設ければよい。特に、
図2に示すように、本体部10を長さ方向に4等分した各領域のうち、本体部10の中央を挟む左右それぞれの領域に設けるのが好ましい。これにより、サポート部材100を立体的に組み立てた時に、本体部10とサポート指とを十分な面積をもって接触させることができる。
【0021】
次に、サポート部材100の使用方法、及び本発明による作用効果を説明する。
図3ないし
図5は、サポート部材100を使用時の立体形状に変形させる工程を説明するための、サポート部材100の正面図である。
まず、
図3に示すように、ベルト部20を、本体部10の表側から第1の切欠き31に挿通する。これにより、本体部10の左側に第1の環状部40aが形成される。次に
図4に示すように、ベルト部20を、本体部10の裏側から第2の切欠き32に挿通する。そして
図5に示すように、ベルト部20を、ベルト部20が挿入されている第2の切欠き32の環状部40a側に再度挿通し、そのまま第1の切欠き31の裏側から表側に向けて挿通する。これにより、本体部10の右側に第2の環状部40bが形成される。
【0022】
次に、
図6に示すように、アシスト指を第1の環状部40a、及び第2の環状部40bにそれぞれ挿入し、本体部10をサポート指の背側に当接させる。この状態でアシスト指に適度な締付け感が得られるように、ベルト部20を適宜締付けて第1の環状部40a、及び第2の環状部40bのサイズを調整する。これにより、使用時のサポート部材100を完成させることができる。使用時のサポート部材100は、ベルト部20が本体部10に挿通されることにより、本体部10は正面視において山型の湾曲形状をなし、当該山型の両側に第1の環状部40a、及び第2の環状部40bが配置された構造となる。
【0023】
使用者は、かかるサポート部材100を装着し、野球用バットなどの打撃具を把持することで、サポート部材100を使用することができる。
図7は、サポート部材100の使用状態を示す図である。
図7では、左手の薬指をサポート指とし、小指と中指とをアシスト指として野球用バットのグリップ50を把持した状態を示している。
【0024】
使用者がグリップ50を把持すると、第1の環状部40a、及び第2の環状部40bは、中指、及び小指の屈曲によりグリップ50方向に押さえつけられる。すると、本体部10も、第1の環状部40a、及び第2の環状部40bに引っ張られるようにグリップ50方向に押さえ付けられる。これにより、薬指は本体部10により付勢されることになり、薬指は、中指、及び小指と連動して屈曲することになる。この結果、薬指は単独で屈曲させるよりも大きな力を発揮することができる。また、アシスト指である小指、及び中指も、隣り合う薬指と同調して屈曲することになるので、それぞれを単独で屈曲させるよりも大きな力を発揮することができる。
【0025】
次に、本発明による効果を説明する。本発明者は、本発明による効果を検証するために、サポート部材100を装着した場合と装着しない場合とにおける把持力の差を検証した。使用するサポート部材100は、幅25mm×長さ40mmの矩形状の本体部10と、幅7mm×長さ180mmのベルト部20とを、厚み2mmのEVAシートにより一体形成した。
【0026】
検証は、21名の被験者で行った。被験者には、エアパック式接触圧測定器のエアパック受圧センサ2個を手掌部に装着した状態で、軟式野球用バットの把持を以下の2条件で行ってもらった。
非装着:素手でバットを把持する。
装着:薬指をサポート指とし、小指と中指とをアシスト指としてサポート部材100を装着し、バットを把持する。
【0027】
被験者は、いずれの条件においても、立位で掌を開いた状態で5秒間静止した後、ボールを打つつもりでバットを自然に構え、10秒間静止することとした。この際に、サポート部材100を過度に意識せず把持できるように、サポート部材100を装着している状態を被験者自身の視界に入らないような条件設定にした。また、計測の順序効果を排除するため、被験者内での計測順は被験者間でカウンターバランスをとった。
【0028】
把持力の計測は、被験者の手掌部に貼り付けた2個の受圧センサにかかる接触圧により測定した。接触圧は、接触圧測定器(AMI3037‐2、株式会社エイエムアイ・テクノ製)で計測し、そのデータをデータロガー(AMI8051-T)に取り込んだ。なお、計測のサンプリング周波数は10Hzとした。2個の受圧センサは、チャンネル1(Ch1)を示指の付け根部に貼り付け、チャンネル2(Ch2)を薬指の付け根部に貼り付けた。受圧センサを貼り付ける手は、バットを把持した際の下側の手とした。そして2個の受圧センサの出力をもとに、以下のパラメータを設定した。
Ch1圧力:Ch1の計測開始から15~20秒の圧力の時間平均-計測開始後5秒間の圧力平均)
Ch2圧力:Ch2の計測開始から15~20秒の圧力の時間平均-計測開始後5秒間の圧力平均)
Ch2/Ch1比率:Ch2圧力をCh1圧力で除して求めた比率
以上の条件のもと、Ch2/Ch1比率の値を、相対的に薬指側に把持力がかかっているか否かを示す指標として使用して、把持力の大きさを比較した。表1は、被験者21名のCh2/Ch1比率の値であり、
図8は、被験者21名のCh2/Ch1の平均値を示すグラフである。
【0029】
【0030】
図8に示すように、サポート部材100を装着することによって、薬指付け根部の示指に対する相対的な把持の強さが有意に増加していることが分かる。
【0031】
以上のように、本実施の形態1によるサポート部材100によれば、幅広の帯状に形成された本体部10と、細長の帯状に形成されたベルト部20とを、平面状に一体に設けるとともに、ベルト部20を挿通可能な第1の切欠き31と第2の切欠き32とを、本体部10に設けることとしたので、山型に湾曲する本体部10の表側の左右に、第1の環状部40a、及び第2の環状部40bを備える立体構造を簡易に形成することができる。
かかる構造によれば、第1の環状部40a、及び第2の環状部40bを押さえ付けることにより、本体部10も谷側方向に押さえつけられるので、第1の環状部40a、及び第2の環状部40bにアシスト指を挿入し、本体部10にサポート指を接触させて各指を屈曲させると、サポート指とアシスト指とを連動させて屈曲させることができる。この結果、サポート指の把持力を効果的に向上させることが可能になる。また、アシスト指自身もサポート指と同調させて屈曲させることができるので、アシスト指の把持力も向上させることができる。
【0032】
また、本実施の形態1によるサポート部材100によれば、サポート指の腹側にサポート部材100が存在しないので、打撃具を把持する際に自然な状態でサポート指を屈曲させることができる。
【0033】
(実施の形態2)
本実施の形態2によるサポート部材は、上述した実施の形態1によるサポート部材100において、第3の切欠きを本体部10に更に備えるものである。なお、以下の説明において、実施の形態1によるサポート部材100と同じ構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0034】
図9は、本実施の形態2に係るサポート部材110の斜視図である。
図9において、本体部10には、本体部10の表裏を貫通する第1の切欠き31、第2の切欠き32、及び第3の切欠き33が設けられている。第3の切欠き33は、本体部10の中央部分に設けられる。第1の切欠き31と第2の切欠き32は、それぞれ、第3の切欠き33を挟んで対向する位置に設けられ、上述したように、本体部10を4等分した各領域のうち、本体部10の中央を挟む左右それぞれの領域に設けるのが好ましい。
【0035】
次に、以上のように構成されるサポート部材200の使用方法を、
図10ないし
図12を用いて説明する。
まず、
図10に示すように、ベルト部20を、本体部10の表側から第1の切欠き31に挿通する。これにより、本体部10の左側に第1の環状部40aが形成される。次に、
図11に示すように、ベルト部20を、本体部10の裏側から第2の切欠き32に挿通する。次に、
図12に示すように、ベルト部20を、第3の切欠き33に挿通し、そのまま第1の切欠き31の裏側から表側に向けて抜き出す。これにより、本体部10の右側に第2の環状部40bが形成される。
【0036】
そして、アシスト指を第1の環状部40a、及び第2の環状部40bにそれぞれ挿入し、ベルト部20を適宜締付けて第1の環状部40a、及び第2の環状部40bのサイズを調整して、使用状態におけるサポート部材200を完成させることができる。
【0037】
本実施の形態2によるサポート部材200によれば、第2の環状部40bを形成する際に、ベルト部20を第2の切欠き32に繰り返し挿入する必要がないので、第2の環状部40bを容易に形成することができ、第2の環状部40bの締付けも容易となる。また、第1の環状部40aを形成させる第1の切欠き31には、ベルト部20が繰り返し挿入されているので、使用時のベルト部20の緩みを防止することができる。
【0038】
(実施の形態3)
本実施の形態3によるサポート部材300は、上述した実施の形態2によるサポート部材200において、本体部10の両側部よりベルト部20を延伸させ、それぞれのベルト部20により第1の環状部40a、及び第2の環状部40bを形成するようにしたものである。
【0039】
図13は、本実施の形態3によるサポート部材300の斜視図である。
図13において、本体部10には、上記実施の形態2のベルト部20に相当する第1のベルト部20aと、第1のベルト部20aと対向するように本体部10より延伸する第2のベルト部20bとが設けられている。本体部10には、第1の切欠き31、第2の切欠き32、及び第3の切欠き33が設けられており、これら第1ないし第3の切欠き31,32,33を設ける位置については、上述した実施の形態2と同じである。
【0040】
次に、本実施の形態3によるサポート部材300の使用方法を説明する。まず、
図14に示すように、ベルト部20aを、本体部10の表側から第1の切欠き31に挿通するとともに、ベルト部20bを、本体部10の表側から第2の切欠き32に挿通する。これにより、本体部10の両側に第1の環状部40a、及び第2の環状部40bが形成される。次に
図15に示すように、ベルト部20a、及びベルト部20bを、本体部10の裏側から第3の切欠き33に挿通する。そして、ベルト部20a、及びベルト部20bをそれぞれ適宜締付けて第1の環状部40a、及び第2の環状部40bのサイズを調整し、使用状態におけるサポート部材300を完成させることができる。
【0041】
本実施の形態3によるサポート部材300によれば、第1の環状部40a、及び第2の環状部40bを、第1のベルト部20aと、第2のベルト部20bとによりそれぞれ形成することとしたので、第1の環状部40a、及び第2の環状部40bを容易に形成することができる。また、使用時の第1の環状部40a、及び第2の環状部40bの締付けも容易となる。
【0042】
(実施の形態4)
本実施の形態4によるサポート部材は、上述した実施の形態1によるサポート部材100において、ベルト部20の本体部10側の付け根部を二股に分岐させるようにしたものである。
【0043】
図16は、本実施の形態4によるサポート部材400の斜視図である。
図16において、ベルト部20は、本体部10側の付け根が二股に分岐している。分岐範囲は、一方のアシスト指の近位関節囲程度の長さであればよく、例えば、薬指をサポート指とする場合は、本体部20から50mm程度の範囲を分岐させればよい。
【0044】
以上のように構成されるサポート部材400は、実施の形態1によるサポート部材100と同様の方法により立体変形させて第1の環状部40a、及び第2の環状部40bを形成することができる。
【0045】
図17は、左手の薬指をサポート指とし、小指と中指とをアシスト指としてサポート部材400を装着した場合における、小指の状態を示す図である。本実施の形態4によるサポート部400は、第1の環状部40aが二股に分岐したベルト部20により構成される。かかる第1の環状部40aにアシスト指である小指を挿入すると、
図17に示すように、小指の関節を避けるようにしてベルト部20を小指に掛けることができる。このため、小指に圧迫感や違和感を与えることなく小指を屈曲させることができる。
【0046】
以上のように、本実施の形態4によるサポート部材400によれば、ベルト部20の本体部20側の一定領域を二股に分岐させ、分岐させた領域により第1の環状部40aを形成するようにしたので、第1の環状部40aを、一方のアシスト指の関節を避けるようにアシスト指に架けることができる。これにより、一方のアシスト指に過度の負荷や違和感を与えることなくサポート指とアシスト指とを連動させて屈曲させることができる。
【0047】
なお、本体部10に第3の切欠き33を設け、実施の形態2によるサポート部材200と同様に立体変形させて第1の環状部40a、及び第2の環状部40bを形成してもよい。また、実施の形態3のように2本のベルト部20a、20bを備えるものとし、それぞれのベルト部20a、20bを二股に分岐させることにより、両方のアシスト指に負荷や違和感を与えることなくアシスト指を屈曲させることができる。
【0048】
また、上述したサポート部材400では、本体部20側から二股に分岐させたベルト部20を一本のベルト部に収束させているが、二股に分岐させたまま2本のベルト部20が本体部10から延伸する構造にしてもよい。これによっても、上述した本実施の形態4による効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0049】
10 本体部、20 ベルト部、31 第1の切欠き、32 第2の切欠き、33 第3の切欠き、40a,40b 環状部、50 グリップ、100,200,300,400 サポート部材