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  • 特許-車形検出装置及び同装置を備えた洗車機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】車形検出装置及び同装置を備えた洗車機
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20220425BHJP
   B60S 3/06 20060101ALI20220425BHJP
【FI】
G01B11/24 A
B60S3/06
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017225655
(22)【出願日】2017-11-24
(65)【公開番号】P2019095327
(43)【公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】伝田 健
(72)【発明者】
【氏名】宮沢 利明
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 良平
(72)【発明者】
【氏名】赤沼 卓
(72)【発明者】
【氏名】高橋 遥
【審査官】眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-058282(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02500219(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
B60S 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に複数の発光素子を配列した発光部と、発光素子と対をなす受光素子を配列した受光部とからなり、発光部と受光部を自動車を幅方向に挟んで対向させた車体検出器と、該車体検出器を自動車の長さ方向に移動させて自動車の上面輪郭データと車幅輪郭データを作成する車形制御部とを備えた車形検出装置であって、
前記車形制御部は、作成した上面輪郭データからリアタイヤを抽出して直径を算出し、車幅輪郭データからリアタイヤの左右位置を特定する機能を備えたことを特徴とする車形検出装置。
【請求項2】
門型状に形成した洗車機本体内に洗車処理装置を備え、洗車機本体と洗浄する自動車とを相対移動させて自動車の洗浄を行う洗車機において、
上記請求項1記載の車形検出装置と、該車形検出装置で検出した車体に対して前記洗車処理装置を制御する洗車制御部とを備えたことを特徴する洗車機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の形状を検出する車形検出装置、及び同装置を備え、洗浄する自動車車体の形状に応じて、洗浄ブラシ,乾燥ノズル等の洗車処理装置を作用させて自動車車体の洗浄,乾燥等の処理を施す洗車機に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、特許文献1に記載された車形検出装置を提案している。この装置は、自動車を幅方向に挟んで発光部と受光部を配置した車体検出器と、この車体検出器を自動車の長さ方向に移動させる走行手段と、走行手段による移動距離を検出する移動距離検出手段とを備え、車体検出器が単位距離走行する毎に車体を検出し、車形データを作成するものである。
【0003】
この車体検出器は、上下に複数の発光素子を配列した発光部と、発光素子と対をなす受光素子を配列した受光部とからなり、発光素子と水平に対向する受光素子との間に形成される水平光軸での透光/遮光によって車体の有無を検出している。この検出動作を水平光軸の数だけ実行する1走査動作を、単位距離走行する毎に実行していくことで車体の上面輪郭データが作成される。作成された上面輪郭データにより、自動車の上面形状とリアミラー等の装備品が認識され、洗浄ブラシ,乾燥ノズル等の制御に用いることができる。一方、特許文献1の車形検出装置では、リアミラー等の装備品が車体の左右どちらに取りつれられているかを判別することができない。
【0004】
そこで、本出願人は、特許文献2において、リアミラー等の装備品が車体の左右どちらに取り付けられているかを認識する車形検出装置を提案している。この装置は、発光素子と水平に対向する受光素子から複数(ここでは8)以上離れた受光素子との間に形成される傾斜光軸で車体の有無を検出している。この検出動作を傾斜光軸の数だけ実行する1走査動作を、単位距離走行する毎に実行していくことで車体の車幅輪郭データが作成される。作成された車幅輪郭データにより、上面輪郭データで検出された装備品が車幅方向に分解され、装備品の左右位置を判定することができる。
【0005】
ところで、この検出装置で検出される車幅輪郭データの分解能は、傾斜光軸のズレ数(ここでは8)と同じになるため、装備品の中で比較的小さいカスタムミラーやリアミラーについては、車体の左側もしくは右側に寄ってることが認識できるものの、リアタイヤのように大型の装備品については取付位置の判定が困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許3802195号公報
【文献】特許6002516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、リアタイヤ等の大型装備品についても、車体の左右いずれかに取り付けられているかを判別することができる車形検出装置及びこの装置を備えることで安全で洗い残しの少ない洗車を実現する洗車機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するために本発明は、上下に複数の発光素子を配列した発光部と、発光素子と対をなす受光素子を配列した受光部とからなり、発光部と受光部を自動車を幅方向に挟んで対向させた車体検出器と、該車体検出器を自動車の長さ方向に移動させて自動車の上面輪郭データと車幅輪郭データを作成する車形制御部とを備えた車形検出装置であって、車形制御部は、作成した上面輪郭データからリアタイヤを抽出して直径を算出し、車幅輪郭データからリアタイヤの左右位置を特定する機能を備えた。
【0009】
門型状に形成した洗車機本体内に、洗浄ブラシ,乾燥ノズル等の洗車処理装置を備え、洗車機本体と洗浄する自動車とを相対移動させて自動車の洗浄を行う洗車機に、前記車形検出装置と、該車形検出装置で検出した車体に対して洗車処理装置を制御する洗車制御部とを備えた。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、リアタイヤ等の大型装備品が車体の左右どちら側に取り付けられているかを判定することができる。そして、判定結果に基づいて洗浄ブラシ等の洗車処理装置を作用させることで安全で洗い残しの少ない洗車動作が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明を門型洗車機に使用した例を示す説明図である。
図2】車体検出装置5の構成及び制御系を示すブロック図である。
図3】車体検出する光軸を示す説明図である。
図4】車体検出状態を示す説明図である。
図5】水平光軸BaによるリアタイヤRTの検出を示す説明図である。
図6】上傾斜光軸BbによるリアタイヤRTの検出を示す説明図である。
図7】下傾斜光軸BcによるリアタイヤRTの検出を示す説明図である。
図8】リアタイヤRTの2値データを示す説明図である。
図9】リアタイヤRTの左右位置を判定する状態を示す説明図である。
図10】側面ブラシ4による洗車動作を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を基に本発明の実施態様について説明する。図1は本発明を門型洗車機に使用した例を示す説明図である。
1は洗車機本体で、レール2,2間に停車させた自動車Aを跨いで往復走行する。洗車機1には、主に自動車の上面を処理する上面ブラシ・上面乾燥ノズル・上面ジェットノズル等の上面処理装置3と、主に自動車の側面を処理する側面処理装置4を備え、これらの処理装置を自動車の形状に沿って作用させて車体を自動洗浄する。5は車体検出装置で、洗車機1の前方に備えられ自動車を幅方向に挟んでそれぞれ上下に複数の発光素子と受光素子とを対向させてなり、発光・受光素子間で授受される光信号が自動車の車体によって遮られるか否かにより車体を検出する。6は走行エンコーダで、洗車機1の走行モータ7の回転を検出し、洗車機1が単位距離走行するごとにパルス信号を出力する。
【0013】
図2は車体検出装置5の構成及び制御系を示すブロック図である。
車体検出装置5は、発光素子L1~Lnを上下に複数配列させた発光部5aと、発光素子L1~Lnと対をなす受光素子R1~Rnを複数配列させた受光部5bとで構成され、発光部5aと受光部5bとの間で光信号(赤外線)を授受している。この車体検出装置5は、発光部5aの発光素子と受光部5bの受光素子とが1対1で対応するよう配列させてあり、水平に対向する素子同士で光軸を構成するのが基本であるが、1つの発光素子からの光信号はある程度の角度で拡散されるため、対応する受光素子から上下に所定数離れた別の受光素子でも光軸を構成することが可能になる。8は発光走査駆動部で、車体検出時に発光素子を上から下(もしくは下から上)に順次点灯する。9は受光走査駆動部で、発光素子の走査に対応する受光素子を順次受光状態とする。
【0014】
10は車形制御部で、走行位置検出部11・受光検出部12・しきい値設定部13・車体検出部14・車形データ作成部15・画像処理部16・データ記憶部17を備え、各走査駆動部8・9を周期的に動作させて自動車の上面形状を検出するものである。
【0015】
走行位置検出部11は、走行エンコーダ6からのパルス信号をカウントして洗車機1の走行位置を検出する。受光検出部12は、各受光素子での受光レベルを検出する。しきい値設定部13は、発光部5aと受光部5bとの間に自動車が存在しない状態で各受光素子が受信する受光レベルに基づいて光軸の透光/遮光を判断する判別しきい値を設定する。車体検出部14は、所定周期毎に走査駆動部8,9を動作させ、受光検出部12で検出される各受光素子の受光レベルをしきい値設定部13で設定した判別しきい値と比較して各光軸の透光/遮光を判定する。車形データ作成部15は、走行位置検出部11から与えられる洗車機1の走行位置と車体検出部14から与えられる各光軸の透光/遮光判定から2値画像データを作成する。画像処理部16は、車形データ作成部15で作成した車形データを解析処理し、洗車用データを作成する。データ記憶部17は、走行位置検出部11で検出される洗車機の走行位置データ・しきい値設定部13で設定されるしきい値・車形データ作成部15で作成される2値画像データ・画像処理部16で抽出される洗車用車形データが記憶される。
【0016】
18は洗車制御部で、洗車プログラムに従って、車形制御部10を駆動して洗車用車形データを作成し、その作成した洗車用車形データに基づいて洗車駆動部19を介して上面洗浄装置3・側面洗浄装置4・洗車機1の走行モータ7等を駆動し、洗車機1を走行させながら車体の洗浄・乾燥といった洗車処理をさせるものである。20は操作パネルで、洗車機1の前面に設けられ洗車内容の選択入力や洗車開始入力を行うものである。
【0017】
車形制御部10では、1つの発光素子に対して3つの光軸Ba・Bb・Bcを形成し、発光素子の発光を対応する受光素子で受光する単位動作を各素子毎に素子数に応じた回数行い、各光軸Ba・Bb・Bcの透光/遮光を判定して車形データを作成する。
【0018】
光軸Ba・Bb・Bcは、図3に示すように、発光素子Laと水平に対向する受光素子Raとの間に形成される水平光軸Ba(実線)と、発光素子Laと水平に対向する受光素子Raから上に所定数sずらした受光素子Ra-sとの間に形成される上傾斜光軸Bb(点線)と、発光素子Laと水平に対向する受光素子Raから下に所定数sずらした受光素子Ra+sとの間に形成される下傾斜光軸Bc(一点鎖線)とからなる。
【0019】
このうち、水平光軸Baは、車体の高さ位置を検出するものであり、傾斜光軸Bb・Bcは、検出された車体の左右位置を判定するものである。すなわち、遮光された水平光軸Baの高さHaに車体や装備品があることが検出され、この遮光された水平光軸Baに交差する傾斜光軸Bb・Bcが遮光されると、その交点と交点の間に車体があることが検出される。
【0020】
本実施態様では、発光素子Lと受光素子Rを配列ピッチpで32対の水平光軸Baを形成し、傾斜光軸Bb・Bcのずらし数sを8としている。これにより、高さを車体検出装置5の長さH、幅を車体検出装置5の発光部5aと受光部5bとの距離Wとした車体検出エリア(=H×W)が与えられ、この車体検出エリアを、素子数と交点数で分割した分解能で車体検出することができる。ここでは、素子数は、発光素子L(受光素子R)の数である32となり、車高方向は長さHを素子数32で分割した分解能となる。また、交点数は、水平光軸Baと交差する傾斜光軸Bb・Bcの交点数8であり、車幅方向は幅Wを交点数8で分割した分解能となる。
【0021】
続いて、このように構成される洗車機の動作について説明する。
洗車機1は、操作パネル20で洗車開始入力があると、しきい値の設定を行った後、走行を開始して車形検出と洗車処理を実行する。以下、車形検出処理について説明する。尚、しきい値設定処理については、本出願人が提案した特許3984580号公報に開示した内容で実現される。
【0022】
<車体検出処理>
図4に示す形態の自動車(ジープ車:リアタイヤを装備)を検出する場合を例に、車体検出処理について詳細に説明する。
洗車機本体1の走行が開始すると、洗車機本体1が単位距離d走行する毎に、走行エンコーダ6からパルス信号を出力し、この信号をトリガとして、車体検出部14が車形検出装置5から遮光/透光データを取り込んでいく。車形データ作成部15は、洗車機本体1が検出開始位置Pfから検出終了位置Prまで走行移動する間に、車体検出部14で取り込んだ遮光/透光データを集計し、X軸を走行ピッチd、Y軸を素子数とした2Dマトリックス上に、透光を「白」、遮光を「黒」として展開した2D画像データと、X軸を走行ピッチd、Y軸を素子数、Z軸を交点数とした3Dマトリックス上に、透光を「白」、遮光を「黒」として展開した3D画像データを作成する。
【0023】
車形データ作成部15で作成した各画像データは、画像処理部16で画像処理され、車体上面輪郭の抽出、洗車制御データの作成、車体基準点の検出、装備品の検出、装備品の左右特定に使用される。すなわち、2D画像データでは、自動車を側面から捉えたシルエットが得られるので、自動車の上面輪郭と装備品の存在が検出される。3D画像データでは、自動車を立体的に捉えたシルエットが得られるので、装備品が車体のどの位置に設けられているかが検出される。尚、この画像データ作成については、本出願人が提案した特許6002516号公報に開示した内容で実現される。
【0024】
続いて、リアタイヤRTの検出について説明する。車体検出装置5が図4に示す走行位置Prに達したとき、水平光軸Ba・上傾斜光軸Bb・下傾斜光軸Bcにより、図5~7に示す車体検出が行われる。すなわち、水平光軸Baによる車体検出では、図5に示すように、リアタイヤRTにより水平光軸Ba-16~Ba-28が遮光され、それ以外の光軸は透光となる検出結果を得る。また、上傾斜光軸Bbによる車体検出では、図6に示すように、リアタイヤRTにより光軸Bb-20~Bb-32が遮光され、それ以外の光軸は透光となる検出結果を得る。更に、下傾斜光軸Bcによる車体検出では、図7に示すように、リアタイヤRTにより光軸Bc-11~Bc-23が遮光され、それ以外の光軸は透光となる検出結果を得る。
【0025】
次に、これら光軸Ba~Bcの検出結果に基づいて、図8に示すように、水平光軸Baと交差する上傾斜光軸Bb及び下傾斜光軸Bcの検出結果を水平光軸Ba上の交点によって分割されるエリア1~9に与えていく。例えば、水平光軸Ba-16と交差する上傾斜光軸Bb-16~Bb-24の透光・遮光結果と、下傾斜光軸Bc-16~Bc-8の透光・遮光結果とをそれぞれ光軸Ba-16との交点によって分割されるエリア1~9に与えていく。そして、各エリア毎に上傾斜光軸Bbと下傾斜光軸Bcとで与えられる2つの検出結果について、どちらかに「透光」が含まれている場合は、その交点を「透光」とするAND処理を施し、光軸Ba-16におけるリアタイヤRTの左右位置を判定していく。
【0026】
ここで、水平光軸Baで「遮光」が検出された位置は、リアタイヤRTの取付位置となるので、「遮光」が検出された残りの水平光軸Ba-17~光軸Ba-28についても、交差する上傾斜光軸Bb及び下傾斜光軸Bcの検出結果を、上記と同様の手順で水平光軸Ba上のエリア1~9に与えていくことで、リアタイヤRTを検出した水平光軸Baにおいて、リアタイヤRTが左右どちら側に寄っているかが認識される。
【0027】
図9(a)は、AND処理後の2D画像データを示している。この2D画像データに見られるように、リアタイヤRTのように大きな装備品の場合、上記手順を実行してもエリア1~8に渡って「遮光」結果が生じてしまい、左右位置の判定が困難となる。この場合、リアタイヤRTにより遮光された水平光軸Baの長さr(ここでは水平光軸Ba-16~Ba-28の長さ)を検出することで、リアタイヤRTの直径を推測し、エリア1~9で検出される遮光範囲の中から中心線CLを検出して、その中心線CLとリアタイヤRTの直径から抽出される円範囲をリアタイヤRTの取付位置として特定する。
【0028】
中心線CLは、図9(a)で示す検出結果において、「遮光」となった水平光軸Ba-16~Ba-28の中で、「遮光」検出が最も多いエリアを特定することで検出される。ここでは、エリア6とエリア7が「遮光」検出が最も多いので、エリア6とエリア7の境界を中心線CLとして検出する。これにより、図9(b)に示す検出結果が得られ、リアタイヤRTの左右位置が特定される。
【0029】
尚、ここではリアタイヤRTの直径が検出された場合について説明したが、リアタイヤRTの下面が車体検出装置5の検出範囲よりも低い場合、リアタイヤRTの直径は検出することができない。この場合、中心線CLのみを検出し、一般的なタイヤにおける最大値(800mm程度)を直径として当てはめてリアタイヤRTの大凡の左右位置として判定する。
【0030】
こうして作成された2値画像データは、画像処理部16において、論理フィルターをかけられて輪郭線が抽出される。洗車機1の走行とともに自動車の車体画像データが順次送られてきて展開されつつ輪郭線を追跡するので、自動車全体の2値画像データが取込み完了した時点で全体の輪郭線が抽出される。こうして得られた自動車の輪郭から、洗車機の走行方向に対する自動車高さ方向のデータを決定した洗車用データが作成される。
【0031】
<洗車処理>
洗車動作は、洗車機1の走行に伴い、シャンプー噴射を伴う車体のブラッシングと、ワックス噴射に伴うコーティングと、高速風の噴射によるブロー等が実行される。このうち、側面処理装置4の側面ブラシは、図10に示すように、自動車の側面位置に応じて開閉制御され、リアタイヤRTに対して、装備されていない側の後面を側面ブラシで洗浄することができる。こうして、洗車動作が終了すると、自動車の退出を促して洗車を終了する。
【0032】
尚、リアミラーとリアタイヤの両方が装備された自動車の場合、特許6002516号公報に開示した方法でリアミラーの左右位置を判定し、上記した方法でリアタイヤの左右位置を判定し、リアミラーがリアタイヤの幅範囲にあれば、側面ブラシをリアタイヤが装備されていない側の後面にだけ作用させ、リアミラーがリアタイヤの幅範囲になければ、側面ブラシでの後面洗浄を行わない。
【0033】
本発明はこのように構成され、車体を検出した水平光軸に対して、この水平光軸と交差する傾斜光軸の車体検出結果に基づいて水平光軸で検出された車体の左右位置を判定する機能を備えたことを特徴としている。車体検出装置の光軸数と傾斜光軸のずらし量を増やすことで車体の高さ方向及び幅方向の検出分解能が高くなることは言うまでもなく、処理時間やデータ量を考慮して任意に決定することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 洗車機本体
5 車体検出装置
5a 発光装置
5b 受光装置
8,9 走査駆動部
10 車形制御部
11 走行位置検出部
12 受光検出部
13 しきい値設定部
14 車体検出部
15 車形データ作成部
16 画像処理部
17 データ記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10