(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】車両の冷却システム用圧力キャップ
(51)【国際特許分類】
F01P 11/00 20060101AFI20220425BHJP
【FI】
F01P11/00 A
(21)【出願番号】P 2017227173
(22)【出願日】2017-11-27
【審査請求日】2020-05-20
(31)【優先権主張番号】10-2016-0169648
(32)【優先日】2016-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】チャ、ヨン-ウン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ジュン-ス
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ワン-ジェ
【審査官】楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-185445(JP,A)
【文献】特開2016-098807(JP,A)
【文献】実開昭59-168358(JP,U)
【文献】実開昭56-131067(JP,U)
【文献】実開平02-047403(JP,U)
【文献】実開平02-040930(JP,U)
【文献】特開2014-199019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01P 11/00~11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の冷却システムにおいて、冷却水が貯留されるリザーバまたは冷却水が流動するラジエータの上部に装着され、側面に空気または冷却水が流動可能な連通口が形成されるリザーバ注入口と、
前記リザーバ注入口の上端を閉鎖するアウターキャップと、
前記リザーバ注入口の内部に昇降可能に設けられ、前記リザーバ注入口の内部と外部とを連通させる圧力バルブと、
前記圧力バルブに密着するように備えられ、前記冷却システム内部の圧力が予め定められた圧力より低ければ、変形しながら、前記冷却システムの外部から内部に空気を流入させるバルブシールと、
前記圧力バルブが前記リザーバ注入口の内部を閉鎖するように前記圧力バルブを弾性支持する定圧スプリングと、
前記リザーバ注入口の内部に配置され、前記圧力バルブの底面を支持する下部ボディと、を含み、
前記バルブシールは、前記圧力バルブと前記下部ボディとの間に設けられるディスク形態に形成されるバルブシール体と、前記圧力バルブを貫通するように前記バルブシール体から上方に延びて、前記バルブシール体と一体に形成されたバルブシールヘッドと、
前記バルブシールヘッドの周りから下方に延びて下端が前記圧力バルブの一側面に支持され、間隔をおいて互いに離隔して配置される支持突起と、を含
み、
前記バルブシール体から前記バルブシールヘッドへ延びる部分と、前記圧力バルブに形成された貫通孔の内側面と、の間に間隙が形成されている、車両の冷却システム用圧力キャップ。
【請求項2】
前記リザーバ注入口の内部には、前記定圧スプリングの上端を支持する上部ボディをさらに含み、
前記バルブシールは、可撓性材質からなることを特徴とする請求項1に記載の車両の冷却システム用圧力キャップ。
【請求項3】
前記下部ボディの中央には、前記下部ボディを軸方向に貫通する貫通孔が形成され、前記貫通孔は、前記圧力バルブの中心に形成される貫通孔よりその直径が大きく形成されることを特徴とする請求項1に記載の車両の冷却システム用圧力キャップ。
【請求項4】
前記バルブシール体は、前記バルブシール体の上部面と下部面とを連通させる少なくとも1つ以上の連通孔を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両の冷却システム用圧力キャップ。
【請求項5】
前記連通孔は、前記バルブシールの周りに沿って定められた角度間隔をおいて複数形成されることを特徴とする請求項4に記載の車両の冷却システム用圧力キャップ。
【請求項6】
前記バルブシールは、前記冷却システム内部の圧力が定められた圧力より高ければ、前記圧力バルブとともに上昇しながら、前記リザーバ注入口から前記連通口が互いに連通するようにすることを特徴とする請求項4に記載の車両の冷却システム用圧力キャップ。
【請求項7】
前記バルブシールは、前記冷却システム内部の圧力が定められた圧力より低ければ、前記バルブシール体が前記圧力バルブの底面と離隔して変形しながら、前記連通口から前記リザーバ注入口の内部に連通することを特徴とする請求項4に記載の車両の冷却システム用圧力キャップ。
【請求項8】
前記バルブシールヘッドは、上部の直径が前記圧力バルブの中心に形成された貫通孔の直径より大きく形成され、円錐状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の車両の冷却システム用圧力キャップ。
【請求項9】
前記バルブシールは、ラバーまたはシリコンを材質とすることを特徴とする請求項1に記載の車両の冷却システム用圧力キャップ。
【請求項10】
前記バルブシールの前記バルブシール体の内部には、前記バルブシール体の強度を補強するインサートが挿入されることを特徴とする請求項1に記載の車両の冷却システム用圧力キャップ。
【請求項11】
前記インサートは、合成樹脂または金属材質で形成されることを特徴とする請求項
10に記載の車両の冷却システム用圧力キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の冷却水が貯留される加圧式リザーバまたは冷却水が流動しながら冷却水を冷却させるラジエータに装着される車両の冷却システム用圧力キャップに関し、より詳細には、構造を簡単にしながらも、性能の低下なく内部の圧力を調節可能にした車両の冷却システム用圧力キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、エンジンの作動により発生した熱を冷却させるために、前記エンジンで発生した熱を外部に放熱させるラジエータが備えられ、前記エンジンと前記ラジエータを冷却水が循環するようにする冷却システムが装着される。
【0003】
同時に、前記冷却システムには、前記冷却システムの圧力を適正水準に維持するための圧力キャップが装着される。
【0004】
前記圧力キャップ110は、
図1のような構造に形成され、前記ラジエータまたは前記冷却水が貯留される冷却水リザーバに装着される。前記圧力キャップ110は、前記ラジエータまたは前記リザーバ内部の圧力が高くなると、内部の圧力が解消されるようにし、逆に、前記冷却システム内部の圧力が予め定められた圧力より低くなると、外部の空気を流入させ、前記冷却システム内部の圧力が適正水準を維持するようにする。
【0005】
前記圧力キャップ110が冷却水リザーバに装着される例の構造を簡単に説明すれば、リザーバの上端に結合されるリザーバ注入口111と、前記リザーバ注入口111の上部をカバーするアウターキャップ112と、前記リザーバ注入口111の内部に装着され、冷却水または空気の流動を断続する定圧バルブ113および負圧バルブ114と、前記定圧バルブ113を弾性支持する定圧スプリング115と、前記負圧バルブ114を弾性支持する負圧スプリング116とを含む。
【0006】
前記冷却システム、例えば、冷却水リザーバ内部の圧力が設定された圧力範囲を超えると、前記定圧バルブ113が上昇しながら、内部で加圧された冷却水または空気が連通口111aを通して排出される。
【0007】
一方、内部の圧力が設定された圧力範囲より低ければ、前記負圧バルブ114が下降しながら、前記連通口111aを通して外部の空気が流入し、前記冷却システム内部の圧力が設定された圧力範囲を維持するようにする。
【0008】
しかし、前記のような構造を有する車両の冷却システム用圧力キャップ110によれば、前記定圧バルブ113と前記負圧バルブ114を用いて圧力を調節するため、構造が複雑であり、これによって、コストが上昇する問題点がある。
【0009】
また、前記定圧スプリング115と前記負圧スプリング116の弾性力によって前記定圧バルブ113と前記負圧バルブ114が作動するため、互いに反対方向に作用する前記定圧スプリング115と前記負圧スプリング116の弾性力を調節することが容易でなく、前記負圧スプリング116の弾性力を最小化するのに限界があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、簡単な構造を有しかつ、内部の圧力が予め設定された範囲を維持可能な車両の冷却システム用圧力キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するための、本発明に係る車両の冷却システム用圧力キャップは、車両の冷却システムにおいて、冷却水が貯留されるリザーバまたは冷却水が流動するラジエータの上部に装着され、側面に空気または冷却水が流動可能な連通口が形成されるリザーバ注入口と、前記リザーバ注入口の上端を閉鎖するアウターキャップと、前記リザーバ注入口の内部に昇降可能に設けられ、前記リザーバ注入口の内部と外部とを連通させる圧力バルブと、前記圧力バルブに密着するように備えられ、前記冷却システム内部の圧力が予め定められた圧力より低ければ、変形しながら、前記冷却システムの外部から内部に空気を流入させるバルブシールと、前記圧力バルブが前記リザーバ注入口の内部を閉鎖するように前記圧力バルブを弾性支持する定圧スプリングとを含む。
【0012】
前記リザーバ注入口の内部には、前記圧力バルブの底面を支持する下部ボディと、前記定圧スプリングの上端を支持する上部ボディとをさらに含み、前記バルブシールは、可撓性材質からなり、前記圧力バルブと前記下部ボディとの間に装着されることを特徴とする。
【0013】
前記下部ボディの中央には、前記下部ボディを軸方向に貫通する貫通孔が形成され、前記貫通孔は、前記圧力バルブの中心に形成される貫通孔よりその直径が大きく形成されることを特徴とする。
【0014】
前記バルブシールは、前記圧力バルブと前記下部ボディとの間に設けられるディスク形態に形成されるバルブシール体を備え、前記バルブシール体は、前記バルブシール体の上部面と下部面とを連通させる少なくとも1つ以上の連通孔を含むことを特徴とする。
【0015】
前記バルブシール体は、前記圧力バルブを貫通するように前記バルブシール体から上方に延びて形成されるバルブシールヘッドと、前記バルブシールヘッドの周りから下方に延びて下端が前記圧力バルブの一側面に支持され、間隔をおいて互いに離隔して配置される支持突起とをさらに含むことを特徴とする。
【0016】
前記連通孔は、前記バルブシールの周りに沿って定められた角度間隔をおいて複数形成されることを特徴とする。
【0017】
前記バルブシールは、前記冷却システム内部の圧力が定められた圧力より高ければ、前記圧力バルブとともに上昇しながら、前記リザーバ注入口から前記連通口が互いに連通するようにすることを特徴とする。
【0018】
前記バルブシールは、前記冷却システム内部の圧力が定められた圧力より低ければ、前記バルブシール体が前記圧力バルブの底面と離隔して変形しながら、前記連通口から前記リザーバ注入口の内部に連通することを特徴とする。
【0019】
前記バルブシールヘッドは、上部の直径が前記圧力バルブの中心に形成された貫通孔の直径より大きく形成され、円錐状に形成されることを特徴とする。
【0020】
前記バルブシールは、ラバーまたはシリコンを材質とすることを特徴とする。
【0021】
前記バルブシールのバルブシール体の内部には、前記バルブシール体の強度を補強するインサートが挿入されることを特徴とする。
【0022】
前記インサートは、合成樹脂または金属材質で形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
上記の構成を有する本発明の車両の冷却システム用圧力キャップによれば、負圧スプリングが省かれることにより、内部の構造が簡単になるので、部品が有する不良の可能性を低減して、作動信頼性を確保することができ、品質管理が容易になる。
【0024】
また、構造が簡単になるので、製造コストの節減が可能である。
【0025】
同時に、圧力調節に用いられるスプリングの数が減少するので、前記スプリングの弾性力の調節が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】従来技術に係る車両の冷却システム用圧力キャップを示す断面図である。
【
図2】本発明に係る車両の冷却システム用圧力キャップを示す断面図である。
【
図3A】本発明に係る車両の冷却システム用圧力キャップにおけるバルブシールを示す斜視図である。
【
図3B】本発明に係る車両の冷却システム用圧力キャップにおけるバルブシールを示す平面図である。
【
図4A】本発明に係る車両の冷却システム用圧力キャップにおいて内部の圧力が解消される状態を示す断面図である。
【
図4B】本発明に係る車両の冷却システム用圧力キャップにおいて内部の圧力が補充される状態を示す断面図である。
【
図5】本発明の他の実施形態に係る車両の冷却システム用圧力キャップを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付した図面を参照して、本発明に係る車両の冷却システム用圧力キャップについて詳細に説明する。
【0028】
本発明に係る車両の冷却システム用圧力キャップ10は、車両の冷却システムにおいて、冷却水が貯留されるリザーバまたは冷却水が流動するラジエータの上部に装着され、側面に空気または冷却水が流動可能な連通口11aが形成されるリザーバ注入口11と、前記リザーバ注入口11の上端を閉鎖するアウターキャップ14と、前記リザーバ注入口11の内部に昇降可能に設けられ、前記リザーバ注入口11の内部と外部とを連通させる圧力バルブ15と、前記圧力バルブ15に密着するように備えられるが、前記冷却システム内部の圧力が予め定められた圧力より低ければ、変形しながら、前記冷却システムの外部から内部に空気を流入させるバルブシール16と、前記圧力バルブ15が前記リザーバ注入口11の内部を閉鎖するように前記圧力バルブ15を弾性支持する定圧スプリング17とを含む。
【0029】
リザーバ注入口11は、冷却システムにおいて、冷却水が貯留されるリザーバまたは冷却水が冷却されるラジエータの上部に設けられる。前記リザーバ注入口11を通して、前記冷却システムの内部に冷却水を補充することができ、前記冷却システム内部の圧力が設定された圧力以上であれば、外部に加圧された冷却水または空気が排出される通路となり、前記冷却システム内部の圧力が設定された圧力より低ければ、外部から空気が流入し、前記冷却システムが適正圧力を維持するようにする。
【0030】
前記リザーバ注入口11は、内部が中空に形成されて上下に開放された構造を有し、前記リザーバ注入口11の側方向に前記リザーバ注入口11の中央部分と連通する連通口11aが形成される。前記連通口11aを通して過圧の冷却水または空気が外部に排出され、圧力が非常に低ければ、前記連通口11aを通して外部の空気が前記冷却システムの内部に流入する。
【0031】
アウターキャップ14は、前記リザーバ注入口11の上端にねじ結合される。
【0032】
前記アウターキャップ14は、前記リザーバ注入口11の上端にねじ結合されると、前記リザーバ注入口11の開放された上端を閉鎖する。一方、前記アウターキャップ14を前記リザーバ注入口11から分離すると、前記リザーバ注入口11の上端を通して冷却水を注入させる。
【0033】
前記リザーバ注入口11の内部には、上下方向に上部ボディ13と下部ボディ12とが配置される。
【0034】
前記上部ボディ13と前記下部ボディ12とは互いにねじ結合され、その内部に空間を形成する。前記下部ボディ12は、冷却水または空気が流動可能に中心部分が貫通するように形成され、前記下部ボディ12の側面は、過圧の冷却水または空気が排出されたり、外部から空気が流入可能に一部が側面を貫通しながら前記連通口11aと連通する。
【0035】
圧力バルブ15は、前記下部ボディ12の内部底面に載置される。前記圧力バルブ15は、前記冷却システム内部の圧力が適正範囲以内の時には、前記下部ボディ12の内部底面に載置された状態を維持し、前記冷却システム内部の圧力が高くなると、その圧力によって前記下部ボディ12の内部底面から離隔して前記冷却システム内部の圧力が解消されるようにする。
【0036】
前記圧力バルブ15は、前記上部ボディ13により弾性支持される定圧スプリング17によって、前記圧力バルブ15が下降する方向、すなわち前記圧力バルブ15が前記下部ボディ12に載置される方向に弾性支持される。前記定圧スプリング17によって前記冷却システム内部の圧力が前記定圧スプリング17の弾性力より大きくなる前までは、前記圧力バルブ15は開放されない。
【0037】
バルブシール16は、前記圧力バルブ15の底面と前記下部ボディ12の内部底面との間に位置し、前記冷却システム内部の圧力が適正圧力であれば、前記圧力バルブ15と前記下部ボディ12とを互いに気密にし、前記冷却システム内部の圧力が定められた圧力より低くなると、変形しながら、気密が解除されるようにして、外部から前記冷却システムの内部に空気が流入し、定められた圧力を維持可能にする。
【0038】
前記バルブシール16は、前記冷却システム内部の圧力が低ければ、容易に変形できるように可撓性材質からなる。特に、前記バルブシール16は、ラバーまたはシリコンを材質としてもよい。前記バルブシール16が可撓性材質からなるため、前記冷却システムの内部が適正圧力、すなわち予め設定された範囲では、前記圧力バルブ15と前記下部ボディ12との間をシーリングする。また、前記冷却システム内部の圧力が低くなると、外部から空気が流入可能に容易に変形できる。
【0039】
前記バルブシール16は、ディスク形態のバルブシール体16aと、前記バルブシール16の上部面と下部面とを貫通するように形成される連通孔16bと、前記バルブシール体16aから上方に延びて形成されるバルブシールヘッド16cと、前記バルブシールヘッド16cの周りから下方に延びる支持突起16dとを含む。
【0040】
バルブシール体16aは、ディスク形態に形成され、前記圧力バルブ15の底面と前記下部ボディ12との間に位置する。前記バルブシール体16aによって、実質的に前記圧力バルブ15と前記下部ボディ12とをシーリングする。
【0041】
連通孔16bは、前記バルブシール体16aの上部面と下部面とが互いに連通するように形成される。前記連通孔16bは、少なくとも1つ以上が形成され、好ましくは、前記バルブシール16の周りに沿って定められた間隔をおいて複数形成されることが好ましい。
【0042】
バルブシールヘッド16cは、前記バルブシール体16aの上部面から上方に延びて形成され、前記圧力バルブ15を貫通するように形成される。前記圧力バルブ15の中心には貫通孔が形成され、前記貫通孔を貫通するように前記バルブシールヘッド16cが貫通するように形成される。前記バルブシールヘッド16cの上部は、中間より直径が大きく形成され、前記バルブシール16が前記圧力バルブ15と互いに分離されないようにする。また、前記バルブシールヘッド16cは、円錐状に形成され、前記圧力バルブ15に形成される貫通孔への挿入を容易にする。同時に、前記バルブシールヘッド16cにおける前記圧力バルブ15を貫通する部分は、前記圧力バルブ15の貫通孔の内側面と間隙が形成されるようにして、前記冷却システム内部の圧力が低い時、外部から空気が流入する通路となるようにする。
【0043】
支持突起16dは、前記バルブシールヘッド16cの周りから下方に延びて形成される。前記支持突起16dは、前記下端が前記圧力バルブ15の上部面に支持されることにより、気密性能を向上させる。前記支持突起16dは、複数形成され、互いに離隔して形成される。前記支持突起16dは、隣接した他の支持突起16dとの間の空間を通して、前記冷却システム内部の圧力が低い時、外部から空気が流入する通路となるようにする。
【0044】
未説明の符号18、19は、気密のためのOリングである。
【0045】
以下、上記の構成を有する本発明に係る車両の冷却システム用圧力キャップの作用について説明する。
【0046】
図2は、前記冷却システム内部の圧力が予め設定された範囲の時の状態である。この状態では、前記圧力バルブ15が前記下部ボディ12に気密になっていて、前記リザーバ注入口11の内部と外部とがシーリングされて冷却水の流出を防止し、外部から空気が流入するのを防止して、適正圧力を維持する。
【0047】
図4Aは、前記冷却システム内部の圧力が予め設定された範囲より高い時の状態である。この状態では、冷却システム内部の圧力が高いため、前記圧力による力が前記定圧スプリング17の弾性力より大きいので、前記圧力バルブ15を上昇させる。
【0048】
前記圧力バルブ15が上昇すると、前記圧力バルブ15と前記リザーバ注入口11の下部、前記下部ボディ12の下端、前記下部ボディ12の側面と前記連通口11aに互いに連通して、前記冷却システムの内部で圧力が上昇した冷却水または空気が外部に排出され、圧力が解消されて適正圧力を維持することができる。
【0049】
図4Bには、前記冷却システム内部の圧力が予め設定された範囲より低い時の状態が示されている。前記冷却システム内部の圧力が低くなると、前記バルブシール16の中間部分が下へ凹状に変形する。前記バルブシール16は、可撓性材質で形成され、前記圧力バルブ15を支持している下部ボディ12の直径が前記圧力バルブ15に形成された貫通孔の直径より大きいので、前記下部ボディ12に形成された貫通孔の内部に凹状に変形する。
【0050】
前記バルブシール16が下へ凹状に変形すると、前記圧力バルブ15の底面と前記下部ボディ12との間の気密が解除される。前記バルブシール16による気密が解除されると、前記連通口11aから前記下部ボディ12の側面、前記圧力バルブ15の貫通孔、前記バルブシール16の連通孔16bおよび前記下部ボディ12の貫通孔を通して外部の空気が流入し、前記冷却システム内部の圧力が適正範囲に上昇できる。
【0051】
一方、
図5には、本発明の他の実施形態に係る冷却システム用圧力キャップが示されている。
【0052】
本実施形態では、前記バルブシール16の内部に硬質のインサート16eが挿入されるようにすることで、前記バルブシール16の強度を向上させる。前記インサート16eは、合成樹脂または金属を材質として、前記バルブシール16におけるバルブシール体16aの中間部分に挿入されることにより、前記バルブシール16の強度が向上する。
【符号の説明】
【0053】
10:圧力キャップ
11:リザーバ注入口
11a:連通口
12:下部ボディ
13:上部ボディ
14:アウターキャップ
15:圧力バルブ
16:バルブシール
17:定圧スプリング
18:Oリング
19:Oリング
110:圧力キャップ
111:リザーバ注入口
111a:連通口
112:アウターキャップ
113:定圧バルブ
114:負圧バルブ
115:定圧スプリング
116:負圧スプリング